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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008896
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20250109BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20250109BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20250109BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250109BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1335
G02F1/1334
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
G09F9/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111503
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 天風
(72)【発明者】
【氏名】多胡 恵二
(72)【発明者】
【氏名】田中 良典
【テーマコード(参考)】
2H189
2H291
2H391
5C094
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189LA10
2H189LA19
2H189LA20
2H189LA22
2H291FA60X
2H291FA71X
2H291FA85X
2H291FD04
2H291GA19
2H291JA02
2H291LA28
2H391AA23
2H391AB05
2H391AD29
2H391AD44
2H391AD45
2H391EA26
5C094AA02
5C094BA43
5C094DB01
5C094EA04
5C094EA07
5C094JA08
5C094JA13
(57)【要約】
【課題】 表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 導光素子は、第3基材と、前記第3透基材の屈折率より低い屈折率を有する、透明層と、を備え、前記透明層は、前記第1方向に並んで配列される、複数の帯部を有し、前記複数の帯部それぞれは、第1辺、第2辺、及び第3辺を有する三角形状を有し、前記第1辺は、前記第2辺及び前記第3辺より短く、前記第2辺は、前記第3辺より短く、前記第1辺は、第1方向に沿って延伸し、前記第1辺の中心の第1点、及び、前記第2辺及び前記第3辺が交差する第2点を結ぶ仮想線の延伸方向を、前記複数の帯部それぞれの延伸方向とし、前記延伸方向は、第2方向に対して4°傾いており、前記第1辺の長さは、複数の信号線の間隔より短い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、第2基板と、高分子分散液晶を有する液晶層と、を備える、表示パネルと、
複数の発光素子と、
導光素子と、
を備え、
前記第1基板は、
第1基材と、
前記第1基材上に設けられ、第1方向に沿って延伸し、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んで配列される、複数の走査線と、
前記第1基材上に設けられ、前記第2方向に沿って延伸し、前記第1方向に沿って並んで配列される、複数の信号線と、
前記複数の走査線及び前記複数の信号線と電気的に接続された、複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子と電気的に接続された、複数の画素電極と、
を備え、
前記第2基板は、
第2基材と、
前記複数の画素電極と対向する、共通電極と、
を備え、
前記導光素子は、
第3基材と、
前記第3基材の屈折率より低い屈折率を有する、透明層と、
を備え、
前記透明層は、前記第1方向に並んで配列される、複数の帯部を有し、
前記複数の帯部それぞれは、第1辺、第2辺、及び第3辺を有する三角形状を有し、
前記第1辺は、前記第2辺及び前記第3辺より短く、
前記第2辺は、前記第3辺より短く、
前記第1辺は、前記第1方向に沿って延伸し、
前記第1辺の中心の第1点、及び、前記第2辺及び前記第3辺が交差する第2点を結ぶ仮想線の延伸方向を、前記複数の帯部それぞれの延伸方向とし、
前記延伸方向は、前記第2方向に対して4°傾いており、
前記第1辺の長さは、前記複数の信号線の間隔より短い、表示装置。
【請求項2】
前記第1辺の長さは、133.2μmであり、
