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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008911
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20250109BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65G1/04 505Z
B65G1/137 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111533
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】藤木 淳一
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022CC02
3F022EE01
3F022EE02
3F022EE05
3F022FF02
3F022JJ09
3F022LL12
3F022LL14
3F022MM03
3F022MM05
3F022MM13
3F022MM57
3F022QQ17
3F522AA02
3F522BB28
3F522BB36
3F522CC07
3F522FF04
3F522FF37
3F522FF38
3F522GG04
3F522GG32
3F522JJ03
3F522KK03
3F522LL57
3F522LL59
(57)【要約】
【課題】受け部材を定点で清掃できる自動倉庫を提供する。
【解決手段】自動倉庫1は、複数の間口4を有するラック2と、ラック2との間で物品Aを移載するスタッカークレーン10と、を備える。間口4は、物品Aが載置される載置部5と、載置部5の下方の位置に設けられた支持部6と、支持部6によって支持されるダストパン8と、を有する。ダストパン8は、スタッカークレーン10によって支持部6から取り外し可能であり、また支持部6に取り付け可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の間口を有するラックと、
前記ラックとの間で物品を移載する搬送装置と、を備え、
前記間口は、
前記物品が載置される載置部と、
前記載置部の下方の位置に設けられた支持部と、
前記支持部によって支持される受け部材と、を有し、
前記受け部材は、前記搬送装置によって前記支持部から取り外し可能であり、前記支持部に取り付け可能である、自動倉庫。
【請求項2】
前記搬送装置によって搬送可能な位置に、前記受け部材を清掃するための清掃ステーションを更に備える、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
コントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記受け部材の清掃履歴を記憶する記憶部を有し、前記清掃履歴に基づいて清掃対象の前記受け部材を決定する、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記コントローラは、清掃対象の前記受け部材の下方に位置する載置部に前記物品が保管されていることを検出した場合に、当該受け部材を載置部から取り外すよりも前に、当該受け部材の下方に存在する当該物品を移動させるよう前記搬送装置を制御する、請求項3に記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記載置部が設けられた前記間口とは異なる位置に設けられ、前記受け部材を複数保管可能な保管部を更に備える、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【請求項6】
前記搬送装置は、前記受け部材を前記支持部から取り外すよりも前に、前記受け部材の下方に存在する物品を移動させる、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫において、ラックの物品収納棚の上を清掃する技術が知られている。特許文献1に記載された清掃装置は、スタッカークレーンのスライドフォークに取り付けられた基枠と、基枠に設けられた掃出具とを有する。物品が存在しない(保管されていない)棚に対して、スライドフォークを前後に移動させ、掃出具の下端を物品支承片に当接させることにより清掃が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-061814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動倉庫のラックにおいて、物品収納棚とは別にダストパンが設けられる場合がある。ダストパンは、例えば、物品収納棚の真下に設けられて、スライドフォーク、又は物品に起因して生じる塵埃等の異物を受ける。このような自動倉庫において、ダストパン(受け部材)は、支持部材の上に置かれ、通常固定される。ダストパンに異物が蓄積した場合には、例えば作業者がダストパンにアクセスし、手動でダストパンの清掃を実施する。
