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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008743
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】サンプル測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20250109BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01N35/00 Z
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111178
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 勇介
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 巧
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克典
【テーマコード(参考)】
2G058
3C707
【Fターム(参考)】
2G058CB15
2G058CB16
2G058GA01
2G058GA20
2G058GE10
3C707AS03
3C707AS14
3C707BS12
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT17
3C707FU02
3C707KS01
3C707KS08
3C707KS09
3C707KS34
3C707KS35
3C707KV11
3C707KW03
3C707KX05
3C707NS09
(57)【要約】
【課題】サンプルのサイズ間違いに起因する不具合を回避できるサンプル測定装置を提供する。
【解決手段】サンプル測定装置は、サンプルを測定する測定器と、サイズが異なる複数のサンプルを収納可能な複数の段を有するカセットからサンプルを1つずつ取り出して測定器へ搬送する搬送装置と、カセットの各々の段に収納されたサンプルのサイズを検出するサイズ検出部と、サイズ検出部の検出結果に基づいて、測定器及び搬送装置を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを測定する測定器と、
サイズが異なる複数の前記サンプルを収納可能な複数の段を有するカセットから前記サンプルを1つずつ取り出して前記測定器へ搬送する搬送装置と、
前記カセットの各々の段に収納された前記サンプルのサイズを検出するサイズ検出部と、
前記サイズ検出部の検出結果に基づいて、前記測定器及び前記搬送装置を制御する制御部と、
を備えるサンプル測定装置。
【請求項2】
前記カセットの各々の段に収納される前記サンプルのサイズを含むサンプル情報をユーザーが設定するための操作部を備える
請求項1に記載のサンプル測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、取り出し対象段で前記サイズ検出部によって検出された前記サンプルのサイズが、前記操作部を介してユーザーが前記取り出し対象段に設定した前記サンプルのサイズに一致する場合、前記測定器及び前記搬送装置によるサンプル測定動作を継続する
請求項2に記載のサンプル測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、取り出し対象段で前記サイズ検出部によって検出された前記サンプルのサイズが、前記操作部を介して前記ユーザーが前記取り出し対象段に設定した前記サンプルのサイズに一致しない場合、前記測定器及び前記搬送装置によるサンプル測定動作を中断して警告を表示する
請求項2に記載のサンプル測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、取り出し対象段で前記サイズ検出部によって検出された前記サンプルのサイズが、前記操作部を介して前記ユーザーが前記取り出し対象段に設定した前記サンプルのサイズに一致せず、前記ユーザーが前記取り出し対象段と異なる段に設定した前記サンプルのサイズに一致する場合、前記異なる段に設定した前記サンプルのサイズに基づいて、前記測定器及び前記搬送装置によるサンプル測定動作を継続する
請求項2に記載のサンプル測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、取り出し対象段で前記サイズ検出部によって検出される前記サンプルのサイズが、前記操作部を介して前記ユーザーが設定したサンプル情報に含まれる前記サンプルのサイズのうち最小のサンプルサイズよりも小さい場合、前記取り出し対象段をスキップする
請求項2に記載のサンプル測定装置。
【請求項7】
測定の対象となる前記サンプルのサイズ要件をサンプル種ごとに登録してなる登録情報が予め記憶されたメモリを備える
請求項1に記載のサンプル測定装置。
【請求項8】
前記制御部は、取り出し対象段で前記サイズ検出部によって検出された前記サンプルのサイズが、前記登録情報に含まれる前記サンプルのサイズ要件を満たす場合、前記測定器及び前記搬送装置によるサンプル測定動作を継続する
請求項7に記載のサンプル測定装置。
【請求項9】
前記制御部は、取り出し対象段で前記サイズ検出部によって検出された前記サンプルのサイズが、前記登録情報に含まれる前記サンプルのサイズ要件を満たさない場合、前記測定器及び前記搬送装置によるサンプル測定動作を中断して警告を表示する
請求項7に記載のサンプル測定装置。
【請求項10】
前記制御部は、取り出し対象段で前記サイズ検出部によって検出された前記サンプルのサイズが、前記登録情報に含まれる前記サンプルのサイズ要件のうち最小のサンプルサイズよりも小さい場合、前記取り出し対象段をスキップする
請求項7に記載のサンプル測定装置。
【請求項11】
前記登録情報は、前記サイズ検出部によって検出される前記サンプルのサイズからサンプル種を判断可能なテーブルとして前記メモリに記憶されている
請求項7に記載のサンプル測定装置。
【請求項12】
前記サイズ検出部は、取り出し対象段からサンプルを取り出す前に、当該サンプルのサイズを検出する
請求項1に記載のサンプル測定装置。
【請求項13】
前記サイズ検出部は、前記カセットの設置場所に移動して前記サンプルのサイズを検出する
請求項1に記載のサンプル測定装置。
【請求項14】
前記サイズ検出部は、取り出し対象段に収納される前記サンプルを前記カセットの奥行き方向の基準端部に押し当てるための押し当て部材を有する
請求項1に記載のサンプル測定装置。
【請求項15】
前記搬送装置は、前記サンプルを保持するためのハンド部を有し、
前記押し当て部材は、前記ハンド部に取り付けられている
請求項14に記載のサンプル測定装置。
【請求項16】
前記サイズ検出部は、前記基準端部に前記サンプルが押し当たった場合に、前記基準端部から前記押し当て部材までの寸法を前記サンプルのサイズとして検出する
請求項14に記載のサンプル測定装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記基準端部に前記サンプルが押し当たったか否かを判定するためのトルク閾値を、前記サンプルの硬度に応じて変更する
請求項14に記載のサンプル測定装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記押し当て部材の押し当て角度を前記サンプルの硬度に応じて変更する
請求項14に記載のサンプル測定装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記押し当て部材の押し当て力を前記サンプルの質量に応じて変更する
請求項14に記載のサンプル測定装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記押し当て部材の押し当て力を前記サンプルの摩擦係数に応じて変更する
請求項14に記載のサンプル測定装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記押し当て部材によって前記サンプルを押す回数を前記サンプルの硬度に応じて変更する
請求項14に記載のサンプル測定装置。
【請求項22】
前記サイズ検出部は、前記カセットの各々の段に設けられたサイズ検出センサによって構成されている
請求項1に記載のサンプル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプル測定装置は、サイズが異なるサンプルを順次自動で測定するために、測定器と、搬送装置とを備える必要がある。測定器は、サンプルを測定する。搬送装置は、サンプルを搬送する。
【0003】
