(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025089290
(43)【公開日】2025-06-12
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用負極及びそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/133 20100101AFI20250605BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20250605BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20250605BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20250605BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20250605BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M4/134
H01M4/36 A
H01M4/36 E
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024208505
(22)【出願日】2024-11-29
(31)【優先権主張番号】10-2023-0172491
(32)【優先日】2023-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0161759
(32)【優先日】2024-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522151617
【氏名又は名称】エスケー オン カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イ ヨン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ド
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン ア
(72)【発明者】
【氏名】キム ホ ソン
(72)【発明者】
【氏名】パク スン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ソ スン ドク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ド エ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジ スン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨン ジュ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050BA16
5H050BA17
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050EA08
5H050EA09
5H050EA10
5H050FA02
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA04
(57)【要約】
【課題】寿命特性が向上したリチウム二次電池用負極及びそれを含むリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】本開示の実施形態によるリチウム二次電池用負極は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の面上に配置され、黒鉛系活物質を含む第1負極活物質を含み、拡散度(D1)が3.87以下である第1負極活物質層と、第1負極活物質層上に配置され、シリコンを含む複合粒子を含む第2負極活物質を含む第2負極活物質層とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体の少なくとも一方の面上に配置され、第1負極活物質を含む第1負極活物質層と、
前記第1負極活物質層上に配置され、第2負極活物質を含む第2負極活物質層とを含み、
前記第1負極活物質は黒鉛系活物質を含み、前記第2負極活物質はシリコンを含む複合粒子を含み、
X線顕微鏡(X-ray microscope、XRM)の分析により得られた前記第1負極活物質層の拡散度が3.87以下である、リチウム二次電池用負極。
【請求項2】
前記第1負極活物質層の拡散度は、下記式1で定義される、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
[式1]
D1=P1×(L1/LP1)
(式1中、D1は前記第1負極活物質層の拡散度であり、P1は前記第1負極活物質層の気孔度であり、L1は前記第1負極活物質層の厚さであり、LP1はリチウムイオンが前記第1負極活物質層を厚さ方向に透過する際に通る平均距離(average flow path length)である。)
【請求項3】
前記複合粒子は、炭素系粒子と、前記炭素系粒子の表面上に形成されたシリコン含有コーティングとを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項4】
前記炭素系粒子は、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ、グラフェン、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、多孔性カーボン、熱分解されたクリオゲル(cryogel)、熱分解されたキセロゲル(xerogel)、および熱分解されたエアロゲル(aerogel)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項5】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は2重量%~30重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項6】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は4.5重量%~24重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項7】
前記第2負極活物質は黒鉛系活物質をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項8】
前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は4重量%~40重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項9】
前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は9重量%~40重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項10】
前記黒鉛系活物質は、人造黒鉛および天然黒鉛の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項11】
X線顕微鏡(X-ray microscope、XRM)の分析によって得られた前記第2負極活物質層の拡散度が、前記第1負極活物質層の拡散度よりも大きい、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項12】
前記第2負極活物質層の拡散度は、下記式2で定義される、請求項11に記載のリチウム二次電池用負極。
[式2]
D2=P2×(L2/LP2)
(式2中、D2は前記第2負極活物質層の拡散度であり、P2は前記第2負極活物質層の気孔度であり、L2は前記第2負極活物質層の厚さであり、LP2はリチウムイオンが前記第2負極活物質層を厚さ方向に透過する際に通る平均距離(average flow path length)である。)
【請求項13】
前記第2負極活物質層の拡散度は4.0~4.28である、請求項11に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項14】
前記第2負極活物質層の拡散度に対する前記第1負極活物質層の拡散度の比が0.49~0.86である、請求項11に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極と、
