(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025089586
(43)【公開日】2025-06-12
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、半導体装置の同一性判定方法、および半導体装置の製造システム
(51)【国際特許分類】
H01L 23/00 20060101AFI20250605BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20250605BHJP
【FI】
H01L23/00 A
H01L23/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025060455
(22)【出願日】2025-04-01
(62)【分割の表示】P 2025507309の分割
【原出願日】2024-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2023185889
(32)【優先日】2023-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023185890
(32)【優先日】2023-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2023年度 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「経済安全保障重要技術育成プログラム/ハイブリッドクラウド利用基盤技術の開発/半導体・電子機器等のハードウェアにおける不正機能排除のための検証基盤の確立」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 紗也佳
(72)【発明者】
【氏名】高野 健
(57)【要約】
【課題】半導体装置において、インクにより付された同一性判定用マークの定着性を高めることができる技術を提供すること。
【解決手段】半導体基材上に、硬化性樹脂組成物により形成された下地層を形成する、下地層形成工程と、下地層上に、インクにより、半導体装置の同一性を判定するために使用される同一性判定用マークを付与する、インクマーキング工程と、インクマーキング工程の後に、前記下地層を硬化させる硬化工程と、を備える、半導体装置の製造方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基材上に、硬化性樹脂組成物により形成された下地層を形成する、下地層形成工程と、
前記下地層上に、インクにより、半導体装置の同一性を判定するために使用される同一性判定用マークを付与する、インクマーキング工程と、
前記インクマーキング工程の後に、前記下地層を硬化させる硬化工程と、
を備える、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記下地層形成工程は、前記半導体基材の裏面に前記下地層を形成する工程を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記下地層形成工程は、前記硬化性樹脂組成物を含む下地層形成用フィルムを半導体基材の裏面にラミネートすることにより、前記下地層を形成する工程を含んでいる、
半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記硬化性樹脂組成物は、熱硬化性を有し、
前記硬化工程は、熱硬化により前記下地層を硬化させる工程を含んでいる、
半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法を用いて、半導体装置の真正品を製造する工程と、
前記真正品の製造中または製造後に、前記同一性判定用マークを撮像し、前記真正品の同一性判定用マークを示す真正品データを生成する工程と、
判定対象品となる半導体装置の前記同一性判定用マークを撮像し、前記判定対象品の同一性判定用マークを示す判定対象品データを生成する工程と、
前記真正品データと前記判定対象品データとに基づいて、前記判定対象品が前記真正品と同一であるか否かを判定する工程と、
を備える、
半導体装置の同一性判定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の同一性判定方法であって、
前記真正品データを生成する工程及び前記判定対象品データを生成する工程は、それぞれ、顕微鏡を介して前記同一性判定用マークを撮像する工程を含んでいる、
同一性判定方法。
【請求項7】
半導体基材上に、硬化性樹脂組成物により形成された下地層を形成する、下地層形成装置と、
前記下地層上に、インクにより、半導体装置の同一性を判定するために使用される同一性判定用マークを付与する、インクマーキング装置と、
を備える、
半導体装置の製造システム。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造システムであって、
さらに、前記同一性判定用マークが付与された下地層を硬化させる硬化装置を備える、
半導体装置の製造システム。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造システムであって、