特許文献1には、コンベアによって搬送されるパレット上にワークが載置されているかどうかを、圧力センサを用いて判定する技術が記載されている。圧力センサは、パレットの中央に設けられる。圧力センサは、パレットに載置されるワークの重量に応じた信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-185345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記サンプル測定装置を用いてサンプルを測定する場合、ユーザーは、未測定のサンプルを収納するカセットと、測定済みのサンプルを収納するカセットとを、それぞれ所定の場所に設置する。以降の説明では、未測定のサンプルを収納するカセットを「ピックアップ元のカセット」ともいい、測定済みのサンプルを収納するカセットを「プレース先のカセット」ともいう。
【0006】
複数の段を有するカセットは、サイズが異なる複数のサンプルを上下方向に位置をずらして積載できる。ユーザーは、サンプル測定装置の操作部から予めサンプル情報を設定する。サンプル情報は、ピックアップ元のカセットの各段に収納されるサンプルのサイズを含む情報である。
【0007】
上記搬送装置がピックアップ元のカセットからサンプルを取り出す場合、サンプルのサイズ間違いが起こることがある。サンプルのサイズ間違いとは、ピックアップ元のカセットの取り出し対象段から搬送装置がサンプルを取り出すときに、取り出し対象段に収納されているサンプルのサイズと、取り出し対象段に設定されているサンプルのサイズが異なることをいう。サンプルのサイズ間違いは、ユーザーのミスによって起こる。サンプルのサイズ間違いが起こると、上記搬送装置がサンプルを適切にハンドリングできず、種々の不具合が発生するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、サンプルのサイズ間違いに起因する不具合を回避できるサンプル測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るサンプル測定装置は、サンプルを測定する測定器と、サイズが異なる複数の前記サンプルを収納可能な複数の段を有するカセットから前記サンプルを1つずつ取り出して前記測定器へ搬送する搬送装置と、前記カセットの各々の段に収納された前記サンプルのサイズを検出するサイズ検出部と、前記サイズ検出部の検出結果に基づいて、前記測定器及び前記搬送装置を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サンプルのサイズ間違いに起因する不具合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置の構成を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置の構成を示す概略平面図である。
図3図3は、カセットの構成を示す概略斜視図である。
図4図4は、カセットの構成を示す概略平面図である。
図5図5は、搬送装置のハンド部の構成を示す概略側面図である。
図6図6は、搬送装置のハンド部をカセット内に進入させた状態を示す概略平面図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図8図8は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置を用いてサンプルを測定する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、押し当て部材の配置状態を示す概略側面図である。
図10図10は、押し当て部材がサンプルに接触した状態を示す概略側面図である。
図11図11は、押し当て部材によってサンプルを基準端部に押し当てた状態を示す概略側面図である。
図12図12は、押し当て部材の位置と最小のサンプルサイズの関係を説明するための概略側面図である。
図13図13は、カセットの側板部にサンプルを押し当てた状態を示す概略平面図である。
図14図14は、押し当て部材の傾き角度を説明する概略側面図(その1)である。
図15図15は、押し当て部材の傾き角度を説明する概略側面図(その2)である。
図16図16は、サンプルのサイズ間違いによって起こる不具合を説明するための図である。
図17図17は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置を用いてサンプルを測定する場合の処理手順の変形例を示すフローチャートである。
図18図18は、本発明の第2実施形態に係るサンプル測定装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図19図19は、テーブルの一例を示す図である。
図20図20は、本発明の第2実施形態に係るサンプル測定装置を用いてサンプルを測定する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図21図21は、サイズ検出センサをアレイセンサによって構成した例を示す概略平面図である。
図22図21は、サイズ検出センサを圧力分布センサによって構成した例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書及び図面においては、実質的に同一の機能又は構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は適宜、省略する。また、以下の記載及び図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の便宜上、省略及び簡略化されていることがある。各構成要素は、特に限定しない限り、単数でも複数でも構わない。また、図面に示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置の構成を示す概略斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置の構成を示す概略平面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、サンプル測定装置10は、測定器11と、搬送装置13と、架台14と、を備えている。測定器11は、サンプル(図示せず)を測定する機器である。搬送装置13は、未測定のサンプルをピックアップ元のカセット12から1つずつ取り出して測定器11へ搬送する。また、搬送装置13は、測定器11で測定を終えたサンプルをプレース先のカセット12へ収納する。サンプル測定装置10は、サイズが異なるサンプルを順次自動で測定できる。測定器11と搬送装置13は、架台14の上に設置されている。
【0015】
測定器11は、計測部15を有する。計測部15は、予め決められた測定項目について、サンプルを計測する。例えば、測定器11がサンプルの表面状態を測定する機器である場合、計測部15は、サンプルの表面状態を計測する。サンプルの表面状態は、サンプルの色、表面性及び光沢度のうち少なくともいずれか1つである。サンプルの表面性は、典型的にはサンプルの表面粗さである。本実施形態においては、一例として、測定器11は、サンプルの色を測定する機器、すなわち測色器である。測定対象となるサンプルは、測定器11の計測部15にサンプルの被測定面を近接かつ対向する状態で配置される。サンプルの被測定面は、測定器11の計測部15において計測(測定)されるサンプル30の面である。
【0016】
カセット12は、複数のサンプルを収納可能である。カセット12は、測定器11及び搬送装置13と共に、サンプル測定装置10を構成する要素であってもよい。1つのカセット12には、サイズが異なる複数のサンプルを収納可能である。測定対象となるサンプルは、典型的には板状のサンプルであり、より典型的には平らな板状のサンプルである。サイズが異なるサンプルは、形状が同じでサイズでもよいし、形状が異なるサンプルでもよい。サンプルの形状とは、板状のサンプルを正面から見た場合の形状、言い換えると水平に置かれたサンプルの平面視形状をいう。本実施形態においては、一例として、平面視四角形(例えば、長方形、正方形など)の板状のサンプルを測定対象とする。サンプルは、実質的に可視光などを透過しない材料、すなわち不透明な材料によって構成される。
【0017】
ここで、サイズが異なる複数のサンプルを収納可能なカセット12を使用する理由について説明する。
