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  • 特開-漏水検知装置及び検針ユニット 図1
  • 特開-漏水検知装置及び検針ユニット 図2
  • 特開-漏水検知装置及び検針ユニット 図3
  • 特開-漏水検知装置及び検針ユニット 図4
  • 特開-漏水検知装置及び検針ユニット 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008777
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】漏水検知装置及び検針ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/24 20060101AFI20250109BHJP
   E03B 7/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01M3/24 A
E03B7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111260
(22)【出願日】2023-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-02
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】592024332
【氏名又は名称】大崎データテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 勝己
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA13
2G067BB11
2G067BB22
2G067CC02
2G067DD13
2G067EE12
2G067EE13
(57)【要約】
【課題】 既存の水道メータに対して簡易且つ安定性よく装着することができると共に、短時間で精度の高い漏水検知を可能とする漏水検知装置を提供することである。
【解決手段】 漏水検知部22と保持部23とを備えた漏水検知装置21であって、漏水検知部22は、振動センサ36を有し、保持部23は、水道メータ11の上ケース13の上面を保持する上面保持部24と、下面を保持する下面保持部25とを有し、上面保持部24は、上ケース13の上面を、バネ部材30を介して押圧する押圧移動部材27と、該押圧移動部材27に設けられる前記漏水検知部22とを有し、下面保持部25は、上ケース13の下面に係合する係合脚部を有し、押圧移動部材27の底部26を前記水道メータ11の上ケース13の上面に載置することで、前記係合脚部とバネ部材30による弾性力とによって、上ケース13を挟み込むように保持する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道メータの上ケースに着脱可能に装着される漏水検知装置であって、
漏水検知部と、保持部とを備え、
前記漏水検知部は、振動センサを有し、
前記保持部は、前記上ケースの上面を保持する上面保持部と、前記上ケースの下面を保持する下面保持部とを有し、
前記上面保持部は、前記上ケースの上面を、バネ部材を介して押圧する押圧移動部材と、該押圧移動部材に設けられる前記漏水検知部とを有し、
前記下面保持部は、前記上ケースの下面に係合する係合脚部を有し、
前記押圧移動部材の底部を前記水道メータの上ケースの上面に載置することで、前記係合脚部と前記バネ部材による弾性力とによって、前記上ケースを挟み込むように保持する漏水検知装置。
【請求項2】
前記上面保持部は、前記押圧移動部材と、この押圧移動部材を上下移動可能に保持する押圧固定部材と、を備え、前記押圧固定部材の内周面には、前記押圧移動部材をスライドガイドするスペーサが設けられる請求項1に記載の漏水検知装置。
【請求項3】
前記水道メータの上ケースの下面に係合する前記係合脚部と、前記上ケースの上面に弾性的に押圧する押圧移動部材とで、前記水道メータの上ケースを上面側及び下面側から挟み込む請求項1記載の漏水検知装置。
【請求項4】
前記保持部には、前記振動センサによって検知された振動レベル信号を報知する報知部を備えている請求項1に記載の漏水検知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の漏水検知装置と、検針端末と、を備えた検針ユニットであって、
前記検針端末に前記漏水検知装置が着脱可能に装着される検針ユニット。
【請求項6】
前記漏水検知装置の上面保持部材の上部に前記検針端末が配置される請求項5に記載の検針ユニット。
【請求項7】
