(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008901
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】接着剤シート及び表示装置
(51)【国際特許分類】
C09J 7/30 20180101AFI20250109BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20250109BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C09J7/30
G09F9/00 313
G09F9/00 302
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111511
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直久
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5G435
【Fターム(参考)】
4J004BA04
4J004DB03
4J004EA05
4J004FA05
4J004FA08
4J040JA09
4J040LA06
4J040NA17
4J040NA19
5G435AA17
5G435GG43
5G435HH05
(57)【要約】
【課題】 セパレータを接着剤から剥離しやすい接着剤シート及び当該接着剤を備える表示装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る接着剤シートは、接着剤と、第1セパレータと、第2セパレータと、を備えている。前記接着剤は、本体部と、前記本体部から突出する突起と、前記本体部及び前記突起に亘って形成される第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有している。前記第1セパレータは、前記第1面に接着されている。前記第2セパレータは、前記第2面に接着されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部から突出する突起と、前記本体部及び前記突起に亘って形成される第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する接着剤と、
前記第1面に接着される第1セパレータと、
前記第2面に接着される第2セパレータと、
を備える接着剤シート。
【請求項2】
平面視において、前記突起の先端の幅は、前記本体部と前記突起との接続部の幅よりも小さい、
請求項1に記載の接着剤シート。
【請求項3】
前記接着剤と前記第1セパレータとの接着力は、前記接着剤と前記第2セパレータとの接着力よりも小さい、
請求項1に記載の接着剤シート。
【請求項4】
前記第1セパレータは、前記突起の突出方向に位置する第1端部を有し、
前記第2セパレータは、前記突起の突出方向に位置する第2端部を有し、
前記第1セパレータは、平面視において前記第1端部と前記第2端部との間に位置するとともに前記第2セパレータに重畳しない第1領域をさらに有する、
請求項3に記載の接着剤シート。
【請求項5】
前記本体部は、平面視において曲線となる側縁を有し、
前記突起は、前記側縁から突出する、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の接着剤シート。
【請求項6】
画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、
前記表示パネルと対向するカバー部材と、
本体部と、前記本体部から突出する突起と、前記表示パネルに接着されるとともに前記本体部及び前記突起に亘って形成される第1面と、前記カバー部材に接着されるとともに前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する接着剤と、
を備える表示装置。
【請求項7】
平面視において、前記突起の先端の幅は、前記本体部と前記突起との接続部の幅よりも小さい、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記本体部は、平面視において前記表示領域の全面を覆う、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルは、前記表示領域を囲む周辺領域をさらに有し、
前記突起は、前記周辺領域に配置されている、
請求項6乃至8のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、第1辺と、前記表示領域を挟んで前記第1辺の反対側に位置する第2辺と、をさらに有し、
前記周辺領域は、
実装部品を実装するための端子が設けられ、前記第1辺と前記表示領域との間に位置する第1領域と、
前記第2辺と前記表示領域との間に位置する第2領域と、
を有し、
前記突起は、前記第2領域に配置されている、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2辺は、平面視において前記突起の先端に重畳する、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示パネルは、第1辺をさらに有し、
前記周辺領域は、実装部品を実装するための端子が設けられ、前記第1辺と前記表示領域との間に位置する第1領域を有し、
