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特開2025-8856サーバ装置、表示制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008856
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】サーバ装置、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20250109BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111429
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】遠隔医療システムにおいてやりとりされる会話情報を共有化するための技術を提供することである。
【解決手段】本開示の一態様は、医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間の通信を制御する通信制御部と、前記第1の情報処理端末と前記第2の情報処理端末との間でやりとりされる会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出するキーワード検出部と、前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示する表示制御部と、を有する、サーバ装置に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間の通信を制御する通信制御部と、
前記第1の情報処理端末と前記第2の情報処理端末との間でやりとりされる会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出するキーワード検出部と、
前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示する表示制御部と、
を有する、サーバ装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記検出されたキーワードと前記関連情報とを関連付けて、前記第1の情報処理端末と前記第2の情報処理端末とに表示する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記関連情報は、前記キーワードに関する数値又は回答を示す、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記検出されたキーワードが、前記第1の情報処理端末から送信されたものである場合、前記表示制御部は、前記第1の情報処理端末から前記確定操作を受け付ける、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記確定操作は、前記第1の情報処理端末又は前記第2の情報処理端末のモニタ画面上のタッチ操作と、前記第1の情報処理端末又は前記第2の情報処理端末に対する音声操作との少なくとも1つを含む、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、設定された表示モードに従って前記キーワードと前記関連情報とを表示する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記表示モードは、ライブモード、優先度モード、頻度モード、履歴モード、登録モード及び医療用語モードから選択される、請求項6に記載のサーバ装置。
【請求項8】
医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間で通信される会話情報を取得することと、
前記会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出することと、
前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示することと、
をコンピュータが実行する表示制御方法。
【請求項9】
医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間で通信される会話情報を取得することと、
前記会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出することと、
前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ装置、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の進展によって、遠隔医療の利用が促進されている。例えば、遠隔医療では、患者が搬送された病院と、当該病院から遠隔にある病院との間で患者の映像などが共有されたり、双方の病院の医療スタッフ間の会話などが通信されたりする。このような遠隔医療を通じて、現場の病院の医師は、遠隔の病院の主治医、専門医などの助言の下、患者に対してより適切な処置を行うことができる。
【0003】