前記検針端末には、漏水検知装置によって検知された振動レベル信号が伝送される請求項5に記載の検針ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータに着脱可能な漏水検知装置及び検針ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水道管を伝播する音響振動のうち、漏水によって発生する特定帯域の振動が継続して観察されるか否かによって、漏水を検知するものが知られている。このような検知方式を用いた漏水監視装置にあっては、一般的に漏水は一定水量で停止することなく連続的であることに着目して構成されており、水道管を伝播する音響振動の途切れを検知して、漏水発生の有無を判定している。
【0003】
特許文献1には、水道メータ本体の計量表示パネルを開閉可能に覆う水道メータ蓋に、水道メータ本体から検出される特定の音響振動に基づいて漏水発生の可能性を判定する漏水判定手段と、その判定内容を外部へ出力する出力手段と、上記各手段の動作電源を供給する内蔵電源等とを備えた水道メータが開示されている。
【0004】
特許文献2には、開閉可能な蓋体を備えた既存の水道メータに着脱可能に取り付けることができ、蓋体と一体に開閉あるいは蓋体のみが開閉することで、水道メータの検針やメンテナンス等を円滑に行うことのできる漏水監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-191139号公報
【特許文献2】特開2017-102031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている漏水監視機能を備えた水道メータの蓋体にあっては、計量法により基準適合証印や検定有効期限が添付されているため蓋体自体の交換不可であり、全ての水道メータに適用するにはコストが多く掛かる。このため、簡単には設置できず、また、不具合が発生した場合にも交換作業が煩雑になるといった問題があった。さらに、通常の水道メータの蓋体に漏水監視機能を持たせているため、取扱いによっては検針作業に支障をきたす場合があった。
【0007】
特許文献2に開示されている漏水監視装置にあっては、水道メータの上ケースの上面と蓋体との間に載置する構造であり、上ケースのガラス面を通して漏水による振動音を検知するものとなっている。しかしながら、漏水による振動音は配管を通じて水道メータの下ケースから上ケースに伝搬する。下ケースと上ケースとは金属同士で螺合しているため、上ケースに至るまでは振動音の減衰は少ないが、ガラス面は軽度に圧接されているだけなので漏水音が減衰する。このため、上ケースのガラス面の振動を検知するだけでは、漏水の有無を正確に判定するのは難しいといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、既存の水道メータに対して簡易且つ安定性よく装着することができると共に、短時間で精度の高い漏水検知を可能とする漏水検知装置及び検針ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の漏水検知装置は、水道メータの上ケースに着脱可能に装着される漏水検知装置であって、漏水検知部と、保持部とを備え、前記漏水検知部は、振動センサを有し、前記保持部は、前記上ケースの上面を保持する上面保持部と、前記上ケースの下面を保持する下面保持部とを有し、前記上面保持部は、前記上ケースの上面を、バネ部材を介して押圧する押圧移動部材と、該押圧移動部材に設けられる前記漏水検知部とを有し、前記下面保持部は、前記上ケースの下面に係合する係合脚部を有し、前記押圧移動部材の底部を前記水道メータの上ケースの上面に載置することで、前記係合脚部と前記バネ部材による弾性力とによって、前記上ケースを挟み込むように保持する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る漏水検知装置は、上面保持部と下面保持部とからなる保持部によって、漏水による振動を直接受ける水道メータの上ケースを上面側及び下面側から弾性的に挟み込む構造となっている。水道メータは、同じ金属同士の結合からなる下ケースと上ケースとで構成され、漏水による振動は下ケースから直接上ケースに伝搬する。このため、振動の減衰が少ない上ケースを漏水検知部の振動センサによって検知することによって、漏水検知をより正確に行うことが可能となった。また、前記保持部が係合脚部によって上ケースの下面に係合する構造となっているので、上ケースに安定性よく取り付けることができる。
【0011】