前記突起は、前記第1領域に配置されている、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項13】
前記突起は、前記実装部品と前記表示領域との間に配置されている、
請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、接着剤シート及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な形態の表示装置が提案されている。表示装置の製造過程において表示パネルとカバー部材とを接着するために、例えば接着剤シートが用いられる。接着剤シートは、接着剤の両面にセパレータが接着された構成を有しており、セパレータを剥離することで接着剤の接着面が露出する。
【0003】
しかしながら、セパレータを剥離するときに、セパレータが接着剤から剥離しにくいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-185053号公報
【特許文献2】特開平8-50290号公報
【特許文献3】特開平11―9697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、セパレータを接着剤から剥離しやすい接着剤シート及び当該接着剤を備える表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る接着剤シートは、接着剤と、第1セパレータと、第2セパレータと、を備えている。前記接着剤は、本体部と、前記本体部から突出する突起と、前記本体部及び前記突起に亘って形成される第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有している。前記第1セパレータは、前記第1面に接着されている。前記第2セパレータは、前記第2面に接着されている。
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、表示パネルと、カバー部材と、接着剤とを備えている。前記表示パネルは、画像を表示する表示領域を有している。前記カバー部材は、前記表示パネルと対向している。前記接着剤は、本体部と、前記本体部から突出する突起と、前記表示パネルに接着されるとともに前記本体部及び前記突起に亘って形成される第1面と、前記カバー部材に接着されるとともに前記第1面の反対側に位置する第2面とを有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、表示装置の概略的な構成例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、表示装置が備える他の要素を示す概略的な平面図である。
【
図3】
図3は、突起の概略的な構成例を示す拡大図である。
【
図4】
図4は、
図2のA-A線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、表示装置の製造方法の一例を表すフロー図である。
【
図6】
図6は、接着剤シートの概略的な構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、接着剤シートを剥離装置に配置する工程を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1セパレータを剥離する工程を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1セパレータを剥離する工程を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1セパレータを剥離する工程を説明するための図である。
【
図11】
図11は、接着剤に表示パネルを貼り付ける工程を説明するための図である。
【
図12】
図12は、表示パネルを切断する工程を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第2セパレータを剥離する工程を説明するための図である。
【
図14】
図14は、カバー部材を貼り付ける工程を説明するための図である。
【
図15】
図15は、表示装置の他の構成例を示す平面図である。
【
図16】
図16は、表示装置のさらに他の構成例を示す平面図である。
【
図17】
図17は、接着剤シートの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
図1は、表示装置DSPの概略的な構成例を示す平面図である。表示装置DSPは、発光素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える表示装置であってもよいし、液晶層を有する液晶表示装置や発光ダイオード(LED)を有するLED表示装置であってもよい。
【0012】
表示装置DSPは、表示パネルPNLと、カバー部材30と、実装部品MCとを備えている。本実施形態において、平面視における表示パネルPNL及びカバー部材30の形状はそれぞれ長方形である。ただし、表示パネルPNL及びカバー部材30の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む周辺領域SAと、端子TMとを有している。表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。
【0014】
