(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008733
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】洗濯支援システムおよび洗濯支援プログラム
(51)【国際特許分類】
D06F 34/14 20200101AFI20250109BHJP
D06F 34/28 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/32 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/36 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/34 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/38 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/52 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/54 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/56 20200101ALI20250109BHJP
D06F 33/58 20200101ALI20250109BHJP
D06F 34/04 20200101ALI20250109BHJP
D06F 34/05 20200101ALI20250109BHJP
D06F 34/08 20200101ALI20250109BHJP
D06F 34/18 20200101ALI20250109BHJP
D06F 34/22 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
D06F34/14
D06F34/28
D06F33/32
D06F33/36
D06F33/34
D06F33/38
D06F33/52
D06F33/54
D06F33/56
D06F33/58
D06F34/04
D06F34/05
D06F34/08
D06F34/18
D06F34/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111158
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】松井 友秀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 功記
(72)【発明者】
【氏名】徳永 益規
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AB43
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA47
3B167BA52
3B167BA74
3B167BA91
3B167BA92
3B167FB01
3B167HA11
3B167HA22
3B167HA51
3B167JA01
3B167JA11
3B167JC03
3B167JC04
3B167JC12
3B167JC16
3B167KA03
3B167KA14
3B167KB02
3B167KB16
3B167LA23
3B167LA36
3B167LA38
3B167LC02
3B167LC09
3B167LC25
3B167LD11
3B167LE02
3B167LE04
3B167LF06
3B167LF11
3B167MA02
3B167MA03
3B167MA12
3B167MA13
(57)【要約】
【課題】
洗濯機に関する洗浄対象の汚れをより精度よく、詳細に把握し、実態に即した洗濯を支援すること。
【解決手段】
洗濯対象である洗濯物を洗濯する洗濯機と当該洗濯機の利用者が利用する利用者端末を有し、洗浄対象の洗浄を支援する洗浄支援システムにおいて、洗濯対象を直接的に撮影する撮影部230と、撮影された洗浄対象の画像データと予め記憶された基本データを比較して、当該洗浄対象の有無を判定する汚れ判定部32と、洗浄対象に汚れが有る場合、洗浄対象の汚れの程度を特定し、当該汚れの程度に基づいて、洗浄の内容を示す洗浄コースを決定する洗浄コース決定部33と、決定された洗浄コースを出力する出力部を有する洗浄支援システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯対象である洗濯物を洗濯する洗濯機と当該洗濯機の利用者が利用する利用者端末を有する洗濯支援システムにおいて、
前記洗濯物を直接的に撮影する撮影部と、
撮影された前記洗濯物の画像データと予め記憶された基本データを比較して、当該洗濯物の汚れの有無を判定する汚れ判定部と、
判定された前記汚れに関する情報を出力する出力部を有する洗濯支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯支援システムにおいて、
さらに、前記洗濯物に汚れが有る場合、前記洗濯物の汚れの程度を特定し、当該汚れの程度に基づいて、洗濯の内容を示す洗濯コースを決定する洗濯コース決定部を有し、
前記出力部は、前記汚れに関する情報として、前記洗濯コースを出力する洗濯支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯支援システムにおいて、
さらに、
前記洗濯機への洗濯物の投入を検出する投入検出部と、
前記洗濯機の稼働を制御する制御部を有し、
前記撮影部は、前記投入を検出した場合に、前記洗濯物を撮影し、
前記制御部は、前記撮影部の撮影が終了するまで、前記撮影部での撮影に影響のある前記洗濯機の稼働を抑止する洗濯支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯支援システムにおいて、
前記制御部は、前記洗濯機の洗濯槽への水の注入および前記洗濯槽の回転を抑止する洗濯支援システム。
【請求項5】
請求項3に記載の洗濯支援システムにおいて、
前記洗濯コース決定部は、前記洗濯物において汚れが集中している部位を特定する洗濯支援システム。
【請求項6】
請求項3に記載の洗濯支援システムにおいて、
前記洗濯コース決定部は、予め記憶された閾値を用いて、前記洗濯コースを決定する洗濯支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の洗濯支援システムにおいて、
