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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025088016
(43)【公開日】2025-06-11
(54)【発明の名称】コネクタ、及び、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20250604BHJP
【FI】
H01R33/76 503B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202411
(22)【出願日】2023-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154900
【弁理士】
【氏名又は名称】関 京悟
(72)【発明者】
【氏名】芦部 健太
【テーマコード(参考)】
5E024
【Fターム(参考)】
5E024CA13
5E024CB05
(57)【要約】
【課題】コネクタの狭ピッチ化に関する技術を提供する。
【解決手段】インターポーザ1は、平板状であって、板厚方向に貫通する複数のコンタクト収容室6を有する、ハウジング4と、ハウジングの複数のコンタクト収容室6にそれぞれ収容される、複数のコンタクト5と、を含む。各コンタクト5は、板厚方向で互いに対向するように配置された2つの金属端子(10、11)と、2つの金属端子(10、11)を連結する弾性変形容易な筒状のチューブ12と、チューブ12に充填される液体金属13と、を含む。2つの金属端子(10、11)は、液体金属13を介して互いに導通している。2つの金属端子(10、11)は、チューブ12の弾性変形を伴って板厚方向で互いに近づくように構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状であって、板厚方向に貫通する複数のコンタクト収容室を有する、ハウジングと、
前記ハウジングの前記複数のコンタクト収容室にそれぞれ収容される、複数のコンタクトと、
を含み、
各コンタクトは、
前記板厚方向で互いに対向するように配置された2つの金属端子と、
前記2つの金属端子を連結する弾性変形容易な筒状の連結部材と、
前記連結部材に充填される導電性流動体と、
を含み、
前記2つの金属端子は、前記導電性流動体を介して互いに導通しており、
前記2つの金属端子は、前記連結部材の弾性変形を伴って前記板厚方向で互いに近づくように構成されている、
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
各金属端子は、前記連結部材に圧入される圧入部を有する、
コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
各金属端子は、前記圧入部よりも大径である大径部を有する、
コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
各金属端子は、前記ハウジングから外部に露出する接点部を有し、
前記圧入部と前記接点部は、前記大径部を挟んで背中合わせで配置されている、
コネクタ。
【請求項5】
請求項3に記載のコネクタであって、
各金属端子は、前記ハウジングから外部に露出する接点部を有し、
前記圧入部と前記接点部は、前記大径部から互いに反対方向に突出している、
コネクタ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のコネクタであって、
前記接点部は、前記大径部よりも小径である、
コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記複数のコンタクトは、前記板厚方向における寸法が第1の長さである長尺コンタクトと、前記板厚方向における寸法が前記第1の長さよりも短い第2の長さである短尺コンタクトと、を含む、
コネクタ。
【請求項8】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記2つの金属端子は、第1の金属端子及び第2の金属端子を含み、
各コンタクト収容室の内周面には、
前記第1の金属端子の前記大径部が圧入される複数の内方突出部と、
前記第2の金属端子の前記大径部を受け止める受け部と、
が形成されており、
前記第1の金属端子の前記大径部が前記複数の内方突出部に圧入されることで、前記コンタクトが前記ハウジングに保持される、
コネクタ。
【請求項9】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記2つの金属端子は、第1の金属端子及び第2の金属端子を含み、
各コンタクト収容室の内周面には、
前記第1の金属端子の前記大径部を受け止める第1の受け部と、
前記第2の金属端子の前記大径部を受け止める第2の受け部と、
が形成されており、
前記第1の金属端子の前記大径部と前記第2の金属端子の前記大径部が前記板厚方向において前記第1の受け部及び前記第2の受け部の間に位置することで、前記コンタクトが前記ハウジングに保持される、
コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のコネクタであって、
前記第1の金属端子を前記第1の受け部に対して回転させると、前記第1の金属端子の前記大径部が前記第1の受け部を前記板厚方向に通過可能な通過可能状態と、前記第1の金属端子の前記大径部が前記第1の受け部を前記板厚方向に通過不能な通過不能状態と、の間で切り替わる、
コネクタ。
【請求項11】
請求項1に記載のコネクタであって、
