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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025087210
(43)【公開日】2025-06-10
(54)【発明の名称】エアジェット織機の緯入れ装置
(51)【国際特許分類】
   D03D 47/30 20060101AFI20250603BHJP
【FI】
D03D47/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201712
(22)【出願日】2023-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森田 光飛
【テーマコード(参考)】
4L050
【Fターム(参考)】
4L050AA15
4L050AB03
4L050CB83
4L050CB84
4L050CB85
4L050CC11
(57)【要約】
【課題】エアタンクを交換することなく電磁開閉弁の個数を増やすことができるエアジェット織機の緯入れ装置を提供する。
【解決手段】エアジェット織機100の緯入れ装置20は、複数のサブノズルSと、複数のタンク孔10aが形成されているエアタンク10と、複数の電磁開閉弁22と、複数の支持部材21と、を備えている。各電磁開閉弁22は、圧縮空気が流入する流入ポート22aを備えている。支持部材21には、一つのタンク孔10aと連通するタンク接続口31aが形成されるとともに、流入ポート22aと連通する第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aが形成されている。支持部材21の内部には、タンク接続口31aと、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aの各々と、を接続する内部流路40が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインノズルにより筬内通路に緯糸を緯入れするエアジェット織機に設けられ、
前記緯糸の緯入れ方向に複数設けられているサブノズルであって、前記筬内通路に緯入れされた前記緯糸に圧縮空気を噴射する前記サブノズルと、
前記サブノズルから噴射される前記圧縮空気が貯留されるエアタンクであって、前記緯入れ方向に複数のタンク孔が形成されている前記エアタンクと、
前記エアタンクから前記サブノズルへの前記圧縮空気の供給を制御するための電磁開閉弁であって、前記圧縮空気の流入する流入ポートを備えるとともに、前記緯入れ方向に複数設けられた前記電磁開閉弁と、
前記エアタンクに取り付けられるとともに前記電磁開閉弁を支持する支持部材と、を備えるエアジェット織機の緯入れ装置であって、
前記支持部材には、前記タンク孔のうちの一つと連通するタンク接続口が形成されるとともに、前記流入ポートと連通するバルブ接続口が複数形成され、
前記支持部材の内部には、前記タンク接続口と前記複数のバルブ接続口とを接続する内部流路が形成されていることを特徴とするエアジェット織機の緯入れ装置。
【請求項2】
前記支持部材は、
前記タンク接続口を有するタンク側面と、
前記タンク側面と異なる面であるとともに複数の前記バルブ接続口を有するバルブ側面と、を有し、
前記支持部材は板状であり、前記タンク側面と前記バルブ側面とを互いに板厚方向の反対面とするとともに、板厚内に前記内部流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアジェット織機の緯入れ装置。
【請求項3】
前記電磁開閉弁には、一対の第1固定孔が形成され、
前記支持部材には、一対の第2固定孔と、前記一対の第2固定孔とは異なる一対の第3固定孔が形成され、
前記エアタンクには、一対の第4固定孔が形成されており、
前記電磁開閉弁は、前記一対の第1固定孔に挿入されるとともに前記一対の第2固定孔に挿入される弁用固定部材により前記支持部材に取り付け可能であり、
前記支持部材は、前記一対の第3固定孔に挿入されるとともに前記一対の第4固定孔に挿入される支持用固定部材により前記エアタンクに取り付け可能であり、
前記第1固定孔、前記第2固定孔、前記第3固定孔、及び前記第4固定孔の孔径が一致しているとともに、前記一対の第1固定孔のピッチ、前記一対の第2固定孔のピッチ、前記一対の第3固定孔のピッチ、及び前記第4固定孔のピッチが一致していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機の緯入れ装置。
【請求項4】
前記支持部材は、
前記タンク接続口が形成されている第1形成材と、
前記複数のバルブ接続口が形成されている第2形成材と、を有するとともに、
前記板厚方向に前記第1形成材と前記第2形成材とを対向させて形成されている前記支持部材であって、
前記第1形成材と前記第2形成材の少なくとも一方に流路画定空間が形成されており、
前記内部流路は、前記流路画定空間が少なくとも他方により閉塞されることで画定されていることを特徴とする請求項2に記載のエアジェット織機の緯入れ装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記筬内通路の方向を向く傾斜面を有し、前記電磁開閉弁は、前記傾斜面に支持されており、前記複数のバルブ接続口は前記傾斜面において開口していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機の緯入れ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアジェット織機の緯入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、エアジェット織機であるジェットルームにおける緯入れ装置が開示されている。ジェットルームにおける緯入れ装置は、エアタンクと、複数のサブノズルである複数の緯入れ用補助ノズルと、複数の電磁開閉弁と、複数の配管と、を備えている。各電磁開閉弁には、流入ポートが形成されている。エアタンクには、タンク孔としての流出ポートが形成されている。
【0003】
