(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008882
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】コントロールセンタの異常検出システム
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20250109BHJP
G10L 25/51 20130101ALI20250109BHJP
【FI】
H02B3/00 M
G10L25/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111480
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】望月 祐介
(57)【要約】
【課題】温度センサや匂いセンサとは異なる方法で、収容室内の負荷制御器の異常な発熱を検出する。
【解決手段】コントロールセンタの異常検出システムは、負荷制御器を収容する収容室を有するコントロールセンタにおいて収容室内の異常を検出するシステムである。異常検出システムは、収容室の内部に音を発生させる音発生装置と、音発生装置で発生した音を検出する音検出装置と、収容室の内部に設けられて収容室内の温度が所定温度以上となった場合に気化して空気とは異なる比重の気体を発生させる気体発生部材と、収容室の内部に異常が発生していない状態で音発生装置から発生する音を正常値として記憶する記憶部と、音発生装置によって発生しかつ音検出装置で検出された音が正常値から変化した場合に収容室の内部に異常が発生したことを検出する検出処理を実行可能な検出処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷制御器を収容する収容室を有するコントロールセンタにおいて前記収容室内の異常を検出するシステムであって、
前記収容室の内部に音を発生させる音発生装置と、
前記音発生装置で発生した音を検出する音検出装置と、
前記収容室の内部に設けられて前記収容室内の温度が所定温度以上となった場合に気化して空気とは異なる比重の気体を発生させる気体発生部材と、
前記収容室の内部に異常が発生していない状態で前記音発生装置から発生する音を正常値として記憶する記憶部と、
前記音発生装置によって発生しかつ前記音検出装置で検出された音が前記正常値から変化した場合に前記収容室の内部に異常が発生したことを検出する検出処理を実行可能な検出処理部と、
を備えるコントロールセンタの異常検出システム。
【請求項2】
複数の前記収容室を有する前記コントロールセンタに適用されるものであって、
前記音発生装置は、複数の前記収容室のそれぞれに対応して複数設けられており、
前記音検出装置は、複数の前記音発生装置に対して共通して設けられている、
を備える請求項1に記載のコントロールセンタの異常検出システム。
【請求項3】
複数の前記音発生装置は、それぞれ異なる特性の音を発生させる、
請求項2に記載のコントロールセンタの異常検出システム。
【請求項4】
前記検出処理部は、前記検出処理の際に複数の前記音発生装置をそれぞれ異なる期間に動作させる、
請求項2に記載のコントロールセンタの異常検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コントロールセンタの異常検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コントロールセンタは、制御対象の負荷を制御する閉鎖配電盤のことであり、制御対象の負荷として例えば複数のモータ等を集中管理する機能を有する。コントロールセンタは、筐体に設けられた収容室の内部に、1つ又は複数の負荷制御器を収容する。負荷制御器は、例えばコントロールユニット等とも称され、制御対象である負荷を制御するための装置であり、各負荷に対応している。
【0003】
このような負荷制御器は、例えば短絡や過電流等によって異常な発熱が生じることがある。この場合、例えば収容室内に温度センサや匂いセンサを設けておき、収容室内の温度や匂いの変化を検出し、これにより負荷制御器の異常を検出することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-97248号公報
【特許文献2】特開2006-33959号公報
