(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008904
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】保持具、キャップ及び保持具の取付方法
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47G29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111514
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】服部 真二
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AB10
3K100AC05
3K100AC06
3K100AD05
3K100AD07
3K100AE01
3K100AF20
3K100AG01
3K100AG03
3K100AG10
3K100AH15
3K100AJ03
(57)【要約】
【課題】美観に優れた保持具を提供すること。
【解決手段】保持具1は、フック部2と、ワイヤWに取り付けられるグリップ3と、グリップ3に被せられるキャップ4と、を備える。グリップ3は、ワイヤWが挿通する第1挿通部31と、グリップ3の外部と第1挿通部31とを連通する第1スリット部32を有する。キャップ4は、ワイヤWが挿通する第2挿通部41と、キャップ4の外部と第2挿通部41とを連通する第2スリット部44と、を有する。フック部2は、キャップ4に設けられている。第2挿通部41には、グリップ3を収容可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を支持する少なくとも一の支持部と、
線状部材が挿通する第1挿通部を有し、前記線状部材に取り付けられるグリップと、
前記線状部材が挿通する第2挿通部を有し、前記グリップに被せられるキャップと、
を備え、
前記グリップは、前記グリップの外部と前記第1挿通部とを連通する第1スリット部を有し、
前記キャップは、前記キャップの外部と前記第2挿通部とを連通する第2スリット部を有し、
前記支持部は、前記キャップに設けられ、
前記第2挿通部には、前記グリップの少なくとも一部を収容可能である、保持具。
【請求項2】
前記支持部と、前記キャップと、は、一体として形成されている、請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記第2スリット部は、前記支持部とは前記第2挿通部を挟んで反対側に設けられている、請求項1又は2に記載の保持具。
【請求項4】
前記第1挿通部は、挿通方向に沿って前記線状部材が挿通され、
前記グリップは、前記グリップの前記線状部材に対する前記挿通方向のうちの少なくとも一方向の移動が制限される制限状態をとることが可能であり、グリップ本体部と、前記グリップ本体部から突出する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記グリップ本体部に対して押し込まれる動作である押込動作と、前記グリップ本体部から引き出される動作である引出動作と、のうちいずれかが可能であり、
前記制限状態は、前記突出部が、前記押込動作と、前記引出動作と、のうちいずれかの動作により解除され、
前記突出部は、前記突出部の少なくとも一部が、前記第2挿通部に収容されており、前記制限状態が解除されるまで動作することを前記キャップにより規制される、請求項1又は2に記載の保持具。
【請求項5】
前記突出部は、前記突出部の全体が、前記第2挿通部に収容される、請求項4に記載の保持具。
【請求項6】
前記キャップは、前記第2挿通部の内周面から突出する内周凸部を有し、
前記内周凸部は、前記第1スリット部に挿入される、請求項1又は2に記載の保持具。
【請求項7】
前記グリップは、前記グリップの外周面から突出する外周凸部を有し、
前記グリップの前記外周凸部は、前記第2スリット部に挿入される、請求項1又は2に記載の保持具。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の保持具の取付方法であって、
前記線状部材を、前記第1スリット部を通じて前記第1挿通部に導入する第1挿通工程と、
前記線状部材を、前記第2スリット部を通じて前記第2挿通部に導入する第2挿通工程と、
