(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025088191
(43)【公開日】2025-06-11
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/29 20240101AFI20250604BHJP
B60K 35/22 20240101ALI20250604BHJP
【FI】
B60K35/29
B60K35/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202731
(22)【出願日】2023-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】三浦 晋
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA20
3D344AA21
3D344AA26
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD01
3D344AD13
(57)【要約】
【課題】運転者が視認し易い方向指示表示を簡略な構成により実現できる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両用表示装置1は、ステアリングホイール4よりも車両前方に設置され、表示画面21が車両後方を向くように配置されているディスプレイ部2と、ディスプレイ部2の表示状態を制御する電子制御ユニット3と、を備える。ディスプレイ部2は、方向指示器5の作動状態を運転者に知らせるための方向指示マーク21Aの面積よりも広い面積をそれぞれ有する右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lが形成されており、電子制御ユニット3は、方向指示器5の作動状態に応じて、右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lの各表示状態をそれぞれ変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールよりも車両前方に設置され、前記車両の走行状態に関する情報を表示可能な表示画面が車両後方を向くように配置されているディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部の表示状態を制御する制御部と、を備え、
前記車両に設けられている方向指示器の作動状態を運転者に知らせるための方向指示マークが前記表示画面に表示されるように構成されている車両用表示装置において、
前記ディスプレイ部は、前記表示画面における左右方向の中央よりも右側に、前記方向指示マークの面積よりも広い面積を有する右側表示領域が形成され、かつ、前記表示画面における左右方向の中央よりも左側に、前記方向指示マークの面積よりも広い面積を有する左側表示領域が形成されており、
前記制御部は、前記方向指示器の作動状態に応じて、前記右側表示領域および前記左側表示領域の各表示状態をそれぞれ変化させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記ディスプレイ部は、前記表示画面における左右方向の中央に、前記車両の走行速度を含む情報を表示する中央表示領域が形成され、該中央表示領域の右方に隣接して前記右側表示領域が配置され、前記中央表示領域の左方に隣接して前記左側表示領域が配置されており、
前記制御部は、前記方向指示器の点滅タイミングに同期して、前記右側表示領域の表示状態および前記左側表示領域の表示状態をそれぞれ変化させることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両の車室内には、該車両に設けられている方向指示器が作動状態にあることを運転者に知らせるための表示灯がダッシュボードの計器盤に設けられている。運転者は、通常の運転姿勢において、計器盤上の表示灯をステアリングホイール越しに確認することになる。ステアリングホイールは、運転者の好みの高さに調整可能になっているため、ステアリングホイールの高さや運転姿勢によっては計器盤上の表示灯が運転者の死角に入ってしまうことや方向指示の音が周辺の音によりかき消されることがあった。このような状況に対処した従来の技術として、例えば、特許文献1には、ハンドル(ステアリングホイール)の適所や、運転者から見てハンドルの円の外となる室内適所に、方向指示器の作動状態を知らせる表示灯を設けるようにした自動車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術については、方向指示器の作動状態を運転者に知らせるための表示灯がステアリングホイール等の計器盤とは異なる場所に新たに設けられることによって、ステアリングホイール等の構成が複雑化して製造コストが上昇してしまうという課題があった。
