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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008847
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】盤用熱交換部材
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/053 20060101AFI20250109BHJP
   H02B 1/56 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
F28D1/053 A
H02B1/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111408
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 浩司
(72)【発明者】
【氏名】石川 晃大
【テーマコード(参考)】
3L103
5G016
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103BB19
3L103CC22
3L103DD03
5G016CG18
(57)【要約】
【課題】熱交換に利用するパイプの長さが変わっても、パイプを支える部材の大きさを変えなくてもよいようにすること。
【解決手段】通風路となるように構成されたパイプ2と、複数のパイプが固定されるベース3と、を備えた盤用熱交換部材1であって、前記ベースは、パイプを挿入することが可能な貫通穴31を複数備えるとともに、各々の貫通穴に、パイプの挿入深さを規制する規制部を備え、前記ベースをパイプの一端側と他端側の各々に配置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路となるように構成されたパイプと、複数のパイプが固定されるベースと、を備えた盤用熱交換部材であって、
前記ベースは、パイプを挿入することが可能な貫通穴を複数備えるとともに、各々の貫通穴に、パイプの挿入深さを規制する規制部を備え、
前記ベースをパイプの一端側と他端側の各々に配置した盤用熱交換部材。
【請求項2】
パイプとベースを接着させる接着剤を溜めることが可能な溜め部を複数備えた請求項1に記載の盤用熱交換部材。
【請求項3】
パイプの外周に沿って設けられた環状の溜め部に溜められた接着剤がパイプの全周に位置する請求項2に記載の盤用熱交換部材。
【請求項4】
貫通穴の貫通方向と垂直となる方向にベースどうしが接続することを可能とする係合部をベースの外周側に備えた請求項3に記載の盤用熱交換部材。
【請求項5】
ベースの各々に複数の係合部を備え、
二つのベースが連結された状態において、一方のベースの係合部の一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きと、一方のベースの他の係合部の少なくとも一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きが、逆となるように構成された
請求項4に記載の盤用熱交換部材。
【請求項6】
ベースの一面に設けられた二つの係合部が貫通方向と垂直となる方向に並んでおり、
パイプの一端側に接続されるベースに備えられた係合部が他方のベースの係合部に連結された状態における、一方のベースの係合部の一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きと、一方のベースの他の係合部が他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きの並びが、
パイプの他端側に接続されるベースに備えられた係合部が他方のベースの係合部に連結された状態における、一方のベースの係合部の一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きと、一方のベースの他の係合部が他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きの並びと、逆となるように構成された
請求項5に記載の盤用熱交換部材。
【請求項7】
弾性変形可能な弾性部材を備え、
一方のベースの係合部と他方のベースの係合部の係合がされた連結態様において弾性変形した弾性部材が復元しようとする復元力により、一方のベースの係合部と他方のベースの係合部の係合が解除されることを抑制可能である
請求項5又は6に記載の盤用熱交換部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤用熱交換部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤や配電盤などの盤の熱交換に利用される熱交換器の構成要素としてパイプを備えた盤用熱交換部材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-310924号公報
【0004】