前記負極に対向するように配置された正極とを含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の開示は、リチウム二次電池用負極及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充電と放電の繰り返しが可能な電池であり、情報通信およびディスプレイ産業の発展につれてカムコーダー、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯用電子通信機器の動力源として広く適用されている。また、最近では、電気自動車のような環境に優しい自動車の動力源としても、二次電池を含む電池パックが開発および適用されている。
【0003】
二次電池としては、例えば、リチウム二次電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-水素電池などが挙げられる。中でもリチウム二次電池は、動作電圧および単位重量当たりのエネルギー密度が高く、充電速度および軽量化に有利な点で積極的に開発及び適用されてきた。
【0004】
最近では、リチウム二次電池の適用対象が拡大しつつ、より高い容量および出力を有するリチウム二次電池の開発が進められている。例えば、容量の高いシリコン系物質を負極活物質に含めることができる。
【0005】
しかし、シリコンの体積膨張率および低い伝導性によって、電極の急速充電時の寿命特性が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様によれば、寿命特性が向上したリチウム二次電池用負極を提供することができる。
【0007】
本開示の一態様によれば、寿命特性が向上したリチウム二次電池を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態によるリチウム二次電池用負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の面上に配置され、第1負極活物質を含む第1負極活物質層と、前記第1負極活物質層上に配置され、第2負極活物質を含む第2負極活物質層とを含み、前記第1負極活物質は黒鉛系活物質を含み、前記第2負極活物質はシリコンを含む複合粒子を含み、X線顕微鏡(X-ray microscope、XRM)の分析によって得られた前記第1負極活物質層の拡散度(D1)が3.87以下である。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記第1負極活物質層の前記拡散度(D1)は、下記式1で定義することができる。
[式1]
D1=P1×(L1/LP1)
式1中、P1は前記第1負極活物質層の気孔度であり、L1は前記第1負極活物質層の厚さであり、LP1はリチウムイオンが前記第1負極活物質層を厚さ方向に透過する際に通る平均距離(average flow path length)である。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記複合粒子は、炭素系粒子と、前記炭素系粒子の表面上に形成されたシリコン含有コーティングとを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記炭素系粒子は、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ、グラフェン、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、多孔性カーボン、熱分解されたクリオゲル(cryogel)、熱分解されたキセロゲル(xerogel)、熱分解されたエアロゲル(aerogel)からなる群より選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は2重量%~30重量%であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は4.5重量%~24重量%であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記第2負極活物質は、黒鉛系活物質をさらに含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は4重量%~40重量%であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は9重量%~40重量%であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記黒鉛系活物質は、人造黒鉛および天然黒鉛の少なくとも1つを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、X線顕微鏡(X-ray microscope、XRM)の分析によって得られた前記第2負極活物質層の拡散度(D2)が、前記第1負極活物質層の前記拡散度(D1)よりも大きくてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記第2負極活物質層の前記拡散度(D2)は、下記式2で定義することができる。
[式2]
D2=P2×(L2/LP2)
式2中、P2は前記第2負極活物質層の気孔度であり、L2は前記第2負極活物質層の厚さであり、LP2はリチウムイオンが前記第2負極活物質層を厚さ方向に透過する際に通る平均距離(average flow path length)である。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記拡散度(D2)が4.0~4.28であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記第2負極活物質層の前記拡散度(D2)に対する前記第1負極活物質層の前記拡散度(D1)の比が0.49~0.86であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記第1負極活物質は、前記複合粒子を含まなくてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記第1負極活物質層は前記負極集電体上に直接配置し、前記第2負極活物質層は前記第1負極活物質層上に直接配置することができる。
【0024】
本開示の実施形態によるリチウム二次電池は、前述のリチウム二次電池用負極と、前記負極に対向するように配置される正極とを含む。
【発明の効果】
【0025】
本開示の一実施形態によれば、急速充電時の寿命特性を改善することができる。
【0026】
本開示の一実施形態によれば、負極内の電子移動性およびリチウムイオン移動性の両方を向上させることができる。
【0027】
本開示のリチウム二次電池用負極及びそれを含むリチウム二次電池は、電気自動車、バッテリー充電所、その他のバッテリーを用いる太陽光発電、風力発電などのグリーン技術分野で広く適用することができる。本開示のリチウム二次電池用負極及びそれを含むリチウム二次電池は、大気汚染および温室効果ガスの放出を抑制して気候変動を防止するための環境にやさしい(eco-friendly)電気自動車(Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(hybrid vehicle)などに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるリチウム二次電池用負極を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による複合粒子を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態によるリチウム二次電池を示す概略平面図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態によるリチウム二次電池を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の実施形態は、複層構造の負極活物質層を含むリチウム二次電池用負極(以下、「負極」と略すことがある。)を提供する。また、前記負極を含むリチウム二次電池(以下、「二次電池」と略すことがある。)が提供される。
【0030】
以下、本開示の実施形態をより具体的に説明する。但し、これらの実施形態は本開示を例示するものに過ぎず、本開示を制限するものではない。
