(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008891
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111494
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 真也
(72)【発明者】
【氏名】菊池 佑介
(72)【発明者】
【氏名】中 真一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC22
5E353EE37
5E353EE89
5E353GG02
5E353GG11
5E353GG12
5E353HH11
5E353JJ21
5E353LL03
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ01
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】複数の基板搬送装置を有する部品実装機において、複数の基板への実装動作が効率良く行われているか否かを容易に把握可能にする。
【解決手段】部品実装機は、電子部品を供給する部品供給装置と、第1の基板を部品実装機内の第1の作業位置に搬送すると共に、第1の作業位置から部品実装機外に搬送する第1基板搬送装置と、第2の基板を部品実装機内の第2の作業位置に搬送すると共に、第2の作業位置から部品実装機外に搬送する第2基板搬送装置と、部品供給装置から供給される電子部品を、部品供給装置と第1の作業位置に位置する第1の基板との間で移動可能とすると共に、部品供給装置と第2の作業位置に位置する第2の基板との間で移動可能とする部品移動装置と、第1基板搬送装置で第1の基板が部品実装機外に搬送された時刻と、第2基板搬送装置で第2の基板が部品実装機外に搬送された時刻と、を時系列で表示する表示装置と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
電子部品を供給する部品供給装置と、
第1の基板を前記部品実装機内の第1の作業位置に搬送すると共に、前記第1の作業位置から前記部品実装機外に搬送する第1基板搬送装置と、
第2の基板を前記部品実装機内の第2の作業位置に搬送すると共に、前記第2の作業位置から前記部品実装機外に搬送する第2基板搬送装置と、
前記部品供給装置から供給される電子部品を、前記部品供給装置と前記第1の作業位置に位置する前記第1の基板との間で移動可能とすると共に、前記部品供給装置と前記第2の作業位置に位置する前記第2の基板との間で移動可能とする部品移動装置と、
前記第1基板搬送装置で前記第1の基板が前記部品実装機外に搬送された時刻と、前記第2基板搬送装置で前記第2の基板が前記部品実装機外に搬送された時刻と、を時系列で表示する表示装置と、
を備える、部品実装機。
【請求項2】
前記表示装置は、基準時刻からの経過時間を一方の軸とし、前記第1の基板及び前記第2の基板の搬出時間間隔を他方の軸とするグラフを表示し、
前記グラフは、
前記基準時刻から所定時間内に当該部品実装機から搬出された複数の前記第1の基板毎に、当該第1の基板が搬出された時刻である前記基準時刻からの経過時間と、当該第1の基板の搬出経過時間とをプロットした第1点群と、
前記基準時刻から所定時間内に当該部品実装機から搬出された複数の前記第2の基板毎に、当該第2の基板が搬出された時刻である前記基準時刻からの経過時間と、当該第2の基板の搬出経過時間とをプロットした第2点群と、を表示し、
前記第1の基板の搬出時間間隔は、当該第1の基板の直前に前記第1の基板と前記第2の基板のうちの1つが前記部品実装機外に搬送されてから、当該第1の基板が前記部品実装機外に搬送されるまでの間にかかる時間であり、
前記第2の基板の搬出時間間隔は、当該第2の基板の直前に前記第1の基板と前記第2の基板のうちの1つが前記部品実装機外に搬送されてから、当該第2の基板が前記部品実装機外に搬送されるまでの間にかかる時間である、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記表示装置は、前記第1点群を第1の態様で表示すると共にと、前記第2点群を前記第1の態様とは異なる第2の態様で表示する、請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記表示装置は、前記グラフ上に、前記第1点群及び前記第2点群を時系列順で接続する接続線を重ねて表示する、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記グラフ上に表示される前記第1点群及び前記第2点群から特定の点を選択する選択手段をさらに備えており、