ところで、このような盤用熱交換部材は熱交換の能力に応じたサイズのパイプが必要となる。一方、筐体状の部材に組み込むようにして複数のパイプの両端を支える構造であったため、熱交換の能力にあわせて筐体状の部材の大きさを変えていた。つまり、パイプの長さが変われば、パイプを支える筐体状の部材の大きさも変わることになる。このようなことから、パイプを支える筐体状の部材の種類が多く存在することになり、管理などが手間であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、熱交換に利用するパイプの長さが変わっても、パイプを支える部材の大きさを変えなくてもよいようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、通風路となるように構成されたパイプと、複数のパイプが固定されるベースと、を備えた盤用熱交換部材であって、前記ベースは、パイプを挿入することが可能な貫通穴を複数備えるとともに、各々の貫通穴に、パイプの挿入深さを規制する規制部を備え、前記ベースをパイプの一端側と他端側の各々に配置した盤用熱交換部材とする。
【0007】
また、パイプとベースを接着させる接着剤を溜めることが可能な溜め部を複数備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、パイプの外周に沿って設けられた環状の溜め部に溜められた接着剤がパイプの全周に位置する構成とすることが好ましい。
【0009】
また、貫通穴の貫通方向と垂直となる方向にベースどうしが接続することを可能とする係合部をベースの外周側に備えた構成とすることが好ましい。
【0010】
また、ベースの各々に複数の係合部を備え、二つのベースが連結された状態において、一方のベースの係合部の一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きと、一方のベースの他の係合部の少なくとも一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きが、逆となるように構成された構成とすることが好ましい。
【0011】
また、ベースの一面に設けられた二つの係合部が貫通方向と垂直となる方向に並んでおり、パイプの一端側に接続されるベースに備えられた係合部が他方のベースの係合部に連結された状態における、一方のベースの係合部の一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きと、一方のベースの他の係合部が他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きの並びが、パイプの他端側に接続されるベースに備えられた係合部が他方のベースの係合部に連結された状態における、一方のベースの係合部の一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きと、一方のベースの他の係合部が他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向きの並びと、逆となるように構成することが好ましい。
【0012】
また、弾性変形可能な弾性部材を備え、一方のベースの係合部と他方のベースの係合部の係合がされた連結態様において弾性変形した弾性部材が復元しようとする復元力により、一方のベースの係合部と他方のベースの係合部の係合が解除されることを抑制可能である構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、熱交換に利用するパイプの長さが変わっても、パイプを支える部材の大きさを変えなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】盤用熱交換部材の例を示す斜視図である。
図2図1に示す盤用熱交換部材を図1とは異なる方向から見た斜視図である。
図3図1に示す盤用熱交換部材の分解斜視図である。
図4】実施形態におけるベースの斜視図である。
図5】パイプを規制部に当接した状態において構成された溜め部に接着剤を溜める例を表すイメージ図である。
図6】実施形態におけるベースの部分拡大図である。
図7図6に示す例とは異なるベースの部分拡大図である。
図8】二つの盤用熱交換部材を連結した例を示す図である。
図9図8に示す例とは異なる態様で二つの盤用熱交換部材を連結した例を示す図である。
図10図8に示す状態におけるA-A断面の係合部周りの拡大図である。
図11図8に示す状態におけるB-B断面の係合部周りの拡大図である。
図12図1とは異なる盤用熱交換部材の例を示す斜視図である。
図13図12に示す盤用熱交換部材を図12とは異なる方向から見た斜視図である。
図14図12に示す盤用熱交換部材を連結する前の係合部の状態と連結した後の係合部の状態を表した図である。ただし、(a)が連結する前の係合部の状態をC-C矢視図で表しており、(b)が連結した後の状態をC-C矢視図で表している。
図15図12に示す盤用熱交換部材を連結する前の係合部の状態と連結した後の係合部の状態を表した図である。ただし、(a)が連結する前の係合部の状態をD-D矢視図で表しており、(b)が連結した後の状態をD-D矢視図で表している。
図16図13に「係合部の一つが他方のベースの係合部と貫通方向に対向する向き」を矢印で付した図である。
図17】ベースにパイプを固定して構成した組立体どうしを、組み合わせて盤用熱交換部材を構成する例を表す図である。ただし、一方の組立体のパイプとパイプの間に別の組立体のパイプが挟み込まれるようにして盤用熱交換部材を構成している。
図18図17に示す状態から、連結部材を取り外した分解斜視図である。
図19図17に示す盤用熱交換部材の連結部材周りをE-E矢視図で表した図である。
