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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008982
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20250109BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20250109BHJP
   H10K 50/818 20230101ALI20250109BHJP
   H10K 50/828 20230101ALI20250109BHJP
   H10K 59/65 20230101ALI20250109BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20250109BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20250109BHJP
   H10K 102/10 20230101ALN20250109BHJP
   H10K 102/20 20230101ALN20250109BHJP
【FI】
G09F9/30 339
G09F9/30 308Z
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/30 309
H10K59/122
H10K50/818
H10K50/828
H10K59/65
H10K50/844
H10K59/121
H10K102:10
H10K102:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111655
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕之
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC43
3K107DD23
3K107DD27
3K107DD89
3K107EE06
3K107EE07
3K107EE48
3K107EE68
3K107FF15
5C094BA14
5C094BA27
5C094CA20
5C094DA07
5C094DA13
5C094DA20
5C094EA04
5C094EA05
5C094EA07
5C094EC04
(57)【要約】
【課題】光透過率を向上させることが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【解決手段】実施形態に係る表示装置は、基材と、基材の上に配置された下電極と、下電極と重畳する開口を有するリブと、リブの上に配置された隔壁と、開口を通じて下電極と接触する有機層と、有機層の上に配置された上電極とを具備する。下電極は、第1領域に配置された複数の第1下電極と、第2領域に配置された複数の第2下電極とを含む。開口は、複数の第1下電極と重畳する複数の第1開口と、複数の第2下電極と重畳する複数の第2開口とを含む。隔壁は、複数の第1開口を区画する第1隔壁と、複数の第2開口の各々を区画する複数の第2隔壁とを含む。第2開口は、第1開口よりも小さい。第2隔壁の各々は、リブの上に配置された透明導電層によって接続される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に配置された下電極と、
前記下電極と重畳する開口を有するリブと、
前記リブの上に配置された下部と当該下部の側面から突出した上部とを有する隔壁と、
前記開口を通じて前記下電極と接触する有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と
を具備し、
前記下電極は、前記基材上の第1領域に配置された複数の第1下電極と、前記第1領域とは異なる第2領域に配置された複数の第2下電極とを含み、
前記開口は、前記複数の第1下電極と重畳する複数の第1開口と、前記複数の第2下電極と重畳する複数の第2開口とを含み、
前記隔壁は、前記複数の第1開口を区画する第1隔壁と、前記複数の第2開口の各々を区画する複数の第2隔壁とを含み、
前記複数の第2開口の各々の面積は、前記複数の第1開口の各々の面積よりも小さく、
前記複数の第2隔壁の各々は、他の第2隔壁と間隙を有するように配置されており、前記リブの上に配置された透明導電層によって当該他の第2隔壁と接続される
表示装置。
【請求項2】
前記第2領域は、前記表示装置を介して受光する受光素子と重畳する位置に配置される請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2領域における単位面積あたりの前記第2開口の数は、前記第1領域における単位面積あたりの前記第1開口の数と同一である請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2領域における単位面積あたりの前記第2開口の数は、前記第1領域における単位面積あたりの前記第1開口の数よりも少ない請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2開口の形状は、前記第1開口の形状と異なる請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1開口の形状は、矩形形状であり、
前記第2開口の形状は、円形形状である
請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の第2隔壁の各々は、前記透明導電層の一部を覆うように配置されている請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層の上に配置された封止層と
を具備し、
前記キャップ層及び前記封止層は、前記透明導電層の上には配置されない
請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
基材と、
前記基材の上に配置された下電極と、
前記下電極と重畳する開口を有するリブと、
前記リブの上に配置された下部と当該下部の側面から突出した上部とを有する隔壁と、
前記開口を通じて前記下電極と接触する有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と