このような遠隔医療を実現するための遠隔医療ツールとして、下記文献にあるものなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10,483,007号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、救命救急、新生児医療などの緊急を要する医療現場では、口頭でのコミュニケーションを主として使用せざるを得ない。このような医療現場において遠隔医療システムが利用される場合、情報の正確性確保と、医療スタッフ間の情報共有とがより困難になり得る。例えば、患者がいる現場の医師、看護師などの会話が中心になって処置が進められ、遠隔にいる医師は、患者の状況を確認して判断することが難しいことがある。また、話者の位置、マイクの角度などによって音声が不明瞭になると、遠隔にいる医師は更に会話を把握することが困難になり得る。さらに、複数の拠点が遠隔で参加した場合、遅れて参加した医師や少しの時間離席した医師は、会話の内容を把握することが難しい。
【0006】
また、訪問看護などで看護師が1人で患者宅に訪問して遠隔の医師の診断を受ける場合、看護師は、看護をしながら医師と会話することになり、キーボード等での入力作業が困難であることが多く、音声での会話に依拠して診療や助言が行われうる。このため、言い間違い、音声不良などによって、遠隔の医師が正確に情報を把握できない懸念がある。
【0007】
上記問題点に鑑み、本開示の1つの課題は、遠隔医療システムにおいてやりとりされる会話情報を共有化するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間の通信を制御する通信制御部と、前記第1の情報処理端末と前記第2の情報処理端末との間でやりとりされる会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出するキーワード検出部と、前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示する表示制御部と、を有する、サーバ装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、遠隔医療システムにおいてやりとりされる会話情報を共有化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施例による遠隔医療システムを示す概略図である。
図2図2は、本開示の一実施例による遠隔医療システムにおいて共有される患者情報を示す図である。
図3図3は、本開示の一実施例によるサーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の一実施例によるサーバ装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の一実施例による登録キーワード情報を示す図である。
図6図6は、本開示の一実施例による遠隔医療システムにおける画面例を示す図である。
図7図7は、本開示の一実施例による遠隔医療システムにおける画面例を示す図である。
図8図8は、本開示の一実施例による表示制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0012】
以下の実施例では、情報処理端末間で会話情報を共有するための遠隔医療システムが開示される。
【0013】
[遠隔医療システム]
図1を参照して、本開示の一実施例による遠隔医療システムを説明する。図1は、本開示の一実施例による遠隔医療システムを示す概略図である。
【0014】
図1に示されるように、遠隔医療システム10は、情報処理端末20、ユーザ端末30及びサーバ装置100を有する。情報処理端末20、ユーザ端末30及びサーバ装置100は、例えば、ネットワーク(図示せず)を介し通信接続される。
【0015】
情報処理端末20は、例えば、患者のいる医療現場などに配置され、患者や医療スタッフなどの映像、患者や医療スタッフによって発話された会話などを取得し、取得した映像、会話などをサーバ装置100に送信する。また、情報処理端末20は、サーバ装置100から取得したデータなどを受信し、受信したデータなどをモニタ上に表示する。
【0016】
ユーザ端末30は、例えば、患者のいる医療現場から遠隔にいる医師によって利用され、サーバ装置100を介して情報処理端末20から受信した映像、会話などをモニタやスピーカを介し遠隔の医師に提供する。また、ユーザ端末30は、遠隔の医師から発信される発話、メッセージなどをサーバ装置100に送信する。
【0017】
サーバ装置100は、以下で詳細に説明されるように、情報処理端末20とユーザ端末30との間で情報をやりとりする。以下の実施例では、サーバ装置100は、情報処理端末20の患者、医師、看護師などと、ユーザ端末30の医師(例えば、主治医、専門医など)などとの間でやりとりされる会話の音声情報を取得する。例えば、サーバ装置100は、取得した音声情報に対して音声認識を実行し、テキストデータによる認識結果として取得した会話情報に所定のキーワードが含まれているか検出してもよい。取得した会話情報において所定のキーワードを検出すると、サーバ装置100は、検出したキーワードに関する関連情報を抽出し、抽出した関連情報を仮情報として表示する。例えば、所定のキーワードとして“体温”が会話情報に検出された場合、サーバ装置100は、会話情報における“体温”の前後の文脈から体温に相当する数値を検出し、検出した数値を関連情報として“体温”とともに仮情報として情報処理端末20及びユーザ端末30に表示する。そして、表示された仮情報に対する確定操作を受け付けると、サーバ装置100は、キーワードと関連情報とを確定情報として情報処理端末20及びユーザ端末30に表示する。
