(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025089587
(43)【公開日】2025-06-12
(54)【発明の名称】粉末薬剤を送達するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20250605BHJP
【FI】
A61B17/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025060466
(22)【出願日】2025-04-01
(62)【分割の表示】P 2022129455の分割
【原出願日】2018-01-09
(31)【優先権主張番号】62/444,586
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アマンダ リン
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン、ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ハバード、ブライアン デニス ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート、スタン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ビンツ、ケイトリン エミリー
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
(57)【要約】
【課題】止血粉末の内視鏡による送達のための装置および方法に関する。
【解決手段】本開示の一態様では、被験者の体内に粉末薬剤を送達するための装置は、粉末薬剤を収容する粉末チャンバを含むことができる。装置はまた、粉末チャンバと流体接続されたシャーシを含むことができる。シャーシは、加圧ガスを受けるための第1の通路と、粉末薬剤を粉末チャンバから受けるための第2の通路と、第1の通路および第2の通路と流体連通する接合部とを含むことができる。加圧ガスの少なくとも第1の部分が、接合部にて粉末薬剤の中に導かれて粉末薬剤を流動化する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体内に粉末薬剤を送達するための装置であって、
前記粉末薬剤を収容するための粉末チャンバと、
前記粉末チャンバと流体接続されるシャーシであって、該シャーシは、
加圧ガスを受けるための第1の通路、
前記粉末薬剤を前記粉末チャンバから受けるための第2の通路、
前記第1の通路および前記第2の通路と流体連通する接合部であって、前記加圧ガスの少なくとも第1の部分が、前記接合部にて前記粉末薬剤の中に導かれて、前記粉末薬剤を流動化する、前記接合部、
前記接合部と流体連通する第3の通路であって、前記シャーシからの導出のために前記流動化された粉末薬剤を前記接合部から受ける、前記第3の通路、および
前記粉末薬剤が前記第2の通路から前記接合部に送られる前に、前記加圧ガスの第2の部分を前記第1の通路から前記第2の通路へと送って、前記第2の通路内の前記粉末薬剤を移動させるように、前記第1の通路および前記第2の通路と流体連通する第4の通路を含む前記シャーシと
を備える装置。
【請求項2】
前記粉末チャンバを出て前記第2の通路の中に入る前記粉末薬剤の動きを重力が支援するように、前記粉末チャンバは前記シャーシの上に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の通路、前記接合部、および前記第3の通路は、実質的に位置合わせされる、請求項1および2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の通路の中心長手方向軸は、前記第1の通路および前記第3の通路の少なくとも一方の中心長手方向軸に対して実質的に直交する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の通路と前記第4の通路が交わる前記第2の通路の壁に開口部が形成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の通路はテーパ付き領域を含み、前記開口部は前記テーパ付き領域に形成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の通路に対する前記第4の通路の角度は、前記加圧ガスの前記第2の部分を前記第2の通路の壁に対して接線方向に放出させて、前記第2の通路内で前記加圧ガスおよび前記粉末薬剤の渦を生成させる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記シャーシを出る前記流動化された粉末薬剤を受けるために前記第3の通路と流体連通するカテーテルをさらに含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の通路および前記第3の通路と流体連通する第5の通路をさらに含み、前記第5の通路は前記加圧ガスの第3の部分を前記第1の通路から前記第3の通路へと直接送り、前記第5の通路は前記第2の通路および前記接合部を迂回する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の通路および前記接合部の少なくとも一方の中へと延びる螺旋状部をさらに含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記螺旋状部は、シャフトと、前記シャフトに沿って長手方向に延びる螺旋状フランジとを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の通路、前記接合部、および前記第3の通路のうちの少なくとも1つの内部で延びる振動ワイヤをさらに含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記粉末チャンバに取り付けられた振動リングをさらに含む、請求項1乃至12いずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記粉末チャンバは延ばされた状態から畳まれた状態へと移行可能であり、前記延ばされた状態から前記畳まれた状態への前記粉末チャンバの移行により前記粉末チャンバ内から前記粉末薬剤が吐出される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記第2の通路の中心長手方向軸は、前記第1の通路および前記第3の通路の少なくとも一方の中心長手方向軸に対して角度が付けられている、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、一般に、粉末薬剤を送達するための装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、止血粉末の内視鏡による送達のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学的な処置中に被験者の体内で出血が生じたとき、その処置を実施しているユーザは、出血を低減する、またはなくす方法を求めることがある。出血にうまく対処する1つの方法は、出血している部位に対して止血粉末を適用することによる。実施される医学的な処置が、内視鏡処置である場合、その部位に対して止血粉末を適用することは、カテーテルを用いてその部位に粉末を送達することを伴うことになる。止血粉末が、確実にカテーテルを通してその部位に適正に送達され得ることは、向上した結果を得ることにつながる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、いくつかある中でも特に、粉末薬剤を送達する装置および方法に関する。本明細書に開示される態様のそれぞれは、他の開示された態様のいずれかに関して述べられた特徴の1つまたは複数のものを含むことができる。