【0005】
このような構成を採用した場合、作業者は、スタッカークレーンのタラップ等を利用して各棚(詳細には上記支持部材)にアクセスしなければならない。複数のダストパンを清掃する場合には、作業者は、棚から棚へと移動する必要もある。スタッカークレーンを手動運転することは容易ではなく、かつ工数の増大につながる。ダストパンを定まった場所すなわち定点にて清掃することができれば、このような工数は低減する。
【0006】
本開示は、受け部材を定点で清掃できる自動倉庫を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本開示の一態様に係る自動倉庫は、複数の間口を有するラックと、ラックとの間で物品を移載する搬送装置と、を備え、間口は、物品が載置される載置部と、載置部の下方の位置に設けられた支持部と、支持部によって支持される受け部材と、を有し、受け部材は、搬送装置によって支持部から取り外し可能であり、支持部に取り付け可能である。
【0008】
この自動倉庫によれば、受け部材の取り外し及び取り付けを搬送装置によって行うことができる。搬送装置は、受け部材を所定の定点へと搬送することで、受け部材を定点で清掃できる。なお、本明細書において、「清掃」は、特に意図的な限定がなされない限り、装置又はユニットを用いた自動的な清掃と、作業者による手動の清掃の両方を含む意である。
【0009】
[2]上記[1]の自動倉庫が、搬送装置によって搬送可能な位置に、受け部材を清掃するための清掃ステーションを更に備えてもよい。この場合、受け部材を、定点としての清掃ステーションで清掃できる。清掃専用の清掃ステーションが所定の位置に用意されているので、搬送装置の移動制御や清掃計画等も容易になる。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]の自動倉庫が、コントローラを更に備えてもよい。コントローラは、受け部材の清掃履歴を記憶する記憶部を有し、清掃履歴に基づいて清掃対象の受け部材を決定してもよい。この場合、清掃対象の受け部材を適切に選択することができる。
【0011】
[4]上記[3]の自動倉庫において、コントローラは、清掃対象の受け部材の下方に位置する載置部に物品が保管されていることを検出した場合に、当該受け部材を載置部から取り外すよりも前に、当該受け部材の下方に存在する当該物品を移動させるよう搬送装置を制御してもよい。この場合、物品へと異物が降下して付着等すること(物品の汚損)を防止できる。
【0012】
[5]上記[1]~[4]の何れか1つの自動倉庫が、載置部が設けられた間口とは異なる位置に設けられ、受け部材を複数保管可能な保管部を更に備えてもよい。この場合、保管部に保管された受け部材を、清掃対象の受け部材と入れ替えることができる。これにより、清掃が必要となったタイミングで即座に(汚れた)受け部材を交換できる。受け部材の不在期間も短縮できるので、下段の物品に対する影響も低減できる。
【0013】
[6]上記[1]~[5]の何れか1つの自動倉庫において、搬送装置は、受け部材を支持部から取り外すよりも前に、受け部材の下方に存在する物品を移動させてもよい。この場合、受け部材が取り外されて、支持部上に受け部材が存在しない場合でも、下方の物品は既に移動させられている。よって下方の物品へと異物が降下して付着等すること(物品の汚損)を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受け部材を定点で清掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る自動倉庫を示す側面図である。
図2図2は、図1の自動倉庫における搬送装置と、物品及び受け部材との大きさを比較する図である。
図3図3は、自動倉庫が備えるコントローラの機能ブロック図である。
図4図4は、自動倉庫における受け部材の清掃工程例を示すフロー図である。
図5図5は、ラックの変形形態の一例を示す側面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、ラックの変形形態の別の例を示す側面図である。
図7図7は、変形例に係る自動倉庫を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。いくつかの図には、説明の便宜上、X-Y-Z直交軸が併記される。
【0017】
