(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008730
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20250109BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111153
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】林 貴広
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA02
5E338AA18
5E338CC09
5E338EE28
5E338EE60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】裏面に導電パターンが形成されていない領域に発生する配線基板の反りを抑制する。
【解決手段】配線基板1は、一対の面を有し、互いに対向する辺を2組有する平板上の本体部2と、本体部2の一方の面から突出している金属製の導電パターン3と、一方の面から突出し、絶縁材で覆われているダミーパターン4と、を備え、ダミーパターン4は、少なくとも、一方の面の外周部を、2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する4つの外周領域AR1~AR4に分割した場合に、4つの外周領域AR1~AR4のうち、導電パターン3が形成されていない領域に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板であって、
一対の面を有する平板状の本体部であって、互いに対向する辺を2組有する本体部と、
前記本体部の一方の面から突出している金属製の導電パターンと、
前記一方の面から突出し、絶縁材で覆われているダミーパターンと、
を備え、
前記ダミーパターンは、少なくとも、
前記一方の面の外周部を、前記2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する4つの外周領域に分割した場合に、前記4つの外周領域のうち、前記導電パターンが形成されていない領域に形成されていることを特徴とする、配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記ダミーパターンは、さらに、前記4つの外周領域のうち、互いに対向する2つの前記外周領域において、一方の前記外周領域に形成された前記導電パターンと前記ダミーパターンとからなるパターン群の配置が、他方の前記外周領域に形成された前記パターン群の配置と対称となるように前記外周領域に形成されていることを特徴とする、配線基板。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板であって、
前記一方の外周領域に形成された前記パターン群に含まれる前記ダミーパターンの形状は、前記他方の外周領域に形成された前記パターン群の対応する位置に配置されている前記導電パターンの形状と同じであることを特徴とする、配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップが搭載される配線基板が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された配線基板は、2つの配線基板形成領域の間に、ダミーパターン形成領域を有している。ダミーパターン形成領域は、焼成時におけるダミーパターン形成領域の反りの傾向が配線基板形成領域の反りの傾向の反対になるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線基板では、半導体チップが搭載される表面の逆側の裏面に導電パターンが形成される。この導電パターンは、配線基板の平板状の基板本体から突出している。そのため、導電パターンが形成された領域における基板本体と導電パターンとを足した配線基板の厚さと、導電パターンが形成されていない領域における基板本体のみの配線基板の厚さとが異なる。この厚さの差によって、配線基板の焼成時に、導電パターンが形成されていない領域の基板本体に反りが発生するおそれがある。特許文献1に記載された配線基板では、導電パターンが形成されている領域と形成されていない領域とで配線基板の厚さが異なるため、基板本体に反りが発生するおそれがある。また、特許文献1に記載された配線基板では、配線基板として使用されないダミーパターン形成領域の表面が露出している領域に、NiAuメッキ等の再表面処理が実施されるため、無駄なコストが発生する。