【特許文献3】特開2022-75599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コントロールセンタの内部又は外部の環境によっては温度センサや匂いセンサ等の精度が要望通り出なかったり、温度センサや匂いセンサが故障したりした場合等に備えて、温度センサや匂いセンサ等とは異なる方法で異常の検出を行えるようにすることが好ましい。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度センサや匂いセンサとは異なる方法で、収容室内の負荷制御器の異常な発熱を検出することができるコントロールセンタの異常検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によるコントロールセンタの異常検出システムは、負荷制御器を収容する収容室を有するコントロールセンタにおいて前記収容室内の異常を検出するシステムである。異常検出システムは、前記収容室の内部に音を発生させる音発生装置と、前記音発生装置で発生した音を検出する音検出装置と、前記収容室の内部に設けられて前記収容室内の温度が所定温度以上となった場合に気化して空気とは異なる比重の気体を発生させる気体発生部材と、前記収容室の内部に異常が発生していない状態で前記音発生装置から発生する音を正常値として記憶する記憶部と、前記音発生装置によって発生しかつ前記音検出装置で検出された音が前記正常値から変化した場合に前記収容室の内部に異常が発生したことを検出する検出処理を実行可能な検出処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態によるコントロールセンタの異常検出システムの電気的構成を概略的に示すブロック図
【
図2】一実施形態によるコントロールセンタの異常検出システムをコントロールセンタに適用した例を概略的に示す図
【
図3】一実施形態によるコントロールセンタの異常検出システムにおいて、校正処理の一例を示すフローチャート
【
図4】一実施形態によるコントロールセンタの異常検出システムにおいて、検出処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態によるコントロールセンタの異常検出システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、コントロールセンタの異常検出システムを単に異常検出システムと称する。異常検出システム10は、
図2に示すようなコントロールセンタ20において発生した異常を検出するシステムである。コントロールセンタ20は、制御対象である複数の負荷を集中管理するコントロールセンタである。コントロールセンタ20は、
図2に示すように、例えば筐体21、収容室扉22、配線室扉23、及び負荷制御器24を備えている。
【0010】
筐体21は、コントロールセンタ20の外殻を構成する。筐体21は、全体として上下方向に長い矩形箱状に構成されており、複数の収容室211と、配線室212とを、内部に有している。各収容室211は、負荷制御器24を収容するための空間である。各収容室211は、筐体21の内部の空間を上下方向に仕切ることによって構成されており、前面が開口した矩形状に形成されている。収容室211は、筐体21の上下方向に複数、この場合、4つ並べて配置されている。
【0011】
配線室212は、図示しない配線を収容するための空間である。この場合、図示しない配線とは、例えば制御対象となる負荷に接続された電気配線等である。各負荷に接続された電気配線は、外部から筐体21内に引き込まれて各収容室211に分配されて、収容室211内に配置された負荷制御器24に接続される。配線室212は、前面が開口した上下方向に長い矩形状に形成されている。配線室212は、各収容室211に繋がっている。
【0012】
収容室扉22は、各収容室211の前面の開口を開閉するための扉であり、例えばヒンジ開閉式の扉で構成することができる。また、配線室扉23は、配線室212の前面の開口を開閉するための扉であり、例えばヒンジ開閉式の扉で構成することができる。
【0013】
各負荷制御器24は、収容室211内に着脱可能であって、筐体21内の各収容室211に上下方向に段積みした状態で収容可能に構成されている。各負荷制御器24には、例えばそれぞれ異なる個体の負荷が割り当てられる。そして、各負荷制御器24は、割り当てられた負荷を制御及び保護する機能を有する。負荷制御器24は、例えば電磁接触器、遮断器、補助継電器、変圧器、変流器、電流センサ、及び端子台等を含んで構成することができる。なお、各負荷制御器24の具体的な回路構成は、対象となる負荷に応じて適宜変更される。コントロールセンタ20は、収容室211内に収容された負荷制御器24に対し電力を供給する図示しない電力供給部を備えている。
【0014】
異常検出システム10は、コントロールセンタ20の各収容室211内のうち対象とした収容室211内の温度異常を検出する。本実施形態の異常検出システム10は、1又は複数の収容室211を有するコントロールセンタ20に適用されるものである。異常検出システム10は、
図1及び