を具備し、
前記下電極は、前記基材上の第1領域に配置された複数の第1下電極と、前記第1領域とは異なる第2領域に配置された複数の第2下電極とを含み、
前記開口は、前記複数の第1下電極と重畳する複数の矩形形状の第1開口と、前記複数の第2下電極と重畳する複数の円形形状の第2開口とを含み、
前記隔壁は、前記複数の第1開口を区画する第1隔壁と、前記複数の第2開口の各々を区画する複数の第2隔壁とを含み、
前記複数の第2隔壁の各々は、他の第2隔壁と間隙を有するように配置されており、前記リブの上に配置された透明導電層によって当該他の第2隔壁と接続され、
前記第2領域は、受光する受光素子と重畳する位置に配置される、表示装置。
【請求項10】
前記第2領域における単位面積あたりの前記第2開口の数は、前記第1領域における単位面積あたりの前記第1開口の数と同一である請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2領域における単位面積あたりの前記第2開口の数は、前記第1領域における単位面積あたりの前記第1開口の数よりも少ない請求項9記載の表示装置。
【請求項12】
前記複数の第2隔壁の各々は、前記透明導電層の一部を覆うように配置されている請求項9記載の表示装置。
【請求項13】
前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層の上に配置された封止層と
を具備し、
前記キャップ層及び前記封止層は、前記透明導電層の上には配置されない
請求項9記載の表示装置。
【請求項14】
基材の上に下電極を形成する工程と、
前記下電極を覆う無機材料の絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に透明導電層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に配置された下部と当該下部の側面から突出した上部とを有する隔壁を形成する工程と、
前記絶縁層に前記下電極と重畳する開口を形成する工程と、
前記開口を通じて前記下電極と接触する有機層を形成する工程と、
前記有機層の上に上電極を形成する工程と
を具備し、
前記下電極は、前記基材上の第1領域に配置された複数の第1下電極と、前記第1領域とは異なる第2領域に配置された複数の第2下電極とを含み、
前記透明導電層は、前記複数の第2下電極と重畳しない前記第2領域に形成され、
前記開口は、前記複数の第1下電極と重畳する複数の第1開口と、前記複数の第2下電極と重畳する複数の第2開口とを含み、
前記隔壁は、前記複数の第1開口を区画する第1隔壁と、前記複数の第2開口の各々を区画する複数の第2隔壁とを含み、
前記複数の第2開口の各々の面積は、前記複数の第1開口の各々の面積よりも小さく、
前記複数の第2隔壁の各々は、他の第2隔壁と間隙を有するように形成され、前記透明導電層によって当該他の第2隔壁と接続される
表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されており、例えばスマートフォンのような電子機器が当該表示装置を備えることが知られている。
【0003】
このような電子機器においては、表示装置(表示領域)の背面にカメラを配置する構成を採用することによって、当該カメラと重畳する領域まで表示領域を拡大することができる。
【0004】
しかしながら、このような構成の場合には表示装置を介してカメラ(が有する撮像素子)に光が入射する必要があるため、当該表示装置(表示領域のうちのカメラと重畳する領域)において十分な光透過率を確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光透過率を向上させることが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る表示装置は、基材と、前記基材の上に配置された下電極と、前記下電極と重畳する開口を有するリブと、前記リブの上に配置された下部と当該下部の側面から突出した上部とを有する隔壁と、前記開口を通じて前記下電極と接触する有機層と、前記有機層の上に配置された上電極とを具備する。前記下電極は、前記基材上の第1領域に配置された複数の第1下電極と、前記第1領域とは異なる第2領域に配置された複数の第2下電極とを含む。前記開口は、前記複数の第1下電極と重畳する複数の第1開口と、前記複数の第2下電極と重畳する複数の第2開口とを含む。前記隔壁は、前記複数の第1開口を区画する第1隔壁と、前記複数の第2開口の各々を区画する複数の第2隔壁とを含む。前記複数の第2開口の各々の面積は、前記複数の第1開口の各々の面積よりも小さい。前記複数の第2隔壁の各々は、他の第2隔壁と間隙を有するように配置されており、前記リブの上に配置された透明導電層によって当該他の第2隔壁と接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のA-A線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図4図4は、隔壁の概略的な断面図である。
図5図5は、隔壁を利用して形成される表示素子について説明するための概略的な断面図である。
図6図6は、隔壁を利用して形成される表示素子について説明するための概略的な断面図である。
図7図7は、隔壁を利用して形成される表示素子について説明するための概略的な断面図である。
図8図8は、表示装置が組み込まれた電子機器の一部を示す平面図である。
図9図9は、第1表示領域に形成されているリブが有する開口の配置の一例を模式的に示す図である。
図10図10は、第2表示領域に形成されているリブが有する開口の一例を模式的に示す図である。
図11図11は、図10中のB-B線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図12図12は、第2表示領域におけるリブ、隔壁及び透明導電層を形成するための工程の一例を説明するための図である。
図13図13は、第2表示領域におけるリブ、隔壁及び透明導電層を形成するための工程の一例を説明するための図である。
図14図14は、第2表示領域におけるリブ、隔壁及び透明導電層を形成するための工程の一例を説明するための図である。
図15図15は、第2表示領域に形成されているリブが有する開口の他の例を模式的に示す図である。
