(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008745
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】蓄電セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20250109BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/169
H01M50/124
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/184 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111190
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志村 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】大林 叔朗
(72)【発明者】
【氏名】山中 篤
(72)【発明者】
【氏名】千原 真志
(72)【発明者】
【氏名】杉江 和紀
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
(72)【発明者】
【氏名】平尾 康裕
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011AA10
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011FF03
(57)【要約】
【課題】セルケースの一方向における寸法自由度を高めるとともに、セルケースの封止性の低下を抑制する。
【解決手段】本開示に基づく蓄電セル10において、筒状本体部210は、フィルムFを筒状に成形してなる。第1封口体510は、第1開口部218を閉塞している。第2封口体610は、第2開口部219を閉塞している。第1封口体510は、第1板状部511と、第1延出部512とを有している。第1板状部511は、第1開口部218および第2開口部219が並ぶ第1方向D1に直交する仮想平面に平行に延びている。第1板状部511は、第1開口部218と第1方向D1において隣り合っている。第1延出部512は、第1板状部511から第1方向D1に延びている。第1延出部512は、筒状本体部210の内側に配置されている。第1延出部512は、筒状本体部210の内周面210Sと接合している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体を収容するセルケースとを備え、
前記セルケースは、
フィルムを筒状に成形してなり、両端のそれぞれに第1開口部および第2開口部が形成された筒状本体部と、
前記第1開口部を閉塞する第1封口体と、
前記第2開口部を閉塞する第2封口体とを有し、
前記第1封口体は、前記第1開口部および前記第2開口部が並ぶ第1方向に直交する仮想平面に平行に延び、前記第1開口部と前記第1方向において隣り合う第1板状部と、
前記第1板状部から前記第1方向に延び、前記筒状本体部の内側に配置されている、第1延出部とを有し、
前記第1延出部は、前記筒状本体部の内周面と接合している、蓄電セル。
【請求項2】
前記第1延出部は、前記筒状本体部の前記内周面に沿って延びており、筒状の外形を有している、請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項3】
前記フィルムは、前記筒状本体部の前記内周面を構成する樹脂層と、該樹脂層に積層された金属層とを含み、
前記第1延出部は、前記第1板状部に一体的に成形された内層部と、該内層部と前記筒状本体部との間に配置された外層部とを有し、
前記外層部は樹脂からなり、前記フィルムの前記樹脂層と溶着している、請求項1または請求項2に記載の蓄電セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電セルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2021-061100号公報)には、開口部シールのフィルムと容器蓋のフィルムとの樹脂融着層を介して、開口部シールが容器蓋に固定され、開口部が密閉されることを特徴とする、電池セルケースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、セルケースは、封止性の低下を抑制することが重要である。また、蓄電セルをたとえば車載用として用いる場合には、蓄電セルをより低背化するとともに、エネルギー密度低下抑制のため、蓄電セルの横方向のうちの一方向における寸法をより大きくすることが求められる。しかしながら、従来の蓄電セルにおいては、上記一方向にさらに長い寸法を有するセルケールを製造することが困難であった。