表示パネルPNLは、第1方向Xに沿って延出する第1辺S1及び第2辺S2と、第2方向Yに沿って延出する第3辺S3及び第4辺S4とを有している。第1辺S1は、端子TM及び実装部品MCが配置される側の辺に相当する。第2辺S2は、表示領域DAを挟んで第1辺S1の反対側に位置している。第3辺S3及び第4辺S4は、第1辺S1と第2辺S2とをそれぞれ接続している。
【0015】
周辺領域SAは、第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3、及び、第4領域AR4を有している。第1領域AR1は、第1辺S1と表示領域DAとの間に位置している。第2領域AR2は、第2辺S2と表示領域DAとの間に位置している。第3領域AR3は、第3辺S3と表示領域DAとの間に位置している。第4領域AR4は、第4辺S4と表示領域DAとの間に位置している。
【0016】
端子TMは、第1領域AR1に設けられている。端子TMには、実装部品MCが実装されている。端子TMは、走査線や信号線などの画素PXを駆動するための配線と電気的に接続されている。
【0017】
カバー部材30は、表示パネルPNLと対向している。カバー部材30は、平面視において表示パネルPNLの全面を覆っている。カバー部材30は、例えばガラスやプラスチックなどの透明な材料で形成されている。また、カバー部材30は、偏光板や位相差板、タッチパネルなどを含んでもよい。
【0018】
実装部品MCは、配線基板1と、ICチップ2とを備えている。配線基板1は端子TMに接続されている。ICチップ2は、配線基板1の上に設けられている。なお、表示パネルPNLは、配線基板1が接続される端子TMとは別の端子を有していてもよく、ICチップ2は、当該端子に直接接続されていてもよい。配線基板1は、例えば折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。ICチップ2は、例えば画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。
【0019】
図2は、表示装置DSPが備える他の要素を示す概略的な平面図である。表示装置DSPは、接着剤ADをさらに備えている。接着剤ADは、表示パネルPNLとカバー部材30とを接着している。接着剤ADは、例えば光の透過性の高い光学接着剤などで形成されている。光学接着剤としては、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)などを用い得る。
【0020】
接着剤ADは、本体部ADaと突起ADbとを有している。本実施形態において、平面視における本体部ADaの形状は、長方形である。ただし、本体部ADaの平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。本体部ADaは、平面視において表示領域DAの全面を覆っている。
図2の例では、本体部ADaは、周辺領域SAの一部も覆っている。
【0021】
突起ADbは、本体部ADaから突出している。
図2の例では、突起ADbは、第2辺S2側の本体部ADaの辺から第2方向Yに突出している。また、
図2において、突起ADbは、第1方向Xにおいて本体部ADaの中心付近に位置している。ただし、突起ADbは、第1方向Xにおいて本体部ADaの中心よりも第3辺S3又は第4辺S4寄りに位置していてもよい。
【0022】
突起ADbは、周辺領域SAに配置されている。本実施形態において、突起ADbは、第2領域AR2に配置されている。なお、突起ADbは、第1領域AR1、第3領域AR3、又は、第4領域AR4に配置されていてもよい。また、接着剤ADは、突起ADbを複数有していてもよい。さらに、複数の突起ADbは、第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3、及び、第4領域AR4のいずれか1つに配置されていてもよいし、2つ以上の領域に分散して配置されていてもよい。
【0023】
図3は、突起ADbの概略的な構成例を示す拡大図である。突起ADbは、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ交差する辺A1,A2を有している。辺A1は、本体部ADaと突起ADbとの接続部A3に対して角度θ1で傾いている。辺A2は、接続部A3に対して角度θ2で傾いている。辺A1と辺A2は、角度θ3を成す。
【0024】
図3においては、角度θ1及び角度θ2は鋭角である。そのため、接続部A3から突起ADbの先端A4に近づくにつれて、第1方向Xに沿った突起ADbの幅WXは小さくなっていく。例えば、角度θ1と角度θ2は等しい。
図3においては、角度θ1、角度θ2、及び、角度θ3はそれぞれ60°である。つまり、
図3の例では、突起ADbは、平面視において正三角形状である。なお、突起ADbの形状は正三角形状に限らない。詳しくは後述するが、突起ADbは、
図18に示すような形状であってもよい。また、接着剤ADは、同じ形状の突起ADbを複数有していてもよく、異なる形状の突起ADbを複数有していてもよい。
【0025】
先端A4の第1方向Xに沿った長さを幅W1と定義し、接続部A3の第1方向Xに沿った長さを幅W2と定義する。例えば、幅W1は幅W2よりも小さい。なお、
図3の例においては先端A4が三角形の頂点に相当するため、幅W1は実質的に零である。ただし、例えば
図18を用いて後述するいくつかの変形例のように、幅W1は零でなくてもよい。
【0026】