【0031】
図1は、例示的な実施形態によるリチウム二次電池用負極を示す概略断面図である。
【0032】
図1を参照すると、負極100は、負極集電体110と、第1負極活物質層120と、第2負極活物質層130とを含むことができる。
【0033】
例えば、負極集電体110は、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材などを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。例えば、負極集電体110の厚さは5μm~50μmであってもよい。
【0034】
負極集電体110の少なくとも一方の面上に黒鉛系活物質を含む第1負極活物質を含む第1負極活物質層120を配置することができる。一実施形態によれば、第1負極活物質層120は、負極集電体110上に直接接触することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記黒鉛系活物質は人造黒鉛及び/または天然黒鉛を含むことができる。これにより、負極集電体110と第1負極活物質層120との接着力を向上させ、電子移動性を改善することができる。
【0036】
第1負極活物質の全重量に対する黒鉛系活物質の含有量は40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、または90重量%以上であってもよい。
【0037】
第1負極活物質の全重量に対する黒鉛系活物質の含有量は99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、または85重量%以下であってもよい。この場合、前記第1負極活物質は、シリコン含有活物質などをさらに含むこともできる。
【0038】
一実施形態では、第1負極活物質は、前記黒鉛系活物質で実質的に構成することができる。
【0039】
例示的な実施形態では、X線顕微鏡(X-ray microscope、XRM)の分析によって得られた第1負極活物質層120の拡散度(D1)は3.87以下であってもよい。いくつかの実施形態では、第1負極活物質層120の拡散度(D1)は3.67以下、または3.0以下であってもよい。いくつかの実施形態では、第1負極活物質層120の拡散度(D1)は3.0~3.87、または3.0~3.67であってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、拡散度(D1)は下記式1で定義することができる。
【0041】
[式1]
D1=P1×(L1/LP1)
【0042】
式1中、P1は第1負極活物質層120の気孔度であり、L1は第1負極活物質層120の厚さであり、LP1はリチウムイオンが第1負極活物質層120を厚さ方向に透過する際に通る平均距離(average flow path length)である。L1及びLP1の単位は同じであってもよい。
【0043】
一実施形態では、LP1は、第1負極活物質層120に含まれる気孔が連結されて形成された経路の平均距離を表すことができる。
【0044】
本明細書で使用される「厚さ方向」という用語は、負極集電体110、第1負極活物質層120および第2負極活物質層130のそれぞれの厚さ方向、あるいは負極集電体110、第1負極活物質層120および第2負極活物質層130が積層される方向を表すことができる。
【0045】
例えば、拡散度(D1)は、液体が負極活物質層を厚さ方向に通過するときの拡散度を表すことができる。
【0046】
一実施形態では、前記液体はリチウム二次電池の電解液であってもよい。この場合、前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を1:1の体積比で混合した溶媒を用いて製造した1mol/Lの濃度を有するLiPF6溶液であってもよい。
【0047】
前記拡散度(D1)の範囲では、負極集電体110に隣接する第1負極活物質層120の電子移動性を改善することができる。これにより、電子が負極集電体110から第1負極活物質層120を介して円滑に移動することができ、急速充電時の寿命特性を改善することができる。
【0048】
例えば、拡散度が減少すると、負極活物質層内の気孔が減少し、負極活物質と導電材との結合性が向上し得る。これにより、負極活物質層内における特定の方向(例えば、負極集電体110から負極活物質層への方向)への電子移動性を改善することができる。よって、負極集電体110に隣接する第1負極活物質層120の拡散度(D1)を相対的に小さくして、負極集電体110の周辺で負極活物質による電子の移動性を改善することができる。
【0049】
例えば、前記X線顕微鏡の分析によって3D画像を取得し、分析ソフトウェア(e.g.、Matdict Material Characterization、GeoDict Software社製)によって3Dモデリング画像を取得することができる。前記分析ソフトウェアにより、拡散度(D1)を共に測定することができる。
【0050】
例示的な実施形態では、第1負極活物質層120上に、複合粒子を含む第2負極活物質を含む第2負極活物質層130を配置することができる。一実施形態によれば、第2負極活物質層130は、第1負極活物質層120上に直接接触することができる。
【0051】
例えば、前記複合粒子はシリコン(Si)を含むことができる。
【0052】
図2は、例示的な実施形態による複合粒子を示す概略断面図である。
【0053】
図2には、説明の都合上、複合粒子の形状が概略的に示されているが、本開示の複合粒子の構造・形状は
図2に示されるものに限定されない。例えば、炭素系粒子の断面は円形からランダムに変更されてもよい。また、シリコン含有コーティングは、炭素系粒子の気孔および表面上に部分的に形成してもよく、不連続な複数の島またはパターンで形成してもよい。
【0054】
図2を参照すると、複合粒子50は、複数の気孔65を含む炭素系粒子60およびシリコン含有コーティング70を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、炭素系粒子60の気孔65により、シリコン含有コーティング70に含まれるシリコンの体積膨張を緩和することができる。これにより、シリコンの相対的に高い容量特性を採用しながら、充放電時の炭素の体積膨張率(例えば、約150体積%以下)とシリコンの体積膨張率(例えば、約400体積%以上)との差によるクラックを防止することができる。よって、負極活物質と電解液との副反応によるガス発生を抑制し、二次電池の寿命特性を改善することができる。
【0056】
炭素系粒子60の気孔65は、炭素系粒子60の最外郭部から炭素系粒子60の内部に湾入した形状を含むことができる。例えば、気孔65は、炭素系粒子60の外部に開いた気孔(open pore)を含むことができる。
【0057】
本明細書で使用される用語「炭素系粒子の表面」及び/または「炭素系粒子60の表面」は、炭素系粒子60の外表面62、気孔65の内表面67、または炭素系粒子60の外表面62および気孔65の内表面67を表すことができる。気孔65の内表面67は、炭素系粒子60の内部に湾入した気孔65の表面を表すことができる。
【0058】
シリコン含有コーティング70は、炭素系粒子60の外表面62の少なくとも一部上に形成することができる。シリコン含有コーティング70は、炭素系粒子60の気孔65の内表面67の少なくとも一部上に形成することができる。シリコン含有コーティング70は、炭素系粒子60の外表面62の少なくとも一部、および気孔65の内表面67の少なくとも一部上に形成することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、炭素系粒子60は、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ、グラフェン、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、多孔性カーボン、熱分解されたクリオゲル(cryogel)、熱分解されたキセロゲル(xerogel)、熱分解されたエアロゲル(aerogel)などを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、炭素系粒子60は、非晶質(amorphous)構造または結晶質(crystalline)構造を含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、炭素系粒子60の気孔65の大きさは0.1nm~20nm、0.5nm~15nm、または1nm~10nmであってもよい。前記範囲では、シリコンの過剰な蒸着が防止され、二次電池の充放電時の負極活物質のクラックの発生をさらに抑制することができる。
