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2025-8696射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置
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  • -射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置 図1
  • -射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置 図2
  • -射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008696
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/60 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B29C45/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111086
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】國弘 大介
(72)【発明者】
【氏名】千葉 英貴
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AJ08
4F206AR072
4F206AR12
4F206AR13
4F206JA07
4F206JD03
4F206JL02
4F206JQ16
4F206JQ17
(57)【要約】
【課題】所望の成形を好適に行う射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置を提供すること。
【解決手段】射出成形装置用のスクリュ30は、射出成形装置に用いるためのスクリュである。スクリュ30は、供給部から計量部に亘り延伸する軸31と、軸31に連続して螺旋状に形成されている溝32と、軸31の延伸方向に隣接する溝32の間に形成されるリブ状のフライト33と、を有している。またこのスクリュ30は、供給部におけるフライト33の幅が計量部におけるフライト33の幅より広く、供給部におけるフライト33のピッチが計量部におけるフライト33のピッチより小さく、供給部における溝32の深さが計量部における溝32の深さより深い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側である供給部において原料を受け入れ、前記原料を計量部に加熱しながら搬送し、溶融した前記原料を前記計量部の下流側に設けた金型に射出する射出成形装置に用いるためのスクリュであって、
前記供給部から前記計量部に亘り延伸する軸と、
前記軸に連続して螺旋状に形成されている溝と、
前記軸の延伸方向に隣接する前記溝の間に形成されるリブ状のフライトと、
を備え、
前記供給部における前記フライトの幅は、前記計量部における前記フライトの幅より広く、
前記供給部における前記フライトのピッチは、前記計量部における前記フライトのピッチより小さく、
前記供給部における前記溝の深さは、前記計量部における前記溝の深さより深い、
射出成形装置用スクリュ。
【請求項2】
前記計量部の前記フライトの幅は、前記供給部の前記フライトの幅の40パーセントである、
請求項1に記載の射出成形装置用スクリュ。
【請求項3】
前記計量部の前記フライトのピッチは、前記供給部の前記フライトのピッチの140パーセントである、
請求項1に記載の射出成形装置用スクリュ。
【請求項4】
前記供給部における前記溝の前記延伸方向に平行な断面積は、前記計量部の前記溝の断面積の100~150パーセントである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の射出成形装置用スクリュ。
【請求項5】
前記供給部と前記計量部との間に、圧縮部を備え、
前記溝は、前記圧縮部において前記供給部から前記計量部に向かって徐々に浅くなるように形成されている、
請求項1に記載の射出成形装置用スクリュ。
【請求項6】
前記フライトは、前記圧縮部において前記上流側から前記下流側に向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている、
請求項5に記載の射出成形装置用スクリュ。
【請求項7】
前記フライトは、前記圧縮部において前記上流側から前記下流側に向かって徐々にピッチが広くなるように形成されている、
請求項5または6に記載の射出成形装置用スクリュ。
【請求項8】
前記供給部から前記計量部における前記フライトとスクリュ軸直角断面とがなす角は、16度から26度の範囲内に設定されている、
請求項7に記載の射出成形装置用スクリュ。
【請求項9】
加熱シリンダと、前記加熱シリンダ内に回転可能および進退可能に収容されたスクリュとを有し、前記スクリュを回転することにより、供給部において受け入れた原料の混練と可塑化とを行い、前記スクリュを進退することにより、可塑化した前記原料を計量部から金型に向かって射出する射出成形装置であって、
前記スクリュは、
前記供給部から前記計量部に亘り延伸する軸と、
前記軸に連続して螺旋状に形成されている溝と、
前記軸の延伸方向に隣接する前記溝の間に形成されるリブ状のフライトと、
を備え、
前記供給部における前記フライトの幅は、前記計量部における前記フライトの幅より広く、