各コンタクト収容室の内周面と、各コンタクトの前記連結部材の外周面と、の間には隙間がある、
コネクタ。
【請求項12】
請求項1に記載のコネクタの製造方法であって、
前記2つの金属端子の何れか一方を前記連結部材に取り付け、
前記連結部材内に前記導電性流動体を充填し、
前記2つの金属端子の他方を前記連結部材に取り付ける、
製造方法。
【請求項13】
請求項8に記載のコネクタの製造方法であって、
前記2つの金属端子の何れか一方を前記連結部材に取り付け、
前記連結部材内に前記導電性流動体を充填し、
前記2つの金属端子の他方を前記連結部材に取り付け、
前記第1の金属端子の前記大径部を前記複数の内方突出部に対して圧入する、
製造方法。
【請求項14】
請求項10に記載のコネクタの製造方法であって、
前記2つの金属端子の何れか一方を前記連結部材に取り付け、
前記連結部材内に前記導電性流動体を充填し、
前記2つの金属端子の他方を前記連結部材に取り付け、
前記第1の金属端子が前記第1の受け部を通過し、
通過後に前記第1の金属端子を回転させることで前記通過可能状態から前記通過不能状態に切り替える、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の図13に示すように、特許文献1は、半導体パッケージなどの電子部品を回路基板に接続するための電子部品用ソケット100を開示している。電子部品用ソケット100は、側壁101と底壁102を有するハウジング103と、ハウジング103の底壁102を貫通して配置される複数の端子104と、を備える。
【0003】
各端子104は、電子部品の電極に接触可能な接触部105と、回路基板のランドに接続可能な接続部106を有する。接触部105は、接触部105が電子部品の電極に対して電気的に確実に接触できるように凸状に曲げ加工されていると共に、弾性変形容易なアーム状部107に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-174617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、接触部105のストロークを稼ぐためにアーム状部107を大きく湾曲させる必要があるので端子104自体のダウンサイジングに限界がある。従って、電子部品用ソケット100の狭ピッチ化に関して改善の余地が残されている。
【0006】
そこで、本開示の目的は、コネクタの狭ピッチ化に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
平板状であって、板厚方向に貫通する複数のコンタクト収容室を有する、ハウジングと、
前記ハウジングの前記複数のコンタクト収容室にそれぞれ収容される、複数のコンタクトと、
を含み、
各コンタクトは、
前記板厚方向で互いに対向するように配置された2つの金属端子と、
前記2つの金属端子を連結する弾性変形容易な筒状の連結部材と、
前記連結部材に充填される導電性流動体と、
を含み、
前記2つの金属端子は、前記導電性流動体を介して互いに導通しており、
前記2つの金属端子は、前記連結部材の弾性変形を伴って前記板厚方向で互いに近づくように構成されている、
コネクタが提供される。
各金属端子は、前記連結部材に圧入される圧入部を有してもよい。
各金属端子は、前記圧入部よりも大径である大径部を有してもよい。
各金属端子は、前記ハウジングから外部に露出する接点部を有し、前記圧入部と前記接点部は、前記大径部を挟んで背中合わせで配置されてもよい。
各金属端子は、前記ハウジングから外部に露出する接点部を有し、前記圧入部と前記接点部は、前記大径部から互いに反対方向に突出してもよい。
前記接点部は、前記大径部よりも小径であってもよい。
前記複数のコンタクトは、前記板厚方向における寸法が第1の長さである長尺コンタクトと、前記板厚方向における寸法が前記第1の長さよりも短い第2の長さである短尺コンタクトと、を含んでもよい。
前記2つの金属端子は、第1の金属端子及び第2の金属端子を含み、各コンタクト収容室の内周面には、前記第1の金属端子の前記大径部が圧入される複数の内方突出部と、前記第2の金属端子の前記大径部を受け止める受け部と、が形成されており、前記第1の金属端子の前記大径部が前記複数の内方突出部に圧入されることで、前記コンタクトが前記ハウジングに保持されてもよい。
前記2つの金属端子は、第1の金属端子及び第2の金属端子を含み、各コンタクト収容室の内周面には、前記第1の金属端子の前記大径部を受け止める第1の受け部と、前記第2の金属端子の前記大径部を受け止める第2の受け部と、が形成されており、前記第1の金属端子の前記大径部と前記第2の金属端子の前記大径部が前記板厚方向において前記第1の受け部及び前記第2の受け部の間に位置することで、前記コンタクトが前記ハウジングに保持されてもよい。
前記第1の金属端子を前記第1の受け部に対して回転させると、前記第1の金属端子の前記大径部が前記第1の受け部を前記板厚方向に通過可能な通過可能状態と、前記第1の金属端子の前記大径部が前記第1の受け部を前記板厚方向に通過不能な通過不能状態と、の間で切り替わってもよい。
各コンタクト収容室の内周面と、各コンタクトの前記連結部材の外周面と、の間には隙間があってもよい。
前記2つの金属端子の何れか一方を前記連結部材に取り付け、前記連結部材内に前記導電性流動体を充填し、前記2つの金属端子の他方を前記連結部材に取り付ける、コネクタの製造方法が提供される。
前記2つの金属端子の何れか一方を前記連結部材に取り付け、前記連結部材内に前記導電性流動体を充填し、前記2つの金属端子の他方を前記連結部材に取り付け、前記第1の金属端子の前記大径部を前記複数の内方突出部に対して圧入する、コネクタの製造方法が提供される。