前記第2挿通部に前記グリップを導入する被せ工程と、
を含む、保持具の取付方法。
【請求項9】
請求項6に記載の保持具の取付方法であって、
前記被せ工程において、前記内周凸部を前記第1スリット部に導入しつつ、前記第2挿通部に前記グリップを導入する、請求項8に記載の保持具の取付方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の保持具に適用されるキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保持具、キャップ及び保持具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ等の線状部材の中間部に対し、物品を支持する支持部材(例えば、フック)を取り付けるための保持具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の懸吊用ホルダは、ワイヤが挿入される挿入孔を有するホルダ本体と、ホルダ本体の側部に設けられ、棚等の物品を支持する物品支持部と、を備える。ホルダ本体には、スリットが形成されている。当該スリットを通じて、張設後のワイヤの長さ方向の中間部を、挿入孔の内部へと導入することができる。ホルダ本体は、その上部のみを回転させることが可能となっている。当該回転により、スリットを分断させることができる。これにより、ホルダ本体が、ワイヤから脱落しないようにすることができる。このように、当該懸吊用ホルダは、ワイヤが張設された後であっても、当該ワイヤの長さ方向の中間部に取り付け可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の懸吊用ホルダは、全体のまとまりに欠けたデザインとなっており、美観の点で改善の余地がある。
【0006】
本開示は、美観に優れた保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、物体を支持する支持部と、線状部材が挿通する第1挿通部を有し、前記線状部材に取り付けられるグリップと、前記線状部材が挿通する第2挿通部を有し、前記グリップに被せられるキャップと、を備え、前記グリップは、前記グリップの外部と前記第1挿通部とを連通する第1スリット部を有し、前記キャップは、前記キャップの外部と前記第2挿通部とを連通する第2スリット部を有し、前記支持部は、前記キャップに設けられ、前記第2挿通部には、前記グリップの少なくとも一部を収容可能である、保持具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る保持具の使用例を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係るグリップを示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るキャップをフック部側から見た図である。
【
図4】第1実施形態に係るキャップを、フック部に対して第2挿通部を挟んだ反対側から見た図である。
【
図5】第1実施形態に係るキャップを第1挿通方向側から見た図である。
【
図6】第1実施形態に係るキャップを第2挿通方向側から見た図である。
【
図7】第1実施形態に係る保持具の挿通方向に沿った断面を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る保持具の挿通方向と垂直な方向に沿った断面を示す図である。
【
図9】第1挿通工程にてグリップがワイヤに配置された状態を示す概略図である。
【
図10】第2挿通工程にてキャップがワイヤに配置された状態を示す概略図である。
【
図11】第3挿通工程にてグリップにキャップが被せられた状態を示す概略図である。
【
図12】第2実施形態に係る保持具の使用例を示す概略図である。
【
図13】第2実施形態に係るキャップの斜視図である。
【
図14】第2実施形態に係るキャップを、その第2収容空間側の端部側から見た図である。
【
図15】実施形態に係るグリップと、第2実施形態に係るキャップとがワイヤに配置された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態の構成について、
図1~
図8を参照しつつ説明する。
【0010】
図1に示すように、建物の部屋101は、天井部102と、床部103と、内壁部104と、を備える。部屋101は、天井部102と、床部103と、内壁部104とにより囲まれて形成されている。