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、導電パターンが形成されていない領域に発生する配線基板の反りを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、配線基板が提供される。この配線基板は、一対の面を有する平板状の本体部であって、互いに対向する辺を2組有する本体部と、前記本体部の一方の面から突出している金属製の導電パターンと、前記一方の面から突出し、絶縁材で覆われているダミーパターンと、を備え、前記ダミーパターンは、少なくとも、前記一方の面の外周部を、前記2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する4つの外周領域に分割した場合に、前記4つの外周領域のうち、前記導電パターンが形成されていない領域に形成されている。
【0008】
この構成によれば、導電パターンが形成されていない外周領域にダミーパターンが形成される。ダミーパターンが形成された領域では、ダミーパターンが形成されていない場合と比較して、配線基板の厚さが、本体部の厚さと、ダミーパターンの厚さとの和になる。そのため、ダミーパターンが形成された領域の配線基板の厚さは、導電パターンが形成された領域の配線基板の厚さに近づく。この結果、本体部に反りが発生しやすい外周領域において、ダミーパターンによって配線基板の厚さの差が小さくなるため、焼成時に本体部の外周領域に発生する反りが抑制される。さらに、本構成のダミーパターンが絶縁材で覆われており、メッキ等の表面処理がダミーパターンに掛からないため、メッキ等のコストの発生や資源の消費を抑制できる。
【0009】
(2)上記形態の配線基板において、前記ダミーパターンは、さらに、前記4つの外周領域のうち、互いに対向する2つの前記外周領域において、一方の前記外周領域に形成された前記導電パターンと前記ダミーパターンとからなるパターン群の配置が、他方の前記外周領域に形成された前記パターン群の配置と対称となるように前記外周領域に形成されていてもよい。
この構成によれば、対向する2つの外周領域では、導電パターンとダミーパターンとからなるパターン群の配置が、対称になるように形成されている。これにより、パターン群の配置が対称ではない場合と比較して、対向する2つの外周領域における配線基板の厚さのバラツキが小さくなるため、焼成時に本体部の外周領域に発生する反りがさらに抑制される。
【0010】
(3)上記形態の配線基板において、前記一方の外周領域に形成された前記パターン群に含まれる前記ダミーパターンの形状は、前記他方の外周領域に形成された前記パターン群の対応する位置に配置されている前記導電パターンの形状と同じであってもよい。
この構成によれば、対向する2つの外周領域に形成されるダミーパターンの形状が、他方の外周領域の対応する位置に形成された導電パターンの形状と同じである。これにより、ダミーパターンの形状が導電パターンの形状と異なる場合と比較し、対向する2つの外周領域における配線基板の厚さのバラツキがさらに小さくなるため、焼成時に本体部の外周領域に発生する反りがさらに抑制される。
【0011】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、配線基板、多層基板、半導体パッケージ、半導体装置、およびこれらを備えるシステム等、配線基板の製造方法およびこれらを備えるシステム等の形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態としての配線基板の概略上面図である。
【
図3】
図2における配線基板におけるA-A断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態としての配線基板1の概略上面図である。
図2は、配線基板1の概略下面図である。本実施形態の配線基板1は、
図1に示される表面に半導体チップが搭載される。また、
図2に示されるように、配線基板1の裏面には、BGA(ball grid array)パッドとしての複数の導電パターン3が形成されている。本実施形態の配線基板1の裏面には、導電パターン3に加えて、表面がアルミナで覆われている複数のダミーパターン4が形成されることにより、焼成時の配線基板1の本体部2に発生する反りが抑制される。
【0014】
本実施形態の配線基板1は、
図1,2に示されるように、平板状の本体部2と、本体部2の表面に形成されたリング金具5と、本体部2の裏面に形成された複数の導電パターン3およびダミーパターン4と、を備えている。本体部2は、セラミック材料で形成され、平板状の形状を有している。本体部2は、
図1に示される表面と、
図2に示される裏面との長方形状の一対の面を有している。
図1,2に示される直交座標系CSは、本体部2における直交する長方形の各辺に平行なX軸およびY軸と、本体部2の厚さ方向に平行なZ軸とで構成されている。なお、
図3~5に示される直交座標系CSは、
図1,2に示される直交座標系CSと対応している。
【0015】
リング金具5は、本体部2の表面からZ軸正方向側に突出するように形成されている。リング金具5は、本体部2の外周に沿って所定の幅を有している。リング金具5は、金属製である。
【0016】
図2に示される複数の導電パターン3は、本体部2の裏面から突出している。導電パターン3のそれぞれは、同じ形状を有し、金属製である。導電パターン3は、
