(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008878
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H04N1/387
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111470
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕之
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容易にラベルデータを生成可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】読み取った原稿データを用紙に印刷するか又はネットワークを介してバーコードプリンタやサーバといった外部装置に送信可能な画像形成装置を有する画像形成システムにおいて、画像形成装置は、原稿の画像を取得する画像取得部101と、取得された原稿画像内に所定のマークにより区別されるマーク領域があるか否かを判定する領域判定部103と、原稿画像内に前記マーク領域があると判定された場合、該マーク領域内のオブジェクトに基づいて、オブジェクトが入力可能な可変領域を決定すると共に、原稿画像におけるマーク領域外の領域に基づいて、原稿のフォーマットを示す固定領域を決定する領域決定部104と、決定された可変領域及び固定領域に基づいて、原稿データを生成するデータ生成部105とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を取得する画像取得部と、
取得された原稿画像内に所定のマークにより区別されるマーク領域があるか否かを判定する領域判定部と、
前記原稿画像内に前記マーク領域があると判定された場合、該マーク領域内のオブジェクトに基づいて、オブジェクトが入力可能な可変領域を決定する第1領域決定部と、
前記原稿画像における前記マーク領域外の領域に基づいて、前記原稿のフォーマットを示す固定領域を決定する第2領域決定部と、
決定された前記可変領域及び前記固定領域に基づいて、原稿データを生成するデータ生成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記領域判定部は、前記マークとして所定の線により囲われた領域を前記マーク領域と判定する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記領域判定部は、前記線が所定の有彩色を有する線である場合に、前記線により囲われた領域を前記マーク領域と判定する
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記データ生成部により生成されたラベルデータを外部装置に送信する送信部
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置が、
原稿の画像を取得し、
取得された原稿画像内に所定のマークにより区別されるマーク領域があるか否かを判定し、
前記原稿画像内に前記マーク領域があると判定された場合、該マーク領域内のオブジェクトに基づいて、オブジェクトが入力可能な可変領域を決定し、
前記原稿画像における前記マーク領域外の領域に基づいて、前記原稿のフォーマットを示す固定領域を決定し、
決定された前記可変領域及び前記固定領域に基づいて、原稿データを生成する
ことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードプリンタ等でラベルを印刷する際、適宜ラベルのデザイン等のラベルデータのカスタマイズが行われる。カスタマイズの方法としては、PC(Personal Computer)上のラベル編集ツールとしてのアプリケーションを用いることが一般的に行われている。ラベル編集ツールでは、既存の描画アプリケーションのように、線や文字を配置する等が可能である。