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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008766
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】金属検出機
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/11 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G01V3/11 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111231
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(72)【発明者】
【氏名】倉持 亮太
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】島廻 崇
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH05
2G105JJ05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造・検査ラインへの金属異物混入を防ぐ構成を備えた金属検出機を提供する。
【解決手段】金属検出機(1)は、センサボックス(11)、ベルトコンベア(13)、センサボックス(11)の上に配置され操作表示部(18)を備える箱形の制御ボックス(14)を備え、制御ボックス(14)は、搬送方向(A)と直交するスライド方向(B)にスライドすることで上ケース(21)とボディケース(22)に分割され、ボディケース(22)のスライド方向(B)にある第一の辺(224)と第二の辺(225)は、操作表示部(18)の方を向く爪部(31)を備え、上ケース(21)のスライド方向(B)にある第一の側面(211)と第二の側面(212)は係合孔(41)を備えている。これにより、制御ボックス(14)は、搬送方向(A)を向く面に筐体固定ネジが存在せず、制御ボックス(14)下のライン上にネジが落下するのを防止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に対して検査を行うセンサボックスと、前記センサボックスの中を通過し前記被検査物を搬送方向に搬送するベルトコンベアと、前記センサボックスの上に配置され操作表示部を備える箱形の制御ボックスと、を備え、
前記制御ボックスは、前記搬送方向と直交する方向であるスライド方向にスライドすることで上ケースとボディケースに分割され、
前記制御ボックスの底面を形成する前記ボディケースの底板の前記スライド方向にある第一の辺と第二の辺は、前記操作表示部の方を向く爪部を備え、
前記制御ボックスの前記底面を囲う側面を形成する前記上ケースの前記スライド方向にある第一の側面と第二の側面は、それぞれの下端部に、前記爪部の係合孔を備える
ことを特徴とする金属検出機。
【請求項2】
前記爪部は、前記爪部の形状を前記ボディケースの前記底板から打ち抜き、前記底板から曲げ起こすことで形成されることを特徴とする請求項1に記載の金属検出機。
【請求項3】
前記爪部を形成する折り曲げ部は、前記爪部より前記操作表示部側に、前記爪部より一段低いスライドガイド部を備えることを特徴とする請求項2に記載の金属検出機。
【請求項4】
前記係合孔は、前記上ケースの前記第一の側面と前記第二の側面の下端部を内側にL字に折り曲げて形成された平面部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の金属検出機。
【請求項5】
前記爪部と前記係合孔は、前記スライド方向に複数形成され、前記係合孔の前記平面部は連続するよう形成されることを特徴とする請求項4に記載の金属検出機。
【請求項6】
前記操作表示部のコンソールはL字ブラケットを備え、一方の第一ブラケットは前記ボディケースに設けられた支持部の切欠きに差し込まれて支持され、他方の第二ブラケットは前記操作表示部を備え前記上ケースに固定されることを特徴とする請求項1に記載の金属検出機。
【請求項7】
前記切欠きは、前記支持部に設けられた差込溝の突き当たりに形成され、
前記差込溝は、差し込み方向に向けて下に傾斜し、
前記差込溝の入口は、前記切欠きより広く下に空き、前記入口の上方には、下に突する係止部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の金属検出機。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物中の金属の有無を検出する金属検出機に関する。