【0018】
例えば、図2に示される例では、キーワードとして、“体温”、“体重”、“血圧”、“呼吸”、“気管挿管”、“生後週数”などが検出されうる。そして、“体温”及び“気管挿管”の関連情報として、“36.0℃”及び“はい”が確定情報として表示される。また、“体重”及び“生後週数”の関連情報として、“2,200g”及び“30週”が仮情報として表示され、ユーザによる確定操作を待機している。
【0019】
これにより、情報処理端末20が配置される現場の医療スタッフと、遠隔の助言者、専門医などとの間で口頭でやりとりされる会話情報が画面上にテキストデータとして表示され、会話情報の共有化を図ることができる。また、サーバ装置100によって自動抽出されたキーワードと関連情報とは、当初は仮情報として表示され、ユーザによる確認を受けた後に確定情報として表示される。これにより、キーワードと関連情報とが正確な情報として共有されうる。
【0020】
ここで、サーバ装置100は、何れかのタイプの計算装置、情報処理装置などによって実現され、例えば、図3に示されるようなハードウェア構成を有してもよい。すなわち、サーバ装置100は、バスBを介し相互接続されるドライブ装置101、ストレージ装置102、メモリ装置103、プロセッサ104、ユーザインタフェース(UI)装置105及び通信装置106を有する。
【0021】
サーバ装置100における後述される各種機能及び処理を実現するプログラム又は指示は、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の着脱可能な記憶媒体に格納されてもよい。当該記憶媒体がドライブ装置101にセットされると、プログラム又は指示が記憶媒体からドライブ装置101を介しストレージ装置102又はメモリ装置103にインストールされる。ただし、プログラム又は指示は、必ずしも記憶媒体からインストールされる必要はなく、ネットワークなどを介し何れかの外部装置からダウンロードされてもよい。ストレージ装置102は、ハードディスクドライブなどによって実現され、インストールされたプログラム又は指示と共に、プログラム又は指示の実行に用いられるファイル、データ等を格納する。メモリ装置103は、ランダムアクセスメモリ、スタティックメモリ等によって実現され、プログラム又は指示が起動されると、ストレージ装置102からプログラム又は指示、データ等を読み出して格納する。ストレージ装置102、メモリ装置103及び着脱可能な記憶媒体は、非一時的な記憶媒体(non-transitory storage medium)として総称されてもよい。
【0022】
プロセッサ104は、1つ以上のプロセッサコアから構成されうる1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、処理回路(processing circuitry)等によって実現されてもよく、メモリ装置103に格納されたプログラム、指示、当該プログラム若しくは指示を実行するのに必要なパラメータなどのデータ等に従って、後述されるサーバ装置100の各種機能及び処理を実行する。ユーザインタフェース(UI)装置105は、キーボード、マウス、カメラ、マイクロフォン等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ、ヘッドセット、プリンタ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置から構成されてもよく、ユーザとサーバ装置100との間のインタフェースを実現する。例えば、ユーザは、ディスプレイ又はタッチパネルに表示されたGUI(Graphical User Interface)をキーボード、マウス等を操作し、サーバ装置100を操作する。通信装置106は、外部装置、インターネット、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークとの通信処理を実行する各種通信回路により実現される。
【0023】
しかしながら、上述したハードウェア構成は単なる一例であり、本開示によるサーバ装置100は、他の何れか適切なハードウェア構成により実現されてもよい。
【0024】
[サーバ装置]
次に、本開示の一実施例によるサーバ装置100を説明する。図4は、本開示の一実施例によるサーバ装置100の機能構成を示すブロック図である。図4に示されるように、サーバ装置100は、通信制御部110、キーワード検出部120及び表示制御部130を有する。例えば、通信制御部110、キーワード検出部120及び表示制御部130の1つ以上の機能部は、1つ以上のプロセッサ104が1つ以上のプログラム又は指示を実行することによって実現されてもよい。
【0025】
通信制御部110は、医療現場に配置された情報処理端末20と、医療現場から遠隔配置されたユーザ端末30との間の通信を制御する。例えば、通信制御部110は、情報処理端末20及びユーザ端末30から映像情報、音声情報、テキスト情報などを受信すると、受信した映像情報、音声情報、テキスト情報などをビデオ会議、オンライン会議、チャットなどの何れか1つの形式又は何れか2つ以上の組み合わせ形式で情報処理端末20及びユーザ端末30に送信する。
【0026】