図2において、内部にハッチングが施されていない円として示されている。すなわち、導電パターン3は、本体部2から所定の厚さで突出している円柱形状を有している。本実施形態では、互いに離間した計19個の導電パターン3が本体部2の裏面に形成されている。
【0017】
図2に示される複数のダミーパターン4は、導電パターン3と同じように、本体部2の裏面から突出している。本実施形態のダミーパターン4のそれぞれは、導電パターン3と同じ形状を有している。ダミーパターン4は、
図2において、内部にハッチングが施されている円として示されている。本実施形態では、互いに離間した計13個のダミーパターン4が本体部2の裏面に形成されている。
【0018】
図2に示されるように、本体部2の所定の幅の外周領域が長方形の4辺に対応する4つの外周領域AR1~AR4として分割された場合に、外周領域AR1~AR4のそれぞれには、導電パターン3とダミーパターン4との少なくとも一方が形成されている。ここで、本体部2は、長方形状の一対の面を有しているため、X軸およびY軸に沿って互いに対向する辺を2組有している。そのため、4つの外周領域AR1~AR4は、本体部2の外周領域を、2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応させた領域とも換言できる。本実施形態の本体部2における外周領域AR1~AR4は、中央の50%を除く外側の50%の領域である。外周領域AR1~AR4は、破線で示される直線Lx1,Ly1,Lx2,Ly2で形成される長方形の外側の領域である。直線Lx1,Lx2は、Y軸正方向側とY軸負方向側に位置して対向する2辺の距離を4分割した場合に、対向する2辺のうちの一方からの距離が25%と75%とに位置する直線である。同じように、直線Ly1,Ly2は、X軸正方向側とX軸負方向側に位置して対向する2辺の距離を4分割した場合に、対向する2辺のうちの一方からの距離が25%と75%とに位置する直線である。
【0019】
外周領域AR1~AR4は、破線で示される直線L1~L4により、それぞれの外周領域に分割されている。直線L1は、直線Lx1と直線Ly1との交点と、本体部2においてX軸正方向側かつY軸正方向側に位置する頂点P1とを接続した直線である。直線L1は、本体部2において、Y軸正方向側に位置する外周領域AR1と、X軸正方向側に位置する外周領域AR2とを分割する。同じように、直線L2は、直線Ly1と直線Lx2との交点と、本体部2においてY軸正方向側かつX軸負方向側に位置する頂点P2とを接続する。直線L2は、X軸正方向側に位置する外周領域AR2と、Y軸負方向側に位置する外周領域AR3とを分割する。直線L3は、直線Lx2と直線Ly2との交点と、本体部2においてY軸負方向側かつX軸負方向側に位置する頂点P3とを接続する。直線L3は、Y軸負方向側に位置する外周領域AR3と、X軸負方向側に位置する外周領域AR4とを分割する。直線L4は、直線Ly2と直線Lx1との交点と、本体部2においてX軸負方向側かつY軸正方向側に位置する頂点P4とを接続する。直線L4は、X軸負方向側に位置する外周領域AR4と、Y軸正方向側に位置する外周領域AR1とを分割する。
【0020】
本実施形態では、4つの外周領域AR1~AR4のそれぞれに形成された導電パターン3とダミーパターン4とからなる4つのパターン群Gr1~Gr4が定義されている。
図2では、パターン群Gr1~Gr4のそれぞれは、一点鎖線により囲まれて示されている。なお、本実施形態では、
図2に示されるように、本体部2の厚さ方向からみたときに、直線L1~L4のそれぞれに重なり、2つの外周領域に含まれている導電パターン3またはダミーパターン4は、含まれている2つの外周領域に形成されていると定義されている。例えば、外周領域AR4に形成されたパターン群Gr4には、Y軸負方向側から順番に、1個のダミーパターン4と、8個の導電パターン3とがY軸に沿って互いに離間して配置されている。また、外周領域AR3に形成されたパターン群Gr3には、9個のダミーパターン4がX軸に沿って互いに離間して配置されている。換言すると、導電パターン3が形成されていない外周領域AR3に、9個のダミーパターン4が形成されている。
【0021】
本実施形態では、4つの外周領域AR1~AR4のうち、互いに対向する2つの外周領域AR1,AR3または外周領域AR2,AR4において、一方の外周領域AR1,AR2に形成されたパターン群Gr1,Gr2の配置が、他方の外周領域AR3,AR4に形成されたパターン群Gr3,Gr4の配置と対称になるように形成されている。具体的には、外周領域AR1に形成されたパターン群Gr1に含まれる導電パターン3およびダミーパターン4の計9個の配置は、本体部2において線対称の位置である外周領域AR3に形成されたパターン群Gr3に含まれる計9個のダミーパターン4の配置と同じである。同じように、外周領域AR2に形成されたパターン群Gr2に含まれる導電パターン3およびダミーパターン4の配置は、線対称の位置である外周領域AR4に形成されたパターン群Gr4に含まれる導電パターン3およびダミーパターン4の配置と同じである。