【0005】
そもそも、計器盤上の方向指示表示の配置は、ステアリングホイールの位置や形状、運転者の体格や姿勢などを考慮して設計されているが、想定外の体格や姿勢の運転者に対しては、計器盤上の方向指示表示がステアリングホイールの陰に隠れてしまう可能性がある。例えば、運転者が、座席のシートバックに背を預けずに前かがみの姿勢で車両を運転している場合、通常の運転姿勢では計器盤上の見え易い位置にある方向指示表示がステアリングホイール等の陰に隠れてしまう。そのような前かがみの姿勢では、運転者の注意が計器盤の表示に向けられていないことも想定されるため、計器盤の方向指示表示をより見落とし易い状況にある。
【0006】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、運転者が視認し易い方向指示表示を簡略な構成により実現できる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明の一態様は、車両のステアリングホイールよりも車両前方に設置され、前記車両の走行状態に関する情報を表示可能な表示画面が車両後方を向くように配置されているディスプレイ部と、前記ディスプレイ部の表示状態を制御する制御部と、を備え、前記車両に設けられている方向指示器の作動状態を運転者に知らせるための方向指示マークが前記表示画面に表示されるように構成されている車両用表示装置を提供する。この車両用表示装置における前記ディスプレイ部は、前記表示画面における左右方向の中央よりも右側に、前記方向指示マークの面積よりも広い面積を有する右側表示領域が形成され、かつ、前記表示画面における左右方向の中央よりも左側に、前記方向指示マークの面積よりも広い面積を有する左側表示領域が形成されており、前記制御部は、前記方向指示器の作動状態に応じて、前記右側表示領域および前記左側表示領域の各表示状態をそれぞれ変化させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用表示装置によれば、運転者が視認し易い方向指示表示を簡略な構成により実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用表示装置が搭載された車両の要部構成を示すブロック図である。
【
図2】ディスプレイ部、ステアリングホイールおよび運転者の位置関係を説明する図である。
【
図3】上記実施形態におけるディスプレイ部の表示画面に形成される各領域の表示状態の一例を示す図である。
【
図4】
図3のディスプレイ部を運転者がステアリングホイール越しに見たときの一例を示す図である。
【
図5】右側の方向指示器が作動状態にある場合のディスプレイ部を運転者がステアリングホイール越しに見たときの一例を示す図である。
【
図6】左側の方向指示器が作動状態にある場合のディスプレイ部を運転者がステアリングホイール越しに見たときの一例を示す図である。
【
図7】左右両側の方向指示器が作動状態にある場合のディスプレイ部を運転者がステアリングホイール越しに見たときの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用表示装置1が搭載された車両の要部構成を示すブロック図である。また、
図2は、ディスプレイ部2、ステアリングホイール4および運転者Dの位置関係を説明する図である。なお、以下で説明する各図において、矢印Fr方向は車両前後方向で前方を示し、矢印U方向は車両上下方向で上方を示し、矢印R方向および矢印L方向は、車室内から車両前方を見たときの右方および左方を示している。
【0011】
図1および
図2において、本実施形態の車両用表示装置1は、例えば、自動車等の車両に搭載され、該車両の走行状態に関する情報を表示するディスプレイ部2と、ディスプレイ部2の表示状態を制御する機能を有する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)3と、を備えている。なお、本実施形態では、電子制御ユニット3が本発明の「制御部」に相当する。
【0012】