前記表示装置は、前記選択手段で選択された前記特定の点に対応する経過時間において前記部品実装機の実装処理において発生した異常な動作に関する情報を表示可能である、請求項2に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子部品を基板に実装する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機には、第1の基板搬送装置と第2の基板搬送装置が設けられ、第1の基板搬送装置で搬送された第1の基板と、第2の基板搬送装置で搬送された第2の基板とに電子部品を実装可能なものがある。このような部品実装機では、第1の基板と第2基板のうち、一方の基板に電子部品を実装した後、他方の基板に電子部品を実装する。このため、一方の基板を搬出している間に他方の基板に電子部品を実装可能であり、生産性が向上する。
【0003】
部品実装機において、正常に実装動作が実行されていることを作業者に表示する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、複数の部品実装機によって構成される部品実装ラインにおいて、全ての部品実装機のそれぞれの稼働状況を表示する技術が開示されている。特許文献1では、複数の部品実装機について、各部品実装機がどのような稼働状況(例えば、処理状態、後工程待ち、部品補給待ち、前工程待ち等)であるのかが一目で把握できるように一覧表示する。この一覧表示は、時系列で表される。なお、特許文献1の部品実装機は、第1の基板搬送装置と第2の基板搬送装置を備え、2つの基板に電子部品を実装可能なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、複数の部品実装機について、個々の部品実装機の全ての稼働状況が一覧表示によって把握可能である。このため、複数の部品実装機で構成される部品実装ラインのうち、どの部品実装機に問題が生じているのかを把握し易い。しかしながら、個々の部品実装機において、第1の基板搬送装置により搬送される基板に対する実装動作と、第2の基板搬送装置により搬送される基板に対する実装動作とが効率良く行われているのかについては把握し難い表示であった。
【0006】
本明細書は、複数の基板搬送装置を有する部品実装機において、複数の基板への実装動作が効率良く行われているか否かを容易に把握可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示する部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を供給する部品供給装置と、第1の基板を部品実装機内の第1の作業位置に搬送すると共に、第1の作業位置から部品実装機外に搬送する第1基板搬送装置と、第2の基板を部品実装機内の第2の作業位置に搬送すると共に、第2の作業位置から部品実装機外に搬送する第2基板搬送装置と、部品供給装置から供給される電子部品を、部品供給装置と第1の作業位置に位置する第1の基板との間で移動可能とすると共に、部品供給装置と第2の作業位置に位置する第2の基板との間で移動可能とする部品移動装置と、第1基板搬送装置で第1の基板が部品実装機外に搬送された時刻と、第2基板搬送装置で第2の基板が部品実装機外に搬送された時刻と、を時系列で表示する表示装置と、を備える。
【0008】
上記の部品実装機では、第1基板搬送装置によって第1の基板が部品実装機外に搬出される時刻と、第2基板搬送装置によって第2の基板が部品実装機外に搬出される時刻が、時系列で視覚的に把握できる。このため、第1の基板への実装処理と第2の基板への実装処理が効率良く行われているか否かを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係る部品実装機の概略構成を示す図。
【
図3】実施例に係る部品実装機の制御系を示すブロック図。
【
図4】第1回路基板及び第2回路基板の搬出時刻と搬出時間間隔に関するグラフを表示した表示画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0011】
本明細書に開示する部品実装機では、表示装置は、基準時刻からの経過時間を一方の軸とし、第1の基板及び第2の基板の搬出時間間隔を他方の軸とするグラフを表示してもよい。グラフは、基準時刻から所定時間内に当該部品実装機から搬出された複数の第1の基板毎に、当該第1の基板が搬出された時刻である基準時刻からの経過時間と、当該第1の基板の搬出経過時間とをプロットした第1点群と、基準時刻から所定時間内に当該部品実装機から搬出された複数の第2の基板毎に、当該第2の基板が搬出された時刻である基準時刻からの経過時間と、当該第2の基板の搬出経過時間とをプロットした第2点群と、を表示してもよい。第1の基板の搬出時間間隔は、当該第1の基板の直前に第1の基板と第2の基板のうちの1つが部品実装機外に搬送されてから、当該第1の基板が部品実装機外に搬送されるまでの間にかかる時間であってもよい。第2の基板の搬出時間間隔は、当該第2の基板の直前に第1の基板と第2の基板のうちの1つが部品実装機外に搬送されてから、当該第2の基板が部品実装機外に搬送されるまでの間にかかる時間であってもよい。このような構成によると、第1の基板の搬出時間間隔と第2の基板の搬出時間間隔をグラフで表すことができる。また、搬出時間間隔は、直前に第1の基板又は第2の基板が搬出されてから、当該基板が搬出されるまでの時間であるため、当該基板に対する実装処理にどの程度の時間がかかったのかを把握できる。このため、第1の基板への実装処理と第2に基板への実装処理が効率良く行われているか否かを視覚的に把握し易くなる。
