(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008838
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】不動産情報共有システム、不動産情報共有方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111389
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】523258388
【氏名又は名称】横田商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】横田 幸一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】不動産情報の共有を容易にし、不動産情報の利用の効率性を高める。
【解決手段】不動産情報を共有する複数のノード2がネットワークNW1を介して通信可能に構成されたシステムにおいて、第一ユーザが使用する第一ノード2は、不動産情報を共有設定と関連付けて記憶する情報記憶部21と、第二ユーザが使用する第二ノードから、不動産情報の共有要求を受け付ける第一要求受付部と、第二ノードに対し、共有設定に応じて、第二ノードに対して共有可能な前記不動産情報を共有する共有処理部22と、を有し、共有設定は、第二ノードに対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする第一設定と、第二ノードに対し、第二ユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする第二設定と、第二ノードに対し、共有不可とする第三設定と、から構成される不動産情報共有システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産情報を共有する複数のノードがネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、
第一ユーザが使用する第一ノードは、
不動産情報を共有設定と関連付けて記憶する情報記憶部と、
第二ユーザが使用する第二ノードから、前記不動産情報の共有要求を受け付ける第一要求受付部と、
前記第二ノードに対し、前記共有設定に応じて、前記第二ノードに対して共有可能な前記不動産情報を共有する共有処理部と、を有し、
前記共有設定は、
前記第二ノードに対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする第一設定と、
前記第二ノードに対し、前記第二ユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする第二設定と、
前記第二ノードに対し、共有不可とする第三設定と、から構成される、
不動産情報共有システム。
【請求項2】
前記所定の不動産情報には、前記第一ユーザの第一ユーザ情報が関連付けられており、
前記共有処理部は、前記共有要求に応じて、前記第二ノードに対し、前記第一ユーザ情報が関連付けられた前記不動産情報を共有する、
請求項1記載の不動産情報共有システム。
【請求項3】
前記第二ノードは、
前記第一ユーザ情報が関連付けられた前記不動産情報をウェブサイト上に表示する情報表示部、を有し、
前記情報表示部は、前記不動産情報と共に、関連付けられている前記第一ユーザ情報を表示する、
請求項2記載の不動産情報共有システム。
【請求項4】
前記第一ユーザから不動産情報の登録要求を受け付ける第二要求受付部と、
登録要求を受け付けた前記不動産情報を前記情報記憶部に登録する登録処理部と、
前記情報記憶部に登録した前記不動産情報に前記共有設定を関連付ける設定処理部と、をさらに有する、
請求項1記載の不動産情報共有システム。
【請求項5】
前記不動産情報の内容に基づき、前記第一設定、前記第二設定、又は前記第三設定のうち前記不動産情報に関連付ける前記共有設定の種類を判断する判別処理部、をさらに有する、
請求項1記載の不動産情報共有システム。
【請求項6】
前記登録処理部は、前記不動産に対する問い合わせ/購入申込を登録し、
前記共有処理部は、前記不動産に対する問い合わせ/購入申込の有無に関する情報を共有する、
請求項1記載の不動産情報共有システム。
【請求項7】
不動産情報を共有する複数のノードがネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、
不動産情報を共有設定と関連付けて記憶する情報記憶部を有し、第一ユーザが使用する第一ノードにより、
第二ユーザが使用する第二ノードから、前記不動産情報の共有要求を受け付ける処理と、
前記第二ノードに対し、前記共有設定に応じて、前記第二ノードに対して共有可能な前記不動産情報を共有する処理と、を実行し、
前記共有設定は、
前記第二ノードに対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする第一設定と、