図2に示すように、音発生装置11、音検出装置12、及び気体発生部材13を備えている。本実施形態では、コントロールセンタ20が備える4つの収容室211を異常検出の対象としている。この場合、異常検出システム10は、4つの各収容室211に対応して4つの音発生装置11を備えている。
【0015】
各音発生装置11は、例えばそれぞれ対象とする収容室211内に設けられている。音発生装置11は、各収容室211内において、例えば負荷制御器24よりも配線室212から遠い位置に設けられている。すなわち、音発生装置11は、例えば負荷制御器24に対して配線室212とは反対側の位置に設けられている。
【0016】
音発生装置11は、空気振動によって収容室211内に音を発生させる機能を有する。音発生装置11は、例えば外部からの制御によって音声等を発生できるスピーカー等で構成することができる。また、音発生装置11は、例えばモータ等によって音発生装置11自体や収容室211内の構造物を物理的に振動させることによって所定の音を発生させる構成でもよい。
【0017】
各音発生装置11は、それぞれ同一の特性の音を発生するように構成しても良いが、それぞれ異なる特性の音を発生するように構成することが好ましい。この場合、音の特性が同一とは、音が伝達する気体の密度によって影響を受ける要素、例えば音の周波数、振幅つまり音量、及び音色の全てが同一であることを意味する。また、音の特性が異なるとは、上記した音の周波数、振幅つまり音量、及び音色の少なくとも1つが異っていることを意味する。
【0018】
音検出装置12は、音発生装置11で発生した音を検出する機能を有する。音検出装置12は、例えば集音マイク等のように、音による振動を電気信号に変換する装置で構成することができる。音検出装置12は、例えば複数の音発生装置11に対して共通して設けられている。本実施形態の場合、異常検出システム10は、音発生装置11を4つ備えている一方、音検出装置12を1つ備えている。この場合、音検出装置12は、4つの音発生装置11によって発生された音を検出する。音検出装置12は、筐体21の内部であって、かつ収容室211の外部に設けられている。音検出装置12は、例えば配線室212内に設けられている。
【0019】
気体発生部材13は、異常の検出対象となる各収容室211の内部に設けられている。気体発生部材13は、例えば常温で液体又は個体若しくは高粘性の流動体で気化しないか又は気化してもその量が僅かであり、かつ、収容室211の内部の温度が所定温度以上となった場合に気化する物質で構成されている。また、気体発生部材13は、気化により空気とは異なる比重の気体を発生させる。すなわち、気体発生部材13は、気化により空気よりも比重が小さい又は大きい気体を発生させる。気体発生部材13が気化する温度は、例えば負荷制御器24が過電流等によって異常に発熱し、これにより収容室211内の温度が上昇した場合の温度に設定される。つまり、気体発生部材13が気化する温度は、収容室211内の温度が異常と判断される温度に設定される。
【0020】
気体発生部材13は、例えば溶剤やワックス、ロウ等で構成することができる。気体発生部材13は、音発生装置11よりも配線室212に近い位置に設けられている。すなわち、音発生装置11と音検出装置12との間に、負荷制御器24と気体発生部材13とが位置している。そして、負荷制御器24と気体発生部材13とのうち、負荷制御器24は音発生装置11側に位置し、気体発生部材13は音検出装置12側に位置している。
【0021】
また、気体発生部材13は、気化した気体が収容室211内に充満し易い位置に設けられている。例えば気体発生部材13が気化により空気よりも軽い気体を発生するものである場合、気体発生部材13は、収容室211の底部に設けられている。また、例えば気体発生部材13が気化により空気よりも重い気体を発生するものである場合、気体発生部材13は、収容室211の天井部に設けられている。
【0022】
異常検出システム10は、
図1に示すように、制御装置14、校正処理部15、検出処理部16、及び報知装置17を更に備えている。制御装置14は、音発生装置11、音検出装置12の動作を制御する。制御装置14は、例えばコントロールセンタ20の筐体21内に設けられていても良いし、コントロールセンタ20の筐体21の外部に設けられていても良い。本実施形態の場合、制御装置14は、コントロールセンタ20の外部に設けられた装置であり、例えばパソコン等で構成することができる。制御装置14と、音発生装置11及び音検出装置12とは、有線又は無線によって通信可能に接続されている。
【0023】
報知装置17は、検出処理部16で異常が検出された場合にコントロールセンタ20の管理者等に異常が検出されたことを報知するための装置である。報知装置17は、例えばパソコンのモニタやスピーカー等で構成することができる。報知装置17は、制御装置14と一体の構成であっても良いし、別の個体で構成されていても良い。