【0011】
部屋101には、線状部材としてのワイヤWが設けられている。ワイヤWは、上下方向に延び、詳しくは、垂直方向に延びている。ワイヤWは、内壁部104に近接して設けられている。ワイヤWの長さ方向の各端部は、固定具Fにより内壁部104に固定されている。なお、線状部材は、ワイヤには限定されない。
【0012】
ワイヤWの長さ方向の中間部には、物体を吊持するフック部2を備える保持具1が取り付けられている。フック部2には、例えば、紐付きの植木鉢Pを吊り下げることができる。これにより、部屋101の美観を高めることができる。なお、フック部2は、支持部に相当する。
【0013】
保持具1は、ワイヤWに対して取り付け可能なグリップ3と、グリップ3に被せられるキャップ4と、を備える。
【0014】
図2に示すように、グリップ3は、第1挿通部31と、第1スリット部32と、グリップ本体部33と、突出部34と、を有する。
【0015】
第1挿通部31は、グリップ3を貫通して設けられている。ワイヤWは、第1挿通部31を挿通する。以下において、ワイヤWが第1挿通部31を挿通する方向を、「挿通方向」という。挿通方向のうち、一の方向を「第1挿通方向」といい、他の方向を「第2挿通方向」という。本実施形態において、第1挿通方向は、上方向であり、第2挿通方向は、下方向である。
【0016】
第1スリット部32は、挿通方向に延びるスリットである。第1スリット部32は、グリップ3の挿通方向の全域に亘って延びている。第1スリット部32は、グリップ3の外部と、第1挿通部31とを、挿通方向と直交する方向に連通して設けられている。なお、第1スリット部32の幅寸法は、ワイヤWが第1スリット部32を通過可能に設定される。
【0017】
グリップ本体部33は、挿通方向に延びる略円筒状をなしている。また、第1挿通部31は、グリップ本体部33を貫通している。第1スリット部32は、グリップ本体部33の挿通方向の全域に亘って延びている。
【0018】
突出部34は、グリップ本体部33から突出して設けられ、詳しくは、グリップ3の第1挿通方向の端部から第1挿通方向に突出して設けられている。突出部34は、挿通方向に延びる略円筒状をなしている。突出部34は、挿通方向に見て、グリップ本体部33よりも小さく形成されている。第1挿通部31は、突出部34を貫通している。第1スリット部32は、突出部34の挿通方向の全域に亘って延びている。
【0019】
突出部34は、グリップ本体部33に対して押し込まれる動作である押込動作が可能となっている。グリップ3は、後述する付勢部材により、第1挿通方向に付勢されている。このため、突出部34は、外部から力が作用していない場合には、グリップ本体部33から突出している。なお、以下において、突出部34がグリップ本体部33に対して押し込まれていない場合を「通常時」ということがあり、突出部34がグリップ本体部33に対して押し込まれている場合を「押込時」ということがある。
【0020】
グリップ3は、グリップ3のワイヤW上での移動を制限可能なストッパ機構(図示略)を有する。ストッパ機構は、第1挿通部31の内周面に露出可能に設けられワイヤWを挟持可能な複数のボールと、第1挿通部31に隣接して設けられ、複数のボールを収容可能なボール収容部と、複数のボールの第2挿通方向側に設けられ、複数のボールを第1挿通方向に付勢する付勢部材と、を有する。ボール収容部は、第1挿通方向側から第2挿通方向側にかけて拡径するテーパ状に形成されている。複数のボールは、付勢部材により第1挿通方向に付勢され、ボール収容部の第1挿通方向側の領域に位置している場合、ワイヤWを挟みつけている。
【0021】
なお、付勢部材の付勢力は、突出部34にも伝達する。このため、上述したように、突出部34は、付勢部材により第1挿通方向に付勢されている。
【0022】
通常時には、ワイヤWが挿通している状態のグリップ3が、ワイヤW上で第2挿通方向に移動しようとした場合、ボールは、ボール収容部の第1挿通方向側の領域において、ワイヤWを挟みつけている。このため、グリップ3は、ワイヤW上での第2挿通方向への移動を制限されている。
【0023】
通常時には、ワイヤWが挿通している状態のグリップ3が、ワイヤW上で第1挿通方向に移動しようとした場合、ボールは、ボール収容部の第2挿通方向側の領域に移動する。そうすると、ボール収容部は、第1挿通方向側から第2挿通方向側にかけて拡径しているため、ボール同士は互いに離間し、ボールがワイヤWを挟む力が小さくなる。このため、グリップ3は、ワイヤW上で第1挿通方向に移動させることができる。