図16図16は、第2表示領域に形成されているリブが有する開口の更に別の例を模式的に示す図である。
図17図17は、第2表示領域に形成されているリブが有する開口の更に別の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、例えばスマートフォンのような電子機器に搭載され得る。なお、本実施形態に係る表示装置が搭載される電子機器は、スマートフォン以外(例えば、タブレット端末等)であってもよい。
【0012】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示領域DAと、当該表示領域DAの周辺の非表示領域NDAとを有している。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0013】
本実施形態においては、平面視における基材10の形状が長方形である。ただし、基材10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形または楕円形等の他の形状であってもよい。
【0014】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列(配置)された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2及び青色の副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2及びSP3とともに白色等の他の色の副画素SPを含んでいてもよい。また、画素PXは、副画素SP1、SP2及びSP3のいずれかに代えて他の色の副画素SPを含んでいてもよい。
【0015】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20とを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0016】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20に接続されている。
【0017】
なお、画素回路1の構成は、図1に示す例に限られない。画素回路1は、例えばより多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えていてもよい。
【0018】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤色の波長域の光を放つ表示素子20を備え、副画素SP2は緑色の波長域の光を放つ表示素子20を備え、副画素SP3は青色の波長域の光を放つ表示素子20を備えている。
【0019】
図2は、副画素SP1、SP2及びSP3のレイアウトの一例を示す。図2に示す例においては、副画素SP1とSP2とが第2方向Yに並んでいる。更に、副画素SP1及びSP2は、それぞれ副画素SP3と第1方向Xに並んでいる。
【0020】
副画素SP1、SP2及びSP3が図2に示すようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP1及びSP2が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP3が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0021】
なお、副画素SP1、SP2及びSP3のレイアウトは、図2に示す例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1、SP2及びSP3は、第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0022】
表示領域DAには、リブ5及び隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1、SP2及びSP3においてそれぞれ開口AP1、AP2及びAP3を有している。図2に示す例においては、開口AP2の面積が開口AP1の面積よりも大きく、開口AP3の面積が開口AP2の面積よりも大きい。隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。
【0023】
隔壁6は、第1方向Xに延びる隔壁6xと、第2方向Yに延びる隔壁6yとを有している。隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う開口AP1とAP2との間、及び第2方向Yに隣り合う2つの開口AP3の間に配置されている。隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う開口AP1とAP3との間、及び、第1方向Xに隣り合う開口AP2とAP3との間にそれぞれ配置されている。
【0024】
図2に示す例においては、隔壁6x及び6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として開口AP1、AP2及びAP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1、SP2及びSP3において開口を有するということもできる。
【0025】
すなわち、本実施形態において、リブ5及び隔壁6は、副画素SP1、SP2及びSP3(開口AP1、AP2及びAP3)を区画するように配置されている。
【0026】
副画素SP1は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1を備えている。副画素SP2は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2を備えている。副画素SP3は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3を備えている。図2に示す例においては、上電極UE1及び有機層OR1の外形が一致し、上電極UE2及び有機層OR2の外形が一致し、上電極UE3及び有機層OR3の外形が一致している。
【0027】
下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1は、副画素SP1の表示素子20を構成する。下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2は、副画素SP2の表示素子20を構成する。下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3は、副画素SP3の表示素子20を構成する。