前記洗濯コース決定部は、洗濯条件に応じた複数の閾値を用いる洗濯支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の洗濯支援システムにおいて、
前記洗濯条件は、前記洗濯に利用する水の特性を示す洗濯支援システム。
【請求項9】
請求項2に記載の洗濯支援システムにおいて、
さらに、決定された前記洗濯コースに応じて、前記洗濯機の稼働を制御する制御部を有する洗濯支援システム。
【請求項10】
請求項1に記載の洗濯支援システムにおいて、
さらに、前記洗濯機の洗濯槽内の水質を検知する水質センサを有し、
前記汚れ判定部は、前記水質を用いて、前記洗濯槽の汚れを判定する洗濯支援システム。
【請求項11】
洗濯対象である洗濯物を洗濯する洗濯機と通信し、当該洗濯機の利用者が利用する利用者端末をコンピュータとして機能させるための洗濯支援プログラムにおいて、前記利用者端末を、
撮影部で直接的に撮影された前記洗濯物の画像データと予め記憶された基本データを比較して、当該洗濯物の汚れの有無を判定する汚れ判定部と、
判定された前記汚れに関する情報を出力する出力部として機能させる洗濯支援プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
さらに、前記利用者端末を、前記洗濯物に汚れが有る場合、前記洗濯物の汚れの程度を特定し、当該汚れの程度に基づいて、洗濯の内容を示す洗濯コースを決定する洗濯コース決定部として機能させ、
前記出力部は、前記汚れに関する情報として、前記洗濯コースを出力する洗濯支援プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
さらに、前記利用者端末を、
前記洗濯機への洗濯物の投入を検出する投入検出部と、
前記洗濯機の稼働を制御する制御部として機能させ、
前記撮影部は、前記投入を検出した場合に、前記洗濯物を撮影し、
前記制御部は、前記撮影部の撮影が終了するまで、前記撮影部での撮影に影響のある前記洗濯機の稼働を抑止する洗濯支援プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
前記制御部は、前記洗濯機の洗濯槽への水の注入および前記洗濯槽の回転を抑止する洗濯支援プログラム。
【請求項15】
請求項13に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
前記洗濯コース決定部は、前記洗濯物において汚れが集中している部位を特定する洗濯支援プログラム。
【請求項16】
請求項13に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
前記洗濯コース決定部は、予め記憶された閾値を用いて、前記洗濯コースを決定する洗濯支援プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
前記洗濯コース決定部は、洗濯条件に応じた複数の閾値を用いる洗濯支援プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
前記洗濯条件は、前記洗濯に利用する水の特性を示す洗濯支援プログラム。
【請求項19】
請求項12に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
さらに、決定された前記洗濯コースに応じて、前記洗濯機の稼働を制御する制御部を有する洗濯支援プログラム。
【請求項20】
請求項11に記載の洗濯支援プログラムにおいて、
前記洗濯機が洗濯槽内の水質を検知する水質センサを有し、
前記汚れ判定部は、前記水質を用いて、前記洗濯槽の汚れを判定する洗濯支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類や洗濯槽を含む洗濯機における洗浄対象の汚れを判定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機に対しては、洗濯対象である衣類等の洗濯物や洗濯槽を始めとする洗濯機本体といった洗浄対象についての汚れを把握することが求められている。例えば、洗濯物の汚れを正確に把握できない場合、実際の汚れからかけ離れた洗濯を実行することになってしまう。また、洗濯機本体の汚れを把握できないと、洗濯物に汚れが付着したり、洗濯機の性能を十分に発揮できなかったりする。
【0003】
特許文献1には、洗濯槽内を撮影する撮像装置を設け、撮影された画像に対する画像処理の結果を用いて特定される運転内容で制御される洗濯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1では、洗濯機の「内槽2内の水の色や透過度によって、洗濯物の汚れ度合を判定」している(0018段落)。つまり、洗濯物である衣類の汚れを間接的に判定している。また、洗濯機の洗濯槽については、その外側の汚れを判定できない。このため、特許文献1では、濯機に関する洗浄対象の汚れを精度よく判定できない恐れがある。例えば、洗濯物の汚れが少ない場合でも、洗濯槽が汚れていれば、洗濯槽内の水が汚れることがある。この場合、無駄に洗いの強くしたり、洗濯時間が延びたりしてしまう。また、洗濯槽の内側と外側では汚れ具合が異なることがある。この場合、外側の方が汚れていると、内側の判定結果を用いるため、外側の汚れに充分に対応できない、こととなる。
【0006】
そこで、本発明では、洗濯機に関する洗浄対象の汚れをより精度よく、詳細に把握し、実態に即した洗濯を支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では、洗濯対象となる洗浄対象の汚れを直接的に計測ないし撮影し、この結果を用いて汚れを判定する。より具体的には、洗濯対象である洗濯物を洗濯する洗濯機と当該洗濯機の利用者が利用する利用者端末を有する洗濯支援システムにおいて、前記洗濯物を直接的に撮影する撮影部と、撮影された前記洗濯物の画像データと予め記憶された基本データを比較して、当該洗濯物の汚れの有無を判定する汚れ判定部と、判定された前記汚れに関する情報を出力する出力部を有する洗濯支援システムである。
【0008】
また、本発明には、洗濯支援システムによる洗濯支援方法やこれを構成する各装置やサブコンビネーションも含まれる。さらに、これらによる洗濯支援方法やこれら各装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを格納した記憶媒体も、本発明に含まれる。またさらに、洗濯槽の洗浄支援を行う技術も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗濯機に関する洗浄対象の汚れをより精度よく、詳細に把握し、実態に即した洗濯を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態における洗浄支援システムのシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態における利用者端末1の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における洗濯機2の情報処理機能に関する機能ブロック図である。