【0062】
気孔65の大きさは、炭素系粒子60の表面部に形成された気孔65の入口の直径を意味することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、シリコン含有コーティング70は、シリコンを含むことができる。一実施形態では、シリコン含有コーティング70は、SiOx(0<x<2)をさらに含むことができる。
【0064】
一実施形態では、シリコン含有コーティング70は、炭化ケイ素(silicon carbide、SiC)を含まなくてもよい。これにより、二次電池の容量特性を向上させることができる。例示的な実施形態によれば、シリコン蒸着時の温度および時間を調整することにより、炭化ケイ素の形成を抑制することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記第2負極活物質は、黒鉛系活物質をさらに含むことができる。前記黒鉛系活物質は、人造黒鉛及び/または天然黒鉛を含むことができる。前記黒鉛系活物質により、負極の寿命特性および構造的安定性を向上させることができる。
【0066】
前記第2負極活物質の全重量(例えば、複数の複合粒子50および黒鉛系活物質の全重量)に対する複合粒子50の含有量は3重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、または45重量%以上であってもよい。
【0067】
前記第2負極活物質の全重量に対する前記複合粒子の含有量は90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、または50重量%以下であってもよい。
【0068】
一実施形態では、前記第2負極活物質は、複合粒子50および前記黒鉛系活物質で実質的に構成することができる。
【0069】
例示的な実施形態では、X線顕微鏡の分析によって得られた第2負極活物質層130の拡散度(D2)は、第1負極活物質層120の拡散度(D1)よりも大きくてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、拡散度(D2)は下記式2で定義することができる。
【0071】
[式2]
D2=P2×(L2/LP2)
【0072】
式2中、P2は第2負極活物質層130の気孔度であり、L2は第2負極活物質層130の厚さであり、LP2はリチウムイオンが第2負極活物質層130を厚さ方向に透過する際に通る平均距離(average flow path length)である。L2及びLP2の単位は同じであってもよい。
【0073】
一実施形態では、LP2は、第2負極活物質層130に含まれる気孔が連結されて形成された経路の平均距離を表すことができる。
【0074】
負極集電体110に隣接する第1負極活物質層120の拡散度(D1)は、相対的に小さく調整して、負極集電体110の周辺で負極活物質による電子の移動性を改善し、第2負極活物質層130の拡散度(D2)は、相対的に大きく調整して、負極集電体110に向かうリチウムイオンの移動性を向上させることができる。よって、本開示によれば、負極100内の電子移動性およびリチウムイオン移動性の両方を向上させることができる。
【0075】
前記X線顕微鏡の分析によって3D画像を取得し、分析ソフトウェア(e.g.、Matdict Material Characterization、GeoDict Software社製)によって3Dモデリング画像を取得することができる。また、前記分析ソフトウェアによって拡散度(D2)を測定することができる。
【0076】
第1負極活物質層120の厚さ方向及び/または第2負極活物質層130の厚さ方向は、負極100の延長方向に垂直な方向であってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、第2負極活物質層130の拡散度(D2)は4.0以上であってもよい。一実施形態では、第2負極活物質層130の拡散度(D2)は4.28以上、または5.15以上であってもよい。一実施形態では、第2負極活物質層130の拡散度(D2)は3.6~5.15、4.0~4.28であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2負極活物質層130の拡散度(D2)に対する第1負極活物質層120の拡散度(D1)の比は、0.49以上および1未満であってもよい。一実施形態では、前記拡散度の比(D1/D2)は0.49~0.95、0.49~0.9、0.49~0.86、0.49~0.75、または0.49~0.7であってもよい。前記範囲では、複層構造の負極の電子移動性およびイオン移動性を共に改善し、容量維持率をより向上させることができる。
【0079】
例えば、前述の分析方法により、第1負極活物質層120の拡散度(D1)および第2負極活物質層の拡散度(D2)をそれぞれ測定することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、拡散度(D1)及び/または拡散度(D2)は、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の全重量に対する複合粒子50の含有量、前記第2負極活物質の全重量に対する複合粒子50の含有量、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の種類などによって調整することができる。
【0081】
拡散度(D1)及び/または拡散度(D2)は、複合粒子50の形成条件によっても調整することができる。例えば、拡散度(D1)及び/または拡散度(D2)は、複合粒子50に含まれる炭素系粒子の気孔率、気孔のサイズ、密度、焼成条件;シリコン含有コーティングの厚さ、密度、熱処理条件などによっても調整することができる。
【0082】
一実施形態によれば、拡散度(D1)及び/または拡散度(D2)は、負極100の製造時の磁場の印加による磁気配向の有無および磁気配向の条件などによって調整することができる。
【0083】
例えば、拡散度が増加すると、リチウムイオン移動性は改善することができる。例えば、複合粒子50を用いて容量特性を向上させながらも拡散度(D2)を増加させることができる。これにより、負極100の最外層として提供される第2負極活物質層130の負極集電体110に向かうリチウムイオンの移動性を改善することができる。よって、二次電池の急速充電性能を向上させることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の全重量に対する複合粒子50の含有量は2重量%~30重量%であってもよい。一実施形態では、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の全重量に対する複合粒子50の含有量は4.5重量%~24重量%であってもよい。前記範囲では、寿命特性、出力特性および急速充電時の寿命特性を改善することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、前記第2負極活物質の全重量に対する複合粒子50の含有量は4重量%~40重量%であってもよい。一実施形態では、前記第2負極活物質の全重量に対する複合粒子50の含有量は9重量%~40重量%であってもよい。前記範囲では、第1負極活物質層120の拡散度(D1)を減少させることができる。これにより、負極100のリチウムイオン移動性を改善し、急速充電時の寿命特性を改善することができる。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、前記第1負極活物質は複合粒子50を含まなくてもよい。これにより、第1負極活物質層120における黒鉛系活物質の割合が高くなり、負極100の電子伝導度および構造的安定性を改善することができる。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、第1負極活物質層120は負極集電体110上に直接形成し、第2負極活物質層130は第1負極活物質層120上に直接形成することができる。
【0088】
図3及び
図4は、それぞれ例示的な実施形態によるリチウム二次電池を示す概略的な平面図および断面図である。例えば、
図4は、