まず図1を参照して、本実施形態の自動倉庫1の全体構成について説明する。自動倉庫1は、複数の物品Aが保管されるラック2と、ラック2との間で物品Aを移載するスタッカークレーン(搬送装置)10とを備えている。ラック2は、例えば床面F上に設置される。ラック2は、X方向及びZ方向(上下方向)に延在しており、X方向及びZ方向のそれぞれにおいて複数の間口4を有する。各間口4は、物品Aの保管スペースである。自動倉庫1において保管(又は収納)される物品Aは、例えば、パレットPと、パレットP上の荷物Bとを含んでもよい。物品Aの形態は、これに限られず、あらゆる形態を採り得る。パレットPが省略されてもよい。図示される例では荷物Bが直方体状又は立方体状をなすが、物品Aの形状は適宜に変更されてもよい。
【0018】
自動倉庫1では、例えば一対のラック2,2が、Y方向(すなわち図1の紙面奥行き方向)に対向しており、これらのラック2,2の間をスタッカークレーン10がX方向(走行方向)に走行可能である。ラック2,2の間には、例えばレール3が延在している。スタッカークレーン10は、その下端部及び/又は上端部において図示しない走行部を有している。1つ又は上下一対のレール3が、走行部に対応して上下の少なくとも一方に設けられる。スタッカークレーン10は例えば一対のマスト11,11と、マスト11,11間において昇降自在な昇降部12とを有する。マスト11,11がレール3に沿ってX方向に走行すると共に、昇降部12がZ方向に沿って昇降(上昇又は下降)する。
【0019】
スタッカークレーン10は、更に、物品Aを移載可能なスライドフォーク13を有する。スライドフォーク13は、昇降部12に取り付けられており、昇降部12と一体に昇降する。スライドフォーク13は、昇降部12に対してY方向に(一対のラック2,2の両方に向けて)進出可能である。スライドフォーク13の構成は、特に限定されず、公知のあらゆる構成を採り得る。スライドフォーク13のみならず、スタッカークレーン10全体が、公知のあらゆる構成を採ってよい。
【0020】
各間口4は、物品Aが載置される載置部5を有する。載置部5は、例えば、ラック2の柱部材2aに固定されて、X方向に離間する一対の板状部材であってもよい。スタッカークレーン10のスライドフォーク13は、載置部5の間に挿入されて、物品Aの下面(例えばパレットP)を持ち上げる。また物品Aが載置部5に載置される動作は、持ち上げる動作と逆である。
【0021】
各間口4は、更に、載置部5の下方の位置に設けられた支持部6と、支持部6によって支持されるダストパン(受け部材、又は水平部材)8とを有する。ラック2内においては、例えばスライドフォーク13の駆動の際、又は、物品Aの移動の際などに、何らかの原因により異物が飛散又は落下し得る。異物の種類や特性にはあらゆる可能性(又はバリエーション)があり得るが、例えば異物は、塵埃、飛沫、又はその他の飛散物等である。異物は、スライドフォーク13等の機械に起因する場合もあるし、物品A(荷物B又はパレットP)に起因する場合もある。そのため、各間口4に設置されたダストパン8が、その上方において発生し得る異物を受ける。ダストパン8は、例えば、長方形状又は正方形状の平板部と、板部の周縁部において立ち上がる縁部(又は側壁部)とを含むトレイ形状をなす。
【0022】
図2に示されるように、物品Aの下面の大きさと、ダストパン8の大きさは、X方向においてほぼ等しい。図示奥行き方向であるY方向においても、物品Aの下面の大きさと、ダストパン8の大きさはほぼ等しい。平面視において、物品Aとダストパン8はほぼ等しい領域に配置される。物品Aの底面の大きさとダストパン8の大きさが異なっていてもよいが、物品Aもダストパン8も、昇降部12内に収容可能である。平面視において、ダストパン8が物品Aより大きく、ダストパン8が物品Aを包含する領域に配置されてもよい。ダストパン8が物品Aの底面に相当する十分な大きさと形状とを有することで、ダストパン8は、可能な限り異物を受け、その内部に蓄積させる。本実施形態では、物品Aの底面は、パレットPに相当する。
【0023】
支持部6は、例えば、ラック2の柱部材2aに固定されて、X方向に離間する一対の板状部材であってもよい。ダストパン8の平坦な底面が、支持部6上に載る。ダストパン8は、支持部6に対して固定されておらず、支持部6から自由に分離可能である。ダストパン8は、支持部6上に非固定状態で載っている。ダストパン8の底面は、例えば、支持部6に対して特に嵌合などはしておらず、単に支持部6上に載っている。自動倉庫1において、ダストパン8は、物品Aと同様に移載・搬送の対象となる。スタッカークレーン10のスライドフォーク13は、支持部6の間に挿入されて、ダストパン8の下面を支持し、ダストパン8を持ち上げる。またダストパン8が支持部6に載置される動作は、持ち上げる動作と逆である。
【0024】
このように、自動倉庫1では、スタッカークレーン10によって、支持部6からダストパン8を取り外し可能である。またスタッカークレーン10によって、支持部6にダストパン8を取り付け可能である。複数の載置部5及び支持部6が、Z方向に繰り返し一定の間隔で設けられるが、載置部5とその直下の支持部6との間隔、及び、載置部5とその真上の支持部6との間隔(載置部5上に載置された物品Aの天面と支持部6との間隔)は、スライドフォーク13による移載を考慮して適切に設定される。