さらに、前記同一性判定用マークを撮像する撮像装置を備える、
半導体装置の製造システム。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造システムであって、
さらに、前記撮像装置により撮像された画像から特徴量を算出する特徴量算出装置を備える、
半導体装置の製造システム。
【請求項11】
請求項7に記載の半導体装置の製造システムであって、
前記下地層形成装置及び前記インクマーキング装置が一体化されている、
半導体装置の製造システム。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置の製造システムであって、
前記下地層形成装置、前記インクマーキング装置及び前記撮像装置が一体化されている、
半導体装置の製造システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の半導体装置の製造システムであって、
前記硬化性樹脂組成物は、熱硬化性を有する、
半導体装置の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置の同一性判定方法、および半導体装置の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の分野においては、偽造品の流通が問題となっている。そこで、流通品が真正品と同一であるかどうかを判定することができる技術が求められている。同一性の判定のため、予め、半導体装置に固有のマーク(以下、同一性判定用マークという)を付しておくことが考えられる。
【0003】
上記に関連して、特許文献1(特開2007-242973号公報)には、半導体回路が封止樹脂で封止されている構造の半導体装置であって、半導体回路と、個体ごとに相違するまだら模様が少なくとも表面にある封止樹脂と、を有している半導体装置、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
ところで、本発明者らは、インクを用いて形成されたマークを、同一性判定用マークとして使用することを検討している。インクにより形成されたマークは、目視で観察した場合に同じ形状を有していたとしても、拡大して観察すればマーク毎に固有の形状を有している。この現象を利用し、本発明者らは、インクにより形成されたマークの拡大画像を、同一性の判定に利用することを検討している。
【0006】
その一方で、インクを用いて形成されたマークには、定着性についての課題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、半導体装置において、インクにより付された同一性判定用マークの定着性を高めることができる技術を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、半導体装置の製造工程において、マークを付す工程の順番を工夫することにより、上記の課題を解決できることを見出した。
【0009】
すなわち、一側面において、本発明は、半導体装置の製造方法に関する。この製造方法は、半導体基材上に、硬化性樹脂組成物により形成された下地層を形成する、下地層形成工程と、下地層上に、インクにより、半導体装置の同一性を判定するために使用される同一性判定用マークを付与する、インクマーキング工程と、インクマーキング工程の後に、下地層を硬化させる硬化工程と、を備える。
【0010】
他の一側面において、本発明は、半導体装置の同一性判定方法に関する。この同一性判定方法は、上記の製造方法を用いて半導体装置の真正品を製造する工程と、真正品の製造中または製造後に、同一性判定用マークを撮像し、真正品の同一性判定用マークを示す真正品データを生成する工程と、判定対象品となる半導体装置の同一性判定用マークを撮像し、判定対象品の同一性判定用マークを示す判定対象品データを生成する工程と、真正品データと判定対象品データとに基づいて、判定対象品が真正品と同一であるか否かを判定する工程と、を備える。
【0011】
更なる他の一側面において、本発明は、半導体装置の製造システムに関する。この製造システムは、半導体基材上に、硬化性樹脂組成物により形成された下地層を形成する、下地層形成装置と、下地層上に、インクにより、半導体装置の同一性を判定するために使用される同一性判定用マークを付与する、インクマーキング装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同一性判定用マークの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、半導体装置の製造方法の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、半導体装置の製造システムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(1)半導体装置
図1は、本実施形態に係る半導体装置1を示す概略図である。半導体装置1は、半導体基材2と、半導体基材2上に設けられた下地層3とを有している。下地層3上には、同一性判定用マーク4が付されている。半導体装置1は、例えば、半導体チップである。
【0015】
図2は、同一性判定用マーク4の一例を示す図である。なお、
図2には、同一性判定用マーク4の一部の領域における拡大図も併せて示されている。