前記供給部における前記フライトのピッチは、前記計量部における前記フライトのピッチより小さく、
前記供給部における前記溝の深さは、前記計量部における前記溝の深さより深い、
射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インラインスクリュ方式の射出成形装置において、スクリュの形状に関して様々な提案が開示されている。
【0003】
例えば、フライトピッチ、溝幅、溝深さが一定の第1領域と、フライトピッチは一定で溝深さが順次浅くなり、かつ溝幅が大きくなる第2領域とで構成されているスクリュを有する射出成形装置が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-224801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術においては、原料樹脂を受け入れる領域のスクリュ形状により先端部のフライトピッチが決定される。そのため、スクリュ先端において樹脂に対して高い圧力を掛けた場合に、この圧力により樹脂が逆流することをバランス良く制御することが難しい。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するために成されたものであって、所望の成形を好適に行う射出成形装置用スクリュ等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる射出成形装置用スクリュは、上流側である供給部において原料を受け入れ、原料を計量部に加熱しながら搬送し、溶融した原料を計量部の下流側に設けた金型に射出する射出成形装置に用いるためのスクリュである。射出成形装置用スクリュは、供給部から計量部に亘り延伸する軸と、軸に連続して螺旋状に形成されている溝と、軸の延伸方向に隣接する溝の間に形成されるリブ状のフライトと、を有している。またこのスクリュは、供給部におけるフライトの幅が、計量部におけるフライトの幅より広く、供給部におけるフライトのピッチが、計量部におけるフライトのピッチより小さく、供給部における溝の深さが、計量部における溝の深さより深い。
【0008】
本開示に係る射出成形装置は、加熱シリンダと、加熱シリンダ内に回転可能および進退可能に収容されたスクリュとを有する。射出成形装置は、スクリュを回転することにより、供給部において受け入れた原料の混練と可塑化とを行い、スクリュを進退することにより、可塑化した原料を計量部から金型に向かって射出する。上記スクリュは、供給部から計量部に亘り延伸する軸と、軸に連続して螺旋状に形成されている溝と、軸の延伸方向に隣接する溝の間に形成されるリブ状のフライトと、を有している。上記スクリュは、供給部におけるフライトの幅が、計量部におけるフライトの幅より広く、供給部におけるフライトのピッチが、計量部におけるフライトのピッチより小さく、供給部における溝の深さが、計量部における溝の深さより深い。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、所望の成形を好適に行う射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる射出成形装置の全体構成図である。
図2】実施の形態にかかるスクリュの部分拡大図である。
図3】スクリュの形状を説明するための外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
<実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態にかかる射出成形装置1の全体構成図である。なお、図1に示す射出成形装置1は、理解容易のため、一部が断面図として示されている。
【0013】
なお、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものとして、図1は、右手系の直交座標系が付されている。Z軸プラス方向は鉛直上向きと一致している。XY平面は水平面と一致している。また、図2以降において、直交座標系が付されている場合、図1のX軸、Y軸、およびZ軸方向と、これらの直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸方向はそれぞれ一致している。
【0014】
射出成形装置1は例えば、原料から所望の成形品を製造するための成形システムの構成の一つとして用いられる。原料とは例えば樹脂である。樹脂は繊維やビーズなどの添加物を含んでいてもよい。また原料とは例えば樹脂以外の金属粉などであってもよい。
【0015】
射出成形装置1は、型締め装置2と共に、基台3の上に固定され、型締め装置2と協働するように制御される。射出成形装置1は型締め装置2に対して可塑化した原料を供給可能に接続している。なお、可塑化とは原料を溶融させることと言い換えてもよい。型締め装置2は、金型90を保持している。射出成形装置1は、ペレット状の原料を受け入れ、受け入れた原料を可塑化して金型90に射出する。射出成形装置1は主な構成として、シリンダ10、ホッパ20、スクリュ30、ヒータ40、ノズル50および駆動ブロック60を有している。
【0016】
シリンダ10は、水平方向(X軸方向)に延伸する筒状部材である。シリンダ10は、上流側(X軸プラス側)において、ホッパ20に連結し、ホッパ20から原料を受け入れる。ホッパ20は、原料を受け入れて貯留すると共に、貯留した原料を適宜、シリンダ10に供給する。なお、シリンダ10は、加熱シリンダと称され得る。