【0025】
スタッカークレーン10において、載置部5上の物品Aを移載する動作も、支持部6上のダストパン8を移載する動作も、スライドフォーク13を移動させる空間的な高さが異なるだけで、その他は同じ又はほぼ同じである。言い換えれば、自動倉庫1では、ダストパン8は、物品Aと同様の搬送対象物であり、物品Aよりも薄いという点で物品Aとは異なっている。
【0026】
自動倉庫1は、スタッカークレーン10を制御するコントローラ20を備える。コントローラ20は、プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(RandomAccess Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及び、通信回路等を有するコンピュータである。コントローラ20は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種機能を実現する。
【0027】
図3を参照して、コントローラ20の機能構成について説明する。コントローラ20は、情報取得部21と、クレーン制御部22と、清掃管理部23と、記憶部24とを有する。情報取得部21は、物品Aの搬送に係る情報(搬送指令)、ダストパン8の搬送に係る情報(清掃指令、交換指令等)を取得する。クレーン制御部22は、スタッカークレーン10の走行部、昇降部12、及びスライドフォーク13を制御する。
【0028】
クレーン制御部22は、ダストパン8を搬送中の搬送速度を適宜に調整してもよい。例えば、ダスト又は埃のような飛散しやすい異物がダストパン8に付着又は堆積している可能性がある場合に、クレーン制御部22は、搬送速度(走行速度)を低減させてもよい。
【0029】
記憶部24は、例えば、ラック2の全体におけるダストパン8の清掃履歴を記憶する。ラック2において清掃対象になり得るダストパン8の数量は、間口4の数量(すなわち保管可能な物品Aの最大数量)に相当する。記憶部24は、全てのダストパン8につき、一定期間にわたる清掃履歴を記憶している。清掃管理部23は、自動倉庫1における清掃に関する諸々の事項を管理する。清掃管理部23は、記憶部24に記憶された清掃履歴に基づいて、清掃対象のダストパン8を決定する。
【0030】
清掃管理部23による清掃タイミングの決定手法は、特に限定されず、適宜に設定又は設計されてよい。例えば、清掃管理部23は、ある1つのダストパン8に関して、所定時間が経過する毎に清掃を行うよう、清掃タイミング(又は清掃周期)を管理してもよい。或いは、清掃管理部23は、ある1つのダストパン8に関して、その真上(上方近傍)の載置部5に載置される物品Aに対して所定回数以上の移載が行われた時に清掃を行うよう、清掃タイミングを管理してもよい。ラック2では、基本的に、コントローラ20は、物品AのIDと、各間口4のIDを認識している。コントローラ20は、例えば、ダストパン8のIDを認識しており、ダストパン毎に清掃回数を管理している。コントローラ20は、個々のダストパン8を識別していないが、少なくとも、各間口4におけるダストパン8の存在・不在を認識している。
【0031】
図1に戻り、自動倉庫1は、スタッカークレーン10によって搬送可能な位置に、ダストパン8を清掃するための1つ又は複数の清掃ステーション30を備えている。清掃ステーション30は、例えば、ラック2の一画に設けられてもよい。複数の清掃ステーション30が設けられる場合には、それらの清掃ステーション30が互いに離散した位置に配置されてもよいし、隣り合った位置に配置されてもよい。複数の清掃ステーション30が設けられる場合に、各々の清掃ステーション30が受け持つ(清掃する)複数のダストパン8のエリア(すなわち複数の間口4のエリア)が決められていてもよい。
【0032】
清掃ステーション30は、ラック2内の間口4のうち、最も低い間口4の位置に設けられてもよい。例えば図1に示されるように最下層に清掃ステーション30が設けられることで、床面F上での作業も可能となり、メンテナンス性が向上する。
【0033】
清掃ステーション30には、例えば、吸引ロボット等を含む清掃ユニット31が設置されている。清掃が自動で行われる場合には、清掃ユニット31は、清掃管理部23によって制御されて、清掃ステーション30の支持部32にダストパン8が載置されるとダストパン8に対する吸引を開始する。なお、清掃ユニット31が、完全に自動化された自動清掃ユニットであってもよいが、若干の手動操作を必要とする半自動清掃ユニットであってもよい。
【0034】