前記2つの金属端子の何れか一方を前記連結部材に取り付け、前記連結部材内に前記導電性流動体を充填し、前記2つの金属端子の他方を前記連結部材に取り付け、前記第1の金属端子が前記第1の受け部を通過し、通過後に前記第1の金属端子を回転させることで前記通過可能状態から前記通過不能状態に切り替える、コネクタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コネクタの狭ピッチ化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インターポーザの斜視図である。(第1実施形態)
図2】インターポーザの一部切り欠き斜視図である。(第1実施形態)
図3】コンタクトの斜視図である。(第1実施形態)
図4】インターポーザの側面断面図である。(第1実施形態)
図5】インターポーザの側面断面図である。(第1実施形態)
図6】インターポーザの側面断面図である。(第1実施形態)
図7】インターポーザの製造フローである。(第1実施形態)
図8】インターポーザの一部切り欠き斜視図である。(第2実施形態)
図9】インターポーザの製造フローである。(第2実施形態)
図10】インターポーザの一部切り欠き斜視図である。(第3実施形態)
図11】インターポーザの部分平面図である。(第3実施形態)
図12】インターポーザの製造フローである。(第3実施形態)
図13】特許文献1の図5を簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態から第3の実施形態を通じて本開示を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
(第1実施形態)
以下、図1から図7を参照して、本開示の第1実施形態を説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係るインターポーザ1を示している。インターポーザ1は、コネクタの一具体例である。インターポーザ1は、典型的には、LGAパッケージ2(Land Grid Array)をリジッド基板3に接続する。従って、インターポーザ1は、LGAソケットとも呼ばれる。
【0012】
LGAパッケージ2は、電子部品の一具体例である。LGAパッケージ2は、複数のランド2aが格子状に配置された半導体パッケージである。
【0013】
リジッド基板3は、回路基板の一具体例である。リジッド基板3は、複数のランド3aが格子状に配置された基板である。リジッド基板3は、典型的には、紙フェノール基板(paper phenolic board)又はガラスエポキシ基板(glass epoxy board)である。
【0014】
本実施形態において、インターポーザ1の芯数は、典型的には、3000から10000である。しかし、インターポーザ1の芯数は、3000以下であってもよく、10000以上であってもよい。
【0015】
図1及び図2に示すように、インターポーザ1は、ハウジング4と、ハウジング4に保持された複数のコンタクト5を含む。インターポーザ1は、更に、LGAパッケージ2をハウジング4に対して位置決めするための位置決めガイドを含んでもよい。これに代えて、ハウジング4自体がLGAパッケージ2をハウジング4に対して位置決めする機能を有してもよい。本実施形態において、複数のコンタクト5は、格子状に配置されている。複数のコンタクト5のピッチは、一例として、1ミリメートル以下に設定される。
【0016】
<ハウジング4>
図2に示すように、ハウジング4は、平板状であって、板厚方向に貫通する複数のコンタクト収容室6を有する。以下、ハウジング4の板厚方向を上下方向とも称する。上下方向は、インターポーザ1からLGAパッケージ2を見る上方と、LGAパッケージ2からインターポーザ1を見る下方と、を含む。上下方向、上方、下方は、説明の便宜上に使用する用語であって、インターポーザ1の使用時における姿勢を限定するものではない。ハウジング4は、上方を向くハウジング上面4aと、下方を向くハウジング下面4bと、を有する。従って、各コンタクト収容室6は、ハウジング上面4aとハウジング下面4bに開口している。各コンタクト収容室6は、上下方向に沿って円柱状に延びている。詳しくは、コンタクト収容室6の内周面6aは、平面視で真円である。
【0017】
各コンタクト収容室6の内周面6aの下端には、径方向内方に突出する環状のコンタクト受けフランジ7が形成されている。コンタクト受けフランジ7は、上方を向くフランジ上面7aと、下方を向くフランジ下面7bと、を有する。フランジ下面7bは、ハウジング下面4bと面一とされている。コンタクト受けフランジ7の内周面は、平面視で真円である。
【0018】
ハウジング4は、例えばシリコーンゴムなどの弾性変形容易な絶縁素材により構成されている。これにより、ハウジング4は、LGAパッケージ2やリジッド基板3の反りに追従して柔軟に変形することができる。しかし、これに代えて、ハウジング4は、LCP(Liquid Crystal Polymer)などの弾性変形し難い絶縁素材により形成してもよい。
【0019】
図3及び図4に示すように、各コンタクト5は、上端子10、下端子11、チューブ12、液体金属13を含む。
【0020】
<上端子10・下端子11>
上端子10及び下端子11は、金属端子の一具体例である。上端子10は、第1の金属端子の一具体例である。下端子11は、第2の金属端子の一具体例である。上端子10及び下端子11は、典型的には、銅又は銅合金製である。上端子10及び下端子11は、上下方向で互いに対向するように配置されている。上端子10及び下端子11は、別部品として構成されている。
【0021】