【0016】
同一性判定用マーク4は、インクにより付されたマークである。同一性判定用マーク4は、半導体装置1が真正品と同一であるか否かを判定するために用いられる。既述のように、インクにより付されたマークは、目視では同じ形状のマークであったとしても、拡大して観察した場合には異なる形状を有している。例えば、インクを基材上に供給すると、供給されたインクは、ある程度、濡れ広がる。インクの濡れ広がり方は、ランダムである。また、例えばインクジェット法を用いてマークを付す場合、インクは液滴として基材上に供給される。この際の液滴の着弾位置は、拡大して観察した場合にはランダムである場合もある。
【0017】
上述のランダム性が、同一性の判定に使用される。たとえば、半導体装置1の製造時に、予め、同一性判定用マーク4の拡大画像が取得され、その画像が真正品データとして保存される。半導体装置1が市場に流通した後、流通品が真正品と同一であるか否かを確かめる場合には、流通品の同一性判定用マーク4の拡大画像が取得される。そして、流通品の画像を判定対象品データとして、予め保存されていた真正品データと比較される。これにより、流通品が真正品と同一であるか否かを判定することができる。なお、真正品データ及び判定対象品データは、画像データそのものであってもよいが、必ずしも画像データそのものでなくてもよい。例えば、真正品データ及び判定対象品データは、画像データから抽出された特徴量を示すデータであってもよい。
【0018】
また、同一性の判定に使用されるのは、同一性判定用マーク4の形状のランダム性に限られない。例えば、インクが微粒子状のパターン形成物質を含むことで、同一性判定用マーク4を拡大して観察した場合に、パターン形成物質の反射光等に起因したランダムな輝点パターンが得られることがある。このように、輝点パターンのランダム性を同一性の判定に使用してもよい。
【0019】
なお、同一性判定用マーク4は、目視で観察した場合にはロット番号等の何らかの情報を有するマークであってもよいし、何らの意味も示さないマークであってもよい。すなわち、同一性判定用マーク4による同一性の判定は、マークが構成する識別記号によってではなく、真正品のマークの固有の画像から得られる情報と、判定対象品のマークの画像から得られる情報の対比によって為される。
【0020】
(2)半導体装置の製造方法及び同一性判定方法
続いて、本実施形態に係る半導体装置の製造方法および同一性判定方法を説明する。
図3は、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【0021】
本実施形態においては、上述のように、ランダム性を得るため、インクにより同一性判定用マーク4が形成される。しかしながら、インクにより付された同一性判定用マーク4には、定着性についての課題がある。特に、拡大画像が同一性の判定に使用される場合、同一性判定用マーク4には、拡大画像として観察した場合にも剥がれが観察されない程度に、高い定着性を有していることが求められる。そこで、本発明者らは、同一性判定用マーク4の定着性を高めるために、検討を行った。その結果、硬化性を有する下地層3を形成し、次いで、下地層3の硬化前にインクマーキングを実施することにより、定着性が高められることを見出した。下地層3の硬化前であれば、下地層3はある程度の流動性を有している。そのため、硬化前の下地層3にインクを供給すれば、インクと下地層3とが浸透し合いやすい。その結果、インクが下地層3に結合しやすくなり、同一性判定用マーク4の定着性が高まるものと考えられる。
【0022】
すなわち、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法は、
図3に示されるように、下地層形成工程(ステップS1)と、インクマーキング工程(ステップS2)と、硬化工程(ステップS3)とを有している。下地層形成工程(S1)では、半導体基材2上に、硬化性樹脂組成物によって下地層3が形成される。インクマーキング工程(S2)では、インクにより、下地層3上に同一性判定用マーク4が付与される。硬化工程(S3)では、下地層3が硬化される。硬化工程(S3)は、インクマーキング工程(S2)の後に実施される。このような方法によれば、硬化工程(S3)がインクマーキング工程(S2)の後に実施されるから、下地層3に対する同一性判定用マーク4の定着性を高めることができる。
【0023】
以上が本実施形態の概略である。続いて、具体例を参照しつつ、本実施形態の詳細について説明する。
図4は、半導体装置1の製造方法の一具体例を示す図である。
【0024】
(ステップS1)下地層の形成
まず、
図4(a)に示されるように、半導体基材2が準備される。半導体基材2は、例えば、裏面研削の終了後の半導体ウエハである。
【0025】
次いで、
図4(b)に示されるように、半導体基材2上に下地層3が形成される。下地層3は、同一性判定用マーク4の下地となることができる層であればよい。本実施形態では、下地層3は、半導体基材2の裏面(回路形成面とは反対側の面)に設けられる樹脂層(裏面樹脂層)である。
【0026】
下地層3は、硬化性樹脂組成物により形成される。例えば、硬化性樹脂組成物を含む下地層形成用フィルム(裏面樹脂層用フィルム)を、半導体基材2の裏面にラミネートする。これにより、下地層3を形成することができる。
【0027】