【0022】
本実施形態では、さらに、ダミーパターン4の形状は、導電パターン3の形状と同じである。そのため、外周領域AR1に形成されたパターン群Gr1の線対称の位置に形成された外周領域AR3のパターン群Gr3に含まれるダミーパターン4の形状は、パターン群Gr1の線対称の対応する位置に配置された導電パターン3およびダミーパターン4の形状と同じである。同じように、外周領域AR2に形成されたパターン群Gr2の線対称の位置に形成された外周領域AR4のパターン群Gr4に含まれるダミーパターン4の形状は、パターン群Gr2の線対称の対応する位置に配置された導電パターン3およびダミーパターン4の形状と同じである。
【0023】
図3は、
図2における配線基板1におけるA-A断面の概略図である。
図3には、焼成後の配線基板1が示されている。
図3に示されるように、ダミーパターン4は、導電パターン3と同じ材質で形成された円柱状のダミー本体4Aと、ダミー本体4Aの表面を覆っている被覆部4Bとを備えている。被覆部4Bは、絶縁材であるアルミナで形成されている。
図3に示されるように、配線基板1の本体部2には反りが発生していない。
【0024】
製造工程において、ダミー本体4Aは、導電パターン3と同時に本体部2に形成される。ダミー本体4Aは、本体部2に形成された後に、アルミナで被覆される。そのため、本体部2にパターンを形成する治具(例えば、スクリーンマスク等)を変更することで、容易にダミーパターン4が本体部2に形成される。
【0025】
図4は、比較例の配線基板1zの概略断面図である。
図4に示される比較例の配線基板1zでは、本実施形態の配線基板1に対して、ダミーパターン4が形成されていない点が異なる。
図4に示される断面図は、比較例の配線基板1zにおいて、
図2に示されるA-A断面に対応している。
図4に示されるように、比較例では、導電パターン3が形成された領域の配線基板1zの厚さは、導電パターン3の厚さと本体部2zの厚さとを合わせた厚さである。一方で、導電パターン3が形成されていない外周領域の配線基板1zの厚さは、本体部2zのみの厚さである。すなわち、比較例の配線基板1zでは、導電パターン3が形成された領域と、導電パターン3が形成されていない外周領域とで、配線基板1zの厚さが異なる。この結果、比較例の本体部2zには、配線基板1zとしての厚さの差に起因した反りが発生している。
【0026】
以上のように、本実施形態の配線基板1は、
図1,2に示されるように、平板状の本体部2と、本体部2の裏面に形成された複数の導電パターン3およびダミーパターン4と、を備えている。
図2に示されるように、本体部2の外周領域が2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する4つの外周領域AR1~AR4として分割された場合に、外周領域AR1~AR4のそれぞれには、導電パターン3とダミーパターン4との少なくとも一方が形成されている。例えば、導電パターン3が形成されていない外周領域AR3に、9個のダミーパターン4が形成されている。ダミーパターン4は、絶縁材で表面が被覆されている。本実施形態では、ダミーパターン4が形成された外周領域AR3では、ダミーパターン4が形成されていない場合と比較して、配線基板1の厚さが、本体部2の厚さと、ダミーパターン4の厚さとの和になる。そのため、ダミーパターン4が形成された領域の配線基板1の厚さは、導電パターン3が形成された外周領域AR1,AR2,AR4の配線基板1の厚さに近づく。この結果、本体部2に反りが発生しやすい外周領域AR3において、ダミーパターン4によって配線基板1の厚さの差が小さくなるため、焼成時に本体部2の外周領域AR3に発生する反りが抑制される。配線基板1の反りが抑制されることにより、シーリング部におけるリッド等の封止性が向上する。また、反りが抑制されることにより、ダイアタッチ部におけるダイの搭載性が向上する。さらに、本実施形態のダミーパターン4が絶縁材で被覆されて、導電性のダミー本体4Aが表面に露出していない。この結果、NiAuメッキ等の表面処理がダミー本体4Aに掛からないため、メッキ材に応じたコストの発生や資源の消費を抑制できる。
【0027】
また、本実施形態では、4つの外周領域AR1~AR4のうち、互いに対向する2つの外周領域AR1,AR3または外周領域AR2,AR4において、一方の外周領域AR1,AR2に形成されたパターン群Gr1,Gr2の配置が、他方の外周領域AR3,AR4に形成されたパターン群Gr3,Gr4の配置と対称になるように形成されている。対向するパターン群Gr1~Gr4の配置が対称になるように形成されることにより、パターン群Gr1~Gr4の配置が対称ではない場合と比較して、対向する2つの外周領域AR1~AR4における配線基板1の厚さのバラツキが小さくなる。この結果、焼成時に本体部2の外周領域AR1~AR4に発生する反りがさらに抑制される。