<上端子10>
図4に示すように、上端子10は、接点部15、圧入部16、大径部17を有する。接点部15、大径部17、圧入部16は、この記載順に下方に向かって連なっている。接点部15は、大径部17から上方に突出している。圧入部16は、大径部17から下方に突出している。即ち、接点部15及び圧入部16は、大径部17から互いに反対方向に突出している。従って、接点部15及び圧入部16は、大径部17を挟んで背中合わせで配置されている。
【0022】
接点部15は、上下方向にストレートな外周面を有する円柱部15aと、上方に向かって凸となる半球部15bと、を含む。
【0023】
同様に、圧入部16は、上下方向にストレートな外周面を有する円柱部16aと、下方に向かって凸となる半球部16bと、を含む。
【0024】
大径部17は、平面視で真円となる外周面17aを有する円柱状に形成されている。大径部17の直径は、接点部15の円柱部15aの直径よりも大きい。しかし、大径部17の直径は、接点部15の円柱部15aの直径と等しくてもよい。また、大径部17の直径は、圧入部16の円柱部16aの直径よりも大きい。しかし、大径部17の直径は、圧入部16の円柱部16aの直径と等しくてもよい。
【0025】
<下端子11>
下端子11は、接点部20、圧入部21、大径部22を有する。接点部20、大径部22、圧入部21は、この記載順に上方に向かって連なっている。接点部20は、大径部22から下方に突出している。圧入部21は、大径部22から上方に突出している。即ち、接点部20及び圧入部21は、大径部22から互いに反対方向に突出している。従って、接点部20及び圧入部21は、大径部22を挟んで背中合わせで配置されている。
【0026】
接点部20は、上下方向にストレートな外周面を有する円柱部20aと、下方に向かって凸となる半球部20bと、を含む。
【0027】
同様に、圧入部21は、上下方向にストレートな外周面を有する円柱部21aと、上方に向かって凸となる半球部21bと、を含む。
【0028】
大径部22は、平面視で真円となる外周面22aを有する円柱状に形成されている。大径部22の直径は、接点部20の円柱部20aの直径よりも大きい。しかし、大径部22の直径は、接点部20の円柱部20aの直径と等しくてもよい。また、大径部22の直径は、圧入部21の円柱部21aの直径よりも大きい。しかし、大径部22の直径は、圧入部21の円柱部21aの直径と等しくてもよい。
【0029】
<チューブ12>
チューブ12は、可撓性を有する筒状の連結部材の一具体例である。チューブ12は、例えばシリコーンゴムなどの弾性変形容易な素材により構成されている。チューブ12は、上下方向に延びるように配置されている。チューブ12は、上端子10と下端子11の間に配置されることで、上端子10と下端子11を連結する。
【0030】
具体的には、チューブ12の上端部12aに上端子10の圧入部16が圧入されている。これにより、上端子10は、チューブ12の上端部12aに保持される。また、チューブ12の上端部12aは、大径部17に上下方向で接触している。これにより、上端子10のチューブ12に対する上下方向での位置決めが実現されている。
【0031】
同様に、チューブ12の下端部12bに下端子11の圧入部21が圧入されている。これにより、下端子11は、チューブ12の下端部12bに保持されている。また、チューブ12の下端部12bは、大径部22に上下方向で接触している。これにより、下端子11のチューブ12に対する上下方向での位置決めが実現されている。
【0032】
<液体金属13>
液体金属13は、導電性流動体の一具体例である。液体金属13は、チューブ12に充填されている。具体的には、液体金属13は、上端子10と下端子11によって上下方向で区画され、チューブ12によって径方向で区画された、内部空間Sに充填されている。
【0033】
液体金属13としては、典型的には、次の性質を有する金属から構成される。
・5から35度であるとき液体であること。
・電気抵抗が小さいこと。
・通電により発熱しても気化し難いこと。
【0034】
上記の性質を有する液体金属13としては、一例として、Ga(ガリウム)及びSn(スズ)を含む液体金属が挙げられる。また、液体金属13としては、一例として、Ga(ガリウム)、In(インジウム)及びSn(スズ)の共晶合金を含む液体金属が挙げられる。この種の液体金属として、ガリンスタン(登録商標)が市販されている。ガリンスタンは、沸点が1300度以上であり、融点が-19度であり、常温(22度)で液体の金属である。また、ガリンスタンは、空気との接触界面に酸化皮膜を形成し、酸化皮膜が封止部として機能することで液体金属の気化を抑制する。
【0035】
上端子10及び下端子11のうち液体金属13と接触する部分、即ち、上端子10の圧入部16、及び、下端子11の圧入部21には、液体金属13との濡れ性及び接触抵抗を改善する目的でIn又はSnを主成分として含むメッキを施すことが考えられる。
【0036】
液体金属13の粘度は、液体金属13の流動性を阻害しない範囲内で適宜調整することができる。従って、液体金属13は、一例として、ペースト状であってもよい。
【0037】
以上の構成により、上端子10と下端子11は、液体金属13を介して常時互いに導通状態とされる。また、上端子10及び下端子11は、互いに対する導通状態を維持したまま、チューブ12の弾性変形を伴って上下方向で互いに近づくことができる。典型的には、チューブ12が径方向外方に膨らみ出ることで、上端子10及び下端子11は、互いに導通状態を維持したまま、互いに近づくことができる。また、上端子10及び下端子11が互いに近づいた場合、チューブ12自体の弾性復元力により上端子10と下端子11には互いから離れるような反発力を受ける。