下地層3を形成する硬化性樹脂組成物の硬化タイプは、熱硬化性であってもよいし、エネルギー線硬化性(例えばUV硬化性)であってもよいし、その両者であってもよい。エネルギー線硬化性の硬化性樹脂組成物から形成された下地層形成用フィルムは、エネルギー線の透過性と、下地層に要求される光学的な特性との両立を図ることが必要になる場合もあるため、硬化性樹脂組成物は、好適には、熱硬化型である。
【0028】
なお、下地層3の詳細な組成等については、一例をあげて後述する。
【0029】
(ステップS2)インクマーキング
続いて、
図4(c)に示されるように、下地層3上に同一性判定用マーク4を付与する。既述のように、同一性判定用マーク4は、インクにより形成される。すなわち、下地層3上にインクを塗布することにより、同一性判定用マーク4が形成される。
【0030】
同一性判定用マーク4の付与方法は特に限定されない。たとえば、付与方法として、インクジェット法、およびグラビアコーティング法などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット法が好ましい。インクジェット法を用いた場合、
図4(c)に示されるように、インクの液滴6が下地層3に吹き付けられる。この際、液滴6の着弾位置は、拡大してみた場合には、秩序的である場合もあるし、ランダムとなる場合もある。また、着弾後のインクはランダムな形状で濡れ広がる。従って、拡大した際に観察される同一性判定用マーク4の形状が、固有の形状になりやすい。その結果、同一性判定用マーク4を利用した同一性の判定が実施しやすくなる。
【0031】
インクとしては、好ましくは、硬化型のインクが使用される。インクは、熱硬化型であってもよいし、エネルギー線硬化型であってもよい。好ましくは、インクとして、エネルギー線硬化型のものが用いられる。より好ましくは、インクとしてUV硬化型のものが用いられる。また、インクには必要に応じて微粒子状のパターン形成物質が添加される。
【0032】
硬化型のインクを用いた場合、好適には、インクの塗布後、直ちに(下地層3の硬化の前に)インクが硬化させられる。
【0033】
より好適な一態様においては、下地層3を構成する硬化性樹脂組成物は、熱硬化型の樹脂組成物である。一方、インクは、エネルギー線硬化型の組成物である。そして、インクの硬化は、下地層3の硬化(S3)よりも前に実施される。
【0034】
(撮像)
続いて、
図4(d)に示されるように、同一性判定用マーク4が撮像される。同一性判定用マーク4は、顕微鏡を介して撮像される。撮像される領域のサイズは、特に限定されない。たとえば、撮像される領域のサイズは、1辺が10~1000μmの領域が含まれるようなサイズである。
【0035】
撮像に使用される顕微鏡は、典型的には光学顕微鏡である。光学顕微鏡を用いる際の撮像時の倍率は、例えば20~500倍である。
【0036】
撮像により得られた同一性判定用マーク4の画像や、画像から抽出された特徴量は、真正品の同一性判定用マークを示す真正品データとして、例えば図示しないサーバ等に格納される。
【0037】
(ステップS3)硬化
続いて、
図4(e)に示されるように、下地層3が硬化させられる。下地層3は、硬化性樹脂組成物の硬化タイプに応じた方法により、硬化させられる。すなわち、下地層3の硬化タイプが熱硬化型であれば、熱硬化プロセスが実施される。下地層3の硬化タイプがエネルギー線硬化型であれば、エネルギー線照射による硬化プロセスが実施される。
【0038】
なお、下地層3の硬化タイプが熱硬化型である場合、本ステップにおける加熱温度は、例えば80~200℃、好ましくは100~160℃である。加熱時間は、例えば30分~5時間、好ましくは1~3時間である。
【0039】
(ダイシング等)
下地層3の硬化後、必要な処理が行われ、半導体装置1が得られる。
図4に示される例では、
図4(f)に示されるように、ダイシング工程が実施される。ダイシング工程においては、半導体基材2がダイシングシート10上に配置される。半導体基材2は、例えば、下地層3がダイシングシート10側を向くように、ダイシングシート10に貼付される。すなわち、同一性判定用マーク4がダイシングシート10に接するように、ダイシングシート10に貼付される。そして、ブレード9を用いて半導体基材2が個片化(ダイシング)される。
【0040】
個片化後、
図4(g)に示されるように、各半導体チップ11が、ダイシングシート10からピックアップされる。ここで、同一性判定用マーク4の定着性が低い場合には、ピックアップ時に、同一性判定用マーク4がダイシングシート10に付着し、下地層3から剥離してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、同一性判定用マーク4が高い定着性を有している。従って、同一性判定用マーク4がダイシングシート10に接するように半導体基材2を貼付した場合であっても、ピックアップ時に同一性判定用マーク4は剥離し難い。
【0041】
ピックアップ後、必要に応じて信頼性試験などが行われる。信頼性試験などを経たのち、半導体チップは、半導体装置として市場に流通する。
【0042】
市場への流通後、半導体装置が真正品であるか否かを確かめたい場合には、