【0004】
本開示の一態様では、被験者の体内に粉末薬剤を送達するための装置は、粉末薬剤を収容する粉末チャンバを含むことができる。装置はまた、粉末チャンバと流体接続されたシャーシを含むことができる。シャーシは、加圧ガスを受けるための第1の通路と、粉末薬剤を粉末チャンバから受けるための第2の通路と、第1の通路および第2の通路と流体連通する接合部とを含むことができる。加圧ガスの少なくとも第1の部分は、接合部にて粉末薬剤の中に導かれて粉末薬剤を流動化する。シャーシはまた、接合部と流体連通する第3の通路を含むことができる。第3の通路は、シャーシからの導出のために流動化された粉末薬剤を接合部から受けることができる。シャーシはまた、第1の通路および第2の通路と流体連通する第4の通路を含むことができ、粉末薬剤が第2の通路から接合部へと送られる前に、加圧ガスの第2の部分を、第1の通路から第2の通路の中へと送り、第2の通路内の粉末薬剤を移動させる。
【0005】
装置の諸態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数のものを含むことができる。粉末チャンバを出て第2の通路の中に入る動きを重力が支援する。第1の通路、接合部、および第3の通路は、実質的に位置合わせされ得る。第2の通路の中心長手方向軸は、第1の通路および第3の通路の少なくとも一方の中心長手方向軸に対して実質的に直交することができる。第2の通路と第4の通路が交わる第2の通路の壁に開口部が形成され得る。第2の通路はテーパ付き領域を含むことができ、開口部は、テーパ付き領域に形成され得る。第2の通路に対する第4の通路の角度は、加圧ガスの第2の部分を、第2の通路の壁に対して接線方向に放出させて、第2の通路内で、加圧ガスおよび粉末薬剤の渦を生成することができる。
【0006】
本開示の別の態様では、粉末薬剤を体内に送達するための装置は、加圧ガスの供給源、粉末薬剤の供給源、およびカテーテルに結合するための混合チャンバを含むことができる。混合チャンバは、加圧ガス供給源から加圧ガスを受けるための第1の通路と、粉末薬剤の供給源から粉末薬剤を受けるための第2の通路と、第1の通路および第2の通路から下流にある接合部とを含むことができる。接合部は、第1の通路からの加圧ガスを、第2の通路からの粉末薬剤の中へと導いて、粉末薬剤を流動化するように構成することができる。シャーシはまた、接合部の下流の第3の通路を含むことができる。第3の通路は、接合部から流動化された粉末薬剤を受け取り、かつ流動化された粉末薬剤をカテーテルの中に送るように構成され得る。シャーシはまた、第1の通路から分岐し、第2の通路へと直接導く第4の通路を含むことができる。第4の通路は、加圧ガスの一部を、第1の通路から第2の通路へと送るように構成され得る。
【0007】
装置の諸態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数のものを含むことができる。第2の通路は、接合部の上に配置され、したがって、重力は、攪拌された粉末薬剤を、第2の通路から接合部の中へと移動するのを支援する。第1の通路、接合部、および第3の通路は、実質的に位置合わせされ得る。第2の通路の中心長手方向軸は、第1の通路および第3の通路の少なくとも一方の中心長手方向軸に対して実質的に直交することができる。第4の通路が第2の通路と交わる、第2の通路の壁に開口部が形成され得る。第2の通路は、テーパ付き領域を含むことができ、開口部はテーパ付き領域上に形成され得る。第2の通路に対する第4の通路の角度は、加圧ガスの一部を、第2の通路の壁に対して実質的に接線方向に放出させて、第2の通路内で、加圧ガスおよび粉末薬剤の渦を生成することができる。
【0008】
本開示の別の態様では、体内の治療部位に粉末薬剤を提供するための方法は、粉末薬剤を収容する粉末チャンバと、カテーテルと、粉末チャンバおよびカテーテルに結合されたシャーシとを用いて、治療部位に粉末薬剤を送達する工程を含むことができる。粉末薬剤を送達する工程は、加圧ガスの第1の流れを粉末薬剤の中に送る工程を含むことができる。送達する工程はまた、加圧ガスの第1の流れとは別の加圧ガスの第2の流れを、攪拌される粉末薬剤の中に送ることによって、攪拌された粉末薬剤を流動化する工程を含むことができる。送達する工程はまた、流動化された粉末薬剤をカテーテルの中に送る工程を含むことができる。送達する工程はまた、流動化された粉末薬剤を、カテーテルの遠位端から治療部位に対して放出する工程を含むことができる。
【0009】
本方法の諸態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数のものを含むことができる。すなわち、加圧ガスおよび粉末薬剤の渦を形成するように、加圧ガスの第1の流れを粉末薬剤の中に送ること。加圧ガスの第1の流れおよび加圧ガスの第2の流れを、加圧ガスの同じ流れから分岐させること。加圧ガスの第3の流れを粉末薬剤の周りに送って粉末薬剤を迂回させること、ここで、迂回させることは、粉末薬剤がシャーシ内で詰まりを形成したとき、カテーテル内の圧力を維持する。(i)粉末薬剤と血液の間の相互作用により、その部位の血液を凝固させること、および(ii)粉末薬剤とその部位における1つまたは複数の流体との間の相互作用により、その部位で疑似的な凝固を形成することのうちの少なくとも一方である。(i)シャーシおよび粉末チャンバの少なくとも一方に収容された回転する螺旋状部を用いて粉末薬剤を攪拌すること、(ii)シャーシに収容された振動ワイヤを用いて粉末薬剤を攪拌すること、(iii)粉末チャンバに取り付けられた振動リングを用いて粉末薬剤を攪拌すること、および(iv)粉末チャンバの少なくとも一部を畳むことにより、粉末チャンバから、粉末薬剤を吐出することのうちの少なくとも1つである。
【0010】
前述の概略的な説明と、以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明用のものに過ぎないこと、また特許請求される本発明を限定するものではないことが理解できよう。
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の諸態様を示しており、記述と共に、本開示の原理を説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の諸態様による、粉末薬剤を送達するための装置を示す図。
【