前記第二ノードに対し、前記第二ユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする第二設定と、
前記第二ノードに対し、共有不可とする第三設定と、から構成される、
不動産情報共有方法。
【請求項8】
不動産情報を共有する複数のノードがネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、
不動産情報を共有設定と関連付けて記憶する情報記憶部を有し、第一ユーザが使用する第一ノードに対し、
第二ユーザが使用する第二ノードから、前記不動産情報の共有要求を受け付ける処理と、
前記第二ノードに対し、前記共有設定に応じて、前記第二ノードに対して共有可能な前記不動産情報を共有する処理と、を実行させ、
前記共有設定は、
前記第二ノードに対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする第一設定と、
前記第二ノードに対し、前記第二ユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする第二設定と、
前記第二ノードに対し、共有不可とする第三設定と、から構成される、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産情報共有システム、不動産情報共有方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、不動産業界においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが積極化しつつある。2022年には宅建業法が改正されて電子契約が可能となり、法整備も整えられてきている。
【0003】
これに合わせるようにシステムの開発なども行われ、例えば特許文献1では、売主から買主へ仲介業者及び司法書士を介して不動産の決済を支援する不動産決済支援システムであって、決済の対象となる不動産の基本情報及び物件書類データを取得し、仲介業者が選定した司法書士が不動産の決済に関する手付金の第1指図書を作成し、指定の信託口口座に手付金の着金を確認し、不動産の決済における送金可能判断の結果を司法書士から取得し、取得した送金可能判断に基づいて、信託会社に第1指図書通りに送金可能となったことを通知し、不動産の決済に関する売買代金に対する残金の第2指図書を作成し、司法書士による登記可能判断の結果を取得し、信託会社に第2指図書通りに送金可能となったことを通知し、不動産の仲介業者、司法書士の各々に、各手数料が支払われたかを確認し、司法書士から、登記申請受領証データを取得し、買主に対して、登記が完了したことを通知するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、システム導入のコストや手間などの諸問題から、依然として不動産情報は「見える化」されておらず、情報を必要とする者が容易にアクセスできるようにはなっていなかった。
【0006】
そこで本発明は、不動産情報の共有を容易にし、不動産情報の利用の効率性を高めることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る不動産情報共有システムは、不動産情報を共有する複数のノードがネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、第一ユーザが使用する第一ノードは、不動産情報を共有設定と関連付けて記憶する情報記憶部と、第二ユーザが使用する第二ノードから、前記不動産情報の共有要求を受け付ける第一要求受付部と、前記第二ノードに対し、前記共有設定に応じて、前記第二ノードに対して共有可能な前記不動産情報を共有する共有処理部と、を有し、前記共有設定は、前記第二ノードに対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする第一設定と、前記第二ノードに対し、前記第二ユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする第二設定と、前記第二ノードに対し、共有不可とする第三設定と、から構成される。
【0008】
前記所定の不動産情報には、前記第一ユーザの第一ユーザ情報が関連付けられており、前記共有処理部は、前記共有要求に応じて、前記第二ノードに対し、前記第一ユーザ情報が関連付けられた前記不動産情報を共有するものとしてもよい。
【0009】
前記第二ノードは、前記第一ユーザ情報が関連付けられた前記不動産情報をウェブサイト上に表示する情報表示部、を有し、前記情報表示部は、前記不動産情報と共に、関連付けられている前記第一ユーザ情報を表示するものとしてもよい。
【0010】
前記第一ユーザから不動産情報の登録要求を受け付ける第二要求受付部と、登録要求を受け付けた前記不動産情報を前記情報記憶部に登録する登録処理部と、前記情報記憶部に登録した前記不動産情報に前記共有設定を関連付ける設定処理部と、をさらに有するものとしてもよい。