【背景技術】
【0002】
金属検出機は、磁界を発生させるセンサボックス内に、ベルトコンベアで被検査物を搬送し、被検査物によるセンサボックス内の磁気変化を検出することによって、被検査物に混入した金属異物を検出する装置である。このため、金属検出機は、図13に示すように、センサボックス101がトンネル形状となっており、トンネル102をベルトコンベア103が通過する構成となっている。また、センサボックス101の上には、金属検出機の操作表示部や、磁気センサおよびベルトコンベアの制御回路を備える制御ボックス104が配置されている(特許文献1も参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-147275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図13のように、制御ボックス104のベルトコンベア103のほうを向く側面に、制御ボックス104の筐体固定ネジ105が設けられていると、何らかの原因でネジ105が外れ、ベルトコンベア103(ライン上)に落下した場合、異物混入や誤検出の問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、製造・検査ラインへの金属異物混入を防ぐ構成を備えた金属検出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の金属検出機は、被検査物に対して検査を行うセンサボックスと、前記センサボックスの中を通過し前記被検査物を搬送方向に搬送するベルトコンベアと、前記センサボックスの上に配置され操作表示部を備える箱形の制御ボックスと、を備え、前記制御ボックスは、前記搬送方向と直交する方向であるスライド方向にスライドすることで上ケースとボディケースに分割され、前記制御ボックスの底面を形成する前記ボディケースの底板の前記スライド方向にある第一の辺と第二の辺は、前記操作表示部の方を向く爪部を備え、前記制御ボックスの前記底面を囲う側面を形成する前記上ケースの前記スライド方向にある第一の側面と第二の側面は、それぞれの下端部に、前記爪部の係合孔を備えることを特徴とする。
【0007】
第2の態様の金属検出機では、第1の態様において、前記爪部は、前記爪部の形状を前記ボディケースの前記底板から打ち抜き、前記底板から曲げ起こすことで形成されるのも好ましい。
【0008】
第3の態様の金属検出機では、第2の態様において、前記爪部を形成する折り曲げ部は、前記爪部より前記操作表示部側に、前記爪部より一段低いスライドガイド部を備えるのも好ましい。
【0009】
第4の態様の金属検出機では、第1~第3のいずれかの態様において、前記係合孔は、前記上ケースの前記第一の側面と前記第二の側面の下端部を内側にL字に折り曲げて形成された平面部に形成されるのも好ましい。
【0010】
第5の態様の金属検出機では、第4の態様において、前記爪部と前記係合孔は、前記スライド方向に複数形成され、前記係合孔の前記平面部は連続するよう形成されるのも好ましい。
【0011】
第6の態様の金属検出機では、第1~第5のいずれかの態様において、前記操作表示部のコンソールはL字ブラケットを備え、一方の第一ブラケットは前記ボディケースに設けられた支持部の切欠きに差し込まれて支持され、他方の第二ブラケットは前記操作表示部を備え前記上ケースに固定されるのも好ましい。
【0012】
第7の態様の金属検出機では、第6の態様において、前記切欠きは、前記支持部に設けられた差込溝の突き当たりに形成され、前記差込溝は、差し込み方向に向けて下に傾斜し、前記差込溝の入口は、前記切欠きより広く下に空き、前記入口の上方には、下に突する係止部が形成されるのも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造・検査ラインへの金属異物混入を防ぐ構成を備えた金属検出機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る金属検出機の正面斜視図である。
図2】制御ボックスの分解斜視図である。
図3】ボディケースの上方斜視図である。。
図4】上ケースの図で、(A)底面図、(B)下方斜視図である。
図5】上ケースとボディケースの係合を説明する図である。
図6】制御ボックス14の四面図で、(A)正面図、(B)背面図、(C)左側面図、(D)右側面図である。
図7】平面部の形状の比較例である。