【0028】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1(の表示素子20)を駆動する画素回路1に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2(の表示素子20)を駆動する画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3(の表示素子20)を駆動する画素回路1に接続されている。
【0029】
図2に示す例において、コンタクトホールCH1及びCH2は、第2方向Yに隣り合う開口AP1とAP2との間の隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH3は、第2方向Yと隣り合う2つの開口AP3の間の隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1、CH2及びCH3の少なくとも一部が隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0030】
図2に示す例において、下電極LE1及びLE2は、突部PR1及びPR2をそれぞれ有している。突部PR1は、下電極LE1の本体(開口AP1と重なる部分)からコンタクトホールCH1に向けて突出している。突部PR2は、下電極LE2の本体(開口AP2と重なる部分)からコンタクトホールCH2に向けて突出している。コンタクトホールCH1及びCH2は、突部PR1及びPR2とそれぞれ重なっている。
【0031】
図3は、図2中のA-A線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。表示装置DSPにおいては、上記したガラスのような光透過性を有する基材10の上(表示素子20等が配置される側の面上)にアンダーコート層と称される絶縁層11が配置されている。
【0032】
絶縁層11は、例えばシリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)、シリコン酸化膜(SiO)を有する三層積層構造を有する。なお、絶縁層11は、三層積層構造に限られない。絶縁層11は、三層よりも多い積層構造を有していいてもよいし、単層構造または二層積層構造を有していてもよい。
【0033】
絶縁層11の上には、回路層12が配置されている。回路層12は、図1に示す画素回路1、走査線GL、信号線SL及び電源線PL等の副画素SP(SP1、SP2及びSP3)を駆動する各種回路及び配線を有する。回路層12は、絶縁層13により覆われている。
【0034】
絶縁層13は、回路層12により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。図3には示されていないが、上記したコンタクトホールCH1、CH2及びCH3は、絶縁層13に設けられている。
【0035】
下電極LE(LE1、LE2及びLE3)は、絶縁層13の上に配置されている。リブ5は、絶縁層13と下電極LEとの上に配置されている。下電極LEの端部(一部)は、リブ5により覆われている。
【0036】
隔壁6は、リブ5の上に配置された下部61と、下部61の上面を覆う上部62とを有する。上部62は、下部61よりも第1方向X及び第2方向Yに大きい幅を有している。これにより、隔壁6は、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出した形状を有する。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということができる。
【0037】
有機層OR(OR1、OR2及びOR3)及び上電極UE(UE1、UE2及びUE3)は上記した下電極LE(LE1、LE2及びLE3)とともに表示素子20を構成するが、図3に示すように、有機層OR1は、互いに離間した第1有機層OR1a及び第2有機層OR1bを含む。上電極UE1は、互いに離間した第1上電極UE1a及び第2上電極UE1bを含む。第1有機層OR1aは、開口AP1を通じて下電極LE1に接触するとともに、リブ5の一部を覆っている。第2有機層OR1bは、上部62の上に位置している。第1上電極UE1aは、下電極LE1と対向するとともに、第1有機層OR1aを覆っている。更に、第1上電極UE1aは、下部61の側面に接触している。第2上電極UE1bは、隔壁6の上方に位置し、第2有機層OR1bを覆っている。
【0038】
また、図3に示すように、有機層OR2は、互いに離間した第1有機層OR2a及び第2有機層OR2bを含む。上電極UE2は、互いに離間した第1上電極UE2a及び第2上電極UE2bを含む。第1有機層OR2aは、開口AP2を通じて下電極LE2に接触するとともに、リブ5の一部を覆っている。第2有機層OR2bは、上部62の上に位置している。第1上電極UE2aは、下電極LE2と対向するとともに、第1有機層OR2aを覆っている。更に、第1上電極UE2aは、下部61の側面に接触している。第2上電極UE2bは、隔壁6の上方に位置し、第2有機層OR2bを覆っている。
【0039】
また、図3に示すように、有機層OR3は、互いに離間した第1有機層OR3a及び第2有機層OR3bを含む。上電極UE3は、互いに離間した第1上電極UE3a及び第2上電極UE3bを含む。第1有機層OR3aは、開口AP3を通じて下電極LE3に接触するとともに、リブ5の一部を覆っている。第2有機層OR3bは、上部62の上に位置している。第1上電極UE3aは、下電極LE3と対向するとともに、第1有機層OR3aを覆っている。更に、第1上電極UE3aは、下部61の側面に接触している。第2上電極UE3bは、隔壁6の上方に位置し、第3有機層OR3bを覆っている。
【0040】
図3に示す例において、副画素SP1、SP2及びSP3は、有機層OR1、OR2及びOR3の発光層が発する光の光学特性を調整するためのキャップ層CP1、CP2及びCP3(光路調整層)を含む。
【0041】
キャップ層CP1は、互いに離間した第1キャップ層CP1a及び第2キャップ層CP1bを含む。第1キャップ層CP1aは、開口AP1に位置し、第1上電極UE1aの上に配置されている。第2キャップ層CP1bは、隔壁6の上方に位置し、第2上電極UE1bの上に配置されている。
