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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008780
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ベルト
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/28 20060101AFI20250109BHJP
   A41F 9/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A44B11/28
A41F9/00 A
A41F9/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111265
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】323007869
【氏名又は名称】合同会社川畑
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】川畑 秀
【テーマコード(参考)】
3B090
【Fターム(参考)】
3B090AC07
3B090AD02
(57)【要約】
【課題】ベルト本体や衣服を傷めることなく締めることができ、また締め具合の調整ができるベルトを提供する。
【解決手段】帯状のベルト本体1と、その基端片4に設けられる受け具2と、先端片5に設けられる留め具3とを備える。受け具2は、略矩形の扁平な筒状とされ、ベルト本体1にはめ込まれて固定される。受け具2には、フック差込穴7が形成されている。ベルト本体1には、受け具2が固定される箇所に、フック差込穴7と対応してフック係合穴9が形成されている。フック係合穴9は、フック差込穴7よりもベルト本体1の基端側へ延出して形成されている。留め具3は、ベルト本体1に固定され、フック係合穴9に対し係脱可能なフック14が設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服用のベルトであって、帯状のベルト本体と、前記ベルト本体の基端側に設けられる受け具と、前記ベルト本体の先端側に設けられる留め具とを備え、
前記受け具は、前記ベルト本体の長手方向の一部を幅方向に取り囲む筒状とされ、前記ベルト本体がはめ込まれて固定され、
前記受け具は、前記ベルト本体の表側に重ねられる壁体に、フック差込穴が形成されており、
前記ベルト本体には、前記受け具が固定される箇所に、前記フック差込穴と対応してフック係合穴が開けられており、
前記フック係合穴は、前記フック差込穴よりも前記ベルト本体の基端側へ延出して形成されており、
前記留め具は、前記ベルト本体に固定され、前記ベルト本体の裏側に重ねられる壁体に、前記フック係合穴に対し係脱可能なフックが設けられている
ことを特徴とするベルト。
【請求項2】
前記受け具および前記留め具は、金属から形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
前記受け具は、略矩形の扁平な筒状に形成されており、
前記フックは、前記ベルト本体の裏側に重ねられる壁体から突出する第一片と、この第一片の先端部に連接された第二片とにより、略L字形状に形成されており、
前記フックの第二片が、前記フック差込穴から前記フック係合穴に差し込まれて、前記ベルト本体の基端側へ移動することで、前記受け具に前記留め具が係合される
ことを特徴とする請求項2に記載のベルト。
【請求項4】
前記受け具に複数の前記フック差込穴が形成されると共に、これに対応して、前記ベルト本体に複数の前記フック係合穴が形成されており、
各フック係合穴に係脱可能に、前記留め具に複数の前記フックが設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のベルト。
【請求項5】
前記ベルト本体に、複数の受け具が設けられている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項6】
各受け具のフック差込穴と、各ベルト本体のフック係合穴とは、それぞれの一端部を揃えて配置される
ことを特徴とする請求項5に記載のベルト。
【請求項7】