【0028】
また、本実施形態では、外周領域AR1に形成されたパターン群Gr1の線対称の位置に形成された外周領域AR3のパターン群Gr3に含まれるダミーパターン4の形状は、パターン群Gr1の線対称の対応する位置に配置された導電パターン3またはダミーパターン4の形状と同じである。同じように、外周領域AR2に形成されたパターン群Gr2の線対称の位置に形成された外周領域AR4のパターン群Gr4に含まれるダミーパターン4の形状は、パターン群Gr2の線対称の対応する位置に配置された導電パターン3の形状と同じである。そのため、本実施形態では、ダミーパターン4の形状が導電パターン3の形状と異なる場合と比較して、対向する2つの外周領域AR1,AR3または外周領域AR2,AR4における配線基板1の厚さのバラツキがさらに小さくなる。この結果、焼成時に本体部2の外周領域AR1~AR4に発生する反りがさらに抑制される。
【0029】
<実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0030】
<変形例1>
上記実施形態の配線基板1は、一例であって、外周領域AR1~AR4の少なくとも1つに絶縁材で覆われたダミーパターン4が本体部2に形成される範囲で変形可能である。例えば、ダミーパターン4は、4つの外周領域AR1~AR4のうち、導電パターン3が全く形成されていない外周領域AR3のみに形成されていてもよい。また、互いに対向する2つの外周領域AR1~AR4において、一方の外周領域AR1~AR4に形成されたパターン群Gr1~Gr4の配置は、他方の外周領域AR1~AR4に形成されたパターン群Gr1~Gr4の配置と非対称に形成されていてもよい。
【0031】
他の実施形態では、ダミーパターン4の形状は、導電パターン3の形状と異なっていてもよい。例えば、ダミーパターン4は、本体部2の裏面から突出した矩形状の断面を有していてもよい。本体部2の裏面からダミーパターン4の突出量は、導電パターン3の突出量と異なっていてもよい。例えば、
図2に示されるパターン群Gr1に含まれる5個の導電パターン3の形状がそれぞれ異なる場合に、パターン群Gr1に対向するパターン群Gr3に含まれるダミーパターン4の形状は、パターン群Gr1の対応する位置に配置されている5個の導電パターンのそれぞれの形状と同じであることが好ましい。
【0032】
ダミーパターン4は絶縁材で覆われていればよく、ダミーパターン4のダミー本体4Aの材質は、導電パターン3の材質と異なっていてもよい。ダミーパターン4の表面を覆う絶縁材は、アルミナ以外の周知の材料を適用できる。上記実施形態の配線基板1が備える導電パターン3は一例であって、ダミーパターン4の配置や形状は、導電パターン3の形状や配置に応じて決定されてもよい。上記実施形態では、便宜上、導電パターン3が形成されている本体部2の面を裏面として定義したが、裏面および表面の定義については変形可能である。
【0033】
4つの外周領域AR1~AR4の寸法や形状については変形可能である。上記実施形態では、本体部2における中央の50%を除く外側50%が外周領域AR1~AR4として定義されたが、外周領域の割合は、50%より多くてもよいし、50%未満であってもよい。また、外周領域の境界は、対向する2辺の距離を基準として定義される代わりに、本体部2に形成された導電パターン3の位置を基準として定義されてもよい。例えば、外周領域は、本体部2の重心に最も近くに形成された1つの導電パターン3の位置を基準として定義されてもよい。この場合に、厚さ方向に直交する面方向において、重心を中心として、基準となる導電パターン3と重心との距離を半径とする円の外側が、4つに分割される前の外周領域として定義されてもよい。
【0034】
本体部2における裏面の外周部を、2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する外周領域として、4つに分割する方法についても変形可能である。例えば、
図2に示される配線基板1において、直線Lx1,Ly1,Lx2,Ly2のそれぞれを本体部2の各辺まで延長し、延長された直線Lx1,Ly1,Lx2,Ly2により外周領域が8つの領域に分割される。8つの領域のうち、頂点P1~P4のそれぞれが含まれる4つの4隅の領域を除いた他の4つの領域のうち、4辺のそれぞれに最も近い領域が、2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する4つの外周領域として定義されてもよい。また、上記実施形態では、厚さ方向からみたときに、4つの外周領域AR1~AR4を分割する直線L1~L4に重複している導電パターン3およびダミーパターン4は、直線L1~L4で分割される外周領域AR1~AR4のうちの2つの領域の両方に含まれると定義された。しかし、他の実施形態では、直線L1~L4に重複している導電パターン3またはダミーパターン4は、分割された両方の外周領域に含まれなくてもよいし、両方の外周領域のうちの一方に含まれてもよい。