続いて、図4を参照して、コントローラ20によって実行される処理フロー(清掃工程例)について説明する。まず、清掃管理部23は、清掃履歴などに基づいて、清掃されるべきダストパン8(清掃対象のダストパン8)を決定する(ステップS01)。続いて、クレーン制御部22は、当該ダストパン8の下方の間口4(載置部5)に荷物B(物品A)が収容されている場合は、スタッカークレーン10を制御して当該荷物Bを移動させる(ステップS02)。すなわち、スタッカークレーン10は、ダストパン8を支持部6から取り外すよりも前に、支持部6の下方に存在する物品Aを移動(退避)させておく。コントローラ20の制御による物品Aの移動先(退避先)は、適当な空きの間口4(物品Aを保管していない間口4)であってもよい。そのために情報取得部21は、各間口4における物品Aの存在・不在情報を常に取得している。また、コントローラ20の制御による物品Aの移動先(退避先)は、ダストパン8の清掃が完了している(または清掃をすぐに必要としない)間口4の下であってもよい。
【0035】
次に、クレーン制御部22は、スタッカークレーン10を制御してダストパン8を支持部6から持ち上げて取り外し、清掃ステーション30へと搬送する(ステップS03)。スタッカークレーン10のスライドフォーク13により、ダストパン8が清掃ステーション30の支持部32上に載置される。図1では、清掃対象であることを示すため、特別な符号「8C」が付されている。
【0036】
清掃管理部23は、清掃ユニット31を制御してダストパン8Cを清掃させる(ステップS04)。清掃終了後、クレーン制御部22は、スタッカークレーン10を制御してダストパン8Cを搬送し、元の間口4の載置部5に移載する(ステップS05)。そして、クレーン制御部22は、スタッカークレーン10を制御して、退避させていた物品Aをダストパン8の下方に戻す(ステップS06)。
【0037】
本実施形態の自動倉庫1によれば、ダストパン8の取り外し及び取り付けをスタッカークレーン10によって行うことができる。スタッカークレーン10は、ダストパン8を所定の定点へと搬送することで、ダストパン8を定点で清掃できる。
【0038】
また、ダストパン8を、定点としての清掃ステーション30で清掃できる。清掃専用の清掃ステーション30が所定の位置に用意されているので、スタッカークレーン10の移動制御や清掃計画等も容易になる。
【0039】
スタッカークレーン10は、ダストパン8の清掃履歴に基づいて、清掃対象のダストパン8を決定する。これにより、清掃対象のダストパン8を適切に選択することができる。
【0040】
スタッカークレーン10は、ダストパン8を支持部から取り外すよりも前に、ダストパン8の下方に存在する物品を移動させる。これにより、ダストパン8が取り外されて、支持部6上にダストパン8が存在しない場合でも、下方の物品Aは既に移動させられている。よって下方の物品Aへと異物が降下して付着等すること(物品Aの汚損)を防止できる。
【0041】
コントローラ20による制御の観点でも、同様の効果が奏される。すなわち、コントローラ20は、清掃対象のダストパン8の下方に位置する載置部5に物品Aが保管されていることを検出した場合に、当該ダストパン8を載置部5から取り外すよりも前に、当該ダストパン8の下方に存在する当該物品Aを移動させるようスタッカークレーン10を制御する。これにより、物品Aへと異物が降下して付着等すること(物品の汚損)を防止できる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、図5に示されるように、載置部5と支持部6の間に、集塵ホッパ9が設けられてもよい。集塵ホッパ9は、例えばX方向に離間した一対の板状部材からなる。集塵ホッパ9は、一対の板状部材が下方に向かうにつれて近づくように、テーパ形状を有する。集塵ホッパ9は、例えば、高さ方向において、載置部5の厚みの範囲に重なる領域に設けられてもよい。その場合、載置部5には、集塵ホッパ9を受け入れる凹部又は孔部が形成される。
【0043】
上記実施形態では、ダストパン8の底面は、支持部6に対して特に嵌合せず、単に支持部6上に載っていた。しかし、ダストパン8が支持部6から分離可能であればよく、ダストパン8と支持部6との間に位置決めのための案内構造、係合構造又は嵌合構造が設けられてもよい。例えば、図6(a)に示されるように、支持部6上に設けられた複数のピン6fがダストパン8に設けられた複数の係合穴8eに入ることで、ダストパン8が位置決めされてもよい。或いは、図6(b)に示されるように、支持部6上に設けられた一対のガイド6gがダストパン8の両方の側端縁8bを案内することで、ダストパン8が案内及び位置決めされてもよい。
【0044】