ラベル編集ツールにより新たに作成または既存データを編集等されて生成されたラベルデータは、バーコードプリンタに送られ、当該プリンタによりラベルシート等の用紙に描画される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、原稿から容易にラベルデータを生成可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、原稿の画像を取得する画像取得部と、取得された原稿画像内に所定のマークにより区別されるマーク領域があるか否かを判定する領域判定部と、前記原稿画像内に前記マーク領域があると判定された場合、該マーク領域内のオブジェクトに基づいて、オブジェクトが入力可能な可変領域を決定する第1領域決定部と、前記原稿画像における前記マーク領域外の領域に基づいて、前記原稿のフォーマットを示す固定領域を決定する第2領域決定部と、決定された前記可変領域及び前記固定領域に基づいて、原稿データを生成するデータ生成部とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る画像形成システムを模式的に示す図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係るバーコードプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係るバーコードプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る可変オブジェクトが含まれていないラベルを示す図である。
【
図7】
図6に示されるラベルのラベルデータを示す図である。
【
図8】実施形態に係る可変オブジェクトが含まれるラベルを示す図である。
【
図9】
図8に示されるラベルのラベルデータを示す図である。
【
図10】実施形態に係る画像形成処理を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る印刷済みのラベルを示す図である。
【
図12】マークを記入した
図11に示されるラベルを示す図である。
【
図15】実施形態に係るバーコードプリンタの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。各図において、同一構成については同一の符号が付される。
【0008】
(画像形成システムの構成)
本実施形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムを模式的に示す図である。
【0009】
図1に示されるように、本実施形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置10と、バーコードプリンタ20とを備える。
【0010】
画像形成装置10は、予め数字、単語、文章等の文字や、縞模様状のバーコードや2次元バーコード、これらを区切る枠線等が印刷された原稿を原稿画像として取り込み、原稿画像から原稿データを生成する。このような画像形成装置10としては、読み取った原稿データを用紙に印刷またはネットワークNを介してバーコードプリンタ20やサーバ30といった外部装置に送信可能な複合機(MFP:Multifunction Peripheral)が挙げられる。本実施形態においては、画像形成装置10により読み取られる原稿は、商品や梱包箱等に貼着するラベルであるものとして説明を行う。したがって、画像形成装置10は、ラベルを読み取り、ラベルの画像データからラベルデータを生成する。なお、画像形成装置10は、ラベルに限らず、レシートやチケット等、様々な印刷されたシート状物を原稿とすることができる。
【0011】
画像形成装置10は、有線または無線通信手段を介して、バーコードプリンタ20にデータ通信可能に接続されている。有線通信手段としては、イーサネット(登録商標)や、USB、IEEE1394[FIREWIRE(登録商標)]、LIGHTNING(登録商標)などが挙げられる。無線通信手段としては、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信、セルラー、Wi-Fi等が挙げられる。
【0012】
バーコードプリンタ20は、電子写真方式や、インクジェット方式、熱転写方式等により記録媒体としてのシート上に画像を形成する。本実施形態においては、印刷対象のシートは、画像未形成のラベルであり、当該ラベルは複数貼り着されてなるロール状のラベルシートとしてバーコードプリンタ20に格納されている。バーコードプリンタ20は、PC(Personal Computer)等の特別なインフラを必要とせずに、単独で外部装置としての入力装置からの入力情報を取得し、入力情報をラベルデータに反映させて印刷する、スタンドアロン印刷が可能なプリンタである。例えば入力装置としては、PC、コードリーダー、スキャナ、測り器、温度計、複合機、サーバ等が挙げられる。入力情報としては、コードリーダーにより読み取られた2次元バーコードや、スキャナで読み取られた画像情報、測り器により計測された被測定対象物の重さ、温度計により計測された温度、ネットワークNを介して取得する情報等が挙げられる。
【0013】