複数の電磁開閉弁は、緯糸の緯入れ方向に並べて配置されている。各電磁開閉弁は、タンク孔に流入ポートを直通させてエアタンクに取り付けられている。複数のサブノズルは、1つの群として単一の電磁開閉弁を介してエアタンクに接続されている。複数のサブノズルは、緯糸の緯入れ方向に並べて配置されている。各サブノズルは、配管、及び電磁開閉弁を介してエアタンクからエアを供給される。そして、緯入れ装置は、各サブノズルによるエアの噴射作用により緯糸を緯入れする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-239160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の緯入れ装置において、各電磁開閉弁に接続されるサブノズルの個数を減らすために電磁開閉弁の個数を増やす場合、増加する電磁開閉弁の個数に応じたタンク孔が形成されたエアタンクに交換する必要がある。エアタンクの交換作業は、多大な工数が要求されるため、エアタンクの交換をすることなく、電磁開閉弁の個数を増やすことができるエアジェット織機の緯入れ装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのエアジェット織機の緯入れ装置は、メインノズルにより筬内通路に緯糸を緯入れするエアジェット織機に設けられ、前記緯糸の緯入れ方向に複数設けられているサブノズルであって、前記筬内通路に緯入れされた前記緯糸に圧縮空気を噴射する前記サブノズルと、前記サブノズルから噴射される前記圧縮空気が貯留されるエアタンクであって、前記緯入れ方向に複数のタンク孔が形成されているエアタンクと、前記エアタンクから前記サブノズルへの前記圧縮空気の供給を制御するための電磁開閉弁であって、前記圧縮空気の流入する流入ポートを備えるとともに、前記緯入れ方向に複数設けられた前記電磁開閉弁と、前記エアタンクに取り付けられるとともに前記電磁開閉弁を支持する支持部材と、を備えるエアジェット織機の緯入れ装置であって、前記支持部材には、前記タンク孔のうちの一つと連通するタンク接続口が形成されるとともに、前記流入ポートと連通するバルブ接続口が複数形成され、前記支持部材の内部には、前記タンク接続口と前記複数のバルブ接続口とを接続する内部流路が形成されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、支持部材により、一つのタンク孔に対して複数の電磁開閉弁を接続できる。つまり、エアタンクに取り付ける電磁開閉弁の数は、エアタンクに支持部材を取り付けることにより、増やすことができる。この結果、エアジェット織機の緯入れ装置は、エアタンクを交換することなく、エアタンクに取り付けられる電磁開閉弁の数を増やすことができる。
【0008】
上記エアジェット織機の緯入れ装置において、前記支持部材は、前記タンク接続口を有するタンク側面と、前記タンク側面と異なる面であるとともに複数の前記バルブ接続口を有するバルブ側面と、を有し、前記支持部材は板状であり、前記タンク側面と前記バルブ側面とを互いに板厚方向の反対面とするとともに、板厚内に前記内部流路が形成されていてもよい。
【0009】
これによれば、タンク接続口とバルブ接続口とが板厚方向に並ぶため、支持部材は、タンク接続口、及びバルブ接続口を形成しつつ、厚さを変更できる。この結果、支持部材の板厚を、その支持部材及び電磁開閉弁の配置される空間の大きさに合わせて変更することにより、エアジェット織機の緯入れ装置の大型化を抑制できる。
【0010】
上記エアジェット織機の緯入れ装置において、前記電磁開閉弁には、一対の第1固定孔が形成され、前記支持部材には、一対の第2固定孔と、前記一対の第2固定孔とは異なる一対の第3固定孔が形成され、前記エアタンクには、一対の第4固定孔が形成されており、前記電磁開閉弁は、前記一対の第1固定孔に挿入されるとともに前記一対の第2固定孔に挿入される弁用固定部材により前記支持部材に取り付け可能であり、前記支持部材は、前記一対の第3固定孔に挿入されるとともに前記一対の第4固定孔に挿入される支持用固定部材により前記エアタンクに取り付け可能であり、前記第1固定孔、前記第2固定孔、前記第3固定孔、及び前記第4固定孔の孔径が一致しているとともに、前記一対の第1固定孔のピッチ、前記一対の第2固定孔のピッチ、前記一対の第3固定孔のピッチ、及び前記第4固定孔のピッチが一致していてもよい。
【0011】
これによれば、第1固定孔に挿入した弁用固定部材を第4固定孔に挿入することで、エアタンクに対して電磁開閉弁を直接取り付けることができる。そして、第1固定孔に挿入した支持用固定部材を第2固定孔に挿入することで、電磁開閉弁を支持部材に取り付けることができる。つまり、支持部材をエアタンクに取り付けるための第4固定孔は、電磁開閉弁をエアタンクに直接取り付けるための固定孔としても使用できる。よって、エアタンクに対して、支持部材を取り付けるための新たな孔を設けなくてもよい。この結果、エアジェット織機の緯入れ装置は、電磁開閉弁が取り付けられていたサブタンクに対して加工を行うことなく、支持部材を取り付けることができる。
【0012】
上記エアジェット織機の緯入れ装置において、前記支持部材は、前記タンク接続口が形成されている第1形成材と、前記複数のバルブ接続口が形成されている第2形成材と、を有するとともに、前記板厚方向に前記第1形成材と前記第2形成材とを対向させて形成されている前記支持部材であって、前記第1形成材と前記第2形成材の少なくとも一方に流路画定空間が形成されており、前記内部流路は、前記流路画定空間が少なくとも他方により閉塞されることで画定されていてもよい。
【0013】
これによれば、支持部材が単一の部材で形成されている場合と比較して、内部流路の経路、及び断面形状の形成が容易である。
上記エアジェット織機の緯入れ装置において、前記支持部材は、前記筬内通路の方向を向く傾斜面を有し、前記電磁開閉弁は、前記傾斜面に支持されており、前記複数のバルブ接続口は前記傾斜面において開口していてもよい。
【0014】
これによれば、支持部材は、傾斜面を有するとともに、傾斜面に電磁開閉弁が設けられている。傾斜面は筬内通路の方向を向いているため、サブノズルと対面している。つまり、支持部材は、傾斜面を備えることにより、電磁開閉弁とサブノズルとの距離を近づけるとともに、電磁開閉弁をサブノズルの方向に向けることが可能である。この結果、電磁開閉弁とサブノズルとの間において圧縮空気が流れる距離を短くできるため、圧縮空気がサブノズルに到達するまでに起こる圧力損失を低減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エアタンクを交換することなく電磁開閉弁の個数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、エアジェット織機を示す模式図である。
図2図2は、エアジェット織機を示す部分側面図である。
図3図3は、支持部材を示す斜視図である。
図4図4は、エアタンク、支持部材、及び電磁開閉弁を示す部分拡大図である。
図5図5は、変更例における支持部材を示す斜視図である。
図6図6は、変更例におけるエアジェット織機を示す部分側面図である。