【0042】
キャップ層CP2は、互いに離間した第1キャップ層CP2a及び第2キャップ層CP2bを含む。第1キャップ層CP2aは、開口AP2に位置し、第1上電極UE2aの上に配置されている。第2キャップ層CP2bは、隔壁6の上方に位置し、第2上電極UE2bの上に配置されている。
【0043】
キャップ層CP3は、互いに離間した第1キャップ層CP3a及び第2キャップ層CP3bを含む。第1キャップ層CP3aは、開口AP3に位置し、第1上電極UE3aの上に配置されている。第2キャップ層CP3bは、隔壁6の上方に位置し、第2上電極UE3bの上に配置されている。
【0044】
副画素SP1、SP2及びSP3には、封止層SE1、SE2及びSE3がそれぞれ配置されている。封止層SE1は、第1キャップ層CP1a、隔壁6及び第2キャップ層CP1bを含む副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。封止層SE2は、第1キャップ層CP2a、隔壁6及び第2キャップ層CP2bを含む副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。封止層SE3は、第1キャップ層CP3a、隔壁6及び第2キャップ層CP3bを含む副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0045】
図3に示す例においては、副画素SP1とSP3との間の隔壁6上の第2有機層OR1b、第2上電極UE1b、第2キャップ層CP1b及び封止層SE1と、当該隔壁6上の第2有機層OR3b、第2上電極UE3b、第2キャップ層CP3b及び封止層SE3とが離間している。また、副画素SP2とSP3との間の隔壁6上の第2有機層OR2b、第2上電極UE2b、第2キャップ層CP2b及び封止層SE2と、当該隔壁6上の第2有機層OR3b、第2上電極UE3b、第2キャップ層CP3b及び封止層SE3とが離間している。
【0046】
封止層SE1、SE2及びSE3は、樹脂層14(平坦化膜)により覆われている。樹脂層14は、封止層15により覆われている。更に、封止層15は、樹脂層16により覆われている。
【0047】
絶縁層13と樹脂層14及び16とは、有機材料で形成されている。リブ5と封止層15及びSE(SE1、SE2及びSE3)とは、例えばシリコン窒化物(SiNx)等の無機材料で形成されている。
【0048】
隔壁6が有する下部61は、導電性を有している。隔壁6が有する上部62も同様に導電性を有していてもよい。下電極LEは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電性酸化物で形成されてもよいし、銀(Ag)等の金属材料と導電性酸化物との積層構造を有していてもよい。上電極UEは、ITO等の導電性酸化物で形成されてもよい。
【0049】
下電極LEの電位が上電極UEの電位よりも相対的に高い場合、下電極LEがアノードに相当し、上電極UEがカソードに相当する。また、上電極UEの電位が下電極LEの電位よりも相対的に高い場合、上電極UEがアノードに相当し、下電極LEがカソードに相当する。
【0050】
有機層ORは、一対の機能層と、これら機能層の間に配置された発光層とを含む。一例として、有機層ORは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層及び電子注入層を順に積層した構造を有している。
【0051】
キャップ層CP(CP1、CP2及びCP3)は、例えば透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UEの材料とは異なり、また、封止層SEの材料とも異なる。なお、キャップ層CPは省略されてもよい。
【0052】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE(第1上電極UE1a、UE2a及びUE3a)にそれぞれ供給される。下電極LE(LE1、LE2及びLE3)には、副画素SP(SP1、SP2及びSP3)がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0053】
下電極LE1と上電極UE1との間に電位差が形成されると、第1有機層OR1aの発光層が赤色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2との間に電位差が形成されると、第1有機層OR2aの発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3との間に電位差が形成されると、第1有機層OR3aの発光層が青色の波長域の光を放つ。
【0054】
他の例として、有機層OR1、OR2及びOR3の発光層が同一色(例えば、白色)の光を放ってもよい。この場合において、表示装置DSPは、発光層が放つ光を副画素SP1、SP2及びSP3に対応する色の光に変換するカラーフィルタを備えてもよい。また、表示装置DSPは、発光層が放つ光により励起して副画素SP1、SP2及びSP3に応じた色の光を生成する量子ドットを含んだ層を備えてもよい。
【0055】
図4は、隔壁6の概略的な拡大断面図である。図4においては、リブ5、隔壁6、絶縁層13及び一対の下電極LE以外の要素を省略している。一対の下電極LEは、上記した下電極LE1、LE2及びLE3のいずれかに相当する。また、上記した隔壁6x及び6yは、図4に示す隔壁6と同様の構造を有している。
【0056】
図4に示す例において、隔壁6が有する下部61は、リブ5の上に配置されたバリア層(ボトム部)611と、当該バリア層611の上に配置された金属層(軸部)612とを含む。バリア層611は、金属層612とは異なる材料で形成されており、例えばモリブデン(Mo)、チタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)等の金属材料によって形成されている。金属層612は、バリア層611よりも厚く形成されている。金属層612は、単層構造であってもよいし、異なる金属材料の積層構造であってもよい。一例として、金属層612は例えばアルミニウム(Al)により形成される。
【0057】