バーコードプリンタ20は、これら入力情報を取得した場合、予め記憶するフォーマットデータに入力情報を反映させることにより、ラベルに画像を形成する。本実施形態に係るバーコードプリンタ20は、画像形成装置10からフォーマットデータを含むラベルデータを取得し、当該ラベルデータに基づいて、ラベルシート上のラベルに対して画像を形成する。本実施形態に係るラベルデータについての詳細は後述する。
【0014】
また、本実施形態においては、画像形成装置10は、ネットワークNを介して外部装置としてのクラウドサーバであるサーバ30にデータ通信可能に接続されている。サーバ30はクラウドサーバであってもよい。画像形成装置10は、ネットワークNを介して生成したラベルデータを送信することができる。
【0015】
(ハードウェア構成)
次に、画像形成装置10及びバーコードプリンタ20のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示されるように、画像形成装置10は、MPU(Micro Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、通信IF(InterFace)14、スキャナ15、プリンタ16、画像データベース17を備える。
【0017】
MPU11は、不揮発性の記憶領域であるROM12から読み出したBIOS(Basic Input/Output System)、OS(Operating System)、汎用アプリケーションや、後述する画像形成処理(画像形成方法)を実行するためのプログラム等の各種プログラムを、揮発性の記憶領域であるRAM13上に展開することで実行する。通信IF14は、バーコードプリンタ20や、ネットワークNを介したサーバ30との通信に利用される。
【0018】
スキャナ15は、ガラス板等の原稿台に載置されたラベルに対して発光体により光を照射し、原稿面からの反射光を受光して電子データに変換することにより、当該ラベルを画像(例えばRGB画像)として取り込む。プリンタ16は、電子写真方式や、インクジェット方式、熱転写方式等により記録媒体としてのシート上に画像を形成する。当該画像としては、スキャナ15により取り込んだ画像や、外部装置から取得されたデータ等が挙げられる。画像データベース17は、スキャナ15により取り込まれた画像データの他、後述する画像形成処理により生成したラベルデータを記憶する。
【0019】
図3は、本実施形態に係るバーコードプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0020】
図3に示されるように、バーコードプリンタ20は、MPU21、ROM22、RAM23、通信IF24、プリンタハードウェア25、ラベルデータベース26を備える。
【0021】
MPU21は、不揮発性の記憶領域であるROM22から読み出したBIOS、OS、汎用アプリケーション等の各種プログラムを、揮発性の記憶領域であるRAM23上に展開することで実行する。通信IF24は、画像形成装置10との通信に利用される。
【0022】
プリンタハードウェア25は、ラベルシートに対して印刷を行うハードウェアであり、例えばプラテンローラを駆動するプラテンモータ、発熱素子を有する印字ヘッド、ラベルシートを切断するカッタユニット等を含む。プリンタハードウェア25は、MPU21により制御される。ラベルデータベース26は、画像形成装置10から取得したラベルデータを記憶する。
【0023】
(機能構成)
次に、画像形成装置10の機能構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
図4に示されるように、画像形成装置10は、画像取得部101と、画像処理部102と、領域判定部103と、領域決定部104と、データ生成部105と、送信部106とを機能として備える。これら機能は、上述した画像形成装置10のハードウェアが協働することにより実現される。
【0025】
画像取得部101は、スキャナ15を用いてラベルの画像であるラベル画像(原稿画像)を取得し、画像データベース17に保存する。画像処理部102は、ラベル画像の傾き補正や色変換、フィルタ処理等の所定の画像処理を行う。領域判定部103は、ラベル画像内にマーク領域があるか否か、可変オブジェクトが文字列であるか否かを判定する。マーク領域については後述する。
【0026】
領域決定部104は、ラベル画像内にある可変領域を決定すると共に、ラベル画像内にある固定領域を決定する。可変領域、固定領域については後述する。データ生成部105は、決定された可変領域及び固定領域に基づいて、ラベルデータを生成する。送信部106は、データ生成部105により生成されたラベルデータをバーコードプリンタ20やサーバ30等に送信する。