図2】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図3】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図4】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図5】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図6A】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図6B】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図6C】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図7】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図8】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図9】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図10】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図11】本開示の諸態様による、混合チャンバを示す図。
【
図12】本開示の諸態様による、粉末チャンバを示す図。
【
図13】本開示の諸態様による、粉末チャンバを示す図。
【
図14】本開示の諸態様による、粉末チャンバを示す図。
【
図15】本開示の諸態様による、粉末チャンバを示す図。
【
図16】本開示の諸態様による、粉末チャンバを示す図。
【
図17】本開示の諸態様による、別の混合チャンバを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、一般に、粉末薬剤を送達するための装置および方法に対して、またより詳細には、止血粉末の内視鏡による送達のための装置および方法に対して作成されている。次に、本開示の諸態様に対して参照が詳細に行われるが、その例は、添付図面に示されている。可能な場合は常に、同じ、または同様の部分を参照するために、図面の全体を通して、同じ参照番号が使用される。「遠位の」という用語は、器具を被験者内に導入するとき、ユーザから最も離れた部分を指す。対照的に、「近位の」という用語は、被験者内に器具を配置するとき、ユーザに最も近い部分を指す。以下の記述は、「内視鏡」または「内視鏡検査法」を参照するが、本明細書で述べられる原理/態様は、任意の適切な導入シースまたはデバイスで使用することができ、それは、このようなシースまたはデバイスが、通常、「内視鏡」に関連する1つまたは複数の特徴を含むことができない場合であってもそうである。前述の一般的な記述と、以下の詳細な記述は共に、例示的かつ説明用のものに過ぎないこと、また特許請求される特徴を限定するものではないことが理解できよう。さらに本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備える(copmprising)」、またはそれらの任意の他の変化形は、非排他的に含めることを包含するように意図されており、したがって、列挙した要素を備えるプロセス、方法、製品、または装置は、必ずしもこれらの要素だけを含むのではなく、明示的に列挙されていない、またはこのようなプロセス、方法、製品、または装置に固有の他の要素を含むことができる。「例示的な」という用語は、「理想的なもの」ではなく、「例」の意味で使用される。「実質的に」、「約」、および「ほぼ」という用語は、述べられた値に対してプラスまたはマイナス10パーセントの変動を指す。
【0013】
図1は、本開示の諸態様による、粉末薬剤を送達するための装置10の一例を示す。装置10は、例えば、シャーシ12、加圧ガスをシャーシ12に供給するためのガス供給部14、粉末薬剤54(
図2)をシャーシ12に供給するための粉末チャンバ16、および/またはシャーシ12から流動化された粉末薬剤を受けるためのカテーテル18を含むことができる。流動化された粉末薬剤は、加圧ガスと粉末薬剤の混合物を含むことができる。一例では、加圧ガスは空気を含むことができ、粉末薬剤は、止血粉末を含むことができる。止血粉末は、例えば、出血を凝固させるための凝固カスケードを開始することによって出血を止めることのできる粒子状物質、および/または粉末の親水性の特性のため、血液と接触すると疑似的な凝固を形成できる粒子状物質を含むことができる。
【0014】
被験者(例えば、患者)における使用中に、シャーシ12、ガス供給部14、および粉末チャンバ16は、被験者の外側にあり得るが、カテーテル18は、例えば、内視鏡、または他の導入器シース(図示せず)などを介して被験者の中に入ることができる。1つの企図される用途において、カテーテル18は、被験者の出血部位またはその近傍にカテーテル18の遠位端20を位置決めするように、内視鏡またはシースを通って挿入され得る。流動化された粉末薬剤は、出血を低減する、または止めるために、遠位端20からその部位に向けて放出され得る。
【0015】
ガス供給部14は、例えば、ガス管路22を含むことができる。ガス管路22は、可撓性のある長さの管を含むことができる。ガス管路22の近位端は、加圧ガス供給源(図示せず)に結合され、ガス管路22の遠位端は、シャーシ12に結合され、それにより、加圧ガスが、加圧ガス供給源からシャーシ12に流れるための経路を作成することができる。加圧ガス供給源は、例えば、ポンプデバイス、病室における壁アクセス、キャニスタ、手動操作ポンプ、足踏みペダル操作ポンプ、および/または他の適切な加圧ガス供給源を含むことができる。ガス管路22は、シャーシ12および/または加圧ガス供給源に、固定して取り付ける、または取外し可能に取り付けられ得る。
【0016】
粉末チャンバ16は、粉末薬剤54を保持するための任意の適切な入れ物を含むことができる。粉末チャンバ16は、例えば、ボトルなど、実質的に剛性のある容器を含むことができる。代替的には、粉末チャンバ16は、バッグなど、実質的に可撓性のある容器を含むことができる。粉末チャンバ16は、閉塞端24と、開放端26(
図2)とを有することができる。粉末薬剤54は、開放端26を通ってシャーシ12へと進むことができる。
【0017】
粉末チャンバ16は、シャーシ12に対して、固定して取り付ける、または取外し可能に取り付けられ得る。粉末チャンバ16が、シャーシ12に固定して取り付けられる場合、粉末薬剤54でシャーシ12を再充填することは、粉末チャンバ16から、キャップ、カバーなどを取り外し、かつ粉末薬剤54を粉末チャンバ16の中に注ぐことを含み得る。粉末チャンバ16が、取外し可能にシャーシ12に取り付けられる場合、粉末薬剤54でシャーシ12を再充填することは、空の粉末チャンバ16をシャーシ12から取外し、かつ満たされた粉末チャンバ16をシャーシ12に結合することを含むことになる。
【0018】
カテーテル18は、医療グレード材料の管状長さを含むことができ、また近位の開口部(見えない)を備える近位端と、遠位の開口部30を備える遠位端20とを有することができる。カテーテル18の近位端は、シャーシ12に結合され得る。カテーテル18は、近位の開口部から遠位の開口部30へと貫通して延びる管腔28を含むことができる。シャーシ12からの流動化された粉末薬剤54は、管腔28の中を通って、遠位の開口部30から放出されるように流れることができる。カテーテル18は、被験者の体内に挿入されたとき、その形状を維持するのに十分な剛性があり得る。代替的に、カテーテル18は、被験者の体内の通路に合わせて曲がり、かつ適応するのに十分な可撓性を有することができる。カテーテル18は、シャーシ12に、固定して、または取外し可能に取り付けられ得る。
