(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008880
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 201A
H01G4/30 201C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111476
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】馬場 孝彰
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC01
5E001AC03
5E001AE01
5E001AE02
5E082AB03
5E082EE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生産性に優れた積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】積層セラミックコンデンサ1において、内部電極層30は、M個の集合Gに分かれ独立し、N枚が積層方向Tに連続し(M、Nは2以上の自然数)、積層体10の、長さ方向Lの中央部断面で、m番目(mは1以上M-1以下の自然数)の集合G及びm+1番目は、n番目(nは1以上N-1以下の自然数)の内部電極層と、n+1番目の幅方向Wのずれ量がα1以内で、かつ、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gの間で、積層方向Tに隣り合う幅方向Wのずれ量をβ1としたとき、α1<β1を満たす。また、m番目の集合G及びm+1番目は、同一の外部電極に接続する内部電極層同士と、接続しない端部の長さ方向のずれ量が、m番目の集合Gとm+1番目との間で、同一の外部電極に接続する最も近接した内部電極層同士の、外部電極と接続ない端部の長さ方向のずれ量より小さい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層される複数の誘電体層及び複数の内部電極層を含むとともに、前記積層方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、前記積層方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、前記積層方向及び前記幅方向に直交する長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、を有する積層体と、
前記積層体の前記第1の端面及び前記第2の端面のそれぞれを覆うように配置され、前記内部電極層に接続される一対の外部電極と、を備え、
前記複数の内部電極層は、M個(Mは2以上の自然数)の集合に分かれており、
前記M個の集合は、それぞれ独立して、N枚(Nは2以上の自然数)の前記内部電極層を前記積層方向に連続して含み、
1番目からM番目までの前記集合に含まれる前記内部電極層の枚数の合計は1000枚以上であり、
前記誘電体層の厚みは0.8μm以上であり、
前記積層体における、前記長さ方向の中央部での前記幅方向及び前記積層方向を含む断面を見たとき、
少なくとも1組のm番目(mは1以上M-1以下の自然数)の前記集合及びm+1番目の前記集合においては、n番目(nは1以上N-1以下の自然数)の前記内部電極層とn+1番目の内部電極層との前記幅方向のずれ量がα1以内であり、かつ、
前記m番目の前記集合と前記m+1番目の前記集合との間で、前記積層方向に隣り合う前記内部電極層の前記幅方向のずれ量をβ1としたとき、α1<β1を満たし、
前記積層体における、前記幅方向の中央部での前記長さ方向及び前記積層方向を含む断面を見たとき、
前記m番目の前記集合及び前記m+1番目の前記集合においては、同一の前記外部電極に接続する前記内部電極層同士の、前記外部電極と接続していない端部の前記長さ方向のずれ量がα2以内であり、かつ、
前記m番目の前記集合と前記m+1番目の前記集合との間で、同一の前記外部電極に接続する最も近接した前記内部電極層同士の、前記外部電極と接続していない端部の前記長さ方向のずれ量をβ2としたとき、α2<β2を満たす、
積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記m番目の前記集合において、前記内部電極層の前記幅方向の端部及び前記長さ方向の端部のうち少なくとも一方の端部が、前記積層方向の同一の方向に湾曲している、
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
さらに、前記m+1番目の前記集合において、前記内部電極層の前記幅方向の端部及び前記長さ方向の端部のうち少なくとも一方の端部が、前記積層方向の同一の方向に湾曲しており、
前記m番目の前記集合と前記m+1番目の前記集合との間では、前記内部電極層の端部が湾曲している方向が同じである、
請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
さらに、前記m+1番目の前記集合において、前記内部電極層の前記幅方向の端部及び前記長さ方向の端部のうち少なくとも一方の端部が、前記積層方向の同一の方向に湾曲しており、
前記m番目の前記集合と前記m+1番目の前記集合との間では、前記内部電極層の端部が湾曲している方向が異なる、