このため、上記一方向における寸法に制約が生じていた。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、セルケースの一方向における寸法自由度を高めるとともに、セルケースの封止性の低下を抑制できる、蓄電セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく蓄電セルは、電極体と、セルケースとを備えている。セルケースは、電極体を収容している。セルケースは、筒状本体部と、第1封口体と、第2封口体とを有している。筒状本体部は、フィルムを筒状に成形してなる。筒状本体部は、両端のそれぞれに第1開口部および第2開口部が形成されている。第1封口体は、第1開口部を閉塞している。第2封口体は、第2開口部を閉塞している。第1封口体は、第1板状部と、第1延出部とを有している。第1板状部は、第1開口部および第2開口部が並ぶ第1方向に直交する仮想平面に平行に延びている。第1板状部は、第1開口部と第1方向において隣り合っている。第1延出部は、第1板状部から第1方向に延びている。第1延出部は、筒状本体部の内側に配置されている。第1延出部は、筒状本体部の内周面と接合している。
【0007】
本開示によれば、セルケースの筒状本体部をフィルムから成形するため、セルケースの第1方向における寸法自由度を高めることができる。さらには、筒状本体部をフィルムから成形した場合であっても、第1封口体が第1延出部を有するため、第1延出部により第1封口体と筒状本体部の内周面とが互いに密に接合される。これにより、セルケースの筒状本体部をフィルムから成形した場合であっても、セルケースの封止性の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、セルケースの一方向における寸法自由度を高めるとともに、セルケースの封止性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る蓄電セルを示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る蓄電セルの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】一実施形態に係る蓄電セルにおいて、セルケースを成形している途中の様子を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図3の領域VIを拡大して示す部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材に、同じ番号が付されている。
【0011】
図1は、一実施形態に係る蓄電セルを示す斜視図である。
図2は、一実施形態に係る蓄電セルの分解斜視図である。
図3は、
図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
図1から
図3に示すように、一実施形態に係る蓄電セル10は、電極体100と、セルケース200と、正極端子としての正極部材620と、負極端子としての負極部材520とを備える。
【0012】
図4は、
図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。なお、
図4においては、便宜上、蓄電セル10のセルケース200を省略し、電極体100のみを示している。
図4を参照して、電極体100の詳細について説明する。
【0013】
図4に示すように、電極体100は、複数の正極110および複数の負極120と、セパレータ130とを備えている。複数の正極110および複数の負極120は、セパレータ130によって絶縁された状態で厚さ方向(第2方向D2)に交互に並ぶように配置されている。
【0014】
各負極120は、幅方向(第1方向D1)を長手とし、高さ方向(第3方向D3)を短手とする長方形形状に形成されている。第2方向D2は第1方向D1に直交する方向である。第3方向D3は第1方向D1および第2方向D2の両方に直交する方向である。各負極120は、負極集電箔122と、負極集電箔122の両面に設けられた負極活物質層124と、を有している。負極集電箔122は、負極活物質層124が設けられていない負極タブ122n(
図3参照)を有している。負極タブ122nは、第1方向D1における一方側に向かって突出している。
【0015】
各正極110は、第1方向D1を長手とし、第3方向D3を短手とする長方形形状に形成されている。各正極110は、正極集電箔112と、第2方向D2における正極集電箔112の両面に設けられた正極活物質層114と、を有している。正極集電箔112は、正極活物質層114が設けられていない正極タブ112p(
図3参照)を有している。正極タブ112pは、第1方向D1の他方側に向けて向かって突出している。