【0012】
本明細書に開示する部品実装機では、表示装置は、第1点群を第1の態様で表示すると共にと、第2点群を第1の態様とは異なる第2の態様で表示してもよい。このような構成によると、第1の基板の搬出時間間隔と第2の基板の搬出時間間隔を異なる態様で表示するため、第1の基板の搬出時間間隔と第2の基板の搬出時間間隔のそれぞれがより容易に把握できる。また、第1の基板と第2の基板のうちの一方が連続して搬出されたことが容易に把握できる。
【0013】
本明細書に開示する部品実装機では、表示装置は、グラフ上に、第1点群及び第2点群を時系列順で接続する接続線を重ねて表示してもよい。このような構成によると、第1の基板と第2の基板の搬出順が容易に把握できる。
【0014】
本明細書に開示する部品実装機は、グラフ上に表示される第1点群及び第2点群から特定の点を選択する選択手段をさらに備えていてもよい。表示装置は、選択手段で選択された特定の点に対応する経過時間において部品実装機の実装処理において発生した異常な動作に関する情報を表示可能であってもよい。このような構成によると、グラフ上の第1の基板の搬出時間間隔(第1点群)又は第2の基板の搬出時間間隔(第2点群)に対応する部品実装機の動作を把握することができる。例えば、グラフ上で搬出時間間隔が正常でなかった時間(例えば、特定の第1点又は第2点)において、部品実装機にどのような異常が発生したのかを確認できる。このため、基板が正常な時間間隔で搬出されなかったときに発生した異常を把握することができる。
【実施例0015】
図面を参照して、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2a、2bに電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0016】
図1及び
図2に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、2つの基板コンベア20a、20bと、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、制御装置26と、タッチパネル24を備える。部品実装機10の外部には、部品実装機10と通信可能に構成された管理装置8が配置されている。
【0017】
各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、テープ上に収容された複数の電子部品4を供給するテープ式フィーダ、トレイ上に収容された複数の電子部品4を供給するトレイ式フィーダ、又は、容器内にランダムに収容された複数の電子部品4を供給するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0018】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0019】
基板コンベア20a、20bは、回路基板2a、2bをX方向へ搬送する。2つの基板コンベア20a、20bは、Y方向に並んで設置されている。以下では、部品フィーダ12側(-Y方向側)に設置される基板コンベア20aを「第1基板コンベア20a」と称することがあり、第1基板コンベア20aより部品フィーダ12から離れた位置(+Y方向側)に設置される基板コンベア20bを「第2基板コンベア20b」と称することがある。基板コンベア20a、20bは、Y方向に間隔を空けて配置され、X方向に平行に伸びる一対のコンベアで構成される。基板コンベア20a、20bは、一方側に隣接する部品実装機(又は、はんだ印刷機等の他の基板作業機)から回路基板2a、2bを受け取り、予め設定された部品実装位置まで搬送する。回路基板2a、2bに対する電子部品4の実装が完了すると、基板コンベア20a、20bは、他方側に隣接する部品実装機(又は、基板検査機等の他の基板作業機)へ回路基板2a、2bを送り出す。本実施例の基板コンベア20a、20bは、コンベアベルトをモータによって駆動するベルトコンベア(図示省略)であるが、基板コンベア20a、20bの具体的な構成については、特に限定されない。例えば、基板コンベア20a、20bはローラコンベアであってもよい。また、一対の基板コンベア20a、20bは、アクチュエータ(図示省略)の駆動によってY方向に移動し、互いに近接離間が可能となっている。第1基板コンベア20aと第2基板コンベア20bは、独立して駆動可能に構成されている。