請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記m番目の前記集合における前記内部電極層同士の距離をt1とし、前記m番目の前記集合と前記m+1番目の前記集合との間における前記内部電極層同士の距離をt2としたとき、t1<t2を満たす、
請求項1~4のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項6】
前記m番目の前記集合に含まれる前記内部電極層の枚数をN1とし、前記m+1番目の前記集合に含まれる前記内部電極層の枚数をN2としたとき、N1とN2が異なる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項7】
前記積層体における、前記幅方向の中央部での前記長さ方向及び前記積層方向を含む断面を見たとき、前記m番目の前記集合と前記m+1番目の前記集合との間で最も近接する前記内部電極層は、同一の前記外部電極に接続している、
請求項1~4のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の誘電体層及び複数の内部電極層が積層方向に積層された積層体と、積層体の長さ方向の両端部に配置されて内部電極層に接続された一対の外部電極を備える積層セラミックコンデンサが知られている。
【0003】
特許文献1には、セラミックを主成分とする誘電体層と、内部電極層と、が交互に積層され、積層された複数の上記内部電極層が交互に対向する2端面に露出するように形成され、略直方体形状を有する積層チップと、上記2端面に形成された外部電極と、を備え、上記外部電極は、下地層上にめっき層が形成された構造を有し、上記下地層の表面の少なくとも一部は、ボトムからピークまでの高さが0.4μm以上となる領域において、局部山頂の平均間隔が0.5μm以下となる領域を含むことを特徴とする積層セラミックコンデンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、積層セラミックコンデンサの大容量化が進み、多数の内部電極層が積層された構造となっている。特許文献1には、実施例において、内部電極形成用導電ペーストを印刷した誘電体グリーンシートを1000枚重ね、その上下に、誘電体グリーンシートと同じ主成分の材料のカバーシートをそれぞれ積層することが記載されている。
【0006】
しかしながら、一度に1000枚以上の誘電体グリーンシートを積層する方法では、どこか1箇所でも不具合が生じていると、新たに1000枚以上の誘電体グリーンシートを積層する必要がある。そのため、積層セラミックコンデンサの生産性が著しく低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、生産性に優れた積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層セラミックコンデンサは、積層方向に積層される複数の誘電体層及び複数の内部電極層を含むとともに、上記積層方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、上記積層方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、上記積層方向及び上記幅方向に直交する長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、を有する積層体と、上記積層体の上記第1の端面及び上記第2の端面のそれぞれを覆うように配置され、上記内部電極層に接続される一対の外部電極と、を備える。上記複数の内部電極層は、M個(Mは2以上の自然数)の集合に分かれている。上記M個の集合は、それぞれ独立して、N枚(Nは2以上の自然数)の上記内部電極層を上記積層方向に連続して含む。1番目からM番目までの上記集合に含まれる上記内部電極層の枚数の合計は1000枚以上である。上記誘電体層の厚みは0.8μm以上である。上記積層体における、上記長さ方向の中央部での上記幅方向及び上記積層方向を含む断面を見たとき、少なくとも1組のm番目(mは1以上M-1以下の自然数)の上記集合及びm+1番目の上記集合においては、n番目(nは1以上N-1以下の自然数)の上記内部電極層とn+1番目の内部電極層との上記幅方向のずれ量がα1以内であり、かつ、上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間で、上記積層方向に隣り合う上記内部電極層の上記幅方向のずれ量をβ1としたとき、α1<β1を満たす。上記積層体における、上記幅方向の中央部での上記長さ方向及び上記積層方向を含む断面を見たとき、上記m番目の上記集合及び上記m+1番目の上記集合においては、同一の上記外部電極に接続する上記内部電極層同士の、上記外部電極と接続していない端部の上記長さ方向のずれ量がα2以内であり、かつ、上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間で、同一の上記外部電極に接続する最も近接した上記内部電極層同士の、上記外部電極と接続していない端部の上記長さ方向のずれ量をβ2としたとき、α2<β2を満たす。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生産性に優れた積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す積層セラミックコンデンサのII-II線に沿った幅方向W及び積層方向Tを含むWT断面図の一例である。