1つのカセット12に同一サイズのサンプルのみを収納する場合は、サンプルのサイズごとに専用のカセット12を用意する必要がある。具体例として、1つのカセット12に50個のサンプルを収納可能な場合を考える。この場合、測定対象のサンプルのなかに1個でも別サイズのサンプルが含まれていると、サイズが異なるサンプルを2つのカセット12に分けて収納しなければならなくなる。その結果、1個のサンプルしか収納していないカセット12が、50個のサンプルを収納可能なカセットと同じ面積を専有することになる。よって、サンプル測定装置10全体として搭載可能なサンプル数が減ってしまう。これに対して、サイズが異なる複数のサンプルを収納可能なカセット12を使用する場合は、上述した別サイズのサンプルを他のサンプルと一緒に1つのカセット12にまとめて収納できる。したがって、サイズが異なる複数のサンプルを収納可能なカセット12を使用すれば、1つのカセット12に同一サイズのサンプルのみを収納する場合に比べて、サンプル測定装置10全体として搭載可能なサンプル数を増やすことができる。
以上の理由により、本実施形態においては、サイズが異なる複数のサンプルを収納可能なカセット12を使用する。
【0018】
カセット12は、架台14の上に複数設置されている。各々のカセット12は、架台14上に着脱可能に設置される。各々のカセット12には、未測定のサンプル又は測定済みのサンプルが収納される。架台14に設置可能なカセット12の数は変更可能である。図2においては、一例として、合計10個のカセット12が架台14上に設置されている。サンプル測定装置10を用いてサンプルを自動測定する場合、架台14上には少なくとも2つのカセット12が設置される。その場合、1つはピックアップ元のカセット12であり、もう1つはプレース先のカセット12である。
【0019】
個々のカセット12は、サイズが異なる複数のサンプルを収納可能な複数の段を有する。1つの段には1つのサンプルが収納される。このため、1つのカセット12は、複数のサンプルを上下方向に所定の間隔をあけて積載した状態で収納可能である。言い換えると、1つのカセット12は、複数のサンプルを上下方向に複数段(多段)に並べて収納可能である。本実施形態においては、一例として、1つのカセット12に、サイズが異なる複数のサンプルが混載される場合を想定する。カセット12の各々の段には、サンプルが被測定面を下向きにした状態で収納される。
【0020】
搬送装置13は、ピックアップ元のカセット12からサンプルを順に取り出して測定器11へ搬送する。また、搬送装置13は、測定器11で測定を終えたサンプル、すなわち測定済みのサンプルをプレース先のカセット12に順に収納する。搬送装置13は、多軸ロボットによって構成されている。本実施形態においては、一例として、搬送装置13が6軸ロボットによって構成されている。6軸ロボットからなる搬送装置13は、図示しない力覚センサを備えている。力覚センサは、搬送装置13に作用する力やトルクの大きさをリアルタイムに計測する。本実施形態においては、一例として、搬送装置13が6軸力覚センサを備えている。
【0021】
搬送装置13は、サンプルを保持するためのハンド部16を備えている。ハンド部16は、搬送装置13としての6軸ロボットの先端部に配置されている。搬送装置13は、ピックアップ元のカセット12に収納されている未測定のサンプルをハンド部16によって1つずつ保持する。搬送装置13は、ハンド部16によって保持したサンプルを測定器11の計測部15に向けて搬送する。また、搬送装置13は、測定器11の計測部15にサンプルを位置合わせして配置する。計測部15がサンプルの色の計測を終えると、搬送装置13は、プレース先のカセット12に向けてサンプルを搬送し、当該プレース先のカセット12にサンプルを収納する。ピックアップ元のカセット12は、測定器11によって測定すべきサンプルを取り出す対象となるカセットである。プレース先のカセット12は、測定器11によって測定されたサンプルを収納する対象となるカセットである。ピックアップ元のカセット12及びプレース先のカセット12は、いずれも複数の段を有する共通のカセット構造になっている。
【0022】
ピックアップ元のカセット12と、プレース先のカセット12は、別々に指定される。このため、いずれかのカセット12から取り出されたサンプルは、測定器11がサンプルの測定を完了した後、別のカセット12に収納される。また、ピックアップ元のカセット12と、プレース先のカセット12は、架台14上で隣り合う位置に配置される。また、未測定のサンプルをすべて取り出し終えて空になったカセット12は、その後、測定済みのサンプルを収納するためのカセット、すなわちプレース先のカセット12として使用されることがある。言い換えると、ピックアップ元のカセット12は、その後、プレース先のカセット12に切り替わることがある。また、ピックアップ元のカセット12に複数のサンプル30が収納されている場合、搬送装置13は、カセット12の上段から下段に向かって1つずつサンプル30を取り出す。また、プレース先のカセット12にサンプル30を収納する場合、搬送装置13は、カセット12の下段から上段に向かって1つずつサンプル30を収納する。
【0023】
図3は、カセットの構成を示す概略斜視図である。図4は、カセットの構成を示す概略平面図である。図3及び図4においては、カセット12の各部の位置関係等を明確にするため、カセット12の幅方向をX方向とし、カセット12の奥行き方向をY方向とし、カセット12の高さ方向をZ方向としている。以降の説明では、カセット12の幅方向を「カセット幅方向X」ともいう。また、カセット12の奥行き方向を「カセット奥行き方向Y」ともいい、カセット12の高さ方向を「カセット高さ方向Z」ともいう。カセット12は、カセット奥行き方向Yにおいてサンプルを出し入れ可能である。カセット12の手前側は、サンプルを出し入れできるように開放されている。架台14上にカセット12を設置した状態において、カセット幅方向X及びカセット奥行き方向Yは、水平方向とほぼ平行な方向である。また、架台14上にカセット12を設置した状態において、カセット高さ方向Zは、鉛直方向とほぼ平行な方向である。カセット高さ方向Zにおいて、カセット12の下方は底板部121によって閉じられている。カセット高さ方向Zにおいて、カセット12の上方は開放されている。カセット12の上方が開放されている理由は、カセット12と搬送装置13のハンド部16との干渉を避けるためである。
【0024】
図3及び図4に示すように、カセット12は、底板部121と、一対の側板部122,123と、背板部124と、を備えている。一対の側板部122,123は、底板部121から垂直に起立している。一対の側板部122,123は、背板部124によって連結されている。底板部121は、カセット高さ方向Zの最下部に配置されている。一対の側板部122,123は、カセット幅方向Xで互いに対向する状態に配置されている。背板部124は、カセット奥行き方向Yの奥側に配置されている。背板部124は、一対の側板部122,123とほぼ同じ高さ寸法を有する。背板部124の内面124aは、カセット奥行き方向Yにおいて、カセット12の手前側を向くように配置されている。
【0025】
一対の側板部122,123の内面122a,123aは、カセット幅方向Xで互いに対向する状態に配置されている。側板部122の内面122aには、複数の支持部125が設けられている。側板部123の内面123aには、複数の支持部126が設けられている。複数の支持部125は、カセット高さ方向Zに所定の間隔をあけて配置されている。複数の支持部126は、カセット高さ方向Zに所定の間隔をあけて配置されている。複数の支持部125と複数の支持部126は、1つのカセット12に複数のサンプルを複数段に積載して収納する場合に、各々の段でサンプルを載置状態に支持する。カセット12における1つの段は、カセット高さ方向Zで同じ位置に配置された1つの支持部125と1つの支持部126とによって構成される。
【0026】
また、同じ段でサンプルを支持する一対の支持部125,126は、カセット幅方向Xにおいて互いに対向する状態に配置されている。支持部125は、カセット奥行き方向Yに長い平板状に形成されている。また、支持部125は、側板部122の内面122aからカセット幅方向Xの中心側に突出する状態に配置されている。支持部126は、支持部125と同様に、カセット奥行き方向Yに長い平板状に形成されている。また、支持部126は、側板部123の内面123aからカセット幅方向Xの中心側に突出する状態に配置されている。カセット12に収納されたサンプルは、被測定面の両端部が一対の支持部125,126の上面に載置された状態で、水平な姿勢に支持される。
【0027】
なお、本実施形態においては、複数の段を有するカセット12の構成として、側板部122の内面122aに複数の支持部125が設けられ、側板部123の内面123aに複数の支持部126が設けられた構成を採用している。ただし、カセットの構成は、図3及び図4に示す構成に限定されない。例えば、カセットの構成は、一対の側板部122,123の内面122a,123aに、それぞれ複数の溝が形成された構成であってもよい。複数の溝は、カセット高さ方向Zで複数のサンプルを多段に支持するための溝である。複数の溝は、カセット高さ方向Zに所定の間隔で形成される。