図3の「I-I’」に沿って厚さ方向に切断した断面図である。
【0089】
図3及び
図4を参照すると、リチウム二次電池は、前述した負極100と、前記負極100に対向するように配置された正極150とを含むことができる。
【0090】
正極150は、正極集電体160と、正極集電体160の少なくとも一方の面上に形成された正極活物質層170とを含むことができる。
【0091】
正極集電体160は、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、またはそれらの合金を含むことができる。正極集電体160は、カーボン、ニッケル、チタン、銀で表面処理されたアルミニウムまたはステンレス鋼を含むこともできる。例えば、正極集電体160の厚さは5μm~50μmであってもよい。
【0092】
正極活物質層170は正極活物質を含むことができる。前記正極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーションおよびデインターカレーションすることができる化合物を含むことができる。
【0093】
例示的な実施形態によれば、前記正極活物質は、リチウム-ニッケル金属酸化物を含むことができる。前記リチウム-ニッケル金属酸化物は、さらにコバルト(Co)、マンガン(Mn)およびアルミニウム(Al)の少なくとも1つを含むことができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、前記正極活物質または前記リチウム-ニッケル金属酸化物は、下記化学式1で表される層状構造または結晶構造を含むことができる。
【0095】
[化学式1]
LixNiaMbO2+z
【0096】
化学式1中、0.9≦x≦1.2、0.6≦a≦0.99、0.01≦b≦0.4、-0.5≦z≦0.1であってもよい。前述のように、MはCo、Mn及び/またはAlを含むことができる。
【0097】
化学式1で表される化学構造は、正極活物質の層状構造または結晶構造内に含まれる結合関係を示し、他の追加の元素を排除するものではない。例えば、MはCo及び/またはMnを含み、Co及び/またはMnはNiと共に正極活物質の主要活性元素(main active element)として提供することができる。化学式1は、前記主要活性元素の結合関係を表すために提供されるものであり、追加の元素の導入および置換を包含する式として理解されるべきである。
【0098】
一実施形態では、前記主要活性元素に加えて、正極活物質または前記層状構造/結晶構造の化学的安定性を向上させるための補助元素をさらに含むことができる。前記補助元素は、前記層状構造/結晶構造内に共に組み込まれて結合を形成することができる。この場合もまた、化学式1で表される化学構造の範囲内に含まれることを理解すべきである。
【0099】
前記補助元素は、例えば、Na、Mg、Ca、Y、Ti、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、C、Si、Sn、Sr、Ba、Ra、PおよびZrからなる群より選択される少なくとも1つを含むことができる。前記補助元素は、例えば、AlのようにCoまたはMnと共に正極活物質の容量/出力活性に寄与する補助活性元素として作用することもできる。
【0100】
例えば、前記正極活物質または前記リチウム-ニッケル金属酸化物は、下記化学式1-1で表される層状構造または結晶構造を含むことができる。
【0101】
[化学式1-1]
LixNiaM1b1M2b2O2+z
【0102】
化学式1-1中、M1はCo、Mn及び/またはAlを含むことができ、M2は前述の補助元素を含むことができる。化学式1-1中、0.9≦x≦1.2、0.6≦a≦0.99、0.01≦b1+b2≦0.4、-0.5≦z≦0.1であってもよい。
【0103】
前記正極活物質は、さらにコーティング元素またはドーピング元素を含むことができる。例えば、前述の補助元素と実質的に同一または類似の元素をコーティング元素またはドーピング元素として使用することができる。例えば、前述の元素を単独でまたは2以上を組み合わせて、コーティング元素またはドーピング元素として使用することができる。
【0104】
前記コーティング元素またはドーピング元素は、リチウム-ニッケル金属酸化物粒子の表面上に存在してもよく、前記リチウム-ニッケル金属酸化物粒子の表面から浸透して、前記の化学式1または化学式1-1で表される結合構造内に含まれてもよい。
【0105】
前記正極活物質は、ニッケル-コバルト-マンガン(NCM)系リチウム酸化物を含むことができる。この場合、ニッケルの含有量が増加したNCM系リチウム酸化物を用いることができる。
【0106】
Niは、リチウム二次電池の出力および容量に関連する遷移金属で提供することができる。これにより、前述のように高含有量(High-Ni)の組成を前記正極活物質に採用することにより、高容量の正極および高容量のリチウム二次電池を提供することができる。
【0107】
しかし、Niの含有量が増加するにつれて、相対的に正極または二次電池の長期保存安定性、寿命安定性が低下することがあり、電解質との副反応が増えることもある。これに対し、例示的な実施形態によれば、Coを含むことで電気伝導性を維持しつつ、Mnによって寿命安定性、容量維持特性を向上させることができる。
【0108】
前記NCM系リチウム酸化物におけるNiの含有量(例えば、ニッケル、コバルト及びマンガンの合計モル数におけるニッケルのモル分率)は0.5以上、0.6以上、0.7以上、または0.8以上であってもよい。いくつかの実施形態では、Niの含有量は0.8~0.95、0.82~0.95、0.83~0.95、0.84~0.95、0.85~0.95、または0.88~0.95であってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物系活物質、リチウムマンガン酸化物系活物質、リチウムニッケル酸化物系活物質、またはリチウムリン酸鉄系(LFP)活物質(例えば、LiFePO4)を含むこともできる。
【0110】
いくつかの実施形態では、前記正極活物質は、例えば化学式2で表される化学構造または結晶構造を有するLLO(Li rich layered oxide)/OLO(Over Lithiated Oxide)系活物質、Mn-rich系活物質、Co-less系活物質などを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0111】
[化学式2]
p[Li2MnO3]・(1-p)[LiqJO2]
【0112】
化学式2中、0<p<1、0.9≦q≦1.2であり、JはMn、Ni、Co、Fe、Cr、V、Cu、Zn、Ti、Al、Mg及びBの少なくとも1つの元素を含むことができる。
【0113】
前記正極活物質を溶媒中で混合して正極スラリーを製造することができる。前記正極スラリーを正極集電体160の少なくとも一方の面上にコーティングした後、乾燥および圧延して正極活物質層170を製造することができる。前記コーティングは、グラビアコート、スロットダイコート、多層同時ダイコート、インプリント、ドクターブレードコート(Doctor Blade Coating)、ディップコート(Dip Coating)、バーコート(Bar Coating)、キャスティング(Casting)などの手法を含むことができる。正極活物質層170は、バインダーをさらに含むことができ、選択的に導電材、増粘剤などをさらに含むことができる。
【0114】
前記溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを使用することができる。
【0115】
前記バインダーは、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidenefluoride、PVDF)、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(poly(vinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、アクリロニトリルブタジエンラバー(NBR)、ポリブタジエンラバー(polybutadiene rubber、BR)、スチレン-ブタジエンラバー(SBR)などを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0116】
一実施形態では、正極バインダーとしてPVDF系バインダーを使用することができる。この場合、正極活物質層170を形成するためのバインダーの量が減少し、相対的に正極活物質の量を増加させることができる。これにより、二次電池の出力特性および容量特性を向上させることができる。