【0016】
セパレータ130は、正極110および負極120間を絶縁している。セパレータ130は、絶縁材料からなり、イオンの透過を許容する微小な空隙を有している。セパレータ130は、つづら折り状に形成されている。
【0017】
セパレータ130は、つづら折り状に形成される前の状態では長方形形状を呈している。セパレータ130は、正極110および負極120間につづら折り状に形成されながら配置される。セパレータ130は、複数の介在部132aと、複数の第1折返し部132bと、複数の第2折返し部132cと、最外被覆部132dと、を有している。
【0018】
各介在部132aは、第2方向D2に互いに隣り合う正極110および負極120間に介在している。つまり、各介在部132aは、正極110および負極120間を絶縁する機能を有している。各介在部132aは、矩形状の領域で構成されている。
【0019】
各第1折返し部132bは、正極110が間に位置するように第2方向D2に互いに隣り合う介在部132aの第3方向D3の一方側端部同士を連結している。第1折返し部132bは、正極110の第3方向D3の一方側(上方)に配置されている。
【0020】
各第2折返し部132cは、負極120が間に位置するように第2方向D2に互いに隣り合う介在部132aの第3方向D3の他方側端部同士を連結している。第2折返し部132cは、負極120の第3方向D3の他方側(下方)に配置されている。
【0021】
最外被覆部132dは、各第1折返し部132bおよび各第2折返し部132cをまとめて被覆している。より詳細には、最外被覆部132dは、全ての正極110、全ての負極120、全ての介在部132a、全ての第1折返し部132bおよび全ての第2折返し部132cを、第1方向D1と平行な中心軸まわりに巻回しながらまとめて被覆している。最外被覆部132dの終端132eは、第2方向D2に正極活物質層114および負極活物質層124と重ならない範囲に設定されている。本実施形態では、最外被覆部132dの終端132eは、各正極110、各負極120よりも下方に設けられている。なお、複数の正極110、複数の負極120、およびセパレータ130の周面と底面には、絶縁フィルム(不図示)が被覆されていてもよい。
【0022】
セルケース200は、電極体100を収容している。セルケース200は、略直方体形状を有している。セルケース200は、第3方向D3における寸法、および、第2方向D2における寸法より、第1方向D1における寸法が長くなるように構成されている。また、セルケース200は、第2方向D2における寸法より、第3方向D3における寸法が、長くなるように構成されている。
【0023】
セルケース200は、内部に電極体100および電解液(不図示)を収容する。セルケース200は、筒状本体部210、第1封口体510、および第2封口体610を有している。
【0024】
筒状本体部210には、第1方向D1における両端のそれぞれに第1開口部218および第2開口部219が形成されている。第1開口部218は、第1方向D1の一方側に設けられており、第2開口部219は、第1方向D1の他方側に設けられている。筒状本体部210は、フィルムFを筒状に成形してなる。筒状本体部210の具体的な成形方法については後述する。
【0025】
筒状本体部210は、底面部211と、第1側面部212と、第2側面部213と、天面部214と、帯状部215とを有している。
【0026】
底面部211は、第3方向D3の一方側に位置している。底面部211は、第3方向D3から見て矩形状の外形を有している。
【0027】
第1側面部212は、底面部211の第2方向D2における一方端から第3方向D3に沿って起立している。第2側面部213は、底面部211の第2方向D2における他方端から第3方向D3に沿って起立している。第1側面部212および第2側面部213は、第2方向D2から見て矩形状の外形を有している。
【0028】
天面部214は、第3方向D3の他方側に位置している。天面部214は、第3方向D3から見て矩形状の外形を有している。天面部214は、第1側面部212と第2側面部213のそれぞれの上方の端部同士を接続する。本実施形態において、天面部214は、第1側面部212から延出している。天面部214は、帯状部215を介して第2側面部213と接続している。
【0029】
帯状部215は、フィルムFの両端のそれぞれに位置する第1側端部FE1と第2側端部FE2とが互いに接合されることで形成されている。
【0030】
帯状部215は、第1方向D1に沿って延びている。帯状部215は、セルケース200の外側に延出している。上述のように、本実施形態においては、帯状部215が天面部214と第2側面部213とを接続している。ただし、帯状部215の位置は特に限定されない。帯状部215は、天面部214と第1側面部212とを接続してもよいし、底面部211と第1側面部212とを接続してもよいし、底面部211と第2側面部213とを接続してもよい。