図20】盤の筐体に盤用熱交換部材を取り付けた例を示す図である。ただし、盤の筐体内部に配置された盤用熱交換部材で温度調整される空気の流れと、前記空気を温度調整するために盤の筐体外から導入される空気の流れを矢印で表している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図3に示されていることから理解されるように、本実施形態の盤用熱交換部材1は、通風路となるように構成されたパイプ2と、複数のパイプ2が固定されるベース3と、を備えている。この盤用熱交換部材1のベース3は、パイプ2を挿入することが可能な貫通穴31を複数備えるとともに、各々の貫通穴31に、パイプ2の挿入深さを規制する規制部32を備えている。また、ベース3をパイプ2の一端側と他端側の各々に配置している。したがってパイプ2の一端側と他端側の各々に配置されたベース3がパイプ2を支える部材となるため、熱交換に利用するパイプ2の長さが変わっても、パイプ2を支える部材の大きさを変えなくてもよい。
【0016】
ここで、盤用熱交換部材1の概略構成を説明する。実施形態の盤用熱交換部材1は、複数のパイプ2の一端側にベース3が接続されているとともに、パイプ2の他端側に別のベース3が接続されている。図1から図3に示す例では、角筒状のパイプ2が一列に並んだ状態で、二つのベース3に挟まれている。なお、この例においてはパイプ2の両端に位置するベース3の形状は同一であるが、必ずしも同一である必要はない。
【0017】
各々のベース3には貫通穴31が備えられており、盤用熱交換部材1は、一方のベース3に設けられた貫通穴31を通った空気がパイプ2に流れ込み、パイプ2から出た空気は他方のベース3に備えられた貫通穴31を通して盤用熱交換部材1の外に流されることになる。
【0018】
図1から図3に示すパイプ2は角筒状であるが、丸筒状であってもよい。ただし、角筒状である方がパイプ2の数を少なくすることができる。
【0019】
パイプ2とベース3はしっかりと固定されていることが好ましいが、パイプ2とベース3の固定の容易性の確保も重要である。実施形態においては、パイプ2をベース3に適切な長さ分挿入することができるようにするため、パイプ2の貫通穴31は、パイプ2がベース3を貫通しないように構成している。このような構成とするために、貫通穴31について、貫通方向に対して垂直に切った断面が、一律とならないように構成している(図4参照)。
【0020】
図4に示す貫通穴31は、パイプ2が差し込まれるとパイプ2の端面22がベース3と当接することにより、それ以上深くパイプ2を差し込めないように規制している(図4及び図5参照))。つまり、貫通穴31にパイプ2の挿入深さを規制する規制部32を備える構成としている。
【0021】
図4に示す規制部32は貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向に延びる面を構成することで構成されているが、貫通方向に対して斜めに延びる面で規制部32を構成するなど、規制部32に他の構成を採用してもよい。ただし、貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向に延びる面が規制部32となるように構成すれば、規制部32がパイプ2の端面22に当接することでパイプ2の挿入深さを規制することができるため、パイプ2の太さに影響されることなく、パイプ2の挿入深さを定めることができる。
【0022】
図4から図6に示す例ではパイプ2の端面22に当接する規制部32を備えている。また、この例では、規制部32は、パイプ2の全周にわたって端面22と接することができるように構成されている。なお、規制部32はパイプ2の端面22の全周にわたって接することができるように構成されていなくてもよい。図7に示す例では、規制部32はパイプ2の端面22に対して断続的に接するように構成されている。
【0023】
パイプ2の挿入深さを規制する方法は、パイプ2側にベース3に引っ掛かる突部などを設けるようにしてもよいのだが、安全面などを考慮すると、パイプ2に突部などを設けるよりも、貫通穴31に規制部32を設ける方が好ましい。
【0024】
また、貫通穴31の一部の断面をパイプ2の断面と同様にすれば、パイプ2を貫通穴31に差し込んだだけで、パイプ2とベース3が固定されるようにすることもできる。また、上記した構成にしなくても、ベース3を複数個所でパイプ2と当接可能な構成とすることで、パイプ2を貫通穴31に差し込んだだけで、パイプ2とベース3が固定されるように構成することはできる。ただし、パイプ2とベース3の寸法が全て想定通りに製作できるとは限らないため、パイプ2とベース3は接着剤91などを用いて結合できるようにすることが好ましい(図5参照)。
【0025】
実施形態では、貫通穴31にパイプ2を差し込んだ状態において、パイプ2の外周側に凹み部51が設けられることになるように構成している。この凹み部51はパイプ2とベース3の双方に接した状態で接着剤91を溜めることができる溜め部として利用することができるため、パイプ2とベース3の接着において、接着剤91が拡散してしまうことを抑制できる。したがって、接着作業がしやすくなる。また、接着強度が確保しやすくなる。
【0026】
なお、パイプ2とベース3を接着させる接着剤91を溜めることが可能な溜め部はどのようなものであってもよい。ただし、接着剤91を溜める溜め部を複数設けるようにすれば、接着剤91を溜める範囲を抑制することができる。したがって、接着剤91の使用量の抑制も期待できる。なお、パイプ2を挿入した貫通穴31の数だけ、溜め部を備える構成とするのがより好ましい。