【0024】
グリップ3が、ワイヤW上での移動を挿通方向のうち少なくとも一方の方向について制限されている状態を「制限状態」という。通常時には、ワイヤWに挿通されたグリップ3は、ワイヤW上での第2挿通方向への移動が制限されており、且つワイヤW上での第1挿通方向への移動が許容されている。このため、通常時には、グリップ3は、制限状態となっている。
【0025】
また、突出部34は、突出部34がグリップ本体部33側に押し込まれると、ボールを第2挿通方向に押し込む。ボールは、押込時には、ボール収容部の第2挿通方向側の領域に移動する。このため、押込時には、ワイヤWに挿通されたグリップ3は、ワイヤW上での第1挿通方向への移動と、ワイヤW上での第2挿通方向への移動とが、いずれも許容されている。換言すると、押込時には、グリップ3は、制限状態が解除された状態をとることができ、制限状態は、押込動作により解除される。なお、グリップ3の制限状態が解除されている状態を「許容状態」ということがある。また、グリップ3は、押込時であっても、突出部34がグリップ本体部33側に押し込まれた距離が、所定の基準距離に達しない場合には、許容状態にはならない。このため、グリップ3は、突出部34の押し込みが僅かである場合には、必ずしも許容状態にはならない。
【0026】
なお、グリップ3は、制限状態となっている場合には、ワイヤWが第1スリット部32を通過できない状態となり、許容状態となっている場合には、ワイヤWが第1スリット部32を通過できる。このため、第1スリット部32を通じてワイヤWを第1挿通部31に出し入れすることは、通常時には制限され、押込時には許容される。
【0027】
図3~
図6に示すように、キャップ4は、第2挿通部41と、第2スリット部44と、を有する。
【0028】
第2挿通部41は、キャップ4を貫通して形成されている。第2挿通部41には、ワイヤWが挿通している。したがって、挿通方向は、ワイヤWが第2挿通部41を挿通する方向でもある。また、キャップ4は、例えば、挿通方向に延びる略円筒状をなしている。ただし、キャップ4の形状は、これに限定されるものではない。
【0029】
図1、
図7及び
図8に示すように、第2挿通部41は、グリップ3の少なくとも一部を収容可能となっている。第2挿通部41には、グリップ3を第1挿通方向に導入可能となっている。換言すると、キャップ4は、グリップ3を第1挿通方向側から覆うようになっている。
【0030】
第2挿通部41は、第1収容空間42と、第2収容空間43と、を有する。第1収容空間42と、第2収容空間43とは、この順で第1挿通方向に並んでおり、互いに連通している。
【0031】
第1収容空間42は、第2挿通方向側に開口している。第1収容空間42は、円筒状に形成されている。第1収容空間42の形状及び寸法は、グリップ本体部33の形状及び寸法と略同一となっており、詳しくは、若干大きくなっている。
【0032】
第2収容空間43は、第1挿通方向側に開口している。第2収容空間43は、第1収容空間42よりも小さな円筒状をなしている。第2収容空間43の形状及び寸法は、突出部34の形状及び寸法と略同一となっており、詳しくは、第2収容空間43の挿通方向の寸法は、突出部34よりも若干小さくなっており、第2収容空間43の挿通方向と垂直となる方向の寸法は、突出部34よりも若干大きくなっている。
【0033】
第2挿通部41にグリップ3を収容すると、第1収容空間42には、グリップ本体部33が収容され、第2収容空間43には、突出部34が収容される。グリップ本体部33は、その全体が、第2挿通部41(第1収容空間42)の内部に収まっている。キャップ4は、グリップ本体部33の第1挿通方向側の面に被さっている(
図7参照)。このため、キャップ4は、グリップ3に対して第2挿通方向には移動しない。
【0034】
突出部34は、その少なくとも一部が、第2挿通部41(第2収容空間43)の内部に収容されている。これにより、突出部34を物体との接触から保護することができるため、突出部34が、意図せずグリップ本体部33側に押し込まれてしまうのを抑制することができる。突出部34は、詳しくは、その一部がキャップ4から突出している。突出部34のキャップ4からの突出寸法は、基準距離よりも小さくなっている。換言すると、突出部34のキャップ4からの突出寸法は、突出部34が、グリップ3が許容状態をとるまでグリップ本体部33側に押し込まれない範囲となっている。この場合、突出部34は、制限状態が解除されるまで動作することをキャップ4により規制されている。これにより、グリップ3が意図せず許容状態となってしまうのを抑制することができる。