ディスプレイ部2は、車両のステアリングホイール4よりも車両前方に設置されている。ステアリングホイール4は、車両の運転者Dがステアリング機構(図示せず)を操作するための環状の部品であり、左右に回転されることで車両の進行方向の調整が行われる。ディスプレイ部2は、車両の走行状態に関する情報を表示可能な表示画面21を有し、該表示画面21が車両後方を向くように配置されている。本実施形態では、ディスプレイ部2が、車室内の前部に設けられているインストルメントパネル(図示せず)における運転席前方の位置に設けられている。つまり、運転席に着座した運転者Dは、ステアリングホイール4越しにディスプレイ部2の表示画面21に表示される各種情報を視認することができる(
図2)。
【0013】
ディスプレイ部2は、本実施形態では、液晶ディスプレイとしたが、これに限定されず、有機ELディスプレイなどであってもよい。ディスプレイ部2は、ディスプレイ駆動回路(図示せず)を介して電子制御ユニット3に接続されている。ディスプレイ部2は、電子制御ユニット3から出力される制御信号に従ってディスプレイ駆動回路により駆動され、車両の走行状態を含む各種情報が表示画面21上に表示される。
【0014】
表示画面21に表示される各種情報には、車両に設けられている方向指示器5の作動状態を運転者Dに知らせるための方向指示マーク21Aが含まれる。本実施形態における方向指示マーク21Aは、例えば、右矢印マーク21A-Rおよび左矢印マーク21A-Lから構成されている。なお、方向指示マーク21Aは左右共通のマークであってもよい。方向指示器5は、車両が右折、左折または進路変更する際に、当該方向を周囲に示すための保安部品であり、車両の前後等に左右対称で複数設けられている。方向指示器5は、緊急時に左右両側を同時に点滅させることで、非常点滅表示灯(ハザードランプ)としても使用される。
【0015】
方向指示器5の作動または停止は、車両の乗員が方向指示スイッチ6またはハザードスイッチ7を操作することで、電子制御ユニット3により切り換えられる。また、右左折の際に方向指示スイッチ6を操作して作動させた方向指示器5は、ステアリングホイール4の回転がターン方向から直進方向に戻ることによって自動的に停止に切り換えられる。ディスプレイ部2の表示画面21に表示される方向指示マーク21A(右矢印マーク21A-Rおよび左矢印マーク21A-L)は、各々の表示状態が電子制御ユニット3により方向指示器5の作動または停止に連動して制御される。
【0016】
本実施形態におけるディスプレイ部2の表示画面21には、
図1に一点鎖線で示すように、右側表示領域DA-Rと、左側表示領域DA-Lと、中央表示領域DA-Cとが形成されている。右側表示領域DA-Rは、表示画面21における左右方向の中央よりも右側に配置され、右矢印マーク21A-Rの面積よりも広い面積を有している。右側表示領域DA-R内には、右矢印マーク21A-Rの表示箇所が含まれている。左側表示領域DA-Lは、表示画面21における左右方向の中央よりも左側に配置され、左矢印マーク21A-Lの面積よりも広い面積を有している。左側表示領域DA-L内には、左矢印マーク21A-Lの表示箇所が含まれている。中央表示領域DA-Cは、表示画面21における左右方向の中央に配置されている。中央表示領域DA-Cの右方には右側表示領域DA-Rが隣接して配置され、中央表示領域DA-Cの左方には左側表示領域DA-Lが隣接して配置されている。つまり、本実施形態では、表示画面21の全体が左右方向に3分割されており、左右方向に連続する3つの表示領域が形成されている。ただし、後述するように方向指示器5の作動状態に応じて表示状態が変化(点滅)する方向が分かればよいので、表示領域が必ずしも3分割される必要はなく左右の2分割であってもよい。
【0017】
図3は、本実施形態におけるディスプレイ部2の表示画面21に形成される右側表示領域DA-R、左側表示領域DA-Lおよび中央表示領域DA-Cの各表示状態の一例を示している。ここでは、電気自動車を想定したディスプレイ部2の表示例について説明する。ただし、車両は電気自動車に限定されない。
【0018】
図3の表示例において、中央表示領域DA-Cは、車両の走行速度を含む情報21Bを表示するように構成されている。また、右側表示領域DA-Rは、上端部中央付近に配置された右矢印マーク21A-Rの他に、バッテリ残量に関する情報21Cを表示するように構成されている。さらに、左側表示領域DA-Lは、上端部中央付近に配置された左矢印マーク21A-Lの他に、ナビゲーションに関する情報21Dを表示するように構成されている。加えて、表示画面21の下端部分には、右側表示領域DA-R、中央表示領域DA-Cおよび左側表示領域DA-Lに亘って、車両の状態に関するその他の情報(バッテリ充電量(%)、外気温、トリップメーター、走行モードなど)が表示されている。なお、中央表示領域DA-C、右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lにそれぞれ表示される情報は上記の一例に限定されない。