上部(トップ部)62は、下部61よりも薄い。図4に示す例において、上部62は、金属層612の上に配置された第1層621と、当該第1層621の上に配置された第2層622とを含む。一例としては、第1層621は例えばチタン(Ti)により形成され、第2層622は例えばITOにより形成される。
【0058】
図4に示す例においては、下部61の幅が上部62に近づくにつれて小さくなる。すなわち、下部61の側面61a及び61bは、第3方向Zに対して傾斜している。なお、上部62は、側面61aから突出した端部62aと、側面61bから突出した端部62bとを有している。
【0059】
側面61a及び61bからの端部62a及び62bの突出量D(以下、隔壁6の突出量Dと表記)は、例えば2.0μm以下である。本実施形態における隔壁6の突出量Dは、側面61a及び61bの下端(バリア層611)と端部62a及び62bとの間の、隔壁6の第3方向Zと直交する幅方向(第1方向Xまたは第2方向Y)における距離に相当する。
【0060】
なお、図4に示す例においては、バリア層611の側面と金属層612の側面とが揃っており、段差のない平面を形成しているが、例えばバリア層611の側面は、金属層612の側面に対してわずかに後退していてもよいし、当該金属層612の側面に対して突出していてもよい。また、図4においてはバリア層611及び金属層612の側面(つまり、下部61の側面61a及び61b)が第3方向Zに対して傾斜しているが、当該側面は第3方向Zと平行であってもよい。
【0061】
隔壁6の構造及び当該隔壁6の各部の材料は、例えば隔壁6を形成する手法等を考慮して、適宜、選定することができる。
【0062】
ここで、本実施形態において、隔壁6は、平面視において副画素SPを区画するように形成されている。上記した有機層ORは例えば異方性あるいは指向性のある真空蒸着法によって形成されるが、隔壁6が配置された状態で当該有機層ORを形成するための有機材料を基材10全体に蒸着した場合、隔壁6は図3及び図4に示すような形状を有しているため、当該隔壁6の側面には有機層ORは殆ど形成されない。これによれば、隔壁6によって副画素SP毎に分断されるような有機層OR(表示素子20)を形成することができる。
【0063】
図5図7は、隔壁6を利用して形成される表示素子20について説明するための概略的な断面図である。なお、図5図7においては、基材10、絶縁層11及び回路層12が省略されている。また、図5図7に示す副画素SPα、SPβ及びSPγは、副画素SP1、SP2及びSP3のいずれかに相当する。
【0064】
まず、上記したように隔壁6が配置された状態で図5に示すように基材10全体に対して有機層OR、上電極UE、キャップ層CP及び封止層SEが順に蒸着によって形成される。有機層ORは、副画素SPαに対応する色の光を放つ発光層を含む。オーバーハング状の隔壁6によって、有機層ORは開口APを通じて下電極LEと接触する第1有機層ORaと隔壁6上の第2有機層ORbに分断され、上電極UEは第1有機層ORaを覆う第1上電極UEaと第2有機層ORbを覆う第2上電極UEbとに分断され、キャップ層CPは第1上電極UEaを覆う第1キャップ層CPaと第2上電極UEbを覆う第2キャップ層CPbとに分断される。第1上電極UEaは、隔壁6の下部61に接触している。封止層SEは、第1キャップ層CPa、第2キャップ層CPb及び隔壁6を連続的に覆っている。
【0065】
次に、図6に示すように、封止層SEの上にレジストRが形成される。レジストRは、副画素SPαを覆っている。すなわち、レジストRは、副画素SPαに位置する第1有機層ORa、第1上電極UEa及び第1キャップ層CPaの直上に配置されている。レジストRは、副画素SPαと副画素SPβとの間の隔壁6上の第2有機層ORb、第2上電極UEb及び第2キャップ層CPbのうち、副画素SPα寄りの部分の直上にも位置している。すなわち、隔壁6の少なくとも一部は、レジストRから露出している。
【0066】
更に、レジストRをマスクとしたエッチングにより、図7に示すように有機層OR、上電極UE、キャップ層CP及び封止層SEのうちレジストRから露出した部分が除去される。これにより、副画素SPαには下電極LE、第1有機層ORa、第1上電極UEa及び第1キャップ層CPaを含む表示素子20が形成される。一方で、副画素SPβ及びSPγにおいては下電極LEが露出する。なお、上記したエッチングは、例えば封止層SEのドライエッチング、キャップ層CPのウェットエッチング及びドライエッチング、上電極UEのウェットエッチング、有機層ORのドライエッチングを含む。
【0067】
上記したように副画素SPαの表示素子20が形成されると、レジストRが除去され、副画素SPβ及びSPγの表示素子20が、副画素SPαと同様に、順に形成される。
【0068】
以上の副画素SPα、SPβ及びSPγについて例示したように副画素SP1、SP2及びSP3の表示素子20を形成し、更に樹脂層14、封止層15及び樹脂層16を形成することにより、図3に示した表示装置DSPの構造が実現される。
【0069】
ここで、本実施形態に係る表示装置DSPが例えばカメラとともにスマートフォン等の電子機器に組み込まれて使用される場合を想定する。
【0070】
図8は、本実施形態に係る表示装置DSP(表示パネル)が組み込まれた電子機器の一部を示す平面図である。上記したように表示装置DSPにおいて表示領域DAは第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PX(副画素SP1、SP2及びSP3)を備えているが、当該表示装置DSPは表示領域DAを有する表示面及び当該表示面に対向する背面(以下、表示装置DSPの背面と表記)を有する。本実施形態に係る表示装置DSPが組み込まれた電子機器においては、当該表示装置DSPの背面側に例えば画像を撮像するためのカメラ100が配置されるものとする。
【0071】
この場合、図8に示すように、電子機器(表示装置DSP)における表示領域DAを拡大する(当該表示領域DAの範囲を広げる)ために、カメラ100を当該表示領域DA(つまり、複数の画素PX)と重畳する位置に配置することが考えられる。
【0072】
しかしながら、平面視において表示領域DAと重畳する位置にカメラ100が配置された場合、当該カメラ100と重畳する画素PXの各々が備える画素回路1及び下電極LE等の影響により当該カメラ100と重畳する領域(つまり、当該画素PXを含む領域)の光透過率が低下し、表示装置DSPを介してカメラ100(が有する撮像素子)に十分な光が入射しない可能性がある。