【0011】
前記不動産情報の内容に基づき、前記第一設定、前記第二設定、又は前記第三設定のうち前記不動産情報に関連付ける前記共有設定の種類を判断する判別処理部、をさらに有するものとしてもよい。
【0012】
前記登録処理部は、前記不動産に対する問い合わせ/購入申込を登録し、前記共有処理部は、前記不動産に対する問い合わせ/購入申込の有無に関する情報を共有するものとしてもよい。
【0013】
本発明の別の観点に係る不動産情報共有方法は、不動産情報を共有する複数のノードがネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、不動産情報を共有設定と関連付けて記憶する情報記憶部を有し、第一ユーザが使用する第一ノードにより、第二ユーザが使用する第二ノードから、前記不動産情報の共有要求を受け付ける処理と、
前記第二ノードに対し、前記共有設定に応じて、前記第二ノードに対して共有可能な前記不動産情報を共有する処理と、を実行し、前記共有設定は、前記第二ノードに対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする第一設定と、前記第二ノードに対し、前記第二ユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする第二設定と、前記第二ノードに対し、共有不可とする第三設定と、から構成される。
【0014】
本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、不動産情報を共有する複数のノードがネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、不動産情報を共有設定と関連付けて記憶する情報記憶部を有し、第一ユーザが使用する第一ノードに対し、第二ユーザが使用する第二ノードから、前記不動産情報の共有要求を受け付ける処理と、前記第二ノードに対し、前記共有設定に応じて、前記第二ノードに対して共有可能な前記不動産情報を共有する処理と、を実行させ、前記共有設定は、前記第二ノードに対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする第一設定と、前記第二ノードに対し、前記第二ユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする第二設定と、前記第二ノードに対し、共有不可とする第三設定と、から構成される。
【0015】
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易に不動産情報を共有でき、不動産情報の利用の効率性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る不動産情報共有システムの全体構成を示した図である。
【
図2】本実施形態に係る不動産情報共有システムを構成するノードの機能を示した機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る不動産情報共有システムにおいて、情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【
図4】本実施形態に係る不動産情報共有システムを構成するノードにおいて実行される処理の流れを示した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
●全体構成
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る不動産情報共有システム1は、不動産情報を共有する複数のノード2がネットワークNW1、NW2を介して通信可能に構成されたシステムである。
各ノード2が接続するネットワークNW1は、ノード2同士が互いの持つデータや機能を利用しあうために対等な関係で直に接続しあっている分散型のネットワークであり、接続するノード2同士のデータのやり取りを仲介する。このネットワークNW1は、例えばP2Pネットワーク(P2P=Peer to Peer)により実現される。なお、ネットワークNW1は、インターネット等のネットワークNW2の一部を構成するものであってもよい。
【0019】
また、各ノード2が接続するネットワークNW2は、インターネット等の公衆通信網であり、各ノード2は、当該ネットワークNW2を介して他のノード2と情報の送受信を実行したり、当該ネットワークNW2上のウェブサイト等に自らが保有する情報を反映させたりすることができる。
【0020】
ノード2は、不動産情報共有システム1のユーザが使用する端末であり、ネットワークインタフェースを備え、P2P型のファイル共有プログラムに従って動作する。具体的には、パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン端末など、各種のデータの入出力やデータの送受信が可能な端末あるいは装置によって実現され、液晶ディスプレイやキーボードあるいはタッチパネルディスプレイといった入出力部を備える。