【0031】
第1開口部218は、底面部211、第1側面部212、第2側面部213および天面部214の一方端で構成され、第2開口部219は、これらの他方端で構成されている。
【0032】
第1封口体510は、第1開口部218を閉塞している。第1封口体510は、第1板状部511と、第1延出部512とを有している。
【0033】
第1板状部511は、平板形状を有する。第1板状部511は、第1開口部218および第2開口部219が並ぶ第1方向D1に直交する仮想平面に平行に延びている。すなわち、第1板状部511は、第2方向D2および第3方向D3の両方に平行に延びている。第1板状部511は、第1開口部218と第1方向D1において隣り合っている。第1板状部511は、アルミニウムなどの金属によって構成されている。第1板状部511には、負極部材520が設けられている。
【0034】
第1板状部511には、圧力開放弁515が設けられている。圧力開放弁515は、セルケース200の内圧が所定圧以上となると破断するように設けらている。圧力開放弁515が破断することで、セルケース200内のガスがセルケース200外に排出されるため、セルケース200内の内圧が低下する。
【0035】
第1延出部512は、第1板状部511から第1方向D1に延びている。第1延出部512は、筒状本体部210の内側に配置されている(
図3参照)。第1延出部512は、筒状本体部210の内周面210Sに沿って延びており、筒状の外形を有している(
図2参照)。具体的には、第1延出部512は矩形筒状の外形を有している。第1延出部512は、筒状本体部210の内周面210Sと接合している。
【0036】
第1延出部512は、内層部512aと、外層部512bとを有している。内層部512aは、第1板状部511に一体的に成形されている。すなわち、第1板状部511はアルミニウムなどの金属からなる。外層部512bは、内層部512aと筒状本体部210との間に配置されている。外層部512bは樹脂からなる。外層部512bは、熱溶着により、筒状本体部210の内周面210Sと接合している。
【0037】
負極部材520は、第1板状部511の外表面に設けられている。負極部材520は、負極端子として機能する。負極部材520は、負極端子板521および絶縁プレート522とを有する。
【0038】
負極端子板521は、略直方体形状に形成されている。負極端子板521は、絶縁プレート522によって保持されている。絶縁プレート522は、第1板状部511の外表面に固定されている。絶縁プレート522は、第1板状部511と負極端子板521との間を絶縁している。負極端子板521および絶縁プレート522の各々には、後述する負極連結ピン533を挿通させるための貫通孔が設けられている。
【0039】
第2封口体610は、第2開口部219を閉塞している。第2封口体610は、第2板状部611と、第2延出部612とを有している。
【0040】
第2板状部611は、平板形状を有する。第2板状部611は、第1方向D1に直交する仮想平面に平行に延びている。すなわち、第2板状部611は、第2方向D2および第3方向D3の両方に平行に延びている。第2板状部611は、第2開口部219と第1方向D1において隣り合っている。第2板状部611は、アルミニウムなどの金属によって構成されている。第2板状部611には、正極部材620が設けられている。
【0041】
第2板状部611には、圧力開放弁615が設けられている。圧力開放弁615は、セルケース200の内圧が所定圧以上となると破断するように設けらている。圧力開放弁615が破断することで、セルケース200内のガスがセルケース200外に排出されるため、セルケース200内の内圧が低下する。
【0042】
第2延出部612は、第2板状部611から第1方向D1に延びている。第2延出部612は、筒状本体部210の内側に配置されている(
図3参照)。第2延出部612は、筒状本体部210の内周面210Sに沿って延びており、筒状の外形を有している(
図2参照)。具体的には、第2延出部612は矩形筒状の外形を有している。第2延出部612は、筒状本体部210の内周面210Sと接合している。
【0043】
第2延出部612は、内層部612aと、外層部612bとを有している。内層部612aは、第2板状部611に一体的に成形されている。すなわち、第2板状部611はアルミニウムなどの金属からなる。外層部612bは、内層部612aと筒状本体部210との間に配置されている。外層部612bは樹脂からなる。外層部612bは、熱溶着により、筒状本体部210の内周面210Sと接合している。
【0044】
正極部材620は、第2板状部611の外表面に設けられている。正極部材620は、正極端子として機能する。正極部材620は、正極端子板621および端子ブロック622とを有する。