【0019】
シャーシ12は、ガス管路22が結合され得る入口またはポート32と、粉末チャンバ16が結合され得る入口またはポート34と、カテーテル18が結合され得る出口またはポート36とを含むことができる。シャーシ12は、その入口32、入口34、および出口36と流体連通状態にあり得る混合チャンバ38を含むことができる。使用中に、ガス管路22からの加圧ガスが、入口32を介して混合チャンバ38に入ることができ、粉末薬剤54は、入口34を介して混合チャンバ38に入ることができる。加圧ガスおよび粉末薬剤54は、混合チャンバ38内で混合されて、流動化された粉末薬剤54を作成し、それは次いで混合チャンバ38から出て、出口36を介してカテーテル18に入る。粉末薬剤54は、加圧ガスが粉末薬剤54の中に導入されて、液体などの流体の性質および特性を有する、一部がガスで一部が固体の媒体が形成されるという意味で流動化され得る。
【0020】
シャーシ12はまた、ユーザが把持するためのハンドル40と、流動化された粉末薬剤54の流れを扱うためのトリガ42とを含むことができる。例えば、トリガ42は、入口32、入口34、混合チャンバ38、および出口36の1つまたは複数のものにおける1つまたは複数の弁(図示せず)に動作可能に結合されて、加圧ガス、粉末薬剤、および流動化された粉末薬剤のうちの1つまたは複数のものの流れを制御することができる。
【0021】
混合チャンバ38は、シャーシ12の残りの部分に固定して取り付ける、または取外し可能に取り付けられ得る。取外し可能な取付けは、スナップ嵌め係合、摩擦嵌め、ラッチ機構など、任意の適切な機械的な取付け機構により行われ得る。取外し可能な取付けは、ユーザが1つの混合チャンバを別のものに交換できるようにする。
図2~
図11は、混合チャンバの例を示す。混合チャンバのいずれも、混合チャンバ38を含む、任意の他の混合チャンバに代えて使用され得ることが企図される。任意の混合チャンバのいずれの態様も、他の任意の混合チャンバで使用され得ることも企図される。
【0022】
図2は、混合チャンバ44を示している。混合チャンバ44は、
図1の混合チャンバ38に代えて使用され得る。以下で述べる他の混合チャンバに対しても同様である。混合チャンバ44は、加圧ガスのための開口部46および通路48を含むことができる。混合チャンバ44はまた、粉末薬剤54のための開口部50および通路52を含むことができる。通路48および通路52は、接合部55で交わることができ、そこで、加圧ガスが粉末薬剤54中に導かれ、それにより、粉末薬剤54を流動化することができる。混合チャンバ44はまた、流動化された粉末薬剤54のための通路56および開口部58を含むことができる。混合チャンバ44における開口部のいずれも、円形状を有することができる。混合チャンバ44の通路のいずれも、円形の横断面形状を有することができる。例えば、多角形および不規則な形状を含む他の適切な開口部形状/横断面形状が使用されてもよい。通路48および56の中心長手方向軸は、実質的に位置合わせされる、または同軸であり得ることが企図される。加えて、または代替的に、通路52の中心長手方向軸は、通路48および56の中心長手方向軸の少なくとも一方に対して実質的に直交することができる。
【0023】
通路52は、異なる幅または直径を有する部分を含むことができる。例えば、通路52は、第1の部分60および第2の部分62を含むことができる。第1の部分60は、第2の部分62よりも広くすることができる。第1の部分60の幅、または直径は、粉末チャンバ16の開放端26を受けるように設計され得る。第2の部分62は、その幅または直径を含めて、接合部55への粉末薬剤54の流量を制御するように設計され得る。粉末チャンバ16および通路52は、接合部55の上に配置され、したがって、重力は、粉末薬剤54が粉末チャンバ16および通路52から接合部55へと下方に移動するのを支援することができる。
【0024】
図3は、第1の幅を有する第1の部分68を有する通路66と、第1の幅より小さい第2の幅を有する第2の部分70と、第3の部分72とを含む混合チャンバ64を示す。第1の部分68および第2の部分70は、それぞれ、それらの長さに沿って一定の幅/直径を有することを含めて、混合チャンバ44の第1の部分60および第2の部分62と同様にすることができる。第3の部分72は、第1の部分68と第2の部分70の間で延びることができ、変化する幅または直径を有することができる。例えば、第3の部分72は、第1の部分68から第2の部分70へと延びる方向に、減少する幅または直径を有するテーパ付き領域74を含むことができる。テーパ付き領域74は、粉末薬剤54を接合部76の方向に送達するのを容易にするための漏斗として働くことができる。これは、通路66内に粉末薬剤54が塞がる、または詰まるのを低減する、もしくはなくすことができる。
【0025】
図4は、別の混合チャンバ78を示す。混合チャンバ78は、混合チャンバ64のテーパ付き領域74と同様のテーパ付き領域80を含むことができる。混合チャンバ78は、混合チャンバを通る加圧ガス流の方向に沿って測定したとき、混合チャンバ44および/混合チャンバ64よりも短くすることができる。例えば、混合チャンバ78の(
図4で左から右に測定した)長さは、混合チャンバ78の(
図4で上下に測定した)高さよりも短くすることができる。したがって、加圧流体のための通路82、および/または流動化された粉末薬剤54のための通路84は、対応して短くなり得る。通路長さを低減することは、粉末薬剤54が混合チャンバ78内にある時間量を低減し、それにより、接合部86および/または通路84における閉塞または詰まりを低減もしくはなくすことができる。粉末薬剤54のための通路82、通路84、および通路88のうちの1つまたは複数のものの幅または直径は、詰まりをさらに低減する/なくすために広くされ得ることが企図される。
【0026】
図5は、別の混合チャンバ90を示す。混合チャンバ90は、混合チャンバ64のテーパ付き領域74と同様のテーパ付き領域92を含むことができる。混合チャンバ90は、混合チャンバ78と同様に、混合チャンバ44および/または混合チャンバ64よりも短くすることができる。混合チャンバ90では、通路96の一部94は、通路96の別の部分100の中心長手方向軸98に対して、角度を付けることができる。いくつかの例では、部分94の中心長手方向軸は、接合部102の中心長手方向軸に対して約25度と約90度の間の角度を形成することができる。一例では、角度は、約45度とすることができる。部分100は、粉末チャンバ16の開放端26を受け入れるように設計され、部分94は、粉末薬剤54を接合部102に送達するように設計され得る。部分94の角度に起因して、粉末薬剤54は、部分94が、中心長手方向軸100と位置合わせされた場合よりもゆっくりした速度で接合部102に送達され得る。ゆっくりした速度は、粉末薬剤54が加圧ガスと混合したとき、接合部102で、もしくはその付近で、粉末薬剤54の閉塞または詰まりを低減もしくはなくすことができる。
【0027】