【0021】
ユーザは、広く不動産に関する情報を取り扱ったり、閲覧したりする者である。具体的には、不動産の売主、売主の依頼を受けて不動産の売却を仲介する不動産業者(元付け業者)、建物を建築するハウスメーカー、建物のリフォームを行うリフォーム業者、不動産の買主、買主の依頼を受けて不動産の購入を仲介する不動産業者(客付け業者)などが含まれる。
なお、以下の説明では、不動産の売主や元付け業者など、不動産の取引市場に取引対象としての不動産を供給するユーザを「供給者」と称することがある。また、ハウスメーカーやリフォーム業者など、不動産に対して付加的なサービスや物を提供するユーザを「周辺業者」と称することがある。また、不動産の買主や客付け業者など、不動産の供給を受けるユーザを「需要者」と称することがある。
【0022】
●機能構成
図2に示されるように、ノード2は、所謂コンピュータ等によって実現され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリといったハードウェア資源、CPUが実行するコンピュータプログラム等のソフトウェア資源により、情報記憶部21、共有処理部22、設定処理部23、登録処理部24、判断処理部25、入出力制御部26、情報表示部27、通信処理部28からなる機能ブロックを構成する。
<情報記憶部21>
情報記憶部21は、不動産情報を含む各種の情報として、基本情報、関連情報、取引情報、及び設定情報を記憶する。
なお、不動産情報は、広く不動産に関わる情報を含み、少なくとも基本情報及び関連情報は当該不動産情報を構成する。
【0023】
基本情報は、不動産自体又は不動産に固有の情報である。この基本情報のオリジナルデータは、主に供給者たるユーザが保有する。
【0024】
この基本情報は、大別して第一基本情報と第二基本情報とで構成される。
第一基本情報は、例えば不動産が土地であればその面積や位置(住所)、形状などを含み、不動産が建物であればその延べ床面積や間取り、築年数などを含む。この第一基本情報は通常、特段の制限なく他のユーザに共有される情報であり、後述する第一設定の設定対象となることが想定される情報である。
第二基本情報は、例えば不動産の購入者の利益に関わる情報であり、不動産に対して設定された抵当権や事故に関する情報などを含む。この二次情報は通常、他のユーザからの所定の不動産に対する具体的な問い合わせや購入申込に応じて当該他のユーザに対して共有される情報であり、後述する第二設定の設定対象となることが想定される情報である。
【0025】
関連情報は、不動産に付随する情報である。この関連情報のオリジナルデータは、主に周辺業者たるユーザが保有する。
この関連情報は、例えば所定の土地に建築する建物の提案や見積に係る情報、所定の建物のリフォームの提案や見積に係る情報などを含む。また、この関連情報には、提案や見積の対象となる不動産を識別する情報が関連付けられる。
【0026】
不動産情報のうち、少なくとも基本情報には、オリジナルの基本情報を自らのノード2の情報記憶部21に登録したユーザであって、当該基本情報に係る不動産を取り扱うユーザのユーザ情報が関連付けられる。この場合に想定されているユーザは、具体的には供給者である。なお、関連情報についても、オリジナルの関連情報を自らのノード2の情報記憶部21に登録したユーザであって、当該関連情報に含まれる物やサービスを提供するユーザのユーザ情報が関連付けられていてもよい。
【0027】
取引情報は、不動産の取り引きに関する情報であって、例えば、所定の不動産に対するユーザからの問い合わせや購入申込に係る情報を含む。問い合わせや購入申込に係る情報には、問い合わせや購入申込を行ったユーザの個人情報等が含まれる。取引情報にはこのほか、実際の購入の取り引きに関する情報、ローンの設定や売買金額、登記などの情報が含まれてもよい。
【0028】
また、情報記憶部21は、各種の情報に関連付けて共有設定に係る設定情報を記憶できる。設定情報は、第一乃至第三の共有設定で構成される。
第一設定は、他のノード2に対し、制限なく関連付けられた不動産情報を共有可能とする設定である。第一設定は、主に不動産の第一基本情報に設定される。
なお、第一設定は、積極的に設定されるものでなくてもよく、後述する第二設定又は第三設定がなされていない情報は、制限なく共有可能な情報として扱われるようになっていてもよい。
【0029】
第二設定は、他のノード2に対し、当該他のノード2のユーザが所定の条件を充足する場合に、関連付けられた不動産情報を共有可能とする設定である。ここにいう所定の条件は、例えば当該他のノード2のユーザからの所定の不動産に対する問い合わせや購入申込である。この場合、第二設定が設定された情報は、ユーザから問い合わせや購入申込がなされたことを条件として当該ユーザに共有される。この第二設定は、主に不動産の第二基本情報に設定される。
【0030】