図8】変形例に係る金属検出機で、操作表示部のコンソールと支持部の右側面図である。
図9】変形例に係る図で、(A)支持部の右側面図、(B)コンソールの第一ブラケットの平面図である。
図10】コンソールと支持部の係合を説明する図である。
図11】支持部の形状の比較例である。
図12】上ケースをスライドする際のコンソールと支持部の干渉を説明する図である。
図13】従来の金属検出機の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本明細書で言う前後左右上下の方向は、図面に記載した方向とする。
【0016】
図1は実施の形態に係る金属検出機1の正面斜視図である。金属検出機1は、図示を略する製造または検査システム全体の搬送路(ライン)の一部に配置されるものである。例えば、ライン上流から被検査物が搬送され、金属検出機1において被検査物に混入した金属異物の有無を検出し、検査を通過した物品はライン下流に送られ、検査で異常のある物品はラインアウトコンベア(図示略)に排出される。
【0017】
金属検出機1は、センサボックス11と、センサボックス11に設けられたトンネル12を通過するベルトコンベア13と、センサボックス11の上に固定された制御ボックス14と、センサボックス11およびベルトコンベア13が取り付けられる架台15を備える。センサボックス11は、トンネル12の周囲に磁気センサ(図示略)を備える。ベルトコンベア13は、駆動プーリーと従動プーリー(いずれも図示略)を備え、モータ16によって搬送方向Aに被検査物を送る。
【0018】
制御ボックス14は、箱形で、ボックスの中には電装品17(後述する図2参照)が収容されている。制御ボックス14は、装置前面側に、タッチパネル式の操作表示部18を備えている。
【0019】
図2は制御ボックス14の分解斜視図である。制御ボックス14は、上ケース21とボディケース22からなる略直方体形状のボックスとなっており、長辺が搬送方向Aと直交する方向Bに配置されている。
【0020】
ボディケース22は、金属板からなり、底板221と、底板221の後方を折り曲げて形成された後板222を備え、制御ボックス14の底面と背面を形成する。底板221には、上述の磁気センサおよびモータ16の制御回路を含む電装品17を固定するためのねじ穴と、制御ボックス14をセンサボックス11に固定するためのねじ穴が設けられている。底板221の後方の右板223には、電源スイッチ20(図1参照)が取り付けられている。
【0021】
上ケース21は、金属板からなり、下方および後方が開口する箱形で、ボディケース22の底板221を囲う第一の側面211および第二の側面212と、上面213と、前面214を備えている。前面214には、操作表示部18が覗くように窓部23が形成されている。
【0022】
操作表示部18のコンソール19は、ボディケース22の前方に設けられた支持部24によって支持され、上ケース21の前面214の表示部用ネジ穴25に固定される。窓部23は、化粧パネル26によって保護される。上ケース21の後方開口部には、ボディケース22の後板222との当接部227(後述する図4(B)参照)が、それぞれ上ケース21の第一の側面211、第二の側面212、および上面213の周縁の一部を延出させて内側にL字に折り曲げて形成されている。
【0023】
ここで、メンテナンスのために、上ケース21とボディケース22は、上ケース21を、搬送方向Aに直交する方向B(以降、この方向を「スライド方向B」とする。)にスライドすることで係合が外れ、二分割する構成となっている。以下、詳細を説明する。
【0024】
図3はボディケース22の上方斜視図である。底板221のスライド方向Bに平行な一対の左右辺、左側の第一の辺224と右側の第二の辺225には、装置前方向を向く爪部31が形成されている。さらに、爪部31の装置前方向には、爪部31より一段低く底板221より一段高い平坦な辺を形成する長方形状のスライドガイド部32が形成されている。爪部31とスライドガイド部32は、底板221の左右端領域から形状を打ち抜き、底板221の周縁を下方直角に折り曲げることで、底板221から上方鉛直に曲げ起こされて形成される折り曲げ部33によって形成されている。折り曲げ部33は、第一の辺224と第二の辺225のそれぞれの略中央領域に、離間して二か所形成されている。
【0025】
