(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008744
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】フート弁
(51)【国際特許分類】
F16K 51/00 20060101AFI20250109BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F16K51/00 A
F04B53/10 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111185
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】湯地 実
【テーマコード(参考)】
3H066
3H071
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA38
3H071AA01
3H071CC41
3H071DD23
3H071DD61
(57)【要約】
【課題】メンテナンスを簡便化することができるフート弁を提供する。
【解決手段】上端側に吸込配管6が接続され、下端側に弁箱弁座7が設けられた筒状の弁箱2と、吸込配管6内の液体の水頭圧f1によって弁箱弁座7に当接して弁箱2の下端側を塞ぐ一方で、吸込配管6を通って上向きに流れる液体の吸込揚程圧f2によって弁箱弁座7と離間する弁体3と、弁箱2の下部に設けられ、吸込配管6を通って上向きに流れる液体中の塵芥物を除去するスクリーン部材4と、スクリーン部材4の外側表面に沿って相対移動可能に設けられたクリーニング部材5と、を有する構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側に吸込配管(6)が接続され、下端側に弁箱弁座(7)が設けられた筒状の弁箱(2)と、
前記吸込配管(6)内の液体の水頭圧(f1)によって前記弁箱弁座(7)に当接して前記弁箱(2)の下端側を塞ぐ一方で、前記吸込配管(6)を通って上向きに流れる液体の吸込揚程圧(f2)によって前記弁箱弁座(7)と離間する弁体(3)と、
前記弁箱(2)の下部に設けられ、液体中の塵芥物を除去するスクリーン部材(4)と、
前記スクリーン部材(4)の外側表面に沿って相対移動可能に設けられたクリーニング部材(5)と、
を有するフート弁。
【請求項2】
前記弁体(3)と前記クリーニング部材(5)との間に介在するリンク部材(9)をさらに有し、前記リンク部材(9)によって、前記弁体(3)の開閉動作に伴って前記クリーニング部材(5)が移動するように構成された請求項1に記載のフート弁。
【請求項3】
前記リンク部材(9)が、前記弁体(3)を軸方向に沿って案内する当該弁体(3)に固定されたガイドシャフト(9)であって、前記弁体(3)および前記ガイドシャフト(9)とともに前記クリーニング部材(5)が軸方向に移動するように構成された請求項2に記載のフート弁。
【請求項4】
前記スクリーン部材(4)および前記クリーニング部材(5)が円筒形状をなしており、前記クリーニング部材(5)の周方向の一部にその軸方向の全体に亘って延びるスリット(11)が形成されており、前記クリーニング部材(5)に前記スリット(11)の幅を変えるスリット幅調整機構(12)が設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載のフート弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸込配管の先端に設けられるフート弁に関する。
【背景技術】
【0002】
池などの水質浄化作業、養殖場、水力発電装置などにおいては、揚水ポンプが設けられた吸水配管によって水が汲み上げられる。この吸水配管の先端(下端)には、揚水ポンプの停止時に吸水配管で落水が生じるのを防止するためのフート弁が取り付けられる。
【0003】
このフート弁による水の汲み上げに際しては、水とともに塵芥物を吸い込むことがあり、この塵芥物によって揚水ポンプが故障するトラブルが引き起こされるおそれがある。また、フート弁の弁体に塵芥物が挟み込まれることにより吸水配管内の落水が生じるため、揚水ポンプを再稼働する前に呼び水が必要となり、作業が煩雑となるおそれもある。
【0004】