第三設定は、他のノード2のユーザに対して共有不可とする設定である。この第三設定は、主に取引情報に設定される。なお、取引情報に第三設定が設定された場合でも、取り引きの当事者であるユーザに限っては共有可能になっていてもよい。また、取引情報のうち、購入申込や問い合わせについては、その内容は第三者に共有不可としつつも、購入申込や問い合わせの有無や数については制限なく共有可能に設定されてもよい。
【0031】
なお、情報記憶部21に保持される情報の種類は、ノード2あるいは当該ノード2のユーザによって異なる。即ち、ユーザが供給者であれば、関連情報を保持せず、基本情報、取引情報、及び設定情報のみを保持することがある。また、ユーザが周辺業者であれば、基本情報を保持せず、関連情報、取引情報、及び設定情報のみを保持することがある。
【0032】
図3は、情報記憶部21に記憶される情報の一例をユーザごとに示したものである。
図3(a)は、供給者たるユーザが情報記憶部21に保持する情報の一例を示している。
この例では、不動産を識別する不動産識別情報に関連付けて、基本情報と取引情報が記憶されている。取引情報のうち、問い合わせ/購入申込は、所定の不動産に関する第二基本情報の照会を要求したり、購入を申し込んだりする情報であり、かかる情報にはこれを行ったユーザの情報が含まれる。
【0033】
これらの情報のうち、例えば基本情報を構成する第一基本情報には第一設定が設定され、第二基本情報には第二設定が設定される。また、取引情報には第三設定が設定される。ただし、上述のとおり、取引情報であっても、当事者のユーザには共有可能になっていてもよい。また、問い合わせ/購入申込に係る情報であれば、問い合わせ/購入申込の数や有無は、制限なく他のユーザに共有可能に設定されていてもよい。
【0034】
図3(b)は、周辺業者たるユーザが情報記憶部21に保持する情報の一例を示している。
この例では、不動産を識別する不動産識別情報に関連付けて、関連情報が記憶されている。関連情報には、例えば第一設定が設定される。
【0035】
なお、情報記憶部21にはこのほか、後述する共有処理部22によって他のノード2から共有を受けた不動産情報が登録されてもよい。ここで登録される、他のノード2から共有を受けた不動産情報は、当該他のノード2において複製された情報である。また、当該複製された不動産情報には、オリジナルの不動産情報を保有している供給者たるユーザのユーザ情報が関連付けられており、共有を受けたノード2の情報記憶部21に当該不動産情報が登録される場合、オリジナルの不動産情報を保有しているユーザのユーザ情報も関連付けて登録される。
【0036】
<共有処理部22>
共有処理部22は、他のノード2からの検索要求に基づき、共有設定に応じて、当該他のノード2に対して共有可能な不動産情報を共有する。
この共有処理部22はその一例において、検索処理部、判定処理部、及びファイル転送部により構成される。
検索処理部は、ネットワークNW1を介して他のノード2との間で検索要求を送受信する。即ち、他のノード2からファイルの検索要求を受信したり、他のノード2に対して検索要求を送信したりする。検索要求は検索対象となるファイルを保持しているか否かの判定を要求するものであり、ノード2は、他のノード2から検索要求を受信すると、情報記憶部21に該当するファイルが格納されているか否かを判定処理部により判定する。該当ファイルが情報記憶部21に格納されていると判定した場合、検索処理部は、検索の要求元のノード2にその旨を伝えるか、もしくは、ファイル転送部により該当するファイルを要求元のノード2に送信する。他方、情報記憶部21に該当するファイルが格納されていないと判定した場合、検索処理部は、要求元とは異なる他のノード2に検索要求を転送する。なお、ファイルは、他のノード2に共有される際に適宜に複製される。
【0037】
<設定処理部23>
設定処理部23は、情報記憶部21に登録された不動産情報に対し、上述した共有設定を関連付ける設定を実行する。
設定処理部23による設定は、例えば、ユーザが情報記憶部21に登録されている情報、あるいは登録される情報に対して任意に共有設定の種類を指定して行うものであってもよい。また、情報記憶部21に情報を登録する場合に、情報の種類に応じて異なる入力フォームが設けられ、入力フォームごとに設定する共有設定の種類が予め決められていてもよい。これにより、所定の入力フォームから入力された情報に対しては、予め決められている種類の共有設定が設定される。
【0038】
<登録処理部24>
登録処理部24は、各種の情報を情報記憶部21に登録する機能部である。この登録処理部24は、ユーザから所定の不動産情報と共に登録要求を受け付け、当該受け付けた不動産情報を情報記憶部21に登録する。また、他のユーザから、所定の不動産に対する問い合わせや購入申込があったときに、当該所定の不動産に関連付けて当該問い合わせや購入申込を登録する。さらに、登録処理部24は、共有処理部22により他のノード2から共有を受けた不動産情報を情報記憶部21に登録してもよい。
【0039】
<判断処理部25>