図7図7は、変更例におけるエアジェット織機を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、エアジェット織機の緯入れ装置を具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
<エアジェット織機の全体像>
図1、及び図2に示すように、エアジェット織機100は、一対のサイドフレーム11と、ロッキングシャフト12と、スレイ13と、変形筬16と、メインノズルMと、緯入れ装置20と、を備えている。
【0018】
図1に示すように、一対のサイドフレーム11は、エアジェット織機100の幅方向Wに離間させて設けられている。詳細に図示しないが、ロッキングシャフト12は、エアジェット織機100の幅方向Wに延在するように一対のサイドフレーム11に架設されている。ロッキングシャフト12の延在方向における両端は、往復回動可能にサイドフレーム11に支持されている。
【0019】
図2に示すように、ロッキングシャフト12は、エアジェット織機100の上方に延在するアーム12aを一体的に備えている。スレイ13は、アーム12aの上端に支持されている。スレイ13は、エアジェット織機100の幅方向Wに延在している。スレイ13は、ロッキングシャフト12と一体となって回動する。
【0020】
変形筬16は、スレイ13に支持されている。変形筬16の下端は、スレイ13に固定されている。変形筬16は、エアジェット織機100の幅方向Wへ列状に並んでいる複数の筬羽16aにより形成されている。なお、図2は、複数の筬羽16aのうち、一つの筬羽16aのみを示している。
【0021】
図1に示すように、複数の筬羽16aは、スレイ13において、エアジェット織機100の幅方向Wに間隔を空けて配置されている。各筬羽16aは、各筬羽16aの下端をスレイ13に固定することでスレイ13に支持されている。変形筬16には、筬内通路16bが形成されている。筬内通路16bは、エアジェット織機100の幅方向Wに延びている。つまり、筬内通路16bは、筬羽16aが並ぶ方向に延びている。筬内通路16bは、筬羽16aが並ぶ方向における変形筬16の両端部において開口している。
【0022】
メインノズルMは、図示しない圧力供給源に接続されるとともに、筬内通路16bへ緯糸Yを射出する。筬内通路16bに射出された緯糸Yは、エアジェット織機100の幅方向Wへ筬内通路16bを飛走する。つまり、エアジェット織機100は、メインノズルMにより筬内通路16bに緯糸Yを緯入れする。メインノズルMにより射出された緯糸Yが飛走する方向を緯入れ方向Xとする。緯入れ方向Xは、エアジェット織機100の幅方向Wと一致する。したがって、筬内通路16bは、緯入れ方向Xに延びている。
【0023】
<緯入れ装置>
緯入れ装置20は、エアタンク10と、複数のサブノズルSと、複数の支持部材21と、複数の電磁開閉弁22と、複数のフレキシブルチューブ23と、を備えている。
【0024】
エアタンク10は、エアジェット織機100の幅方向W、つまり緯入れ方向Xに長手が延びる長尺状である。エアタンク10の長手方向の各端部はサイドフレーム11に支持されている。つまり、エアタンク10は、一対のサイドフレーム11に支持されるとともに、一対のサイドフレーム11に架設されている。そして、エアタンク10は、エアジェット織機100の幅方向Wに延在すると共に固定的に設けられた織機フレームの梁材として機能する。
【0025】
図2に示すように、エアタンク10の内部にはタンク室10bが形成されている。エアタンク10は、図示しない圧力供給源から圧縮空気が供給されているとともに、タンク室10bに圧縮空気を貯留している。つまり、エアタンク10は、圧縮空気を貯留している。
【0026】
図1に示すように、エアタンク10には、エアタンク10の長手方向に並んでいる複数のタンク孔10aが形成されている。つまり、エアタンク10には、緯入れ方向Xに複数のタンク孔10aが形成されている。図4に示すように、エアタンク10には、各タンク孔10aを、緯入れ方向Xにおいて挟むように一対の第4固定孔H4が形成されている。
【0027】
<サブノズル>
図2に示すように、エアジェット織機100において、変形筬16が筬打ちのために移動する方を前方とするとともに、筬打ち後に戻る方を後方とする。変形筬16は、エアジェット織機100の前後方向Fへ回動するといえる。
【0028】
複数のサブノズルSは、エアジェット織機100の前後方向Fにおいて、変形筬16とエアタンク10との間に配置されている。複数のサブノズルSは、エアタンク10の長手方向に並んでいる。言い換えると、複数のサブノズルSは、緯入れ方向Xに並んでいる。各サブノズルSは、スレイ13に取り付けられている。つまり、各サブノズルSは、ロッキングシャフト12と一体となって回動可能となるように、スレイ13に支持されている。
【0029】
フレキシブルチューブ23の第1端は、サブノズルSに接続されている。フレキシブルチューブ23の第2端は、電磁開閉弁22に接続されている。
<電磁開閉弁>
図1に示すように、複数の電磁開閉弁22は、支持部材21を介してエアタンク10に取り付けられている。複数の電磁開閉弁22は、エアタンク10の長手方向に並んで配置されている。つまり、複数の電磁開閉弁22は、緯入れ方向Xに複数設けられている。
【0030】
各電磁開閉弁22は、圧縮空気が流入する一つの流入ポート22aと、2つの流出ポート22bと、を備えている。つまり、電磁開閉弁22は、圧縮空気が流入する流入ポート22aを備える。各流出ポート22bには、上記したフレキシブルチューブ23の第2端が接続されている。後述する支持部材21を介して流入ポート22aから電磁開閉弁22に流入した圧縮空気は、電磁開閉弁22の内部に形成されている弁路22cを通過した後、流出ポート22bよりフレキシブルチューブ23に吐出される。各電磁開閉弁22は、流入ポート22aにより圧縮空気の供給を受けるとともに弁路22c、2つの流出ポート22bの各々、及び2つのフレキシブルチューブ23を介して、2つのサブノズルSの各々より圧縮空気を噴射する。
【0031】
したがって、各サブノズルSには、フレキシブルチューブ23と、電磁開閉弁22と、後述する支持部材21と、を介してエアタンク10から圧縮空気が供給される。各サブノズルSは、エアタンク10から供給された圧縮空気を噴射する。各サブノズルSは、圧縮空気を筬内通路16bに噴射する。
【0032】
各電磁開閉弁22は、流入ポート22aと流出ポート22bとが連通している状態である励磁状態と、流入ポート22aと流出ポート22bとが遮断されている消磁状態と、を切り換え可能である。各電磁開閉弁22は、図示しない制御装置と接続するとともに、当該制御装置からの信号により、励磁状態と消磁状態とを切り換える。制御装置は、各電磁開閉弁22を個別に制御可能である。例えば、制御装置は、複数の電磁開閉弁22のうち、一つの電磁開閉弁22を励磁状態とするとともに、その他の電磁開閉弁22を消磁状態にできる。つまり、電磁開閉弁22は、エアタンク10からサブノズルSへの圧縮空気の供給を制御する。