図6Aは、別の混合チャンバ104を示す。混合チャンバ104は、混合チャンバ64のテーパ付き領域74と同様のテーパ付き領域106を含むことができる。混合チャンバ104はまた、加圧ガスのための通路110を粉末薬剤54のための通路112に接続する通路108を含むことができる。通路108は、通路110と並んで延びることができる。通路108は、
図6Aの側面図から混合チャンバ104を見たとき、通路110に対して角度が付けられ得るように企図される。例えば、通路108は、通路110に対して傾斜されてよく、したがって、通路108は、通路108および110を通る加圧ガスの流れの方向に沿って、通路110からますます遠ざかるように延びることができる。通路108が通路112と交わる開口部114は、テーパ付き領域106に配置されてもよい。加圧流体は、2つの分岐に分割することができ、一方の分岐は、通路108を通って直接通路112の中に流れ、他方の分岐は、通路110を通って通路110および112の接合部116の方向に流れる。したがって、いくらかの加圧ガスは、通路110の上流の開口部111と、通路110が通路112と交わる接合部116との間で通路110を出る。通路110の中間で出る加圧流体は、通路108に入り、接合部116の上流で通路112の中に直接流入し、かつ通路112内の粉末薬剤54を攪拌して、粉末薬剤54の閉塞または詰まりを低減もしくはなくすことができる。こうすることは、粉末薬剤54が、粉末チャンバ16から接合部116へと流出するのを容易にすることができる。
【0028】
図6Bおよび
図6Cは、
図6Bで混合チャンバ118A、
図6Cで混合チャンバ118Bとして識別される混合チャンバのバージョンを示す。混合チャンバ118Aおよび118Bは、混合チャンバ104と同様のものとすることができる。混合チャンバ118Aおよび118Bのそれぞれは、粉末薬剤54のための通路126のテーパ付き領域120、加圧ガスのための通路122を通路126に接続する通路124Aまたは124B、および通路126における開口部128を含むことができる。一例では、混合チャンバ118Aおよび118Bは、側面から見て混合チャンバ104とほぼ同一に見える可能性がある。
【0029】
混合チャンバ118Aにおいては、開口部128は、混合チャンバ118Bよりも、通路126の中心長手方向軸130から遠くに配置される。混合チャンバ118Aの通路124Aは、
図6Bで示されるように、上方から混合チャンバ118Aを見たとき、通路122に対して角度が付けられ得る。例えば、通路124Aおよび通路122の中心長手方向軸(図示せず)は、
図6Bの上面図で互いに対して角度が付けられている。通路124Aと通路122の間の間隙は、通路122および124Aを通り通路126へと加圧ガスが流れる方向に沿って増加する可能性がある。通路126に入る加圧ガスは、通路126付近で渦を巻いて、通路126付近で粉末薬剤54を旋回させる渦を生成する。この渦巻きは、通路122における粉末薬剤54の閉塞または詰まりを低減もしくはなくすことができる。
【0030】
開口部128は、混合チャンバ118Bにおいては、混合チャンバ118Aにおけるものよりも、通路126の中心長手方向軸130に近接して配置される。通路124Bは、
図6Cで示されるように、上方から混合チャンバ118Bを見たとき、通路122に対して実質的に平行に延びることができる。例えば、通路124Bおよび通路122の中心長手方向軸(図示せず)は、
図6Cの上面図で互いに平行である。通路124Bと通路122の間の間隙は、通路126への通路122および124Bを通る加圧ガスの流れ方向に沿って、実質的に一定のままであり得る。粉末薬剤54がテーパ付きセクション120のより狭い端部により生成されたボトルネックに入る直前に、通路126に入る加圧ガスは、粉末薬剤54を攪拌することができる。その攪拌は、
図6Bに関するものよりも小さい渦によって提供され得る。いずれの状況においても、渦は、通路126内の粉末薬剤54の閉塞または詰まりを低減もしくはなくすことができる。この渦はまた、第1段階の流動化を構成することができ、第2段階の流動化は接合部で行われ、粉末薬剤54の向上させた流動化を生ずる。
【0031】
図7は、加圧ガスのための開口部134および通路136、粉末薬剤54のための開口部138および通路140、粉末薬剤54を流動化するために、加圧ガスが粉末薬剤54に導かれ得る接合部142、ならびに流動化された粉末薬剤54のための通路144および開口部146を含む混合チャンバ132を示す。接合部142は、通路136、140、および144に対して拡大され、加圧ガスによって粉末薬剤54が流動化され得る比較的大きな容積を提供することができる。例えば、接合部142は、通路136および144の1つまたは複数のものよりも大きな横断面幅または直径を有することができる。接合部142は、その比較的大きな横断面幅または直径から、通路136および144のそれぞれの横断面幅または直径へと遷移するように、その両端で内側方向にテーパが付いている。重力が、粉末薬剤54を、粉末チャンバ16から接合部142の中へと下方に強制することができる。
【0032】
図8は、螺旋状部(auger)150を含む混合チャンバ148を示す。螺旋状部150は、シャフト152と、シャフト152に沿って長手方向に延びる螺旋状フランジ154とを含むことができる。シャフト152は、接合部158の壁156など、混合チャンバ148の一部に対して、回転可能に結合され得る。シャフト152は、手動で操作されるダイヤルもしくはノブ、モータ、歯車組立体などのアクチュエータ(図示せず)、および/または任意の他の適切なアクチュエータにより回転され得る。シャフト152が回転すると、螺旋状フランジ154は、粉末薬剤54を、粉末チャンバ16から通路164を介して接合部158へと搬送することができる。一例では、螺旋状部150の直径または幅は、通路164の直径または幅よりも小さくすることができる。螺旋状フランジ154の半径方向外側の縁部分は、通路164を画定する壁部分と接触してもよい。粉末薬剤54が、接合部158に搬送され得る速度は、螺旋状部150の回転速度を調整することによって制御され得る。加えて、螺旋状部150は、粉末薬剤154をほぐすのを助けることができ、それにより、閉塞または詰まりを低減もしくはなくす。通路160からの加圧ガスは、接合部158に入り、粉末薬剤54を流動化することができる。流動化された粉末薬剤54は、通路162を介して接合部158から出ることができる。加圧ガスは、螺旋状フランジ154など、螺旋状部150の1つまたは複数の表面に衝突して、別のアクチュエータの支援下で、または支援なしで、螺旋状部150を回転させ得ることが企図される。
【0033】
一例では、シャフト152は、接合部158、通路160、および/または通路162に対して実質的に直交して延びることができる。例えば、シャフト152の中心長手方向軸は、接合部158、通路160、および通路162の1つまたは複数の中心長手方向軸に対して実質的に直交して延びることができる。さらに、または代替的に、シャフト152は、通路164と位置合わせされ得る。例えば、シャフト152の中心長手方向軸は、通路164の中心長手方向軸と実質的に同軸、または平行にすることができる。螺旋状部150は、本明細書で述べられ、かつ他の図で示された他の混合チャンバの任意のものにおいても使用され得ることが企図される。