このため、例えば下記特許文献1、2に示すように、フート弁の吸い込み口にストレーナとして機能するスクリーン部材(特許文献1のストレーナ3、特許文献2のストレーナ8をそれぞれ参照)を設け、フート弁の内部に塵芥物が吸い込まれるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭56-67383号公報
【特許文献2】実開昭62-190875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に係る構成においては、フート弁の吸い込み量を確保するために、定期的にスクリーン部材をメンテナンスする必要があるが、水中に浸漬されているフート弁を水中から引き上げてメンテナンスするのは面倒である。
【0007】
そこで、この発明は、メンテナンスを簡便化することができるフート弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明では、
上端側に吸込配管が接続され、下端側に弁箱弁座が設けられた筒状の弁箱と、
前記吸込配管内の液体の水頭圧によって前記弁箱弁座に当接して前記弁箱の下端側を塞ぐ一方で、前記吸込配管を通って上向きに流れる液体の吸込揚程圧によって前記弁箱弁座と離間する弁体と、
前記弁箱の下部に設けられ、液体中の塵芥物を除去するスクリーン部材と、
前記スクリーン部材の外側表面に沿って相対移動可能に設けられたクリーニング部材と、
を有するフート弁を構成した。
【0009】
このようにすると、スクリーン部材とクリーニング部材との間の相対移動によってスクリーン部材の表面に付着した塵芥物をスムーズに除去することができるため、フート弁のメンテナンスを簡便化することができる。
【0010】
前記構成においては、前記弁体と前記クリーニング部材との間に介在するリンク部材をさらに有し、前記リンク部材によって、前記弁体の開閉動作に伴って前記クリーニング部材が移動するように構成するのが好ましい。このようにすると、通常の弁体開閉動作の中でスクリーン部材の表面から塵芥物が除去されるため、フート弁のメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【0011】
前記リンク部材を有する構成においては、前記リンク部材が、前記弁体を軸方向に沿って案内する当該弁体に固定されたガイドシャフトであって、前記弁体および前記ガイドシャフトとともに前記クリーニング部材が軸方向に移動するように構成するのが好ましい。このガイドシャフトは、弁体が軸方向に移動するフート弁の既存の部品であるため、部品点数を増やすことなく、クリーニング部材の移動機構を構成することができる。
【0012】
前記各構成においては、前記スクリーン部材および前記クリーニング部材が円筒形状をなしており、前記クリーニング部材の周方向の一部にその軸方向の全体に亘って延びるスリットが形成されており、前記クリーニング部材に前記スリットの幅を変えるスリット幅調整機構が設けられている構成とするのが好ましい。このようにすると、スクリーン部材とクリーニング部材との間の径方向隙間の大きさを適宜調節することができ、スクリーン部材の表面に付着した塵芥物の除去性能と、スクリーン部材とクリーニング部材との間の相対移動のスムーズ性の両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明では、フート弁においてスクリーン部材の外側表面に沿って相対移動可能なクリーニング部材を設けたことにより、スクリーン部材とクリーニング部材との間の相対移動によってスクリーン部材の表面に付着した塵芥物をスムーズに除去することができるため、フート弁のメンテナンスを簡便化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明に係るフート弁(第一実施形態)の閉弁状態を示す断面図
【
図3】
図1に示すフート弁のクリーニング部材の斜視図
【
図4】この発明に係るフート弁(第二実施形態)の閉弁状態を示す断面図
【
図6】
図1に示すフート弁のクリーニング部材の他例を示す正面図
【
図7】この発明に係るフート弁(第三実施形態)の閉弁状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明に係るフート弁1の第一実施形態を図面に基づいて説明する。このフート弁1は、池などの水質浄化作業、養殖場、水力発電装置などにおいて水を汲み上げるために水中に設置される装置であって、
図1に示すように、弁箱2と、弁体3と、スクリーン部材4と、クリーニング部材5とを主要な構成要素としている。
【0016】