【0033】
図4に示すように、各電磁開閉弁22には、一対の第1固定孔H1が形成されている。各第1固定孔H1は、電磁開閉弁22が有する面のうち、エアタンク10側にある面、及び当該面の反対面において開口している。
【0034】
<支持部材>
各支持部材21は、電磁開閉弁22とエアタンク10との間に介在している。各支持部材21は、緯入れ方向Xに長手が延びるとともに、前後方向Fに板厚を有する板状である。また、各支持部材21は、上下方向Uに短手が延びる板状である。したがって、各支持部材21は、長四角板状である。以下の説明において、支持部材21において、エアジェット織機100の前後方向Fと一致する方向を板厚方向Tとする。各支持部材21は、板厚方向Tにおいて、タンク側面31と、タンク側面31の反対面であるバルブ側面32と、を備えている。つまり、支持部材21は、板状であり、タンク側面31とバルブ側面32とを互いに板厚方向Tの反対面としている。また、各支持部材21は、緯入れ方向Xにおいて、第1支持側面33と、第1支持側面33の反対面である第2支持側面34と、を備えている。なお、支持部材21は、当該支持部材21の長手方向を緯入れ方向Xに一致させてエアタンク10に取り付けられている。したがって、支持部材21の緯入れ方向Xは、支持部材21の長手方向と読み替えることもできる。また、支持部材21は、当該支持部材21の短手方向を上下方向Uに一致させてエアタンク10に取り付けられている。したがって、支持部材21の上下方向Uは、支持部材21の短手方向と読み替えることもできる。
【0035】
各支持部材21において、第1支持側面33は、緯入れ方向Xにおける側面のうち、メインノズルM側に位置している。各支持部材21は、板厚方向T及び緯入れ方向Xと直交する方向である上下方向Uにおいて、下方を向く支持下面35と、支持下面35の反対面であるとともに上方を向く支持上面36と、を備えている。
【0036】
図3に示すように、各支持部材21のタンク側面31には、タンク接続口31aが形成されている。つまり、タンク側面31はタンク接続口31aを有する。タンク接続口31aは、支持部材21における緯入れ方向Xでの中央、かつ上下方向Uでの支持下面35寄りに形成されている。
【0037】
また、各支持部材21のバルブ側面32には、複数のバルブ接続口である第1バルブ接続口321a、及び第2バルブ接続口322aが形成されている。つまり、バルブ側面32は、タンク側面31と異なる面であるとともに第1バルブ接続口321a、及び第2バルブ接続口322aを有する。第1バルブ接続口321aは、緯入れ方向Xにおいて、タンク接続口31aよりも第1支持側面33に近付けた位置に形成されている。第2バルブ接続口322aは、緯入れ方向Xにおいて、タンク接続口31aよりも第2支持側面34に近付けた位置に形成されている。第1バルブ接続口321aと第2バルブ接続口322aとは、緯入れ方向Xに離れた位置に形成されている。第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aは、上下方向Uにおいてタンク接続口31aよりも支持上面36寄りに形成されている。
【0038】
図4に示すように、各支持部材21は、タンク側面31がエアタンク10と対面するとともに、タンク接続口31aが、複数のタンク孔10aのうちの一つと連通する位置に設けられている。つまり、支持部材21には、タンク孔10aのうち一つと連通するタンク接続口31aが形成されている。
【0039】
タンク接続口31aから第1バルブ接続口321aまでの緯入れ方向Xへの距離と、タンク接続口31aから第1バルブ接続口321aまでの緯入れ方向Xへの距離とは同じである。
【0040】
各支持部材21は、バルブ側面32が2つの電磁開閉弁22と対面する位置に設けられている。また、各支持部材21は、2つの電磁開閉弁22の各々が備える流入ポート22aと第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aの各々とが連通する位置に設けられている。つまり、支持部材21には、流入ポート22aと連通する第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aが形成されている。
【0041】
図3に示すように、各支持部材21の内部には、タンク接続口31aと、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aの各々と、を接続する内部流路40が形成されている。内部流路40は、第1左右流路PX1と、第2左右流路PX2と、第1上下流路PZ1と、第2上下流路PZ2と、第3上下流路PZ3と、第4上下流路PZ4と、により形成されている。
【0042】
第1左右流路PX1は、緯入れ方向Xに延びるとともに、第1支持側面33及び第2支持側面34の各々において、閉塞部材Cにより閉塞されている。第2左右流路PX2は、緯入れ方向Xに延びるとともに、第1支持側面33及び第2支持側面34の各々において、閉塞部材Cにより閉塞されている。第1左右流路PX1と第2左右流路PX2とは、上下方向Uに沿って支持下面35から支持上面36に向かって、第1左右流路PX1と第2左右流路PX2となる順番で並んでいる。
【0043】
第1~第4上下流路PZ1~PZ4の各々は、上下方向Uに延びるとともに、支持下面35及び支持上面36の各々において、閉塞部材Cにより閉塞されている。第1~第4上下流路PZ1~PZ4は、緯入れ方向Xにおいて、第1支持側面33から第2支持側面34に向かって、第1上下流路PZ1と、第2上下流路PZ2と、第3上下流路PZ3と、第4上下流路PZ4となる順番で並んでいる。
【0044】
第2上下流路PZ2と第3上下流路PZ3とは、支持部材21における緯入れ方向Xの中央部に形成されている。また、第2上下流路PZ2と第3上下流路PZ3とは、緯入れ方向Xにおいて僅かに離れて形成されている。そして、第2上下流路PZ2及び第3上下流路PZ3は、支持部材21の板厚方向Tにおいてタンク接続口31aに重なる位置に形成されている。
【0045】
第1上下流路PZ1は、緯入れ方向Xにおいて、第2上下流路PZ2よりも第1支持側面33側に離れた位置に形成されている。そして、第1上下流路PZ1は、支持部材21の板厚方向Tにおいて第1バルブ接続口321aと重なる位置に形成されている。第4上下流路PZ4は、緯入れ方向Xにおいて、第3上下流路PZ3よりも第2支持側面34側に離れた位置に形成されている。そして、第4上下流路PZ4は、支持部材21の板厚方向Tにおいて第2バルブ接続口322aと重なる位置に形成されている。第1上下流路PZ1と第2上下流路PZ2との緯入れ方向Xへの離間距離は、第3上下流路PZ3と第4上下流路PZ4との緯入れ方向Xへの離間距離と同じである。