図4は上ケース21の図であり、図4(A)は底面図、図4(B)は後方から見た下方斜視図である。上ケース21の、スライド方向Bに面平行な一対の左右側面、左側の第一の側面211と右側の第二の側面212には、それぞれの下端部に、係合孔41が形成されている。係合孔41は、各爪部31の位置に対応して、第一の側面211と第二の側面212のそれぞれに、離間して二か所形成されている。第一の側面211と第二の側面212のそれぞれにおいて、係合孔41,41は、スライド方向Bに連続する平面部42に形成されている。平面部42は、第一の側面211と第二の側面212の略中央領域のそれぞれの下端部を延出させて内側にL字に折り曲げて形成されている。これにより、平面部42は、係合孔41,41の間で連続し、第一の側面211と第二の側面212の下端部より一段高い位置に形成されている。
【0026】
係合孔41は、装置前方向(操作表示部18がある方向)側の前領域43が、装置後方向側の後領域44よりも孔幅が狭く形成されており、前領域43の孔幅は下ケース22の爪部31の板厚相当に形成されている。また、前領域43と後領域44の境界には傾斜部45が形成されている。係合孔41は、平面部42からこれらの形状を打ち抜き形成されている。
【0027】
ボディケース22(爪部31)と上ケース21(係合孔41)の係合について説明する。図5は上ケース21とボディケース22の係合を説明する図である。上ケース21とボディケース22を係合させるには、ボディケース22に対し上ケース21を前から被せ後ろにスライドさせる。ボディケース22に対し上ケース21を前から被せると、図5の(A)に示すように、上ケース21の平面部42がボディケース22の爪部31に乗る。上ケース21を後ろにスライドさせ、係合孔41に爪部31が通ると、図5の(B)に示すように、上ケース21の平面部42がボディケース22のスライドガイド部32に乗る。さらに上ケース21を後ろにスライドさせると、図5の(C)に示すように、爪部31が係合孔41の前領域43に係合し、係止される。この際、図5の(B)ではスライドガイド部32が、図5の(C)では係合孔41の傾斜部45が、前領域43へ爪部31を導くガイドとして機能する。
【0028】
ボディケース22(爪部31)と上ケース21(係合孔41)の係合を解除するには、ボディケース22に対し上ケース21を前にスライドさせ持ち上げる。すると、図5の(B)の状態となり爪部31と係合孔41の前領域43の係合が解除され、爪部31を係合孔41の後領域44から抜くことができる。
【0029】
図6は制御ボックス14の四面図であり、(A)正面図、(B)背面図、(C)左側面図、(D)右側面図である。制御ボックス14は、上述のようにボディケース22(爪部31)と上ケース21(係合孔41)をスライド係合させて組み立てた状態で、ガタつき防止の観点で、上ケース21の後方開口部の当接部227(図4(B)参照)とボディケース22の後板222を左右二か所でネジ留めし(図6(B)の破線円を参照)、上ケース21の前面214と化粧パネル26を上下左右四か所でネジ留めする(図6(A)の破線円を参照)。結果、制御ボックス14は、左右側面211,212に、制御ボックス14の筐体を留める筐体ネジが存在しない(図6(C)および(D)を参照)。
【0030】
以上、本形態の金属検出機1によれば、制御ボックス14の組み立ては、ボディケース22(爪部31)と上ケース21(係合孔41)のスライド係合によるので、搬送方向Aのほうを向く制御ボックス14の左右側面211,212には、制御ボックス14の筐体ネジが存在しない。本形態の制御ボックス14の筐体ネジは、ベルトコンベア13の搬送方向Aと直交する方向Bを向く制御ボックス14の前後面214,222にしか配置されていないので、万が一筐体ネジが外れても、ライン上にネジが落下する確率は相当低く抑えることができる。
【0031】
なお、本形態の金属検出機1では、ボディケース22(爪部31)と上ケース21(係合孔41)の係合は、スライド方向Bに二箇所設けているが、係合箇所を、スライド方向Bに一箇所とする変形があっても、二より多い複数個所とする変形があってもよい。これらの変形があっても、上述と同様の効果、即ち、制御ボックス14において搬送方向Aを向く側面に筐体ネジを設けることがないので、ライン上への金属異物混入を防ぐことができる。
【0032】