【0017】
またシリンダ10は、内部にスクリュ30を回転可能および進退可能に収容している。シリンダ10は、ホッパ20が連結している部分よりもさらに上流側において駆動ブロック60に接続している。駆動ブロック60は、スクリュ30を回転および進退させるための駆動装置を含む。スクリュ30は、回転することにより、ホッパ20を介して受け入れた原料を混練しながら下流側(X軸マイナス側)へ搬送する。
【0018】
シリンダ10の下流の先端部(X軸マイナス側の端部)は、段階的に細くなっており、ノズル50が形成されている。ノズル50は、スクリュ30が先端に搬送した原料を射出可能に設定されている。ノズル50は、型締め装置2の固定盤に設けられた凹部に嵌め込まれている。スクリュ30は、駆動ブロック60により駆動されて、上流側から下流側へ移動する。これにより、射出成形装置1は、シリンダ10の先端に貯留した原料をノズル50から金型90に押し出す。
【0019】
スクリュ30は、シリンダ10の延伸方向に沿って回転可能および進退可能に収容されている。なお、ここでスクリュ30が行う回転動作は、シリンダ10の延伸方向(Y軸周り)に回転する動作である。またここでスクリュ30が行う進退動作は、上流から下流(X軸のマイナス側)へ向かう動作および下流から上流(X軸プラス側)へ移動する動作である。
【0020】
スクリュ30は上流側において駆動ブロック60に接続し、駆動ブロック60が有する駆動装置にしたがって回転動作および進退動作を行う。スクリュ30は、スクリュ30が回転することにより、ホッパ20を介して受け入れた原料を下流側へ搬送する。またスクリュ30は、原料を搬送しながら可塑化する。
【0021】
さらにスクリュ30は、スクリュ30が下流側へ移動することにより、シリンダ10の下流に搬送した原料をノズル50から射出成形装置1の外へ押し出す。なお、原料を押し出した後に、スクリュ30は回転して原料を下流へ搬送しつつ、上流へ移動する。これにより、スクリュ30は、可塑化した原料を再びシリンダ10の下流側へ貯留する。
【0022】
スクリュ30は、上述の機能を実現するために、延伸方向にそって上流側から、供給部A1、圧縮部A2および計量部A3に区分けされ得る。すなわちスクリュ30は、供給部A1において、原料を受け入れ、受け入れた原料を下流側へ搬送する。圧縮部A2において、スクリュ30は、供給部A1から受け取った原料を圧縮することにより可塑化しつつ、下流の計量部A3に搬送する。計量部A3において、スクリュ30は、可塑化した原料を計量部A3の下流側に搬送する。
【0023】
スクリュ30はさらに、計量部A3の下流側に、スクリュヘッド部A4を有している。スクリュヘッド部A4は、ヘッド34およびリング35を含む。ヘッド34は、スクリュ30の先端に設けられた円錐状の部材である。ヘッド34は、スクリュ30が原料を射出する際に、ノズル50に近づく。これによりヘッド34より下流側に貯留されていた原料がノズル50から金型90に向かって押し出される。リング35は、ヘッド34と計量部との間に設けられた領域において、可塑化した原料の逆流を抑制するための環状の部材である。
【0024】
ヒータ40は、シリンダ10の外周において、シリンダ10の延伸方向に沿って設けられた加熱装置である。ヒータ40は例えば、シースヒータまたはセラミックヒータである。ヒータ40は、オイルなどの加熱媒体を利用したものであってもよい。またヒータ40は、シリンダ10の延伸方向に沿って複数のセグメントに分割されていてもよい。この場合、ヒータ40は、セグメントごとに加熱する温度が設定可能な構造となっている。ヒータ40は、ノズル50部分も加熱可能に構成され得る。
【0025】
駆動ブロック60は、スクリュ30に接続し、スクリュ30を回転駆動するとともに、スクリュ30を直動駆動する。そのため、駆動ブロック60は、スクリュ30を回転するためのモータと、スクリュ30を進退させるためのモータと、をそれぞれ有している。
【0026】
次に、図2を参照して、スクリュ30の構成についてさらに説明する。図2は、実施の形態にかかるスクリュ30の部分拡大図である。図2に示すスクリュ30は、理解容易のため、一部が断面図として示されている。スクリュ30は主な構成として、軸31、溝32、フライト33およびヘッド34を有している。またスクリュ30は、ヘッド34に隣接する部分にリング35を有している。
【0027】
軸31は、供給部から計量部に亘り延伸している。軸31の直径Cは、シリンダ10の内径に対して大きなガタツキがなく動作するように設定されている。軸31には、連続して螺旋状に溝32が形成されている。フライト33は、軸31の延伸方向に隣接する溝32の間に形成されるリブ状の部分である。
【0028】
ここで、溝32の深さDは、軸31の外径面から溝32の底面までの深さである。またフライト33の幅Bは、軸31の中心線を通る断面における軸31の外径面に相当する部分の長さである。フライト33の幅Bは、フライト33の頂部におけるスクリュ30の延伸方向の長さということもできる。またフライト33のピッチPは、スクリュ30の延伸方向における隣接するフライト33のピッチである。フライト33のピッチは、溝32のピッチと言い換えることも出来る。溝32の深さD、フライト33の幅Bおよびフライト33のピッチPは、スクリュ30の位置によりそれぞれ異なる寸法となっている。
【0029】