【0046】
第1左右流路PX1と第2左右流路PX2とは、支持部材21の内部において、第1~第4上下流路PY1~PY4の各々により連通している。つまり、支持部材21は、板厚内に内部流路40が形成されている。
【0047】
第2上下流路PZ2、及び第3上下流路PZ3の各々は、タンク接続口31aと連通している。つまり、第2上下流路PZ2、及び第3上下流路PZ3の各々は、タンク接続口31aを介してタンク側面31において開口している。
【0048】
第1上下流路PZ1は、第1バルブ接続口321aと連通している。また、第4上下流路PZ4は、第2バルブ接続口322aと連通している。つまり、第1上下流路PZ1は第1バルブ接続口321aを介してバルブ側面32において開口するとともに、第4上下流路PZ4は第2バルブ接続口322aを介してバルブ側面32において開口している。
【0049】
タンク接続口31aと第1バルブ接続口321aとは、第2上下流路PZ2と、第1左右流路PX1及び第2左右流路PX2と、第1上下流路PZ1とを介して連通している。また、タンク接続口31aと第2バルブ接続口322aとは、第3上下流路PZ3と、第1左右流路PX1及び第2左右流路PX2と、第4上下流路PZ4とを介して連通している。
【0050】
各支持部材21には、タンク側面31及びバルブ側面32において開口する一対の第2固定孔である第1バルブ固定孔対BH1、及び第2バルブ固定孔対BH2が形成されている。第1バルブ固定孔対BH1及び第2バルブ固定孔対BH2は、緯入れ方向Xに並んで形成されている。
【0051】
第1バルブ固定孔対BH1は、支持部材21において、緯入れ方向Xにおける中央部よりも第1支持側面33寄りに形成されるとともに、第2バルブ固定孔対BH2は、支持部材21において、緯入れ方向Xにおける中央部よりも第2支持側面34寄りに形成されている。
【0052】
図4に示すように、第1バルブ固定孔対BH1は、支持部材21の緯入れ方向Xにおいて、第1バルブ接続口321aを挟む位置に形成されている。第1バルブ固定孔対BH1は、電磁開閉弁22と支持部材21とが、流入ポート22aと第1バルブ接続口321aとを連通させている状態で、一対の第1固定孔H1と対向する。第1バルブ固定孔対BH1の孔径は、電磁開閉弁22に形成されている第1固定孔H1の孔径と一致している。また、第1バルブ固定孔対BH1のピッチは、一対の第1固定孔H1のピッチと一致している。なお、第1バルブ固定孔対BH1のピッチは、第1バルブ固定孔対BH1の各孔の中心間での緯入れ方向Xへの距離である。また、一対の第1固定孔H1のピッチは、第1固定孔H1の各孔の中心間の緯入れ方向Xでの距離である。
【0053】
第2バルブ固定孔対BH2は、緯入れ方向Xにおいて第2バルブ接続口322aを挟む位置に形成されている。第2バルブ固定孔対BH2は、電磁開閉弁22と支持部材21とが、流入ポート22aと第2バルブ接続口322aとを連通させている状態で、一対の第1固定孔H1と対向する。
【0054】
なお、第2バルブ固定孔対BH2と連通する流入ポート22aを備える電磁開閉弁22は、第1バルブ固定孔対BH1と連通する流入ポート22aを備える電磁開閉弁22とは異なる。第2バルブ固定孔対BH2の孔径は、電磁開閉弁22に形成されている第1固定孔H1の孔径と一致している。また、第2バルブ固定孔対BH2のピッチは、一対の第1固定孔H1のピッチと一致している。なお、第2バルブ固定孔対BH2のピッチは、第2バルブ固定孔対BH2の各孔の中心間での緯入れ方向Xへの距離である。
【0055】
図3、及び図4に示すように、各支持部材21には、タンク側面31及びバルブ側面32において開口する一対の第3固定孔H3が形成されている。一対の第3固定孔H3は、支持部材21において、緯入れ方向Xにおける中央部に形成されている。一対の第3固定孔H3は、緯入れ方向Xにおいて、タンク接続口31aを挟む位置に形成されている。
【0056】
各第3固定孔H3は、タンク孔10aとタンク接続口31aとを連通させている状態で、エアタンク10に形成されている一対の第4固定孔H4と対向する位置に形成されている。各第3固定孔H3の孔径は、各第4固定孔H4の孔径と一致している。一対の第3固定孔H3のピッチは、一対の第4固定孔H4のピッチと一致している。なお、一対の第3固定孔H3のピッチは、第3固定孔H3の各孔の中心間の緯入れ方向Xの距離である。一対の第4固定孔H4のピッチは、第4固定孔H4の各孔の中心間の緯入れ方向Xの距離である。
【0057】
支持部材21において、第1バルブ固定孔対BH1の各々の孔径と一対の第3固定孔H3の各々の孔径は一致している。第1バルブ固定孔対BH1のピッチと、一対の第3固定孔H3のピッチとは一致している。支持部材21において、第2バルブ固定孔対BH2の各々の孔径と一対の第3固定孔H3の各々の孔径は一致している。第2バルブ固定孔対BH2のピッチと、一対の第3固定孔H3のピッチとは一致している。
【0058】
したがって、各第1固定孔H1、第1バルブ固定孔対BH1の各々、第2バルブ固定孔対BH2の各々、各第3固定孔H3、及び各第4固定孔H4の孔径は一致している。一対の第1固定孔H1のピッチ、第1バルブ固定孔対BH1のピッチ、第2バルブ固定孔対BH2のピッチ、一対の第3固定孔H3のピッチ、及び一対の第4固定孔H4のピッチは一致している。
【0059】
<支持部材によるエアタンクへのサブノズルの取り付け>
図1、及び図4に示すように、支持部材21には、2つの電磁開閉弁22が取り付けられている。2つの電磁開閉弁22の各々は、弁用固定部材である一対の第1固定ピンF1により、支持部材21に固定されている。2つの電磁開閉弁22の一方である第1の電磁開閉弁221は、流入ポート22aが第1バルブ接続口321aと連通する位置に設けられるとともに、他方である第2の電磁開閉弁222は、流入ポート22aが第2バルブ接続口322aと連通する位置に設けられている。第1の電磁開閉弁221は、一対の第1固定孔H1に挿入し、且つ第1バルブ固定孔対BH1に挿入される第1固定ピンF1により、支持部材21に固定されている。また、第2の電磁開閉弁222は、一対の第1固定孔H1に挿入し、且つ第2バルブ固定孔対BH2に挿入される第1固定ピンF1により、支持部材21に固定されている。つまり、電磁開閉弁22は、一対の第1固定孔H1に挿入されるとともに第1バルブ固定孔対BH1及び第2バルブ固定孔対BH2に挿入される第1固定ピンF1により支持部材21に取り付け可能である。なお、第1固定ピンF1は、第1バルブ固定孔対BH1及び第2バルブ固定孔対BH2に圧入されてもよいし、第1固定ピンF1に設けた雄ねじを、第1バルブ固定孔対BH1及び第2バルブ固定孔対BH2に設けた雌ねじに螺合してもよい。