【0034】
接合部158と通路164にわたる長さを有する螺旋状部150が示されているが、その長さが異なる可能性もあることが企図される。例えば、
図9で示されるように、螺旋状部166は、接合部168を横断し、通路170を通って粉末チャンバ16の中へと延びることができる。螺旋状部は、粉末チャンバ16から最も遠くにある接合部168の壁から、粉末チャンバ16の閉塞端24までずっと延びることができ、そこで、螺旋状部のシャフトの一端が回転可能に結合され得ることも企図される。代替的には、螺旋状部(図示せず)は、例えば、通路164の中へと延びることなく、接合部158内に完全に含まれ得る。
【0035】
図10は、加圧流体のための通路174と、粉末薬剤54が、加圧流体により流動化され得る接合部176と、流動化された粉末薬剤54がそれを通して接合部176から出ることのできる通路178とを含む混合チャンバ172を示す。混合チャンバ172はまた、通路174を通路178に直接的且流体的に結合する通路180を含むことができる。通路174からの加圧流体の一部は、接合部176を迂回して、通路180を介して、直接通路178に流入することができる。いくつかの例では、体液または他の汚染物質が、遠位端20からカテーテル18の中に入ったとき、それらは、カテーテル18内の流動化された粉末薬剤54と接触すると、カテーテル18内で、詰まりまたは凝固を形成する可能性がある。体液/汚染物質は、カテーテル18から流出するものがない場合、遠位端20に入る傾向がある。通路180は、接合部176が詰まった状態になった場合であっても、少なくともいくらかの加圧流体が、カテーテル18を通って流れ、それにより、さらなる体液/汚染物質が遠位端20に入るのを阻止できることを確実にすることができる。加圧流体はまた、カテーテル18内から、詰まり/凝固を吐出するのを助けることができる。
【0036】
混合チャンバ172はまた、接合部176および通路180へと流れることができる加圧流体の量を制御できる弁組立体182を含むことができる。例えば、通常の動作中に、弁組立体182が、粉末薬剤54を流動化するために、加圧流体のすべてを通路174から接合部176へと送ることができる。接合部176における圧力が、その内部の詰まりに起因して増加した場合、弁組立体182は、体液/汚染物質がカテーテル18の遠位端20に入らないようにするために、少なくともいくらかの加圧流体を通路180に送ることができる。
【0037】
図11は、加圧流体のための通路186と、粉末薬剤54が加圧流体によって流動化され得る接合部188と、流動化された粉末薬剤54のための通路190とを含む混合チャンバ184を示す。湾曲した、波形の、かつ/または正弦波形のワイヤ192が、接合部188内で延びることができる。一例では、接合部188は、両端を含むことができ、ワイヤ192は、接合部188を通り、これらの両端の一方から他方へと長手方向に延びることができる。ワイヤ192は、粉末薬剤54が接合部188に入ったとき、塞がないように、または詰まらないように振動することができる。ワイヤ192は、加圧ガスによってそこに生成された力に起因して振動することができる、および/またはワイヤ192は、適切なアクチュエータ(図示せず)によって振動され得る。例えば、ワイヤ192の一端は、アクチュエータに結合され得る。代替的に、ワイヤ192の両端が、アクチュエータに結合されてもよい。ワイヤ192は、その振動を容易にし、かつ/または粉末薬剤54の流動化を助けるために、通路186および/または通路190の中へと延びることができるように企図される。
【0038】
混合チャンバ184はまた、弁組立体194を含むことができる。弁組立体194は、通路186に沿って配置され得る。一例では、弁組立体194は、加圧ガスを、通路186から接合部188に流入できるようにするが、粉末薬剤54が、接合部188から通路186へと流入しないようにできる一方向弁を含むことができる。このような逆流を阻止することは、ガス管路22および/または加圧ガス供給源が、粉末薬剤54にさらされることにより詰まることのないように保証するのを助けることができる。
【0039】
図12~
図16は、粉末チャンバの例を示す。粉末チャンバ16を含めて、粉末チャンバのどれも、他のいずれかに代えて使用され得ることが企図される。どの粉末チャンバのいずれの態様も他の粉末チャンバの任意のもので使用され得ることもまた企図される。
図12で示される粉末チャンバ196は、閉塞端198を含むことができる。閉塞端198は、少なくとも1つの穿孔200を有することができる。使用中に、粉末薬剤54が粉末チャンバ196から引き出されたとき、真空圧が、粉末チャンバ196に生成される可能性がある。粉末チャンバ196内で真空圧が増加することは、粉末薬剤54が、粉末チャンバ196から出ることをより困難にする可能性がある。穿孔200は、粉末チャンバ196の中に空気が引き出され得るようにし、それにより、真空圧を低減させ、かつ粉末薬剤54の流出を容易にする。閉塞端198は、ユーザが穿孔200を作るために穴をあけることのできるフォイル・シートを含むことができる。代替的に閉塞端198は、ライナ(図示せず)により覆われた予め形成された穿孔200を含むことができる。ライナは、穿孔200を露出させるために、ユーザによって除去され得る。
【0040】
図13は、その上に取り付けられた振動リング204を有する粉末チャンバ202を示す。振動リング204が、ユーザによって起動されたとき、振動リング204は振動し、それにより粉末チャンバ202を振ることができる。振ることは、粉末薬剤54を攪拌することを助けて、閉塞または詰まりを低減もしくはなくし、かつ粉末チャンバ202から粉末薬剤54が流出するのを容易にすることができる。振動リング204は、粉末チャンバ202の外側表面に取り付けられて示されているが、振動リング204は粉末チャンバ202内に設けられ得る、または粉末チャンバ202を形成する材料中に埋め込まれ得ることも企図される。粉末チャンバ202を振るために、リングのような形状をしていないものであっても、任意の適切な振動デバイスが使用され得ることもまた企図される。振動は、任意の適切な機械的、または電気機械的な機構により駆動されてもよい。
【0041】
図14は、粉末チャンバ206を示す。粉末チャンバ206は、第1の状態(破線で示される)から第2の状態(実線で示される)へと畳むことができる。一例では、粉末チャンバ206は、蛇腹208を含むことができる。蛇腹208の畳まれた構成は、粉末チャンバ206を拡大および収縮させることができる。別の例では、粉末チャンバ206は、つぶされて畳まれた状態になることのできる柔軟性のある材料から作られてもよい。粉末チャンバ206を畳むことは、粉末薬剤54を粉末チャンバ206から吐出できる力を、中にある粉末薬剤54に加えることができる。
【0042】