本発明に係る検針ユニットによれば、上記漏水検知装置に対して、水道使用量の検針を行う機能を有する検針端末を組み合わせることができるので、通常の検針作業と同時に漏水の検知を効率よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の検針ユニットの構成例を示す斜視図である。
図2】水道メータに装着した状態の漏水検知装置の断面斜視図である。
図3】漏水検知装置の分解斜視図である。
図4】漏水検知装置の断面を下方側から見た斜視図である。
図5】漏水検知装置と検針端末とを組み合わせた検針ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る漏水検知装置及び検針ユニットの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は水道メータ11に装着して使用される漏水検知装置21と、この漏水検知装置21と共に使用される検針端末41とからなる検針ユニット40の構成例を示したものである。
【0014】
水道メータ11は、各戸に引き込まれる水道管に取り付け可能な規格品であり、水道管(図示せず)が取り付けられる下ケース12と、計量表示部(図示せず)を覆う透明なガラス窓16及びこのガラス窓16を囲うフレーム14を有する上ケース13とによって構成されている。ガラス窓16は、通常、蓋体17によって閉じられており、検針やメンテナンスを行う際に開放される。なお、蓋体17の裏面には、水道メータ11の使用期限等の情報を記載したラベルが貼付されており、検針やメンテナンス時において確認できるようになっている。
【0015】
本発明の漏水検知装置21は、検針員が検針端末41を用いて検針作業をする際に携行可能なサイズに小型化され、水道メータ11の上ケース13に取り付けるだけで漏水の有無判定が可能となっている。また、水道メータ11の上ケース13に対して着脱容易でありながら安定した取り付け構造を有しているため、漏水の判定精度も高いものとなっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、漏水検知装置21は、水道メータ11の上ケース13に着脱可能に係合する保持部23と、この保持部23内に内蔵されている漏水検知部22とを備えている。保持部23は、水道メータ11の上ケース13の上部を保持する上面保持部24と、上ケース13の下部を保持する下面保持部25とからなり、上ケース13の側面方向から着脱可能となっている。上面保持部24は、上ケース13のフレーム14の上面14aの一部に当接する円形の底部(押圧面)26を有する押圧移動部材27と、この押圧移動部材27を上下方向に可動可能に保持する押圧固定部材28と、押圧移動部材27に押圧力を付与する押圧付与部材29とを備えている。押圧付与部材29は、コイルバネ等のバネ部材30と、バネ部材30を収容して押圧移動部材27の内周面に係合するバネ収容部31とで構成されている。バネ収容部31の底面31aには、中央部に漏水検知部22が設けられ、押圧移動部材27を下方に付勢している。また、押圧固定部材28の内周底面には、押圧移動部材27のスライドをガイドするスペーサ32が設けられている。このスペーサ32は、押圧移動部材27のブレを防止して押圧面26を上ケース13のフレーム14を安定的に押圧させる役割を有している。
【0017】
図4に示すように、保持部23の下面保持部25は、上面保持部24の押圧固定部材28の下端から延び、上ケース13の側面の一部を囲うようにガードする円弧状の側面保持部33と、この側面保持部33の下端の両サイドから水道メータ11の上ケース13の底面に沿って係合する一対の係合脚部34とを有している。一対の係合脚部34は、図1に示したように、上ケース13の底部外周15に沿うように円弧状に形成され、その先端部34aは、上ケース13の側面側から係合しやすいように僅かに外側に傾斜している。
【0018】
漏水検知部22は、振動センサ36と、この振動センサ36によって検知された振動レベルを電気信号に変換する信号変換部(図示せず)と、この信号変換部によって変換された信号をレベルに応じて外部に報知する報知部35を備えている。この漏水検知部22は、押圧付与部材29の底部に収容されており、押圧移動部材27の押圧面26が当接されている水道メータ11のフレーム14を介して、上ケース13全体の振動を検知する。前記振動センサ36には、微細な振動を電気信号に変換して検知することのできる圧電素子が使用される。
【0019】