【0060】
2つの電磁開閉弁22が取り付けられている支持部材21は、支持用固定部材である一対の第2固定ピンF2により、エアタンク10に固定されている。一対の第2固定ピンF2は、一対の第3固定孔H3に挿入されるとともに、一対の第4固定孔H4に固定されている。つまり、支持部材21は、一対の第3固定孔H3に挿入されるとともに、一対の第4固定孔H4に挿入される一対の第2固定ピンF2によりエアタンク10に取り付け可能である。つまり、支持部材21は、エアタンク10に取り付けられるとともに、電磁開閉弁22を支持している。なお、第2固定ピンF2は、第4固定孔H4に圧入されてもよいし、第2固定ピンF2に設けた雄ねじを、第4固定孔H4に設けた雌ねじに螺合してもよい。
【0061】
なお、電磁開閉弁22は、支持部材21を介さずにエアタンク10に取り付けることも可能である。この場合、電磁開閉弁22は、流入ポート22aがタンク孔10aと連通する位置に設けられた状態で第1固定孔H1に挿入した第1固定ピンF1を第4固定孔H4に挿入する。その結果、一つのタンク孔10aに対して一つの電磁開閉弁22を接続できる。
【0062】
<エアジェット織機による製織>
図1及び図2に示すように、エアジェット織機100の運転中、緯糸Yは、メインノズルMにより射出されるとともに、筬内通路16bを緯入れ方向Xに飛走する。当該飛走の際、緯入れ装置20が備える複数のサブノズルSの各々は、エアタンク10より供給される圧縮空気を緯糸Yの飛走方向に噴射する。各サブノズルSは、緯入れ方向Xにおいて、メインノズルM側からリレー噴射する。当該リレー噴射は、経糸TTの開口内へ射出された緯糸Yを牽引する。当該リレー噴射は、図示しない制御装置により、各電磁開閉弁22の励磁状態及び消磁状態が切り替わることによって行われる。各サブノズルSへの圧縮空気の供給は、支持部材21、電磁開閉弁22、及びフレキシブルチューブ23を介して行われる。
【0063】
緯入れ装置20により緯入れされた緯糸Yは、ロッキングシャフト12により回動する変形筬16により織前N1に筬打ちされる。当該筬打ちの結果、緯糸Yは、経糸TTとともに、織布Nを形成する。
【0064】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
エアジェット織機100に設けられている緯入れ装置20は、複数のサブノズルSにより、筬内通路16bに緯入れされた緯糸Yに圧縮空気を噴射する。各サブノズルSは、電磁開閉弁22と接続している。各電磁開閉弁22は、エアタンク10からサブノズルSへの圧縮空気の供給を制御している。各電磁開閉弁22は、支持部材21の内部流路40を介して、エアタンク10から圧縮空気が供給されている。エアタンク10に貯留されている圧縮空気は、タンク孔10a及びタンク接続口31aを介して支持部材21の内部流路40に流入する。支持部材21の内部流路40に流入した空気は、内部流路40を通過した後、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aの各々から電磁開閉弁22に供給される。つまり、支持部材21が取り付けられているエアタンク10は、一つのタンク孔10aにより2つの電磁開閉弁22に圧縮空気を供給できる。
【0065】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)緯入れ装置20は、支持部材21により、一つのタンク孔10aに対して2つの電磁開閉弁22を接続できる。つまり、支持部材21は、エアタンク10に取り付ける電磁開閉弁22の数を増やすことができる。この結果、緯入れ装置20は、支持部材21を取り付けることにより、エアタンク10を交換することなく、エアタンク10に取り付ける電磁開閉弁22の個数を増やすことができる。
【0066】
また、緯入れ装置20は、支持部材21を用いることにより、サブノズルSの数を変えることなく、緯入れ方向Xにおいて電磁開閉弁22の数を増やすことができる。この場合、一つの電磁開閉弁22に接続されるサブノズルSの本数は減少する。言い換えると、緯入れ装置20は、支持部材21を備えない場合と比較して、緯入れ方向Xにおける各電磁開閉弁22と当該電磁開閉弁22に接続されるサブノズルSとの緯入れ方向Xにおける距離を短くできる。この結果、緯入れ装置20は、電磁開閉弁22とサブノズルSとの間で、圧縮空気において発生する圧力損失を低減できる。
【0067】
(2)支持部材21は板状であるとともに、内部流路40は、支持部材21の板厚内に形成されている。例えば、支持部材21が、緯入れ方向Xに見てL状といった屈曲形状である場合のように、内部流路40を支持部材21の屈曲に応じて屈曲させる場合と比べると、内部流路40を簡単に製造できる。つまり、上記の構造は、支持部材21の製造を容易にする。
【0068】
また、支持部材21は、エアタンク10に直接取り付けられるとともに、電磁開閉弁22を支持している。そして、支持部材21は、内部流路40によって一つのタンク孔10aと各電磁開閉弁22とを接続するため、支持部材21の内部で流路を分岐している。
【0069】
一つのタンク孔10aに対して複数の電磁開閉弁22を接続する構成として、例えば、複数の電磁開閉弁22に圧縮空気を分岐させる分岐用部材を支持部材で支持するとともに、分岐用部材に管体等でエアタンク10に接続する構成が考えられる。当該構成では、分岐部材、及び支持部材を別々に設ける必要がある。したがって、当該構成と比較して、エアタンク10に対して支持部材21を取り付ける構成では、部材点数を減らすとともに、取り付けに要される工数を削減できる。さらに、分岐用部材とエアタンク10とを管体等で接続する場合と比較して、管体等の取り付けが必要ない分だけ、エアタンク10における支持部材21及び電磁開閉弁22の取り付けが容易である。
【0070】
(3)支持部材21において、タンク接続口31aと、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aと、は板厚方向Tに並んだタンク側面31とバルブ側面32に形成されている。このため、支持部材21は、タンク接続口31aと、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aと、を形成しつつ、支持部材21の板厚を変更できる。この結果、支持部材21の板厚を、エアタンク10とアーム12aとの間であって、支持部材21及び電磁開閉弁22の配置される空間の大きさに合わせて変更することにより、エアジェット織機100の緯入れ装置20の大型化を抑制できる。