【0028】
図5は、搬送装置のハンド部の構成を示す概略側面図である。図6は、搬送装置のハンド部をカセット内に進入させた状態を示す概略平面図である。
図5及び図6に示すように、搬送装置13(図1参照)のハンド部16は、ハンドフレーム21と、軸受22と、シャフト23と、真空発生器24と、バネ25と、吸着パッド26と、押し当て部材27と、を備えている。
【0029】
ハンドフレーム21の基端部は、6軸ロボットからなる搬送装置13の先端部に取り付けられる。軸受22は、ハンドフレーム21の先端部に取り付けられている。シャフト23は、ハンドフレーム21に軸受22を介して移動自在に支持されている。シャフト23は、ハンドフレーム21を貫通する状態で配置されている。真空発生器24は、シャフト23の下端部に取り付けられている。真空発生器24は、サンプル30を真空吸着によって保持するための吸着力を発生させる機器である。バネ25は、軸受22と真空発生器24との間に位置してシャフト23に取り付けられている。バネ25は、シャフト23及び真空発生器24を図5の下方に付勢する部材である。シャフト23の一部は、バネ25の付勢力によってストッパー(図示せず)に突き当てられている。
【0030】
吸着パッド26は、真空発生器24の下端部に取り付けられている。吸着パッド26は、サンプル30を吸着可能なゴム製のパッドである。吸着パッド26は筒状に形成されている。吸着パッド26は、サンプル30の被測定面30aと反対側の面(以下、「被吸着面」ともいう。)30bを吸着する。サンプル30の被測定面30aは、図1及び図2に示す測定器11の計測部15によってサンプル30の表面状態を測定するときに、計測部15に近接かつ対向する状態で配置される。
【0031】
押し当て部材27は、ピックアップ元のカセット12に収納されているサンプル30を背板部124に押し当てるための部材である。背板部124は、カセット12の奥行き方向Yの基準端部に相当する。押し当て部材27は、シャフト23の上端部に取り付けられている。
【0032】
押し当て部材27は、第1アーム部271と、第2アーム部272と、を備えている。第1アーム部271と第2アーム部272は、一体構造になっていてもよいし、別体構造になっていてもよい。第1アーム部271は、シャフト23の上端部に固定されている。具体的な固定手段としては、例えば、ネジ止め、圧入等が考えられる。押し当て部材27は、シャフト23と一体に図5の上下方向に移動可能である。第1アーム部271は、シャフト23の上端部から水平方向に延在している。第2アーム部272は、第1アーム部271の先端部から鉛直下方に延在している。第2アーム部272は、第1アーム部271と直角をなす向きに配置されている。
【0033】
第2アーム部272の下端部272aは、吸着パッド26の吸着面よりも鉛直上方に配置されている。吸着パッド26の吸着面は、サンプル30を吸着するための面である。本実施形態では、カセット12からサンプル30を取り出すときのハンド部16の姿勢を基準に上下方向を規定している。シャフト23の中心軸方向において、第2アーム部272の下端部272aと吸着パッド26の吸着面との段差寸法Lgは、図3に示すようにカセット高さ方向Zで隣り合う2つの支持部125の離間距離、すなわち1段分の長さよりも小さい。
【0034】
第2アーム部272の下端部272aには、接触面272bが形成されている。押し当て部材27によってサンプル30を背板部124に押し当てる場合、接触面272bはサンプル30に接触する。接触面272bは、サンプル30に対して押し当て部材27が平らな面で接触するよう、平面状に形成されている。
【0035】
図7は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、サンプル測定装置10は、上述した測定器11と搬送装置13の他に、制御部17と、操作部18と、サイズ検出部19と、を備えている。制御部17は、サンプル測定装置10の各部の動作を統括的に制御する。制御部17は、例えばコンピュータのハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及び、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部を備える。そして、制御部17の機能は、予めROMに記憶されたプログラムをプロセッサがRAMに読み出して実行することにより実現される。
【0036】
操作部18は、ユーザーインターフェースとして機能する。具体的には、操作部18は、サンプル測定装置10を使用するユーザーに対して各種の情報を表示する。また、操作部18は、ユーザーから各種の情報の入力を受け付ける。操作部18は、例えば、図示しない表示部及び入力部を備える。また、操作部18は、カセット12の各々の段に収納されるサンプルに関する情報(以下、「サンプル情報」ともいう。)をユーザーが設定するための入力を受け付ける。ユーザーは、操作部18を操作することによってサンプル情報を入力する。
【0037】
上記サンプル情報は、例えば下記(1)~(6)の情報を含む。
(1)サンプルのサイズ
(2)サンプルの形状
(3)サンプルの質量
(4)サンプルの材質
(5)未測定(測定対象)のサンプルが収納されたカセット12を指定する情報
(6)測定済みのサンプルを収納すべきカセット12を指定する情報
【0038】
また、サンプルのサイズは、例えば下記(a)~(c)のサイズを含む。
(a)カセット幅方向Xにおけるサンプルのサイズ
(b)カセット奥行き方向Yにおけるサンプルのサイズ
(c)サンプルの厚さ
【0039】
サンプル情報は、カセット12が有する各々の段に対して設定される。また、サンプル情報は、サンプル測定装置10が動作を開始する前に、ユーザーが操作部18を操作することによって設定される。操作部18を介してユーザーが設定したサンプル情報は、例えば制御部17の記憶部に記憶される。
【0040】
サイズ検出部19は、図3に示すカセット12の各々の段に収納されたサンプルのサイズを検出する。サイズ検出部19は、カセット12の奥行き方向におけるサンプルのサイズを実測によって検出する。サイズ検出部19は、図5に示す押し当て部材27を備えている。押し当て部材27は、搬送装置13のハンド部16に取り付けられている。サイズ検出部19は、図6に示すように、押し当て部材27によってサンプル30をカセット12の背板部124に押し当てることにより、カセット奥行き方向Yにおけるサンプル30のサイズLyを検出する。その際、サンプル30のサイズを検出するための搬送装置13の動作は、制御部17によって制御される。また、サイズ検出部19は、搬送装置13の座標系において、押し当て部材27の位置及びカセット12の各部の位置を認識する。また、サイズ検出部19は、押し当て部材27によってサンプル30をカセット12の奥側に押し込んだ場合、サンプル30が背板部124に押し当たったか否かを上記6軸力覚センサの計測値に基づいて判断する。
【0041】
図8は、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置を用いてサンプルを測定する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザーは、操作部18を操作することにより、上述したサンプル情報を設定する(ステップS101)。ユーザーが設定したサンプル情報は、制御部17の記憶部に記憶される。サンプル情報には、上記(1)~(6)の情報が含まれる。
【0042】
次に、制御部17は、測定開始の指示があったか否かを繰り返し判断する(ステップS102)。このとき、制御部17は、図示しない測定開始ボタンをユーザーが押下したときに、測定開始の指示があったと判断する。測定開始ボタンは、例えば、操作部18に設けられる。
【0043】
次に、制御部17は、搬送装置13を駆動することにより、ホームポジションからピックアップ元のカセット12の設置位置までハンド部16を移動させる(ステップS103)。ホームポジションは、予め決められる。ピックアップ元のカセット12は、未測定サンプルが収納されているカセットである。このとき、制御部17は、図9に示すように、-取り出し対象段とは、今回の測定でサンプルを取り出す対象となる段である。例えば、ピックアップ元のカセット12の上から数えてm番目の段からサンプルを取り出す場合を考える。この場合は、図9に示すように、m番目の段を形成している一対の支持部125,126の上面の高さに比べて、押し当て部材27の下端部272aが少し低い位置になるように、制御部17は搬送装置13を制御する。これにより、図9に示すように、m番目の段にサンプル30が収納されている場合は、サンプル30の端面300と押し当て部材27の接触面272bとがカセット奥行き方向Yで対向する状態に配置される。サンプル30の端面300は、カセット12の手前側を向いて配置されるサンプル30の端面である。