【0073】
この場合、例えばカメラ100と重畳する領域において画素PXを間引く構成が考えられるが、単に画素PXを間引く構成によれば、当該カメラ100と重畳する領域の解像度が低下し、かつ、当該領域からカメラ100が視認されやすくなるため、表示装置DSPの表示品位が低下する可能性がある。
【0074】
そこで、本実施形態においては、表示領域DAのうちのカメラ100と重畳しない領域(以下、第1表示領域DA1と表記)においてリブ5が有する開口の平面視における面積(サイズ)に対して、当該表示領域DAのうちのカメラ100と重畳する領域(以下、第2表示領域DA2と表記)においてリブ5が有する開口の平面視における面積(サイズ)を小さくする構成を採用する。
【0075】
図9は、第1表示領域DA1に形成されているリブ5が有する開口AP1、AP2及びAP3の配置の一例を模式的に示している。一方、図10は、第2表示領域DA2に形成されているリブ5が有する開口AP1、AP2及びAP3の配置を模式的に示している。
【0076】
なお、図9及び図10においては、4つ分の画素PX(副画素SP1、SP2及びSP3)においてリブ5が有する複数の開口AP1、AP2及びAP3が示されている。すなわち、本実施形態において、第1表示領域DA1における単位面積あたりの開口AP1、AP2及びAP3の数と、第2表示領域DA2における単位面積あたりの開口AP1、AP2及びAP3の数とは同一である。
【0077】
ここで、図9及び図10を参照すると、第1表示領域DA1における開口AP1の面積よりも第2表示領域DA2における開口AP1の面積は小さい。同様に、第1表示領域DA1における開口AP2の面積よりも第2表示領域DA2における開口AP2の面積は小さく、第1表示領域DA1における開口AP3の面積よりも第2表示領域DA2における開口AP3の面積は小さい。
【0078】
なお、図9及び図10に示す例では、第1表示領域DA1における開口AP1、AP2及びAP3の面積の比率と、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3の面積の比率とは、概ね同一である。
【0079】
また、図9及び図10に示す例では、第1表示領域DA1における開口AP1、AP2及びAP3は矩形形状を有しているのに対し、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3は円形形状を有している。
【0080】
更に、図9に示すように第1表示領域DA1においては複数の開口AP1、AP2及びAP3が一体として形成されている隔壁6によって区画されているのに対し、図10に示すように第2表示領域DA2においては複数の開口AP1、AP2及びAP3の各々が独立した島パターンとして(つまり、島状に)形成され、開口AP1、AP2及びAP3のそれぞれを独立して囲む複数の隔壁6によって区画されている。
【0081】
ところで、上記した図3は第1表示領域DA1における表示装置DSPの概略的な断面図であるが、当該図3において説明したように、当該第1表示領域DA1において形成されている隔壁6に共通電圧が供給されることにより、当該隔壁6を介して当該隔壁6(下部61)の側面に接触している上電極UE(開口AP1、AP2及びAP3と重畳する上電極UE1、UE2及びUE3)に当該共通電圧を供給することができる。
【0082】
一方、第2表示領域DA2において形成されている複数の隔壁6の各々は上記したように独立した島パターンとして形成されている(つまり、他の隔壁6と間隙を有するように配置されている)ため、当該複数の隔壁6に対して上記した共通電圧を供給する仕組みが必要である。
【0083】
この場合、本実施形態においては、第2表示領域DA2において形成されている複数の隔壁6の各々を電気的に接続するための透明導電層7を配置する。なお、この透明導電層7は、例えばITOまたはIZOのような透明な導電性酸化物によって形成される。このような構成によれば、第2表示領域DA2において形成されている複数の隔壁6に共通電圧を供給することができるとともに、透明導電層7が配置された領域において高い透過率を実現することができる。
【0084】
図11は、図10中のB-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。ここでは、図3と同一の部分には同一参照符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0085】
図11に示すように、第2表示領域DA2においては、開口AP1を区画するように隔壁6が配置されており、当該開口AP1と重畳する位置に表示素子20(下電極LE1、第1有機層OR1a、第1上電極UE1a及び第1キャップ層CP1a)が形成されている。
【0086】
なお、この表示素子20は、図5図7において説明したように形成されるため、隔壁6の上の開口AP1側には、第2有機層OR1b、第2上電極UE1b及び第2キャップ層CP1bが配置されている。
【0087】
一方、開口AP1(つまり、下電極LE1)と重畳しない第2表示領域DA2(つまり、図11に示す開口AP1を区画する隔壁6と他の開口を区画する隔壁6との間の領域)においては、リブ5の上に透明導電層7(例えば、ITO層)が配置される。
【0088】
この場合、透明導電層7の一部が隔壁6(下部61)によって覆われていることにより、当該隔壁6(開口AP1を区画する隔壁6)は、他の開口を区画する隔壁6と電気的に接続される。換言すれば、第2表示領域DA2において形成されている複数の隔壁6の各々には、透明導電層7を介して共通電圧が供給される。
【0089】
ここで、図12図14を参照して、第2表示領域DA2におけるリブ5、隔壁6及び透明導電層7を形成するための工程の一例について説明する。なお、図12図14においては、基材10、絶縁層11及び回路層12が省略されている。また、図12図14に示す副画素SPαは、副画素SP1、SP2及びSP3のいずれかに相当する。
【0090】
まず、図12に示すように、絶縁層13の上に下電極LEが形成されているものとすると、当該絶縁層13及び下電極LEを覆うように、リブ5に加工するための無機材料の絶縁層5aが形成され、絶縁層5aの上に透明導電層7が形成される。
【0091】