【0045】
正極端子板621は、直方体形状に形成されている。正極端子板621は、アルミニウム等の金属によって構成されている。
【0046】
端子ブロック622は、直方体形状に形成されている。端子ブロック622は、正極端子板621を構成する金属とは異なる金属(鉄など)によって構成されている。端子ブロック622は、第2板状部611の外表面に溶接等によって固定されている。当該端子ブロック622に正極端子板621が溶接等によって固定されている。第2板状部611は、端子ブロック622を介して正極端子板621に電気的に接続されており、正極端子板621と同じ極性に帯電している。正極端子板621および端子ブロック622の各々には、後述する正極連結ピン633を挿通させるための貫通孔が形成されている。
【0047】
なお、正極部材620は、第2板状部611との間に絶縁プレートが配置され、正極部材620と第2封口体610とが電気的に絶縁されていてもよい。この場合には、端子ブロック622に替えて絶縁プレートを配置してもよいし、端子ブロック622と第2板状部611との間に絶縁プレートを配置してもよい。
【0048】
蓄電セル10は、負極部材520側において、負極連結部材530、負極側絶縁部材550、およびインシュレータ560をさらに備える。
【0049】
負極連結部材530は、負極集電部120Nと負極端子板521とを連結する。負極集電部120Nは、電極体100のうち後述する負極タブ122nが複数束ねられることで形成された部分である。負極連結部材530は、負極側第1集電体531、負極側第2集電体532、および負極連結ピン533とを含む。
【0050】
負極側第1集電体531は、薄板状の導電部材によって構成されている。負極側第1集電体531は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって負極集電部120Nに接続されている。
【0051】
負極側第2集電体532は、薄板状の導電部材によって構成されている。負極側第2集電体532は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって負極側第1集電体531に接続されている。負極側第2集電体532は、負極連結ピン533を保持する保持部532aを有する。保持部532aは、平板形状を有する。保持部532aには、貫通孔が設けられており、負極連結ピン533の基端が挿入される。
【0052】
負極連結ピン533は、負極側第2集電体532と負極端子板521とを連結する。負極連結ピン533は、円柱状部を含んでいる。当該円柱状部の先端側は、第1封口体510、絶縁プレート522および負極端子板521を貫通し、負極端子板521にかしめられている。
【0053】
負極側絶縁部材550は、第1延出部512と電極体100との間に配置されている。負極側絶縁部材550には、負極集電部120Nが挿通されるスリット552が設けられている。
【0054】
第1板状部511と負極側絶縁部材550との間に収容空間が形成されるように、第1延出部512と負極側絶縁部材550とが互いに組み付けられる。当該収容空間には、上記スリット552に挿通された負極集電部120N、負極側第1集電体531、および負極側第2集電体532が配置される。
【0055】
インシュレータ560は、負極連結ピン533の上記円柱状部を被覆する形状を有している。インシュレータ560は、負極連結ピン533とセルケース200(より特定的には第1板状部511)との間を絶縁している。
【0056】
上記の負極部材520、第1封口体510、負極連結部材530、負極側絶縁部材550、およびインシュレータ560は、組み込まれて第1蓋アセンブリ50を構成している。
【0057】
第1蓋アセンブリ50は、負極集電部120Nと負極連結部材530とが溶接等で固定された状態で第1封口体510が第1開口部218に取り付けられることにより、筒状本体部210に固定される。
【0058】
蓄電セル10は、正極部材620側において、正極連結部材630、正極側絶縁部材650、およびインシュレータ660をさらに備える。
【0059】
正極連結部材630は、正極集電部110Pと正極端子板621とを連結する。正極集電部110Pは、電極体100のうち後述する正極タブ112pが複数束ねられることで形成された部分である。正極連結部材630は、正極側第1集電体631、正極側第2集電体632、および正極連結ピン633とを含む。
【0060】
正極側第1集電体631は、薄板状の導電部材によって構成されている。正極側第1集電体631は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって正極集電部110Pに接続されている。
【0061】