前記複数の信号線の間隔は、360μmである、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記透明層は、シロキサン系樹脂又はフッ素系樹脂である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第3基材の屈折率は1.5であり、前記透明層の屈折率は1.0乃至1.4である、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子分散液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)を用いて入射光を散乱する散乱状態と入射光を透過する透過状態とを切り替え可能な表示装置が提案されている。PDLCを使用した透明な表示装置には、導光板の端部に光源を配置するエッジライト方式が採用されている。しかし、エッジライト方式をPDLC表示装置に用いると、光源から離れるにつれて表示面の輝度が低下するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、二等辺三角形形状に設けられた低屈折率の透明層を有する導光素子を、液晶パネル上に設ける表示装置が開発されている(特許文献3及び特許文献4参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献3及び特許文献4に示される表示装置では、当該二等辺三角形形状の透明層及び画素の間でモアレを起こしてしまうという、新たな問題が発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-032411号公報
【特許文献2】特開2020-016724号公報
【特許文献3】特開2022-174556号公報
【特許文献4】国際公開第2022/158477号
【特許文献5】国際公開第2022/158478号
【特許文献6】国際公開第2020/022112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態の目的は、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、
第1基板と、第2基板と、高分子分散液晶を有する液晶層と、を備える、表示パネルと、
複数の発光素子と、
導光素子と、
を備え、
前記第1基板は、
第1基材と、
前記第1基材上に設けられ、第1方向に沿って延伸し、前記第1方向に交差する第2方向に沿って並んで配列される、複数の走査線と、
前記第1基材上に設けられ、前記第2方向に沿って延伸し、前記第1方向に沿って並んで配列される、複数の信号線と、
前記複数の走査線及び前記複数の信号線と電気的に接続された、複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子と電気的に接続された、複数の画素電極と、
を備え、
前記第2基板は、
第2基材と、
前記複数の画素電極と対向する、共通電極と、
を備え、
前記導光素子は、
第3基材と、
前記第3基材の屈折率より低い屈折率を有する、透明層と、
を備え、
前記透明層は、前記第1方向に並んで配列される、複数の帯部を有し、
前記複数の帯部それぞれは、第1辺、第2辺、及び第3辺を有する三角形状を有し、
前記第1辺は、前記第2辺及び前記第3辺より短く、
前記第2辺は、前記第3辺より短く、
前記第1辺は、前記第1方向に沿って延伸し、
前記第1辺の中心の第1点、及び、前記第2辺及び前記第3辺が交差する第2点を結ぶ仮想線の延伸方向を、前記複数の帯部それぞれの延伸方向とし、
前記延伸方向は、前記第2方向に対して4°傾いており、
前記第1辺の長さは、前記複数の信号線の間隔より短い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の表示装置の概略的な構成を示す平面図である。
図2図2は、図1に示した表示パネルの概略的な構成を示す断面図である。
図3図3は、表示装置の主要部を示す分解斜視図である。
図4図4は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図5図5は、導光素子の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図6図6は、導光素子の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図7図7は、帯部のピッチを変化させたときのモアレの強度及びピッチのシミュレーション結果である。
図8図8は、帯部の延伸する方向が傾いているとき、モアレが発生しないことを示す図である。
図9図9は、帯部の延伸する方向が傾いていないとき、モアレが発生することを示す図である。
図10図10は、帯部のピッチを変化させたとき、及び、帯部の延伸方向を変えたときに、モアレの発生の様子を示すシミュレーション結果である。
図11図11は、帯部のピッチを変化させたとき、及び、帯部の延伸方向を変えたときに、モアレの発生の様子を示すシミュレーション結果である。
図12図12は、帯部のピッチを変化させたとき、及び、帯部の延伸方向を変えたときに、モアレの発生の様子を示すシミュレーション結果である。