【0044】
次に、サイズ検出部19は、ピックアップ元のカセット12内で取り出し対象段に収納されたサンプル30のサイズを検出する(ステップS104)。このとき、制御部17は、搬送装置13を駆動することにより、ハンド部16をy1方向(図10参照)に水平移動させる。これにより、押し当て部材27は、ハンド部16と一緒に移動しながら、カセット12の背板部124に徐々に近づく。そして、取り出し対象段にサンプル30が収納されている場合は、図10に示すように、押し当て部材27の接触面272bがサンプル30の端面300に接触する。その後、サンプル30は、押し当て部材27により押されてy1方向に移動する。この移動中にサンプル30の端面301は、図6及び図11に示すように背板部124の内面124aに押し当たる。そうすると、ハンド部16に作用するトルクが増加する。サンプル30の端面301は、カセット12の奥側を向いて配置されるサンプル30の端面である。
【0045】
一方で、制御部17は、ハンド部16の移動中に、ハンド部16に作用するトルクと所定のトルク閾値とを所定の時間刻みで繰り返し比較することにより、サンプル30が背板部124に押し当たったか否かを判定する。具体的には、制御部17は、ハンド部16に作用するトルクが所定のトルク閾値以下である場合は、サンプル30が背板部124に押し当たっていないと判定する。この場合、制御部17は、ハンド部16の移動を継続する。また、制御部17は、ハンド部16に作用するトルクが所定のトルク閾値を超えた場合は、サンプル30が背板部124に押し当たったと判断する。この場合、制御部17は、ハンド部16の移動を停止する。サイズ検出部19は、押し当て部材27によってサンプル30がカセット12の背板部124に押し当てられたときに、第2アーム部272の接触面272bから背板部124の内面124aまでの寸法を、サンプル30のサイズLy(図6参照)として検出する。
【0046】
また、ユーザーのミスが原因で取り出し対象段にサンプル30が収納されていない場合は、押し当て部材27がサンプル30に接触することなく背板部124に近づく。このため、ハンド部16の移動中に、押し当て部材27が背板部124に押し当たらないかぎり、ハンド部16に作用するトルクが所定のトルク閾値を超えることはない。このような場合、サイズ検出部19は、取り出し対象段に収納されたサンプルのサイズが最小のサンプルサイズLmin(図12参照)よりも小さいことを、押し当て部材27が背板部124に押し当たる前に検知(感知)する。言い換えると、サイズ検出部19は、取り出し対象段に収納されたサンプルのサイズが最小のサンプルサイズLminよりも小さいことを検知した場合に、取り出し対象段にサンプル30が収納されていないと判断する。そうすると、制御部17は、押し当て部材27が背板部124に接触する前に、ハンド部16の移動を停止する。
【0047】
最小のサンプルサイズは、上記ステップS101でユーザーが設定したサンプル情報に含まれるサンプルのサイズのうち、カセット奥行き方向Yにおけるサンプルのサイズが最も小さいサイズをいう。図12においては、最小のサンプルサイズLminを有するサンプル30を破線で示している。
【0048】
次に、制御部17は、上記ステップS104でサイズ検出部19により検出されたサンプルのサイズが最小のサンプルサイズよりも小さいか否かを判断する(ステップS105)。そして、制御部17は、ステップS105で否定判断すると、ステップS106に進む。また、制御部17は、ステップS105で肯定判断すると、ステップS108に移行する。ステップS105からステップS108に移行する場合は、取り出し対象段をスキップする場合に相当する。取り出し対象段をスキップするとは、サンプルを取り出す対象となる段を1つ飛ばして次の段に切り替えることをいう。
【0049】
ステップS106において、制御部17は、取り出し対象段でサイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズが、上記ステップS101でユーザーが取り出し対象段に設定したサンプルのサイズに一致するか否かを判断する。そして、制御部17は、ステップS106で肯定判断すると、ステップS107に進む。そして、ステップS107において、制御部17は、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を継続する。また、制御部17は、ステップS106で否定判断すると、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を中断(中止)して警告を表示する(ステップS109)。ステップS109において、制御部17は、例えば、「サンプルのサイズが設定サイズと異なります。」などの警告メッセージを操作部18の表示部に表示する。また、制御部17は、ステップS109で警告を表示する場合に、いずれのカセットのいずれの段でサンプルサイズの不一致が発生したかを示す情報を操作部18の表示部に表示する。測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作については、後段で詳しく説明する。
【0050】
一方、ステップS108において、制御部17は、上記ステップS104でサイズ検出の対象となったサンプル30が最終サンプルであるか否かを判断する。そして、制御部17は、ステップS108で否定判断すると、上記ステップS103に戻る。また、制御部17は、ステップS108で肯定判断すると、一連の処理を終える。制御部17がステップS108で否定判断する場合とは、ピックアップ元のカセット12の中に、未測定のサンプル30が残っている場合である。
【0051】
なお、図8には示していないが、ユーザーは、ステップS109で表示された警告の内容を確認した後、所定の作業を実施することにより、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を再開させることができる。所定の作業には、サンプルのサイズ間違いを解消するための作業と、操作部18を介して制御部17に測定再開を指示する作業とが含まれる。サンプルのサイズ間違いを解消するための作業は、取り出し対象段に対してユーザーが正しいサンプル情報を設定し直す作業、あるいは、取り出し対象段にサンプルをセットし直す作業である。
【0052】
ここで、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作について詳しく説明する。サンプル測定動作を制御する主体は制御部17であり、この制御部17が制御する客体は測定器11及び搬送装置13である。
【0053】
まず、制御部17は、カセット12の取り出し対象段に収納されているサンプル30をハンド部16の吸着パッド26に吸着させる。このとき、制御部17は、取り出すべきサンプル30に向かってハンド部16を下降させることにより、サンプル30の被吸着面30b(図5参照)に吸着パッド26を接触させる。その際、ハンド部16の下降によって吸着パッド26がサンプル30に接触し、その接触圧が所定値を超えると、バネ25が圧縮する。そうすると、吸着パッド26は、バネ25の圧縮による反力を受けてサンプル30に押し付けられる。このため、吸着パッド26をサンプル30に密着させることができる。
【0054】
次に、制御部17は、真空発生器24による真空吸着力を発生させることにより、吸着パッド26にサンプル30を吸着させる。
【0055】
次に、制御部17は、ハンド部16をカセット幅方向Xに移動させることにより、図13に示すように、側板部123にサンプル30を押し当てる。側板部123は、カセット幅方向Xの基準端部に相当する。このとき、制御部17は、吸着パッド26でサンプル30を吸着しながらハンド部16をカセット12の幅方向Xに移動させることにより、側板部123の内面123aにサンプル30の側方の端面302を押し当てる。これにより、取り出し対象段に収納されているサンプル30は、カセット幅方向Xで位置決めされる。また、取り出し対象段に収納されているサンプル30は、上記ステップS104でサンプルのサイズを検出するときに、押し当て部材27によって背板部124に押し当てられる。このため、サンプル30は、カセット幅方向Xとカセット奥行き方向Yの両方で位置決めされる。
なお、本実施形態においては、カセット幅方向Xでサンプル30を位置決めする場合に、サンプル30を側板部123に押し当てているが、本発明はこれに限らず、サンプル30を側板部122に押し当ててもよい。つまり、カセット幅方向Xの基準端部は、側板部122であってもよい。
【0056】
次に、制御部17は、吸着パッド26によるサンプル30の吸着を解除する。