【0035】
<変形例2>
図5は、変形例の配線基板1aの概略下面図である。
図5に示される変形例の配線基板1aは、
図1,2に示される配線基板1が備える本体部2とは異なる形状の本体部2aを備えている。本体部2aの形状では、上記実施形態の本体部2と比較し、一対の面が長方形状に対して面取りC1~C4及び開口AP1,AP2が形成されている。
【0036】
面取りC1~C4は、
図2に示される本体部2の頂点P1~P4のそれぞれに形成されている。面取りC1と面取りC2とを接続する直線LN1と、面取りC3と面取りC4とを接続する直線LN2とは、Y軸に平行な互いに対向する1組の辺である。面取りC1と面取りC4とを接続する折れ線BL1は、本体部2aのY軸正方向側の外周の一部を形成している。折れ線BL1は、面取りC1と面取りC2とを結ぶ直線と、開口AP1を形成する外周線とから構成されている。同じように、面取りC2と面取りC3とを接続する折れ線BL2は、本体部2aのY軸負方向側の外周の一部を形成している。折れ線BL2は、面取りC2と面取りC3とを結ぶ直線と、開口AP2を形成する外周線とから構成されている。折れ線BL1と折れ線BL2とは、本体部2の重心Gを通るZX平面に対して面対称の折れ線であり、互いに対向する1組の辺である。そのため、本体部2aの外周領域は、直線LN1,LN2と、折れ線BL1,BL2との2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する4つの外周領域AR1a~AR4aに分割した場合に、外周領域AR1a~AR4aのそれぞれには、導電パターン3とダミーパターン4との少なくとも一方が形成されている。このように、本体部2aが有する互いに対向する2組の辺については変形可能である。
【0037】
互いに対向する2組の辺として、上記実施形態では長方形を構成する4辺が例に挙げられ、
図5に示される変形例では直線LN1,LN2および折れ線BL1,BL2が例に挙げられたが、対向する辺は、必ずしも面対称、点対称、および線対称の形状でなくてもよい。例えば、
図5に示せるY軸に平行な直線LN1に対向する辺として、直線LN2がY軸に対して10度傾いた直線であってもよい。また、直線LN1に対向する辺として、直線LN2の一部に、折れ線BL1,BL2に形成された開口AP1,AP2のような開口が形成されていてもよいし、曲線であってもよい。本明細書では、例えば、直線LN1に対向する辺として、
図5における直線LN1とLN2との距離をL12とした場合に、直線LN2を中心としてX軸に沿って(-0.2×L12)以上(0.2×L12)以下の幅の範囲に含まれる曲線や折れ線を含んでいる。そのため、この幅の範囲を満たせば、折れ線BL1に対向する辺として、折れ線BL2に対して開口AP2が形成されていない直線であってもよいし、折れ線BL2に対して半円形状の開口がさらに形成されていてもよい。
【0038】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0039】
本発明は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
配線基板であって、
一対の面を有する平板状の本体部であって、互いに対向する辺を2組有する本体部と、
前記本体部の一方の面から突出している金属製の導電パターンと、
前記一方の面から突出し、絶縁材で覆われているダミーパターンと、
を備え、
前記ダミーパターンは、少なくとも、
前記一方の面の外周部を、前記2組の互いに対向する辺のそれぞれに対応する4つの外周領域に分割した場合に、前記4つの外周領域のうち、前記導電パターンが形成されていない領域に形成されていることを特徴とする、配線基板。
[適用例2]
適用例1に記載の配線基板であって、
前記ダミーパターンは、さらに、前記4つの外周領域のうち、互いに対向する2つの前記外周領域において、一方の前記外周領域に形成された前記導電パターンと前記ダミーパターンとからなるパターン群の配置が、他方の前記外周領域に形成された前記パターン群の配置と対称となるように前記外周領域に形成されていることを特徴とする、配線基板。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の配線基板であって、
前記一方の外周領域に形成された前記パターン群に含まれる前記ダミーパターンの形状は、前記他方の外周領域に形成された前記パターン群の対応する位置に配置されている前記導電パターンの形状と同じであることを特徴とする、配線基板。
【符号の説明】
【0040】
1,1a,1z…配線基板
2,2a,2z…本体部
3…導電パターン
4…ダミーパターン
4A…ダミー本体
4B…被覆部
5…リング金具
AP1,AP2…開口
AR1~AR4,AR1a~AR4a…外周領域
BL1,BL2…折れ線
C1~C4…面取り
CS…直交座標系
G…重心
Gr1~Gr4…パターン群
L1~L4,LN1,LN2,Lx1,Lx2,Ly1,Ly2…直線
P1~P4…本体部の頂点