【
図4】実施例1における利用者端末1の機能ブロック図である。
【
図5】実施例1における利用者端末1のハードウエア構成図である。
【
図6】実施例1で用いられる洗濯物情報180を示す図である。
【
図7】実施例1で用いられる洗濯機管理情報190を示す図である。
【
図8】実施例1における洗濯機2の情報処理機能に関する機能ブロック図である。
【
図9】実施例1における洗濯機2の断面を模式的に示す図である。
【
図10】実施例1における洗濯支援処理のフローを示すフローチャートである。
【
図11】実施例2における利用者端末1の機能ブロック図である。
【
図12】実施例2における利用者端末1のハードウエア構成図である。
【
図13】実施例2で用いられる洗濯機管理情報190-1を示す図である。
【
図14】実施例2における洗濯機2の情報処理機能に関する機能ブロック図である。
【
図15】実施例2における洗濯機2の断面を模式的に示す図である。
【
図16】実施例2における槽洗浄支援処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯機に関する洗浄対象の汚れを判定する。洗浄対象には、衣類などの洗濯対象や洗濯槽(特にその外側)が含まれる。このように、本実施形態では、洗濯物に対する洗濯や洗濯槽の槽洗浄を含む洗濯機に関する洗浄を支援する。
【0012】
図1は、本実施形態における洗浄支援システムのシステム構成図である。本実施形態の洗浄支援システムは、利用者端末1、洗濯機2、洗浄支援装置3および消耗品販売装置6を有し、これらは、ルータ4やネットワーク5を介して互いに接続される。但し、洗浄支援装置3は、必須の構成ではなく、洗浄支援システムは、少なくとも利用者端末1および洗濯機2で構成可能である。そこで、以下では、利用者端末1および洗濯機2で構成される洗浄支援システム(
図1中の破線部)について説明し、その後に、洗浄支援装置3を含む構成を説明する。また、消耗品販売装置6は、洗剤、槽洗浄剤、ネットなど、洗濯機2に関する消耗品を販売するための装置であり、その内容は後述の実施例2で説明する。このため、ここでの説明は省略する。
【0013】
まず、利用者端末1は、洗濯機に関する洗浄を希望する利用者により用いられ、洗濯機2を管理、操作する機能を有する。ここで、
図2は、本実施形態における利用者端末1の機能ブロック図である。
図1において、利用者端末1は、通信部11、汚れ判定部12、洗浄コース決定部13、制御指令部14、入力部15、出力部16、記憶部17および撮影部18を有する。通信部11は、ルータ4やネットワーク5を介した通信や近距離無線通信機能を有する。この結果、利用者端末1は、洗濯機2と通信できる。
【0014】
また、汚れ判定部12は、後述の撮影部18もしくは洗濯機2の撮影部230で撮影された洗浄対象の画像を用いて、洗浄対象の汚れの程度を判定する。汚れ判定部12は、汚れの程度を判定するために、予め記憶した情報を用いる。例えば、汚れ判定部12は、洗浄対象で汚れがないと判定できる状態を示す基本情報と、洗浄対象の画像を比較する。そして、これらの差分が、閾値以上である場合に、汚れがあると判定する。
【0015】
また、より望ましくは、汚れ判定部12は、洗浄対象を特定し、この洗浄対象に応じた閾値を特定し、これを用いて汚れの有無を判定する。この汚れの有無とは、通常の洗浄以上の特別な洗浄が必要かの可能性を示すものである。この際、洗浄対象情報が用いられる。なお、洗浄対象には、衣類などの洗濯対象や洗濯槽(特にその外側)が含まれる。このため、撮影部18や洗濯機2の撮影部230は、これらを直接的に撮影可能な位置に設置ないし移動可能である。
【0016】
また、洗浄コース決定部13は、判定された汚れの有無などに応じて、洗浄の内容を示す洗浄コースを決定する。この際、洗浄コース決定部13は、閾値未満と以上で、洗浄の内容を変更することになるが、閾値未満の場合、洗浄は不要と決定してもよい。ここで、汚れが有る場合、利用する水など洗浄条件により洗浄の内容を変えた方がより実態に即した洗浄が可能となる。このため、洗浄コース決定部13は、洗浄条件も加味して洗浄コースを特定することがより望ましい。なお、この洗浄には、洗濯物の洗濯や洗濯機2の洗濯槽の洗浄が含まれる。
【0017】
また、制御指令部14は、洗浄コース決定部13で決定された洗浄コースに応じた制御指令を作成する。この制御指令は、通信部11を介して、洗濯機2に通知され、洗濯機2では決定された洗浄コースに従った洗浄を実行する。なお、制御指令部14は、利用者からの操作に応じて、制御指令を作成する機能をさらに有することが望ましい。
【0018】
また、入力部15は、利用者から各種操作を受け付ける。また、出力部16は、汚れの程度や決定された洗浄コースなどの各種情報を出力する。なお、入力部15および出力部16は一体で構成できる。また、記憶部17は、上述の各部での処理に用いられる情報を記憶する。本実施形態では、基本情報、洗浄対象情報および洗濯機管理情報を記憶する。
【0019】
ここで、基本情報は、汚れ判定部12での判定に用いられる情報の一例であり、洗浄対象で汚れがないと判定できる状態を示す。洗浄対象情報は、衣類や洗濯槽といった洗浄対象に関する情報であり、洗浄対象の汚れを判定するために用いられる。さらに、洗濯機管理情報は、洗濯機の種類(型式)、個体、利用者などを管理するための情報である。このため、洗濯機管理情報は、洗浄対象情報として管理してもよい。またさらに、撮影部18は、洗浄対象を直接的に撮影可能である。なお、撮影部18は、カメラの他、汚れを検知できるようなセンサで実現してもよい。
【0020】
次に、洗濯機2の構成について説明する。
図3は、本実施形態における洗濯機2の情報処理機能に関する機能ブロック図である。
図3に示すように、洗濯機2は、制御部210、通信部220、撮影部230、表示操作部240および稼働部250を有する。そして、これらは通信路を介して互いに接続されている。以下、各構成について説明する。
【0021】