【0038】
<インターポーザ1の組立>
引き続き、図4を参照されたい。図4では、コンタクト5をコンタクト収容室6に収容した状態を示している。図4に示すように、コンタクト5は、対応するコンタクト収容室6に向かって下方に移動することで、対応するコンタクト収容室6に収容される。
【0039】
コンタクト5は、コンタクト収容室6に収容された状態で、コンタクト受けフランジ7に保持されている。具体的には、コンタクト5の下端子11の大径部22がコンタクト受けフランジ7のフランジ上面7aに対して上下方向で接触することで、コンタクト5はコンタクト受けフランジ7に保持されている。
【0040】
このとき、下端子11の接点部20は、コンタクト受けフランジ7を上下方向で貫通してハウジング4のハウジング下面4bを越えて下方に露出している。
【0041】
これに対し、上端子10の接点部15は、ハウジング4のハウジング上面4aを越えて上方に露出している。一例として、上端子10の接点部15は、ハウジング4のハウジング上面4aよりも上方に位置し、上端子10の大径部17は、ハウジング4のハウジング上面4aよりも下方に位置している。即ち、上端子10の大径部17は、コンタクト収容室6に完全に収容された状態となっている。
【0042】
また、コンタクト収容室6の内周面6aと、チューブ12の外周面12cと、の間には隙間Gが存在している。この隙間Gは、前述したようにチューブ12が径方向外方に膨らみ出ることを許容する。
【0043】
<インターポーザ1の使用>
図5は、インターポーザ1の使用時におけるコンタクト5の挙動を示している。図5に示すように、インターポーザ1は、リジッド基板3に搭載されて用いられる。インターポーザ1は、一例として、図示しないホールドダウンを備え、当該ホールドダウンをリジッド基板3にハンダ付けすることにより、リジッド基板3に固定される。図5に示すように、インターポーザ1がリジッド基板3に搭載された状態で、各コンタクト5の下端子11の接点部20は、リジッド基板3のランド3aに接触している。このとき、複数のコンタクト5のうち幾つかにおいては、リジッド基板3の反りを吸収するために、下端子11の大径部22がコンタクト受けフランジ7から上方に浮いているだろう。
【0044】
この状態で、LGAパッケージ2をリジッド基板3に接続するには、図示しないクランプを操作してLGAパッケージ2をインターポーザ1に押し付ける。すると、LGAパッケージ2の各ランド2aが対応するコンタクト5の上端子10の接点部15に接触すると共に、接点部15を押し下げる。即ち、上端子10が下端子11に向かって移動する。この際、前述したように、上端子10と下端子11は液体金属13を介して互いに対する導通状態を維持したまま、チューブ12の弾性変形を伴って上端子10は下端子11に向かって移動することになる。こうして、LGAパッケージ2の各ランド2aは、コンタクト5の上端子10、液体金属13、下端子11を順に介してリジッド基板3の対応するランド3aと導通することになる。
【0045】
一方、LGAパッケージ2をリジッド基板3から切り離すには、前述したクランプを操作して単にLGAパッケージ2をリジッド基板3から上方に遠ざければよい。これにより、前述したようにチューブ12自体の弾性復元力によって上端子10は上方に押し戻され、図4に示す状態へと復帰する。
【0046】
このように本実施形態の各コンタクト5によれば、LGAパッケージ2の各ランド2aからリジッド基板3の対応するランド3aまでの電流経路長は、当該電流経路が上下方向に沿ってストレートとなるので極めて短い。また、各コンタクト5の断面積は、上端子10の接点部15から下端子11の接点部15に至るまでほとんど変化しない。従って、優れた高周波特性が実現される。
【0047】
また、各コンタクト5の断面積が上端子10の接点部15から下端子11の接点部15に至るまでの間に局所的に小さくなることがない。従って、優れた導電性、及び、優れた熱伝導特性が実現される。
【0048】
更に言えば、各コンタクト5の構成が簡素であることから、インターポーザ1の低背化にも寄与すると言える。
【0049】
なお、図6に示すように、各コンタクト5の上下方向における寸法5Hは、平面視でインターポーザ1の中央に近づくにつれて大きくなるように構成されている。即ち、複数のコンタクト5は、上下方向における寸法5Hが第1の長さである長尺コンタクト5Pと、上下方向における寸法5Hが第1の長さよりも短い第2の長さである短尺コンタクト5Qと、を含む。長尺コンタクト5Pは、平面視でインターポーザ1の中央に配置される。短尺コンタクト5Qは、平面視でインターポーザ1の外周縁に配置される。各コンタクト5のチューブ12の長さを変えることにより、各コンタクト5における上端子10と下端子11との間の距離を調整している。これにより、LGAパッケージ2をリジッド基板3に接続した際の、LGAパッケージ2やリジッド基板3の反りを吸収することができる。
【0050】
<製造方法>
以下、図7を参照して、インターポーザ1の製造方法を説明する。まず、複数のコンタクト5を作製する(S100)。具体的には、下端子11をチューブ12に圧入し(S110)、チューブ12に液体金属13を充填し(S120)、上端子10をチューブ12に圧入する(S130)。
【0051】