前記受け具および前記留め具は、横断面が円弧状に湾曲して形成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服用のベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、ワンタッチで着脱可能なバックル付きのベルトが知られている。このベルトは、ベルト本体の一端部に雄板体(2)が設けられる一方、ベルト本体の他端部に雌板体(3)が設けられる。雄板体(2)の係合板部(6)にはフック部材(f)が設けられる一方、雌板体(3)の係合板部(11)にはフック受け穴(r)が形成されている。雌板体(3)のフック受け穴(r)に雄板体(2)のフック部材(f)を係合して、ベルトを締めることができる。雄板体(2)と雌板体(3)との間で係脱することで、ベルト本体の損傷を抑えることができる。
【0003】
しかしながら、従来技術は、雌板体に雄板体を係合させると、フック部材が雌板体の裏面側へ露出する。そのため、ベルトの着脱に伴い、フック部材が衣服(ズボン等)に擦れたり、噛み込んだりして、衣服を傷めるおそれがある。
【0004】
また、従来技術は、ベルト本体の端部にしか雌板体を設けることができず、ベルトの中途部に雌板体を設けることができない。そのため、ベルトのデザインが限られる。また、ベルトの締め具合の調整ができず、たとえば満腹時にベルトを少し緩めるといった使い方ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-187191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ベルト本体や衣服を傷めることなく、ベルトを締めたり外したりすることができるベルトを提供することにある。また、ベルトの端部以外にも、ベルト本体に受け具を取り付けることができるベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、衣服用のベルトであって、帯状のベルト本体と、前記ベルト本体の基端側に設けられる受け具と、前記ベルト本体の先端側に設けられる留め具とを備え、前記受け具は、前記ベルト本体の長手方向の一部を幅方向に取り囲む筒状とされ、前記ベルト本体がはめ込まれて固定され、前記受け具は、前記ベルト本体の表側に重ねられる壁体に、フック差込穴が形成されており、前記ベルト本体には、前記受け具が固定される箇所に、前記フック差込穴と対応してフック係合穴が開けられており、前記フック係合穴は、前記フック差込穴よりも前記ベルト本体の基端側へ延出して形成されており、前記留め具は、前記ベルト本体に固定され、前記ベルト本体の裏側に重ねられる壁体に、前記フック係合穴に対し係脱可能なフックが設けられていることを特徴とするベルトである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、次のような作用効果を奏するベルトとすることができる。
(a)ベルト本体に受け具と留め具とを設け、受け具に対し留め具を係脱することで、ベルトを締めたり外したりすることができる。ベルト本体に設けた受け具と留め具との間で係脱することで、ベルト本体の損傷を防止することができる。
(b)筒状の受け具にベルト本体がはめ込まれて固定される。そして、受け具には、ベルト本体の表側に重ねられる壁体にフック差込穴を形成すればよく、ベルト本体の裏側に重ねられる壁体にフック差込穴を形成する必要がない。そのため、受け具と留め具との係合時に、フックが外部へ露出せず、衣服を傷めるおそれがない。
(c)受け具の中空穴にベルト本体をはめ込んで固定するので、ベルト本体に受け具をガタつきなく固定することができる。また、所望により、ベルト本体の端部にも、あるいは中途部にも、受け具を設けることができる。
(d)受け具のフック差込穴と連続して、ベルト本体にフック係合穴が設けられる。ベルト本体に設けた穴を利用することで、厚さを抑えた構成とできる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記受け具および前記留め具は、金属から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルトである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、金属製の受け具と留め具との係脱により、ベルト本体や衣服を傷めることなく、ベルトを締めたり外したりすることができる。