正極側第2集電体632は、薄板状の導電部材によって構成されている。正極側第2集電体632は、レーザー溶接、あるいは、超音波溶接等によって正極側第1集電体631に接続されている。正極側第2集電体632は、正極連結ピン633を保持する保持部632aを有する。保持部632aは、平板形状を有する。保持部632aには、貫通孔が設けられており、正極連結ピン633の基端が挿入される。
【0062】
正極連結ピン633は、正極側第2集電体632と正極端子板621とを連結する。正極連結ピン633は、円柱状部を含んでいる。当該円柱状部の先端側は、第2封口体610、端子ブロック622および正極端子板621を貫通し、正極端子板621にかしめられている。
【0063】
正極側絶縁部材650は、第2延出部612と電極体100との間に配置されている。正極側絶縁部材650には、正極集電部110Pが挿通されるスリット652が設けられている。
【0064】
第2板状部611と正極側絶縁部材650との間に収容空間が形成されるように、第2延出部612と正極側絶縁部材650とが互いに組み付けられる。当該収容空間には、上記スリット552に挿通された正極集電部110P、正極側第1集電体631、および正極側第2集電体632が配置される。
【0065】
インシュレータ660は、正極連結ピン633の上記円柱状部を被覆する形状を有している。インシュレータ660は、正極連結ピン633とセルケース200(より特定的には第2板状部611)との間を絶縁している。
【0066】
上記の正極部材620、第2封口体610、正極連結部材630、正極側絶縁部材650、およびインシュレータ660は、組み込まれて第2蓋アセンブリ60を構成している。
【0067】
第2蓋アセンブリ60は、正極集電部110Pと正極連結部材630とが溶接等で固定された状態で第2封口体610が第2開口部219に取り付けられることにより、筒状本体部210に固定される。
【0068】
以下、フィルムFによる筒状本体部210の成型方法について説明する。
図5は、一実施形態に係る蓄電セルにおいて、セルケースを成形している途中の様子を模式的に示す斜視図である。
図5においては、フィルムFの各部分について、筒状本体部210に対応する各部分の符号と同一の符号を付している。
【0069】
本実施形態において、筒状本体部210の成形方法は、3つの溶着ステップを含む。
図1~
図3および
図5に示すように、第1溶着ステップにおいては、フィルムFを折り曲げつつ、フィルムFのうち底面部211、第1側面部212、第2側面部213に相当する部分を、第1延出部512および第2延出部612に熱溶着させる(
図5など参照)。次に、第2溶着ステップにおいて、フィルムFのうち天面部214に相当する部分を第1延出部512および第2延出部612に熱溶着させる。最後に、第3溶着ステップにおいて、第1側端部FE1と第2側端部FE2とを互いに熱溶着させる。これにより、筒状本体部210が形成されるとともに、筒状本体部210が第1封口体510および第2封口体610により封止される。上記の第2溶着ステップおよび第3溶着ステップの順序は特に限定されない。
【0070】
なお、第1溶着ステップの後であって、第2溶着ステップおよび第3溶着ステップの前においては、電解液が注入される(
図5参照)。具体的には、フィルムF、第1封口体510および第2封口体610により形成された空間に、注液管Pを介して電解液が注入される。このように、筒状本体部210をフィルムFで構成することにより、筒状本体部210が第1方向D1に比較的長い場合でも、電解液の注入が第1方向D1における全体にわたって容易に実施され得る。
【0071】
次に、筒状本体部210を構成するフィルムについて説明する。
図6は、
図3の領域VIを拡大して示す部分的な断面図である。
【0072】
本実施形態におけるフィルムFは、いわゆるラミネートフィルムである。フィルムFの厚さは、たとえば、70μm以上220μm以下である。フィルムFは、樹脂層L1と、金属層L2と、第2の樹脂層L3とを含んでいる。
【0073】
樹脂層L1は、筒状本体部210の内周面210Sを構成している。第1延出部512のうち樹脂からなる外層部512bが、樹脂層L1と熱溶着している。同様に、第2延出部612のうち樹脂からなる外層部612bが、樹脂層L1と熱溶着している。
【0074】
樹脂層L1の材料としては、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂が挙げられる。樹脂層L1の厚さは、たとえば40μm以上100μm以下である。樹脂層L1は、上記の材料からなる複数の樹脂フィルムを含んでもよい。
【0075】
金属層L2は、樹脂層L1に積層されている。これにより、フィルムFの透湿性を低くすることができる。金属層L2の材料としては、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、または、ステンレス鋼がなど挙げられる。金属層L2の厚さは、たとえば30μm以上60μm以下である。