他のノード2から、所定の不動産について、第二設定が設定された不動産情報の共有を要求された場合に、当該要求が所定の条件を充足するか否かを判断する。例えば、所定の条件は、所定の不動産に対する問い合わせや購入申込であり、要求元のノード2のユーザが所定の不動産について問い合わせや購入申込を行っているユーザである場合には、条件を充足するものとして、第二設定が設定されている不動産情報を要求元のノード2に共有することを許可する。一方、要求元のノード2のユーザが所定の不動産について問い合わせや購入申込を行っていないユーザである場合には、条件を充足しないものとして、第二設定が設定されている不動産情報の共有を拒否する。
なお、所定の不動産について、要求元のノード2が問い合わせや購入申込を行っているか否かは、例えば情報記憶部21において、当該所定の不動産情報に当該要求元のノード2による問い合わせや購入申込が関連付けられている否かを参照することにより識別できる。
【0040】
<入出力制御部26>
入出力制御部26は、ノード2が備える入出力部を制御する。
この入出力制御部26は、例えば入出力部を制御することにより、ユーザから不動産情報の登録要求を受け付ける。
【0041】
<情報表示部27>
情報表示部27は、ウェブサイト等によりネットワークNW2上に各種の情報を表示する。表示される情報は、情報記憶部21に記憶されている情報や共有処理部22により他のノード2から共有を受けた情報、さらには当該情報が適宜に加工あるいは編集されたものであり、当該情報がHTML等の適宜のデータ形式に変換されてウェブサイト上に表示される。
【0042】
情報表示部27は一の例において、ユーザが供給者である場合、不動産の売り物件情報として第一基本情報をウェブサイト上に表示する。また、他の例において、ユーザが周辺業者である場合、情報表示部27は、所定の不動産に対して提供する物やサービスに関する情報やその見積情報を表示する。
ここで、情報表示部27は、周辺業者であるユーザが、供給者から共有を受けた所定の不動産の不動産情報をウェブサイト上に表示する場合、当該所定の不動産を取り扱う供給者の情報を合わせて表示する。ここで表示される供給者は、例えば不動産情報に関連付けられていたユーザ情報に係るユーザであって、オリジナルの不動産情報を保有していたユーザである。この情報表示部27により、ノード2のユーザが不動産情報をウェブサイト上に表示する際、当該供給者の情報が自動的に表示されるようになっていてもよい。
【0043】
<通信処理部28>
通信処理部28は、インターネット等のネットワークNW2を介して、各種の情報を送受信する機能部であり、例えば所定の通信プロトコルに従って処理を実行するブラウザプログラムによって実現される。
ノード2はこの通信処理部28により、他のノード2に対して所定の不動産の問い合わせや購入申込を送信したり、他のノード2から所定の不動産の問い合わせや購入申込を受信したりする。また、第二設定が設定されている情報の取得要求を所定のノード2に対して送信したり、当該所定のノード2から取得要求に応じた情報を受信したりする。
【0044】
このほか、ユーザはこの通信処理部28により、ネットワークNW2上にウェブサイトを展開し、自らが保有する情報を公開してもよい。例えば、供給者であれば、自らが保有する不動産の情報を自らのウェブサイト上に表示してもよい。また、周辺業者であれば、供給者から共有を受けた不動産情報と共に、当該不動産情報に係る不動産に付随して提供する商品や物の内容や見積といった情報を表示してもよい。
【0045】
また、この不動産情報共有システム1に、不動産の購入に付随する各種の契約や登記といった業務を行う専門家等がユーザとして加わっていてもよい。このような専門家が使用するパーソナルコンピュータ等がノード2としてネットワークNW1に接続し、不動産の購入の契約に関して、供給者、周辺業者、及び/又は需要者と不動産情報や買主の個人情報などの必要な情報を共有できるようになっていてもよい。この場合には、例えば所定の専門家のノード2を識別する情報に対し、所定の取り引きの当事者であることを示すフラグあるいは設定を登録し、不動産情報や設定情報に関連付けられた設定によらず、当該所定の専門家のノード2が取引対象である不動産の情報や取引情報を当事者として共有できるようにしてもよい。
【0046】
●処理フロー
続いて、
図4を参照して、不動産情報共有システム1において不動産情報が共有される処理の流れの一例を説明する。
図4の例は、所定のノード2が他のノード2から所定の不動産の不動産情報の検索要求を受け付けた場合の処理の流れを示している。
他のノード2から所定の不動産の不動産情報の検索要求を受け付けたノード2は(S101)、要求された不動産情報を保持しているか否かを判定する(S102)。この結果、該当する不動産情報を保持していない場合には、検索要求を他のノード2に転送する(S104)。
【0047】