【
図3】
図3は、
図1に示す積層セラミックコンデンサのIII-III線に沿った長さ方向L及び積層方向Tを含むLT断面図の一例である。
【
図4】
図4は、内部電極層の幅方向の端部が湾曲している状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、内部電極層の長さ方向の端部が湾曲している状態の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の積層セラミックコンデンサについて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。また、以下の実施形態において記載する個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
本明細書において、要素間の関係性を示す用語(例えば「垂直」、「平行」、「直交」等)及び要素の形状を示す用語は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0013】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。特に、内部電極層の枚数は実際の製品を反映していない。図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。
【0015】
図1に示す積層セラミックコンデンサ1は、積層体10と、一対の外部電極11及び12と、を備える。積層セラミックコンデンサ1及び積層体10において、長さ方向、幅方向及び積層方向をそれぞれ両矢印L、W及びTで定める方向とする。
【0016】
(積層体)
積層体10は、積層方向Tにおいて相対する第1の主面10a及び第2の主面10bと、積層方向Tに直交する幅方向Wにおいて相対する第1の側面10c及び第2の側面10dと、積層方向T及び幅方向Wに直交する長さ方向Lにおいて相対する第1の端面10e及び第2の端面10fと、を有する。積層体10は、例えば、直方体状である。
【0017】
積層体10の角部及び稜線部の少なくとも一方には丸みが付けられていてもよい。ここで、角部は、積層体10の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体10の2面が交わる部分である。
【0018】
図2は、
図1に示す積層セラミックコンデンサのII-II線に沿った幅方向W及び積層方向Tを含むWT断面図の一例である。
図3は、
図1に示す積層セラミックコンデンサのIII-III線に沿った長さ方向L及び積層方向Tを含むLT断面図の一例である。
【0019】
積層体10は、積層方向Tに積層される複数の誘電体層20及び複数の内部電極層30を含む。
【0020】
誘電体層20の枚数は、1000枚以上である。
【0021】
誘電体層20を構成する誘電体材料としては、例えば、BaTiO3、SrTiO3等の成分を主成分として含む誘電体セラミックが用いられる。また、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物等の、主成分よりも含有量の少ない成分が添加されていてもよい。
【0022】
内部電極層30間の誘電体層20の厚みは、例えば、0.8μm以上である。一方、内部電極層30間の誘電体層20の厚みは、例えば、1.2μm以下である。
【0023】
積層方向Tに積層される複数の誘電体層20及び複数の内部電極層30の外側には、誘電体層20のみが積層されてなる外層部25が設けられていてもよい。外層部25は、積層体10の両主面側に位置し、主面と最も主面に近い内部電極層30との間に位置する誘電体層である。一方、両方の外層部25に挟まれた領域を内層部ともいうことができる。
【0024】
外層部25の厚みは、30μm以上、200μm以下であることが好ましい。
【0025】
複数の内部電極層30は、
図3に示すように、第1の内部電極層31及び第2の内部電極層32を含む。
【0026】
第1の内部電極層31は、誘電体層20を介して第2の内部電極層32に対向する第1の対向電極部31aと、第1の対向電極部31aから積層体10の第1の端面10eまで引き出される第1の引出電極部31bと、を有する。
【0027】
第2の内部電極層32は、誘電体層20を介して第1の内部電極層31に対向する第2の対向電極部32aと、第2の対向電極部32aから積層体10の第2の端面10fまで引き出される第2の引出電極部32bと、を有する。
【0028】
積層体10においては、第1の対向電極部31a及び第2の対向電極部32aの幅方向Wの一端と第1の側面10cとの間、並びに、第1の対向電極部31a及び第2の対向電極部32aの幅方向Wの他端と第2の側面10dとの間にWギャップが形成される。さらに、積層体10においては、第1の内部電極層31の第1の引出電極部31bとは反対側の端部と第2の端面10fとの間、並びに、第2の内部電極層32の第2の引出電極部32bとは反対側の端部と第1の端面10eとの間にLギャップが形成される。
【0029】
積層体10のWギャップの幅方向Wの寸法は、30μm以上、100μm以下であることが好ましい。
【0030】
積層体10のLギャップの長さ方向Lの寸法は、30μm以上、100μm以下であることが好ましい。