ただし、先に上端子10をチューブ12に圧入し、次にチューブ12に液体金属13を充填し、その後に下端子11をチューブ12に圧入してもよい。また、上端子10及び下端子11をチューブ12に圧入した後にチューブ12に液体金属13を充填してもよい。この場合、上端子10又は下端子11とチューブ12の間に液体金属13を充填するための一時的な流路を確保することが考えられる。更に言えば、チューブ12に液体金属13を充填した後に、上端子10及び下端子11をチューブ12にそれぞれ圧入してもよい。この場合、液体金属13の粘度を若干高めておくことが有効だろう。複数のコンタクト5を作製したら(S100)、各コンタクト5を対応するコンタクト収容室6に収容する(S140)。
【0052】
以上に、第1実施形態を説明した。上記第1実施形態は以下の特徴を有する。
【0053】
インターポーザ1(コネクタ)は、平板状であって、板厚方向に貫通する複数のコンタクト収容室6を有する、ハウジング4と、ハウジングの複数のコンタクト収容室6にそれぞれ収容される、複数のコンタクト5と、を含む。各コンタクト5は、板厚方向で互いに対向するように配置された2つの金属端子(10、11)と、2つの金属端子(10、11)を連結する弾性変形容易な筒状のチューブ12(連結部材)と、チューブ12に充填される液体金属13(導電性流動体)と、を含む。2つの金属端子(10、11)は、液体金属13を介して互いに導通している。2つの金属端子(10、11)は、チューブ12の弾性変形を伴って板厚方向で互いに近づくように構成されている。以上の構成によれば、インターポーザ1の狭ピッチ化を実現することができる。
【0054】
また、各金属端子(10、11)は、チューブ12に圧入される圧入部(16、21)を有する。以上の構成によれば、チューブ12で2つの金属端子(10、11)を連結する際の良好な作業性が実現される。
【0055】
また、各金属端子(10、11)は、圧入部(16、21)よりも大径である大径部(17、22)を有する。以上の構成によれば、圧入部(16、21)をチューブ12に圧入する際の、圧入部(16、21)のチューブ12に対する位置決めが実現される。
【0056】
また、各金属端子(10、11)は、ハウジング4から外部に露出する接点部(15、20)を有する。圧入部(16、21)と接点部(15、20)は、大径部(17、22)を挟んで背中合わせで配置されている。以上の構成によれば、各金属端子(10、11)を簡素な構成で実現することができる。
【0057】
また、各金属端子(10、11)は、ハウジング4から外部に露出する接点部(15、20)を有する。圧入部(16、21)と接点部(15、20)は、大径部(17、22)から互いに反対方向に突出している。以上の構成によれば、各金属端子(10、11)を簡素な構成で実現することができる。
【0058】
また、接点部(15、20)は、大径部(17、22)よりも小径である。以上の構成によれば、インターポーザ1の軽量化に寄与する。
【0059】
また、各コンタクト収容室6の内周面6aと、各コンタクト5のチューブ12の外周面12cと、の間には隙間Gがある。以上の構成によれば、チューブ12の径方向外方への弾性変形が許容される。
【0060】
また、インターポーザ1は、2つの金属端子(10、11)の何れか一方をチューブ12に取り付け、チューブ12内に液体金属13を充填し、2つの金属端子(10、11)の他方をチューブ12に取り付ける、ことにより製造される。以上の方法によれば、インターポーザ1の製造コストを抑えることができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、図8及び図9を参照して、本開示の第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0062】
上記第1実施形態では、図4に示すように、コンタクト5をコンタクト収容室6に収容した状態で、コンタクト5はコンタクト収容室6から上方に容易に引き抜くことができる。従って、インターポーザ1を上下逆にしたときに、コンタクト5がハウジング4から意図せず脱落してしまう虞がある。
【0063】
これに対し、本実施形態では、図8に示すように、コンタクト5が圧入によりハウジング4に保持されている。具体的には、各コンタクト収容室6の内周面6aの上端には、複数の内方突出部30が形成されている。本実施形態において、複数の内方突出部30は、3つの内方突出部30を含む。しかし、これに代えて、複数の内方突出部30は、2つ又は4つ以上の内方突出部30を含んでもよい。図8に示すように、3つの内方突出部30は、平面視で等間隔に配置されている。弾性変形前の3つの内方突出部30の径方向内方の頂部を通る円の直径は、上端子10の大径部17の直径よりも小さい。各コンタクト収容室6の内周面6aの下端には、上記第1実施形態と同様に、コンタクト受けフランジ7が形成されている。コンタクト受けフランジ7は、下端子11の大径部22を受け止める受け部の一具体例である。
【0064】
そして、図8に示すようにコンタクト5がコンタクト収容室6に収容された状態で、上端子10の大径部17は、3つの内方突出部30に対して圧入されている。この状態で、3つの内方突出部30は、径方向外方への弾性変形しており、上端子10の大径部17に対して径方向内方に弾性復元力を作用させている。この弾性復元力により、コンタクト5はハウジング4によって保持される。
【0065】
図8に示す状態で、LGAパッケージ2をリジッド基板3に接続するには、図示しないクランプを操作してLGAパッケージ2をインターポーザ1に押し付ける。すると、LGAパッケージ2の各ランド2aが対応するコンタクト5の上端子10の接点部15に接触すると共に、接点部15を押し下げる。即ち、上端子10が下端子11に向かって移動する。この上端子10の移動により上記の圧入は解除され、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30よりも下方に移動する。上端子10の大径部17が3つの内方突出部30よりも下方に移動すると、3つの内方突出部30が圧入前の状態に復帰して、上端子10の大径部17に対して上下方向で僅かに対向するようになる。この対向関係により、上端子10の大径部17は3つの内方突出部30を越えて上方に移動することが防止され、もって、コンタクト5のコンタクト収容室6からの脱落が防止される。