図13図13は、帯部のピッチを変化させたとき、及び、帯部の延伸方向を変えたときに、モアレの発生の様子を示すシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0011】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0012】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0013】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態の表示装置の概略的な構成を示す平面図である。
本実施形態においては、表示装置DSPの一例として、高分子分散型液晶を適用した液晶表示装置について説明する。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、ICチップICPと、配線基板FPC1と、を備えている。
【0015】
表示パネルPNLは、基板SUB1と、基板SUB2と、液晶層LCと、シールSALと、を備えている。基板SUB1及び基板SUB2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。基板SUB1及び基板SUB2は、平面視で、重畳している。基板SUB1及び基板SUB2は、シールSALによって接着されている。液晶層LCは、基板SUB1と基板SUB2との間に保持され、シールSALによって封止されている。
【0016】
図1において拡大して模式的に示すように、液晶層LCは、ポリマーPLMと、液晶分子LCMと、を含む高分子分散型液晶を備えている。一例では、ポリマーPLMは、液晶性ポリマーである。ポリマーPLMは、第1方向Xに沿って延出した筋状に形成されている。液晶分子LCMは、ポリマーPLMの隙間に分散され、その長軸が第1方向Xに沿うように配向される。ポリマーPLM及び液晶分子LCMのそれぞれは、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマーPLMの電界に対する応答性は、液晶分子LCMの電界に対する応答性より低い。
【0017】
一例では、ポリマーPLMの配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子LCMの配向方向は、液晶層LCにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、ポリマーPLM及び液晶分子LCMのそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶層LCに電圧が印加された状態では、ポリマーPLM及び液晶分子LCMのそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内で散乱される(散乱状態)。
【0018】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域NDAと、を備えている。シールSALは、非表示領域NDAに位置している。表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。
【0019】
図1において拡大して示すように、画素PXのそれぞれは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線GL及び信号線SLと電気的に接続されている。
【0020】
複数の走査線GLは、第1方向Xに沿って延伸し、第2方向Yに沿って並んで配列されている(後述する図6参照)。1つの走査線GLは、第1方向Xに並んだ画素PXのそれぞれにおけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。
【0021】
複数の信号線SLは、第2方向Yに平行な方向に沿って延伸し、第1方向Xに沿って並んで配列されている(後述する図6参照)。1つの信号線SLは、第2方向Yに並んだ画素PXのそれぞれにおけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線SLは、走査線GLと交差している。
【0022】
図1及び後述する図6に示すように、複数の画素PXのそれぞれは、隣り合う2つの信号線SL及び隣り合う2つの走査線GLで区画された領域を占めている。つまり、複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yそれぞれに沿って、所定のピッチで配列されている。第1方向Xに沿う画素PXのピッチは、信号線SLのピッチに等しい。第2方向Yに沿う画素PXのピッチは、走査線GLのピッチに等しい。
【0023】
画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEのそれぞれは、共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LC(特に、液晶分子LCM)を駆動している。
【0024】
走査線GL、信号線SL、スイッチング素子SW、画素電極PEは、基板SUB1に備えられている。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0025】