【0027】
次に、バーコードプリンタ20の機能構成について説明する。
図5は、本実施形態に係るバーコードプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【0028】
図5に示されるように、バーコードプリンタ20は、データ取得部201と、データ判定部202と、ラベル印刷部203とを機能として備える。これら機能は、上述したバーコードプリンタ20のハードウェアが協働することにより実現される。
【0029】
データ取得部201は、画像形成装置10から生成されたラベルデータを取得し、ラベルデータベース26に保存する。データ判定部202は、データ取得部201により取得されたデータが、ラベルデータであるのか、入力装置からの入力情報であるのか等を判定する。ラベル印刷部203は、入力情報及び/又はラベルデータベース26に記憶されているラベルデータに基づいて、ラベルの印刷を行う。
【0030】
(ラベルデータ)
次に、ラベルデータについて詳細に説明する。
図6は、可変オブジェクトが含まれていないラベルを示す図である。
図7は、
図6に示されるラベルのラベルデータを示す図である。
【0031】
図6に示されるように、本実施形態に係るラベルLAには、多数の固定オブジェクト411,412が描かれている。固定オブジェクト411は、横方向に延在する枠線として描かれている。固定オブジェクト412は、それぞれName、Address、Phone等の文字として描かれている。これら固定オブジェクト411,412が示される領域が、ラベルLAの基本的なフォーマット(ラベルフォーマット)を示す固定領域となる。なお、ここで説明する固定オブジェクト411,412は一例であり、数字、単語、文章、記号等の様々な文字や枠線が固定オブジェクトとなり得る。
【0032】
また、符号421~423で示される領域は、可変オブジェクトが描かれる可変領域である。可変オブジェクトは、数字、単語、文章、記号等の文字や、縞模様状バーコード、2次元コードといった画像コード等含む図形等、ラベルの貼着対象に応じて適宜入力、変更されるものである。換言すれば、可変オブジェクト421~423は外部の入力装置からの入力情報であり、可変領域は入力情報が入力される領域と言える。
【0033】
本実施形態におけるラベルデータは、
図6に示されるラベルLAを、
図7に示される文字列データに変換したものである。具体的には、パラメータの集合であり、ラベルLA内の位置と内容(文字や図形等)とを示す印刷コマンドとして変換される。印刷コマンドに変換されたデータがラベルデータとなる。
図7に示されるハッチング部は、それぞれの可変オブジェクトが入力される部分、つまり各印刷コマンドに対応する可変領域を示している。ここでは、ハッチング部は当然空欄である。
図7に示される例では、上から3行目の印刷コマンドには、可変オブジェクト421が入力される。また、上から5~7行目の印刷コマンドには、それぞれ対応する可変オブジェクト422が入力される。上から8行目の印刷コマンドには、可変オブジェクト423が入力される。
【0034】
なお、可変オブジェクトには、入力情報に応じて自動的にデータが割り当てられるものと、ユーザによりPC等の装置を用いて手動でデータが割り当てられるものとがある。例えば、自動的にデータが割り当てられる可変オブジェクトを含むラベルデータが生成され、バーコードプリンタ20のラベルデータベース26に記憶されているとする。この状態で、バーコードリーダにより読み取られ、送信された入力情報を取得した場合、入力情報に含まれる対応する情報が、自動的にデータが割り当てられる可変オブジェクトに人手を介することなく割り当てられる。
図7に示されるラベルデータでは、可変オブジェクト421,423が、入力装置からの入力情報が自動的に割り当てられるものであり、可変オブジェクト422がユーザにより入力されるものである。
【0035】
これらのオブジェクトの差は、入力情報の自動割り当てが予め設定されているか否かにより生じる。具体的には、ラベルデータが生成された後、当該ラベルデータを編集することで、入力情報の自動割り当てを設定することができる。例えば、ラベルデータを使用する入力装置の選定(ラベルデータと入力装置との対応付け)、ラベルデータのどの可変領域に、入力情報に含まれるどの情報を自動割り当てするか等が設定される。この編集は、画像形成装置10またはバーコードプリンタ20のユーザにより別途行われる。
【0036】
図8は、可変オブジェクトが含まれるラベルを示す図である。
図9は、
図8に示されるラベルのラベルデータを示す図である。
【0037】