【0117】
前記導電材は、正極活物質層170の導電性及び/またはリチウムイオンまたは電子の移動性を高めるために添加することができる。例えば、前記導電材は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ、VGCF(vapor-grown carbon fiber)、炭素繊維などの炭素系導電材及び/または錫、酸化錫、酸化チタン、LaSrCoO3、LaSrMnO3などのペロブスカイト(perovskite)物質などを含む金属系導電材を含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0118】
前記正極スラリーは、増粘剤及び/または分散剤などをさらに含むことができる。一実施形態では、前記正極スラリーは、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose、CMC)などの増粘剤を含むことができる。
【0119】
負極集電体110の少なくとも一方の面上に第1負極活物質層120を形成し、第1負極活物質層120上に第2負極活物質層130を形成することができる。
【0120】
前述した第1負極活物質を溶媒中で混合して第1負極スラリーを製造することができる。前記第1負極スラリーを負極集電体110の少なくとも一方の面上にコーティング/蒸着した後、乾燥および圧延して第1負極活物質層120を製造することができる。前記コーティングは、グラビアコート、スロットダイコート、多層同時ダイコート、インプリント、ドクターブレードコート(Doctor Blade Coating)、ディップコート(Dip Coating)、バーコート(bar Coating)、キャスティング(Casting)などの手法を含むことができる。
【0121】
前述した第2負極活物質を溶媒中で混合して第2負極スラリーを製造することができる。前記第2負極スラリーを第1負極活物質層120上にコーティング/蒸着した後、乾燥および圧延して第2負極活物質層130を製造することができる。前記コーティング手法は、第1負極活物質層120の前述したコーティング手法と実質的に同一の種類の手法を含むことができる。
【0122】
一実施形態では、負極集電体110の少なくとも一方の面上に前述した第1負極スラリーを塗布し、前記第1負極スラリー上に前記第2負極スラリーを塗布した後、同時に乾燥および圧延することができる。
【0123】
第1及び第2負極活物質層120,130は、バインダーをさらに含むことができ、選択的に導電材、増粘剤などをさらに含むことができる。
【0124】
負極スラリーに含まれる溶媒としては、水、純水、脱イオン水、蒸留水、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン、n-プロパノール、t-ブタノールなどを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0125】
前記バインダー、導電材および増粘剤としては、正極150の製造時に使用できる前述の物質を使用することができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、負極バインダーとして、スチレン-ブタジエンラバー(styrene-butadiene-rubber、SBR)系バインダー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)系バインダー、ポリエチレンジオキシチオフェン(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PEDOT)系バインダーなどを使用することができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0127】
例示的な実施形態では、正極150と負極100との間には分離膜140を介在することができる。分離膜140は、正極150と負極100との間の電気的短絡を防止し、イオンの流れが発生するように構成することができる。例えば、分離膜の厚さは10μm~20μmであってもよい。
【0128】
例えば、分離膜140は、多孔性高分子フィルムまたは多孔性不織布を含むことができる。
【0129】
前記多孔性高分子フィルムは、エチレン(ethylene)重合体、プロピレン(propylene)重合体、エチレン/ブテン(ethylene/butene)共重合体、エチレン/ヘキセン(ethylene/hexene)共重合体、およびエチレン/メタクリレート(ethylene/methacrylate)共重合体などのポリオレフィン系高分子を含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0130】
前記多孔性不織布は、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)繊維などを含むことができる。
【0131】
分離膜140は、セラミック系材料を含むこともできる。例えば、無機粒子を前記高分子フィルム上にコーティングするか、または高分子フィルム内に分散して耐熱性を向上させることができる。
【0132】
分離膜140は、前述した高分子フィルム及び/または不織布を含む単層または複層構造を有することができる。
【0133】
例示的な実施形態によれば、正極150、負極100および分離膜140によって電極セルが定義され、複数の電極セルが積層されて、例えばゼリーロール(jelly roll)型電極組立体180を形成することができる。例えば、分離膜140の捲回(winding)、スタック(stacking)、Z-フォールディング(z-folding)、スタック-フォールディング(stack-folding)などによって電極組立体180を形成することができる。
【0134】
電極組立体180をケース190内に電解液と共に収容することでリチウム二次電池を定義することができる。例示的な実施形態によれば、前記電解液として非水電解液を使用することができる。
【0135】
非水電解液は、電解質であるリチウム塩と有機溶媒を含む。前記リチウム塩は、例えば、Li+X-で表され、前記リチウム塩の陰イオン(X-)としては、F-、Cl-、Br-、I-、NO3-、N(CN)2-、BF4-、ClO4-、PF6-、(CF3)2PF4-、(CF3)3PF3-、(CF3)4PF2-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3-、CF3CF2SO3-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3-、CF3CO2-、CH3CO2-、SCN-、および(CF3CF2SO2)2N-などが挙げられる。
【0136】
前記有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルアセテート(methylacetate、MA)、エチルアセテート(ethyl acetate、EA)、n-プロピルアセテート(n-propylacetate、n-PA)、1,1-ジメチルエチルアセテート(1,1-dimethylethyl acetate、DMEA)、メチルプロピオネート(methyl propionate、MP)、エチルプロピオネート(ethylpropionate、EP)、フルオロエチルアセテート(FEA)、ジフルオロエチルアセテート(DFEA)、トリフルオロエチルアセテート(TFEA)、ジブチルエーテル(dibutyl ether)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraethylene glycol dimethyl ether、TEGDME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(diethylene glycol dimethyl ether、DEGDME)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)、および2-メチルテトラヒドロフラン(2-methyltetrahydrofuran)、エチルアルコール(ethyl alcohol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、スルホラン、ガンマ-ブチロラクトン、およびプロピレンサルファイト(propylene sulfite)などを使用することができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0137】