弁箱2は筒状をなし、その上端側には吸込配管6が接続され、下端側には弁箱弁座7が設けられている。吸込配管6の途中には、水を吸い上げるための揚水ポンプ(図示せず)が設けられている。
【0017】
弁体3は、弁箱弁座7に対し接離可能に、弁箱2の内部に設けられている。弁箱2の内部には、閉止ばね8が設けられている。この閉止ばね8の上端は弁箱2の上端部内面に当接し、下端は弁体3の上面に当接している。
図1に示すように、吸込配管6内の水の水頭圧f1および閉止ばね8が延びようとする付勢力によって、弁体3が弁箱弁座7に押し付けられると、フート弁1は閉弁状態となる。
【0018】
その一方で、
図2に示すように、吸込配管6を通って上向きに流れる水(
図2中の矢印wを参照)の吸込揚程圧f2によって、閉止ばね8の付勢力に抗して弁体3が弁箱弁座7と離間すると、フート弁1は開弁状態となる。弁体3の下端側には、弁体3とクリーニング部材5との間に介在するリンク部材9としてのガイドシャフト(以下、リンク部材9と同じ符号を付する。)がこの弁体3と同軸に設けられている。
【0019】
スクリーン部材4は、弁箱2の下部に設けられた、有底円筒形状のパンチングメタルである。フート弁1から吸い上げられる水がこのスクリーン部材4を通過するように構成されており、このスクリーン部材4によって、水に含まれる塵芥物が除去される。この実施形態においては、スクリーン部材4をパンチングメタルで構成したが、例えばメッシュ素材など他の形状の部材で構成することもできる。なお、パンチングメタルの穴径は、揚水ポンプの駆動に支障がない限りにおいて適宜決定することができる。
【0020】
クリーニング部材5は、スクリーン部材4の径方向外側に設けられた、有底円筒形状のパンチングメタルである。このパンチングメタルの穴径は、スクリーン部材4を構成するパンチングメタルの穴径よりも相対的に大径としている。
【0021】
クリーニング部材5は、スクリーン部材4の外側表面に沿って軸方向に相対移動可能に設けられている。クリーニング部材5の下端部は、ガイドシャフト9の下端部を固定する固定部材10によって固定されている。すなわち、弁体3、ガイドシャフト9、固定部材10、および、クリーニング部材5は一体化されており、弁体3がその開閉弁に伴って軸方向(上下方向)に移動すると、それに伴ってクリーニング部材5も軸方向に移動する。このクリーニング部材5の軸方向への移動に伴って、スクリーン部材4の外面に付着した塵芥物が除去される。
【0022】
図3に示すように、クリーニング部材5の周方向の一部には、このクリーニング部材5の軸方向の全体に亘るスリット11が形成されている。このスリット11の近傍には、スリット11の幅を変えるためのスリット幅調整機構12が2か所に設けられている。このスリット幅調整機構12は、スリット11の一方側に設けられるボルト固定プレート12aと、ボルト固定プレート12aに設けられるボルト12bと、このボルト12b側に一端側が固定され、スリット11の他方側に他端側が固定された引きばね12cと、を有している。ボルト固定プレート12aへのボルト12bのねじ込み量を調節して引きばね12cの付勢力を調節することで、スリット幅を適宜変化させることができる。
【0023】
このスリット11の上端部には、ねじれ防止機構13が設けられている。このねじれ防止機構13は、スリット11の一方側に設けられるガイド部材13aと、スリット11の他方側に設けられガイド部材13aを案内するガイドレール13bと、を有している。ねじれ防止機構13を設けることで、スリット幅調整機構12でスリット幅を調整する際に、スリット11の両端部の軸方向位置が互いにずれてクリーニング部材5がねじれた状態となるのを防止することができる。
【0024】
なお、
図3に示したスリット幅調整機構12およびねじれ防止機構13はいずれも例示に過ぎず、それぞれの機能を発揮し得る限りにおいて他の構成を採用することができる。
【0025】
この発明に係るフート弁1の第二実施形態を図面に基づいて説明する。このフート弁1は、
図4に示すように、第一実施形態に係るフート弁1と同様に、弁箱2と、弁体3と、スクリーン部材4と、クリーニング部材5とを主要な構成要素とし、各構成要素の機能も共通するが、閉止ばね8を設ける位置が相違している。
【0026】
第二実施形態においては、閉止ばね8が、スクリーン部材4の内部にガイドシャフト9と同軸に設けられている。この閉止ばね8は、スクリーン部材4に固定された収納部材14の中に収納されている。閉止ばね8の上端側は収納部材14の上端部内面に当接する一方で、下端側はガイドシャフト9に固定されたばね押さえ15(ワッシャ)によって係止されている。