まず、制御部210は、洗浄、洗濯等の当該洗濯機2の機能を実現するための制御信号を作成、出力し、洗濯機2の稼働を制御する。このために、制御部210は、汚れ判定部211、洗浄コース決定部212および制御信号作成部213を有する。汚れ判定部211および洗浄コース決定部212は、それぞれ汚れ判定部12および洗浄コース決定部13と同様の機能を有する。また、制御信号作成部213は、洗浄コース決定部212で決定された洗浄コースないし制御指令部14で作成される制御指令に従って、該当する洗浄コースを実行するための制御信号を作成する。なお、制御部210は、MPU(Micro-Processing Unit)で実現可能であり、汚れ判定部211、洗浄コース決定部212や制御信号作成部213の各部は専用ハードウエアやプログラムといったソフトウエアで実現できる。
【0022】
また、通信部220は、ルータ4やネットワーク5を介した通信や近距離無線通信機能を有する。そして、通信部220は、利用者端末1に撮影部230で撮影された画像データ(やこれを変換したデータ)を通知したり、利用者端末1から制御指令を受け付けたりする。また、撮影部230は、洗浄対象を直接的に撮影可能な位置に設置ないし移動可能である。このために、撮影部230は、投入された衣類等および洗濯槽の外側の少なくとも一方を撮影することになる。例えば、撮影部230は、投入された衣類等用の撮影部と、洗濯槽の外側用の撮影部の両方で構成できる。なお、撮影部230は、カメラの他、各種センサでも実現できる。
【0023】
また、表示操作部240は、利用者から洗濯機2に対する操作を受け付けたり、実行する洗浄コースや汚れの判定結果などを出力したりする。稼働部250は、洗浄コースに応じて稼働する。例えば、稼働部250は、制御部210からの制御信号に従って、洗浄コースを実行するといった各種洗濯、洗浄機能を実行する。
【0024】
ここで、利用者端末1と洗濯機2では、汚れ判定部12、洗浄コース決定部13および撮影部18と、汚れ判定部211、洗浄コース決定部212および撮影部230で同様の機能が重複している。このため、これらについては、利用者端末1と洗濯機2のうち少なくとも一方が有していればよい。つまり、洗浄支援システム全体において、これらの機能を有していればよい。
すなわち、利用者端末1と洗濯機2を有する本実施形態の洗浄支援システムは、洗濯機2に関する洗浄対象を、直接的に撮影する撮影部と、撮影された洗浄対象の汚れの有無を判定する汚れ判定部とを有する。そして、より望ましくは判定された汚れに応じて、洗浄の内容を示す洗浄コースを決定する洗浄コース決定部や決定された洗浄コースに応じて稼働する稼働部を有する。また、基本情報、洗浄対象情報および洗濯機管理情報は、洗濯機2が記憶してもよい。
【0025】
次に、洗浄支援装置3を用いた洗浄支援システムの例について説明する。
図1に示すように、洗浄支援装置3は、ネットワーク5と接続し、洗濯機2のメーカなどで運用されるサーバで実現される。そして、洗浄支援装置3は、通信部31、汚れ判定部32、洗浄コース決定部33、制御指令部34および記憶部35を有する。通信部31は、ネットワーク5やルータ4を介して、利用者端末1および洗濯機2の少なくとも一方と通信する。そして、通信部31は、利用者端末1もしくは洗濯機2から撮影された洗浄対象の画像を受け付ける。なお、利用者端末1から画像を受け付ける場合、利用者端末1で撮影された画像でもよいし、洗濯機2で撮影され利用者端末1を経由した画像でもよい。このことは、洗濯機2から画像を受け付ける場合も同様である。
【0026】
また、汚れ判定部32、洗浄コース決定部33、制御指令部34は、それぞれ汚れ判定部12、洗浄コース決定部13、制御指令部14と同様の機能を有する。このため、これらについては、当該洗浄支援装置3、利用者端末1、洗濯機2のうち少なくとも1つが有していればよい。このため、本実施形態での処理は、利用者端末1、洗濯機2および洗浄支援装置3が連携して実行してもよいし、そのうち2つの装置が連携して実行してもよいし、さらに、いずれか1つの装置で実行してもよい。
【0027】
また、記憶部35は、基本情報、洗浄対象情報および洗濯機管理情報を記憶する。なお、これら情報は、利用者端末1や洗濯機2が記憶している場合、これを省略してもよい。さらに、記憶部35では、洗濯機管理情報として、複数の洗濯機や利用者についての情報であることが望ましい。
【0028】
以上で、本実施形態の説明を終わるが、本実施形態では、洗浄対象の汚れをより精度よく、詳細に把握し、実態に即した洗濯を支援することができる。以下、本実施形態の具体例である各実施例について説明する。
【実施例0029】
実施例1は、洗浄対象として、衣類等の洗濯物を扱う例を示す。実施例1の洗濯支援システムの構成は、実施形態と同様に、少なくとも利用者端末1および洗濯機2を有し、洗浄支援装置3を備えてもよい。そして、実施例1では、洗濯物の洗濯を支援するため、利用者端末1や洗濯機2が連携して処理する例を説明するが、実施例1の処理主体はこれに限定されない。
【0030】
以下、実施例1の詳細を説明するが、実施例1では直接的に洗濯物を撮影するために、洗濯槽への投入を検出してこの結果を利用する。また、汚れがひどい(集中)している部位を特定している。このための構成を説明する。
図4は、実施例1における利用者端末1の機能ブロック図である。
図4の構成は、
図2と比較して、洗浄コース決定部13が洗濯コース決定部13-1に変更され、投入検出部101および部位特定部102が追加されている。以下、これらの相違を中心について説明する。
【0031】
まず、汚れ判定部12は、
図2と同様の機能を有するが、判定の対象は洗濯物である。また、洗濯コース決定部13-1は、洗浄コースとして、洗濯の内容を示す洗濯コースを決定する。ここで、洗濯コースとは、いわゆる運転コース等と表現される一連の稼働・運転(洗濯運転)を示すものに限定されず、洗剤の量の特定、すすぎ回数の特定といった洗濯運転の一部を特定するものであってもよい。
【0032】
また、投入検出部101は、洗濯物が洗濯機2の洗濯槽への投入を検出する。この検出結果を用いて、洗濯物の撮影を開始する。ここで、洗濯機2に水が注入され、洗濯が開始されると、「水(洗剤が投入)」を介して洗濯物を撮影するため、その汚れを精度よく判定できない。そこで、投入検出部101が、水の注入前に撮影できるように、洗濯物の投入を検出する。このため、本願明細書での「洗濯物の投入」とは、洗濯槽に洗濯物と水が混在する以前であればよく、物理的に洗濯物が洗濯槽に入る前であってもよい。したがって、投入検出部101は、水の注入も検出することが望ましい。
【0033】
以上の機能を発揮するために、投入検出部101は、利用者からの入力部15に対する操作や洗濯機2からの通知に応じて検出することになる。なお、利用者端末1での撮影は、利用者の操作により行うこともできるので、投入検出部101を省略してもよい。