ここで、通信制御部110は、情報処理端末20及びユーザ端末30から受信した音声情報、例えば、情報処理端末20のユーザとユーザ端末30のユーザとの間で口頭でやりとりされた会話情報に対して音声認識を実行し、会話情報をテキスト情報に変換してもよい。また、通信制御部110は、情報処理端末20及びユーザ端末30から受信したテキスト情報、例えば、ユーザ端末30のユーザから送信された助言などのテキスト情報などを音声情報に変換し、情報処理端末20にテキスト情報としてだけでなく音声情報として提供してもよい。
【0027】
キーワード検出部120は、情報処理端末20とユーザ端末30との間でやりとりされる会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出する。例えば、周産期医療については、キーワードは、“生後週数”、“体重”、“血圧”、“呼吸”、“気管挿管”、“感染症”など、患者のバイタル情報や既往歴、処置などに関する用語であってもよく、ユーザ等によって予め登録されてもよい。また、関連情報は、各キーワードに対する数値(例えば、“生後週数”に対して“30週”、“体温”に対して“36.0℃”など)、回答(例えば、“気管挿管”に対して“はい”/“いいえ”など)などであってもよい。
【0028】
登録されたキーワードは、例えば、図5に示されるような登録キーワード情報に登録されてもよい。図示された例では、キーワード番号“#001”として、“生後週数”がキーワードとして登録され、“生後週数”の値が“週”の単位によって表されることが登録されている。また、キーワード番号“#002”として、“体重”がキーワードとして登録され、“体重”の値が“g”の単位によって表されることが登録されている。同様にして、“体温”、“血圧”、“呼吸”、“気管挿管”、“感染症”などのキーワードと、各キーワードの数値の単位又は“はい”/“いいえ”などの回答候補とが、登録キーワード情報に登録されうる。さらに、各キーワードには、図示されるように、優先度が設定されてもよい。
【0029】
例えば、情報処理端末20とユーザ端末30との間でやりとりされた会話情報が“生後週数は30週です。”という内容を含んでいるとき、キーワード検出部120は、キーワードとして“生後週数”を検出すると、登録キーワード情報に登録されている“生後週数”に対応する“週”を手がかりとして、“30週”を関連情報として抽出してもよい。同様にして、キーワード検出部120は、会話情報に含まれる各キーワードに対して、当該キーワードに対応する数値や回答などの関連情報を抽出してもよい。
【0030】
表示制御部130は、検出されたキーワードと関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、仮情報を確定情報として表示する。具体的には、会話情報に含まれるキーワードと当該キーワードに対応する関連情報とを取得すると、表示制御部130はまず、取得したキーワードと関連情報とを仮情報として情報処理端末20とユーザ端末30とにテキスト形式によって表示してもよい。すなわち、キーワードと関連情報とは、サーバ装置100による音声認識及び単語検出によって取得されたものであり、誤認識及び/又は誤検出の可能性がありうる。このため、取得されたキーワードと関連情報とは、ユーザによって承認された後に始めて確定情報として採用されるようにしてもよい。
【0031】
キーワードと関連情報とが仮情報として情報処理端末20とユーザ端末30とのモニタ上などに表示された後、当該仮情報が正しいものであるとの確定操作を受け付けると、表示制御部130は、表示されている仮情報を確定情報として表示してもよい。例えば、図2に示される画面例では、“体温”及び“気管挿管”は、確定操作によって確定情報として表示される。一方、“体重”及び“生後週数”は、確定操作を受け付けておらず、仮情報として表示される。このとき、表示制御部130は、仮情報に対する確定操作をユーザに促すため、仮情報を強調表示(例えば、点滅表示など)してもよい。
【0032】
ここで、確定操作は、情報処理端末20又はユーザ端末30のモニタ画面上のタッチ操作であってもよい。例えば、情報処理端末20又はユーザ端末30のモニタ画面上に表示されている仮情報がタッチ操作されることによって、表示制御部130は、当該仮情報が承認されたと判断してもよい。他方、情報処理端末20又はユーザ端末30のモニタ画面上に表示されている仮情報がスライド操作などされることによって、表示制御部130は、当該仮情報が拒絶されたと判断してもよい。この場合、表示制御部130は、情報処理端末20とユーザ端末30とに再入力を求めてもよい。
【0033】
あるいは、確定操作は、情報処理端末20又はユーザ端末30に対する音声操作であってもよい。例えば、“生後週数 30週”が仮情報として表示されている場合、「生後週数30週で大丈夫です。」などの肯定的な音声応答をユーザから受け付けると、表示制御部130は、当該仮情報が承認されたと判断してもよい。他方、「生後週数は30週ではありません。」などの否定的な音声応答を受け付けると、表示制御部130は、当該仮情報が拒絶されたと判断し、情報処理端末20とユーザ端末30とに再入力を求めてもよい。また、“生後週数 30週”の確認をする際、表示制御部130は、情報処理端末20及び/又はユーザ端末30のモニタ画面上において“生後週数 30週”を強調表示してもよい。
【0034】