【0035】
なお、突出部34は、その全体が、キャップ4(第2挿通部41)の内部に収容されていてもよい。これにより、突出部34を物体との接触からより好適に保護することができる。
【0036】
フック部2は、キャップ4に設けられている。フック部2は、丸みを帯びたL字状に形成されている。フック部2は、キャップ4の第2挿通方向側の端部から挿通方向と交差する方向に延び、中間部にて第1挿通方向に曲げられている。
【0037】
キャップ4と、フック部2とは、一体として形成されている。これにより、キャップ4と、フック部2との外観を、統一化することができるため、保持具1の美観を向上させることができる。キャップ4と、フック部2とは、例えば、樹脂により形成される。ただし、キャップ4及びフック部2の素材は、これに限定されるものではなく、例えば、木材、金属、石材等であってもよい。
【0038】
なお、キャップと、フックとは、必ずしも一体として形成されていなくてもよい。ただし、キャップと、フックとは、材質や色彩等が統一されていることが好ましい。これにより、それらの外観を統一することができるため、保持具1の美観を向上させることができる。
【0039】
第2スリット部44は、挿通方向に延びるスリットである。第2スリット部44は、キャップ4の挿通方向の全域に亘って延びている。第2スリット部44は、キャップ4の外部と、第2挿通部41とを、挿通方向と直交する方向に連通して設けられている。なお、第2スリット部44の幅寸法は、ワイヤWが第2スリット部44を通過可能に設定される。
【0040】
第2スリット部44は、フック部2とは、第2挿通部41を挟んで反対側に設けられている。
【0041】
また、キャップ4は、第2挿通部41の内周面から突出する内周凸部45を有する。内周凸部45は、挿通方向に延びる突条として形成されている。グリップ3にキャップ4を被せた場合、内周凸部45は、第1スリット部32に挿入されている(
図8参照)。これにより、キャップ4が、グリップ3を中心として回転してしまうのを抑制することができるため、フック部2の向きを容易に定めることができる。内周凸部45は、第2挿通部41の内周面のうち、第2スリット部44と対向する部分に設けられていることが好ましい。ただし、これに限定されるものではない。内周凸部45は、突条として形成されている必要はなく、例えば、スパイク状であってもよい。
【0042】
続いて、保持具1を、ワイヤWに取り付ける方法について、
図9~
図11を参照しつつ説明する。なお、ワイヤWは、長さ方向の両端部が内壁部104に対して予め固定されている。当該内壁部104の内壁面を正面から見た場合の手前側を「手前側」といい、奥側を「奥側」ということがある。
【0043】
まず、
図9に示すように、グリップ3をワイヤW上に配置する。ワイヤWを、第1スリット部32を通じて、第1挿通部31に導入する(第1挿通工程)。この際、突出部34をグリップ本体部33側に押し込みつつ、第1スリット部32を通じて、ワイヤWを第1挿通部31に導入する。その後、突出部34を押し込んだままで、グリップ3の位置を調整する。突出部34から手指を離すと、突出部34は、突出状態に復帰し、グリップ3は、制限状態をとる。グリップ3は、突出部34が第1挿通方向(すなわち、上方向)を向く向きでワイヤWに取り付けられる。グリップ3は、第2挿通方向(すなわち、下方向)への移動が制限されているため、自重で下降してしまうことが抑制されている。このように、グリップ3は、ワイヤWを張設した後であっても、当該ワイヤWに取り付け可能となっている。
【0044】
次いで、
図10に示すように、キャップ4をワイヤW上に配置する。ワイヤWを、第2スリット部44を通じて第2挿通部41に導入する(第2挿通工程)。キャップ4は、第2収容空間43側の端部が下方に位置する向きで、グリップ3よりも上方に配置される。このように、ワイヤWを張設した後であっても、キャップ4(第2挿通部41)にワイヤWを導入することができる。なお、
図8においては、便宜上、第2スリット部44が手前側を向くようにワイヤWがねじられた状態を示している。