基板SUB1は、第1方向Xに沿って延伸する端部E11及び端部E14、第2方向Yに沿って延伸する端部E12及び端部E13を有している。基板SUB2は、第1方向Xに沿って延伸する端部E21及び端部E24、第2方向Yに沿って延伸する端部E22及び端部E23を有している。
【0026】
図1に示した例では、平面視で、端部E12及び端部E22、端部E13及び端部E23、並びに、端部E14及び端部E24は、それぞれ重畳しているが、重畳していなくてもよい。端部E21は、平面視で、端部E11及び表示領域DAの間に位置している。基板SUB1は、端部E11及び端部E21の間に延伸領域Exを有している。
【0027】
ICチップICP及び配線基板FPC1は、それぞれ延伸領域Exに接続されている。ICチップICPは、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。配線基板FPC1は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。なお、ICチップICPは、配線基板FPC1に接続されていてもよい。ICチップICP及び配線基板FPC1は、表示パネルPNLからの信号を読み出す場合もあるが、主として表示パネルPNLに信号を供給する信号源として機能する。
【0028】
図2は、図1に示した表示パネルの概略的な構成を示す断面図である。
基板SUB1は、基材BA1と、絶縁層INS1と、絶縁層INS2と、容量電極CSEと、スイッチング素子SWと、画素電極PEと、配向膜AL1と、を備えている。基板SUB1は、さらに、図1に示した走査線GL及び信号線SLを備えている。
【0029】
基材BA1は、透光性を有する材料で形成されている。基材BA1は、主面(下面)B1Aと、主面10Aの反対側の主面(上面)B1Bと、を備えている。スイッチング素子SWは、主面B1Bに配置されている。
【0030】
絶縁層INS1は、スイッチング素子SWを覆っている。容量電極CSEは、絶縁層INS1及び絶縁層INS2の間に位置している。画素電極PEは、絶縁層INS2の上において、画素PX毎に配置されている。画素電極PEは、容量電極CSEの開口部OPを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、絶縁層INS2を挟んで、容量電極CSEと重畳し、画素PXの容量CSを形成している。配向膜AL1は、画素電極PEを覆っている。
【0031】
基板SUB2は、基材BA2と、遮光層BMと、共通電極CEと、配向膜AL2と、を備えている。
【0032】
基材BA2は、透光性を有する材料で形成されている。基材BA2は、主面(下面)B2Aと、主面B2Aの反対側の主面(上面)B2Bと、を備えている。基材BA2の主面B2Aは、基材BA1の主面B2Bと向かい合っている。遮光層BM及び共通電極CEは、主面B2Aに配置されている。遮光層BMは、例えば、スイッチング素子SWの直上、及び、図示しない走査線GL及び信号線SLの直上にそれぞれ位置している。
【0033】
共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置され、遮光層BMを直接覆っている。共通電極CEは、画素電極PEと対向している。共通電極CEは、容量電極CSEと電気的に接続されており、容量電極CSEとは同電位である。配向膜AL2は、共通電極CEを覆っている。液晶層LCは、主面B1Bと主面B2Aとの間に位置し、配向膜AL1及び配向膜AL2に接している。
【0034】
基材BA1及び基材BA2は、ガラスやプラスチックなどの絶縁基材である。主面B1A、主面B1B、主面B2A、及び主面B2Bは、X-Y平面とほぼ平行な面である。
【0035】
絶縁層INS1は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、アクリル樹脂などの透明な絶縁材料によって形成されている。一例では、絶縁層INS1は、無機絶縁層及び有機絶縁層を含んでいる。絶縁層INS2は、シリコン窒化物などの無機絶縁層である。
【0036】
容量電極CSE、画素電極PE、及び、共通電極CEは、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。
【0037】
遮光層BMは、例えば、共通電極CEよりも低抵抗な導電層である。一例では、遮光層BMは、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、銀(Ag)などの不透明な金属材料によって形成されている。
【0038】
配向膜AL1及び配向膜AL2は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。一例では、配向膜AL1及び配向膜AL2は、第1方向Xに沿って配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0039】
図3は、表示装置の主要部を示す分解斜視図である。
表示装置DSPは、表示パネルPNLの他に、複数の発光素子LDと、導光素子LGと、を備えている。基板SUB1、基板SUB2、及び、導光素子LGは、この順に第3方向Zに沿って並んでいる。
【0040】