なお、本実施の形態にかかるスクリュ30の供給部から計量部におけるフライト33とスクリュ軸直角断面(スクリュ30の中心軸に直交する断面)とがなす角Fは、16度から26度の範囲内に設定されている。
【0030】
次に、図3を参照して、スクリュ30の各部の形状の具体的な特徴について説明する。図3は、スクリュの形状を説明するための外観図である。図3に示すスクリュ30は、シリンダ10に収容されている部分である。スクリュ30は、図3のX軸プラス側において、駆動ブロック60に接続している。ただし図3は、駆動ブロック60との接続部分を省略して示したものである。
【0031】
図3に示すスクリュ30の溝32の深さ、フライトの幅およびフライトピッチをそれぞれ示す符号は、図2に示した符号の後に数字がさらに付されている。これは、各部の寸法が、位置により異なるため、この位置それぞれに異なる寸法を有することを示すためである。例えば、供給部A1における溝32は深さD1を有し、計量部A1における溝32は深さD3を有している。
【0032】
上述の内容を踏まえ、図3に示すスクリュ30の形状について説明する。スクリュ30において、供給部A1のフライト33の幅B1は、計量部A3におけるフライトの幅B3より広い。換言すると、計量部A3のフライト33の幅B3は、供給部A1におけるフライトの幅B1より狭い。
【0033】
より具体的には、計量部A3のフライト33の幅B3は、供給部A1のフライト33の幅B1の27パーセント~60パーセントである。
【0034】
また供給部A1におけるフライト33のピッチP1は、計量部A3におけるフライト33のピッチP3より小さい。
【0035】
より具体的には、計量部A3のフライト33のピッチP3は、供給部A1のフライト33のピッチP1の110パーセント~170パーセントである。
【0036】
供給部A1における溝32の深さD1は、計量部A3における溝32の深さD3より深い。
【0037】
あるいは、供給部A1における溝32の延伸方向に平行な断面積(D1×(P1-B1))は、計量部A3の溝32の断面積(D3×(P3-B3))の100~150パーセントである。
【0038】
またスクリュ30の溝32は、圧縮部A2において、供給部A1から計量部A3に向かって徐々に浅くなるように形成されている。すなわち、図3に示す圧縮部A2において、相対的に計量部A3に近い側の溝32の深さD22は、相対的に供給部A1に近い側の溝32の深さD21より浅い。
【0039】
またフライト33は、圧縮部A2において上流側から下流側に向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている。すなわち例えば圧縮部A2における下流側の幅B22は、上流側の幅B21より狭い。
【0040】
フライトは、圧縮部において上流側から下流側に向かって徐々にピッチが広くなるように形成されている。すなわち例えば圧縮部A2における下流側のピッチP22は、上流側のピッチP21より広い。
【0041】
以上、スクリュ30について説明した。上述のとおり、スクリュ30におけるフライト33の幅BおよびピッチPは、延伸方向に沿って変化する。またスクリュ30は、溝32の深さDも延伸方向に沿って変化し得る。そのためスクリュ30における溝32の形状および断面積は、フライト33の幅B、ピッチPおよび溝32の深さDの3つのパラメータにより設定される。
【0042】
ところで、仮に、フライト33の幅Bを一定にして、ピッチPを上流側から下流側に沿って大きくした場合は、計量部A3におけるフライト33のリード角が、上述のスクリュ30に比べると相対的に大きくなる。このフライト幅が一定のスクリュは、射出成形装置1において計量部A3よりも下流側に原料を供給する際に原料が計量部A3に逆流しやすくなる。
【0043】
一方、フライト33のピッチPを一定にして、幅Bを上流側から下流側に沿って狭くした場合は、上述のスクリュ30と比べると、供給部A1の溝32の断面積S1と、計量部A3の溝32の断面積S2との比である圧縮比(S1/S2)が高くなってしまう。すなわちこのフライトピッチが一定のスクリュは、高い圧縮比により剪断熱が上昇しやすく、これに伴い原料の劣化が発生しやすくなる。
【0044】
本開示にかかるスクリュ30は、上述したフライト幅が一定のスクリュと比べると、計量部A3におけるフライト33のピッチPの増加を抑えつつ、溝32の断面積を大きくすることが可能となる。そのため、スクリュ30は、計量部A3からヘッド部A4の領域で原料の圧力が高くなった場合に、原料の逆流を抑えることができる。あるいはスクリュ30は、スクリュの計量部A3からヘッド部A4の領域で原料の圧力が高くなった場合に、スクリュの先端側へ搬送する原料の流量の低下を抑制できる。
【0045】
またスクリュ30は、上述したフライトピッチが一定のスクリュと比べると、圧縮比を低く抑えることができる。そのため、スクリュ30は、原料の劣化を抑制できる。また比較的に低い圧縮比による成形を行うことにより、スクリュ30は、フライトの摩耗や破損等の品質劣化を抑制できる。
【0046】
以上、実施の形態によれば、所望の成形を好適に行う射出成形装置用スクリュおよび射出成形装置を提供できる。
【0047】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 射出成形装置
2 型締め装置
3 基台
10 シリンダ
20 ホッパ
30 スクリュ
31 軸
32 溝
33 フライト
34 ヘッド
35 リング
40 ヒータ
50 ノズル
60 駆動ブロック
90 金型
図1
図2
図3