【0020】
装着ヘッド16は、電子部品4を吸着するノズル6を有する。ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。装着ヘッド16は、ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、部品フィーダ12や回路基板2a、2bに対して、ノズル6を接近及び離間させる。装着ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4をノズル6によって吸着すると共に、ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2a、2b上に装着することができる。なお、装着ヘッド16は、単一のノズル6を有するものに限られず、複数のノズル6を有するものであってもよい。
【0021】
ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12と第2基板コンベア20bとの間で装着ヘッド16を移動させる。すなわち、ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12と第1基板コンベア20aに搬送された回路基板2aとの間で装着ヘッド16を移動させると共に、部品フィーダ12と第2基板コンベア20bに搬送された回路基板2bとの間で装着ヘッド16を移動させる。部品フィーダ12から第2基板コンベア20bで搬送された回路基板2bとの間で装着ヘッド16を移動させる際には、装着ヘッド16は、第1基板コンベア20aで搬送された回路基板2aの上方を通過する。一例ではあるが、本実施例のヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対して装着ヘッド16が固定されている。なお、装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0022】
制御装置26は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。
図3に示すように、制御装置26は、装着ヘッド16、ヘッド移動装置18、第1基板コンベア20a、第2基板コンベア20b及びタッチパネル24と接続しており、装着ヘッド16、ヘッド移動装置18、第1基板コンベア20a、第2基板コンベア20b及びタッチパネル24の各部を制御している。また、制御装置26は、各部の動作について、動作の内容と動作が実行された時刻をメモリ(図示省略)に記憶している。
【0023】
また、制御装置26は、回路基板2a、2bについて、部品実装機10から搬出された時刻(搬出時刻)と、回路基板2a、2bの搬出時間間隔に関するグラフを生成する。なお、グラフについては、後に詳述する。制御装置26は、生成したグラフをタッチパネル24に表示させる。
【0024】
タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。例えば、タッチパネル24は、制御装置26で生成された上述のグラフ(後に詳述)を表示する。また、タッチパネル24は、グラフ上の特定の点(後に詳述)を選択する指示を受け付ける。すなわち、作業者は、タッチパネル24に表示されるグラフ上の特定の点を選択することができる。特定の点が選択されると、タッチパネル24は、特定の点に関する情報(後に詳述)を表示する。なお、本実施例では、部品実装機10はタッチパネル24を備えているが、このような構成に限定されない。例えば、部品実装機10は、表示装置と入力装置を備えていればよく、タッチパネル24の代わりに、モニタと、キーボード及びマウス等の入力手段を備えていてもよい。
【0025】
本実施例では、部品実装機10は、第1基板コンベア20aと第2基板コンベア20bを備えている。このため、部品実装機10は、第1基板コンベア20aにより搬送される回路基板2a(以下、第1回路基板2aともいう)と、第2基板コンベア20bにより搬送される回路基板2b(以下、第2回路基板2bともいう)に、それぞれ電子部品4を実装する。部品実装機10は、通常、以下の手順で第1回路基板2a及び第2回路基板2bにそれぞれ電子部品4を実装する。
【0026】
まず、制御装置26は、第1基板コンベア20aにより第1回路基板2aを部品実装機10内の所定の作業位置(以下、第1の作業位置ともいう)に搬入する。次いで、制御装置26は、第1の作業位置に位置する第1回路基板2aに電子部品4を実装する。電子部品4は以下の手順で実装される。まず、制御装置26は、部品フィーダ12の電子部品4の供給位置(図示は省略)の上方にノズル6が位置するように、移動ベース18aを移動させる。次いで、制御装置26は、ノズル6を下方に移動させ、ノズル6によって電子部品4を吸着する。次いで、制御装置26は、ノズル6が電子部品4を吸着した状態で、ノズル6を上方に移動させる。そして、制御装置26は、吸着した電子部品4が第1回路基板2aの所定の実装位置の上方に位置するように、移動ベース18aを移動させる。最後に、制御装置26は、ノズル6を下方に移動させ、所定の実装位置に電子部品4を実装する。