【0066】
次に、図9を参照して、インターポーザ1の製造方法を説明する。ステップS100からステップS140までは上記第1実施形態のステップS100からステップS140と同じであるから説明を省略する。本実施形態では、各コンタクト5を対応するコンタクト収容室6に収容するステップS140が上記第1実施形態のステップS140と異なっている。即ち、本実施形態におけるステップS140は、下端子11が3つの内方突出部30を通過するステップS150と、上端子10の大径部17を3つの内方突出部30に圧入するステップS160を含んでいる。
【0067】
以上に、第2実施形態を説明した。上記第2実施形態は以下の特徴を有する。
【0068】
即ち、2つの金属端子(10、11)は、上端子10(第1の金属端子)及び下端子11(第2の金属端子)を含む。各コンタクト収容室6の内周面6aには、上端子10の大径部17が圧入される複数の内方突出部30と、下端子11の大径部22を受け止めるコンタクト受けフランジ7(受け部)と、が形成されている。上端子10の大径部17が複数の内方突出部30に圧入されることで、コンタクト5がハウジング4に保持される。以上の構成によれば、インターポーザ1のハンドリング性が向上する。また、上端子10が下端子11に向かって移動すると圧入が解除されるので、上端子10が下端子11に向かって移動することが許容される。
【0069】
また、インターポーザ1は、2つの金属端子(10、11)の何れか一方をチューブ12に取り付け、チューブ12内に液体金属13を充填し、2つの金属端子(10、11)の他方をチューブ12に取り付け、上端子10の大径部17を複数の内方突出部30に対して圧入する、ことにより製造される。以上の方法によれば、インターポーザ1の製造コストを抑えることができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、図10から図12を参照して、第3実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第2実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0071】
上記第2実施形態では、図8に示すように上端子10の大径部17が3つの内方突出部30に対して圧入されることで、コンタクト5はハウジング4に保持されている。
【0072】
これに対し、本実施形態では、図10に示すように、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30よりも下方に位置することで、コンタクト5はハウジング4に保持される。本実施形態において、3つの内方突出部30は、上端子10の大径部17を受け止める第1の受け部の一具体例である。コンタクト受けフランジ7は、下端子11の大径部22を受け止める第2の受け部の一具体例である。そして、上端子10の大径部17と下端子11の大径部22が上下方向で3つの内方突出部30とコンタクト受けフランジ7の間に位置することで、コンタクト5がハウジング4に保持される。
【0073】
具体的には、上端子10の大径部17の外周面17aには、3つの内方突出部30に対応するように、3つの上凹部31が形成されている。3つの上凹部31は、平面視で等間隔に形成されている。同様に、下端子11の大径部22の外周面22aには、3つの内方突出部30に対応するように、3つの下凹部32が形成されている。3つの下凹部32は、平面視で等間隔に形成されている。
【0074】
図11には、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30を上下方向に通過可能な通過可能状態と、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30を上下方向に通過不能な通過不能状態と、を示している。
【0075】
図11の通過可能状態では、上端子10の大径部17の3つの上凹部31が3つの内方突出部30にそれぞれ揃っており、上端子10の大径部17の3つの上凹部31と3つの内方突出部30はそれぞれ上下方向で対向しない位置関係となる。従って、この通過可能状態において、上端子10の大径部17は3つの内方突出部30の内側の空間を3つの内方突出部30と接触することなく通過することができる。
【0076】
図11の通過不能状態では、通過可能状態からコンタクト5を30度回転させている。このとき、3つの内方突出部30は、上端子10の大径部17に対して上下方向で対向する位置関係となる。従って、この通過不能状態において、上端子10の大径部17は3つの内方突出部30の内側の空間を3つの内方突出部30と接触することなく通過することができない。
【0077】
このように本実施形態では、上端子10を3つの内方突出部30に対して回転させるだけで、上端子10の状態を通過可能状態と通過不能状態と、の間で切り替えることができる。
【0078】
図10に示すように、下端子11の大径部22にも同様に3つの下凹部32が形成されているので、3つの下凹部32を3つの内方突出部30に揃えることにより、下端子11の大径部22は3つの内方突出部30の内側の空間を3つの内方突出部30と接触することなく通過することができる。
【0079】