【0024】
制御装置14は、CPU141や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶部142を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。なお、制御装置14は、1つの装置として構成する必要はなく、複数の装置を組み合わせて、又は独立した複数の装置で構成することもできる。
【0025】
記憶部142は、例えば異常検出システム10を実現するためのコンピュータプログラムを記憶している。記憶部142に記憶されている上記プログラムをCPU141において実行することにより、校正処理部15及び検出処理部16をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、校正処理部15及び検出処理部16は、制御装置14と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよいし、制御装置14とは別の個体として構成しても良い。
【0026】
記憶部142は、各収容室211について、収容室211の内部に異常が発生していない状態で音発生装置11から発生する音を正常値として記憶する。すなわち、校正処理部15は、異常検出を行う前に、各収容室211に対応した検出音の正常値をキャリブレーションつまり校正し、その校正した正常値を記憶部142に記憶させる校正処理を実行する。なお、検出音とは、音検出装置12で検出された音を意味する。この場合、校正処理部15は、複数の音発生装置11について、異なる期間つまり重複しない期間に音を発生させ、その音を正常値として記憶する。
【0027】
具体的には、校正処理部15は、正常値の校正として、
図3に示す校正処理を実行する。校正処理は、コントロールセンタ20に異常が発生しておらず、各収容室211内の温度が正常の範囲内である場合に実行されることを前提とする。なお、
図3において、変数n、mは、正の整数である。変数nは、対象となる収容室211の位置がコントロールセンタ20の最上段又は最下段から何段目であるかを意味する。また、変数mは、対象となる収容室211の数を意味する。本実施形態の場合、コントロールセンタ20の収容室211は4段であるため、変数m=4となる。
【0028】
校正処理部15は、
図3の校正処理を開始すると、まずステップS11において変数n=0として変数nを初期化する。次に、校正処理部15は、ステップS12において変数n=n+1とする。次に、校正処理部15は、ステップS13において、変数n≦変数mであるか否かを判断、つまり全ての収容室211について校正が完了したか否かを判断する。校正処理部15は、ステップS13において変数nが変数m以下である場合(YES)、ステップS14へ処理を移行させる。
【0029】
次に、校正処理部15は、ステップS14においてn段目の音発生装置11を動作させて音を発生させるとともに、ステップS15において音検出装置12を動作させて、音発生装置11によって発生した音を検出する。そして、校正処理部15は、ステップS15で検出した音を、n段目の収容室211の正常値として記憶部142に記憶させる。その後、校正処理部15は、ステップS12に処理を戻し、ステップS12~S16の処理を繰り返す。そして、校正処理部15は、ステップS13において変数nが変数mを越えた場合(NO)、全ての収容室211について校正が完了したと判断し、一連の処理を終了する(エンド)。
【0030】
検出処理部16は、コントロールセンタ20が運転している間、
図4に示す異常検出処理を実行し、コントロールセンタ20の異常の検出を行う。なお、
図4の異常検出処理における変数n、mは、
図3の校正処理における変数n、mと同様の設定である。
【0031】
検出処理部16は、
図4に示す異常検出処理を開始すると、まずステップS21において変数n=0にして変数nを初期化する。次に、検出処理部16は、ステップS22において変数n=n+1とする。次に、検出処理部16は、ステップS23において、変数n≦変数mであるか否かを判断、つまり全ての収容室211について検出が完了したか否かを判断する。検出処理部16は、ステップS23において変数nが変数m以下である場合(YES)、ステップS24へ処理を移行させる。
【0032】
その後、検出処理部16は、ステップS24においてn段目の音発生装置11を動作させて音を発生させるとともに、ステップS25において音検出装置12を動作させて、音発生装置11によって発生した音を検出する。次に、検出処理部16は、ステップS25で検出した検出音と、
図3で記憶した正常値とを比較する。