また、受け具と留め具の耐久性を高めることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記受け具は、略矩形の扁平な筒状に形成されており、前記フックは、前記ベルト本体の裏側に重ねられる壁体から突出する第一片と、この第一片の先端部に連接された第二片とにより、略L字形状に形成されており、前記フックの第二片が、前記フック差込穴から前記フック係合穴に差し込まれて、前記ベルト本体の基端側へ移動することで、前記受け具に前記留め具が係合されることを特徴とする請求項2に記載のベルトである。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、受け具は、略矩形の扁平な筒状に形成され、ベルト本体がはめ込まれてベルト本体を幅方向に取り囲むことになる。そのため、受け具をコンパクトな構成とすることができる。また、フックを略L字形状に形成して、簡易な構成で容易に確実に、受け具と留め具との係脱を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記受け具に複数の前記フック差込穴が形成されると共に、これに対応して、前記ベルト本体に複数の前記フック係合穴が形成されており、各フック係合穴に係脱可能に、前記留め具に複数の前記フックが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のベルトである。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、受け具やベルト本体に複数のフック差込穴やフック係合穴を形成する一方、これに対応して留め具に複数のフックを設けて、受け具に対し留め具を複数箇所で係脱することができる。これにより、受け具に留め具を一層ガタつきなく保持することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記ベルト本体に、複数の受け具が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のベルトである。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、ベルト本体に複数の受け具を設け、いずれの受け具に留め具を係合するかにより、ベルトの締め具合を調整することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、各受け具のフック差込穴と、各ベルト本体のフック係合穴とは、それぞれの一端部を揃えて配置されることを特徴とする請求項5に記載のベルトである。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、受け具のフック差込穴と、ベルト本体のフック係合穴とは、それぞれの一端部を揃えて配置されるので、ベルト本体への受け具の位置決めが容易となる。これにより、ベルト本体の所定位置に受け具を容易に取り付けることができる。
【0019】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記受け具および前記留め具は、横断面が円弧状に湾曲して形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のベルトである。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、受け具や留め具を円弧状に湾曲して形成することで、ベルトの着用時に、身体へのフィット感を増すことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のベルトによれば、ベルト本体や衣服を傷めることなく、ベルトを締めたり外したりすることができる。また、ベルトの端部以外にも、ベルト本体に受け具を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例のベルトを示す概略正面図であり、ベルトの中途部を省略して示している。
図2図1のベルトの基端片を示す斜視図であり、ベルト本体に受け具をはめる前の状態を示している。
図3図1のベルトの基端片を示す斜視図であり、ベルト本体に受け具をはめた後の状態を示している。
図4図1のベルトの基端片を示す斜視図であり、ベルト本体に受け具を固定する状態を示しており、ベルトの裏側から見た状態を示している。