ただし好ましくは、本形態の金属検出機1のように、爪部31と係合孔41の係合箇所はスライド方向Bに複数設け、かつ、係合孔41,41の平面部42を連続させることで、制御ボックス14の組み立て時の上ケース21の下落ちを防ぐことができる。本形態の金属検出機1では、係合孔41をスライド方向Bに二箇所設け、かつ、係合孔41,41の平面部42を連続させたことで、制御ボックス14の組み立ての際、図5の(A)に示したように、上ケース21の平面部42がボディケース22の爪部31に一旦乗り、干渉する。このため、上ケース21が適正な位置に来て係合孔41に爪部31が通るまで、平面部42が上ケース21の下落ちを防ぐ。これに対し、図7は、係合孔41,41の平面部42が連続しないの形状の比較例である。平面部42が連続しない場合、図7に示すように、爪部31を係合孔41にはめ込んでいない場合でも、平面部42が干渉しないので、上ケース21が下まで落ちることがある。この場合、作業者がケースに指を挟む危険性や、上ケース21がうまくスライド出来ずに制御ボックス14が閉じなくなるなどのトラブルが生じ得る。また、収容設計された電装品17が上面213と接触し、電気部品を傷つける危険性もある。本形態の金属検出機1によれば、係合孔41,41をスライド方向Bに複数設け、平面部42を連続させたことで、上述の問題を防止することができる。
【0033】
次に、上述の実施の形態に対して好ましい変形例を挙げる。実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して記載を省略する。
【0034】
図8は、変形例に係る操作表示部18のコンソール19とボディケース22に設けられた支持部24の右側面図である。金属検出機1の制御ボックス14では、メンテナンスの観点から、操作表示部18およびその制御回路を含むコンソール19は上ケース21から取り外せる構成となっている。操作表示部18のコンソール19は、L字の金属ブラケット(以降、L字ブラケットと称する。)51を備え、その短辺側の第一ブラケット511が支持部24に支持され、長辺側の第二ブラケット512に操作表示部18が固定されて上ケース21の前面214の表示部用ネジ穴25(図2参照)にネジ固定される。
【0035】
支持部24は、図2で示したように、同形状の受け板241,241が、ボディケース22の底板221に、スライド方向Bに面平行に、搬送方向Aに離間して並ぶように形成されており、例えば両端に受け板241の形状を形成した金属板をコの字に折り曲げ、中央部を底板221にネジ固定することで形成される。図8に示すように、受け板241には、装置前方向(操作表示部18がある方向)から装置後方向に向けて下に傾斜する差込溝242が形成されており、該差込溝242にコンソール19の第一ブラケット511が前方側から差し込まれる(以降、差込溝242において第一ブラケット511が差し込まれる方向Cを「差し込み方向」とする。)。
【0036】
図9(A)は変形例に係る支持部24の右側面図、図9(B)は変形例に係るコンソール19の第一ブラケット511の平面図である。図9(A)に示すように、差込溝242は、差し込み方向Cに向けて下に傾斜し、差込溝242の突き当たりには、第一ブラケット511の板厚相当の切欠き243が形成されている。差込溝242の入口244は、切欠き243よりも一段下に広く空く形状に形成され、さらに、差込溝242の入口244の上方には、切欠き243とやや距離を空けて、係止部245が下突に形成されている。係止部245の前端部には、第一ブラケット511の板厚相当の第二切欠き247が形成されている。
【0037】
図9(B)に示すように、コンソール19の第一ブラケット511には、支持部24の受け板241に対応する位置にそれぞれ、切欠き243と干渉する短溝513と、係止部245と干渉する長溝514が形成されている。短溝513は第一ブラケット511の差し込み方向C側の端面に、長溝514は短溝513よりも内側に形成されている。
【0038】
操作表示部18のコンソール19(第一ブラケット511)と支持部24(切欠き243)の係合から制御ボックス14の組み立てまでを説明する。コンソール19と支持部24を係合させるには、(ai)第一ブラケット511を、差込溝242の入口244から、係止部245の下方に挿入し、係止部245と長溝514を合わせ、少し上に持ち上げながら差し込み方向Cにスライドさせる。すると、(aii)第一ブラケット511の短溝513が切欠き243に差し込まれて主干渉し、係止部245の第二切欠き247に長溝514の前方領域が差し込まれて副干渉して、第一ブラケット511が支持部24に片持ちで支持される(図10を参照)。(aiii)この状態で、コンソール19および電装品17のケーブルを整え制御ボックス14に納め、(aiv)ボディケース22に上ケース21を後ろにスライド係合させ(図5を参照)、(av)上ケース21の前面214の表示部用ネジ穴25に第二ブラケット512をネジ固定する。最後に、(avi)上ケース21とボディケース22の後板222をネジ留めし(図6(B)参照)、上ケース21の前面214と化粧パネル26をネジ留めする(図6(A)参照)。
【0039】