次に、制御部17は、吸着パッド26とサンプル30との間に隙間が確保されるようにハンド部16を所定量だけ上昇させた後、吸着パッド26をサンプル30の中心位置に移動させる。サンプル30の中心位置は、サンプル30の被吸着面30bの中心位置である。このとき、制御部17は、上記ステップS101でユーザーが取り出し対象段に設定したサンプルのサイズ、及び/又は、上記ステップS104でサイズ検出部19が検出したサンプルのサイズに基づいて、サンプル30の中心位置を特定する。また、制御部17は、特定したサンプル30の中心位置に吸着パッド26が配置されるように、搬送装置13の駆動を制御する。
【0057】
次に、制御部17は、上記同様にハンド部16を動作させることにより、吸着パッド26にサンプル30を吸着させる。このとき、吸着パッド26は、サンプル30の中心位置を吸着する。なお、吸着パッド26がサンプル30を吸着する位置は、吸着パッド26によるサンプル30のハンドリングや、測定器11によるサンプル30の測定などに支障が生じないかぎり、サンプル30の中心位置以外でもよい。
【0058】
次に、制御部17は、ハンド部16を所定量だけ上昇させることにより、支持部125,126からサンプル30を少し持ち上げる。これにより、取り出し対象段でサンプル30がハンド部16によってピックアップされる。
次に、制御部17は、カセット12の奥側から手前側に向かってハンド部16を水平移動させることにより、カセット12の取り出し対象段からサンプル30を取り出す。
【0059】
次に、制御部17は、吸着パッド26に吸着されているサンプル30を測定器11の計測位置へ移動させる。このとき、制御部17は、搬送装置13の駆動を制御することにより、サンプル30の被測定面30a(図5参照)を測定器11の計測部15に位置合わせする。また、制御部17は、ハンド部16の姿勢と位置を適宜変更することにより、サンプル30の被測定面30aを測定器11の計測部15に軽く押し当てる。これにより、サンプル30の被測定面30aは、測定器11の計測部15に近接かつ対向する状態に配置される。また、吸着パッド26は、サンプル30の中心位置を吸着している。このため、制御部17は、ハンド部16の姿勢と位置を適宜変更することにより、吸着パッド26によるサンプル30の吸着位置を、測定器11の計測部15の中心位置に合わせる。つまり、制御部17は、サンプル30の被測定位置が測定器11の測定位置に一致するように、搬送装置13を制御する。
【0060】
次に、制御部17は、測定器11に測定指令信号を送る。これにより、測定器11は、サンプル30を測定する。このとき、測定器11は、測定器11が備える光源から測定用の光をサンプル30の被測定面に照射する。また、測定器11は、被測定面から反射する光を、測定器11が備えるセンサで受光する。これにより、測定器11は、サンプル30の表面状態を測定する。測定器11の構成は、サンプル30の何を測定するかによって変わる可能性がある。本実施形態では、吸着パッド26によるサンプル30の吸着位置を、測定器11の計測部15の中心位置に合わせる。このため、サンプル30の被測定面30aの中心部を対象に、サンプル30の表面状態を測定することができる。
【0061】
次に、制御部17は、測定済みのサンプル30を吸着パッド26によって吸着しながら、プレース先のカセット12の手前までハンド部16を移動させる。このとき、制御部17は、プレース先のカセット12が有する複数の段のうち、測定済みのカセットを収納すべき段の高さ位置に合わせてハンド部16を位置決めする。
【0062】
次に、制御部17は、ハンド部16の水平移動により、吸着パッド26をカセット12の手前側から奥側に移動させる。これにより、サンプル30がカセット12内に進入する。このとき、制御部17は、上記ステップS101でユーザーが取り出し対象段に設定したサンプルのサイズ、及び/又は、上記ステップS104でサイズ検出部19が検出したサンプルのサイズに基づいて、ハンド部16の水平移動量を制御する。
【0063】
次に、制御部17は、ハンド部16を所定量だけ下降させることにより、一対の支持部125,126の上面近傍までサンプル30を下げる。ここに記載する一対の支持部125,126は、測定済みのカセットを収納すべき段を形成している支持部125,126である。
次に、制御部17は、吸着パッド26によるサンプル30の吸着を解除する。これにより、サンプル30は、一対の支持部125,126に載置状態に支持(プレース)される。
次に、制御部17は、ハンド部16を所定量だけ上昇させることにより、サンプル30から吸着パッド26を分離させる。
次に、制御部17は、ハンド部16を上記ホームポジションまで移動させる。
以上で、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作が終了する。
【0064】
上述のように押し当て部材27を用いてサンプル30のサイズを検出する場合、制御部17は、背板部124にサンプル30が突き当たったか否かを判定するためのトルク閾値を、サンプル30の硬度に応じて変更してもよい。具体的には、制御部17は、サンプル30の硬度が高い場合はトルク閾値を大きな値に設定し、サンプル30の硬度が低い場合はトルク閾値を小さな値に設定する。これにより、硬度が異なるサンプル30を取り扱う場合でも、背板部124にサンプル30が突き当たったか否かを適切に判定することができる。サンプル30の硬度は、サンプル情報に含めてもよいし、サンプル30の材質から特定(推定)してもよい。
【0065】
また、上述のように押し当て部材27を用いてサンプル30のサイズを検出する場合、制御部17は、押し当て部材27の傾き角度をサンプル30の硬度に応じて変更してもよい。押し当て部材27の傾き角度は、カセット高さ方向Z(鉛直軸)に対する押し当て部材27の傾き角度で規定される。図14に示すように、押し当て部材27の第2アーム部272がカセット高さ方向Zに対して傾いていない場合は、押し当て部材27の傾き角度=0である。また、図15に示すように、押し当て部材27の第2アーム部272がカセット高さ方向Zに対して角度θだけ傾いている場合は、押し当て部材27の傾き角度=θである。制御部17は、サンプルの硬度が高い場合は、押し当て部材27の傾き角度を大きな値に設定し、サンプルの硬度が低い場合は、押し当て部材27の傾き角度を小さな値に設定する。
【0066】
押し当て部材27の傾き角度を大きな値に設定した場合(図15参照)は、当該傾き角度を小さな値に設定した場合(図14参照)に比べて、吸着パッド26と押し当て部材27との段差が小さくなる(D1>D2)。このため、押し当て部材27の傾き角度を大きな値に設定した場合は、取り出し対象段に収納されたサンプル30に押し当て部材27を接触させるときに、取り出し対象段の下の段に収納されているサンプル30に吸着パッド26が干渉しにくくなる。ただし、押し当て部材27の傾き角度を大きな値に設定した場合は、サンプル30を押し当て部材27によって押すときに、サンプル30に斜め下向きの力が加わる。このため、硬度の低いサンプル30は、押し当て部材27に押されて変形し、正確なサイズを検出できないおそれがある。したがって、硬度の低いサンプル30を押し当て部材27によって押す場合は、押し当て部材27の傾き角度を小さな値に設定することが好ましい。
【0067】
また、上述のように押し当て部材27を用いてサンプル30のサイズを検出する場合、制御部17は、押し当て部材27の押し当て力をサンプル30の質量に応じて変更してもよい。具体的には、制御部17は、サンプルの質量が大きい場合は、押し当て部材27の押し当て力を大きな値に設定し、サンプルの質量が小さい場合は、押し当て部材27の押し当て力を小さな値に設定する。これにより、質量が異なるサンプル30を適切な力で背板部124に押し当てることができる。押し当て部材27の押し当て力は、押し当て部材27によってサンプル30を背板部124に押し当てるときに、押し当て部材27からサンプル30に加えられる力である。
【0068】
また、上述のように押し当て部材27を用いてサンプル30のサイズを検出する場合、制御部17は、押し当て部材27の押し当て力をサンプル30の摩擦係数に応じて変更してもよい。具体的には、制御部17は、サンプル30の摩擦係数が大きい場合は、押し当て部材27の押し当て力を大きな値に設定し、サンプルの摩擦係数が小さい場合は、押し当て部材27の押し当て力を小さな値に設定する。これにより、摩擦係数が異なるサンプル30を適切な力で背板部124に押し当てることができる。サンプル30の摩擦係数は、サンプル情報に含めてもよいし、サンプル30の材質から特定(推定)してもよい。
【0069】