【0031】
本実施形態において、各対向電極部では、内部電極層30が誘電体層20を介して対向することにより容量が形成されている。これにより、積層セラミックコンデンサ1はコンデンサとして機能する。
【0032】
図2及び
図3に示すように、複数の内部電極層30は、M個(Mは2以上の自然数)の集合Gに分かれている。
図2及び
図3に示す例では、複数の内部電極層30が5個の集合Gに分けられている。
【0033】
集合Gの個数Mは、3以上、4以上、5以上又は10以上等であってもよい。一方、集合Gの個数Mは、例えば、100以下、50以下、40以下、30以下、25以下、20以下又は15以下等であってもよい。
【0034】
M個の集合Gは、それぞれ独立して、N枚(Nは2以上の自然数)の内部電極層30を積層方向Tに連続して含む。
図2及び
図3に示す例では、5個の集合Gは、3枚又は2枚の内部電極層30を積層方向Tに連続して含む。
【0035】
1番目からM番目までの集合Gに含まれる内部電極層30の枚数の合計は1000枚以上である。一方、1番目からM番目までの集合Gに含まれる内部電極層30の枚数の合計は、例えば、10000枚以下、5000枚以下、4500枚以下、4000枚以下、3500枚以下、3000枚以下、2500枚以下又は2000枚以下等であってもよい。
【0036】
それぞれの集合Gには、100枚以上の内部電極層30が含まれていることが好ましい。すなわち、各集合Gに含まれる内部電極層30の枚数Nは100以上であることが好ましい。一方、各集合Gに含まれる内部電極層30の枚数Nは、例えば、500以下、400以下、300以下、250以下、200以下又は150以下等であってもよい。
【0037】
図2に示すように、積層体10における、長さ方向Lの中央部での幅方向W及び積層方向Tを含む断面(すなわちWT断面)を見たとき、少なくとも1組のm番目(mは1以上M-1以下の自然数)の集合G及びm+1番目の集合Gにおいては、n番目(nは1以上N-1以下の自然数)の内部電極層30とn+1番目の内部電極層30との幅方向Wのずれ量がα1以内であり、かつ、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gとの間で、積層方向Tに隣り合う内部電極層30の幅方向Wのずれ量をβ1としたとき、α1<β1を満たす。
【0038】
M個の集合においては、少なくとも1組の集合G間で上記の関係を満たせばよい。そのため、上記の関係を満たさない集合Gの組が存在してもよいが、全ての集合G間で上記の関係を満たすことが好ましい。以下においても同様である。
【0039】
本実施形態においては、予めm番目とm+1番目の積層ブロックを作製しておき、それらを後から圧着させる。それぞれの積層ブロックの最上層と最下層には、ハンドリングしやすいように、内部電極パターンが印刷されている誘電体シートよりも厚い誘電体シートを積層しておくことが好ましい。このような方法で積層セラミックコンデンサ1を作製することにより、例えばm番目の積層ブロックに欠陥が生じた場合には、m番目の積層ブロックだけを積層し直せばよいため、積層セラミックコンデンサ1の生産性が向上する。
【0040】
内部電極層30の幅方向Wのずれ量α1は、例えば、0μm以上、20μm以下である。異なる集合G間では、内部電極層30の幅方向Wのずれ量α1が同じでもよく、異なってもよい。
【0041】
内部電極層30の幅方向Wのずれ量β1は、例えば、100μm以上、500μm以下である。異なる集合G間では、内部電極層30の幅方向Wのずれ量β1が同じでもよく、異なってもよい。
【0042】
さらに、
図3に示すように、積層体10における、幅方向Wの中央部での長さ方向L及び積層方向Tを含む断面(すなわちLT断面)を見たとき、m番目の集合G及びm+1番目の集合Gにおいては、同一の外部電極11又は12に接続する内部電極層30同士の、外部電極11又は12と接続していない端部の長さ方向Lのずれ量がα2以内であり、かつ、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gとの間で、同一の外部電極11又は12に接続する最も近接した内部電極層30同士の、外部電極11又は12と接続していない端部の長さ方向Lのずれ量をβ2としたとき、α2<β2を満たす。
【0043】
内部電極層30の長さ方向Lのずれ量α2は、例えば、0μm以上、20μm以下である。異なる集合G間では、内部電極層30の長さ方向Lのずれ量α2が同じでもよく、異なってもよい。内部電極層30の長さ方向Lのずれ量α2は、内部電極層30の幅方向Wのずれ量α1と同じでもよく、内部電極層30の幅方向Wのずれ量α1より小さくてもよく、内部電極層30の幅方向Wのずれ量α1より大きくてもよい。
【0044】
内部電極層30の長さ方向Lのずれ量β2は、例えば、100μm以上、500μm以下である。異なる集合G間では、内部電極層30の長さ方向Lのずれ量β2が同じでもよく、異なってもよい。内部電極層30の長さ方向Lのずれ量β2は、内部電極層30の幅方向Wのずれ量β1と同じでもよく、内部電極層30の幅方向Wのずれ量β1より小さくてもよく、内部電極層30の幅方向Wのずれ量β1より大きくてもよい。
【0045】