前記非水電解液は、添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤は、例えば、環状カーボネート系化合物、フッ素置換されたカーボネート系化合物、スルトン系化合物、環状サルフェート系化合物、環状サルファイト系化合物、ホスフェート系化合物、ボレート系化合物などを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0138】
前記環状カーボネート系化合物は、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate、VC)、ビニルエチレンカーボネート(vinyl ethylene carbonate、VEC)などを含むことができる。
【0139】
前記フッ素置換されたカーボネート系化合物は、フルオロエチレンカーボネート(fluoroehtylene carbonate、FEC)などを含むことができる。
【0140】
前記スルトン系化合物は、1,3-プロパンスルトン(1,3-propane sultone)、1,3-プロペンスルトン(1,3-propene sultone)、1,4-ブタンスルトン(1,4-butane sultone)などを含むことができる。
【0141】
前記環状サルフェート系化合物は、1,2-エチレンサルフェート(1,2-ethylene sulfate)、1,2-プロピレンサルフェート(1,2-propylene sulfate)などを含むことができる。
【0142】
前記環状サルファイト系化合物は、エチレンサルファイト(ethylene sulfite)、ブチレンサルファイト(butylene sulfite)などを含むことができる。
【0143】
前記ホスフェート系化合物は、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(lithium difluoro bis-oxalato phosphate)、リチウムジフルオロホスフェート(lithium difluoro phosphate)などを含むことができる。
【0144】
前記ボレート系化合物は、リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalate)borate)などを含むことができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、前述の非水電解液の代わりに固体電解質を使用することもできる。この場合、前記リチウム二次電池は全固体電池の形態で製造することができる。また、正極150と負極100との間に前述した分離膜140の代わりに固体電解質層を配置してもよい。
【0146】
前記固体電解質は、硫化物系電解質を含むことができる。非限定的な例として、前記硫化物系電解質は、Li2S-P2S5、Li2S-P2S5-LiCl、Li2S-P2S5-LiBr、Li2S-P2S5-LiCl-LiBr、Li2S-P2S5-Li2O、Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-SiS2-P2S5-LiI、Li2S-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(m、nは、正の数であり、ZはGe、ZnまたはGaである。)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LipMOq(p、qは正の数であり、MはP、Si、Ge、B、Al、GaまたはInである。)、Li7-xPS6-xClx(0≦x≦2)、Li7-xPS6-xBrx(0≦x≦2)、Li7-xPS6-xIx(0≦x≦2)などを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0147】
一実施形態では、前記固体電解質は、例えば、Li2O-B2O3-P2O5、Li2O-SiO2、Li2O-B2O3、Li2O-B2O3-ZnOなどの酸化物系非晶質固体電解質を含むこともできる。
【0148】
図3に示すように、各電極セルに属する正極集電体160及び負極集電体110からそれぞれ電極タブ(正極タブ及び負極タブ)が突出してケース190の一側部まで延長することができる。前記電極タブは、ケース190の前記一側部と共に融着して、ケース190の外部に延長または露出した電極リード(正極リード157及び負極リード107)を形成することができる。
【0149】
前記リチウム二次電池は、例えば、缶を用いた円筒型、角型、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などで製造することができる。
【0150】
以下、本発明の理解を助けるために具体的な実施例を提示するが、これらの実施例は本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。これらの実施例に対し、本発明の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正を加えることが可能であることは当業者にとって明らかであり、これらの変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然のことである。
【0151】
実施例1
(1)第1負極活物質層の製造
第1負極活物質としての人造黒鉛95.5重量%、導電材としてのカーボンナノチューブ(CNT)1重量%、バインダーとしてのスチレン-ブタジエンラバー(SBR)2重量%、および増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1.5重量%を混合して第1負極スラリーを得た。
【0152】
(2)第2負極活物質層の形成
1)複合粒子の製造
炭素系粒子の製造
i)レゾールオリゴマーの合成:フェノールとホルムアルデヒドを1:2のモル比で混合し、トリエチルアミン1.5重量%を加えて、85℃、4時間、160rpm(撹拌)の条件下で反応させた。
ii)レゾールオリゴマーの懸濁安定化:水分散性媒質にポリビニルアルコール(PVA)の1gを分散させた後、前記レゾールオリゴマーに投入した。
iii)レゾールオリゴマーの硬化:硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン(HMTA)の3gを投入し、98℃、12時間、400rpm(撹拌)の条件下で反応させた。
iv)炭素材料の取得:前記硬化したレゾールオリゴマーを、シーブ(sieve)を用いて分級した後、H2Oを用いて水洗した。
v)前記水洗したレゾールオリゴマーからエタノールを用いて未反応のモノマーおよびオリゴマーを除去し、乾燥した。
vi)炭化および活性化:前記乾燥したレゾールオリゴマーを窒素雰囲気下において900℃で1時間焼成した。前記焼成時、CO2ガスを1L/minで投入し、900℃で炭化して多孔性カーボンを製造した。
【0153】
シリコン含有コーティングの形成
シランガスを50mL/min~100mL/minの流速でCVDコーターに注入し、5℃/min~20℃/minの昇温速度で550℃まで昇温した後、約120分間保持して、シリコン含有コーティングを含む複合粒子を製造した。
【0154】
2)第2負極活物質層の形成
製造された複合粒子と人造黒鉛を4:6の重量比で混合して第2負極活物質として使用した。
【0155】
前記第2負極活物質を95.5重量%、導電材としてのCNTを1重量%、バインダーとしてのSBRを2重量%、増粘剤としてのCMCを1.5重量%混合して第2負極スラリーを得た。
【0156】
前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーを銅集電体上に順次塗布し、乾燥および圧延して、第1負極活物質層および第2負極活物質層を含む負極を形成した。前記第1負極スラリーと第2負極スラリーのロード量の比(体積比)は5:5に調整した。
【0157】
(3)リチウム半電池(Li-half cell)の製造
前述の方法で製造された負極を含み、対極(正極)としてリチウムメタル(Li metal)を用いたリチウム半電池を製造した。
【0158】