図5図1のベルトの先端片を示す斜視図であり、ベルト本体に留め具をはめる前の状態を示している。
図6図1のベルトの先端片を示す斜視図であり、ベルト本体に留め具をはめた後の状態を示している。
図7図1のベルトの先端片を示す斜視図であり、ベルト本体に留め具を固定する状態を示しており、ベルトの裏側から見た状態を示している。
図8図1のベルトの基端片と先端片の断面図であり、基端片の受け具と先端片の留め具との係合解除状態を示している。
図9図1のベルトの基端片と先端片の断面図であり、基端片の受け具と先端片の留め具との係合状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1図9は、本発明の一実施例のベルトを示す概略図である。図1は、ベルトの中途部を省略して、ベルトの両端片4,5を示す正面図である。図2図4は、ベルトの基端片4を示す図であり、図5図7は、ベルトの先端片5を示す図である。そして、図8および図9は、ベルトの両端片4,5の着脱状態を示す断面図である。
【0025】
なお、ベルト(あるいはベルト本体1)の基端部4aとは、ベルトを締めた際、内側(身体側)に配置される端部(ベルトの長手方向の片方の端部)をいい、ベルト(あるいはベルト本体1)の先端部5aとは、ベルトを締めた際、外側に配置される端部(ベルトの長手方向のもう片方の端部)をいう。また、ベルト(あるいはベルト本体1)の基端片4とは、ベルトの基端部4aから設定領域(受け具2が設けられる箇所を含んだ領域)をいい、ベルト(あるいはベルト本体1)の先端片5とは、ベルトの先端部5aから設定領域(留め具3が設けられる箇所を含んだ領域)をいう。
【0026】
また、ベルトの使用時、内側(身体側)に配置される面を裏側R、外側に配置される面を表側Oという。ベルトを締める際、ベルトは一部において内外二重となるように巻かれるが、その箇所においても、内外それぞれについて、表側Oと裏側Rとがあることになる。つまり、内外二重の箇所の内、内側のベルト(基端片4)の表側Oに、外側のベルト(先端片5)の裏側Rが重ね合わされるように、ベルトが巻かれることになる。
【0027】
本実施例のベルトは、男性用(または女性用)のズボンなどに用いられる衣服用のベルトである。図1に示すように、本実施例のベルトは、帯状のベルト本体1と、このベルト本体1の基端側(基端片4)に設けられる受け具2と、ベルト本体1の先端側(先端片5)に設けられる留め具3とを備える。
【0028】
図示例では、ベルト本体1の基端片4に五つの受け具2が設けられている。図1において省略しているが、受け具2が設けられた基端片4と、留め具3が設けられた先端片5とは、ベルト本体1で連接される。ベルト本体1の内、図1において省略した箇所には、受け具2や留め具3は、設けられていない。
【0029】
ベルト本体1は、帯状の部材であり、幅方向に切断した断面が扁平な略矩形状(言い換えれば分厚い直線状)とされている。ベルト本体1は、可撓性を有する素材から形成される。ベルト本体1は、典型的には天然皮革から形成されるが、場合により、合成皮革や、その他の素材から形成されてもよい。ベルト本体1の長手方向両端部4a,5aは、図示例では略三角形状とされているが、場合により、四角形状のままか、その他の形状とされてもよい。
【0030】
図2図4は、ベルトの基端片4を示す斜視図である。図2は、ベルト本体1に受け具2をはめる前の状態を示し、図3は、ベルト本体1に受け具2をはめた後の状態を示しており、それぞれベルトの表側Oから見た状態を示している。一方、図4は、ベルト本体1に受け具2を固定する状態を示しており、ベルトの裏側Rから見た状態を示している。なお、図2においては、受け具2を一つだけ示しており、他の受け具2は、「・」で示して省略している。
【0031】
図示例では、ベルト本体1の基端片4に、間隔(隙間)をあけて五つの受け具2を設ける例を示しているが、受け具2の数は、適宜に変更可能である。たとえば、受け具2を一つだけとしたり、三つとしたり、六つとしたりしてもよい。また、図示例では、ベルト本体1の基端部4aには受け具2を設けずに、そこから少し離隔した位置から、等間隔に同一形状の受け具2を設けている。但し、場合により、ベルト本体1の基端部4aが隠れるように、ベルト本体1の基端部4aに受け具2を設けてもよい。その場合、ベルト本体1の基端部4aは、略矩形状のままとしておけばよい。そして、ベルト本体1には、基端部4aから等間隔に所望個数の受け具2を設けてもよい。場合により、等間隔ではなく、間隔を変えて受け具2を設けてもよい。いずれにしても、典型的には、同一構成の少なくとも一つの受け具2が、以下のようにベルト本体1に固定される。