複数の発光素子LDは、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。複数の発光素子LDは、配線基板FPC2に接続されている。発光素子LDは、例えば、発光ダイオードである。発光素子LDは、詳述しないが、赤発光素子、緑発光素子、及び、青発光素子を備えている。発光素子LDから出射される光は、第2方向Yを示す矢印の向きに沿って進行する。
【0041】
導光素子LGは、基材BA3と、透明層LRIと、を備えている。
基材BA3は、透光性を有する材料で形成されている。基材BA3は、ガラスやプラスチックなどの絶縁基材であり、屈折率n1を有している。一例では、基材BA3は、複数の基材を貼り合わせたものではなく、単一基材である。
【0042】
基材BA3は、主面(下面)B3Aと、主面B3Aの反対側の主面(上面)B3Bと、第1側面SS1と、第2側面SS2と、第3側面SS3と、第4側面SS4と、を備えている。主面B3A及び主面B3Bは、X-Y平面とほぼ平行な面である。主面B3Aは、基材BA2の主面B2Bと対向している。
【0043】
第1側面SS1は、複数の発光素子LDと対向している。第1側面SS1及び第4側面SS4は、第1方向Xに延出している。第2側面SS2及び第3側面SS3は、第2方向Yに延出している。第1側面SS1及び第4側面SS4は、互いに対向している。第2側面SS2及び第3側面SS3は、互いに対向している。第2側面SS2及び第3側面SS3は、第1側面SS1と交差している。
【0044】
基材BA3は、後述するように、透明層LRIを挟んで基材BA2に接着される。なお、図3に示す例では、第1側面SS1は、基板SUB2の端部E21の直上に位置しているが、延伸領域Exの直上に位置していてもよいし、端部E11よりもさらに外側に位置していてもよい。
【0045】
透明層LRIは、主面B3Aに配置されている。透明層LRIは、基材BA3の屈折率n1より低い屈折率n2を有している。透明層LRIは、間隔をおいて並んだ複数の帯部BNDを備えている。帯部BNDのそれぞれは、所定の方向に沿って延伸している。隣接する帯部BNDの間では、主面B3Aが露出している。また、透明層LRIは、複数の帯部BNDを囲む枠部FRMを備えている。
【0046】
主面B3Aのうち、複数の帯部BNDが占める領域は、表示領域DAと重畳している。なお、透明層LRIの詳細な形状については後述する。
【0047】
基材BA3は、例えば、ガラスや、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)などの有機材料によって形成されている。透明層LRIは、例えば、シロキサン系樹脂や、フッ素系樹脂などの有機材料によって形成されている。また、基材BA3の屈折率n1は約1.5程度であり、透明層LRIの屈折率n2は1.0乃至1.4程度である。
【0048】
図4は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
発光素子LDから出射した光LTは、基材BA3の第1側面SS1に入射する。第1側面SS1に入射した光LTは、主面B3B及び透明層LRIで反射しながら、基材BA3内部を導光する。主面B3Bは、基材BA3及び空気層との界面である。
【0049】
上述の通り、光LTは、主面B3B及び透明層LRIで反射する。しかし、主面B3Aのうち、透明層LRIが設けられていない領域NLRを通る場合は、領域NLRを通って表示パネルPNLに入射する。なお光LTは、透明層LRIを通って表示パネルPNLに入射することもある。
【0050】
透明層LRIで反射することにより、光LTを、入射面である第1側面SS1から、第1側面SS1に対向する第4側面SS4まで導光させることができる。領域NLRで表示パネルPNLに入射した光LTは、表示パネルPNLの液晶層LCで拡散又は透過する。これにより、表示装置DSPに画像が表示される。
【0051】
発光素子LDからの距離に応じて、透明層LRIの密度を変化させる。具体的には、発光素子LDに近ければ近いほど、透明層LRIの面積が大きくする。これにより、発光素子LDに近い領域では、透明層LRIで反射する光LTの量が、表示パネルPNLに入射する光LTの量より大きくなる。
【0052】
一方、上述の通り、発光素子LDから遠い領域では、透明層LRIの面積が小さくなる。これにより、発光素子LDから遠い領域では、表示パネルPNLに入射する光LTの量の方が、透明層LRIにより反射する光LTの量より大きくなる。
【0053】
これを実現するためには、図3に示すように、透明層LRIを、三角形状の帯部BNDとして設けることが好適である。発光素子LDに近い領域に、当該三角形の底辺を配置する。発光素子LDに遠い領域に、当該三角形の頂点を配置する。
【0054】
上記の構成により、発光素子LDに遠い領域にまで、光LTを導光することができ、表示装置DSPに表示される画像の輝度を均一にすることができる。
【0055】
しかしながら、上述の通り、透明層LRI及び画素PXの間でモアレが発生するという、新たな問題が生じている。以下に図面を参照して詳述する。
【0056】
図5及び図6は、導光素子の概略的な構成の一例を示す平面図である。