制御ボックス14の取り外しとコンソール19と支持部24の係合解除について説明する。まず、(bi)上ケース21の前面214と化粧パネル26のネジを外し、上ケース21の前面214における表示部用ネジ穴25のネジを外し、コンソール19(ブラケット51)と上ケース21の固定を解除する。(bii)次に、上ケース21とボディケース22の後板222のネジを外し、上ケース21のスライド方向Bへの移動を解放する。(biii)次に、上ケース21をスライドさせてボディケース22との係合を解除して、上ケース21をボディケース22から取り外す。(biv)続いて、コンソール19と支持部24の係合を解除する場合は、ブラケット51の位置を少し下げながら、差し込み方向Cと逆方向にブラケット51をスライドし、ブラケット51を支持部24から引き抜く。すると、(bv)短溝513と切欠き243の主干渉が解除され、長溝514の前方領域と第二切欠き247の副干渉も解除されて、第一ブラケット511(コンソール19)を差込溝242(支持部24)から引き抜くことができる。
【0040】
ここで、制御ボックス14の取り外しの際に、上記(bi)の手順を忘れ、コンソール19と上ケース21の前面214の固定ネジを外さずに、上記(biii)の手順、上ケース21の取り外しを行うと、上ケース21にコンソール19が固定されたままであるので、コンソール19のケーブルが上ケース21とともに引っ張られ、断線するおそれがある。
【0041】
この問題に対して、図11は、支持部24の受け板241の形状の比較例である。操作表示部18のコンソール19を支持部24に差し込み、片持ちさせる構成としては、支持部24´(受け板241´)の差込溝242´はスライド方向Cに直線形状としてもよい。しかしながら、この差込溝242´では、上記(biii)で上ケース21を前にスライドさせた際、上記(bi)の手順(固定ネジの取り外し)を忘れていても、上ケース21とボディケース22の係合を解除することができてしまい、結果、コンソール19のケーブルが無理に引っ張られ、ケーブルが断線するおそれがある。
【0042】
一方、変形例に係る差込溝242によれば、コンソール19と上ケース21の前面214の固定ネジを外し忘れたまま、上ケース21をスライドしようとすると、図12に示すように、係止部245の後端面が長溝514の後方領域に干渉し、コンソール19(第一ブラケット511)を支持部24(差込溝242)から引き抜くことができない。すなわち、変形例に係る差込溝242では、コンソール19と上ケース21の前面214の固定ネジを外して、ブラケット51の上下方向の移動を解放し、第一ブラケット511を係止部245の下方に通さなければ、コンソール19を支持部24から引き抜くことができず、コンソール19と結合している上ケース21もボディケース22からスライド(引き抜く)できない構成となっているため、手順誤りによるコンソール19のケーブル断線を防ぐことができる。
【0043】
なお、本変形例では、コンソール19と支持部24の係合は、搬送方向Aに二箇所設けているが、係合箇所を、搬送方向Aに一箇所とする変形があっても、二より多い複数個所とする変形があってもよい。これらの変形があっても、上述と同様の効果、即ち、上ケース21を取り外す際のコンソール19のケーブル断線を防ぐことができる。また、係止部245の第二切り込み47は支持部24の片持ち支持をより安定させるためにあると好ましい任意の構成である。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態および複数の変形例を述べたが、これらを当業者の知識に基づいて改変および組み合わせることは可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…金属検出機, 11…センサボックス, 13…ベルトコンベア, 14…制御ボックス, 18…操作表示部, 19…コンソール, 21…上ケース, 211…第一の側面(左), 212…第二の側面(右), 22…ボディケース, 224…第一の辺(左), 225…第二の辺(右), 24…支持部, 242…差込溝, 243…切欠き, 244…入口, 245…係止部, 247…第二切欠き, 25…表示部用ネジ穴, 31…爪部, 32…スライドガイド部, 33…折り曲げ部, 41…係合孔, 42…平面部, 43…前領域, 44…後領域, 45…傾斜部, 51…L字ブラケット, 511…第一ブラケット, 512…第二ブラケット, 513…短溝, 514…長溝, A…搬送方向, B…スライド方向, C…差し込み方向

図1
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