【0032】
受け具2は、本実施例では、ステンレスのような金属から形成される。また、図示例では、受け具2は、ベルト本体1の断面よりも一回り大きな、略矩形の扁平な筒状に形成されている。すなわち、受け具2は、ベルト本体1が通される略矩形の中空穴6を有し、その中空穴6にベルト本体1が適合してはめ込まれる。そして、受け具2にベルト本体1を通した状態では、ベルト本体1の長手方向の一部において、ベルト本体1を幅方向に取り囲むよう配置される。つまり、図3および図4に示すように、ベルト本体1の長手方向の一部において、ベルト本体1の表面O、裏面Rおよび側面Sを覆うように、受け具2が設けられる。
【0033】
受け具2には、ベルト本体1の表側Oに重ねられる壁体(図2の上面)に、フック差込穴7が形成されている。本実施例では、ベルト本体1の幅方向と対応した方向に離隔して、二つのフック差込穴7が平行に形成されている。各フック差込穴7は、同一形状(大きさ)とされ、ベルト本体1の長手方向と対応した方向に延出して、略矩形状に形成される。なお、受け具2には、ベルト本体1の裏側Rに重ねられる壁体(図2の下面、図4の上面)に、フック差込穴7は形成されない。但し、ベルト本体1の裏側に重ねられる壁体には、図4に示すように、中央部にネジ挿通穴8が形成されている。
【0034】
図2に示すように、ベルト本体1の基端片4には、ベルト本体1に受け具2が設けられた際、受け具2の各フック差込穴7と対応する位置に、フック係合穴9が形成されている。フック係合穴9は、ベルト本体1を厚さ方向に貫通して、略矩形状に形成されている。フック係合穴9の幅寸法(ベルト本体1の幅方向に沿う寸法)は、フック差込穴7の幅寸法と対応するかそれよりも少し大きい。フック差込穴7とフック係合穴9とは、長手方向一端部(ベルト本体1の先端側となる端部)7a,9aを揃えて固定されるが、その状態で、フック係合穴9は、フック差込穴7の他端部7bよりもベルト本体1の基端側へ延出して形成されている。
【0035】
ベルト本体1の基端片4には、ベルト本体1に受け具2が設けられた際、受け具2のネジ挿通穴8と対応する位置に、ネジ下穴10が形成されている。このネジ下穴10も、ベルト本体1を厚さ方向に貫通して形成されている。ネジ下穴10の径は、後述する止めネジ11よりも小径に形成されている。
【0036】
ベルト本体1には、これに取り付けられる受け具2の数や位置に対応して、上述したようなフック係合穴9やネジ下穴10が開けられる。そして、そのようなベルト本体1には、次に述べるようにして、受け具2が固定される。
【0037】
ベルト本体1への受け具2の固定は、次のようにしてなされる。すなわち、受け具2の中空穴6にベルト本体1の基端片4を通し、所定位置に受け具2を配置する。所定位置とは、ベルト本体1のフック係合穴9の長手方向一端部9aに、受け具2のフック差込穴7の長手方向一端部7aを対応させた位置である(図8)。その状態では、フック差込穴7の全体がフック係合穴9と対応して配置され、フック係合穴9はフック差込穴7より長手方向他端部側へ設定寸法延出する。また、ベルト本体1のネジ下穴10と受け具2のネジ挿通穴8とが対応して配置される。
【0038】
ベルト本体1の所定位置に受け具2を配置した状態で、図4に示すように、ベルト本体1の裏側から、止めネジ11により、受け具2がベルト本体1に固定される。本実施例の止めネジ11は、六角穴付きの止めネジとされており、受け具2のネジ挿通穴8を通されて、ベルト本体1のネジ下穴10にねじ込まれる。止めネジ11の先端部が受け具2の表側の壁体の内面(中空穴6の内面)に当接するまで、止めネジ11がねじ込まれる。その状態では、止めネジ11の基端部が受け具2のネジ挿通穴8に配置されるが、ネジ挿通穴8よりも突出しないのが好ましい。
【0039】
止めネジ11の基端部は、受け具2の裏側の外面と面一でもよいし、多少埋没するように配置されてもよい。いずれにしても、止めネジ11がベルト本体1にねじ込まれると共に、止めネジ11の一部が受け具2のネジ挿通穴8に配置されることで、ベルト本体1に対し受け具2を固定することができる。ネジ挿通穴8の内径と止めネジ11の外径とを略適合させて、ネジ挿通穴8に止めネジ11の基端部がはめ込まれるよう配置されるのがよい。