【0027】
これらの記載から理解されるように、パイプ2とベース3を接着させる接着剤91を溜めることが可能な溜め部を複数備えた構成とするのが好ましい。
【0028】
また、パイプ2とベース3の間に生じ得る隙間から空気や液体などが流れ込むことなどを抑制するため、パイプ2の全周分、接着剤91が設けられていることが好ましい。このためにも凹み部51などの溜め部がパイプ2の外周に沿って全周分設けられている構成とすることが好ましい。パイプ2の全周分、接着剤91が設けられるようにする場合、接着剤91は環状になる。
【0029】
これらの記載から理解されるように、パイプ2の外周に沿って設けられた環状の溜め部に溜められた接着剤91がパイプ2の全周に位置する構成とするのが好ましい。
【0030】
ところで、盤用熱交換部材1は連結することができるように構成されるのが好ましい。複数の盤用熱交換部材1が組み合わされるようにすれば、能力の調整をすることができる。例えば、貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向に盤用熱交換部材1が連結されれば、空気の導入口を増やすことができる(図8及び図9参照)。
【0031】
盤用熱交換部材1どうしを、貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向に連結することができるように、実施形態ではベース3に係合部34を備えている。図1及び図2に示す例では、係合部34は、貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向に延びるように構成されている。また、図1及び図2に示す例では、概略直方体状に構成されたベース3の四面に係合部34が設けられており、盤用熱交換部材1の四方に、他の盤用熱交換部材1を連結することができる。
【0032】
貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向に連結することができるようにする場合であっても、盤用熱交換部材1の四方から、他の盤用熱交換部材1を連結することができるようにしなくてもよい。このため、盤用熱交換部材1の四方に係合部34を備える構成としなくてもよい。例えば、盤用熱交換部材1の一方にのみ係合部34を備える構成としてもよいし、盤用熱交換部材1の二方にのみ若しくは三方にのみ係合部34を備える構成としてもよい。いずれにせよ、一方のベース3の外周側に備えた係合部34と他方のベース3の外周側に備えた係合部34が係合した状態で連結できるように構成するのが好ましい。
【0033】
これらの記載から理解されるように、貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向にベース3どうしが接続することを可能とする係合部34をベース3の外周側に備えた構成とするのが好ましい。
【0034】
図1図8から図11に示す例では、隣り合わせに配置した盤用熱交換部材1は、一方の盤用熱交換部材1から延びる二つの係合部34と、他方の盤用熱交換部材1から延びる二つの係合部34と、が各々係合している。また、一方の盤用熱交換部材1から延びる二つの係合部34は、各々他方の盤用熱交換部材1から延びる係合部34に対して、逆方向に当接するように構成されている。したがって、盤用熱交換部材1どうしが分離してしまうことを抑制することが可能となる。
【0035】
また、図1図8から図11に示す例では、二つのベース3が連結された状態において、「一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」と、「一方のベース3の他の係合部34が他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」が、逆となるように構成されている。
【0036】
なお、この構成を図1に示す上下前後左右の関係を用いた表現で表すとすると、「貫通方向」は上下方向であるが、「一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」と、「一方のベース3の他の係合部34が他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」は、上方向と下方向となる。つまり、二つの係合部34のうち、一方は組み合わされる盤用熱交換部材1の下側に位置するように係合し、他方は組み合わされる盤用熱交換部材1の上側に位置するように係合する。したがって、盤用熱交換部材1どうしが分離してしまうことを抑制することが可能となる。このような態様を採用する場合であっても、隣の盤用熱交換部材1と接する係合部34は、二つに限る必要はなく、三つ以上でもよい。
【0037】
これらの記載から理解されるように、ベース3の各々に複数の係合部34を備え、二つのベース3が連結された状態において、一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向きと、一方のベース3の他の係合部34の少なくとも一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向きが、逆となるように構成されるのが好ましい。
【0038】
なお、図1に示す盤用熱交換部材1を係合部34を用いて左右方向若しくは前後方向に連結すると、いずれの場合も「一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」と「一方のベース3の他の係合部34が他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」は上下が逆になる。