【0027】
図4に示すように、吸込配管6内の水の水頭圧f1および閉止ばね8が延びようとする付勢力によって、弁体3が弁箱弁座7に押し付けられると、フート弁1は閉弁状態となる。その一方で、
図5に示すように、吸込配管6を通って上向きに流れる水(
図5中の矢印wを参照)の吸込揚程圧f2によって、閉止ばね8の付勢力に抗して弁体3が弁箱弁座7と離間すると、フート弁1は開弁状態となる。
【0028】
第一実施形態に係るフート弁1において説明したスリット幅調整機構12およびねじれ防止機構13は、第二実施形態に係るフート弁1にも採用することができる。
【0029】
上記の各実施形態においては、クリーニング部材5をスクリーン部材4よりも穴径が大きいパンチングメタルで構成したが、開弁状態においてスクリーン部材4のパンチングメタルの穴を極力塞がないようにすることができる限りにおいて、クリーニング部材5をメッシュ素材など他の形状の部材で構成することもできる。また、
図6に示すように、軸方向に同軸状に複数個並べて配置された環状の部材を軸方向に一体に移動可能とした、スクレーパ形状のクリーニング部材5とすることもできる。
【0030】
また、上記の各実施形態においては、スクリーン部材4とクリーニング部材5が軸方向に相対移動する構成としたが、弁体3の軸方向への移動に伴って周方向に相対移動する構成、または、軸方向と周方向の両方(軸方向に対して斜め方向)に相対移動する構成とすることもできる。
【0031】
上記の第一実施形態においては弁箱2の内部に、第二実施形態においてはスクリーン部材4の内部に、閉止ばね8をそれぞれ設けた構成としたが、例えば、弁体3の自重と水頭圧f1で十分な密閉状態を確保することができるのであれば、この閉止ばね8を省略することができる可能性がある。
【0032】
また、上記の各実施形態においては、弁体3とクリーニング部材5が、ガイドシャフト9を介して連結された構成としたが、他の種類のリンク部材9によって弁体3とクリーニング部材5が連結された構成とすることができる可能性がある。
【0033】
この発明に係るフート弁1の第三実施形態を図面に基づいて説明する。このフート弁1は、
図7に示すように、第一および第二実施形態に係るフート弁1と同様に、弁箱2と、弁体3と、スクリーン部材4と、クリーニング部材5とを主要な構成要素とし、各構成要素の機能も共通するが、弁体3やリンク部材9などの構成が相違している。
【0034】
第三実施形態においては、弁体3が水平揺動軸16の周りに揺動することで開閉するよう構成されている。
図7に示すように、吸込配管6内の水の水頭圧f1および弁体3の自重によって、弁体3が弁箱弁座7に押し付けられると、フート弁1は閉弁状態となる。その一方で、
図8に示すように、吸込配管6を通って上向きに流れる水(
図8中の矢印wを参照)の吸込揚程圧f2によって、弁体3の自重に抗して弁体3が弁箱弁座7と離間すると、フート弁1は開弁状態となる。
【0035】
スクリーン部材4は、弁箱2の下部に設けられた、軸方向に延びる複数のスリットが形成された円筒状の部材である。スクリーン部材4の下端側には、平面視円板状の底板17が設けられている。底板17の上面側には、その中央にばね座18が形成されるとともに、周方向に所定角度(この実施形態では90度)おきに、起立部材19が上向きに立設されている。起立部材19には軸方向(上下方向)に延びる長孔20が形成されている。
【0036】
クリーニング部材5は、スクリーン部材4の外側表面に沿って軸方向に相対移動可能に設けられた、円筒形状のパンチングメタルである。このクリーニング部材5の外周面には、周方向に所定角度(この実施形態では90度)おきに固定ピン21が設けられている。
【0037】
スクリーン部材4の内部には、軸方向(上下方向)に延びる鉛直片22と、周方向に90度間隔で水平方向に延びる水平片23とを有するリンク部材9が設けられている。鉛直片22の上端は、後述する付勢部材30の付勢力によって弁体3の下面に当接している。
【0038】
鉛直片22と各水平片23には、リンク突起24、25が設けられている。水平片23に設けられたリンク突起25は、起立部材19に形成された長孔20内を上下に移動可能となっている。また、水平片23の端部に形成された貫通孔26には、クリーニング部材5に設けられた固定ピン21が挿入されている。
【0039】