図8に示されるように、ラベルLAに可変オブジェクト421~423が含まれている場合、
図9に示されるラベルデータには、各印刷コマンドに対応して可変オブジェクト421~423が入力される。バーコードプリンタ20は、この可変オブジェクト421~423が入力された状態のラベルデータに基づくことにより、
図8に示されるラベルLAを作製することができる。
【0038】
(画像形成処理)
次に、画像形成装置10による画像形成処理について詳細に説明する。
図10は、本実施形態に係る画像形成処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る画像形成処理は、画像形成装置10のスキャナ15が有する原稿台にラベルがセットされ、画像のスキャンが実行されたことをトリガとして実行される。なお、通常のスキャンとは異なるよう、「スキャン実行」のボタンの他に、画像形成処理が実行される「ラベル作成スキャン実行」のボタンを、画像形成装置10の不図示のディスプレイに選択可能に表示することが好ましい。
【0039】
先ず、画像形成処理に先立ってユーザは、ラベルデータとしたいラベルに対し、可変領域として画像形成装置10に認識させたい箇所にマークを記入する。本実施形態でのマークは、手書きのマーカー線であり、当該マーカー線により可変領域としたい箇所を囲う。例えば、
図11に示されるラベルLBがラベルデータとしたいラベルであるとすると、
図12に示されるように、ユーザは可変領域として画像形成装置10に認識させたい箇所をマーカー線で囲うことでマーク領域Mを記入する。この時、マーカー線は赤色等、ラベル内の枠線等の線とは異なる有彩色を有することが好ましい。当該有彩色を有することにより、マーカー線で囲われたマーク領域Mが可変領域であることを画像形成装置10は容易に判定することが可能となる。
【0040】
マークが記入された状態において、ラベルLBのスキャンが実行されると、画像取得部101はラベルLBのラベル画像を取得し(S101)、画像データベース17に保存する(S102)。画像保存後、画像処理部102は、ラベル画像に対して、上述した所定の画像処理を行い(S103)、ラベル画像を補正する。画像処理後、領域判定部103は、補正されたラベル画像内にマーク領域Mが含まれるか否かを判定する(S104)。本実施形態においては、この判定は上述したように所定の有彩色を有するマーカー線により囲われた領域があるか否かによりなされる。例えば、領域判定部103は、ラベル画像における画素ごとの|R-G|や|G-B|の値が閾値以上であるか否かを判定することによりラベル画像における有彩色を判定する。なお、L*a*b*の空間に変換し、予め設定した有彩色の領域に含まれる場合を所定の有彩色と判定するようにしてもよい。補正されたラベル画像内にマーク領域Mが含まれると判定された場合(S104,YES)、領域決定部104は、マーク領域Mの抽出を行う(S105)。
【0041】
具体的には、領域決定部104は、マーク領域Mを形成するマーカー線の外側の輪郭に基づく領域(最外郭の領域)を検出する。例えば、領域決定部104は、マーク領域Mの輪郭線に沿って領域を検出する。検出後、領域決定部104は、検出された領域をマーク領域Mとして抽出する。これにより、領域決定部104は、ユーザがマーカー線で囲った領域を過不足なく検出でき、ユーザが意図に沿った領域の画像を抽出することができる。
【0042】
なお、意図せずに枠線がマーク領域M内に含まれてしまう可能性がある。そのため、直線状のドットの集合の一部がマーク領域M内に含まれ且つマーク領域M外に延在している場合、延在部分の長さ(ドット数)が所定の閾値を超えるか否かを判定するようにしてもよい。延在部分の長さ(ドット数)が所定の閾値を超える場合、当該一部は固定オブジェクトとして判定され、矩形領域から除外される。所定の閾値は、縞模様状のバーコードが矩形領域から除外されない値に設定することが好ましい。
【0043】
マーク領域Mの抽出後、領域決定部104は、抽出されたマーク領域M内のオブジェクト(可変オブジェクト)に基づいて、矩形領域を切り出す(S106)。矩形領域の切り出しは、既存の手法を用いればよい。その他、所定の白画素(背景色の画素)数以下の間隔を有する黒画素の集合を文字列として認識し、その文字列や図形の最外郭を矩形領域とする等してもよい。
【0044】
なお、1つのマーク領域M内に意図しない複数の矩形領域が切り出される可能性がある。意図しない複数の矩形領域が切り出されることを回避するため、隣接する2つの矩形領域の間に介在するドット数の閾値を予め設定することが好ましい。例えば、2つの矩形領域間に介在するドットの数が閾値未満である場合、これら2つの矩形領域は意図せず分割された矩形領域であると判定され、1つの矩形領域とされる。