図4は、
図2のA-A線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。接着剤ADは、第1面As1と、第1面As1の反対側の第2面As2とをさらに有している。第1面As1および第2面As2は、本体部ADa及び突起ADbに亘って形成されている。第1面As1は、表示パネルPNLに接着されている。第2面As2は、カバー部材30に接着されている。
【0027】
図4の例では、先端A4は、第2方向Yにおいて、第2辺S2よりも表示領域DA側に位置している。また、先端A4は、第2方向Yにおいて、カバー部材30の側辺31よりも表示領域DA側に位置している。先端A4は、平面視において第2辺S2及び側辺31にそれぞれ重畳していなくてもよいし、第2辺S2及び側辺31のうち少なくとも一方に重畳していてもよい。
【0028】
次に、表示装置DSPの製造方法の一例について説明する。
図5は、表示装置DSPの製造方法の一例を表すフロー図である。ここに示す製造方法は、接着剤シートを用意する工程(ステップST1)と、接着剤シートを剥離装置に配置する工程(ステップST2)と、第1セパレータを剥離する工程(ステップST3)と、表示パネルを貼り付ける工程(ステップST4)と、表示パネルを切断する工程(ステップST5)と、第2セパレータを剥離する工程(ステップST6)と、カバー部材を貼り付ける工程(ステップST7)と、を含む。
【0029】
以下、ステップST1乃至ステップST7について
図6乃至
図14を参照しながら具体的に説明する。
図6乃至
図14において、(a)は各工程における平面図をそれぞれ示し、(b)は各工程における側面図をそれぞれ示している。
【0030】
図6は、ステップST1にて用意される接着剤シートADSの概略的な構成例を示す図である。
図6(a)(b)にそれぞれ示すように、接着剤シートADSは、接着剤ADと、第1セパレータSP1と、第2セパレータSP2とを備えている。
図6(a)(b)に示すように、接着剤ADは、上述の本体部ADa、突起ADb、第1面As1、及び、第2面As2を有している。第1セパレータSP1は、第1面As1に接着されている。第2セパレータSP2は、第2面As2に接着されている。
【0031】
第1セパレータSP1は、内面SP1aと、内面SP1aと反対側の外面SP1bとを有している。内面SP1aは、第1面As1に接着されている。第2セパレータSP2は、内面SP2aと、内面SP2aと反対側の外面SP2bとを有している。内面SP2aは、第2面As2に接着されている。接着剤ADと第1セパレータSP1との接着力は、接着剤ADと第2セパレータSP2との接着力よりも小さい。当該接着力は、例えばセパレータの材質や、セパレータの接着面の表面粗さなどによって異なる。第1セパレータSP1及び第2セパレータSP2には、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)などの樹脂材料を用い得る。
【0032】
第1セパレータSP1及び第2セパレータSP2のそれぞれの厚さは、異なっていてもよい。例えば、第2セパレータSP2の厚さは第1セパレータSP1の厚さより大きくてもよい。
【0033】
図6(a)(b)にそれぞれ示すように、第1セパレータSP1は、第1端部SP1eと、延出領域EAとをさらに有している。第2セパレータSP2は、第2端部SP2eをさらに有している。第1端部SP1e及び第2端部SP2eは、接着剤ADに対し、突起ADbの突出方向Dにそれぞれ位置している。延出領域EAは、平面視において第1端部SP1eと第2端部SP2eとの間に位置している。延出領域EAは、平面視において第2セパレータSP2に重畳していない。なお、突出方向Dは、本実施形態においては第2方向Yと反対の方向に相当する。
【0034】
図7は、接着剤シートADSを剥離装置100に配置する工程(ステップST2)を説明するための図である。
図7(a)(b)にそれぞれ示すように、剥離装置100は、ステージ101と、ローラ102と、剥離テープ103とを備えている。ステージ101は、第1載置面101a及び第2載置面101bを有している。第1載置面101a及び第2載置面101bは、X-Y平面に平行な面である。
図7(b)に示すように、第1載置面101aは、第2載置面101bより高い位置に形成されている。
【0035】
ローラ102は、第1方向Xに延出する円柱状に形成されている。剥離テープ103は、ローラ102の表面に接触している。ローラ102が回転することで、剥離テープ103が送られる。剥離テープ103の表面には、例えば接着剤が形成されている。
【0036】
ステップST2の工程においては、延出領域EAにおける内面SP1aが第1載置面101aと接触し、外面SP2bが第2載置面101bと接触するように、接着剤シートADSをステージ101に配置する。ステージ101は、接着剤シートADSを吸着するための吸着機構110をさらに備えている。吸着機構110は、第2載置面101bに通じる複数の吸引穴111を備えている。複数の吸引穴111は、例えば図示しない真空ポンプなどに接続されている。この真空ポンプが稼働することで複数の吸引穴111は真空状態となり、接着剤シートADSがステージ101に固定される。
【0037】
図8乃至
図10は、第1セパレータSP1を剥離する工程を説明するための図である。まず、
図8(a)(b)にそれぞれ示すように、剥離テープ103の表面を第1セパレータSP1の第1端部SP1eに接触させる。