【0034】
また、部位特定部102は、洗濯物のうち、汚れがひどい(集中)している部位を特定する。この結果は、洗濯コースの決定に用いられたり、利用者に対してこの結果を通知されたりする。
【0035】
次に、利用者端末1の一実現例について説明する。
図5は、実施例1における利用者端末1のハードウエア構成図である。
図5において、利用者端末1は、カメラ110、タッチパネル120、処理装置130、通信装置140、記憶装置150を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0036】
まず、カメラ110は、
図4の撮影部18の一例であり、洗濯物を撮影する。実施例1では、洗濯物が投入された際に撮影を行う。また、タッチパネル120は、
図4の入力部15および出力部16を兼ねた構成であり、利用者の指示、操作を受け付けたり、各種情報を表示したりする。なお、タッチパネル120は、入力デバイスと出力デバイスに分けて構成してもよい。また、処理装置130は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで実現でき、後述する記憶装置150に記憶されている洗濯支援プログラム160に従って演算を実行する。また、通信装置140は、
図4の通信部11に相当し、洗濯機2などと通信を行う。この通信は、ルータ4やネットワーク5を介して行ってもよいし、近距離無線通信などで直接行ってもよい。
【0037】
また、記憶装置150は、
図4の記憶部17に相当し、洗濯支援プログラム160、基本情報170、洗濯物情報180および洗濯機管理情報190を記憶する。但し、これらのうち、その一部を省略し、これらの機能を洗濯機2もしくは洗浄支援装置3で実装してもよい。そして、記憶装置150は、メモリのような主記憶装置と、いわゆるストレージである副記憶装置(記憶媒体)で実現してもよい。なお、副記憶装置は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどで実現してもよい。
【0038】
また、洗濯支援プログラム160は、その機能ごとに、汚れ判定モジュール161、洗濯コース決定モジュール162、制御指令モジュール163、投入検出モジュール164および部位特定モジュール165で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。
【0039】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する
図4に示す構成は以下のとおりである。
汚れ判定モジュール161:汚れ判定部12
洗濯コース決定モジュール162:洗濯コース決定部13-1
制御指令モジュール163:制御指令部14
投入検出モジュール164:投入検出部101
部位特定モジュール165:部位特定部102
このため、処理装置130は、洗濯支援プログラム160に従って、汚れ判定部12、洗濯コース決定部13-1、制御指令部14、投入検出部101および部位特定部102の処理を実行することになる。
【0040】
ここで、洗濯支援プログラム160は、洗濯機2の保守なども行う洗濯機管理プログラムの一機能として実現してもよい、他の家電機器も管理する家電機器管理プログラム(統合アプリ)の一機能として実現してもよい。
【0041】
次に、基本情報170は、衣類等の洗濯物ごとに、よごれがない状態を示す情報であり、洗濯後や購入時の衣類等の画像として実現できる。また、衣類等の画像として、カタログデータなどを用いてもよい。また、基本情報170は、洗濯物ごとに管理され、これを用いることで、撮影された洗濯物ないしその種類を特定できる。
【0042】
また、洗濯物情報180は、洗濯物に関する情報であり、洗濯対象の汚れを判定するために用いられる。
図6は、実施例1で用いられる洗濯物情報180を示す図である。
図6に示すように、洗濯物情報180は、洗濯物ごとに、その素材、構成部位、閾値(1)/洗濯コースおよび閾値(2)/洗濯コースの各項目を有する。
【0043】
洗濯物は、その種別もしくは個体を識別する項目である。
図6では、「衣類」の例として、TシャツやYシャツを記述したが、これに限定されな。例えば、カーテンのような衣類以外も含まれる。また、素材は、該当の洗濯物の素材を示す。なお、素材の項目には、素材等により定まる洗濯方法(ドライ、陰干し等)を記述してもよい。また、構成部位は、洗濯物を構成する部位を示す。この部位は、汚れが集中するする箇所を特定するために用いられる。
【0044】
また、閾値(1)/洗濯コースおよび閾値(2)/洗濯コースは、洗濯条件(利用する水)ごとの、洗濯コースを決定するために用いられる項目である。つまり、汚れの程度を示す閾値とこれ以上の場合の洗濯コースを対応付けている項目である。この結果、基本情報170と判定された汚れの差分が、閾値以上かで洗濯コースが特定される。なお、実施例1では、洗浄条件の一例である洗濯条件に応じて、2つの閾値を用いるが、この数が2つに限定されず、1つもよいし、3以上ででもよい。なお、閾値が1つとは、洗濯条件を特に考慮しないことを意味する。この洗濯条件としては、利用する水の特性(水道水/残り湯と常温/温水)などを用いることができる。また、
図6の例では、部位ごとに閾値も設けたがこれに限定されず、洗濯物の閾値のみで構成してもよい。
【0045】
また、洗濯機管理情報190は、洗濯機2を管理するための情報である。
図7は、実施例1で用いられる洗濯機管理情報190を示す図である。
図7に示すように、洗濯機管理情報190は、種類(型式)ごとに、ID、洗濯コースおよび利用者の各項目を有する。種類(型式)は、洗濯機2の洗濯機の種類(型式)を示す。IDは、洗濯機2の個体を識別する識別情報である。利用者は、利用者などを管理するための項目であり、利用者名、住所の他、管理番号などが記録される。
【0046】
なお、以上の基本情報170と洗濯物情報180や基本情報170~洗濯機管理情報190は、1つの情報として管理してもよい。
【0047】
次に、実施例1の洗濯機2について説明する。
図8は、実施例1における洗濯機2の情報処理機能に関する機能ブロック図である。
図8の構成は、
図3と比較して、洗浄コース決定部212が洗濯コース決定部212-1に変更され、投入検出部214、部位特定部215および投入センサ260が追加されている。以下、これらの相違を中心に説明する。
【0048】
まず、汚れ判定部211は、