【0045】
矩形領域の切り出し後、領域決定部104は、切り出された矩形領域を画像解析し(S107)、解析された矩形領域を可変領域と決定する(S108)。なお、画像解析により、少なくとも矩形領域のラベル画像における位置(座標位置)が得られる。また、画像解析により、個々の矩形領域を形成する可変オブジェクトが文字列であるのか否か、図形であるのか否か、画像コードであるのか否かが識別される。このような画像解析は、既存の画像解析処理を用いればよく、詳細な説明は割愛する。解析結果は、領域決定部104により、画像データベース17においてラベル画像と対応付けて保存されることが好ましい。
図13には、決定された可変領域が示されている。
【0046】
可変領域の決定後、領域判定部103は、解析結果から、可変領域の可変オブジェクトが文字列であるか否かを判定する(S109)。可変オブジェクトが文字列であると判定された場合(S109,YES)、画像処理部102は、OCR(Optical Character Recognition)等の既存の文字認識処理行い、文字列を認識する(S110)。
【0047】
文字列の認識後、領域決定部104は、補正されたラベル画像からマーク領域M以外、換言すれば可変領域以外の領域を抽出する(S111)。抽出後、領域決定部104は、抽出された領域内のオブジェクト(固定オブジェクト)に基づいて、矩形領域を切り出す(S112)。矩形領域の切り出し方法は、可変領域に関する矩形領域の切り出し方法と同様でよい。矩形領域の切り出し後、領域決定部104は、切り出された矩形領域を画像解析し(S113)、解析された矩形領域を固定領域と決定する(S114)。
図14には、決定された固定領域が示されている。画像解析の方法は、可変領域に関する矩形領域の解析方法と同様でよい。
【0048】
固定領域決定後、データ生成部105は、決定された可変領域及び固定領域に基づいて、ラベルデータを生成する(S115)。ここで生成されるラベルデータは、上述したように可変領域、固定領域の座標を含む印刷コマンドとして生成される。例えば、保存された各解析結果、特に座標から、各固定領域に対して、それぞれ対応する可変領域が割り当てられる。なお、ここでのラベルデータは、所謂フォーマットデータであるため、
図7に示されるように可変領域には可変オブジェクトは含まれない。したがって、可変オブジェクトが文字列であるか否かの判定を行うステップS109や、OCR等の文字認識を行うステップS110は省略するようにしてもよい。また、別途可変オブジェクトが含まれるラベルデータを生成するようにしてもよい。
【0049】
ラベルデータ生成後、送信部106は、予め設定されているプリンタ、ここではバーコードプリンタ20にラベルデータを送信し(S117)。本処理は終了となる。一方、ステップS109において、可変オブジェクトが文字列でないと判定された場合(S109,NO)、ステップS111の処理へ移行する。また、ステップS104において、補正されたラベル画像内にマーク領域Mが含まれないと判定された場合(S104,NO)、同じくステップS111の処理へ移行する。この場合、ラベルデータには可変領域が含まれないため、画像形成装置10がユーザに対してエラーを報知してもよく、可変領域が含まれないラベルデータを生成するようにしてもよい。
【0050】
ラベルデータが送信されたバーコードプリンタ20の動作を簡単に説明する。
図15は、本実施形態に係るバーコードプリンタ20の動作を示すフローチャートである。この処理は、画像形成装置10や入力装置からデータを取得したことをトリガとして実行される。
【0051】
先ず、データ判定部202は、データ取得部201により所定のデータが取得されたか否かを判定する(S201)。所定のデータとは、ラベルデータまたは入力装置から送信される入力情報である。所定のデータが取得されない場合(S201,NO)、データ判定部202は所定時間経過後に再度、データ取得部201により所定のデータが取得されたか否かを判定する。
【0052】
一方、所定のデータが取得された場合(S201,YES)、データ判定部202は、取得された所定のデータがラベルデータであるか否かを判定する(S202)。取得された所定のデータがラベルデータである場合(S202,YES)、データ判定部202は、取得されたラベルデータをラベルデータベース26に保存する(S203)。保存後、ステップS201の判定処理へ移行する。
【0053】