導光素子LGに設けられた透明層LRIは、上述したように、複数の帯部BNDと、複数の帯部BNDを囲む枠部FRMと、を備えている。図5には、複数の帯部BNDのみを示している。図6には、複数の帯部BND、複数の画素PX、複数の信号線SL、及び複数の走査線GLのみを示している。図6において、斜線が付されている領域は、1つの画素PXを示している。
【0057】
複数の帯部BNDのそれぞれの形状は、三角形である。当該三角形状の帯部BNDは、点LP、点RP、及び点CPを有している。点LP及び点RPが成す辺を辺THとする。点CP及び点LPが成す辺を辺NHとする。点CP及び点RPが成す辺を辺MHとする。辺THにおいて、点LP及び点RPから等距離にある点を、点HPとする。
【0058】
複数の帯部BNDが第1方向Xに沿って並んで配列されている。複数の帯部BNDの辺THは、第1方向Xに沿って延伸する直線を構成する。図4では、複数の帯部BNDの辺THが成す直線は、第1側面SS1と一致する。ただし、複数の帯部BNDの辺THが成す直線及び第1側面SS1の間に、間隙があっていてもよい。
【0059】
辺NHの長さは、辺MHの長さより長い。辺THの長さは、辺NH及び辺MHの長さより短い。すなわち、辺NH、辺MH、辺THの長さを、それぞれ、長さnh、長さmh、長さthとすると、nh>mh>thが成り立つ。
【0060】
上記より、帯部BNDの形状は、三角形ではあるが、二等辺三角形ではない。点HP及び点CPを結ぶ仮想線を、仮想線ESとする。仮想線ESの延伸する方向を、帯部BNDの延伸する方向とする。帯部BNDの延伸する方向は、第2方向Yに対して角度θで傾いている。
【0061】
点HPを通り、第2方向Yに沿って延伸する仮想線MSは、点CPを通らない。また、頂点である点CPを通り、第2方向Yに沿って延伸する仮想線KSは、点HPを通らない。
【0062】
帯部BNDの延伸する方向が第2方向Yと平行である場合を考える。複数の信号線SLの延伸する方向も第2方向Yに平行な方向である。帯部BNDの延伸する方向及び信号線SLする方向が同じであると、信号線SL及び帯部BNDとの間にモアレが生じる。
【0063】
しかしながら、実施形態の帯部BNDは、第2方向Yに対して角度θ傾いている。これにより、帯部BND及び信号線SLの間に干渉が生じず、モアレが生じない。
【0064】
また本実施形態において、帯部BNDのピッチ及び信号線SLのピッチは、異なっていることが好ましい。帯部BNDのピッチ及び信号線SLのピッチが同じである場合、モアレが発生しやすいからである。
【0065】
本実施形態において、帯部BNDのピッチは、辺THの長さthに相当する。複数の信号線SLのピッチは、信号線SL間の間隔である。
【0066】
本実施形態では、帯部BNDのピッチは、信号線SLのピッチより小さいことが好適である。帯部BNDのピッチ、すなわち辺THの長さthは、例えば、133.2μmが好ましい。一方、複数の信号線SLのピッチ(信号線SLの間隔)は、例えば、360μmである。
【0067】
本実施形態では、帯部BNDのピッチ及び信号線SLのピッチも異なるので、複数の信号線SL及び複数の帯部BNDの間モアレが生じる可能性がより低くなる。帯部BNDの延伸する方向及びピッチを、信号線SLの延伸する方向及びピッチと異ならせることにより、モアレの発生を抑制することが可能である。
【0068】
なお、複数の走査線GLは、第2方向Yに沿って、360μmの間隔で並んで配置されている。つまり、複数の走査線GLのピッチ(走査線GL間の間隔)は、複数の信号線SLのピッチ(信号線SL間の間隔)は、同じである。
【0069】
走査線GL及び帯部BNDの干渉については、信号線SL及び帯部BNDの干渉よりも影響が小さい。走査線GLが延伸する方向は、第1方向Xに平行な方向である。複数の帯部BNDの辺THが成す直線の延伸する方向が、第1方向Xに平行な方向である。しかしながら、帯部BNDの辺THは、第1側面SS1の近傍にのみ存在する。したがって、走査線GL及び帯部BNDの干渉に起因するモアレは生じにくい。
【0070】
図5及び図6に示す複数の帯部BNDの占める領域は、上述の通り、表示領域DAと重畳している。帯部BNDの占める領域は、表示領域DAより大きくてもよい。つまり、複数の帯部BNDそれぞれの第2方向Yに沿う長さは、表示領域DAの第2方向Yに沿う長さ以上である。
【0071】
図7は、帯部のピッチを変化させたときのモアレの強度及びピッチのシミュレーション結果である。上述のように、帯部BNDのピッチは、辺THの長さthに等しい。図7に示すシミュレーションにおいて、上述のように、画素PXのピッチ、すなわち信号線SLどうしの間隔及び走査線GLどうしの間隔を、360μmとする。帯部BNDが延伸する方向は、図5に示すように、第2方向Yに対して、4°傾いている(4° tilt)。
【0072】
図7の横軸は、帯部BNDのピッチ(μm)、左の縦軸は、モアレピッチ(Moire Pitch)(μm)、右の縦軸は、モアレの規格化強度(Normalized Strength)とする。図7において、実線はモアレピッチ、点線はモアレの規格化強度を示している。
【0073】