【0019】
図4は、上記のようなディスプレイ部2の表示画面21(
図3)を運転者Dがステアリングホイール4越しに見たときの一例を示している。なお、
図4には、ステアリングホイール4の環状部分(リム)だけが図示され、その他の部分(ハブ、スポーク等)の図示は省略されている。
【0020】
ディスプレイ部2の表示画面21に表示される各種情報の配置は、前述したようにステアリングホイール4の位置や形状、運転者Dの体格や姿勢、更にはシートクッションの前後位置、シートバック(背凭れ)やヘッドレストの角度などを考慮して設計されている。しかしながら、想定外の体格や姿勢の運転者Dに対しては、
図4に示すように、その運転者Dから見て、表示画面21上の方向指示マーク21A(右矢印マーク21A-Rおよび左矢印マーク21A-L)がステアリングホイール4の背後に隠れてしまい、運転者Dが方向指示マーク21Aを視認できなくなる場合がある。すなわち、ステアリングホイール4の高さ設定と、運転者Dの体格や姿勢、シートクッションの前後位置、シートバック(背凭れ)やヘッドレストの角度などとの相対的な位置関係によっては、ディスプレイ部2の表示画面21上に表示される方向指示マーク21Aが運転者Dの死角に入ってしまうことがある。
【0021】
上記のように運転者Dが方向指示マーク21Aを視認できない状況においては、右左折や進路変更が終わっても方向指示器5を作動させたまま継続して車両を走行させてしまう可能性がある。すなわち、右左折や進路変更時に、運転者Dが方向指示スイッチ6をターン方向に操作して方向指示器5を作動させ、ステアリングホイール4をターン方向に回転した後に元に戻したとしても、方向指示器5が自動的に停止しない場合がある。このような場合、運転者Dがディスプレイ部2に表示される方向指示マーク21Aを見て方向指示器5の作動が継続していることに気づけば、その時点で方向指示スイッチ6を操作して方向指示器5を停止させることになる。
【0022】
しかし、方向指示マーク21Aが運転者Dの死角に入ってしまい、方向指示器5の作動が継続していることに運転者Dが気づかなければ、方向指示器5を作動させたまま車両を走行させてしまうことになる。このような方向指示器5を停止し忘れた状況は、緊急時に運転者Dがハザードスイッチ7を操作して左右の方向指示器5を作動させた後に、左右の方向指示器5を停止させる際にも同様に発生する可能性がある。上記のような状況が車両の走行中に生じると、周囲の運転者や歩行者を混乱させるおそれがあり、また、停車中であればバッテリ上がりを誘発してしまう。このため、方向指示器5の作動状態を運転者Dに知らせるための表示方法を工夫することが求められる。
【0023】
そこで、本実施形態の車両用表示装置1においては、電子制御ユニット3が、方向指示器5の作動状態に応じて、ディスプレイ部2の表示画面21上の右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lの各表示状態をそれぞれ変化させるように構成されている。
【0024】
電子制御ユニット3は、方向指示スイッチ6が右方向に操作されると、車両の右側に配置されている方向指示器5が作動(所要の周期で点滅)し、かつ、左側に配置されている方向指示器5が停止するように、各方向指示器5の駆動状態を制御する。このとき、電子制御ユニット3は、右側の方向指示器5の点滅タイミングに同期させて、ディスプレイ部2の表示画面21における右矢印マーク21A-Rの表示を変化(点滅)させると同時に、右側表示領域DA-Rの全体の表示状態を変化(点滅)させる。
【0025】
図5は、右側の方向指示器5が作動状態にある場合のディスプレイ部2を運転者Dがステアリングホイール4越しに見たときの一例を示している。
図5の例では、右側の方向指示器5の点滅タイミングに同期させて、右側表示領域DA-Rが変化(点滅)している。本実施形態では、右側表示領域DA-R全体ではなく文字等の情報の視認を妨げない部分が点滅するように設定してある。これは点滅により文字等の情報の視認性に影響がでることを避けるための措置である。
【0026】
