IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エンジンの冷却装置 図1
  • 特開-エンジンの冷却装置 図2
  • 特開-エンジンの冷却装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008925
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】エンジンの冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F01P 7/14 20060101AFI20250109BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F01P7/14 E
F01P7/14 N
F01P3/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111564
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功治
(57)【要約】
【課題】製造コストが抑制されたエンジンの冷却装置を提供することを課題とする。
【解決手段】冷却水を圧送するウォータポンプと、前記ウォータポンプとヒータコアとの間で冷却水を循環させる第1経路と、前記ウォータポンプとエンジンとの間で冷却水を循環させる第2経路と、前記ウォータポンプからの冷却水の圧力に応じて前記第2経路を開閉する弁機構と、を備えたエンジンの冷却装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を圧送するウォータポンプと、
前記ウォータポンプとヒータコアとの間で冷却水を循環させる第1経路と、
前記ウォータポンプとエンジンとの間で冷却水を循環させる第2経路と、
前記ウォータポンプからの冷却水の圧力に応じて前記第2経路を開閉する弁機構と、を備えたエンジンの冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却水の流通経路を切り替えることができる多機能弁を備えたエンジンの冷却装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-031817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多機能弁は構造が複雑であり、その制御も複雑になる。このため製造コストが増大するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、製造コストが抑制されたエンジンの冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、冷却水を圧送するウォータポンプと、前記ウォータポンプとヒータコアとの間で冷却水を循環させる第1経路と、前記ウォータポンプとエンジンとの間で冷却水を循環させる第2経路と、前記ウォータポンプからの冷却水の圧力に応じて前記第2経路を開閉する弁機構と、を備えたエンジンの冷却装置によって達成できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造コストが抑制されたエンジンの冷却装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、冷却装置の概略構成図である。
図2図2A及び図2Bは、弁機構の説明図である。
図3図3Aは、弁機構により通路が閉じた状態での冷却水の流通経路の説明図であり、図3Bは、弁機構により通路が開いた状態での冷却水の流通経路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[冷却装置の概略構成]
図1は、冷却装置1の概略構成図である。冷却装置1は、例えばハイブリッド車両に搭載される。冷却装置1は、冷却通路3、電動ウォータポンプ11、弁機構12、ヒータコア13、電気ヒータ14、エンジン15、ラジエータ16、及びサーモスタット17を含む。冷却通路3は、通路31~38を含む。通路31は、弁機構12とヒータコア13とを連通する。通路32は、ヒータコア13と電気ヒータ14とを連通する。通路33は、電気ヒータ14と通路38とを連通する。通路34は、ヒータコア13とエンジン15とを連通する。通路35は、弁機構12とラジエータ16とを連通する。通路36は、通路35とエンジン15とを連通する。通路37は、ラジエータ16とエンジン15とを連通する。サーモスタット17は、通路37上に設けられている。
【0010】
電動ウォータポンプ11は、冷却水を弁機構12に向けて圧送する電動式のポンプである。弁機構12については詳しくは後述する。ヒータコア13は、冷却水と車室内の空気との熱交換により車室内を暖房する。電気ヒータ14は、冷却水を加熱する。エンジン15は、冷却水により冷却される。エンジン15は、ハイブリッド車両の走行動力源である。ラジエータ16は、冷却水と外気との熱交換により冷却水を冷却する。サーモスタット17は、冷却水の温度が所定温度以上の場合に開弁し、冷却水の温度が所定温度未満で閉弁する。
【0011】