図4(h)に示されるように、流通品(判定対象品)の同一性判定用マークが撮像される。流通品の同一性判定用マークは、真正品と同様に、顕微鏡を用いて撮像される。そして、流通品の同一性判定用マークの画像を示すデータ又は画像から抽出した特徴量(判定対象品データ)と、予め生成されていた真正品データとに基づいて、流通品が真正品と同一であるか否かが判定される。
【0043】
以上が本実施形態に係る半導体装置の製造方法および同一性半導体方法である。本実施形態によれば、下地層3の硬化前にインクマーキングが行われるから、同一性判定用マーク4の定着性を高めることができる。これにより、信頼性良く、同一性の判定を行うことができる。
【0044】
(3)半導体装置の製造システム
なお、上述の半導体装置の製造方法は、例えば、半導体装置の製造システムにより実現することができる。
図5は、半導体装置の製造システム20の一例を示す構成図である。この半導体装置の製造システム20は、下地層形成装置21と、インクマーキング装置22と、撮像装置23と、硬化装置24とを有している。
【0045】
下地層形成装置21は、半導体基材2上に下地層3を形成するように構成されている。下地層形成装置21は、例えば、下地層形成用フィルム(裏面樹脂層用フィルム)を半導体基材2の裏面にラミネートするように構成されたラミネート装置である。
【0046】
インクマーキング装置22は、下地層3上にインクにより同一性判定用マークを付すように構成されている。インクマーキング装置22は、例えば、インクジェット印刷装置である。
【0047】
撮像装置23は、顕微鏡を備え、顕微鏡を介して同一性判定用マーク4の微細領域を撮像するように構成されている。撮像装置23は、例えば、光学顕微鏡付きのデジタル型の撮像装置である。
【0048】
また、本実施形態の半導体装置の製造システムは、撮像装置23により撮像された画像
から所定の特徴量を算出する、特徴量算出装置(図示せず)を備えていてもよい。特徴量算出装置により算出される特徴量としては、例えば、顕微鏡により拡大された同一性判定用マーク4の形状の輪郭を示す座標や、同一性判定用マーク4が示す輝点パターンにおける各輝点の座標等が挙げられる。このような特徴量は、上述した真正品の画像から抽出された特徴量として用いられる。
【0049】
硬化装置24は、下地層3を硬化させるように構成されている。下地層3の硬化タイプが熱硬化型である場合、硬化装置24は、加熱装置である。下地層3の硬化タイプがエネルギー線硬化型(例えばUV硬化型)である場合、硬化装置24は、エネルギー線照射装置(例えばUV照射装置)である。
【0050】
上述の製造システム20に含まれる装置のいくつかは、一体化されて提供されてもよい。例えば、下地層形成装置21及びインクマーキング装置22が一体化されて提供されてもよい。このような製造システムを用いれば、下地層の形成からインクマーキングまでをインラインで実施することが可能となり、生産性を高めることができる。また、下地層形成装置21、インクマーキング装置22及び撮像装置23が一体化されて提供されてもよく、下地層形成装置21、インクマーキング装置22、撮像装置23及び特徴量算出装置が一体化されて提供されてもよい。
【0051】
下地層3を形成する硬化性樹脂組成物が熱硬化性である場合、硬化装置24としての加熱装置における加熱は、30分~5時間程度の時間を要する場合が多い。したがって、下地層形成装置21やインクマーキング装置22の処理時間が相対的に短いことを考慮すると、硬化装置24を下地層形成装置21及びインクマーキング装置22と一体化することに困難性がある。そのため、下地層3の硬化をインクマーキングよりも先に行う場合には、半導体基材2が下地層形成装置21及びインクマーキング装置22の間に経由する硬化装置24のオフライン化により、下地層形成装置21及びインクマーキング装置22のインライン化もできなくなってしまう可能性がある。一方、下地層3の硬化をインクマーキングよりも後に行う場合には、下地層の形成とインクマーキングをインラインで行った後に、下地層3をオフラインで硬化すればよく、下地層形成装置21及びインクマーキング装置22を一体化することが容易である。
【0052】
(4)その他
なお、本実施形態では、真正品についての同一性判定用マークの撮像(
図4(d)参照)が、インクマーキング工程(S2:
図4(c))と硬化工程(S3:
図4(e))との間に実施される場合について説明した。ただし、同一性判定用マーク4の撮像は、必ずしも、硬化工程(S3)の前に実施される必要はない。同一性判定用マーク4の撮像は、硬化工程(S3:
図4(e))の後の任意の段階で実施されてもよい。下地層3が熱硬化性である場合には、硬化工程よりも前に同一性判定用マーク4が撮像される順序であることで、インライン化が困難な硬化工程を工程間に挟まないため、上述した半導体装置の製造システムにおいて、下地層形成装置21、インクマーキング装置22及び撮像装置23を一体化することが容易である。
【0053】
また、本実施形態では、下地層3が、半導体基材2の裏面に形成される裏面樹脂層である場合について説明した。ただし、下地層3は、裏面樹脂層に限定されるものではない。例えば、下地層3は、いわゆる封止樹脂として使用される封止樹脂層であってもよい。
【0054】
一方で、好適には、下地層3は、上述の実施形態で説明したように、裏面樹脂層である。さらに好適には、裏面樹脂層は、下地層形成用フィルム(裏面樹脂層用フィルム)をラミネートすることにより形成された樹脂層である。以下においては、下地層3が下地層形成用フィルムにより形成された裏面樹脂層である場合について、裏面樹脂層を詳細に説明する。