電子制御ユニット3による右側表示領域DA-Rの表示状態の制御によって、運転者Dは、右矢印マーク21A-Rが死角に入っていたとしても、右側表示領域DA-Rが所要の周期で変化(点滅)するのを見て、右側の方向指示器5が作動していることを認識できるようになる。なお、右側表示領域DA-R全体が点滅する必要はなく、当該表示領域の一部が点滅していればよい。点滅が明るすぎてテルテール等の重要な情報の表示の視認の妨げにならないようにするため、当該表示領域全体は点滅させないようにするのがよい。
【0027】
また、電子制御ユニット3は、方向指示スイッチ6が左方向に操作されると、車両の左側に配置されている方向指示器5が作動(所要の周期で点滅)し、かつ、右側に配置されている方向指示器5が停止するように、各方向指示器5の駆動状態を制御する。このとき、電子制御ユニット3は、左側の方向指示器5の点滅タイミングに同期させて、ディスプレイ部2の表示画面21における左矢印マーク21A-Lの表示を変化(点滅)させると同時に、左側表示領域DA-Lの全体の表示状態を変化(点滅)させる。
【0028】
図6は、左側の方向指示器5が作動状態にある場合のディスプレイ部2を運転者Dがステアリングホイール4越しに見たときの一例を示している。
図6の例では、左側の方向指示器5の点滅タイミングに同期させて、左側表示領域DA-Lが変化(点滅)している。電子制御ユニット3による左側表示領域DA-Lの表示状態の制御によって、運転者Dは、左矢印マーク21A-Lが死角に入っていたとしても、左側表示領域DA-Lが所要の周期で変化(点滅)するのを見て、左側の方向指示器5が作動していることを認識できるようになる。
【0029】
さらに、電子制御ユニット3は、ハザードスイッチ7が操作されると、車両の左右両側に配置されている方向指示器5が作動(所要の周期で点滅)する、つまり、非常点滅表示灯(ハザードランプ)として作動するように、各方向指示器5の駆動状態を制御する。このとき、電子制御ユニット3は、左右両側の方向指示器5の点滅タイミングに同期させて、ディスプレイ部2の表示画面21における右矢印マーク21A-Rの表示および左矢印マーク21A-Lの表示をそれぞれ変化(点滅)させると同時に、右側表示領域DA-Rの表示状態および左側表示領域DA-Lの表示状態をそれぞれ変化(点滅)させる。
【0030】
図7は、左右両側の方向指示器5が作動状態にある場合のディスプレイ部2を運転者Dがステアリングホイール4越しに見たときの一例を示している。
図7の例では、左右両側の方向指示器5の点滅タイミングに同期させて、前述した
図5の場合と同様にして右側表示領域DA-Rが変化(点滅)し、かつ、前述した
図6の場合と同様にして左側表示領域DA-Lが変化(点滅)している。このような電子制御ユニット3による右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lの各表示状態の制御によって、運転者Dは、右矢印マーク21A-Rおよび左矢印マーク21A-Lのうちの一方または双方が死角に入っていたとしても、右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lそれぞれの表示状態が所要の周期で変化(点滅)するのを見て、左右両側の方向指示器5が作動していることを認識できるようになる。
【0031】
なお、方向指示スイッチ6およびハザードスイッチ7が操作されていない場合、本実施形態では、電子制御ユニット3は、ディスプレイ部2の表示画面21における中央表示領域DA-Cに車両の走行速度を含む情報21Bを表示させ、右側表示領域DA-Rにバッテリ残量に関する情報21Cを表示させ、左側表示領域DA-Lにナビゲーションに関する情報21Dを表示させる制御を行う。このような電子制御ユニット3による制御が行われたディスプレイ部2を運転者Dがステアリングホイール4越しに見たときには、前述した
図4の例のような表示状態となる。
【0032】
次に、本実施形態の車両用表示装置1による効果について説明する。
上述したように本実施形態の車両用表示装置1では、ディスプレイ部2の表示画面21における左右方向の中央よりも右側に、方向指示マーク21A(右矢印マーク21A-R)の面積よりも広い面積を有する右側表示領域DA-Rが形成され、かつ、表示画面21における左右方向の中央よりも左側に、方向指示マーク21A(左矢印マーク21A-L)の面積よりも広い面積を有する左側表示領域DA-Lが形成されている。そして、方向指示器5の作動状態に応じて、右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lの各表示状態がそれぞれ変化(点滅)するように、電子制御ユニット3によるディスプレイ部2の表示制御が行われる。