【0071】
(4)支持部材21において、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aは、支持部材21の上下方向Uにおいて、タンク接続口31aよりも支持上面36側に形成されている。つまり、エアタンク10に支持部材21を介さずに電磁開閉弁22を取り付けた場合と比較して、支持部材21によりエアタンク10に取り付けられている電磁開閉弁22は、サブノズルSとの距離が近い。この結果、緯入れ装置20は、電磁開閉弁22とサブノズルSとの距離を短くできるため、電磁開閉弁22とサブノズルSとの間で、圧縮空気において発生する圧力損失を低減できる。
【0072】
(5)エアタンク10は、一対の第1固定孔H1に挿入した一対の第1固定ピンF1を一対の第4固定孔H4に挿入することで、電磁開閉弁22を直接取り付けられる。そして、支持部材21は、一対の第3固定孔H3に挿入した第2固定ピンF2を一対の第4固定孔H4に挿入することで、支持部材21に取り付け可能である。つまり、支持部材21をエアタンク10に取り付けるための一対の第4固定孔H4は、電磁開閉弁22をエアタンク10に直接取り付けるための固定孔としても使用できる。よって、エアタンク10に新たな孔を設けなくてもよい。この結果、エアジェット織機100の緯入れ装置20は、電磁開閉弁22が取り付けられていたエアタンク10に対して加工を行うことなく、支持部材21を取り付けることができる。
【0073】
(6)支持部材21において、第1上下流路PZ1と第2上下流路PZ2との緯入れ方向Xへの離間距離と、第3上下流路PZ3と第4上下流路PZ4との緯入れ方向Xへの離間距離とは同じである。このため、タンク接続口31aから第1バルブ接続口321aまでの緯入れ方向Xへの距離と、タンク接続口31aから第2バルブ接続口322aまでの緯入れ方向Xへの距離とは同じである。つまり、支持部材21に支持された2つの電磁開閉弁22の各々に供給される圧縮空気が内部流路40において通過する距離は等しい。言い換えると、2つの電磁開閉弁22の各々に供給される圧縮空気において生じる圧力損失は等しい。したがって、緯入れ装置20は、エアタンク10に取り付けられる電磁開閉弁22の個数を増やしつつ、各電磁開閉弁22から供給される圧縮空気の圧力を均一に保つことができる。この結果、緯入れ装置20は、備えている電磁開閉弁22の個数を増加させつつ、高精度での緯糸Yの緯入れが可能である。
【0074】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0075】
○ 支持部材21は、第1バルブ接続口321aと第2バルブ接続口322aの他に、電磁開閉弁22の流入ポート22aと連通するバルブ接続口を備えていてもよい。この場合、支持部材21には、第1バルブ固定孔対BH1と第2バルブ固定孔対BH2とは異なるバルブ固定孔対が設けられる。
【0076】
○ 一対の第3固定孔H3と一対の第4固定孔H4とは、孔径が一致していなくてもよいとともに、ピッチが一致していなくてもよい。この場合、支持部材21を取り付けるために、エアタンク10には、一対の第4固定孔H4とは異なる孔が設けられる。
【0077】
○ 支持部材21の板厚方向Tの寸法、緯入れ方向Xの寸法、及び上下方向Uのいずれか一つの寸法は適宜変更してもよい。つまり、支持部材21は、板状でなくてもよい。
図5に示すように、支持部材21は、分解可能であってもよい。例えば、支持部材21は、板厚方向Tに並ぶ第1形成材A1と第2形成材A2と、第1形成材A1と第2形成材A2との間をシールするシール部材A3と、第1形成材A1に第2形成材A2を取り付けるための複数の結合ピンA4と、を備えている。支持部材21は、板厚方向Tに第1形成材A1と第2形成材A2とを対向させて形成されている。
【0078】
支持部材21は、第1形成材A1が有する面のうち、第2形成材A2と対面する面と異なる面にタンク側面31を備える。つまり、第1形成材A1には、タンク接続口31aが形成されている。タンク接続口31aは、第1形成材A1の板厚方向における両面において開口している。
【0079】
支持部材21は、第2形成材A2が有する面のうち、第1形成材A1と対面する面と異なる面にバルブ側面32を備える。つまり、第2形成材A2には、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aが形成されている。第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aの各々は、第2形成材A2の板厚方向における両面において開口している。
【0080】
支持部材21には、流路画定空間A5が形成されている。流路画定空間A5は、第1画定空間A51と、第2画定空間A52により形成されている。第1画定空間A51は、第1形成材A1が有する第1画定部A511により画定されている。つまり、第1形成材A1には、第1画定空間A51が形成されている。第1画定空間A51は、第1形成材A1が有する面のうち、第2形成材A2と対面する面から凹んでいる。第1画定空間A51は、第1画定部A511が形成されている面において開口しているとともに、タンク接続口31aと連通している。つまり、第1形成材A1には、タンク接続口31aが形成されるとともに、タンク接続口31aに連通する第1画定空間A51が形成されている。
【0081】
第2画定空間A52は、第2形成材A2が有する第2画定部A521により画定されている。つまり、第2形成材A2には、第2画定空間A52が形成されている。第2画定空間A52は、第2形成材A2が有する面のうち、第1形成材A1と対面する面から凹んでいる。第2画定空間A52は、第2画定部A521が形成されている面において、開口しているとともに、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aと連通している。つまり、第2形成材A2には、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aが形成されているとともに、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aに連通する第2画定空間A52が形成されている。
【0082】
第1形成材A1と第2形成材A2とは、第1画定空間A51と第2画定空間A52とが、流路画定空間A5を形成するように、複数の結合ピンA4で結合される。タンク接続口31aと、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aと、は流路画定空間A5により連通している。つまり、内部流路40は、流路画定空間A5により形成されている。