一方、取得されたデータがラベルデータでない場合(S202,NO)、データ判定部202は、取得されたデータが入力装置からの入力情報であると判定する(S204)。次に、ラベル印刷部203は、入力情報に示される入力装置に対応するラベルデータをラベルデータベース26から読み出す(S205)。読み出し後、ラベル印刷部203は、読み出したラベルデータに対して適宜入力情報を反映(割り当て)して、ラベルを印刷し(S206)、本処理は終了となる。ここでの入力情報のラベルデータへの反映は、バーコードプリンタ20のユーザが行ってもよく、事前のラベルデータの編集により自動割り当てが設定され、これに基づいてなされてもよい。
【0054】
ラベルデータの編集について簡単に説明する。バーコードプリンタ20に送信され、ラベルデータベース26に保存されたラベルデータは、ユーザによりバーコードプリンタ20上またはバーコードプリンタ20内のラベルデータにアクセス可能なPC等の装置により適宜編集される。当該編集としては、例えば、ラベルデータを使用する入力装置の選定(ラベルデータと入力装置との対応付け)が挙げられる。また、当該編集としては、例えば、ラベルデータのどの可変領域に、入力情報に含まれるどの情報を自動割り当てするか等の定義付け、文字や図形の追加等が挙げられる。
【0055】
このようなラベルデータの編集は、画像形成装置10のユーザによりラベルデータの送信前に行われてもよい。例えば、ラベルデータの生成後、自動でのバーコードプリンタ20へのラベルデータの送信を行わずに画像形成処理を終了させる。終了後、画像形成装置10内のラベルデータを、ユーザが画像形成装置10を操作して編集、またはラベルデータにアクセス可能なPC等の装置を操作して編集する。編集後、ユーザが手動にて編集されたラベルデータをバーコードプリンタ20やサーバ30へ送信する。
【0056】
以上に説明した本実施形態によれば、既に印刷済みのラベルからラベルデータを容易に生成することが可能となる。この時、ラベルデータには可変領域と固定領域とを区別して含めることができる。したがって、ユーザはラベルデータの編集も容易となる。また、画像形成装置10とバーコードプリンタ20とが連携して生成したラベルデータを自動でバーコードプリンタ20へ送信することができる。
【0057】
なお、以上に説明した本実施形態では、領域判定部103は、所定の有彩色の線で囲われた領域をマーク領域Mであると判定すると説明した。しかしながら、色の判定を行わず、所定の楕円形状の線で囲われた領域をマーク領域Mと判定するようにしてもよい。
【0058】
また、ラベルデータにおける可変領域への入力情報の自動割り当ては、編集を行わず、予め所定の情報が自動割り当てされるようラベルデータに追記、またはバーコードプリンタ20に設定されていてもよい。例えば、画像形成装置10の領域判定部103が、解析結果から可変オブジェクトの属性(例えば日付)が自動割り当ての対象であるか否かを判定する。属性が自動割り当ての対象であると判定された場合、データ生成部105が、当該可変オブジェクトが入力情報に含まれる同属性の情報(例えば日付)により自動的に書き換わる等の設定がラベルデータに組み込まれる。または、当該設定の情報がラベルデータと共にバーコードプリンタ20へ送信されてもよい。なお、可変オブジェクトの属性に応じて、自動割り当てを行うか否かを判定すると例示したが、所定の印刷コマンドに関連する可変領域に対して、自動割り当てが設定されるようにしてもよい。また、マーカー線としての線の色を異ならせる、及び/又は、線で囲うものと、マーカーで塗りつぶすものとでマーク領域Mを異ならせる等して、自動割り当てを設定すべき可変オブジェクトを区別してもよい。
【0059】
なお、本実施形態においてはバーコードプリンタ20が画像形成システム1に組み込まれているが、画像形成装置10からラベルデータを取得し、これに基づいてラベルを印刷可能なプリンタであればどのようなプリンタであっても良い。また、本実施形態においてバーコードプリンタ20は、所謂バーコードラベルプリンタとして説明した。しかしながら、画像形成装置10により生成されたラベルデータ(原稿データ)を取得し、これに基づいて印刷可能なものであれば、どのようなプリンタであってもよい。例えば、レシートプリンタや、画像形成装置10と同様の複合機であってもよい。また、バーコードプリンタ20は、ネットワークNを介してラベルデータを取得するようにしてもよい。
【0060】
発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10 画像形成装置
20 バーコードプリンタ(外部装置)
30 サーバ(外部装置)
101 画像取得部
103 領域判定部
104 領域決定部(第1領域決定部、第2領域決定部)
105 データ生成部
106 送信部
M マーク領域