上記のとおり、それぞれの集合Gの最外層には、独立してハンドリング可能な程度の誘電体層20が配置されていることが好ましい。したがって、m番目の集合Gにおける内部電極層30同士の距離をt1とし、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gとの間における内部電極層30同士の距離をt2としたとき、t1<t2を満たすことが好ましい。
【0046】
集合G間の厚みを大きくしておくことで、集合G間で生じる圧電効果による積層方向Tの歪みを吸収することができるため、積層セラミックコンデンサ1の信頼性が向上する。
【0047】
内部電極層30同士の距離t1は、例えば、0.8μm以上、1.2μm以下である。異なる集合G間では、内部電極層30同士の距離t1が同じでもよく、異なってもよい。
【0048】
一方、内部電極層30同士の距離t2は、例えば、t1<t2を満たし、かつ、1.2μm以上、5μm以下である。例えば、t1=1.2μmである場合、t2>1.2μmであることが好ましい。異なる集合Gの組の間では、内部電極層30同士の距離t2が同じでもよく、異なってもよい。
【0049】
m番目の集合Gに含まれる内部電極層30の枚数をN1とし、m+1番目の集合Gに含まれる内部電極層30の枚数をN2としたとき、N1とN2が同じでもよく、N1とN2が異なってもよい。このように、各集合Gに含まれる内部電極層30の枚数は、全て同じでもよく、少なくとも一部が異なってもよい。
【0050】
積層体10における、幅方向Wの中央部での長さ方向L及び積層方向Tを含む断面を見たとき、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gとの間で最も近接する内部電極層30は、同一の外部電極11又は12に接続していることが好ましい。この場合、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gとの間で電歪が生じにくくなるため、積層セラミックコンデンサ1の信頼性がさらに向上する。
【0051】
m番目の集合Gにおいて、内部電極層30の幅方向Wの端部及び長さ方向Lの端部のうち少なくとも一方の端部が、積層方向Tの同一の方向に湾曲していてもよい。この場合、内部電極層30の端部が湾曲している方向が揃っているため、積層セラミックコンデンサ1の信頼性が向上する。
【0052】
内部電極層30の幅方向Wの端部が湾曲している場合、同一の内部電極層30において、幅方向Wの一方の端部が湾曲していてもよく、幅方向Wの両方の端部が湾曲していてもよい。両方の端部が湾曲している場合、どちらの端部も積層方向Tの同一の方向に湾曲していることが好ましい。同一の集合Gにおいて、幅方向Wの一方の端部が湾曲している内部電極層30と幅方向Wの両方の端部が湾曲している内部電極層30とが混在していてもよい。また、同一の集合Gにおいて、幅方向Wの端部が湾曲している内部電極層30と幅方向Wの端部が湾曲していない内部電極層30とが混在していてもよい。
【0053】
内部電極層30の長さ方向Lの端部が湾曲している場合、外部電極11又は12と接続していない端部が湾曲していればよい。その場合、外部電極11と接続していない端部のみが湾曲していてもよく、外部電極12と接続していない端部のみが湾曲していてもよく、両方の端部が湾曲していてもよい。両方の端部が湾曲している場合、どちらの端部も積層方向Tの同一の方向に湾曲していることが好ましい。同一の集合Gにおいて、長さ方向Lの端部が湾曲している内部電極層30と長さ方向Lの端部が湾曲していない内部電極層30とが混在していてもよい。
【0054】
図4は、内部電極層の幅方向の端部が湾曲している状態の一例を模式的に示す断面図である。
【0055】
図4に示す例では、内部電極層30の幅方向Wの端部が、積層方向Tの同一の方向(
図4では下方向)に湾曲している。
【0056】
図5は、内部電極層の長さ方向の端部が湾曲している状態の一例を模式的に示す断面図である。
【0057】
図5に示す例では、内部電極層30(例えば第1の内部電極層31)の長さ方向Lの端部が、積層方向Tの同一の方向(
図5では下方向)に湾曲している。
【0058】
図4及び
図5には示されていないが、さらに、m+1番目の集合Gにおいて、内部電極層30の幅方向Wの端部及び長さ方向Lの端部のうち少なくとも一方の端部が、積層方向Tの同一の方向に湾曲していてもよい。
【0059】
上記の場合、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gとの間では、内部電極層30の端部が湾曲している方向が同じであってもよい。例えば、m番目の積層ブロック及びm+1番目の積層ブロックの積層方向が同じであってもよい。
【0060】
あるいは、m番目の集合Gとm+1番目の集合Gとの間では、内部電極層30の端部が湾曲している方向が異なっていてもよい。例えば、m番目の積層ブロック及びm+1番目の積層ブロックの積層方向が異なっていてもよい。場合によっては、積層ブロックの積層方向を異ならせた方が積層ブロック全体のゆがみを低減させることができる。
【0061】
なお、1番目からM番目までの集合Gの間では、全ての集合Gにおいて内部電極層30の端部が湾曲している方向が同じであってもよく、少なくとも一部の集合Gにおいて内部電極層30の端部が湾曲している方向が異なっていてもよい。また、内部電極層30の端部が湾曲していない集合Gが含まれていてもよい。
【0062】
なお、各種のずれ量及び湾曲方向については、それぞれの断面が露出するように積層体10を研磨した後、光学顕微鏡を用いて観察、測定することができる。