【0055】
(5)下地層(裏面樹脂層)
裏面樹脂層の厚みは、特に限定されないが、例えば1~100μm、好ましくは5~50μmである。
【0056】
裏面樹脂層の硬化型は、既述のように、熱硬化型であってもよいし、エネルギー線硬化型であってもよい、好適には、熱硬化型である。以下においては、熱硬化型である場合の裏面樹脂層の組成の一例を説明する。この場合には、裏面樹脂層は、熱硬化性の硬化性樹脂組成物から形成される。
【0057】
硬化性樹脂組成物が熱硬化性である場合、硬化性樹脂組成物は、例えば、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)、硬化促進剤(C)、シランカップリング剤(D)、及び着色剤(E)等を含む。
【0058】
(A)重合体成分
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂(例えば、少なくともアクリル酸エステル単量体を含む単量体を付加重合して得られる樹脂)、ポリエステル、ウレタン系樹脂(例えば、ウレタン結合を有する樹脂)、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂(例えば、シロキサン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(例えば、ゴム構造を有する樹脂)、及びフェノキシ樹脂等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
【0059】
重合体成分(A)の含有量は、溶媒を除く硬化性樹脂組成物の全質量に対して、例えば5~50質量%、好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~35質量%である。
【0060】
(B)熱硬化性成分
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリウレタン、不飽和ポリエステル、及びシリコーンゴム等が挙げられる。好ましくは、エポキシ系熱硬化性樹脂である。
【0061】
エポキシ系熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなるものが用いられる。
【0062】
エポキシ樹脂(B1)としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が含まれていることが好ましい。
【0063】
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂に対する硬化剤として機能する物質である。熱硬化剤としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する化合物が挙げられる。そのような官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられる。好ましくは、熱硬化剤は、アミノ基を有するアミノ系硬化剤を含む。アミノ系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド等が挙げられる。
【0064】
熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の含有量)は、溶媒を除く硬化性樹脂組成物の全質量に対して、例えば5~30質量%、好ましくは15~20質量%である。
【0065】
(C)硬化促進剤
硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(少なくとも1個の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(少なくとも1個の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。好ましくは、硬化促進剤(C)は、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールを含む。
【0066】
硬化促進剤(C)の含有量は、溶媒を除く硬化性樹脂組成物の全質量に対して、例えば0.1~1質量%である。
【0067】
(D)シランカップリング剤
シランカップリング剤(D)としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、及びイミダゾールシラン等が挙げられる。好ましくは、シランカップリング剤(D)は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む。
【0068】
シランカップリング剤(D)の含有量は、溶媒を除く硬化性樹脂組成物の全質量に対して、例えば0.1~1質量%である。
【0069】
(E)着色剤
着色剤(E)としては、無機系顔料、有機系顔料、及び有機系染料等を用いることができる。これらの中でも、退色が少ないことから、無機系顔料が好ましい。無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。好ましくは、着色剤(E)は、カーボンブラックを含む。
【0070】