図7に示されるように、載置部5が設けられた間口4とは異なる位置に設けられ、ダストパン8を複数保管可能な保管部40を備えた自動倉庫1Aが採用されてもよい。実際には、先の実施形態の自動倉庫1においてラック2が備えた複数の間口4のうちの1つ(又は複数)が、間口4に代えて保管部40用のスペースとされている。例えば、保管部40は、清掃ステーション30と同様、最下層に設けられてもよい。図7に示される例では、保管部40は、清掃ステーション30に隣接する位置に設けられている。なお、保管部40は、清掃ステーション30に対してX方向に隣接してもよいが、清掃ステーション30に対してY方向に隣接してもよい。その場合、清掃ステーション30と保管部40はスタッカークレーン10の走行空間を挟んでY方向に対向する。
【0045】
保管部40を備えた自動倉庫1Aでは、保管部40の支持部41上に保管された1つ又は複数の予備ダストパン8Xを、清掃対象のダストパン8(図では清掃ステーション30まで運ばれて、ダストパン8Cとして清掃作業を受けている)と入れ替えることができる。これにより、清掃が必要となったタイミングで即座に(汚れた)ダストパン8を交換できる。自動倉庫1Aによれば、ダストパン8の清掃作業とダストパン8の交換作業を集中・集約できる。例えば、入出庫が少ない時間帯にダストパン8を一気に交換し、作業者にとって都合のいい時間にダストパン8を清掃できる。また、ダストパン8の不在期間も短縮できるので、下段の物品Aに対する影響も低減できる。特に、保管部40が清掃ステーション30に隣接していると、ダストパン8(ダストパン8C)が清掃ステーション30の支持部32上に載置された後(図4のステップS03の後)、クレーン制御部22は、スタッカークレーン10を制御して予備ダストパン8Xを補充することができる。これにより、ダストパン8の不在期間が短縮される。ステップS04の清掃が実施される間、スタッカークレーン10は清掃完了を待つことなく、予備ダストパン8Xを搬送すればよい。ステップS05は省略される。更に、ステップS06が省略されてもよい。
【0046】
ダストパン8とは異なる構成の受け部材が、支持部6に設けられてもよい。受け部材は、ダストパン8の他、ダストカバー、単なる水平板等であってもよい。受け部材の上面に、異物を付着(吸着若しくは粘着など)又は保持する機構又は構造が設けられてもよい。受け部材の上面に、異物の付着又は保持のための加工が施されるか、又そのためのシート状体が設けられてもよい。例えば、物品Aが電子部品を含む場合に、受け部材の上面に電子材料の粘着シート又は吸着シートを貼り付けてもよい。金属の異物が想定される場合に、受け部材の上面に磁石マット等を貼り付けてもよい。
【0047】
受け部材の取り外し手順において、受け部材の取り外しに先立って、下方に存在する物品が移動されずに同じ場所で保管され続けてもよい。
【0048】
コントローラが清掃履歴を記憶していなくてもよい。例えば、一定の法則に従って、複数の受け部材を搬送装置が順次取り外し、清掃に供してもよい。
【0049】
ダストパン8の汚れを検出するための構成として、例えばスタッカークレーン10等にカメラを取り付け、汚れの度合いを監視してもよい。
【0050】
清掃ステーションは、ラック2の外部に設けられてもよい。その場合に、ラック2と清掃ステーションがコンベア等の適宜の搬送手段により接続されてもよい。清掃ステーションにおいて、清掃ユニットによる自動清掃と、作業者による手動清掃とが併用されてもよい。
【0051】
上記実施形態では、ステップS06において、クレーン制御部22は、退避させていた物品Aをダストパン8の下方に戻したが、この制御が実行されなくてもよい。その場合、コントローラ20は、物品Aの位置を常に把握できているため、コントローラ20は、物品Aのデータすなわち位置情報を更新すればよい。
【0052】
上記実施形態では、コントローラ20は、ダストパン8のIDを認識し、ダストパン毎に清掃回数を管理していた。しかし、コントローラ20は、各間口4に配置されたダストパン8単体について、特に固有の識別情報を持たなくてもよい。
【0053】
清掃ステーションが省略されてもよい。清掃専用のステーションではなく、一般の載置部又は一般の支持部(受け部材が予め取り除かれた支持部)に、清掃対象の受け部材を搬送し、そこで清掃を行ってもよい。その場合には、当該一般の載置部又は一般の支持部が、「定点」に相当する。
【0054】
上述したラックの変形形態、自動倉庫の実施形態及び変形例、及び、コントローラによる制御に関する変形例は、適宜に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A…自動倉庫、2…ラック、4…間口、5…載置部、6…支持部、8…ダストパン(受け部材)、10…スタッカークレーン(搬送装置)、13…スライドフォーク、20…コントローラ、23…清掃管理部、24…記憶部、30…清掃ステーション、31…清掃ユニット、40…保管部、A…物品、B…荷物、P…パレット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7