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特開2025-8723セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置
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  • 特開-セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置 図1
  • 特開-セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008723
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/18 20060101AFI20250109BHJP
   D21H 15/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
D21H11/18
D21H15/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111145
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】591032208
【氏名又は名称】株式会社サトミ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】里 見 力
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA11
4L055AC02
4L055AC03
4L055AC06
4L055AC08
4L055AC09
4L055AF09
4L055AF46
4L055BA14
4L055BB03
4L055CA16
4L055CB12
4L055CB13
4L055CB14
4L055CB16
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、叩解効率を上げることができるセルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置を提供するものである。
【解決手段】
セルロースナノファイバーの製造方法は、木材繊維を含む原料を解繊し、解繊後、解繊された原料を繊維分級装置で長繊維と短繊維に分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料をリファイナー3で叩解して、セルロースナノファイバーを製造するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材繊維を含む原料を繊維分級装置で長繊維と短繊維に分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料をリファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造する
ことを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項2】
木材繊維を含む原料を解繊し、解繊後、解繊された原料を繊維分級装置で長繊維と短繊維に分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料をリファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造する
ことを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。
【請求項3】
木材繊維を含む原料を長繊維と短繊維に分級する繊維分級装置と、
この繊維分級装置で分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料を叩解するリファイナーとを有し、
前記リファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造する
ことを特徴とするセルロースナノファイバーの製造装置。
【請求項4】
木材繊維を含む原料を解繊する解繊機と、
解繊後、前記解繊機で解繊された原料を長繊維と短繊維に分級する繊維分級装置と、
この繊維分級装置で分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料を叩解するリファイナーとを有し、
前記リファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造する
ことを特徴とするセルロースナノファイバーの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置に係り、特に、叩解効率を上げることができるセルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセルロースナノフィブリルの製造方法は、リファイナー(22)で叩解し、叩解された原料をCNF貯蔵タンク(30)に貯蔵し、CNF貯蔵タンク(30)からの原料を比較的低いCNFレベルを有するパルプをより長い繊維をろ過することのできる装置(34)によって処理し、処理できない原料を(46)により再処理するためのリファイナーフィードチェストに接続され戻されるようになっている(特許文献参照)。CNFは、セルロースナノファイバーのことである。なお、()内の番号は、特表2018-517863号公報記載のFIG.3の番号に対応付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-517863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のセルロースナノフィブリルの製造方法にあっては、循環回数が多くなる(繊維長が短くなる)につれ、叩解効率が悪くなり、有効なCNFを製造するにはかなりの回数循環する必要がある。
また、一部の繊維は循環回数を重ねても叩解されずに残ることが多く、製造されたCNFの純度が保たれないなどの問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたセルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のセルロースナノファイバーの製造方法は、木材繊維を含む原料を繊維分級装置で長繊維と短繊維に分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料をリファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造するものである。
【0007】
また、請求項2記載のセルロースナノファイバーの製造方法は、木材繊維を含む原料を解繊し、解繊後、解繊された原料を繊維分級装置で長繊維と短繊維に分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料をリファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造するものである。
【0008】
また、請求項3記載のセルロースナノファイバーの製造装置は、木材繊維を含む原料を長繊維と短繊維に分級する繊維分級装置と、この繊維分級装置で分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料を叩解するリファイナーとを有し、前記リファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造するものである。
【0009】
また、請求項4記載のセルロースナノファイバーの製造装置は、木材繊維を含む原料を解繊する解繊機と、解繊後、前記解繊機で解繊された原料を長繊維と短繊維に分級する繊維分級装置と、この繊維分級装置で分級し、分級した前記短繊維を含む前記原料を叩解するリファイナーとを有し、前記リファイナーで叩解して、セルロースナノファイバーを製造するものである。