また、上述のように押し当て部材27を用いてサンプル30のサイズを検出する場合、制御部17は、押し当て部材27によってサンプル30を押す回数をサンプル30の硬度に応じて変更してもよい。具体的には、制御部17は、サンプル30の硬度が高い場合は、サンプル30を押す回数を多く設定し、サンプル30の硬度が低い場合は、サンプル30を押す回数を少なく設定する。また、制御部17は、サンプル30の硬度が高い場合は、サンプル30を押す回数を複数回に設定し、サンプル30の硬度が低い場合は、サンプル30を押す回数を1回に設定する。
【0070】
ここで、サンプルのサイズ間違いに起因して発生する不具合について説明する。サンプルのサイズ間違いは、前述したようにユーザーのミスによって起こる。具体例を挙げると、サンプルのサイズ間違いは、取り出し対象段に対してユーザーが誤ったサンプル情報を設定(以下、「誤設定」ともいう。)した場合に起こる。また、サンプルのサイズ間違いは、設定したサイズと異なるサイズのサンプルをユーザーがピックアップ元の取り出し対象段にセット(以下、「誤セット」ともいう。)した場合にも起こる。サンプルのサイズ間違いが起こると、搬送装置13のハンド部16がサンプル30を適切にハンドリングできず、種々の不具合が発生するおそれがある。
【0071】
例えば、サンプルのサイズ間違いが起こると、図16に示すように、本来であればサンプル30の中心位置P1を吸着パッド26が吸着すべきところ、中心位置P1から大きく外れた位置P2を吸着パッド26が吸着してしまうことがある。このため、本来測定すべきサンプル30の中心位置P1からずれた位置P2で測定器11がサンプル30の表面状態を測定してしまうことがある。また、搬送装置13が真空吸着によってサンプル30を保持する場合に、吸着パッド26が不安定な位置P2でサンプル30を吸着してしまうことがある。その結果、搬送装置13がサンプル30を搬送する過程で、サンプル30の落下や破損を招くおそれがある。
【0072】
これに対して、本発明の第1実施形態に係るサンプル測定装置10は、ピックアップ元のカセット12を対象に、当該カセット12の各々の段に収納されたサンプル30のサイズをサイズ検出部19によって検出する。そして、制御部17は、サイズ検出部19の検出結果に基づいて、測定器11及び搬送装置13を制御する。これにより、制御部17は、取り出し対象段でサイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズが、操作部18を介してユーザーが取り出し対象段に設定したサンプルのサイズに一致することを確認してから、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を継続することができる。このため、ユーザーが誤設定した場合でも、サンプル30の中心位置から大きく外れた位置で吸着パッド26がサンプル30を吸着したり、本来測定すべきサンプル30の中心位置P1からずれた位置P2で測定器11がサンプル30を測定したりすることを避けられる。この点については、ユーザーが誤セットした場合でも同様である。したがって、第1実施形態に係るサンプル測定装置10によれば、サンプルのサイズ間違いに起因する不具合を回避できる。
【0073】
なお、上記第1実施形態において、制御部17は、図8に示すように、ステップS106で否定判断した場合に、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を中断して警告を表示するが、本発明はこれに限らない。例えば、制御部17は、ステップS106で否定判断した場合に、図17に示す手順で処理してもよい。具体的には、制御部17は、ステップS106で否定判断した場合に、ステップS104でサイズ検出部19が検出したサンプルのサイズが、ステップS101でユーザーが取り出し対象段と異なる段に設定したサンプルのサイズに一致するか否かを判断する(ステップS109a)。ここで、取り出し対象段と異なる段とは、取り出し対象段よりも下方に位置する段、すなわちサンプル30が取り出される前の段をいう。
【0074】
次に、制御部17は、ステップS109aで肯定判断すると、ステップS109bに進み、ステップS109aで否定判断すると、ステップS109cに移行する。ステップS109bにおいて、制御部17は、今回測定しようとしている取り出し対象段のサンプル30に関する情報(サンプル情報)を更新する。これにより、取り出し対象段に設定されるサンプル30のサイズは、上記ステップS4でサイズ検出部19が検出したサンプルのサイズに合わせて書き換えられる。その後、制御部17は、更新後のサンプル情報に基づいて、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を継続する(ステップS107)。更新後のサンプル情報には、上述のように書き換えられたサンプルのサイズが含まれる。また、ステップS109cにおいて、制御部17は、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を中断(中止)して警告を表示する。
【0075】
<第2実施形態>
図18は、本発明の第2実施形態に係るサンプル測定装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図18に示すように、サンプル測定装置10Aは、前述した測定器11、搬送装置13、制御部17、操作部18、及び、サイズ検出部19の他に、メモリ20を備えている。メモリ20には、予めテーブル20Aが記憶されている。メモリ20は、不揮発性メモリによって構成される。第2実施形態に係るサンプル測定装置10Aでは、操作部18を介してユーザーがサンプル情報を設定する必要はない。
【0076】
テーブル20Aは、測定の対象となるサンプルのサイズ要件をサンプル種ごとに登録してなる登録情報の好適な例として、メモリ20に記憶されている。サンプル種とは、サンプルの種類のことである。テーブル20Aは、サイズ検出部19によって検出されるサンプルのサイズからサンプル種を判断可能なテーブルである。サイズ検出部19によって検出されるサンプルのサイズは、カセット奥行き方向Yにおけるサンプルのサイズである。カセット奥行き方向Yにおけるサンプルのサイズは、サンプル種ごとに異なる。
【0077】
図19は、テーブルの一例を示す図である。
図19に示すように、テーブル20Aには、4つのサンプル種が登録されている。具体的には、サンプル1、サンプル2、サンプル3、及び、サンプル4が、テーブル20Aに登録されている。また、テーブル20Aには、サンプルの横幅、サンプルの奥行き、サンプルの厚さ、サンプルの質量、及び、サンプルのサイズ要件が、サンプル種ごとに登録されている。サンプルの横幅は、カセット幅方向Xにおけるサンプルのサイズである。サンプルの奥行きは、カセット奥行き方向Yにおけるサンプルのサイズである。
【0078】
サンプル1は、横幅が80mm、奥行きが30mm、厚さが3mm、質量が30gのサンプル種である。サンプル1に分類されるサンプルのサイズ要件は、サンプルの奥行きが25mm以上35mm未満を満たすことである。
サンプル2は、横幅が70mm、奥行きが40mm、厚さが3mm、質量が40gのサンプル種である。サンプル2に分類されるサンプルのサイズ要件は、サンプルの奥行きが35mm以上45mm未満を満たすことである。
【0079】
サンプル3は、横幅が80mm、奥行きが120mm、厚さが3.5mm、質量が35gのサンプル種である。サンプル3に分類されるサンプルのサイズ要件は、サンプルの奥行きが115mm以上125mm未満を満たすことである。
サンプル4は、横幅が75mm、奥行きが50mm、厚さが2.5mm、質量が20gのサンプル種である。サンプル4に分類されるサンプルのサイズ要件は、サンプルの奥行きが45mm以上55mm未満を満たすことである。
サンプルのサイズ要件を最大値と最小値で規定している理由は、実際に作製されるサンプル30の寸法が設計値を中心にばらついたり、サイズ検出部19によって検出されるサンプルのサイズに誤差が生じたりすることがあるからである。
【0080】
制御部17は、サイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズを基にテーブル20Aを参照することにより、当該サンプルの種類を判断(特定)できる。具体的には、制御部17は、奥行きが25mm以上35mm未満の範囲であるサンプルの種類を「サンプル1」と判断し、奥行きが35mm以上45mm未満の範囲であるサンプルの種類を「サンプル2」と判断する。また、制御部17は、奥行きが115mm以上125mm未満の範囲であるサンプルの種類を「サンプル3」と判断し、奥行きが45mm以上55mm未満の範囲であるサンプルの種類を「サンプル4」と判断する。テーブル20Aを用いて判断可能なサンプル種の数は、変更可能である。
【0081】
図20は、本発明の第2実施形態に係るサンプル測定装置を用いてサンプルを測定する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図20に示す一連の処理を開始する時点では、メモリ20にテーブル20Aが記憶されている。