【0045】
次いで、
図11に示すように、第2挿通部41にグリップ3を導入し、キャップ4をグリップ3に被せる(被せ工程)。ワイヤWが第1挿通部31及び第2挿通部41を挿通した状態で、キャップ4をグリップ3側(下方向)に移動させて、第2挿通部41にグリップ3が導入された状態とする。この際、内周凸部45が、第1スリット部32の上端部を通じて、第1スリット部32に導入されるようにする。これにより、グリップ3にキャップ4が被さった状態となり、保持具1が完成する。このように、ワイヤWの端部が壁面等に固定された後であっても、保持具1をワイヤWに取り付けることができる。
【0046】
なお、グリップ3は、通常時においても、ワイヤW上で上方向に移動可能となっている。このため、グリップ3は、キャップ4が被せられていても、上方向に移動可能となっている。これにより、保持具1の取り付けに際しては、保持具1(グリップ3)をワイヤW上の所望の位置より下方に取り付けて、その後に位置の調整を行うようにしてもよい。また、保持具1をワイヤW上で下方向に移動させる場合には、グリップ3からキャップ4を一旦外し、突出部34を押しつつグリップ3を移動させ、その後、グリップ3にキャップ4を被せるようにする。
【0047】
保持具1においては、グリップ3の全体が、キャップ4の内部に収まっている。このため、保持具1は、すっきりとした外観となっており、美観に優れたものとなっている。
【0048】
キャップ4は、例えば、フック部2が手前側を向いた状態で使用される。その場合、第2スリット部44は、奥側を向いている。これにより、第2スリット部44がユーザから見えてしまうのを抑制することができるため、保持具1の美観を向上させることができる。
【0049】
なお、フック部2と、第2スリット部44とは、第2挿通部41を挟んで反対側に設けられている。内周凸部45は、第2挿通部41の内周面のうち第2スリット部44と対向する領域に設けられている。このため、フック部2が手前側を向くように、保持具1をワイヤWに取り付ける場合、グリップ3を、第1スリット部32が手前側に位置する向きでワイヤWに取り付ける。そして、内周凸部45を第1スリット部32に挿入すると、キャップ4は、フック部2が手前側を向き、第2スリット部44が奥側を向いている。このように、使用時におけるキャップ4の向きを容易に定めることができる。
【0050】
本実施形態の保持具1によれば、以下の効果が奏される。
【0051】
・本実施形態によれば、フック部6は、キャップ4に設けられている。これにより、保持具1の外観を、すっきりとさせることができる。
【0052】
また、第2挿通部41には、グリップの少なくとも一部を収容可能である。これにより、グリップ3にキャップ4を被せることができるため、グリップ3を目立ちにくくすることができる。
【0053】
したがって、美観に優れた保持具1を提供することができる。
【0054】
・本実施形態によれば、グリップ3は、ワイヤWが挿通する第1挿通部31と、グリップの外部と第1挿通部とを連通する第1スリット部32を有する。これにより、グリップ3は、ワイヤWの端部が壁面等に固定された状態であっても、当該ワイヤWに取り付け可能となっている。
【0055】
また、キャップ4は、ワイヤWが挿通する第2挿通部41と、キャップ4の外部と第2挿通部とを連通する第2スリット部44と、を有する。これにより、ワイヤWの端部が壁面等に固定された状態であっても、キャップ4(第2挿通部41)にワイヤWを導入することができる。
【0056】
また、ワイヤW上のキャップ4は、グリップ3側に移動させることで、グリップ3に被せることができる。
【0057】
したがって、ワイヤWに取り付け可能な保持具1を提供することができる。また、ワイヤWの端部が壁面等に固定された状態であっても、当該ワイヤWに対して保持具1を取り付けることができる。
【0058】
・本実施形態によれば、フック部2と、キャップ4と、は、一体として形成されている。これにより、キャップ4の外観と、フック部2の外観とを、より好適に統一化することができるため、保持具1の美観をより向上させることができる。
【0059】
・本実施形態によれば、第2スリット部は、フック部2とは第2挿通部41を挟んで反対側に設けられている。キャップ4は、例えば、フック部2が手前側を向いた状態で使用される。その場合、第2スリット部44は、奥側を向いている。これにより、第2スリット部44がユーザから見えてしまうのを抑制することができるため、保持具1の美観を向上させることができる。