着色剤(E)の含有量は、溶媒を除く硬化性樹脂組成物の全質量に対して、例えば0.1~10質量%、好ましくは0.5~5質量%である。
【実施例0071】
続いて、本発明をより詳細に説明するため、本発明者らによって実施された実施例について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるべきものではない。
【0072】
(実施例)
<裏面樹脂層用フィルムの製造>
(裏面樹脂層用組成物の調製)
以下の原料をメチルエチルケトン溶媒と混合し、23℃で60分間撹拌することにより、有効成分(溶媒以外の成分)の含有量が52質量%である裏面樹脂層用組成物を調製した。なお、以下の記載において、各成分の量は、有効成分の量を示す。
(1)アクリル系重合体(20質量部):n-ブチルアクリレート15質量部、メチルメタクリレート10質量部、メチルアクリレート60質量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量:60万)
(2)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(15質量部):日本触媒社製「BPA328」
(3)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1.8質量部):三菱化学社製「jER1055」
(4)ジシアンジアミド(0.45質量部):熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤、ADEKA社製「アデカハードナー EH-3636AS」
(5)2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(0.45質量部):四国化成工業社製「キュアゾール 2PHZ」
(6)球状のシリカフィラー(60質量部):アドマテックス社「SC105G-MMQ:球状シリカ」(平均粒径0.3μm)
(7)シランカップリング剤:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)(0.4質量部)、信越化学工業社製「KBM403」
(8)着色剤:カーボンブラック(1.9質量部)、三菱化学社製「MA600B」(平均粒径28nm)
【0073】
(裏面樹脂層用フィルムの形成)
剥離処理面を有する剥離フィルムを準備した。そして、剥離処理面上に、ナイフコーターによって、上記にて調製した裏面樹脂層用組成物を塗工した。塗工後、110℃で2分間、裏面樹脂用組成物を乾燥させた。乾燥後の裏面樹脂層用組成物の厚みは25μmであった。さらに、この裏面樹脂層用組成物上に、他の剥離フィルムの剥離処理面を貼り合わせ、2枚の剥離フィルムに裏面樹脂層用組成物が挟まれた構成を有する裏面樹脂層用フィルム(ウエハ裏面保護テープ)を作成した。
【0074】
(裏面樹脂層付きシリコンチップの製造)
#2000研磨面を有する6インチシリコンウエハ(厚さ350μm)を半導体基材として準備した。裏面樹脂層用フィルムから一方の剥離フィルムを剥離し、裏面樹脂層用フィルムをシリコンウエハに向けて貼付し、半導体基材上に裏面樹脂層(未硬化の下地層)を形成した。具体的には、ロール温度70℃、ロール速度0.3m/minで熱ラミネートすることにより、裏面樹脂層用フィルムを貼付した。また、裏面樹脂層用フィルムに含まれていた他方の剥離フィルムを剥がして除去した。露出した裏面樹脂層上に、5μmの厚みの白インク(Agfa社、Wh04)をアプリケーターによって塗布した。さらに、UV照射機(CSN2-40、(株)GSアユサ)を用い、UV照度(360mJ/cm2、照射速度13m/min条件下)で、白インクにUVを照射し、白インクを硬化させた。さらに、熱硬化プロセス(130℃、2h)を行い、裏面樹脂層を硬化させた。以上の手順により、白インクが付された半導体ウエハを作製した。
【0075】
(比較例)
実施例と同様の手順により、比較例に係る半導体ウエハを作製した。ただし、白インクの塗布と、熱硬化プロセス(130℃、2h)との順番を入れ替えた。すなわち、半導体基材上に裏面樹脂層(下地層)を形成し、裏面樹脂層上に残っていた他方の剥離フィルムを剥がして除去した後に、熱硬化プロセス(130℃、2h)を実施した。そして、熱硬化プロセスの後に、白インクの塗布及びUV硬化を行った。
【0076】
(定着性試験)
実施例及び比較例について、白インクの定着性試験を行った。具体的には、まず、白インクの形状を20倍の顕微鏡(キーエンス デジタルマイクロスコープVHX-7000)で撮影し、初期画像を取得した。なお、画像は、側射照明(全射照明)の環境下で撮像した。次いで、白インクが形成された面とは反対側の面に、ダイシングテープ(リンテック株式会社製、D-485H)をラミネートした。そして、ダイシングテープの反対側(白インクが形成された面の側)から、ダイサー(株式会社ディスコ製、DFD6362)を用いて、幅1mmで、碁盤目状(縦10列、横10列の100マス)に、半導体ウエハに裏面に到達しない切れ込みを入れた。すなわち、半導体ウエハをハーフカットした。ハーフカット後、白インクが形成された面にダイシングテープ(リンテック株式会社製、D-686H)を貼り付けた。次いで、10分間、半導体ウエハを静置した。静置後、ダイシングテープを剥離可能とするために、ダイシングテープの半導体ウエハに対向する面と逆側の面に対してUV照射を行った。UV照射後、剥離角度が垂直になるように、半導体ウエハの白インクが形成された面からダイシングテープを剥離した。ダイシングテープの剥離後、顕微鏡で白インクの画像を取得し、初期画像と比較することにより、インクの欠けの有無を観察した。インクの欠けがみられなかった場合を「〇」とし、インクの欠けがみられた場合を「×」とした。