図15は、粉末チャンバ210を示す。粉末チャンバ210は、ガス管路212およびガス管路214を含むことができる。一例では、ガス管路212は、粉末チャンバ210の壁216に流体的に結合され得る。ガス管路212の中心長手方向軸は、粉末チャンバ210の中心長手方向軸からオフセットされ得る。例えば、ガス管路212の中心長手方向軸は、粉末チャンバ210の中心長手方向軸と交差しなくてもよい。ガス管路212から吐出される加圧ガスは、したがって、壁216に沿って粉末チャンバ210内で旋回することができ、粉末チャンバ210内で、加圧ガスおよび粉末薬剤54の旋回する渦を生成する。この動きは、粉末チャンバ210における粉末薬剤54の閉塞または詰まりを低減もしくはなくすことができる。ガス管路214は、粉末チャンバ210の中へと延びることができる。ガス管路214の中心長手方向軸は、粉末チャンバ210の中心長手方向軸と同軸、または平行であり得る。ガス管路214から吐出された加圧ガスは、旋回する粉末薬剤54を粉末チャンバ210から出るように強制して、粉末薬剤54を重力の力に抗して移動させる。一例では、ガス管路214は、加圧ガスが中を通って吐出され得る1つまたは複数の側面穿孔を含み、粉末チャンバ210内を一掃するのを助けることができる。粉末チャンバ210は、混合チャンバおよび/またはシャーシの底部に取り付けられ、したがって、粉末薬剤54は、混合チャンバ/シャーシの中へと上方に流れることができる。ガス管路212およびガス管路214は、任意の適切な供給源(図示せず)から1つまたは複数の加圧ガスを受けることができる。
【0043】
図16は、ガス管路212および214と同様のガス管路220およびガス管路222をそれぞれ含む粉末チャンバ218を示す。プレートまたはディスク224が、ガス管路222上に摺動可能に取り付けられ得る。最初は、プレート224が、粉末チャンバ218の壁226に接触し、それにより、粉末薬剤54が粉末チャンバ218から出ないようにすることができる。加圧ガスが、ガス管路222から粉末チャンバ218の中に吐出されたとき、粉末チャンバ218内のガス圧の上昇は、プレート224を後退した状態(破線で示される)へと強制することができる。プレート224の後退した状態において、粉末薬剤54は、プレート224の縁部を周り、粉末チャンバ218の外へと流れることができる。ガス管路220からの加圧ガスは、粉末薬剤54を旋回させることができるが、プレート224は、粉末薬剤54を、粉末チャンバ218から出ないように阻止するように企図される。旋回させた粉末薬剤54は、ガス管路220からの加圧ガスが十分なガス圧を生成してプレート224を壁226から離れるように強制し、粉末薬剤54がプレート224の周りで流れるための経路を生成したときは常に、粉末チャンバ218から流出することができる。
【0044】
粉末チャンバ210および/または粉末チャンバ218が使用されるいくつかの例では、その中で放出される加圧ガスは、粉末薬剤54を流動化するのに十分なものであり得る。これは、粉末チャンバ218が結合されるシャーシを簡単化できるようにする。例えば、シャーシは、加圧ガス通路、または混合/流動化接合部を含む必要がない。流動化された粉末薬剤54は、粉末チャンバ218からシャーシに流入し、かつシャーシから出てカテーテル内に流入し、部位に送達することができる。代替的に、2段階の流動化を利用して、粉末薬剤54の流動化を促進するために、加圧ガス通路、および混合/流動化接合部も有するシャーシで、粉末チャンバ210および/または粉末チャンバ218が使用されてもよい。
【0045】
図17は、加圧ガスのための通路230と、粉末薬剤54で充填される通路232とを含む混合チャンバ228を示す。粉末薬剤54は、通路232の中に事前に充填されることが可能であり、したがって、別の粉末チャンバは必要ではない。代替的に、通路232は、上記で述べた他の例で示されるように、別の粉末チャンバから粉末薬剤54を受けることができる。混合チャンバ228はまた、螺旋状部234を含むことができる。螺旋状部234は、通路232に配置され得る。螺旋状部234は、シャフト236と、シャフト236に沿って長手方向に延びる螺旋状フランジ238とを含むことができる。シャフト236は、回転可能に取り付けられ、また手動で操作されるダイヤルもしくはノブ、モータ、歯車組立体などのアクチュエータ(図示せず)、および/または任意の他の適切なアクチュエータにより回転され得る。代替的に、加圧流体により生成される力が、螺旋状部234を回転させることができる。
【0046】
一例では、螺旋状部234は、通路232の下流/出口端部に、またはその付近に配置され得る。シャフト236は、通路232を通って長手方向に延びることができる。例えば、シャフト236の中心長手方向軸は、通路232の中心長手方向軸と平行である、またはそれと同軸であり得るように企図される。螺旋状部234は、通路232の幅または直径と実質的に等しい、またはそれ未満の幅または直径を有し得ることもまた企図される。
図17で示されるように、螺旋状部234の幅または直径は、下流方向に向けてテーパを有することができる。テーパの幅または直径は、通路232のテーパ端部に、またはその付近に、螺旋状フランジ238の縁部を配置するのを助けることができる。
【0047】
使用中に、通路230からの加圧ガスが、通路232に入ることができ、粉末薬剤54を流動化することができる。加圧ガスおよび/または流動化された粉末薬剤54は、螺旋状部234に対して衝突することができる。この衝突は螺旋状部234を回転させることができる。螺旋状部234は、粉末薬剤54をほぐすのを助けることができ、それにより、その流動化を容易にし、かつ/または流動化された粉末薬剤54の、混合チャンバ228外への送達速度を制御するのを助けることができる。
【0048】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたシステムおよび方法において、様々な修正および変形が行われ得ることが当業者には明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書を検討し、本明細書で開示される特徴を実施すれば当業者には明らかになろう。本明細および例は、単に例示的なものに過ぎないと見なされるように意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2025-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
粉末チャンバであって、該粉末チャンバの壁に沿って薬剤を収容するよう構成される、前記粉末チャンバと、
前記壁で前記粉末チャンバに流体的に結合された第1の管路であって、該第1の管路は、加圧流体供給源から前記粉末チャンバ内へ加圧流体を前記壁を通じて供給して前記粉末チャンバ内で前記加圧流体と前記薬剤との混合物を生成するように構成される、前記第1の管路と、
前記粉末チャンバ内に延びるとともに前記第1の管路および前記壁に沿って収容された前記薬剤の上方で前記粉末チャンバ内で終端する第2の管路と、を備え、
該第2の管路は、前記混合物を前記粉末チャンバから出るように強制すべく前記加圧流体供給源から前記壁の上方に位置する前記粉末チャンバ内へ前記加圧流体を供給するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第2の管路に摺動可能に取り付けられたディスクをさらに備え、
前記ディスクは、前記粉末チャンバ内において第1の構成と第2の構成との間で移動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の構成では、前記ディスクは、前記壁に接触して配置されるとともに、前記薬剤が前記粉末チャンバの出口を通じて前記粉末チャンバから出ることを阻止するように構成されており、