図3と同様の機能を有するが、判定の対象は洗濯物である。また、洗濯コース決定部212-1は、洗浄コースとして、洗濯の内容を示す洗濯コースを決定する。つまり、洗濯コース決定部13-1は、洗濯コース決定部212-1と同様の機能を有する。また、投入検出部214は、投入検出部101と同様に洗濯物が洗濯機2の洗濯槽への投入を検出する。但し、投入検出部214は、利用者からの表示操作部240に対する操作、利用者端末1からの通知や投入センサ260の検知結果に応じて検出することになる。
【0049】
また、部位特定部215は、部位特定部102と同様に洗濯物のうち、汚れがひどい(集中)している部位を特定する。さらに、投入センサ260は、洗濯物が洗濯槽に投入されることを検知するセンサであり、超音波センサ、光電センサやレーザセンサなどで実現できる。なお、部位特定部102と同様に、投入検出部214を省略できる。さらに同様に、投入センサ260も省略できる。また、制御部210は、基本情報170~洗濯機管理情報190のうち少なくとも1つを記憶してもよい。
【0050】
次に、洗濯機2の構造について説明する。
図9は、実施例1における洗濯機2の断面を模式的に示す図である。
図9では、洗濯機2としていわゆるドラム式洗濯機を例とし、
図8の一実装例であるハードウエア構成を示す。
図9において、洗濯機2は、制御基板21、通信IF(インターフェース)22、カメラ23、表示操作パネル24、稼働機構25、光電センサ26、洗濯槽27および投入口28を有する。ここで、制御基板21は、洗濯機2の稼働を制御し、
図8の制御部210の一例である。通信IF22は、利用者端末1等と通信し、
図8の通信部220の一例である。カメラ23は、洗濯物を撮影し、
図8の撮影部230の一例である。そして、カメラ23は、洗濯槽27の方を向き、投入される洗濯物を撮影できる。特に、
図9では、ドラム式洗濯機の例であるため、洗濯物が溜まる洗濯槽27の下方を向いて設置されることが望ましい。さらに、カメラ23を含む撮影部230で撮影している際には、水の注入や洗濯槽の回転など所定の機能を抑止するように、制御部210が制御することが望ましい。
【0051】
表示操作パネル24は、利用者から洗濯機2に対する操作を受け付けたり、実行する洗浄コースや汚れの判定結果などを出力したりし、
図8の表示操作部240の一例である。なお、表示操作パネル24での出力は、音声で実行してもよい。稼働機構25は、電源やモータで実現され、制御基板21からの制御信号に従って稼働し、
図8の稼働部250の一例である。そして、洗濯槽27が、稼働機構25と接続し、モータの動作に従って洗濯、乾燥の際に回転することになる。
【0052】
光電センサ26は、投入口28付近に設けられ、洗濯物の投入を検知し、投入センサ260の一例である。なお、通信IF22、カメラ23や光電センサ26については、防水のためにパッキン等の密封構造で構成してもよい。
【0053】
次に、実施例1の処理フローについて、説明する。
図10は、実施例1における洗濯支援処理のフローを示すフローチャートである。ここでは、
図4および
図8の機能ブロックの構成を用いて説明する。まず、ステップS21において、洗濯機2の投入検出部214が、洗濯槽に対する洗濯物の投入を検出したか判定する。このために、実施例1では、投入検出部214は、投入センサ260から洗濯物が投入されたことを示す検知結果を受け付け、これを用いて判定する。この結果、投入された場合(Y)、ステップS22に遷移する。投入されていない場合(N)、本ステップを継続する。
【0054】
また、ステップS22において、撮影部230が、投入された洗濯物の撮影を開始し、その画像データを取得する。このために、制御信号作成部213は、撮影を制御する制御信号を作成し、撮影部230に通知し、撮影部230はこれに従って撮影する。また、ステップS23において、制御信号作成部213が、洗濯機2の稼働を抑止する。ここで、制御信号作成部213は、洗濯槽への水の注入や洗濯槽の回転といった撮影部18の撮影に影響がある稼働を抑止することが望ましい。また、抑止を行うために、制御信号作成部213は、例えば、抑止するための抑止信号を作成しこれを稼働部250に通知したり、表示操作部240などからの操作指示を無視したりする。
【0055】
また、ステップS24において、制御信号作成部213が、撮影部230での撮影が終了したかを判定する。この結果、撮影が終了した場合(Y)、ステップS25に遷移する。また、終了していない場合(N)、ステップS23以降の処理を継続する。
【0056】
また、ステップS25において、制御信号作成部213が、ステップS23の抑止制御を終了させる。このために、制御信号作成部213は、例えば、抑止を終了させる抑止終了信号を作成しこれを稼働部250に通知したり、表示操作部240などからの操作指示を受け付け可能としたりする。
【0057】
また、ステップS26において、通信部220が、ステップS22以降で撮影された画像データを、利用者端末1に通知する。以上で、洗濯機2側の処理は一旦終了し、以降、利用者端末1での処理が実行される。なお、洗濯機2側の処理については、以下のように実行されてもよい。まず、撮影部230は、継続的に、洗濯槽内を撮影しておき、洗濯物投入されてから撮影終了までの画像データを有効化、ないし記録してもよい。また、ステップS24の撮影終了の代わりに、強制的な稼働開始を条件にしてもよい。
【0058】
また、ステップS11において、利用者端末1の通信部11が、洗濯機2から画像データを受け付ける。そして、ステップS12において、汚れ判定部12が、受け付けられた画像データと基本情報を比較して、汚れの有無を判定する。この汚れの有無とは、通常の洗濯以上の特別な洗濯が必要かの可能性を示すものである。このために、汚れ判定部12は、画像データに対して、画像処理を施し、洗濯物の種類を特定する。次に、汚れ判定部12は、特定された洗濯物の基本情報と受け付けた画像データを比較する。そして、汚れ判定部12は、比較した差分により、洗濯物に汚れが有るかを判定する。この判定は、例えば、差分が一定以上の場合、汚れが有ると判定される。この結果、汚れが有る場合、ステップS13に遷移する。また、汚れが無い場合、ステップS16に遷移する。
【0059】
また、ステップS13において、洗濯コース決定部13-1が、受け付けた画像データに対する画像処理の結果を用いて、汚れが集中している部位が無いかを確認し、集中部位を特定する。この際、洗濯コース決定部13-1は、他部位に比較して汚れが集中している部位や所定以上汚れている部位を特定する。
【0060】