【0060】
・本実施形態によれば、突出部34は、その一部が、第2挿通部41に収容されている。これにより、突出部34を物体との接触から保護することができるため、突出部34が、意図せずグリップ本体部33側に押し込まれてしまうのを抑制することができる。
【0061】
また、グリップ3は、押込時であっても、突出部34がグリップ本体部33側に押し込まれる距離が、所定の基準距離に達しない場合には、許容状態にならない。突出部34のキャップ4からの突出寸法は、基準距離よりも小さくなっている。この場合、突出部34は、制限状態が解除されるまで動作することをキャップ4により規制されている。これにより、グリップ3が意図せず許容状態となってしまうのを抑制することができる。
【0062】
・本実施形態によれば、キャップ4は、第2挿通部41の内周面から突出する内周凸部45を有し、内周凸部45は、第1スリット部32に挿入されている。これにより、キャップ4が、グリップ3を中心として回転してしまうのを抑制することができるため、フック部2の向きを定め易くすることができる。
【0063】
(第2実施形態)
以下、本開示の第2実施形態について、
図12~
図15を参照しつつ説明する。第1実施形態との相違点を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図12に示すように、ワイヤWは、内壁部104に沿って設けられている。以下において、当該内壁部104の内壁面を正面から見た場合の左右方向を、「左右方向」とする。ワイヤWは、左右方向に張られている。
【0065】
第2実施形態に係る保持具5は、左右方向に張られたワイヤWに取り付けることが想定されている。ワイヤWは、第1挿通部31を左右方向に挿通している。よって、本実施形態において、挿通方向は、左右方向である。
【0066】
図13~
図15に示すように、第2実施形態においては、フック部6は、J字状に形成されている。フック部6は、キャップ7の外面から挿通方向と直交する方向に延び、中間部にて逆方向に曲げられている。第2スリット部74は、フック部6と第2挿通部71を挟んで反対側に配置されている。
【0067】
第2実施形態においては、ワイヤWが挿通している状態のキャップ7は、フック部6の自重により、フック部6が設けられている側が下方を向いている。このため、第2スリット部74は、上方に向けて開口している。この場合、保持具5を下方から見上げた場合に、第2スリット部74が見えてしまうのを抑制することができるため、保持具5の美観を向上させることができる。
【0068】
なお、第2スリット部74は、第2挿通部71から見てフック部6と同じ方向に設けられていてもよい。その場合、保持具5を上方から見下ろした場合に、第2スリット部74が見えてしまうのを抑制することができる。また、保持具5の高さ位置によって、第2スリット部74の位置が異なる保持具5を使い分けるようにしてもよい。
【0069】
第2実施形態においては、キャップ7には、内周凸部は設けられていない。挿通方向が左右方向である場合、フック部6の向きは、フック部6の自重によって下方に定まる。このため、キャップ7に内周凸部が設けられていなくても、フック部6は所望の方向を向く。したがって、内周凸部は必須の構成ではない。なお、キャップ7に内周凸部を設けることも可能である。
【0070】
なお、キャップ7の重心は、キャップ7の第2収容空間73側の端部寄りの領域に位置していることが好ましい。これにより、キャップ7が、その第1収容空間72側の端部が下方を向くように傾いてしまうのを抑制することができるため、キャップ7のずれを抑制することができる。また、保持具5は、ワイヤWが斜めに張設されている場合には、第1収容空間72よりも第2収容空間73が上方に位置する向きでワイヤWに取り付けられる。これにより、キャップ7のずれを抑制することができる。
【0071】
本実施形態の保持具5によれば、挿通方向が左右方向であっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0073】
・上記第1実施形態では、キャップ4が内周凸部45を有していたが、グリップが、グリップの外周面から突出する外周凸部を有し、グリップを第2挿通部に収容した場合、外周凸部が、第2スリット部に挿入されるようにしてもよい。かかる構成によっても、キャップがグリップを中心に回転してしまうのを抑制することができる。