【0038】
続いて、
図9(a)(b)にそれぞれ示すように、剥離テープ103を外面SP1bに接触させながら、ローラ102を回転させつつ第2方向Yに動かす。これにより、第1セパレータSP1は剥離テープ103とともに送られ、接着剤ADから剥離される。
【0039】
続いて、
図10(a)(b)にそれぞれ示すように、ローラ102を第1セパレータSP1の端まで動かし、第1セパレータSP1を接着剤ADから剥離させる。これにより、接着面である第1面As1が露出する。なお、上述のとおり、接着剤ADと第1セパレータSP1との接着力は、接着剤ADと第2セパレータSP2との接着力よりも小さい。したがって、ローラ102を第1セパレータSP1の端まで動かす際に、第2セパレータSP2と接着剤ADが剥離することなく、第1セパレータSP1が接着剤ADから剥離する。
【0040】
図11は、接着剤ADに表示パネルPNLを貼り付ける工程(ステップST4)を説明するための図である。ステップST4の工程においては、
図11(b)に示すように、接着剤ADの第1面As1に表示パネルPNLを貼り付ける。
図11(a)の例では、表示パネルPNLは、平面視において接着剤AD及び第2セパレータSP2よりも大きい。
【0041】
図12は、表示パネルPNLを切断する工程(ステップST5)を説明するための図である。ステップST5の工程においては、
図12(a)(b)にそれぞれ示すように、カットラインCLに沿って表示パネルPNLを切断する。
図12(a)の例では、表示パネルPNLは、第1方向Xに沿った2本のカットラインCLと、第2方向Yに沿った2本のカットラインCLに沿って切断される。4本のカットラインCLは、第2セパレータSP2の外側に設定されている。すなわち、
図12の例においては、カットラインCLと突起ADbが重畳していない。
【0042】
一例では、表示パネルPNLの切断には、
図12(b)に示すようにレーザ装置200が用いられる。レーザ装置200から照射されるレーザ光LZがカットラインCLに沿って走査されることで、表示パネルPNLが切断される。
図12(b)の例では、2台のレーザ装置200を用いているが、1台のレーザ装置200を用いて表示パネルPNLを切断してもよい。
【0043】
図12の例では、表示パネルPNLのみがレーザ光LZによって切断されるが、表示パネルPNLとともに接着剤AD及び第2セパレータSP2がレーザ光LZによって切断されてもよい。その場合、カットラインCLは、平面視において接着剤AD及び第2セパレータSP2に重畳する。
【0044】
図13は、第2セパレータSP2を剥離する工程(ステップST6)を説明するための図である。ステップST6の工程においては、
図13(a)(b)にそれぞれ示すように、第2セパレータSP2を接着剤ADから剥離する。一例では、
図7乃至
図10に示す剥離装置100と同様の構成の剥離装置を用いて第2セパレータSP2を剥離することができる。
図13(b)に示すように、第2セパレータSP2を接着剤ADから剥離することで、接着面である第2面As2が露出する。
【0045】
図14は、カバー部材30を貼り付ける工程(ステップST7)を説明するための図である。ステップST7の工程においては、
図14(b)に示すように、接着剤ADの第2面As2にカバー部材30を貼り付ける。
図14(a)の例では、カバー部材30は、平面視において接着剤AD及び表示パネルPNLよりも大きい。
以上の工程により、表示装置DSPが製造される。
【0046】
本実施形態によれば、
図6に示すように、接着剤シートADSの接着剤ADは、本体部ADaから突出する突起ADbを有している。
図7乃至
図10に示す第1セパレータSP1を剥離する工程において、接着剤ADが突起ADb有しない場合には、第1セパレータSP1は本体部ADaの第1方向Xに沿った辺から剥離される。この場合、第1セパレータSP1を接着剤ADから剥がす剥離力がこの辺の全体に分散され、円滑に第1セパレータSP1を剥離できない可能性がある。
【0047】
一方、本実施形態のように接着剤ADが突起ADbを有する場合には、第1セパレータSP1は先ず先端A4から剥離される。先端A4は本体部ADaの上記辺よりも第1方向Xにおける長さが短い。そのため、先端A4における剥離力は、突起ADbがない場合の上記辺における剥離力よりも大きくなる。これにより、第1セパレータSP1は接着剤ADから剥離しやすくなる。
【0048】
また、
図3に示すように、先端A4の幅W1は、接続部A3の幅W2よりも小さい。これにより、先端A4の幅がより小さくなるため、先端A4における剥離力がより大きくなる。そのため、第1セパレータSP1は接着剤ADからより剥離しやすくなる。さらに、
図3の例においては、突起ADbが先端A4を頂点とした三角形状である。この場合、第1セパレータSP1は、接着剤ADとの剥離ラインの幅が先端A4から漸次増大するように円滑に剥離される。
【0049】
また、第1セパレータSP1は、
図6に示すように平面視において第1端部SP1eと第2端部SP2eとの間に位置するとともに第2セパレータSP2に重畳しない延出領域EAを有している。延出領域EAの一部は、
図7に示すようにステージ101の第1載置面101aに置くことが可能である。これにより、第1セパレータSP1を剥離する際に、ローラ102を第1載置面101aの上の延出領域EAに押し当て、剥離テープ103と第1セパレータSP1を良好に密着させることができる。
【0050】
また、