【0039】
また、ベース3には弾性部材41が備えられており、盤用熱交換部材1どうしが連結した状態において、係合部34どうしが離れることを抑制可能としている。弾性変形した弾性部材41が復元しようとする復元力により、一方のベース3の係合部34と他方のベース3の係合部34の係合が解除されることを抑制しているからである。
【0040】
図10及び図11に示す例では、各々、一方のベース3に備えられた係合部34と他方のベース3に備えられた係合部34は、上下逆方向に突出する突出部34aを備えており、各々の突出部34aが噛み合うように係合している。突出部34aが噛み合う状態を維持するために弾性部材41が係合部34に対して水平方向に力をかけるように構成されている。
【0041】
これらの記載から理解されるように、弾性変形可能な弾性部材41を備え、一方のベース3の係合部34と他方のベース3の係合部34の係合がされた連結態様において弾性変形した弾性部材41が復元しようとする復元力により、一方のベース3の係合部34と他方のベース3の係合部34の係合が解除されることを抑制可能である構成とするのが好ましい。なお、弾性部材41はパッキンを採用するのが好ましい。
【0042】
係合部34は、このような構成である必要はない。例えば、側方に突出する係合部34と、凹みにより構成された係合部34を備えるようにしてもよい(図12及び図13参照)。この例では、側方に延びる係合部34を凹状の係合部34に収めることができるため(図14及び図15参照)、盤用熱交換部材1どうしを連結した場合に、全体の大きさを抑制することができる。なお、図12及び図13に示す例では、二方側にのみ係合部34が設けられており、係合部34を用いて、貫通穴31の貫通方向と垂直となる方向に連結することは、二方からのみ可能となる。
【0043】
なお、図12に示す例の係合部34は連結した状態で前後方向に突起34bが引っかかるため前後方向への移動が抑制され、側方に延びる係合部34を凹状の係合部34に収めることで、左右方向への移動が抑制される。
【0044】
この例では、図12に示す上側のベース3と下側のベース3はともに、前側において、係合部34が左右方向に並んでいるが、この係合部34を他の盤用熱交換部材1との連結に用いる場合、上側のベース3の左側の係合部34は係合する他の盤用熱交換部材1の係合部34の下側に位置することになる部分であり、下側のベース3の左側の係合部34も係合する他の盤用熱交換部材1の係合部34の下側に位置することになる部分である。また、上側のベース3の右側の係合部34は係合する他の盤用熱交換部材1の係合部34の上側に位置することになる部分であり、下側のベース3の右側の係合部34は係合する他の盤用熱交換部材1の係合部34の上側に位置することになる部分である。このため、連結された盤用熱交換部材1どうしを上下方向に移動して分離することは困難となる。
【0045】
ただし、盤用熱交換部材1を回転させるように動かせば、比較的簡単に、盤用熱交換部材1どうしを分離することができる。つまり、図12に示す構成は盤用熱交換部材1どうしが連結されている状態の解除は、盤用熱交換部材1を直線的に動かしてもなすことはできず、盤用熱交換部材1を回転させるように動かすことによりなすことができる。
【0046】
なお、図1に示す例においても、ベース3の一面に設けられた二つの係合部34が貫通方向と垂直となる方向に並んでおり、「パイプ2の一端側に接続されるベース3(例えば下側に位置するベース3)に備えられた係合部34が他方のベース3の係合部34に連結された状態における、「一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」と、「一方のベース3の他の係合部34が他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」の並び」が、「パイプ2の他端側に接続されるベース3(例えば上側に位置するベース3)に備えられた係合部34が他方のベース3の係合部34に連結された状態における、「一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」と、「一方のベース3の他の係合部34が他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」の並び」と、同様となるように構成されている。したがって、回転させるようにすれば、簡単に、盤用熱交換部材1どうしを分離することができる。
【0047】
なお、上記した「並び」について理解しにくい点があるかもしれないため、図面を利用して更に説明をする。図16においては「係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」を太矢印で付している。図16において、パイプ2の下側に位置するベース3における左前側に位置する係合部34は他方のベース3の係合部34が上側に位置するように係合し、パイプ2の下側に位置するベース3における右前側に位置する係合部34は他方のベース3の係合部34が下側に位置するように係合する。つまり、下側のベース3においては「係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」が左から右に向けて「上、下」の順に並ぶ。
【0048】