【0063】
(外部電極)
一対の外部電極11及び12は、積層体10の第1の端面10e及び第2の端面10fのそれぞれを覆うように配置され、内部電極層30に接続されている。
【0064】
外部電極11は、積層体10の第1の端面10eを覆うように配置され、第1の内部電極層31に接続されている。外部電極11は、第1の端面10eから第1の主面10a、第2の主面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dまで延びていてもよい。
【0065】
外部電極12は、積層体10の第2の端面10fを覆うように配置され、第2の内部電極層32に接続されている。外部電極12は、第2の端面10fから第1の主面10a、第2の主面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dまで延びていてもよい。
【0066】
例えば、外部電極11及び12は、各々、下地電極層と、下地電極層上に配置されためっき層と、を含む。
【0067】
下地電極層は、例えば、焼き付け層、樹脂層、薄膜層等から選ばれる少なくとも1つの層を含む。
【0068】
焼き付け層は、例えば、ガラスと金属とを含む。
【0069】
焼き付け層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つの金属を含む。
【0070】
焼き付け層は、複数層であってもよい。
【0071】
焼き付け層は、ガラス及び金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けることで形成される層である。焼き付け層は、内部電極層との同時焼成により形成されてもよく、内部電極層を焼成した後に焼き付けることにより形成されてもよい。
【0072】
樹脂層は、例えば、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層を含んでもよい。樹脂層は、焼き付け層を形成することなく積層体上に直接形成されてもよい。
【0073】
樹脂層は、複数層であってもよい。
【0074】
薄膜層は、スパッタ法又は蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0075】
めっき層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つの金属を含む。
【0076】
めっき層は、複数層であってもよい。めっき層は、Niめっき層及びSnめっき層の2層構造を有することが好ましい。Niめっき層は、下地電極層が積層セラミックコンデンサを実装する際のはんだによって侵食されることを防止することができ、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサを実装する際のはんだの濡れ性を向上させ、容易に実装することができる。
【0077】
外部電極11及び12は、各々、積層体10上に直接設けられ、内部電極層30と直接接続されるめっき層を有してもよい。ただし、前処理として積層体10上に触媒が設けられてもよい。
【0078】
めっき層は、第1めっき層と、第1めっき層上に設けられた第2めっき層とを含むことが好ましい。
【0079】
第1めっき層及び第2めっき層は、例えば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、Bi及びZnからなる群から選ばれる1種の金属のめっき又は上記金属の少なくとも一種を含む合金のめっきを含むことが好ましい。
【0080】
例えば、内部電極層30としてNiが用いられる場合、第1めっき層としては、Niと接合性のよいCuが用いられることが好ましい。また、第2めっき層としては、はんだ濡れ性の良いSn又はAuが用いられることが好ましく、第1めっき層としては、はんだバリア性能を有するNiが用いられることが好ましい。
【0081】
第2めっき層は必要に応じて形成されるものであり、外部電極11及び12は、第1めっき層から構成されていてもよい。
【0082】
第2めっき層はめっき層の最外層として設けられてもよく、第2めっき層上に他のめっき層が設けられてもよい。
【0083】
めっき層はガラスを含まないことが好ましい。
【0084】
めっき層の単位体積あたりの金属割合は99体積%以上であることが好ましい。
【0085】
めっき層は、厚み方向に沿って粒成長したものであり、柱状であることが好ましい。
【0086】
(内部電極層)
内部電極層30は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等の金属を含有する。
【0087】
内部電極層30は、さらに、誘電体層20に含まれるセラミックスと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。
【0088】
内部電極層30の枚数は、1000枚以上であることが好ましい。
【0089】
内部電極層30の厚みは、0.8μm以上、1.2μm以下であることが好ましい。
【0090】
(積層セラミックコンデンサ)
積層体10と外部電極11及び12とを含む積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの寸法をL寸法と定義するとき、積層セラミックコンデンサ1のL寸法は、例えば、1.0mm以上、3.2mm以下である。