図1に示したように、検針ユニット40は、上記漏水検知装置21と検針端末41とによって構成されている。検針端末41は、水道メータ11によって計量された水道使用量を検針する機能と、漏水検知装置21によって検知された振動レベルを受信する受信部及び報知部を備えている。本実施形態では、図1に示したように、保持部23に前記振動センサ36によって検知された電圧の変化を出力する出力接点部37が設けられ、この出力接点部37を介して、図5に示したように、検針端末41が接続される。そして、検針端末41側に漏水の有無を表示させるようになっている。なお、前記保持部23を単体で使用する場合は、例えば、保持部23に設ける報知部35として、LEDやスピーカ等を備え、LEDの場合は振動レベルに応じて段階的に発光色を変えたり、スピーカの場合は警報音を発したりさせることができる。
【0020】
上記漏水検知装置21は、図1及び図2に示したように、水道メータ11の蓋体17を開いた状態の上ケース13に対して側方から装着する。その際、上面保持部24の押圧面26が水道メータ11の上ケース13のフレーム14上に載るように、保持部23全体を下方に押し下げながら上ケース13の側面にあてがい、側面保持部33の内側が上ケース13の側面に当接するまで押し込む。そして、押圧面26が上ケース13のフレーム14上に載置されたら保持部23の押し下げを解除する。これによって、バネ部材30が収容されている押圧付与部材29の付勢力が作用し、下面保持部25の一対の係合脚部34が上ケース13の底部外周15を押し上げるようにして係合される。このようにして、漏水検知装置21をワンタッチで上ケース13の側面に固定させることができる。そして、この状態で数秒程度放置することで、漏水検知部22が漏水の有無を検知し、報知部35に伝達する。
【0021】
前記漏水検知部22では、振動センサによって検出された信号を時間積分すると共に波形解析することによって、数秒程度で漏水の有無を判定することが可能となる。また、録音機能を備えることで、異音によって漏水の有無を判定することも可能である。
【0022】
上記漏水検知部22によって、「漏水有り」と判定された場合は、保持部23に備わるLED等からなる報知部35に点灯表示させる。これによって、水道使用量を調査する際、検針員が前記報知部35を視認するだけで簡単に漏水の有無を確認することができる。
【0023】
本発明の漏水検知装置21は、蓋体17によって開閉可能な上ケース13を有する略全ての既存の水道メータ11に装着が可能である。
【0024】
上述したように、漏水検知装置21は、この装置単体で漏水を検知すると共に、その結果を外部に報知させることができるが、図1に示したように、ハンディターミナル等の検針端末41を含めた検針ユニット40として構成することができる。このようなユニット構成にするために、前記検針端末41には検針機能と共に、漏水検知装置21によって検知された振動レベルを受信する受信部及び報知部を備える必要がある。検針端末41には、液晶画面が備わっているので、その液晶画面に漏水の有無やそのレベルを表示させるようにしてもよい。なお、漏水検知装置21から検針端末41への伝達は、前述したように、保持部23に設けた出力接点部37を介して電気的に接続する他に、USB等による有線やBluetooth等による無線による接続も可能である。また、図5に示したように、漏水検知装置21に検針端末41をセットする取り付け部を設けることで、一体として使用することができる。
【0025】
上記漏水の報知形態や接続形態は一例であり、これに限定されるものではなく、検針ユニット40は漏水検知装置21と検針端末41とが別体でもよく、一体化したものであってもよい。
【0026】
従来の漏水検査にあっては、漏水検査を専門に行う者が音聴棒等を使用して水道管の供給側の漏水を探しているため、検査に要する費用や時間が多く掛っていた。これに対して、本発明の漏水検知装置21は、コンパクトであり、水道メータの上ケースを挟み込むようにして着脱容易であることから、検針端末41と共に携帯し、検針作業と同時に漏水の検査を行うことが可能となる。これによって、検査費用や時間を大幅に削減することができる。また、振動を検知する対象が上ケース全体であるので、従来の上ケースのガラス窓の振動を検知する簡易的な方法に比べて漏水の検知精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0027】
11 水道メータ
12 下ケース
13 上ケース
14 フレーム
15 底部外周
16 ガラス窓
17 蓋体
21 漏水検知装置
22 漏水検知部
23 保持部
24 上面保持部
25 下面保持部
26 押圧面(底部)
27 押圧移動部材
28 押圧固定部材
29 押圧付与部材
30 バネ部材
31 バネ収容部
31a 底面
32 スペーサ
33 側面保持部
34 係合脚部
34a 先端部
35 報知部
36 振動センサ
37 出力接点部
40 検針ユニット
41 検針端末
図1
図2
図3
図4
図5