これに対して、図16において、パイプ2の上側に位置するベース3における左前側に位置する係合部34は他方のベース3の係合部34が上側に位置するように係合し、パイプ2の上側に位置するベース3における右前側に位置する係合部34は他方のベース3の係合部34が下側に位置するように係合する。つまり、上側のベース3においては「係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」が左から右に向けて「上、下」の順に並ぶ。したがって、上側のベース3の係合部34と下側のベース3の係合部34は、いずれも「係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」が左から右に向けて「上、下」の順に並ぶ。
【0049】
一方、回転動作をさせても、外れにくいようにするには、この並びと逆にすればよい。つまり、ベース3の一面に設けられた二つの係合部34が貫通方向と垂直となる方向に並んでおり、「パイプ2の一端側に接続されるベース3に備えられた係合部34が他方のベース3の係合部34に連結された状態における、「一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」と、「一方のベース3の他の係合部34が他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」の並び」が、「パイプ2の他端側に接続されるベース3に備えられた係合部34が他方のベース3の係合部34に連結された状態における、「一方のベース3の係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」と、「一方のベース3の他の係合部34が他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」の並び」と、逆となるように構成すればよい。この場合でも、盤用熱交換部材1の変形をある程度許容するように構成すれば、盤用熱交換部材1どうしの取り付けや取り外しをすることができる。例えば、パイプ2やベース3を樹脂を用いて構成すれば、ある程度の変形が許容される構成とすることが可能である。
【0050】
なお、例えば、上側のベース3の係合部34について、「係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」が左から右に向けて「上、下」の順に並べば、下側のベース3の係合部34については、「係合部34の一つが他方のベース3の係合部34と貫通方向に対向する向き」が左から右に向けて「下、上」の順に並ぶというように構成すればよい。
【0051】
ここまでに説明した盤用熱交換部材1は、一本のパイプ2の両端にベース3が当接されている構成であったが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、図17及び図18に示すことから理解される盤用熱交換部材1は、一本のパイプ2の一端側にだけベース3が当接している。また、パイプ2どうしは、端面22が向かい合うように配置されていない。一方のベース3に当接したパイプ2と他方のベース3に当接したパイプ2が交互に並ぶように配置されて、ひとまとまりとなっている。なお、適切に盤用熱交換部材1を利用できるようにするためには、周りを板材で覆うなどして、盤8の内部で循環させる空気と、熱交換のために大量に盤8の外から送られる空気が混じらないようにすればよい。
【0052】
また、この例ではパイプ2どうしと当接するように連結部材61が取り付けられ、一方のベース3に当接したパイプ2と他方のベース3に当接したパイプ2が適切に配置されるようにしている。図19に示す例では、連結部材61は、一方のベース3に当接したパイプ2どうしの間に差し込まれる第一の嵌合部62を複数備えるとともに、他方のベース3に当接したパイプ2どうしの間に差し込まれる第二の嵌合部63を複数備えている。また、第一の嵌合部62と第二の嵌合部63は各々、パイプ2の端面22と当接可能に構成されているため、ベース3の間隔を適切に確保することが可能となる。
【0053】
ここで、盤用熱交換部材1を備えた盤8の例について説明をする。図20に示すことから理解されるように、通常、盤用熱交換部材1は、盤8の筐体に取り付けられている。盤用熱交換部材1は主に、盤8の内部の空気を冷却するために利用される。盤8の内部は温まりやすいが、盤8の内部に備えられた電気電子機器が熱せられるのは好ましくないからである。
【0054】
図20に示す例では、盤8の内部の空気を盤用熱交換部材1のパイプ2に通し、盤8の外からパイプ2の周りに空気を送ることで、パイプ2の内部を通過する空気を冷却する。空気をパイプ2の内部に通過させるための送風機71と外部の空気を盤用熱交換部材1に向けて送る送風機72は必要にあわせて動かしてもよいし、常時動いているようにしてもよい。なお、盤用熱交換部材1に向けて送風機72から送られた空気は、パイプ2の周りを通過した後、盤8の外に送り出される。
【0055】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 盤用熱交換部材
2 パイプ
3 ベース
31 貫通穴
32 規制部
34 係合部
41 弾性部材
51 凹み部
91 接着剤
図1
図2
図3
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図5
図6
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図20