具体的には、前記製造された負極とリチウムメタル(厚さ1mm)との間に分離膜(ポリエチレン、厚さ20μm)を介在してCR2016(直径20mm、厚さ1.6mm)規格のリチウムコインハーフセル(coin half-cell)を構成した。
【0159】
リチウムメタル/分離膜/負極の組み合わせをコインセルプレート(coin cell plate)に入れ、電解液の注液後にキャップ(cap)を覆い、クランプ(clamping)した。
【0160】
前記電解液の製造において、EC/EMC(3:7の体積比)の混合溶媒を用いて1MのLiPF6溶液を形成し、電解液の全体積に対して2.0体積%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加した。クランプ後に3時間~24時間含浸させた後、0.1Cで3サイクル充放電を行った(充電条件:CC-CV 0.1C 0.01V 0.01C CUT-OFF、放電条件:CC 0.1C 1.5V CUT-OFF)。
【0161】
実施例2~13、17及び比較例3
第1負極活物質および第2負極活物質の全重量に対する複合粒子の含有量、第2負極活物質の全重量に対する複合粒子の含有量、および第1負極活物質層と第2負極活物質層のロード量の比を下記表1のように調整した以外は、実施例1と同様にして負極およびリチウム半電池を製造した。
【0162】
実施例14
互いに3cm離隔して3000ガウス(Gauss)の磁場が形成された一対のネオジム磁石の間で、前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーが集電体上に順次塗布された積層体を30秒間通過させて磁場を印加(磁気配向)した後、乾燥および圧延した以外は、実施例1と同様にして負極およびリチウム半電池を製造した。
【0163】
実施例15
互いに10cm離隔して3000ガウス(Gauss)の磁場が形成された一対のネオジム磁石の間で、前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーが集電体上に順次塗布された積層体を30秒間通過させて磁場を印加(磁気配向)した後、乾燥および圧延した以外は、実施例1と同様にして負極およびリチウム半電池を製造した。
【0164】
実施例16
互いに10cm離隔して3000ガウス(Gauss)の磁場が形成された一対のネオジム磁石の間で、前記第1負極スラリーおよび前記第2負極スラリーが集電体上に順次塗布された積層体を60秒間通過させて磁場を印加(磁気配向)した後、乾燥および圧延した以外は、実施例1と同様にして負極およびリチウム半電池を製造した。
【0165】
比較例1
複合粒子と人造黒鉛の混合物(重量比2:8)を第1負極活物質および第2負極活物質として使用した以外は、実施例1と同様にして負極およびリチウム半電池を製造した。
【0166】
比較例2
人造黒鉛のみを第2負極活物質として使用した以外は、実施例1と同様にして負極およびリチウム半電池を製造した。
【0167】
比較例4及び5
前述のようにして製造された複合粒子の代わりに、シリコン系活物質であるSiOx(0<x<2)を使用した以外は、実施例1と同様にして負極及びリチウム半電池を製造した。
【0168】
第1負極活物質および第2負極活物質の全重量に対する複合粒子の含有量、第2負極活物質の全重量に対する複合粒子の含有量、および第1負極活物質層と第2負極活物質層のロード量の比(体積比)、磁場印加を下記表1に示す。表1の磁場印加において、○は磁場を印加したことを、Xは磁場を印加しなかったことを意味する。
【0169】
表1において、比較例4及び比較例5に記載の含有量は、SiOx(0<x<2)の含有量を示す。
【0170】
【0171】
実験例
(1)拡散度(diffusivity)の測定
前述の実施例及び比較例により製造された負極を3mm×10mmの大きさに切断してサンプルを作製した。
【0172】
前記サンプルをX線顕微鏡(Zeiss Xradia 620 versa、Zeiss社製)に投入して負極の3D画像を得た。
【0173】
前記X線顕微鏡の測定条件は以下の通りであった。
i)Source condition:60kV、4.5W
ii)Voxel size:350nm
【0174】
測定された3D画像を分析ソフトウェア(GeoDict Software、Math 2 Market社製)を用いて、負極活物質および気孔構造からなる3Dモデリング画像を得た。
【0175】
前記3Dモデリング画像について、前記分析ソフトウェア内のDiffudict Module(GeoDict Software、Math 2 Market社製)機能を用いて、第1負極活物質層の拡散度(D1)および第2負極活物質層の拡散度(D2)を測定した。
【0176】
具体的には、前記分析ソフトウェアの設定において、Percolation pathのComputation DirectionをZ方向(厚み方向)に設定した。その後、前記3Dモデリング画像において、第1負極活物質層および第2負極活物質層の厚さ(L1、L2)、気孔度(P1、P2)、およびリチウムイオンが厚さ方向に透過する際に通る平均距離(LP1、LP2)に基づいて拡散度(diffusivity)をそれぞれ測定した。
【0177】
前記厚さ(L1、L2)、気孔度(P1、P2)、およびリチウムイオンが厚さ方向に透過する際に通る平均距離(LP1、LP2)を式1及び式2に代入して拡散度を測定した。
【0178】
前記拡散度の測定は、第1及び第2負極活物質層に電解液が通過する場合を基準に測定した。前記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を1:1の体積比で混合した溶媒を用いて製造した1mol/LのLiPF6溶液を使用した。前記電解液の物性は「On tortuosity and the tortuosity factor in flow and diffusion through porous media,Chemical engineering science,Vol 44,No.3,777-779,1989」に記載された物性であり、以下の通りである。
i)Density=1300kg/m3
ii)Dynamic viscosity=0.01
iii)Kinematic viscosity=7.69231e-6)
【0179】
(2)急速充電時の容量維持率(寿命特性)の評価
前述の実施例及び比較例により製造されたリチウム半電池を3.25C/3.0C/2.75C/2.5C/2.25C/2.0C/1.75C/1.5C/1.25C/1.0C/0.75C/0.5CのC-rateで段階(step)ごとの充電方式により、35分以内にDepth of Discharge(DOD)が72%に達するように充電した後、1/3Cで放電した。前記の充電および放電を1サイクル(cycle)とし、サイクルを繰り返しながら急速充電の評価を行った。
【0180】
充放電サイクルの間に10分間の待機時間を設けて200サイクルを繰り返した後、200サイクル後の放電容量を1サイクル後の放電容量で割って百分率で示した。
【0181】
測定及び評価の結果を下記表2に示す。急速充電時の容量維持率において、N/Aは、200サイクル前に容量維持率が急落して電池の使用が難しい場合を示す。
【0182】
第2負極活物質層の拡散度(D2)に対する第1負極活物質層の拡散度(D1)の比(D1/D2)を表2に示す。
【0183】
【0184】
表1及び表2を参照すると、第1負極活物質層の拡散度(D1)が3.87以下である実施例では、比較例に比べて全体的に急速充填時の容量維持率が向上した。
【0185】
第1負極活物質および第2負極活物質の全重量に対する複合粒子の含有量が2重量%~30重量%から外れる実施例8及び9では、拡散度(D1)が相対的に増加し、急速充填時の容量維持率が他の実施例に比べて低下した。
【0186】
第2負極活物質の全重量に対する複合粒子の含有量が4重量%~40重量%から外れる実施例10及び11では、拡散度(D1)が相対的に増加し、急速充填時の容量維持率が他の実施例に比べて低下した。
【0187】
拡散度(D2)が4.0未満の実施例12では、急速充填時の容量維持率が他の実施例に比べて低下した。
【0188】
拡散度(D2)が4.28を超える実施例13では、急速充電時の容量維持率が実施例2に比べて低下した。
【0189】
磁場を印加した実施例14~16では、拡散度(D1)が減少し、容量維持率が向上した。
【0190】
第2負極活物質層の拡散度(D2)が第1負極活物質層の拡散度(D1)よりも小さい実施例17では、容量維持率が相対的に低下した。