【0082】
まず、制御部17は、測定開始の指示があったか否かを繰り返し判断する(ステップS201)。ステップS201の処理は、上記ステップS102の処理と同様である。
次に、制御部17は、搬送装置13を駆動することにより、ホームポジションからピックアップ元のカセット12の設置位置までハンド部16を移動させる(ステップS202)。ステップS202の処理は、上記ステップS103の処理と同様である。
【0083】
次に、サイズ検出部19は、ピックアップ元のカセット12内で取り出し対象段に収納されたサンプル30のサイズを検出する(ステップS203)。ステップS203の処理は、上記ステップS104の処理と同様である。
【0084】
次に、制御部17は、上記ステップS203でサイズ検出部19により検出されたサンプルのサイズが最小のサンプルサイズよりも小さいか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204に適用される最小のサンプルサイズは、テーブル20Aに登録されているサンプルのサイズ要件のうち最も小さいサイズである。図19に示すテーブル20Aにおいて、奥行きが最も小さいサンプル種は「サンプル1」であり、この「サンプル1」に対応付けて登録されたサンプルのサイズ要件の最小値は25mmである。このため、ステップS204において、制御部17は、サイズ検出部19により検出されたサンプルのサイズが25mmよりも小さいか否かを判断する。そして、制御部17は、ステップS204で否定判断すると、ステップS205に進む。また、制御部17は、ステップS204で肯定判断すると、ステップS208に移行する。ステップS204からステップS208に移行する場合は、取り出し対象段をスキップする場合に相当する。
【0085】
ステップS205において、制御部17は、取り出し対象段でサイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズが、テーブル20Aに登録されているサンプルのサイズ要件を満たすか否かを判断する。具体例を挙げると、取り出し対象段でサイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズが31mm又は119mmであった場合、制御部17は、ステップS205で肯定判断する。また、取り出し対象段でサイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズが100mm又は150mmであった場合、制御部17は、ステップS205で否定判断する。
【0086】
ステップS205で肯定判断した制御部17は、取り出し対象段に収納されているサンプルの種類を特定する(ステップS206)。具体的には、制御部17は、サイズ検出部19によってサイズが検出されたサンプルの種類を、メモリ20内のテーブル20Aを参照することによって特定する。例えば、取り出し対象段でサイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズが31mmであった場合、制御部17は、取り出し対象段に収納されているサンプルの種類を「サンプル1」と特定する。これにより、制御部17は、特定したサンプル種に対応してテーブル20Aに登録されているサンプルの情報を把握できる。制御部17が把握できるサンプルの情報には、サンプルの横幅、奥行き、厚さ、質量が含まれる。
【0087】
次に、制御部17は、上述のように特定したサンプル種に対応するサンプルのサイズ(横幅、奥行き)に基づいて、測定器及び搬送装置によるサンプル測定動作を継続する(ステップS207)。また、制御部17は、上記ステップS205で否定判断すると、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を中断(中止)して警告を表示する(ステップS209)。測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作については、上記第1実施形態で説明した内容と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0088】
一方、ステップS208において、制御部17は、上記ステップS203でサイズ検出の対象となったサンプル30が最終サンプルであるか否かを判断する。そして、制御部17は、ステップS208で否定判断すると、上記ステップS202に戻る。また、制御部17は、ステップS208で肯定判断すると、一連の処理を終える。
【0089】
第2実施形態に係るサンプル測定装置10Aは、ピックアップ元のカセット12を対象に、当該カセット12の各々の段に収納されたサンプル30のサイズをサイズ検出部19によって検出する。そして、制御部17は、サイズ検出部19の検出結果に基づいて、測定器11及び搬送装置13を制御する。これにより、制御部17は、取り出し対象段でサイズ検出部19によって検出されたサンプルのサイズが、メモリ20内のテーブル20Aに登録されたサンプルのサイズ要件を満たすことを確認してから、測定器11及び搬送装置13によるサンプル測定動作を継続することができる。このため、第2実施形態に係るサンプル測定装置10Aによれば、操作部18を介してユーザーがサンプル情報を設定しなくても、サンプルのサイズ間違いに起因する不具合を回避できる。
【0090】
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係るサンプル測定装置は、サイズ検出部の構成に特徴がある。第3実施形態に係るサンプル測定装置が備えるサイズ検出部は、カセット12の各々の段に設けられたサイズ検出センサによって構成されている。サイズ検出センサは、例えば、アレイセンサ、又は、圧力分布センサによって構成される。
【0091】
図21は、サイズ検出センサをアレイセンサによって構成した例を示す概略平面図である。
図21に示すように、一対の支持部125,126には、それぞれ複数のアレイセンサ50が設けられている。1つのアレイセンサ50は、例えば、反射型のフォトセンサによって構成される。複数のアレイセンサ50は、カセット奥行き方向Yに並んでいる。一対の支持部125,126は、カセット12内で1つの段を形成する。複数のアレイセンサ50は、カセット12のすべての段(支持部125,126)に設けられる。
【0092】
複数のアレイセンサ50は、支持部125,126にサンプル30が載っていない状態では、すべてオフ状態になる。また、複数のアレイセンサ50は、支持部125,126にサンプル30が載っている状態では、サンプル30と重なり合うアレイセンサ50だけがオン状態になる。その際、オン状態になるアレイセンサ50の個数は、カセット奥行き方向Yにおけるサンプル30のサイズによって決まる。したがって、オン状態になるアレイセンサ50の個数の違いによってサンプル30のサイズを検出できる。また、オン状態になるアレイセンサ50の個数がゼロの場合は、一対の支持部125,126が形成する段にサンプル30が収納されていないと判断できる。
【0093】
図22は、サイズ検出センサを圧力分布センサによって構成した例を示す概略平面図である。
図22に示すように、一対の支持部125,126には、それぞれ圧力分布センサ52が設けられている。圧力分布センサ52は、カセット奥行き方向Yに長いフィルム状のセンサである。圧力分布センサ52は、カセット12のすべての段(支持部125,126)に設けられる。
【0094】
圧力分布センサ52は、支持部125,126にサンプル30が載っていない状態では、すべてのセンサ領域が一様に低い圧力値を示す。また、圧力分布センサ52は、支持部125,126にサンプル30が載っている状態では、サンプル30と重なり合うセンサ領域だけが高い圧力値を示す。その際、高い圧力値を示すセンサ領域の面積は、カセット奥行き方向Yにおけるサンプル30のサイズによって決まる。したがって、高い圧力値を示すセンサ領域の面積の違いによってサンプル30のサイズを検出できる。また、すべてのセンサ領域が一様に低い圧力値を示す場合は、一対の支持部125,126が形成する段にサンプル30が収納されていないと判断できる。
【符号の説明】
【0095】
10,10A…サンプル測定装置
11…測定器
12…カセット
13…搬送装置
16…ハンド部
17…制御部
18…操作部
19…サイズ検出部
27…押し当て部材
30…サンプル
20…メモリ
20A…テーブル
50…アレイセンサ(サイズ検出センサ)
52…圧力分布センサ(サイズ検出センサ)
124…背板部(基準端部)
Y…カセットの奥行き方向
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