電動ウォータポンプ11及び電気ヒータ14は、ECU(Electronic Control Unit)50に電気的に接続されている。ECU50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置を含む。ECU50は、運転状態に応じて電動ウォータポンプ11の出力を制御する。ECU50は、冷却水の温度が低くヒータコア13で暖房に必要な熱が得られない場合に、電気ヒータ14を駆動して冷却水を加熱する。また、ECU50は、ROM内に予め格納された制御プログラムに従って、センサからの情報や予めROMや記憶装置に格納されている情報等に基づいて、エンジン15や不図示の走行用のモータを制御する。
【0012】
[弁機構の構成]
図2A及び図2Bは、弁機構12の説明図である。弁機構12は、筐体121、弁体125、及びコイルバネ126を含む。筐体121内には、流路122、123、及び124が形成されている。流路122には、電動ウォータポンプ11から冷却水が流通する。流路122は、流路123及び124に連通している。流路123は通路31に連通している。流路124は通路35に連通している。
【0013】
流路122と流路124との連通部分には、弁体125及びコイルバネ126が配置されている。コイルバネ126の一端は弁体125に固定され、コイルバネ126の他端は筐体121に固定されている。コイルバネ126は、流路122が延びた方向に伸縮可能である。コイルバネ126が自然長の状態で、弁体125は流路122と流路124とが連通した部位に位置し、弁体125は流路124を閉じる閉位置にある。コイルバネ126が収縮すると、弁体125は流路122と流路124との連通した部位から退避し、弁体125は流路124を開く開位置に移動する。弁体125は、電動ウォータポンプ11から流路122を介して受ける冷却水からの圧力に応じて、流路124を開閉する。
【0014】
図2Aは、弁体125が閉位置にある状態を示している。弁体125が冷却水から受ける力がコイルバネ126の付勢力以下の場合、弁体125は閉位置に維持される。これにより冷却水は、流路122から流路123を流れる。図2Bは、弁体125が開位置にある状態を示している。弁体125が冷却水から受ける力がコイルバネ126の付勢力よりも大きい場合、弁体125は閉位置から開位置へと移動する。これにより冷却水は、流路122から流路123及び流路124に流れる。ここで上述したように電動ウォータポンプ11の出力はECU50により制御される。従って、電動ウォータポンプ11の出力に応じて流路124が開閉される。即ち電動ウォータポンプ11の出量に応じて弁機構12は通路35を開閉する。このように弁機構12は弁体125及びコイルバネ126を備えた簡易な構造であるため、冷却装置1の製造コストが抑制されている。
【0015】
図3Aは、弁機構12により通路35が閉じた状態での冷却水の流通経路の説明図である。この状態では、電動ウォータポンプ11から弁機構12に圧送された冷却水は、通路31を介してヒータコア13に流れる。ヒータコア13に流入した冷却水の一部は、通路32を介して電気ヒータ14に流れる。電気ヒータ14に流入した冷却水は、通路33及び38を介して再び電動ウォータポンプ11に流入する。ヒータコア13に流入した冷却水の一部は、通路34を介してエンジン15に流れる。エンジン15に流入した冷却水は、通路38を介して再び電動ウォータポンプ11に流入する。このように冷却水は、ヒータコア13、電気ヒータ14、及びエンジン15を循環する。通路31~33、及び38は、第1経路の一例である。
【0016】
図3Bは、弁機構12により通路35が開いた状態での冷却水の流通経路の説明図である。この状態では、冷却水がヒータコア13、電気ヒータ14、及びエンジン15を循環しつつ、弁機構12から通路35~38を介してエンジン15及びラジエータ16を循環する。尚、サーモスタット17が閉じている場合は、冷却水は、ヒータコア13、電気ヒータ14、及びエンジン15を循環する。通路35、36、37、及び38は、第2経路の一例である。図3Bの状態の方が、図3Aの状態よりも、エンジン15を通過する冷却水の流量は多い。
【0017】
上述したように、冷却装置1はハイブリッド車両に搭載されている。ハイブリッド車両の走行モードは、エンジン15が駆動したハイブリッド走行モード、又はエンジン15が停止したモータ走行モードに切り替えられる。モータ走行モードでは、エンジン15の冷却の必要性が少ない。このため、電動ウォータポンプ11の出力を低く制御することにより、図2A及び図3Aのようにエンジン15への冷却水の流量を抑制しつつ、ヒータコア13や電気ヒータ14への冷却水の流量を確保して暖房を利用することができる。
【0018】
ハイブリッド走行モードでは、エンジン15を冷却する必要がある。このため、電動ウォータポンプ11の出力を高く制御することにより、図2B及び図3Bに示したように、エンジン15への冷却水の流量とヒータコア13や電気ヒータ14への冷却水の流量とを確保することにより、エンジン15を冷却しつつ暖房を利用することができる。尚、ECU50は、弁機構12が通路35を開く電動ウォータポンプ11の出力以上で電動ウォータポンプ11の出力を増減させる。これにより、エンジン15やラジエータ16を流通する冷却水の流量を変更することができる。
【0019】
電動ウォータポンプ11と弁機構12とは、共通の筐体により一体化されていてもよい。電動ウォータポンプ11と弁機構12とは、配管を介して連通していてもよい。
【0020】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 冷却装置
3 冷却通路
11 電動ウォータポンプ
12 弁機構
13 ヒータコア
14 電気ヒータ
15 エンジン
31、32、33、38 通路(第1経路)
35、36、37、38 通路(第2経路)
図1
図2
図3