【0091】
積層体10と外部電極11及び12とを含む積層セラミックコンデンサ1の幅方向Wの寸法をW寸法と定義するとき、積層セラミックコンデンサ1のW寸法は、例えば、0.5mm以上、1.6mm以下である。
【0092】
積層体10と外部電極11及び12とを含む積層セラミックコンデンサ1の積層方向Tの寸法をT寸法と定義するとき、積層セラミックコンデンサ1のT寸法は、例えば、0.5mm以上、1.6mm以下である。
【0093】
積層セラミックコンデンサ1のL寸法は、積層セラミックコンデンサ1のW寸法又はT寸法と同じでもよく、積層セラミックコンデンサ1のW寸法又はT寸法より大きくてもよく、積層セラミックコンデンサ1のW寸法又はT寸法より小さくてもよい。積層セラミックコンデンサ1のW寸法は、積層セラミックコンデンサ1のT寸法と同じでもよく、積層セラミックコンデンサ1のT寸法より大きくてもよく、積層セラミックコンデンサ1のT寸法より小さくてもよい。
【0094】
通常、これらの寸法は公差を含まない数値であるが、本明細書においては、公差を含めた寸法も本発明の範囲内とする。
【0095】
複数の誘電体層20及び複数の内部電極層30の各々の厚みは、以下のように測定される。まず、研磨により露出させた積層体10のWT断面を走査型電子顕微鏡にて観察する。次に、積層体10のWT断面の中心を通る積層方向Tに沿った中心線、及びこの中心線から両側に等間隔に2本ずつ引いた線の合計5本の線上における厚みを測定する。この5つの測定値の平均値を各層の厚みとする。より正確な厚みを求めるには、積層方向Tにおける上部、中央部及び下部のそれぞれについて上記5つの測定値を求め、これらの測定値の平均値を各層の厚みとする。
【0096】
(積層セラミックコンデンサの製造方法)
本発明の積層セラミックコンデンサは、好ましくは、以下の方法により製造される。
【0097】
(1)誘電体シート及び内部電極用導電性ペーストを準備する。誘電体シート及び内部電極用導電性ペーストには、バインダ及び溶剤が含まれており、公知の有機バインダ及び有機溶剤を用いることができる。
【0098】
(2)誘電体シート上に、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷等の方法により所定のパターンで内部電極用導電性ペーストを印刷し、内部電極パターンを形成する。
【0099】
(3)内部電極パターンが印刷されていない外層用の誘電体シートを所定枚数積層し、その上に内部電極パターンが印刷されている誘電体シートを順次積層し、その上に外層用の誘電体シートを所定枚数積層することにより、積層シートを作製する。
【0100】
(4)積層シートを静水圧プレス等の手段により積層方向にプレスすることにより、積層ブロックを作製する。なお、プレスは必須ではない。
【0101】
上記(1)~(4)の工程を繰り返し、複数の積層ブロックを作製する。その際、積層ブロックの上下に外層として、誘電体シートのみを複数枚積層しておく方が、その後の工程でハンドリングしやすくなるため好ましい。
【0102】
各積層ブロックのゆがみを測定し、全体として最も歪みが小さくなるように積み重ねた後、プレスを行う。なお、積み重ねる際は、各ブロック間で信頼性が高まるように、一定距離ずらしておくことが好ましい。
【0103】
接着性を向上させるため、バインダが多く含まれる誘電体シートを積層ブロック間に配置してもよい。
【0104】
(5)積層ブロックを所定のサイズにカットし、積層チップを切り出す。このとき、バレル研磨等の方法により、積層チップの角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
【0105】
(6)積層チップを焼成して、積層体を作製する。焼成温度は、誘電体層及び内部電極層の材料にもよるが、900℃以上、1300℃以下であることが好ましい。
【0106】
(外部電極が焼き付け層である場合)
(7)積層体の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布し、その後、焼き付けることにより、外部電極の焼き付け層を形成する。焼き付け温度は、700℃以上、900℃以下であることが好ましい。
【0107】
(8)必要に応じて、焼き付け層の表面にめっき処理を施してもよい。
【0108】
(外部電極がめっき電極である場合)
外部電極として焼き付け層を設けずに、積層体の表面に直接めっき電極を形成してもよい。その場合、上記(7)及び(8)の工程に代えて下記(7’)及び(8’)の工程を行う。
【0109】
(7’)積層体の両端面にめっき処理を施し、内部電極層の露出部上に下地めっき層を形成する。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよいが、無電解めっきでは、めっき析出速度を向上させるために、触媒等による前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。
【0110】
(8’)必要に応じて、めっき層の表面にめっき処理をさらに施してもよい。
【0111】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0112】
<1>