以上の構成で、コンタクト5をコンタクト収容室6に収容するには、まず、下端子11の大径部22に形成された3つの下凹部32を3つの内方突出部30と揃えた状態で、コンタクト5をコンタクト収容室6に挿入する。続けて、上端子10の大径部17に形成された3つの上凹部31を3つの内方突出部30に揃えた状態で、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30の内側の空間を通過するように上端子10を押し下げる。すると、図10に示すようにチューブ12が径方向外方に若干膨らみ出るように弾性変形する。この状態で、上端子10を3つの内方突出部30に対して回転させることで、上端子10の状態を通過可能状態から通過不能状態に切り替える。そして、上端子10に対する下向きの荷重を抜く。すると、チューブ12の弾性復元力により上端子10は上昇し、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30に対して突き当たる。これにより、上端子10の大径部17と下端子11の大径部22が3つの内方突出部30とコンタクト受けフランジ7の間に位置し、コンタクト5がハウジング4に保持されることになる。なお、本実施形態では、コンタクト5がハウジング4に保持された状態で、コンタクト5はプリロード状態となっている。具体的には、図10に示すように、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30に対して突き当たっている状態で、チューブ12には弾性エネルギーが残存しており、継続して上端子10を押し上げている。これにより、インターポーザ1のハンドリング時にコンタクト5がコンタクト収容室6内で暴れることがない。ただし、コンタクト5がハウジング4に保持された状態で、コンタクト5はプリロード状態でなくてもよい。
【0080】
次に、図12を参照して、インターポーザ1の製造方法を説明する。ステップS100からステップS140までは上記第1実施形態のステップS100からステップS140と同じであるから説明を省略する。本実施形態では、各コンタクト5を対応するコンタクト収容室6に収容するステップS140が上記第1実施形態のステップS140と異なっている。即ち、本実施形態におけるステップS140は、下端子11の大径部22が3つの内方突出部30を通過するステップS200と、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30を通過するステップS210と、上端子10を3つの内方突出部30に対して回転させることにより、上端子10の状態を通過可能状態から通過不能状態に切り替えるステップS220と、を含む。
【0081】
以上に、第3実施形態を説明した。上記第3実施形態は以下の特徴を有する。
【0082】
2つの金属端子(10、11)は、上端子10(第1の金属端子)及び下端子11(第2の金属端子)を含む。各コンタクト収容室6の内周面6aには、上端子10の大径部17を受け止める3つの内方突出部30(第1の受け部)と、下端子11の大径部22を受け止めるコンタクト受けフランジ7(第2の受け部)と、が形成されている。上端子10の大径部17と下端子11の大径部22が上下方向において3つの内方突出部30及びコンタクト受けフランジ7の間に位置することで、コンタクト5がハウジング4に保持される。以上の構成によれば、インターポーザ1のハンドリング性が向上する。
【0083】
また、上端子10を3つの内方突出部30に対して回転させると、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30を上下方向に通過可能な通過可能状態と、上端子10の大径部17が3つの内方突出部30を上下方向に通過不能な通過不能状態と、の間で切り替わる。以上の構成によれば、上端子10の大径部17と下端子11の大径部22が上下方向において3つの内方突出部30及びコンタクト受けフランジ7の間に位置する構成を容易に実現できる。
【0084】
また、インターポーザ1は、2つの金属端子(10、11)の何れか一方をチューブ12に取り付け、チューブ12内に液体金属13を充填し、2つの金属端子(10、11)の他方をチューブ12に取り付け、上端子10が3つの内方突出部30を通過し、通過後に上端子10を回転させることで通過可能状態から通過不能状態に切り替える、ことにより製造される。以上の方法によれば、インターポーザ1の製造コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 インターポーザ(コネクタ)
2 LGAパッケージ
2a ランド
3 リジッド基板
3a ランド
4 ハウジング
4a ハウジング上面
4b ハウジング下面
5 コンタクト
5H 寸法
5P 長尺コンタクト
5Q 短尺コンタクト
6 コンタクト収容室
6a 内周面
7 コンタクト受けフランジ(受け部、第2の受け部)
7a フランジ上面
7b フランジ下面
10 上端子(金属端子、第1の金属端子)
11 下端子(金属端子、第2の金属端子)
12 チューブ(連結部材)
12a 上端部
12b 下端部
12c 外周面
13 液体金属(導電性流動体)
15 接点部
15a 円柱部
15b 半球部
16 圧入部
16a 円柱部
16b 半球部
17 大径部
17a 外周面
20 接点部
20a 円柱部
20b 半球部
21 圧入部
21a 円柱部
21b 半球部
22 大径部
22a 外周面
30 内方突出部(第1の受け部)
31 上凹部
32 下凹部
G 隙間
S 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13