また、ステップS14において、洗濯コース決定部13-1が、洗濯条件およびこれに応じた閾値を特定する。このために、洗濯コース決定部13-1は、洗濯条件を、入力部15に対する操作、洗濯機2からの通知や予め記憶部17に設定されている内容から特定する。そして、洗濯コース決定部13-1は、先に特定された洗濯物、洗濯条件および汚れが集中している部位に対応する閾値を、洗濯物情報180から特定する。この結果、洗濯コース決定部13-1は、各洗濯物全体の閾値や汚れが集中している部位の閾値が特定される。ここで、洗濯コース決定部13-1は、汚れが集中していない場合、洗濯物情報180における「構成部位」が「全体」に対応する閾値を特定し、汚れが集中していない場合、「構成部位」が該当の「部位」に対応する閾値を特定してもよい。また、汚れの集中の有無に関わらず、「全体」と「部位」の閾値が特定されてもよい。なお、
図6に示す洗濯物情報180においては、閾値(1)における洗濯条件は水道水の利用であり、閾値(2)における洗濯条件は残り湯の利用を示しており、これらは互いに異なる値となる。
【0061】
また、ステップS15において、洗濯コース決定部13-1が、汚れを示す値と特定された閾値を用いて、洗濯コースを決定する。このために、洗濯コース決定部13-1は、汚れを示す値として、ステップS12の差分を用いてもよいし、他の指標を用いてもよい。そして、洗濯コース決定部13-1は、閾値以上である場合、特定された閾値に対応付けられている洗濯コースを、洗濯物情報180から決定する。なお、洗濯コース決定部13-1は、「全体」と「部位」の閾値が特定された場合、「部位」に対応する洗濯コースを特定することが望ましいが、他のロジックでいずれか一方を特定してもよい。例えば、洗濯コース決定部13-1は、洗濯物の素材に応じて、より生地に負担が掛からない洗濯コースを決定してもよい。以上のように、ステップS13~S15において、洗濯コース決定部13-1は、洗濯物の汚れの集中などのその程度を特定し、これに基づいて、洗濯の内容を示す洗濯コースを決定する。
【0062】
また、ステップS12において、無と判定された場合の処理を説明する。ステップS16において、洗濯コース決定部13-1が、洗濯コースとして、通常のコースである標準コースを決定する。以上のステップS13~ステップS16において、洗濯コース決定部13-1が、洗濯コースを決定することになる。
【0063】
そして、ステップS17において、制御指令部14が、決定された洗濯コースを実行するための制御指令を作成する。これを受けて、ステップS18において、通信部11が、洗濯機2に、制御指令を通知する。また、ステップS19において、出力部16が、決定された洗濯コースを示す情報を表示する。なお、ステップS18については、入力部15に対する利用者の同意操作を条件として実行してもよい。
【0064】
ここで、実施例1においては、ステップS13~ステップS18を省略し、ステップS12で判定された汚れの有無を、ステップS19で表示する構成としてもよい。このように、実施例1では、ステップS12で判定された汚れに関する情報がステップS19で出力される。この出力は、洗濯機2の表示操作部240で実行してもよい。
【0065】
次に、以降の洗濯機2の処理について説明する。まず、ステップS27において、洗濯機2の通信部220が、通知された制御指令を受け付ける。これを受けて、ステップS28において、制御信号作成部213が、制御指令に応じて決定された洗濯コースを実行するための制御信号を作成し、稼働部250に出力する。そして、ステップS29において、稼働部250が、該当の洗濯コースを実行し、洗濯物の洗濯が行われることになる。
【0066】
なお、ステップS17以降の処理は、以下のとおり実行してもよい。まず、ステップS17の前に、ステップS19と同様に、出力部16が、決定された洗濯コースを表示する。次に、表示された洗濯コースを参考に、入力部15が洗濯コースの指定を受け付ける。そして、ステップS18、ステップS27以降の処理を実行する。なお、洗濯コースの指定は、洗濯機2の表示操作部240が実行してもよい。そして、ステップS28において、制御信号作成部213が、指定された洗濯コースを実行するための制御信号を作成することになる。このように、実施例1では、決定された洗濯コースを表示し、その実行は利用者の操作に従って実行することができる。
【0067】
また、実施例1では、上述の閾値について、学習機能を用いて更新する構成としてもよい。このために、洗濯終了後に、洗濯物を撮影し、汚れ判定部12ないし汚れ判定部211が、洗濯後の汚れを判定する。この結果、汚れが残っている場合、つまり、ステップS12で「有」と判定された場合、該当の閾値を下方修正する。また、これに追加して、洗濯コース決定部13-1もしくは洗濯コース決定部212-1が、洗濯コースを決定し、これが洗濯前と変わらない場合、該当の閾値を下方修正してもよい。このように、汚れ判定や洗濯コースの決定を利用して、閾値を学習、更新することができる。
【0068】
実施例1では、利用者端末1と洗濯機2が連携して、上述の処理を実行しているが、各処理主体は上述の説明に限定されない。例えば、利用者端末1と洗濯機2のいずれか一方で実行してもよいし、その一部の処理を他方の装置で実行してもよい。以上で、実施例1の説明を終わるが、実施例1によれば、洗剤が投入された水などを介した撮影を避けることでき、より洗濯物の実態に即した洗濯の実行を支援できる。
また、消耗品発注部103は、洗濯機2で用いられる槽洗浄剤を始めとする消耗品について、その残量、運転履歴や利用者の指示に基づいて発注に関する処理を実行する。
このために、洗濯機管理情報190-1は、種類(型式)ごとに、ID、基準情報(1)/槽洗浄コース、基準情報(2)/槽洗浄コース、利用者および槽洗浄剤の各項目を有する。ここで、種類(型式)、IDおよび利用者は、実施例1のそれと同じ項目である。また、基準情報(1)/槽洗浄コースと基準情報(2)/槽洗浄コースは、槽洗浄条件(利用する水)ごとに、槽洗浄コースを決定するために用いられる項目である。つまり、洗濯槽の汚れの程度を示す基準情報とその場合に実行する槽洗浄コースを対応付けている項目である。より具体的には、槽洗浄前と槽洗浄中(後)の差分と、槽洗浄中(後)の値の組合せを用いて、槽洗浄コースを定めている。差分が小さいほど洗濯槽の汚れの変化が小さく、槽洗浄中(後)の値が大きいほど汚れが残っていると判断できる。このため、これらの組合せで、槽洗浄の効果や残っている汚れの程度が把握できる。さらに、実施例1と同様に、槽洗浄条件は1ないし3以上でもよい。
そこで、実施例2では、この組合せを用いて、再槽洗浄の要否を含む槽洗浄コースを決定する。なお、実施例2の変形例として、組合せで把握する洗濯槽の汚れの程度を表示してもよい。この表示は、槽洗浄コースの決定と共に行ってもよい。ここで、実施例2では、洗濯槽の汚れの程度を示す差分や洗浄中(後)の値として、洗濯槽中の水の電気の通しやすさを示す電導度(電気伝導率)を用いる。この電導度が、大きいほど汚れが大きいと判定できる。