一方、要求された所定の不動産の不動産情報を保持していた場合には(S102)、該当する不動産情報が、第一設定が設定された不動産情報であれば(S103)、当該不動産情報を要求元のノード2に共有する(S105)。なお、共有においては、対象となる不動産情報(ファイル)を複製して転送する。
【0048】
また、該当する不動産情報が、第二設定が設定された不動産情報であった場合には(S106)、判断処理部25により、当該不動産情報について要求元のユーザとの共有可否を判断する(S107)。共有の可否は、要求元のユーザが所定の条件を充足しているか否かによって判断される。上述のとおり、本実施形態の一例では、要求元のユーザによって、所定の不動産に対する問い合わせ/購入申込があった場合には共有可と判断する。こうして共有可と判断された場合には、該当する不動産情報が要求元のノード2に共有される(S105)。
【0049】
また、該当する不動産情報が、第一設定又は第二設定のいずれでもなく、第三設定が設定された不動産情報であった場合には(S106)、該当する不動産情報の共有は不可と判断され、例えば、その旨が要求元のノード2に返される(S108)。また、S107の処理において、対象の不動産情報が、第二設定が設定された不動産情報であり、要求元のノード2のユーザが所定の条件を充足していない場合には、同様に共有不可と判断される(S108)。
【0050】
●ユーザによる不動産情報共有システム1の活用例
以下、上述した不動産情報共有システム1のユーザごとの活用例を説明する。
【0051】
<供給者による活用>
供給者は、例えば、自ら保有する所定の不動産の不動産情報を売り物件の情報としてウェブサイト上にあげる。ここで、供給者は、当該不動産に対して周辺業者が提案しているサービスや物に関する情報をネットワークNW1上で検索すると共に、そのような情報を保有するノード2から共有を受け、これをウェブサイト上に不動産情報に関連付けて表示してもよい。このような情報を不動産情報に関連付けて表示する場合には、当該情報の共有元であるノード2のユーザの情報を合わせて表示するようにしてもよい。
また、所定の不動産に対する問い合わせや購入申込の数量などを、当該所定の不動産に関連付けてウェブサイト上で表示し、これにより所定の不動産に対する需要を数値等として示してもよい。
【0052】
<周辺業者による活用>
周辺業者は、例えば自らが提供する物やサービスに合った不動産の情報を検索し、所定のノード2から該当する不動産情報の共有を受ける。周辺業者は、当該不動産情報に沿って具体的な物やサービスの提案、見積などを作成し、それを自身のウェブサイト上にあげたり、買主等に提供したりしてもよい。なお、物やサービスの提案と共に不動産情報を示す場合には、当該不動産情報に関連付けられていた不動産の取扱者(供給者)の情報を合わせて表示する。このような不動産の取扱者の情報の表示は、ノード2が備える情報表示部27の機能実行により自動的に実行されるようになっていてもよい。
これにより、周辺業者は、不動産を購入等しなくても、売り物件として市場に供給される不動産情報を活用して需要者に様々な提案を行うことができる。
【0053】
<需要者による活用>
需要者は、希望する条件に合った不動産をネットワークNW1上で検索して簡単に情報の共有を受けることができる。これにより、例えば共有を受けた不動産情報に基づいて周辺業者と商談を行ったり、専門家に情報を受け渡したりできる。
【0054】
なお、以上の本実施形態に係る不動産情報共有システム1について、不動産情報の入力に応じて、その種類又は内容に基づき、当該種類又は内容に応じて設定すべき共有設定の種類を判別する判別処理部を設けてもよい。判別処理部は、例えば、予め所定のキーワードと共有設定の種類とを関連付けてテーブルを保持しておく。そして、不動産情報が入力されると当該不動産情報についてキーワード検索を行い、入力された不動産情報に対して適切な共有設定の種類を判別する。設定処理部23は、この判別処理部による判断処理に基づいて、入力された不動産情報に第一乃至第三のいずれかの共有設定を設定する。
【0055】
なお、以上の本実施形態に係る不動産情報共有システム1において、各ユーザが情報の共有や他のユーザとのやり取りを行うためのプラットフォームが用意されてもよい。
当該プラットフォーム上には、例えば所謂マイページがユーザごとに用意されており、ユーザが当該マイページから、NW1上にある不動産情報の検索や共有、各ノードとのNW2を介した情報や連絡の送受信、情報記憶部21に記憶されている情報の編集や閲覧、ウェブサイトへの情報のアップロードなどが行えるようになっていてもよい。
【0056】
以上の本実施形態に係る不動産情報共有システム1によれば、ネットワークNW1に接続しているノード2のユーザが容易に不動産情報を共有できる。その結果、不動産情報の利用の効率性が高められる。
【符号の説明】
【0057】
1 :不動産情報共有システム
2 :ノード
21 :情報記憶部
22 :共有処理部
23 :設定処理部
24 :登録処理部
25 :判断処理部
26 :入出力制御部
27 :情報表示部
28 :通信処理部
NW1 :ネットワーク
NW2 :ネットワーク