【発明の効果】
【0010】
従来、循環回数を重ねても叩解されずに残ってしまう繊維の多くは長繊維が分断されたものが多く、叩解効率を上げる上での障害の一因となっていた。この請求項1記載のセルロースナノファイバーの製造方法によれば、リファイナーで叩解される前の段階で、つまり、繊維分級装置で分級し、分級した短繊維を含む原料をリファイナーで叩解するため、長繊維分を事前に取り除き、短繊維の割合を多くして叩解効率を上げることができる。
【0011】
従来、循環回数を重ねても叩解されずに残ってしまう繊維の多くは長繊維が分断されたものが多く、叩解効率を上げる上での障害の一因となっていた。この請求項2記載のセルロースナノファイバーの製造方法によれば、リファイナーで叩解される前の段階で、つまり、木材繊維を含む原料を解繊し、解繊後、解繊された原料を繊維分級装置で分級し、分級した短繊維を含む原料をリファイナーで叩解するため、長繊維分を事前に取り除き、短繊維の割合を多くして叩解効率を上げることができる。
【0012】
従来、循環回数を重ねても叩解されずに残ってしまう繊維の多くは長繊維が分断されたものが多く、叩解効率を上げる上での障害の一因となっていた。この請求項3記載のセルロースナノファイバーの製造装置によれば、リファイナーで叩解される前の段階で、つまり、繊維分級装置で分級し、分級した短繊維を含む原料をリファイナーで叩解するため、長繊維分を事前に取り除き、短繊維の割合を多くして叩解効率を上げることができる。
【0013】
従来、循環回数を重ねても叩解されずに残ってしまう繊維の多くは長繊維が分断されたものが多く、叩解効率を上げる上での障害の一因となっていた。この請求項4記載のセルロースナノファイバーの製造方法によれば、リファイナーで叩解される前の段階で、つまり、木材繊維を含む原料を解繊し、解繊後、解繊された原料を繊維分級装置で分級し、分級した短繊維を含む原料をリファイナーで叩解するため、長繊維分を事前に取り除き、短繊維の割合を多くして叩解効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施例のセルロースナノファイバーの製造装置の概略的図である。
図2図2は、本発明の他の実施例のセルロースナノファイバーの製造装置の概略的図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例のセルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置を図1を参照して説明する。セルロースナノファイバーは、 木材などの植物繊維の主成分であるセルロースをナノサイズ(1mmの百万分の1)にまで細かく解きほぐしたものである。
【0016】
図1に示すNはセルロースナノファイバーの製造装置で、セルロースナノファイバーの製造装置Nは,木材繊維を含む原料を解繊する解繊機(パルパー)1と、解繊後、解繊機1で解繊された原料を繊維分級装置(フラクショネーター)2で長繊維と短繊維に分級する。
繊維分級装置(フラクショネーター)2は、図示しないが、丸穴径が0.25mm~0.5mm、又は、スリット幅が0.05mm~0.1mmのスリットを有するもので、分級する。
この繊維分級装置(フラクショネーター)2で分級し、分級した短繊維を含む原料を叩解するリファイナー3とを有し、リファイナー3で叩解して、セルロースナノファイバーを製造するものである。
【0017】
上述した木材繊維を含む原料は、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、GP、TMP、古紙パルプ等であり、
解繊機1は、例えば、パルパー等である。
繊維分級装置(フラクショネーター)2は、例えば、スクリーンを原料が通過出来るか出来ないかによって、通過する短繊維と通過できない長繊維に分級するもので、例えば、バルメット株式会社製フラクショネーターであり、
短繊維は、例えば、1mm未満の長さを有する繊維であり、長繊維は、例えば、1mm以上の長さを有する繊維である。
リファイナー3は、例えば、ピーター、ディスクリファイナー、コニカルリファイナー、グラインダー、ホモジナイザー、スーパーマスコライダー等である。
【0018】
従って、木材繊維を含む原料を解繊機(例えば、パルパー)1で2~6%(本願発明の実施例の%は重量%である。)程に解繊し、微細な目穴を有した繊維分級装置(フラクショネーター)2にポンプ4で供給する。
繊維分級装置(フラクショネーター)2において、長繊維分は目穴を通過することができず、第1の戻し通路5を介して、そのまま解繊機(例えば、パルパー)1に戻される。
繊維分級装置(フラクショネーター)2において、目穴を通過できた短繊維分は濃縮装置6で4%程に濃縮され、リファイナー供給タンク7に蓄積される。
リファイナー供給タンク7からポンプ8でリファイナー(例えば、コニカルリファイナー)3に供給され、第2の戻し通路9を介して循環叩解を行い、所定の状態まで叩解された後に、第2の戻し通路9から分岐した分岐通路10を介して完成タンク11に送られ完成CNFとなる。
なお、濃縮装置6の水は、排水タンク12、ポンプ13、第3の戻し通路14により、解繊機(例えば、パルパー)1へと戻される。
【0019】
即ち、従来、循環回数を重ねても叩解されずに残ってしまう繊維の多くは長繊維が分断されたものが多く、叩解効率を上げる上での障害の一因となっていた。
本実施例のセルロースナノファイバーの製造装置(セルロースナノファイバーの製造方法)Nによれば、リファイナー3で叩解される前の段階で、つまり、木材繊維を含む原料を、解繊機1で解繊し、解繊後、解繊された原料を、例えば、丸穴径が0.25mm~0.5mm、又は、スリット幅が0.05mm~0.1mmのスリットを有する繊維分級装置(フラクショネーター)2で分級し、分級した短繊維を含む前記原料をリファイナー3で叩解するため、長繊維分を事前に取り除き、短繊維の割合を多くして叩解効率を上げることができる。
【0020】
なお、木材繊維を含む原料が解繊されていれば、パイプライン15から直接解繊された原料を供給できれば、解繊機1を省略することもできる(図2参照)。
図2においては、図1と同一部分に同一符号を付して、説明の一部を省略する。
かかる場合の図2に示すセルロースナノファイバーの製造装置(セルロースナノファイバーの製造方法)Nは、木材繊維を含む原料を繊維分級装置(フラクショネーター)2で長繊維と短繊維に分級する。例えば、繊維分級装置(フラクショネーター)2において、例えば、丸穴径が0.25mm~0.5mm、又は、スリット幅が0.05mm~0.1mmのスリットを有する繊維分級装置(フラクショネーター)2と、この繊維分級装置(フラクショネーター)2で分級し、分級した短繊維を含む原料を叩解するリファイナー3とを有し、リファイナー3で叩解して、セルロースナノファイバーを製造することができる。
【0021】
この実施例のセルロースナノファイバーの製造装置(セルロースナノファイバーの製造方法)Nによれば、リファイナー3で叩解される前の段階で、つまり、繊維分級装置で分級し、分級した短繊維を含む原料をリファイナーで叩解するため、長繊維分を事前に取り除き、短繊維の割合を多くして叩解効率を上げることができる。
具体的に言えば、木材繊維を含む原料を、例えば、木材繊維を含む原料を丸穴径が0.25mm~0.5mm、又は、スリット幅が0.05mm~0.1mmのスリットを有する繊維分級装置(フラクショネーター)2で分級し、分級した短繊維を含む原料をリファイナー3で叩解するため、長繊維分を事前に取り除き、短繊維の割合を多くして叩解効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0022】
N セルロースナノファイバーの製造装置
1 解繊機
2 繊維分級装置(フラクショネーター)
3 リファイナー
図1
図2