【0077】
(結果及び考察)
結果を表1に示す。
【0078】
【0079】
表1に示されるように、実施例は比較例に比べて高い定着性を有していた。比較例については、インクの塗布時に、下地層が硬化状態であるため、インクが下地層から剥離した。これに対して、実施例では、未硬化の状態の下地層(裏面樹脂層)にインクが塗布されている。その結果、高い定着性が得られた。
【0080】
(付記)
以下、本発明に包含される主な構成を、付記として要約する。
【0081】
(付記1)
半導体基材2上に、硬化性樹脂組成物により形成された下地層3を形成する、下地層形成工程(S1)と、下地層3上に、インクにより、半導体装置1の同一性を判定するために使用される同一性判定用マーク4を付与する、インクマーキング工程(S2)と、インクマーキング工程の後に、下地層3を硬化させる硬化工程(S3)と、を備える、半導体装置の製造方法。
【0082】
(付記2)
付記1に記載の半導体装置の製造方法であって、下地層形成工程(S1)は、半導体基材2の裏面に下地層3を形成する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【0083】
(付記3)
付記1または2に記載の半導体装置であって、下地層形成工程(S1)は、硬化性樹脂組成物を含む下地層形成用フィルムを半導体基材の裏面にラミネートすることにより、下地層3を形成する工程を含んでいる、半導体装置の製造方法。
【0084】
(付記4)
付記1~3のいずれかに記載の製造方法であって、硬化性樹脂組成物は、熱硬化性を有し、硬化工程(S3)は、熱硬化により下地層3を硬化させる工程を含んでいる、半導体装置の製造方法。
【0085】
(付記5)
付記1~4のいずれかに記載の製造方法であって、インクは、硬化性を有しており、インクマーキング工程(S2)は、インクを下地層3上に塗布する工程と、塗布されたインクを硬化させる工程と、を有している半導体装置の製造方法。
【0086】
(付記6)
付記1~5のいずれかに記載の製造方法を用いて、半導体装置の真正品を製造する工程と、真正品の製造中または製造後に、同一性判定用マークを撮像し、真正品の同一性判定用マークを示す真正品データを生成する工程と、判定対象品となる半導体装置の同一性判定用マークを撮像し、判定対象品の同一性判定用マークを示す判定対象品データを生成する工程と、真正品データと判定対象品データとに基づいて、判定対象品が真正品と同一であるか否かを判定する工程と、を備える、半導体装置の同一性判定方法。
【0087】
(付記7)
付記6に記載の同一性判定方法であって、真正品データを生成する工程及び判定対象品データを生成する工程は、それぞれ、顕微鏡を介して同一性判定用マークを撮像する工程を含んでいる、同一性判定方法。
【0088】
(付記8)
半導体基材上に、硬化性樹脂組成物により形成された下地層を形成する、下地層形成装置21と、下地層上に、インクにより、半導体装置の同一性を判定するために使用される同一性判定用マークを付与する、インクマーキング装置22と、を備える、半導体装置の製造システム。
【0089】
(付記9)
付記8に記載の半導体装置の製造システムであって、さらに、同一性判定用マークが付与された下地層を硬化させる硬化装置24を備える、半導体装置の製造システム。
【0090】
(付記10)
請求項8又は9に記載の半導体装置の製造システムであって、さらに、同一性判定用マークを撮像する撮像装置23を備える、半導体装置の製造システム。
【0091】
(付記11)
請求項10に記載の半導体装置の製造システムであって、さらに、撮像装置23により撮像された画像から特徴量を算出する特徴量算出装置を備える、半導体装置の製造システム。
【0092】
(付記12)
付記8~11のいずれかに記載の半導体装置の製造システムであって、下地層形成装置21及びインクマーキング装置22が一体化されている、半導体装置の製造システム。
【0093】
(付記13)
請求項10に記載の半導体装置の製造システムであって、下地層形成装置21、インクマーキング装置22及び撮像装置23が一体化されている、半導体装置の製造システム。
【0094】
(付記14)
付記12又は13に記載の半導体装置の製造システムであって、硬化性樹脂組成物は、熱硬化性を有する、半導体装置の製造システム。
【0095】
(参照による引用)
本出願は、特願2023-185889号(出願日2023年10月30日)及び特願2023-185890(出願日2023年10月30日)に基づく優先権を主張するものであり、これら出願の記載内容は参照による引用により本明細書に組み込まれる。
1・・・半導体装置、2・・・半導体基材、3・・・下地層、4・・・同一性判定用マーク、5・・・半導体ウエハ、6・・・インク、7・・・撮像装置、9・・・ブレード、10・・・ダイシングテープ、11・・・半導体チップ、20・・・半導体装置の製造システム、21・・・下地層形成装置、22・・・インクマーキング装置、23・・・撮像装置、24・・・硬化装置