前記第2の構成では、前記ディスクは、前記壁から離間するとともに、前記薬剤と前記加圧流体との混合物が前記出口を通じて前記粉末チャンバから出ることを許容するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の管路の中心長手方向軸は前記粉末チャンバの中心長手方向軸からオフセットされており、
前記第2の管路の中心長手方向軸は前記粉末チャンバの中心長手方向軸と同軸である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の管路は、前記加圧流体で前記薬剤を渦状に旋回させることにより、前記粉末チャンバ内での前記薬剤の詰まりを低減するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の管路は、前記粉末チャンバ内の内部圧力を上昇させるべく前記粉末チャンバ内に前記加圧流体を送達するように構成されており、これにより、前記ディスクを前記第1の構成から前記第2の構成へ移動させる、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の構成において、前記第2の管路は、前記加圧流体と前記薬剤との混合物を重力に逆らって送達するように構成され、且つ前記ディスクは前記出口を開くように構成されており、これにより、前記混合物が前記出口を通じて出ることが許容される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の構成において、前記加圧流体と前記薬剤との混合物が前記ディスクの周囲を周って前記粉末チャンバの出口を通って移動することを許容すべく、前記ディスクは前記壁から離間して配置されるよう構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の管路は、その外表面に沿って配置された1つまたは複数の穿孔を含み、
前記1つまたは複数の穿孔は、前記加圧流体供給源から前記粉末チャンバ内に前記加圧流体を送達するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ディスクは、前記粉末チャンバの出口の近傍で前記第2の管路上に配置され、
前記ディスクは、前記第2の管路の中心長手方向軸に沿って移動するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
シャーシをさらに備え、
前記粉末チャンバは前記シャーシの下部に配置されており、前記薬剤と前記加圧流体との混合物は、重力に逆らって前記出口を通って前記シャーシ内へと流れる、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記シャーシはさらに、
加圧流体入口と、
接合部と、を備え、
前記加圧流体入口および前記接合部は、前記粉末チャンバから前記シャーシ内に到達した前記薬剤の混合を促進するよう構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の構成において、前記ディスクは前記第2の管路の端部に対して延出した状態に配置され、
前記第2の構成において、前記ディスクは前記第2の管路の端部に対して後退した状態に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
装置であって、
壁および出口を含む粉末チャンバであって、該粉末チャンバは前記壁に沿って且つ前記出口より下に薬剤を収容するよう構成される、前記粉末チャンバと、
前記壁に沿って前記粉末チャンバに接続された第1の管路と、
前記粉末チャンバ内に延びるとともに前記出口に向かって延びる第2の管路と、
前記第2の管路の第1の端部に隣接して配置されるディスクであって、前記第2の管路の第1の端部は前記出口と前記第1の管路との間に位置している、前記ディスクと、を備え、
前記ディスクは、前記第2の管路が加圧流体を前記粉末チャンバ内に送達することに応答して、前記粉末チャンバに対して第1の構成と第2の構成との間で移動するように構成されている、装置。
【請求項15】
前記第1の管路は、前記加圧流体を前記薬剤と混合すべく、前記加圧流体を前記壁の近傍で前記粉末チャンバ内に送達するように構成され、
前記第2の管路は、前記加圧流体を前記粉末チャンバ内に送達するよう構成されており、これにより、前記ディスクの上方の圧力を上昇させて前記ディスクを前記第1の構成から前記第2の構成へ移動させる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の構成において、前記ディスクは前記粉末チャンバの内面に接触するとともに前記薬剤が前記出口を通じて流れるのを防止するように構成されており、
前記第1の管路は、前記粉末チャンバ内で前記出口および前記ディスクの下において、前記加圧流体および前記薬剤の渦を生成するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の管路によって前記ディスクの上方で上昇された圧力が最小の圧力閾値に達したとき、前記ディスクは前記粉末チャンバの内面から離れて後退するように構成されており、これにより、前記第1の構成から前記第2の構成へと移動する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第2の構成において、前記加圧流体および前記薬剤の渦が前記出口を通って送達されるために前記ディスクの周囲を移動することを許容すべく、前記ディスクは前記粉末チャンバの内面から所定距離だけ後退している、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
装置であって、
出口と、
薬剤を収容するように構成された内面を有する粉末チャンバと、
前記粉末チャンバと流体的に連通する第1の管路であって、その中心長手方向軸が前記粉末チャンバの中心長手方向軸からオフセットされている、前記第1の管路と、
前記粉末チャンバ内に延びるとともに前記粉末チャンバと流体的に連通する第2の管路であって、その中心長手方向軸が前記粉末チャンバの中心長手方向軸と同軸である、前記第2の管路と、
前記出口の下の前記第2の管路の端部に隣接して配置されるディスクと、を備え、
前記ディスクは、前記粉末チャンバの内面に前記ディスクが接触した第1の位置と、前記粉末チャンバの内面から前記ディスクが所定距離だけ離間した第2の位置との間で移動するように構成されている、装置。
【請求項20】
前記ディスクが前記第1の位置にあるとき、
前記第1の管路は第1の加圧流体を前記粉末チャンバ内に送達するよう構成されており、且つ前記粉末チャンバは前記ディスクの下方で前記第1の加圧流体と前記薬剤との渦を生成し、
前記第2の管路は、第2の加圧流体を前記粉末チャンバ内に送達するとともに前記粉末チャンバ内に圧力を発生させ、前記ディスクが前記粉末チャンバの内面から離間するように構成されており、
前記ディスクが第2の位置にあるとき、前記ディスクは前記圧力の発生に応答して前記内面から所定距離だけ離間して配置され、これにより、前記第1の加圧流体と前記薬剤との渦が、送達のために前記ディスクの周囲を通って前記粉末チャンバの出口に向かって移動することが許容される、請求項19に記載の装置。