【0074】
・上記各実施形態では、グリップは、円柱状に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、グリップの外周形状が、挿通方向に見て多角形状をなすようにしてもよい。その場合、第2挿通部の内部空間の外周形状が、挿通方向に見て多角形状をなすようにするとよい。これにより、キャップがグリップを中心に回転してしまうのを抑制することができる。
【0075】
・上記各実施形態では、グリップ3は、通常時には制限状態となっており、突出部34がグリップ本体部33側に押し込まれることにより、制限状態が解除されるものであったが、これに限定されるものではない。グリップは、突出部がグリップ本体部から引き出されることにより、制限状態を解除されるものであってもよい。すなわち、突出部は、グリップ本体部から引き出される動作である引出動作が可能であってもよく、制限状態は、突出部の引出動作により解除されるものであってもよい。
【0076】
その場合、例えば、突出部は、グリップ本体部の第2挿通方向側の面から突出している。突出部は、付勢部材により第1挿通方向側に付勢されている。このため、突出部は、付勢部材の付勢力により、グリップ本体部側に引き込まれている。この際、突出部は、ボールを、ボール収容部の第1挿通方向側の領域に押している。ボール収容部は、上記各実施形態と同様、第1挿通方向側から第2挿通方向側にかけて拡径するテーパ状に形成されている。このため、ボールは、ボール収容部の第1挿通方向側の領域に移動すると、互いに接近して線状部材を挟みつける。これにより、グリップは、制限状態となっている。
【0077】
かかるグリップは、第2挿通方向が下方向となる向きで、線状部材に取り付けられる。このため、突出部が、グリップ本体部から付勢部材の付勢力に抗して引き出されると、ボールは、その自重により、ボール収容部の第2挿通方向側の領域に移動する。そうすると、ボールは、互いに離間するとともに、線状部材を挟みつける力が小さくなる。これにより、グリップは、制限状態を解除される。かかる構成のグリップによれば、突出部に物体が接触したとしても、グリップの制限状態は、容易には解除されない。したがって、グリップが線状部材から脱落してしまうのを抑制することができる。
【0078】
グリップにキャップ4が被せられた場合、突出部は、その全体が、第2挿通部41の外方に位置していてもよい。その場合、突出部がキャップ4から露出しているため、突出部は、グリップにキャップ4を被せたままでも容易に操作可能である。
【0079】
ただし、突出部は、その少なくとも一部が、第2挿通部41に収容されるようにしてもよい。その場合、突出部がキャップ4により覆われるため、保持具の美観を向上させることができる。
【0080】
・上記各実施形態では、支持部は、物体を吊持するフック部であったが、これに限定されるものではない。支持部は、物体を支持可能なものであればよく、例えば、物体を挿入可能な孔を有する部材であってもよいし、物体を載置可能な載置部を有する部材であってもよいし、それらを組み合わせたものであってもよい。また、保持具(支持部)は、1の物体を複数の保持具(支持部)により支持可能なものであってもよい。
【0081】
・上記各実施形態では、1の保持具は、1の支持部を備えていたが、これに限定されるものではない。1の保持具は、複数の支持部を備えていてもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、キャップは、挿通方向に延びる略円筒状をなしていたが、これに限定されるものではない。キャップは、素材、形状、色彩等を適宜変更可能である。支持部についても同様である。このため、様々なデザインの支持部及びキャップを用意して、保持具が使用される部屋の内装や、ユーザの好み等に合わせて使い分けるようにすることができる。このように、グリップを共通化しつつ、保持具のデザインの自由度を高めることができる。また、支持部及びキャップを交換するだけで、保持具のデザインを容易に変更することができる。
【符号の説明】
【0083】
1,5:保持具、2,6:支持部としてのフック部、3:グリップ、4,7:キャップ、31:第1挿通部、32:第1スリット部、33:グリップ本体部、34:突出部、41,71:第2挿通部、44,74:第2スリット部、45:内周凸部、W:線状部材としてのワイヤ。