モアレピッチ(実線)は、0μmに近いほどモアレが視認されない。モアレの規格化強度(点線)も、0に近いほどモアレが視認されない。図7において、モアレピッチ(実線)及びモアレの規格化強度(点線)の両方が0に近いのは、帯部BNDのピッチが133.2μmのときである。したがって、帯部BNDのピッチは、133.2μmが好適である。
【0074】
図8は、帯部の延伸する方向が傾いているとき、モアレが発生しないことを示す図である。図9は、帯部の延伸する方向が傾いていないとき、モアレが発生することを示す図である。図8及び図9は、それぞれ、表示装置DSPを上面から見たときの写真である。
【0075】
図8及び図9において、帯部BNDのピッチは、いずれも133.2μmである。図8において、帯部BNDの延伸する方向は、第2方向Yに対して4°傾いている。一方、図9では、帯部BNDの延伸する方向は、第2方向Yに平行な方向である。すなわち、帯部BNDの延伸する方向が、第2方向Yに対して傾いていない。
【0076】
図8にはモアレが見られない。一方、図9では、複数のスジが確認される。図9には、スジを見易くするために、複数のスジのうちの2つに点線を付している。図8及び図9から、帯部BNDの延伸方向を第2方向Yに対して4°傾けることにより、モアレの発生が抑制されることが分かる。
【0077】
帯部BNDの延伸方向が第2方向Yに対して4°傾いているということは、帯部BNDが成す三角形が、二等辺三角形ではないということである。帯部BNDが二等辺三角形である場合が、図9である。
【0078】
図10乃至図13は、帯部のピッチを変化させたとき、及び、帯部の延伸方向を変えたときに、モアレの発生の様子を示すシミュレーション結果である。図10では、帯部BNDのピッチ133.2μmであり、帯部BNDの延伸方向は、第2方向Yに対して4°傾いている。図11図12、及び図13では、帯部BNDのピッチは、それぞれ、133.2μm、192μm、及び360μmである。図11乃至図13において、帯部BNDの延伸方向は、第2方向Yに平行な方向である。
【0079】
図10及び図11を比較すると、図11には、白い輝点又は白いスジが視認されるが、図10では、そのようなスジは確認されない。すなわち、図10及び図11から、帯部BNDの延伸方向が第2方向Yに対して傾いていると、白いスジ(モアレ)の発生が抑制されることを示している。
【0080】
図11乃至図13を比較すると、図13には、第1方向Xに概略平行な方向に延伸する、幅の広いスジが視認される。図11及び図12を比較すると、図12には、斜めに伸びる白いスジが、一定の間隔をおいて形成されている。図12に示される白いスジは、図11に示される白いスジより、よりはっきりと視認される。
【0081】
図10乃至図13に示されるように、図10において白いスジ(モアレ)の発生は、図11乃至図13よりも抑えられている。つまり、帯部BNDのピッチ133.2μm及び第2方向Yから4°傾いた延伸方向が、モアレの抑制に効果的であることを示している。
【0082】
本発明の表示装置DSPは、表示パネルPNLと、導光素子LGと、を備えている。導光素子LGは、低屈折率の透明層LRIを有している。透明層LRIは、複数の帯部BNDを有している。複数の帯部BNDそれぞれは、二等辺三角形ではない三角形状に形成されている。
【0083】
帯部BNDの底辺である辺THの中心点である点HP、及び、帯部BNDの頂点である点CPを通る仮想線ESの延伸方向を、帯部BNDの延伸方向とする。帯部BNDの延伸方向は、第2方向Yに対して4°傾いていることが好適である。
【0084】
信号線SLの延伸する方向は、第2方向Yと平行な方向である。よって、帯部BNDの延伸方向は、信号線SLの延伸する方向に対して4°傾いているともいえる。
【0085】
帯部BNDのピッチは、信号線SLのピッチと異なることが好ましい。帯部BNDのピッチは、信号線SLのピッチより小さいことが、より好適である。
【0086】
帯部BNDのピッチは、例えば、133.2μmである。信号線SLのピッチは、例えば、360μmである。走査線GLのピッチは、例えば、360μmである。よって、画素PXの第1方向X及び第2方向Yそれぞれにおけるピッチは、例えば、360μmである。
【0087】
帯部BNDを上記のように設けることにより、帯部BND及び信号線SL、換言すると、帯部BND及び画素PXの間に生じるモアレを抑制することが可能である。これにより、表示品質の向上した表示装置DSPを得ることができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
BA3…基材、BND…帯部、CP…点、MS…仮想線、DSP…表示装置、ES…仮想線、GL…走査線、HP…点、KS…仮想線、LG…導光素子、LP…点、LRI…透明層、LT…光、MH…辺、NH…辺、NLR…領域、PNL…表示パネル、PX…画素、RP…点、SL…信号線、SS1…第1側面、SS2…第2側面、SS3…第3側面、SS4…第4側面、TH…辺。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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