【0027】
また、制御装置26は、第1回路基板2aへ電子部品4の実装処理を実行している間に、第2基板コンベア20bにより第2回路基板2bを部品実装機10内の所定の作業位置(以下、第2の作業位置ともいう)に搬入する。すなわち、第1回路基板2aへの電子部品4の実装処理と、第2回路基板2bの第2の作業位置にへの搬入が、同時に実行される。
【0028】
第1回路基板2aへの電子部品4の実装処理が完了すると、制御装置26は、第2の作業位置に位置する第2回路基板2bに電子部品4を実装する。上述したように、第2回路基板2bは、第1回路基板2aへの電子部品4の実装処理を実行している間に、第2の作業位置に搬入される。このため、第2回路基板2bの搬入を待つために実装処理の動作を停止させることがなく、生産性が向上する。
【0029】
また、制御装置26は、第2回路基板2bへの電子部品4の実装処理を実行している間に、第1基板コンベア20aにより電子部品4を実装済みの第1回路基板2aを部品実装機10外に搬出し、その後、第1基板コンベア20aにより次の第1回路基板2a(すなわち、電子部品4を実装前の第1回路基板2a)を第1の作業位置に搬入する。第1回路基板2aは、第2回路基板2bへの電子部品4の実装処理を実行している間に、第1の作業位置から搬出され、また、第1の作業位置に搬入される。このため、第1回路基板2aの搬出及び搬入を待つために実装処理の動作を停止させる必要がなく、生産性が向上する。
【0030】
なお、部品実装処理中に、第1回路基板2aや第2回路基板2bへの実装処理を停止することがある。例えば、第1回路基板2a又は第2回路基板2bに電子部品4を供給する部品フィーダ12内の電子部品4がなくなった場合や、部品実装機10内で故障が発生した場合等、作業者による作業が必要になると、第1回路基板2a及び/又は第2回路基板2bへの実装処理が停止される。例えば、装着ヘッド16が故障した場合、第1回路基板2aと第2回路基板2bのいずれに対しても実装処理を実行できなくなる。このような場合には、第1回路基板2aへの実装処理と第2回路基板2bへの実装処理の両方が停止される。また、第1回路基板2aと第2回路基板2bのどちらか一方のみに実装される電子部品4が部品切れした場合や、第1基板コンベア20aと第2基板コンベア20bのどちらか一方にのみ故障が発生した場合には、第1回路基板2aと第2回路基板2bのうち、異常が発生している一方に対しては実装処理を実行できなくなるが、他方に対しては実装処理を実行できる。このような場合には、異常が発生している一方の回路基板2a、2bに対しては実装処理を停止し、異常が発生していない他方の回路基板2a、2bに対しては実装処理を継続する。したがって、このような場合には、異常が発生していない他方の回路基板2a、2bのみが搬出されることになる。
【0031】
ここで、上述した第1回路基板2a及び第2回路基板2bの搬出時刻と搬出時間間隔に関するグラフについて説明する。上述したように、制御装置26のメモリ(図示省略)には、部品実装機10の各部の動作について、動作の内容と動作が実行された時刻が記憶されている。制御装置26は、メモリに記憶された第1基板コンベア20a及び第2基板コンベア20bの動作に基づき、第1回路基板2a及び第2回路基板2bの搬出時刻と搬出時間間隔に関するグラフを生成する。制御装置26は、生成したグラフをタッチパネル24に表示させる。
【0032】
図4は、第1回路基板2a及び第2回路基板2bの搬出時刻と搬出時間間隔に関するグラフを表示した表示画面を示している。
図4のグラフは、横軸が、基準時間(例えば、部品実装機10による実装処理の開始時刻)からの経過時間を示し、縦軸が、第1回路基板2a又は第2回路基板2bの搬出時間間隔を示している。搬出時間間隔は、直前に部品実装機10から回路基板2a又は2bが搬出されてから、次に部品実装機10から回路基板2a又は2bが搬出されるまでの間にかかった時間を示す。
図4の点Bを例にして、搬出時間間隔を説明する。
図4では、点Bは、第2回路基板2bの搬出時間間隔であり、点Aは、第1回路基板2aの搬出時間間隔である。
図4では、点Bは、搬出時間間隔が30秒である。これは、点Bに対応する第2回路基板2bの直前に搬出された点Aに対応する第1回路基板2aが搬出されてから、点Bに対応する第2回路基板2bが搬出されるまでにかかった時間が、30秒であることを示している。制御装置26は、メモリ(図示省略)に記憶されている、第1基板コンベア20aが第1回路基板2aを搬出した時刻と、第2基板コンベア20bが第2回路基板2bを搬出した時刻から、搬出時間間隔を算出する。