積層方向に積層される複数の誘電体層及び複数の内部電極層を含むとともに、上記積層方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、上記積層方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、上記積層方向及び上記幅方向に直交する長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、を有する積層体と、
上記積層体の上記第1の端面及び上記第2の端面のそれぞれを覆うように配置され、上記内部電極層に接続される一対の外部電極と、を備え、
上記複数の内部電極層は、M個(Mは2以上の自然数)の集合に分かれており、
上記M個の集合は、それぞれ独立して、N枚(Nは2以上の自然数)の上記内部電極層を上記積層方向に連続して含み、
1番目からM番目までの上記集合に含まれる上記内部電極層の枚数の合計は1000枚以上であり、
上記誘電体層の厚みは0.8μm以上であり、
上記積層体における、上記長さ方向の中央部での上記幅方向及び上記積層方向を含む断面を見たとき、
少なくとも1組のm番目(mは1以上M-1以下の自然数)の上記集合及びm+1番目の上記集合においては、n番目(nは1以上N-1以下の自然数)の上記内部電極層とn+1番目の内部電極層との上記幅方向のずれ量がα1以内であり、かつ、
上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間で、上記積層方向に隣り合う上記内部電極層の上記幅方向のずれ量をβ1としたとき、α1<β1を満たし、
上記積層体における、上記幅方向の中央部での上記長さ方向及び上記積層方向を含む断面を見たとき、
上記m番目の上記集合及び上記m+1番目の上記集合においては、同一の上記外部電極に接続する上記内部電極層同士の、上記外部電極と接続していない端部の上記長さ方向のずれ量がα2以内であり、かつ、
上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間で、同一の上記外部電極に接続する最も近接した上記内部電極層同士の、上記外部電極と接続していない端部の上記長さ方向のずれ量をβ2としたとき、α2<β2を満たす、
積層セラミックコンデンサ。
【0113】
<2>
上記m番目の上記集合において、上記内部電極層の上記幅方向の端部及び上記長さ方向の端部のうち少なくとも一方の端部が、上記積層方向の同一の方向に湾曲している、
<1>に記載の積層セラミックコンデンサ。
【0114】
<3>
さらに、上記m+1番目の上記集合において、上記内部電極層の上記幅方向の端部及び上記長さ方向の端部のうち少なくとも一方の端部が、上記積層方向の同一の方向に湾曲しており、
上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間では、上記内部電極層の端部が湾曲している方向が同じである、
<2>に記載の積層セラミックコンデンサ。
【0115】
<4>
さらに、上記m+1番目の上記集合において、上記内部電極層の上記幅方向の端部及び上記長さ方向の端部のうち少なくとも一方の端部が、上記積層方向の同一の方向に湾曲しており、
上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間では、上記内部電極層の端部が湾曲している方向が異なる、
<2>に記載の積層セラミックコンデンサ。
【0116】
<5>
上記m番目の上記集合における上記内部電極層同士の距離をt1とし、上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間における上記内部電極層同士の距離をt2としたとき、t1<t2を満たす、
<1>~<4>のいずれか1つに記載の積層セラミックコンデンサ。
【0117】
<6>
上記m番目の上記集合に含まれる上記内部電極層の枚数をN1とし、上記m+1番目の上記集合に含まれる上記内部電極層の枚数をN2としたとき、N1とN2が異なる、
<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層セラミックコンデンサ。
【0118】
<7>
上記積層体における、上記幅方向の中央部での上記長さ方向及び上記積層方向を含む断面を見たとき、上記m番目の上記集合と上記m+1番目の上記集合との間で最も近接する上記内部電極層は、同一の上記外部電極に接続している、
<1>~<6>のいずれか1つに記載の積層セラミックコンデンサ。
【符号の説明】
【0119】
1 積層セラミックコンデンサ
10 積層体
10a 第1の主面
10b 第2の主面
10c 第1の側面
10d 第2の側面
10e 第1の端面
10f 第2の端面
11、12 外部電極
20 誘電体層
25 外層部
30 内部電極層
31 第1の内部電極層
31a 第1の対向電極部
31b 第1の引出電極部
32 第2の内部電極層
32a 第2の対向電極部
32b 第2の引出電極部
α1 n番目の内部電極層とn+1番目の内部電極層との幅方向のずれ量
α2 n番目の内部電極層とn+1番目の内部電極層との長さ方向のずれ量
β1 m番目の集合とm+1番目の集合との間で、積層方向に隣り合う内部電極層の幅方向のずれ量
β2 m番目の集合とm+1番目の集合との間で、積層方向に隣り合う内部電極層の長さ方向のずれ量
t1 m番目の集合における内部電極層同士の距離
t2 m番目の集合とm+1番目の集合との間における内部電極層同士の距離
G 集合
L 長さ方向
T 積層方向
W 幅方向