スクリーン部材4の内部には、一端側が水平揺動軸27によって揺動可能に支持されたレバー28が設けられている。このレバー28の他端側は、スクリーン部材4およびクリーニング部材5を貫通して外側に突出している。レバー28には、その延設方向に沿って延びる長孔29が形成されており、この長孔29に、鉛直片22に設けられたリンク突起24が挿入されている。
【0040】
底板17に形成されたばね座18には、付勢部材30が設けられている。この付勢部材30は、コイルばねであって、リンク部材9を上向きに付勢する。この付勢部材30の付勢力は、弁体3の下面にリンク部材9の鉛直片22の上端を当接させる程度(比較的弱い付勢力)であって、この付勢力で、弁体3の自重に抗してこの弁体3を上向きに揺動させることはできない。
【0041】
弁体3がその開閉に伴って揺動すると、付勢部材30の付勢力によって弁体3の下面に当接するリンク部材9が上下に移動する。このとき、水平片23に設けられた各リンク突起25が、各起立部材19に形成された長孔20に案内され、水平片23の水平状態が維持される。リンク部材9が上下に移動すると、水平片23の端部に形成された貫通孔26に挿入された固定ピン21とともにクリーニング部材5が軸方向に移動する。これにより、スクリーン部材4の外面に付着した塵芥物が除去される。
【0042】
また、レバー28の先端を手で上下動させると、レバー28に形成された長孔29に挿入されたリンク突起24を介してリンク部材9を上下動することができる。このため、弁体3の開閉と関係なくクリーニング部材5を軸方向に移動させて、フート弁1のメンテナンスを行うこともできる。
【0043】
上記の各実施形態に係るフート弁1は、スクリーン部材4とクリーニング部材5との間の相対移動によってスクリーン部材4の表面に付着した塵芥物をスムーズに除去することができるため、そのメンテナンスを簡便化することができる。特に、弁体3とクリーニング部材5との間にリンク部材9を介在させ、このリンク部材9によって弁体3の開閉動作に伴ってクリーニング部材5が移動するように構成したので、通常の弁体開閉動作の中でスクリーン部材4の表面から塵芥物が除去され、フート弁1のメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【0044】
上記の各実施形態に係るフート弁1は、円筒状をなすクリーニング部材5の周方向の一部にその軸方向の全体に亘って延びるスリット11を形成し、そのスリット11にスリット幅を変えるスリット幅調整機構12を設けたので、スクリーン部材4とクリーニング部材5との間の径方向隙間の大きさを適宜調節することができ、スクリーン部材4の表面に付着した塵芥物の除去性能と、スクリーン部材4とクリーニング部材5との間の相対移動のスムーズ性の両立を図ることができる。
【0045】
特に上記のように引きばね12cを採用したスリット幅調整機構12においては、スクリーン部材4の外面に塵芥物が噛み込んでしまいクリーニング部材5によって外れない場合であっても、引きばね12cの伸縮によってクリーニング部材5が縮拡径して、スクリーン部材4に噛み込んだ塵芥物を乗り越えることができる。このため、噛み込んだ塵芥物にクリーニング部材5が引っ掛かって、スクリーン部材4とクリーニング部材5の相対移動に支障が生じるのを防止することができる。
【0046】
上記においては、クリーニング部材5によってスクリーン部材4の外面に付着した塵芥物を除去する機能について説明したが、パンチングメタルの穴径、スリットの大きさなどによっては、クリーニング部材5自体にスクリーン部材4と同様の塵芥物除去機能をもたせることができる可能性がある。
【0047】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およびすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 フート弁
2 弁箱
3 弁体
4 スクリーン部材
5 クリーニング部材
6 吸込配管
7 弁箱弁座
8 閉止ばね
9 リンク部材(ガイドシャフト)
10 固定部材
11 スリット
12 スリット幅調整機構
12a ボルト固定プレート
12b ボルト
12c 引きばね
13 ねじれ防止機構
13a ガイド部材
13b ガイドレール
14 収納部材
15 ばね押さえ
16 水平揺動軸
17 底板
18 ばね座
19 起立部材
20 長孔
21 固定ピン
22 鉛直片
23 水平片
24、25 リンク突起
26 貫通孔
27 水平揺動軸
28 レバー
29 長孔
30 付勢部材
f1 水頭圧
f2 吸込揚程圧