図2に示すように、本体部ADaは、平面視において表示領域DAの全面を覆っている。これにより、接着剤ADの縁における光の散乱等による表示品位の低下を抑制することができる。
【0051】
また、突起ADbは、端子TM及び端子TMに実装される実装部品MCが設けられる第1領域AR1と反対側の第2領域AR2に配置されている。そのため、突起ADbと実装部品MC及び端子TMとの干渉を防ぐことができる。
【0052】
次に、表示装置DSP、接着剤シートADS、及び、突起ADbの他の構成例について説明する。上述の表示装置DSPと同一又は類似の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0053】
図15は、表示装置DSPの他の構成例を示す平面図である。突起ADbの先端A4は、第1方向Xに沿って延出する辺で構成されている。先端A4は、平面視において第2辺S2に重畳している。
【0054】
図15の表示装置DSPは、
図12に示す表示パネルPNLを切断する工程において、例えば突起ADb上にカットラインCLを設定し、表示パネルPNLとともに突起ADbを切断することで製造することができる。
【0055】
図15の表示装置DSPにおいては、第2領域AR2を狭くすることができる。そのため、表示装置DSPの狭額縁化を図ることができる。その他、
図15の表示装置DSPにおいても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0056】
図16は、表示装置DSPの他の構成例を示す平面図である。突起ADbは、第1領域AR1に配置されている。また、突起ADbは、実装部品MCと表示領域DAとの間(端子TMと表示領域DAの間)に配置されている。
【0057】
図16の表示装置DSPにおいては、
図2及び
図15の表示装置DSPに比べて、第1領域AR1を除く周辺領域SAを狭くすることができる。そのため、表示装置DSPの狭額縁化を図ることができる。その他、
図16の表示装置DSPにおいても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0058】
図17は、接着剤シートADSの他の構成例を示す図である。
図17(a)は接着剤シートADSの平面図を示し、
図17(b)は接着剤シートADSの側面図を示している。本体部ADa、第1セパレータSP1、及び、第2セパレータSP2は、平面視においてそれぞれ円形状に形成されている。本体部ADaは、平面視において曲線となる側縁A5を有している。突起ADbは、側縁A5から突出している。
図17の例では、第1セパレータSP1及び第2セパレータSP2は円形状に形成されているが、矩形状に形成されていてもよい。
図17の接着剤シートADSにおいても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0059】
図18は、突起ADbの他の構成例を示す図である。
図18(a)の突起ADbは、平面視において二等辺三角形状である。図示した例では、先端A4における内角が他の2つの内角より小さい。他の例として、先端A4における内角が他の2つの内角より大きくてもよい。
【0060】
図18(b)(c)の突起ADbは、平面視において接続部A3に対して直角な辺を有する直角三角形状である。
図18(c)の突起ADbは、
図18(b)の突起ADbと対称な形状を有している。
【0061】
図18(d)の突起ADbは、平面視において正方形状である。この場合においては、先端A4の幅W1と接続部A3の幅W2が等しい。なお、突起ADbは、平面視において長方形状であってもよい。
【0062】
図18(e)の突起ADbは、平面視において先端A4が接続部A3に平行で接続部A3より短い台形状である。すなわち、先端A4の幅W1は、接続部A3の幅W2よりも小さい。
【0063】
図18(f)の突起ADbは、平面視において接続部A3から先端A4に向かうにつれて階段状に幅が小さくなる形状である。この形状においても、先端A4の幅W1が接続部A3の幅W2よりも小さい。
【0064】
図18(g)の突起ADbは、平面視において先端A4が丸みを帯びている三角形状である。
【0065】
図18(h)の突起ADbは、平面視において先端A4を含む曲線と、接続部A3に対して直角な2本の辺とを有する形状である。
【0066】
図18(a)~(h)の突起ADbにおいても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。その他にも、突起ADbには種々の形状を適用することが可能である。
【0067】
以上、本発明の実施形態として説明した接着剤シート及び表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての接着剤シート及び表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0068】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0069】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0070】
DSP…表示装置、PNL…表示パネル、30…カバー部材、ADS…接着剤シート、AD…接着剤、ADa…本体部、ADb…突起、A3…接続部、A4…先端、SP1…第1セパレータ、SP2…第2セパレータ、100…剥離装置、200…レーザ装置。