【0033】
このような本実施形態の車両用表示装置1によれば、ディスプレイ部2の表示画面21上に表示される方向指示マーク21Aがステアリングホイール4の陰に隠れてしまっていても、方向指示マーク21Aよりも広範囲な右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lの各表示状態が方向指示器5の作動状態に応じて変化(点滅)することによって、方向指示器5の作動状態を運転者Dに知らせることができる。右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lの各表示状態は電子制御ユニット3によって容易に制御可能であるので、上述した従来の技術のようなステアリングホイール等の構成の複雑化を回避することができる。したがって、本実施形態の車両用表示装置1は、運転者Dが視認し易い方向指示表示を簡略な構成により部品の追加無しで実現することが可能である。これにより、方向指示器5および非常点滅表示灯(ハザードランプ)の停止し忘れを防止して、走行中における周囲の車両等との間で安全を確保し易くなるとともに、停車中におけるバッテリ上がりも抑制できるようになる。
【0034】
また、本実施形態の車両用表示装置1では、ディスプレイ部2の表示画面21における左右方向の中央に、車両の走行速度を含む情報21Bを表示する中央表示領域DA-Cが形成され、該中央表示領域DA-Cの右方および左方にそれぞれ隣接して右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lが配置されている。そして、方向指示器5の点滅タイミングに同期して、右側表示領域DA-Rの表示状態および左側表示領域DA-Lの表示状態がそれぞれ変化(点滅)するように、電子制御ユニット3によるディスプレイ部2の表示制御が行われる。これにより、方向指示マーク21Aがステアリングホイール4の陰に隠れてしまっていても、ディスプレイ部2の表示画面21上における中央表示領域DA-Cを除いた範囲の表示状態が方向指示器5の点滅タイミングに同期して変化(点滅)するようになるため、運転者Dが方向指示表示を見落とし難くなる。よって、運転者Dに対して方向指示器5の作動状態を知らせることができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lが、中央表示領域DA-Cの右方および左方にそれぞれ隣接して配置される(表示画面21を左右方向に3分割する)一例を説明したが、中央表示領域DA-Cの左右にそれぞれ間隔を空けて右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lを配置するようにしてもよい。或いは、中央表示領域DA-Cを形成することなく、表示画面21を左右方向の中央で2分割して右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lを形成するようにしてもよい。
【0036】
さらに、上述した実施形態では、右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lが表示画面21の上端部から下端部に亘ってそれぞれ形成される一例を示したが、表示画面21の上下方向の一部(例えば、中央部など)だけに右側表示領域DA-Rおよび左側表示領域DA-Lをそれぞれ形成するようにしてもよい。これに関連して、右矢印マーク21A-Rおよびその周辺のみに右側表示領域DA-Rを形成するとともに、左矢印マーク21A-Lおよびその周辺のみに左側表示領域DA-Lを形成して、各々の表示状態を方向指示器5の作動状態に応じて変化させるようにすることも可能である。このような構成でも、上述した実施形態の場合と同様に方向指示器5の作動状態を運転者Dに知らせることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…車両用表示装置
2…ディスプレイ部
3…電子制御ユニット(制御部)
4…ステアリングホイール
5…方向指示器
6…方向指示スイッチ
7…ハザードスイッチ
21…表示画面
21A…方向指示マーク
21A-L…左矢印マーク
21A-R…右矢印マーク
21B…走行速度を含む情報
21C…バッテリ残量に関する情報
21D…ナビゲーションに関する情報
D…運転者
DA-C…中央表示領域
DA-L…左側表示領域
DA-R…右側表示領域
【手続補正書】
【提出日】2024-10-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】