ここで、検出されたキーワードが、情報処理端末20から送信されたものである場合、表示制御部130は、情報処理端末20から確定操作を受け付けるようにしてもよい。すなわち、表示制御部130は、キーワードと関連情報とを発話したユーザの情報処理端末20又はユーザ端末30から、当該キーワードと関連情報との仮情報に対する確定操作を受付可能としてもよく、発話側以外の端末からの確定操作を受付不可としてもよい。
【0035】
一実施例では、表示制御部130は、検出されたキーワードと関連情報とを関連付けて、情報処理端末20とユーザ端末30とに表示してもよい。例えば、表示制御部130は、患者の映像及び参加している医師の画像とともに、各キーワードと当該キーワードの関連情報との対応関係が把握できるように、検出された各キーワードと関連情報とを表示してもよい。また、図示されるように、仮情報には“(仮)”が表示され、確定情報には“(確定)”が表示されてもよい。また、仮情報は、確定操作を促すため点滅表示などの強調表示がされてもよい。
【0036】
例えば、表示制御部130は、設定された表示モードに従ってキーワードと関連情報とを表示してもよい。例えば、会話情報が“生後週数が30週、気管挿管済み、体重が2,200g、体温が36.0℃です。”を含む場合、表示制御部130は、発話の時系列順に従ってキーワードと関連情報とを表示してもよい。例えば、表示制御部130は、より直近に発話されたキーワードをより上位に表示するようにしてもよい(ライブモード)。この場合、表示制御部130は、上述した会話情報に対して、図6に示されるように、キーワードと関連情報とを示すキーワード画面において、キーワード画面の上位から“体温 36.0℃ (確定)”、“体重 2,200g (仮)”、“気管挿管 はい (確定)”及び“生後週数 30週 (確定)”を表示してもよい。
【0037】
あるいは、表示制御部130は、優先度に従ってキーワードと関連情報とを表示してもよい。例えば、表示制御部130は、より優先度の高いキーワードをより上位に表示するようにしてもよい(優先度モード)。ここで、各キーワードの優先度は、登録キーワード情報において設定されてもよい。図5に示される例では、“生後週数”は最も高い優先度Aであり、“体重”及び“気管挿管”は次に高い優先度Bであり、“体温”は次に高い優先度Cである。この優先度に従って、表示制御部130は、図7に示されるように、キーワード画面において、キーワード画面の上位から“生後週数 30週 (確定)”、“体重 2,200g (仮)”、“気管挿管 はい (確定)”及び“体温 36.0℃ (確定)”を表示してもよい。また、優先度の高いキーワードと関連情報とは、強調表示されてもよい。
【0038】
なお、表示制御部130はさらに、頻度モード及び履歴モードに従って各キーワードと関連情報との表示順を決定してもよい。頻度モードは、会話情報においてより頻繁に検出されたキーワードをより上位に表示するものであり、履歴モードは、会話の進行の時間軸順にキーワードを表示するものでありうる。また、表示制御部130は、所定のキーワードとその関連情報のみを表示してもよいし(登録モード)、あるいは、所定のキーワードとその関連情報に加えて、会話情報に出現した一般的な医療用語も表示してもよい(一般医療用語モード)。何れの表示モードを使用するかは、情報処理端末20及びユーザ端末30において、それぞれのユーザによって設定されてもよい。
【0039】
また、表示されたキーワードと関連情報とは、情報処理端末20及びユーザ端末30のユーザの操作によって強調表示できるようにしてもよい。また、情報処理端末20とユーザ端末30とは、必ずしも同じ画面を表示する必要はない。例えば、情報処理端末20には、患者の映像は相対的に小さなサイズにより表示され、キーワード画面は相対的に大きなサイズにより表示されてもよい。他方、ユーザ端末30には、患者の映像は相対的に大きなサイズにより表示され、キーワード画面は相対的に小さなサイズにより表示されてもよい。
【0040】
また、患者の症状や疾患のタイプに応じてキーワードは、変更されてもよい。また、会話情報は、必ずしも音声情報に限定されず、テキスト情報として入力されてもよい。例えば、情報処理端末20又はユーザ端末30がミュート状態にされ、会話情報が、キーボードにより入力されてもよい。また、会話情報において話者が特定され、特定された話者が表示されるようにしてもよい。例えば、図6及び図7では、話者の医師の画像が黒枠表示されている。これにより、質問者と回答者とを明示することができる。また、通信制御部110は、質問者がした質問内容に対して、当該質問者の発言に基づいて確定操作が行われないよう制御してもよい。
【0041】
[表示制御処理]
次に、本開示の一実施例による表示制御処理を説明する。図8は、本開示の一実施例による表示制御処理を示すフローチャートである。当該表示制御処理は、上述したサーバ装置100によって実行され、より詳細には、サーバ装置100の1つ以上のプロセッサ104が1つ以上のメモリ装置103に格納された1つ以上のプログラム又は指示を実行することによって実現されてもよい。
【0042】
図8に示されるように、ステップS101において、サーバ装置100は、会話情報を取得する。例えば、会話情報は、情報処理端末20とユーザ端末30との間でやりとりされる会話を示す音声形式の会話情報であってもよい。例えば、サーバ装置100は、会話情報に対して音声認識を実行し、会話情報に含まれる発話のテキストデータを取得してもよい。
【0043】