【0040】
図5図7は、ベルトの先端片5を示す斜視図である。図5は、ベルト本体1に留め具3をはめる前の状態を示し、図6は、ベルト本体1に留め具3をはめた後の状態を示しており、それぞれベルトの表側Oから見た状態を示している。一方、図7は、ベルト本体1に留め具3を固定する状態を示しており、ベルトの裏側Rから見た状態を示している。
【0041】
留め具3は、ベルト本体1の先端片5に設けられる。図示例では、ベルト本体1の先端部5aには留め具3を設けず、そこから少し離隔した位置に、留め具3を設けている。但し、場合により、ベルト本体1の先端部5aが隠れるように、ベルト本体1の先端部5aに留め具3を設けてもよい。その場合、ベルト本体1の先端部5aは、略矩形状のままとしておけばよい。
【0042】
留め具3は、本実施例では、ステンレスのような金属から形成される。本実施例の留め具3は、ベルト本体1の裏面R側に重ねられる壁体として、ベース板12を備える。ベース板12の幅寸法は、ベルト本体1の幅寸法よりも少し大きい。ベース板12は、図5および図7に示すように、略矩形状の板材から形成される。但し、その略矩形状の板材は、一つの角部(ベルト本体1の基端側で且つ幅方向一端部)が切り落とされて斜辺12aとされている。
【0043】
ベース板12には、一または複数のベルト保持部13が設けられる。図示例では、三つのベルト保持部13が設けられている。各ベルト保持部13は、ベース板12との間でベルト本体1を挟んで保持する。図5および図6に示すように、ベース板12の幅方向一端部(斜辺12aが設けられた側の端辺部)で、且つベース板12の長手方向中央部には、ベルト保持部13が設けられる。また、ベース板12の幅方向他端部(斜辺12aが設けられない側の端辺部)で、且つベース板12の長手方向両端部にも、ベルト保持部13が設けられる。
【0044】
各ベルト保持部13は、略L字形状の板材から形成される。すなわち、ベルト保持部13は、板状の一片13aと他片13bとにより、略L字形状に形成されている。一片13aは、ベース板12の側端辺に沿って配置され、ベース板12の表面から僅かに突出する略矩形状の板材である。他片13bは、一片13aの突出先端部に連接され、ベース板12と平行に、ベース板12の幅方向へ延出する略矩形状の板材である。
【0045】
ベース板12と各ベルト保持部13との間に、ベルト本体1が適合してはめ込まれる。つまり、ベルト本体1は、ベース板12とベルト保持部13の他片13bとの間に挟まれると共に、ベース板12の幅方向両側のベルト保持部13の一片13a間に挟まれて保持される。
【0046】
留め具3には、受け具2のフック差込穴7(およびベルト本体1のフック係合穴9)と対応して、フック14が設けられる。本実施例では、受け具2に、受け具2の幅方向へ離隔して二つのフック差込穴7を設けたことに対応して、留め具3の裏面に、留め具3の幅方向へ離隔して二つのフック14が設けられる。各フック14は、同一形状(大きさ)とされ、平行に配置される。
【0047】
各フック14は、ベース板12から突出する第一片14aと、この第一片14aの先端部に連接された第二片14bとにより、略L字形状に形成されている。すなわち、図7および図8に示すように、フック14の第一片14aは、ベース板12の裏面から突出する略矩形状に形成され、その延出先端部の一側部には、ベルト本体1の基端側へ延出するよう第二片14bが連接されている。第二片14bの延出先端部の角部(ベース板12側の角部)は、切り欠かれて傾斜面とされるのがよい。なお、図8から分かるように、図示例では、第一片14aの基端部が、ベース板12に形成された穴12bにはめ込まれて溶接で固定されている。
【0048】
留め具3のベース板12には、図7に示すように、幅方向中央部で長手方向に離隔した二か所に、ネジ挿通穴15が形成されている。一方、ベルト本体1の先端片5には、ベルト本体1に留め具3が設けられた際、留め具3のネジ挿通穴15と対応する位置に、ネジ下穴16が形成されている。このネジ下穴16は、ベルト本体1を厚さ方向に貫通して形成されている。ネジ下穴16の径は、後述する止めネジ17よりも小径に形成されている。
【0049】
ベルト本体1への留め具3の固定は、次のようにしてなされる。すなわち、留め具3のベース板12と各ベルト保持部13との隙間に、ベルト本体1の先端片5を通し、所定位置に留め具3を配置する。所定位置とは、ベルト本体1のネジ下穴16と留め具3のネジ挿通穴15とが対応する位置である。