【0033】
また、
図4のグラフでは、第1回路基板2aに対応する点群と第2回路基板2bに対応する点群は、異なる態様で表示されている。具体的には、第1回路基板2aは、三角でプロットされており(例えば、点A)、第2回路基板2bは、丸でプロットされている(例えば、点B)。複数の第1回路基板2aは、全て同じ態様(
図4では、三角)で表示され、複数の第2回路基板2bは、全て同じ態様(
図4では、丸)で表示される。なお、第1回路基板2aと第2回路基板2bとが、異なる態様でプロットされていればよく、三角と丸以外の記号で表示してもよいし、異なる色(例えば、赤と青等)で表示してもよい。第1回路基板2aに対応する点群と第2回路基板2bに対応する点群を異なる態様で表示することによって、グラフ内の各点が、第1回路基板2aと第2回路基板2bのどちらに対応するのかを容易に判別できる。
【0034】
また、
図4のグラフでは、時系列で隣接する点の間に、接続線Lが重畳して表示されている。時系列で隣接する点を接続線Lで接続することによって、第1回路基板2aと第2回路基板2bが、交互に搬出されたのか、どちらか一方が連続して搬出されたのを視覚的に容易に把握できる。
【0035】
上記のように構成されるグラフをタッチパネル24に表示することによって、作業者は、表示されたグラフから、第1回路基板2aと第2回路基板2bに対して実装処理が正常に実行されているか否かを視覚的に把握できる。例えば、
図4のグラフにおいて、期間D1及びD3では、第1回路基板2aの搬出時間間隔は、16秒であり、第2回路基板2bの搬出時間間隔は、30秒であり、いずれも搬出時間間隔が略一定で長くなっていない。これにより、第1回路基板2aと第2回路基板2bが、それぞれ正常な時間間隔で搬出されたことがわかる。また、第1回路基板2aに対応する点と第2回路基板2bに対応する点が、接続線Lによって交互に接続されている。これにより、第1回路基板2aと第2回路基板2bが、交互に搬出されたことがわかる。このため、作業者は、期間D1及びD3では、第1回路基板2aと第2回路基板2bに対する実装処理が正常に実行されたことを把握できる。
【0036】
一方、期間D2及びD4では、第1回路基板2aの搬出時間間隔が、16秒より長い20秒、25秒のものがある。また、第2回路基板2bの搬出時間間隔が、30秒より長い32秒、38秒のものがある。このように、搬出時間間隔が長くなっている場合、その回路基板2a、2bへの実装処理の間に異常が生じ、実装処理が長くなった可能性がある。また、期間D2では、第2回路基板2bのみが連続して搬出されている期間がある。この場合、第1回路基板2aへの実装処理に異常が生じ、第1回路基板2aへの実装処理が正常に実行されなかった可能性がある。また、期間D4では、第1回路基板2aのみが連続して搬出されていたり、第2回路基板2bのみが連続して搬出されていたりしている。このため、期間D4では、第1回路基板2aへの実装処理に異常が生じたり、第2回路基板2bへの実装処理に異常が生じたりした可能性がある。このように、第1回路基板2a及び第2回路基板2bの搬出時刻と搬出時間間隔に関するグラフをタッチパネル24に表示することによって、作業者は、第1回路基板2aへの実装処理と第2回路基板2bへの実装処理が効率良く行われたか否かを容易に把握することができる。
【0037】
また、作業者は、タッチパネル24に対して、グラフ上の特定の点を選択することができる。特定の点(例えば、点A又は点B)が選択されると、制御装置26は、選択された特定の点に対応する回路基板2a、2bへの実装処理において異常が生じたか否かを判断する。具体的には、制御装置26は、メモリ(図示省略)に記憶されている部品実装機10の各部の動作から、上記の回路基板2a、2bへの実装処理の際に実行された動作を特定する。次いで、制御装置26は、特定した動作において、正常の動作とは異なる異常な動作があるか否かを判断する。選択された点に対応する回路基板2a、2bへの実装処理中の動作に異常がなかった場合、制御装置26は、タッチパネル24に対して追加の事項を表示せず、表示を変化させない。なお、制御装置26は、異常がなかった旨、又は、正常であった旨をタッチパネル24に表示させてもよい。
【0038】
一方、選択された点に対応する回路基板2a、2bへの実装処理中の動作に異常があった場合、制御装置26は、異常に関する情報をタッチパネル24に表示させる。表示される異常としては、例えば、部品補給待ち、リカバリ動作発生、リカバリアップ、装置エラー等を挙げることができる。
【0039】
部品補給待ちは、部品フィーダ12内の電子部品4がなくなったことを示す。制御装置26は、部品フィーダ12内の電子部品4の残数を記憶している。選択された点に対応する回路基板2a又は2bへの実装処理中に部品フィーダ12内の電子部品4がなくなった場合には、部品補給待ちと表示される。第1回路基板2a及び第2回路基板2bの両方に実装される電子部品4が部品切れすると、部品切れした電子部品4が補充されるまで、第1回路基板2aに対する実装処理と第2回路基板2bに対する実装処理の両方が停止される。例えば、