【0076】
第2の樹脂層L3は、金属層L2から見て樹脂層L1とは反対側において、金属層L2に積層されている。第2の樹脂層L3はの材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または、ナイロンなどが挙げられる。樹脂層の厚さは、たとえば20μm以上60μm以下である。第2の樹脂層L3は、上記の材料からなる複数の樹脂フィルムを含んでもよい。
【0077】
上述の通り、本開示の一実施形態に係る蓄電セル10は、電極体100と、セルケース200とを備えている。セルケース200は、電極体100を収容している。セルケース200は、筒状本体部210と、第1封口体510と、第2封口体610とを有している。筒状本体部210は、フィルムFを筒状に成形してなる。筒状本体部210は、両端のそれぞれに第1開口部218および第2開口部219が形成されている。第1封口体510は、第1開口部218を閉塞している。第2封口体610は、第2開口部219を閉塞している。第1封口体510は、第1板状部511と、第1延出部512とを有している。第1板状部511は、第1開口部218および第2開口部219が並ぶ第1方向D1に直交する仮想平面に平行に延びている。第1板状部511は、第1開口部218と第1方向D1において隣り合っている。第1延出部512は、第1板状部511から第1方向D1に延びている。第1延出部512は、筒状本体部210の内側に配置されている。第1延出部512は、筒状本体部210の内周面210Sと接合している。
【0078】
上記の構成によれば、セルケース200の筒状本体部210をフィルムFから成形するため、セルケース200の第1方向D1における寸法自由度を高めることができる。さらには、筒状本体部210をフィルムFから成形した場合であっても、第1封口体510が第1延出部512を有するため、第1延出部512により第1封口体510と筒状本体部210の内周面210Sとが互いに密に接合される。これにより、セルケース200の筒状本体部210をフィルムFから成形した場合であっても、セルケース200の封止性の低下を抑制できる。
【0079】
また、第1延出部512は、筒状本体部210の内周面210Sに沿って延びており、筒状の外形を有している。
【0080】
上記の構成によれば、第1延出部512が筒状本体部210により密に接し得るため、セルケース200の封止性の低下をより抑制できる。
【0081】
また、フィルムFは、樹脂層L1と、金属層L2とを含んでいる。樹脂層L1は、筒状本体部210の内周面210Sを構成している。金属層L2は、樹脂層L1に積層されている。第1延出部512は、内層部512aと、外層部512bとを有している。内層部512aは、第1板状部511に一体的に成形されている。外層部512bは、内層部512aと筒状本体部210との間に配置されている。外層部512bは樹脂からなり、フィルムFの樹脂層L1と熱溶着している。
【0082】
上記の構成によれば、熱溶着により第1延出部512と筒状本体部210がさらに密に接合されるため、セルケース200の封止性の低下をより一層抑制できる。
【0083】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10 蓄電セル、50 第1蓋アセンブリ、60 第2蓋アセンブリ、100 電極体、110 正極、110P 正極集電部、112 正極集電箔、112p 正極タブ、114 正極活物質層、120 負極、120N 負極集電部、122 負極集電箔、122n 負極タブ、124 負極活物質層、130 セパレータ、132a 介在部、132b 第1折返し部、132c 第2折返し部、132d 最外被覆部、132e 終端、200 セルケース、210 筒状本体部、210S 内周面、211 底面部、212 第1側面部、213 第2側面部、214 天面部、215 帯状部、218 第1開口部、219 第2開口部、510 第1封口体、511 第1板状部、512 第1延出部、512a 内層部、512b 外層部、515 圧力開放弁、520 負極部材、521 負極端子板、522 絶縁プレート、530 負極連結部材、531 第1集電体、532 第2集電体、532a 保持部、533 負極連結ピン、550 負極側絶縁部材、552 スリット、560 インシュレータ、610 第2封口体、611 第2板状部、612 第2延出部、612a 内層部、612b 外層部、615 圧力開放弁、620 正極部材、621 正極端子板、622 端子ブロック、630 正極連結部材、631 第1集電体、632 第2集電体、632a 保持部、633 正極連結ピン、650 正極側絶縁部材、652 スリット、660 インシュレータ、F フィルム、FE1 第1側端部、FE2 第2側端部、L1 樹脂層、L2 金属層、L3 第2の樹脂層、P 注液管。