【0083】
なお、第2形成材A2は第2画定部A521及び第2画定空間A52を備えなくてもよい。この場合、第2形成材A2は、第1画定空間A51を閉塞している。そして、流路画定空間A5は、第1形成材A1に形成されている。したがって、内部流路40は、流路画定空間A5が第2形成材A2により閉塞されることで画定されている。
【0084】
また、第1形成材A1は第1画定部A511及び第1画定空間A51を備えなくてもよい。この場合、第1形成材A1は、第2画定空間A52を閉塞している。そして、流路画定空間A5は、第2形成材A2に形成されている。したがって、内部流路40は、流路画定空間A5が第1形成材A1により閉塞されることで画定されている。言い換えると、流路画定空間A5は、第1形成材A1と第2形成材A2の少なくとも一方に形成されているとともに、内部流路40は、流路画定空間A5が少なくとも他方により閉塞されることで画定されている。
【0085】
上記の構成において、内部流路40は、第1形成材A1と第2形成材A2によって形成される。これは、単一の部材で形成されている支持部材21の内部に流路を形成する場合と比較して、内部流路の形成を容易にする。さらに、単一の部材で支持部材21が形成されている場合のように支持部材21に形成する孔を流路とする必要がない。このため、例えば流路画定空間A5を凹状部として成形することにより、断面形状が四角形の内部流路40を形成できる。この結果、支持部材21が単一の部材で形成されている場合と比較して、内部流路40の経路、及び断面形状の形成が容易である。また、上記の構成では、支持部材21の内部を、タンク接続口31aと、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aと、において開口する空洞にできる。この場合、支持部材21が単一の部材で形成されている場合と比較して、内部流路40の断面を大きくすることができる。この結果、内部流路40における圧縮空気の圧力損失を低減できる。
【0086】
○ 支持部材21の外面は、タンク側面31、バルブ側面32、第1支持側面33、第2支持側面34、支持下面35、及び支持上面36によってのみ構成されていなくてもよい。例えば、図6に示すように、支持部材21は、バルブ側面32と支持上面36との間に、傾斜面Dを備えていてもよい。
【0087】
傾斜面Dは、バルブ側面32に対して傾斜するとともに、支持上面36に対しても傾斜している。また、傾斜面Dは、エアジェット織機100の上下方向Uにおいて、支持部材21から見て筬内通路16bが位置する方向を向いている。第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aの各々は、傾斜面Dに形成されている。つまり、支持部材21は、筬内通路16bの方向を向く傾斜面Dを有し、電磁開閉弁22は、傾斜面Dに支持されている。電磁開閉弁22は、流入ポート22aと、第1バルブ接続口321a及び第2バルブ接続口322aの各々と、を連通させるように、傾斜面Dに設けられる。内部流路40は、支持部材21の内部で屈曲している。
【0088】
傾斜面Dは筬内通路16bの方向を向いているため、サブノズルSと対面している。つまり、支持部材21は、傾斜面Dを備えることにより、電磁開閉弁22とサブノズルSとの距離を近づけるとともに、電磁開閉弁22をサブノズルSの方向に向けることが可能である。この結果、電磁開閉弁22とサブノズルSとの間において圧縮空気の流れる距離が短くなるため、圧縮空気がサブノズルSに到達するまでに起こる圧力損失は低減される。
【0089】
○ 支持部材21は、タンク側面31とバルブ側面32とを互いに板厚方向Tの反対面しなくてもよい。例えば、図7に示すように、タンク側面31及びバルブ側面32の各々はエアタンク10の方向を向いていてもよい。この場合、支持部材21は、支持部材本体部E1と、支持部材接続部E2を備える。
【0090】
支持部材本体部E1は、電磁開閉弁22が取り付けられる板状である。支持部材本体部E1は、緯入れ方向Xに長手が延びるとともに、上下方向Uに短手が延びる板状である。また、支持部材本体部E1は、前後方向Fに板厚を有する板状である。
【0091】
支持部材接続部E2は、支持部材本体部E1からエアタンク10に向けて延びる板状である。また、支持部材接続部E2は、上下方向Uに板厚を有する板状である。
支持部材21は、支持部材接続部E2が有する面のうち、エアタンク10と対面する面としてタンク側面31を有する。つまり、タンク接続口31aは、支持部材接続部E2に形成されている。また、支持部材21は、支持部材本体部E1が有する面のうち、エアタンク10の方向を向く面としてバルブ側面32を有する。つまり、図示しない複数のバルブ接続口は、支持部材本体部E1に形成されている。
【0092】
内部流路40は、支持部材本体部E1及び支持部材接続部E2の各々に形成されている。
支持部材本体部E1には、本体部流路E3が形成されるとともに、支持部材接続部E2には接続部流路E4が形成されている。支持部材本体部E1と支持部材接続部E2とは、バルブ側面32において、本体部流路E3と接続部流路E4とを連通させるように連結している。
【0093】
上記の構成によれば、支持部材21に取り付けられる電磁開閉弁22は、エアタンク10に直接取り付けられる場合と比較して、対応するサブノズルSとの距離が近くなる。また、エアジェット織機100の上下方向Uにおいて、異なる位置にある電磁開閉弁22とサブノズルSとを接続する際に生じるフレキシブルチューブ23の屈曲の回数の低減が可能である。この結果、上記の構成では、電磁開閉弁22からサブノズルSに向かう圧縮空気において、フレキシブルチューブ23の内部における圧力損失を低減できる。
【符号の説明】
【0094】
10…エアタンク、10a…タンク孔、16b…筬内通路、20…緯入れ装置、21…支持部材、22…電磁開閉弁、22a…流入ポート、31…タンク側面、31a…タンク接続口、32…バルブ側面、40…内部流路、100…エアジェット織機、321a…バルブ接続口としての第1バルブ接続口、322a…バルブ接続口としての第2バルブ接続口、A1…第1形成材、A2…第2形成材、A5…流路画定空間、BH1…一対の第2固定孔である第1バルブ固定孔対、BH2…一対の第2固定孔である第2バルブ固定孔対、D…傾斜面、F1…弁用固定部材としての一対の第1固定ピン、F2…支持用固定部材である一対の第2固定ピン、H1…一対の第1固定孔、H3…一対の第3固定孔、H4…一対の第4固定孔、M…メインノズル、S…サブノズル、T…板厚方向、X…緯入れ方向、Y…緯糸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7