【0050】
ベルト本体1の所定位置に留め具3を配置した状態で、図7に示すように、ベルト本体1の裏側Rから、止めネジ17により、留め具3がベルト本体1に固定される。本実施例の止めネジ17は、六角穴付きの止めネジとされており、留め具3のネジ挿通穴15を通されて、ベルト本体1のネジ下穴16にねじ込まれる。止めネジ17の先端部がベルト保持部13の他片13bに当接するまで、止めネジ17がねじ込まれる。その状態では、止めネジ17の基端部が留め具3のネジ挿通穴15に配置されるが、ネジ挿通穴15よりも突出しないのが好ましい。
【0051】
止めネジ17の基端部は、留め具3の裏側Rの外面と面一でもよいし、多少埋没するように配置されてもよい。いずれにしても、止めネジ17がベルト本体1にねじ込まれると共に、止めネジ17の一部が留め具3のネジ挿通穴15に配置されることで、ベルト本体1に対し留め具3を固定することができる。ネジ挿通穴15の内径と止めネジ17の外径とを略適合させて、ネジ挿通穴15に止めネジ17の基端部がはめ込まれるよう配置されるのがよい。
【0052】
ところで、図8において、フック14の長さA(ベルト本体1の長手方向へ沿う寸法)は、受け具2のフック差込穴7の長さBよりも短い。また、フック14の第二片14bの長さCは、フック差込穴7に対するフック係合穴9の延出寸法Dと略等しい。また、フック14の第二片14bの高さE(ベルト本体1の厚さ方向へ沿う寸法)は、ベルト本体1の厚さFより若干小さい。そして、フック14の第二片14bとベース板12の裏面との離隔距離Gは、受け具2の表面側の壁体の厚さHより若干大きい。さらに、フック14の幅(ベルト本体1の幅方向へ沿う寸法)は、受け具2のフック差込穴7の幅と略等しい。
【0053】
図8および図9は、ベルトの基端片4と先端片5との着脱状態を示す断面図である。言い換えれば、基端片4の受け具2に対する先端片5の留め具3の係脱状態を示す断面図である。図8において、上側に示される先端片5は、右側がベルト本体1の先端側とされ、下側に示される基端片4は、左側がベルト本体1の基端側とされる。
【0054】
ベルトを締める際、基端片4に設けた複数の受け具2の内、所望の受け具2に、先端片5に設けた留め具3を係合すればよい。受け具2への留め具3の係合は、次のようにして行えばよい。すなわち、受け具2のフック差込穴7から留め具3のフック14を挿入しつつ、受け具2の表面Oに留め具3の裏面Rを当接させる。その状態では、フック14の第二片14bは、受け具2内において、ベルト本体1のフック係合穴9に配置される。そして、受け具2に対し、留め具3(フック14)を基端側へ相対移動させればよい。それにより、図9に示すように、留め具3のベース板12とフック14の第二片14bとの隙間に、受け具2の表側の壁体が配置されて、受け具2に留め具3を係合することができる。この係合を解除するには、図9の状態から、受け具2に対し、留め具3(フック14)を先端側へ移動させ、留め具3のフック14を受け具2のフック差込穴7から外部へ外せばよい。なお、図9の例では、留め具3の裏面側には、フック14と係合される受け具2以外に、隣接した別の受け具2も配置される。
【0055】
本実施例のベルトによれば、ベルト本体1に受け具2と留め具3とを設け、受け具2に対し留め具3を係脱することで、ベルトを締めたり外したりすることができる。ベルト本体1に設けた金属製の受け具2と留め具3との間で係脱することで、ベルト本体1の損傷を防止することができる。
【0056】
本実施例のベルトによれば、略矩形の扁平な筒状の受け具2にベルト本体1がはめ込まれて固定される。受け具2には、ベルト本体1の表側Oに重ねられる壁体にフック差込穴7を形成すればよく、ベルト本体1の裏側Rに重ねられる壁体にフック差込穴7を形成する必要がない。そのため、受け具2と留め具3との係合時に、フック14が外部へ露出せず、衣服を傷めるおそれがない。また、安全性を確保することができる。
【0057】
本実施例のベルトによれば、受け具2の中空穴6にベルト本体1をはめ込んで固定するので(つまり中空穴6の断面とベルト本体1の断面とが適合しているので)、ベルト本体1に受け具2をガタつきなく固定することができる。
【0058】