図4のグラフにおいて、搬出時間間隔が長い点を選択すると、タッチパネル24に部品補給待ちであると表示されることがある。また、第1回路基板2aと第2回路基板2bの一方のみに実装される電子部品4が部品切れすると、一方の回路基板2a、2bに対する実装処理が停止される一方で、他方の回路基板2a、2bに対するに実装処理が連続して実行される。例えば、
図4のグラフにおいて、第1回路基板2a及び第2回路基板2bの一方のみが連続してプロットされている点を選択すると、タッチパネル24に部品補給待ちであると表示されることがある。
【0040】
リカバリ動作発生は、実装処理における特定の動作を繰り返したこと(リカバリ動作を実行したこと)を示す。例えば、ノズル6で電子部品4を吸着する動作を実行したにも関わらず、ノズル6が電子部品4を吸着できなかった場合、ノズル6で電子部品4を吸着する動作が再び実行される。また、部品実装機10内の撮像装置(図示省略)で撮像した画像が処理不能だった場合、撮像装置による撮像動作が再び実行される。このように、特定の動作を再実行するリカバリ動作が実行された場合に、リカバリ動作発生と表示される。リカバリ動作が実行されると。リカバリ動作の分だけ実装処理の時間が長くなる。例えば、
図4のグラフにおいて、搬出時間間隔が長い点を選択すると、タッチパネル24にリカバリ動作発生と表示されることがある。
【0041】
リカバリアップは、実装処理における特定の動作を所定の回数繰り返したことを示す。リカバリ動作を実行するとその動作が成功する場合がある一方、作業者による作業が必要な状態(例えば、故障等)が発生している場合には、リカバリ動作を何度繰り返してもその動作が成功しない。所定の回数リカバリ動作を実行しても特定の動作が成功しない場合、実装処理を停止する。なお、所定の回数は、予め設定可能であり、その回数は特に限定されない。本実施例では、3回であるが、3回より少なくてもよいし、3回より多くてもよい。リカバリ動作を所定の回数を実行すると、実装処理を停止する。その後、作業者の作業によって問題が解消されるまで、回路基板2a、2bの両方、又は、どちらか一方が搬出されなくなる。例えば、
図4のグラフにおいて、搬出時間間隔が長い点や、第1回路基板2a及び第2回路基板2bの一方のみが連続してプロットされている点を選択すると、リカバリアップと表示されることがある。
【0042】
装置エラーは、部品実装機10内の装置に異常が発生していることを示す。装置エラーとしては、例えば、装着ヘッド16の故障や、第1基板コンベア20a又は第2基板コンベア20bが回路基板2a、2bを搬送できなくなる搬送エラー等を挙げることができる。例えば、
図4のグラフにおいて、搬出時間間隔が長い点を選択すると、装置エラー(例えば、装着ヘッド16の故障)と表示されることがある。また、第1回路基板2a及び第2回路基板2bの一方のみが連続してプロットされている点を選択すると、装置エラー(例えば、搬送エラー)であると表示されることがある。
【0043】
本実施例では、制御装置26は、グラフ上の特定の点が選択されると、選択された特定の点に対応する回路基板2a、2bの実装処理中に発生した異常をタッチパネル24に表示させる。これにより、回路基板2a、2bの実装処理中に発生した異常を容易に確認することができる。例えば、作業者は、グラフから、搬出時間間隔が長くなっていたり、一方の回路基板2a、2bが連続して搬出されていたりすることを容易に把握できる。このように、回路基板2a、2bが正常な時間間隔で搬出されなかった場合、何らかの異常が発生したと考えられる。グラフ上の特定の点が選択すると、選択された特定の点に対応する回路基板2a、2bの実装処理中に発生した異常がタッチパネル24に表示されることによって、作業者は、どのような異常が発生したのかを容易に把握することができる。
【0044】
実施例で説明した部品実装機10に関する留意点を述べる。実施例の第1回路基板2aは、「第1の基板」の一例であり、第2回路基板2bは、部品フィーダ12は、「部品供給装置」の一例であり、「第2の基板」の一例であり、第1基板コンベア20aは、「第1基板搬送装置」の一例であり、第2基板コンベア20bは、「第2基板搬送装置」の一例であり、ヘッド移動装置18は、「部品移動装置」の一例であり、タッチパネル24は、「表示装置」及び「選択手段」の一例である。
【0045】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0046】
本明細書では、請求項4において「請求項3に記載の部品実装機」を「請求項2又は3に記載の部品実装機」に変更した技術思想や、請求項5において「請求項2に記載の部品実装機」を「請求項2~4のいずれか一項に記載の部品実装機」に変更した技術思想も開示されている。