【0033】
ここで、n段目の収容室211に収容されている負荷制御器24で異常発熱が生じ、そのn段目の収容室211内の温度が上昇すると、その温度上昇に伴ってn段目の収容室211に設置されている気体発生部材13から気体が発生する。すると、n段目の収容室211内に充満する気体の密度が、正常値の状態つまり気体発生部材13から気体が発生する以前の状態から変化する。その結果、音検出装置12で検出される音の特性が、正常値から変化する。
【0034】
そこで、検出処理部16は、検出音が正常値から所定量以上の変化が無い場合(ステップS26でNO)、対象となったn段目の収容室211には異常が発生していないと判断し、ステップS22へ処理を戻す。そして、ステップS22以降を実行し、検出の対象を次の段の収容室211に移す。
【0035】
一方、検出音が正常値から所定量以上の変化があった場合(ステップS26でYES)、検出処理部16は、ステップS27へ処理を移行し、対象となったn段目の収容室211に異常が発生したと判断する。そして、検出処理部16は、ステップS28に処理を移行させ、報知装置17を動作させて管理者に異常の発生を報知し、その後、一連の処理を終了する(エンド)。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、異常検出システム10は、負荷制御器24を収容する収容室211を有するコントロールセンタ20において収容室211内の異常を検出するシステムである。異常検出システム10は、音発生装置11と、音検出装置12と、気体発生部材13と、記憶部142と、検出処理部16と、を備える。
【0037】
音発生装置11は、収容室211の内部に音を発生させる機能を有する。音検出装置12は、音発生装置11で発生した音を検出する機能を有する。気体発生部材13は、収容室211の内部に設けられて収容室211内の温度が所定温度以上となった場合に気化して空気とは異なる比重の気体を発生させる機能を有する。記憶部142は、収容室211の内部に異常が発生していない状態で音発生装置11から発生する音を正常値として記憶する機能を有する。検出処理部16は、音発生装置11によって発生しかつ音検出装置12で検出された音が正常値から変化した場合に収容室211の内部に異常が発生したことを検出する検出処理を実行可能である。
【0038】
これによれば、本実施形態による異常検出システム10は、音発生装置11から発生する音の変化を音検出装置12で検出することによって、各収容室211内の温度上昇つまり負荷制御器24の異常な発熱を検出することができる。したがって、これによれば、温度センサや匂いセンサとは異なる方法、つまり音の変化によって、収容室211内の負荷制御器24の異常な発熱つまりコントロールセンタ20の異常を検出することができる。
【0039】
また、異常検出システム10は、複数の収容室211を有するコントロールセンタ20に適用されるものである。この場合、音発生装置11は、複数の収容室211のそれぞれに対応して複数設けられている。そして、音検出装置12は、複数の音発生装置11に対して共通して設けられている。すなわち、音検出装置12の数は、音発生装置11の数よりも少ない。
【0040】
これによれば、複数の収容室211ごとに音検出装置12を設ける必要がないため、音検出装置12の数を削減することができる。したがって、音検出装置12に関する部品点数を削減でき、ひいてはコントロールセンタ20の製造コストを削減することができる。
【0041】
また、複数の音発生装置11は、それぞれ異なる特性の音を発生させることができる。これによれば、収容室211ごとに音の特性が異なるため、音検出装置12で検出した音から収容室211の区別がつきやすくなる。そのため、収容室211が複数ある場合に、異常が発生した収容室211を特定し易くなる。
【0042】
また、検出処理部16は、検出処理の際に複数の音発生装置11をそれぞれ異なる期間に動作させる。これによっても、音検出装置12で検出した音から収容室211の区別が更につきやすくなり、その結果、収容室211が複数ある場合に、異常が発生した収容室211を特定し易くなる。
【0043】
なお、上記実施形態は、異常検出処理によって異常が発生した収容室211を特定可能な構成であるが、収容室211が複数存在する場合であっても異常が発生した収容室211を特定する必要が無い場合は、例えば各音発生装置11を同時に動作させる構成でも良い。
【0044】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0045】
10…異常検出システム、11…音発生装置、12…音検出装置、13…気体発生部材、16…検出処理部、20…コントロールセンタ、24…負荷制御器、142…記憶部、211…収容室