ここで、槽洗浄コースには、再槽洗浄不要が含まれる。実施例2では、槽洗浄を実行した際に、汚れを判定するため、「再」槽洗浄の必要性が判定される。このため、槽洗浄とは別のタイミングで判定する場合、「再」であるかは判定する必要はない。
また、槽洗浄剤は、該当の洗濯機で用いられる槽洗浄剤の在庫管理、特に、発注に用いられる項目である。このために、使用する槽洗浄剤の名称(槽洗浄剤A)、残量および発注基準量が記録される。残量は、利用者が確保済の槽洗浄剤の残量を示す。発注基準量は、残量が発注基準量となった場合、該当の槽洗浄剤を発注するために用いられる。なお、槽洗浄剤の項目は省略してもよい。
また、水質センサ270は、槽内の水質を検知するセンサであり、電導度センサなどで実現できる。この検知結果を用いて、洗濯槽の汚れを判定できる。また、制御部210は、基本情報170や洗濯機管理情報190-1のうち少なくとも1つを記憶してもよい。
また、ステップS202において、電導度センサ29が、注入された水の電導度を検知する。そして、ステップS203において、稼働部250が、制御信号作成部213の制御信号に従って、槽洗浄を実行する。この際、ステップS204において、電導度センサ29が、槽洗浄中における水の電導度を検知する。ここで、電導度センサ29は、洗濯槽27の回転により掻き上げられた水の電導度を検知することになる。
また、ステップS101において、利用者端末1の通信部11が、通知された電導度を受け付ける。これを受けて、ステップS102において、汚れ判定部12が、通知された電導度の差分を計算する。そして、汚れ判定部12は、差分と洗浄中の電導度の組み合わせを、洗濯槽27の汚れとして判定する。この組み合わせに応じて、汚れの有無が判定される。
また、ステップS103において、槽洗浄コース決定部13-2が、洗浄洗濯条件を特定する。このために、槽洗浄コース決定部13-2は、槽洗浄条件を、入力部15に対する操作、洗濯機2からの通知や予め記憶部17に設定されている内容から特定する。
そして、ステップS104において、槽洗浄コース決定部13-2が、ステップS102で判定された汚れと特定された槽洗浄条件の基準情報を比較する。この結果を用いて、槽洗浄コース決定部13-2は、再度槽洗浄が必要かを判定する。この結果、再度槽洗浄が不要な場合、ステップS105に遷移する。必要な場合、ステップS106に遷移する。
また、ステップS105において、出力部16が、洗濯槽27が汚れていない旨や槽洗浄が不要であることを表示する。ここで、ステップS203で実行された槽洗浄が効果的であったことを表示してもよい。この場合、槽洗浄コース決定部13-2が、ステップS102で計算された差分が所定値以上の場合、実行することになる。
また、ステップS106において、槽洗浄コース決定部13-2が、ステップS102で判定された汚れに基づいて、洗濯機管理情報190-1を用いて、槽洗浄コースを決定する。
そして、ステップS107において、制御指令部14が、決定された槽洗浄コースを実行するための制御指令を作成する。これを受けて、ステップS108において、通信部11が、洗濯機2に、制御指令を通知する。また、ステップS109において、出力部16が、決定された槽洗浄コースを示す情報を表示する。なお、ステップS108については、入力部15に対する利用者の同意操作を条件として実行してもよい。
次に、以降の洗濯機2の処理について説明する。まず、ステップS206において、洗濯機2の通信部220が、通知された制御指令を受け付ける。これを受けて、ステップS207において、制御信号作成部213が、制御指令に応じて決定された槽洗浄コースを実行するための制御信号を作成し、稼働部250に出力する。そして、ステップS208において、稼働部250が、該当の槽洗浄コースを実行し、洗濯物の洗濯が行われることになる。
なお、ステップS107以降の処理は、以下のとおり実行してもよい。まず、ステップS107の前に、ステップS109と同様に、出力部16が、決定された槽洗浄コースを表示する。次に、表示された洗濯コースを参考に、入力部15が槽洗浄コースの指定を受け付ける。そして、ステップS108、ステップS206以降の処理を実行する。なお、槽洗浄コースの指定は、洗濯機2の表示操作部240が実行してもよい。そして、ステップS207において、制御信号作成部213が、指定された槽洗浄コースを実行するための制御信号を作成することになる。このように、実施例2でも、決定された槽洗浄コースを表示し、その実行は利用者の操作に従って実現することができる。
このために、洗濯機2の制御信号作成部213が、槽洗浄の回数や槽洗浄剤の蓄積部(図示せず)のセンサから、槽洗浄剤の残量を検知する。このタイミングは、ステップS208の槽洗浄の後が望ましいが、これに限らない。そして、通信部220が、槽洗浄剤の残量を利用者端末1に通知する。
また、利用者端末1の通信部11が、槽洗浄剤の残量を受け付ける。これを受けて、消耗品発注部103が、洗濯機管理情報190-1の「槽洗浄剤」の残量を更新する。そして、消耗品発注部103が、残量が発注基準量を下回っているかを判定する。これは、槽洗浄剤の発注、つまり、購入が必要かの判定を意味する。この結果、残量が発注基準量を下回る場合、消耗品発注部103が、出力部16に、槽洗浄剤の発注可否の確認画面を表示する。例えば、消耗品発注部103は、槽洗浄剤○○L(個)を購入しますか、といった確認通知を表示させる。
そして、消耗品発注部103は、入力部15に対して発注要との入力があった場合、通信部11を用いて、発注指示を、消耗品販売装置6に送信する。この発注指示は、洗浄支援装置3を介して送信してもよい。なお、入力部15は、槽洗浄剤の種類、個数、配達日などを利用者から受け付けることが望ましい。この結果、消耗品販売装置6において、利用者に対する槽洗浄剤の販売処理が実行される。
以上で、実施例2の処理についての説明を終わるが、実施例2でも、実施例1の閾値と同様に、上述の基準情報について、学習機能を用いて更新する構成としてもよい。また、実施例2によれば、槽洗浄の正確にまた効率よく実行できる。これは、槽洗浄の際の水質を用いて洗濯槽の汚れを判定し、槽洗浄のタイミングで槽洗浄剤の発注要否を判断しているためである。
以上で各実施例の説明を終わるが、本発明はこれらには限定されない。例えば、その処理主体は、上述の例に限らない。また、洗浄も洗濯や槽洗浄に限定されず、洗濯機の保守などにも適用できる。さらに、洗濯機の他、乾燥機などにも適用できる。さらに、実施例1と2の少なくとも一部の機能を組み合わせてもよい。またさらに、洗浄支援装置3が上述の各処理の少なくとも一部を実行してもよい。