ステップS102において、サーバ装置100は、会話情報に所定のキーワードが含まれていないか判定する。具体的には、サーバ装置100は、抽出対象のキーワードが登録されている登録キーワード情報を参照し、会話情報に登録キーワード情報に登録されているキーワードが含まれているか判定する。会話情報にキーワードが検出された場合(S102:YES)、当該表示制御処理は、ステップS103に移行し、会話情報にキーワードが検出されなかった場合(S102:NO)、当該表示制御処理は、ステップS101に戻る。
【0044】
ステップS103において、サーバ装置100は、検出したキーワードと関連情報とを仮情報として表示する。具体的には、サーバ装置100は、検出したキーワードに関する数値又は回答を会話情報から抽出し、キーワードと関連情報とを関連付けて情報処理端末20とユーザ端末30とに仮情報として表示する。その後、サーバ装置100は、キーワードと関連情報とに対する確定操作を待機する。
【0045】
ステップS104において、サーバ装置100は、確定操作を受け付けたか判定する。確定操作を受け付けた場合(S104:YES)、当該表示制御処理は、ステップS105に移行し、確定操作を受け付けていない場合(S104:NO)、当該表示制御処理は、確定操作を待機し続ける。
【0046】
ステップS105において、サーバ装置100は、キーワードと関連情報とを確定情報として表示する。キーワードと関連情報とが確定情報として決定されると、情報処理端末20とユーザ端末30とを利用する医療スタッフは、確認済みの確定情報に基づいて診療、助言や処置を行うことができうる。
【0047】
上述したサーバ装置100及び表示制御処理によると、医療現場における口頭での発話をテキストデータとして表示することによって、現場の医療スタッフと遠隔の医師との間でより正確な情報を共有することが可能になる。なお、上述した実施例は、現場の医療スタッフと遠隔の医師とに着目して説明されたが、本開示は、これに限定されず、患者、患者の家族などによって操作されてもよい。
【0048】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)
医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間の通信を制御する通信制御部と、
前記第1の情報処理端末と前記第2の情報処理端末との間でやりとりされる会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出するキーワード検出部と、
前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示する表示制御部と、
を有する、サーバ装置。
(付記2)
前記表示制御部は、前記検出されたキーワードと前記関連情報とを関連付けて、前記第1の情報処理端末と前記第2の情報処理端末とに表示する、付記1に記載のサーバ装置。
(付記3)
前記関連情報は、前記キーワードに関する数値又は回答を示す、付記1又は2に記載のサーバ装置。
(付記4)
前記検出されたキーワードが、前記第1の情報処理端末から送信されたものである場合、前記表示制御部は、前記第1の情報処理端末から前記確定操作を受け付ける、付記1~3の何れか1つに記載のサーバ装置。
(付記5)
前記確定操作は、前記第1の情報処理端末又は前記第2の情報処理端末のモニタ画面上のタッチ操作と、前記第1の情報処理端末又は前記第2の情報処理端末に対する音声操作との少なくとも1つを含む、付記1~4の何れか1つに記載のサーバ装置。
(付記6)
前記表示制御部は、設定された表示モードに従って前記キーワードと前記関連情報とを表示する、付記1~5の何れか1つに記載のサーバ装置。
(付記7)
前記表示モードは、ライブモード、優先度モード、頻度モード、履歴モード、登録モード及び医療用語モードから選択される、付記6に記載のサーバ装置。
(付記8)
医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間で通信される会話情報を取得することと、
前記会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出することと、
前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示することと、
をコンピュータが実行する表示制御方法。
(付記9)
医療現場に配置された第1の情報処理端末と、前記医療現場から遠隔配置された第2の情報処理端末との間で通信される会話情報を取得することと、
前記会話情報に所定のキーワードが含まれているか判定し、検出されたキーワードに関する関連情報を抽出することと、
前記検出されたキーワードと前記関連情報とを仮情報として表示し、確定操作を受け付けると、前記仮情報を確定情報として表示することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0049】
以上、本開示の実施例について詳述したが、本開示は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、遠隔医療システムに有用である。
【符号の説明】
【0051】
10 遠隔医療システム
20 情報処理端末
30 ユーザ端末
100 サーバ装置
110 通信制御部
120 キーワード検出部
130 表示制御部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8