本実施例のベルトによれば、ベルト本体1の基端片4には、基端部4aあるいは中途部に、受け具2を設けることができる。受け具2は、ベルト本体1の長手方向に離隔した位置に、複数設けることもできる。ベルト本体1に複数の受け具2を設けた場合、いずれの受け具2に留め具3を係合するかにより、ベルトの締め具合を調整することができる。
【0059】
本実施例のベルトによれば、留め具3の中空穴(ベース板12とベルト保持部13との隙間)にベルト本体1をはめ込んで固定するので、ベルト本体1に留め具3をガタつきなく固定することができる。ベルト本体1の先端片5には、先端部あるいは中途部に、留め具3を設けることができる。
【0060】
本実施例のベルトによれば、受け具2のフック差込穴7と連続して、ベルト本体1にフック係合穴9が貫通して設けられる。そして、そのフック係合穴9に留め具3のフック14がはめ込み可能とされる。ベルト本体1に設けた穴を利用することで、受け具2の厚さを抑えることができる。
【0061】
本実施例のベルトによれば、留め具3には、幅方向に離隔して平行にフック14を設け、各フック14に対応して、受け具2の側にフック差込穴7やフック係合穴9が形成される。幅方向複数箇所に設けたフック14で受け具2と係合することで、ベルトと締めた際、受け具2に留め具3をガタつきなく保持することができる。
【0062】
本発明のベルトは、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)衣服用のベルトであって、帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の基端側に設けられる受け具2と、ベルト本体1の先端側に設けられる留め具3とを備え、(b)受け具2は、ベルト本体1の長手方向の一部を幅方向に取り囲む筒状とされ、ベルト本体1がはめ込まれて固定され、(c)受け具2は、ベルト本体1の表側に重ねられる壁体に、フック差込穴7が形成されており、(d)ベルト本体1には、受け具2が固定される箇所に、フック差込穴7と対応してフック係合穴9が開けられており、(e)フック係合穴9は、フック差込穴7よりもベルト本体1の基端側へ延出して形成されており、(f)留め具3は、ベルト本体1に固定され、ベルト本体1の裏側に重ねられる壁体に、フック係合穴9に対し係脱可能なフック14が設けられているのであれば、その他の構成は、適宜に変更可能である。
【0063】
たとえば、受け具2は、ベルト挿通穴6やフック差込穴7を備えるのであれば、その構成・デザインを変更してもよい。
【0064】
留め具3は、フック14を有すると共にベルト本体1に固定可能であれば、その構成・デザインを変更してもよい。たとえば、前記実施例では、留め具3は、ベース板12とベルト保持部13との間にベルト本体1を通す構成としたが、受け具2と同様に、ベルト本体1が通される筒状としてもよい。
【0065】
受け具2と留め具3との内、一方または双方に磁石を設けて、受け具2と留め具3とを、フック14に加えて、磁力でも着脱可能としてもよい。
【0066】
受け具2および留め具3は、横断面が円弧状に湾曲して形成されてもよい。具体的には、図8図9において、受け具2や留め具3は、上へ凸の円弧状に湾曲した形状とされてもよい。受け具2や留め具3を円弧状に湾曲して形成することで、ベルトの着用時に、身体へのフィット感を増すことができる。
【0067】
さらに、前記実施例では、ベルトの長さ調整のために、ベルト本体1に複数の受け具2を設ける例を示したが、場合により、受け具2に、ベルトの長手方向に離隔して、複数のフック差込穴7を形成してもよい。つまり、同じ受け具2内において、どのフック差込穴7を用いるかにより、ベルトの長さ調整を可能としてもよい。その場合、各フック差込穴7に対応して、ベルト本体1にフック係合穴9が形成される。
【符号の説明】
【0068】
1 ベルト本体
2 受け具
3 留め具
4 基端片(4a:基端部)
5 先端片(5a:先端部)
6 中空穴
7 フック差込穴(7a:一端部、7b:他端部)
8 ネジ挿通穴
9 フック係合穴(9a:一端部)
10 ネジ下穴
11 止めネジ
12 ベース板(12a:斜辺、12b:穴)
13 ベルト保持部(13a:一片、13b:他片)
14 フック(14a:第一片、14b:第二片)
15 ネジ挿通穴
16 ネジ下穴
17 止めネジ
O 表側
R 裏側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9