なお、絶縁層5aは、例えば化学蒸着法によって形成される。また、透明導電層7は、例えばスパッタリング法によって少なくとも第2表示領域DA2全体に透明導電層(導電性酸化物層)が形成された後に、当該透明導電層の上に配置されたレジスト(図示せず)から露出した部分をウェットエッチングにより除去することによって形成される。
【0092】
続いて、図13に示すように、透明導電層7の一部が下部61によって覆われるように隔壁6が形成される。なお、隔壁6は、下部61に加工するための第1層及び上部62に加工するための第2層がスパッタリング法によって形成された後に、第2層及び第1層の上に配置されたレジスト(図示せず)から露出した部分をウェットエッチング及びドライエッチング等により除去することによって形成される。
【0093】
更に、リブ5の平面形状にパターニングされたレジストが配置され、絶縁層5aのうち当該レジストから露出した部分がドライエッチングにより除去される。これにより、図14に示すような開口AP(AP1、AP2及びAP3)を有するリブ5が形成される。
【0094】
ここでは第2表示領域DA2においてリブ5、隔壁6及び透明導電層7が形成されるものとして説明したが、リブ5及び隔壁6は、第2表示領域DA2におけるリブ5及び隔壁6と同じ工程で、第1表示領域DA1にも形成される。
【0095】
このように第1表示領域DA1においてリブ5及び隔壁6が形成され、第2表示領域DA2においてリブ5、隔壁6及び透明導電層7が形成された場合、図5図7において説明したように各開口AP1、AP2及びAP3において表示素子20が形成され、更に樹脂層14、封止層15及び樹脂層16が形成される。これによって、本実施形態に係る表示装置DSPの構造が実現される。
【0096】
なお、ここでは図12図14において説明したようにリブ5、隔壁6及び透明導電層7が形成されるものとして説明したが、図14に示す構造が実現されるのであれば、当該リブ5、隔壁6及び透明導電層7が形成される順序は変更されてもよい。具体的には、例えば絶縁層13及び下電極LEを覆うように形成された当該絶縁層5aをリブ5に加工した後に、透明導電層7及び隔壁6を形成するようにしてもよい。換言すれば、透明導電層7及び隔壁6を形成するよりも前に開口AP1、AP2及びAP3を形成してもよい。
【0097】
上記したように本実施形態に係る表示装置DSPは、基材10と、当該基材10の上に配置される下電極LEと、当該下電極と重畳する開口APを有するリブ5と、当該リブ5の上に配置された下部61と当該下部61の側面から突出した上部62とを有する隔壁6と、当該開口APを通じて当該下電極LEと接触する有機層ORと、当該有機層ORの上に配置された上電極UEと、上電極UE及び隔壁6を覆う封止層SEとを備える。また、本実施形態において、下電極LEは、基材10上の第1表示領域DA(第1領域)に配置された複数の下電極LE(第1下電極)と、第1表示領域DA1とは異なる第2表示領域DA2に配置された複数の下電極LE(第2下電極)とを含み、開口APは、第1表示領域DA1に配置された複数の下電極LEと重畳する複数の開口AP(第1開口)と、第2表示領域DA2に配置された複数の下電極LEと重畳する複数の開口AP(第2開口)とを含む。
【0098】
この場合、本実施形態において、隔壁6は、第1表示領域DA1における複数の開口APを区画する隔壁6(第1隔壁)と、第2表示領域DA2における複数の開口APの各々を区画する複数の隔壁6とを含み、当該第2表示領域DA2における複数の開口APの各々の面積は、第1表示領域DA1における複数の開口APの各々の面積よりも小さい。更に、第2表示領域DA2における複数の隔壁6の各々は、他の隔壁6と間隙を有するように配置されており、リブ部5の上に配置された透明導電層7によって当該他の隔壁6と電気的に接続される。このように第1表示領域DA1と同様に第2表示領域DA2においても有機層ORを下電極LE、リブ部5、隔壁6と封止層SEによって封止し各画素が独立して形成されているため、たとえ水分侵入等により1つの画素が滅点になったとしても、他の画素に水分が拡がることがなく画素の滅点の拡がりを抑制することができる。なお、本実施形態において、第2表示領域DA2は、例えば表示装置DSPを介して光が入射されるカメラ100(撮像素子)と重畳する位置に配置される。
【0099】
本実施形態においては、上記した構成により、カメラ100に入射させるための光を第2表示領域DA2に形成された透明導電層7を介して透過させることができるため、当該第2表示領域DA2における光透過率を向上させることができる。また、本実施形態においては、上記した図11に示すように、透明導電層7と重畳する位置には上電極UEや封止層SEを配置する必要もないため、当該透明導電層7が配置されている領域においては高い光透過率を実現することができる。
【0100】
また、本実施形態においては、第2表示領域DA2における複数の隔壁6の各々が透明導電層7の一部を覆うように配置されており、当該複数の隔壁6は互いに透明導電層7を介して電気的に接続される。このため、第2表示領域DA2においても第1表示領域DA1と同様に、複数の隔壁6の各々を介して上電極UEに共通電圧を適切に供給することができる。
【0101】
更に、本実施形態においては、第2表示領域DA2における単位面積あたりの開口APの数を、第1表示領域DA1における単位面積あたりの開口APの数と同一にする(つまり、第1表示領域DA1と第2表示領域DA2とで解像度を同一にする)ことが可能であるため、当該第1表示領域DA1と当該第2表示領域DA2とにおける表示品位の差異を低減することができる。また、第1表示領域DA1と当該第2表示領域DA2とにおける表示品位の差異を低減することにより、当該第1表示領域DA1と当該第2表示領域DA2との境界が視認されることを抑制する、または、表示装置DSPの背面に位置するカメラ100を視認されにくくすることができると考えられる。
【0102】
ただし、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3の面積は第1表示領域DA1における開口AP1、AP2及びAP3の面積よりも小さいため、当該第2表示領域DA2に配置されている画素PX(副画素SP1、SP2及びSP3)の輝度は、第1表示領域DA1に配置されている画素PX(副画素SP1、SP2及びSP3)よりも低下する。このため、本実施形態においては、第2表示領域DA1に配置されている画素PX(副画素SP1、SP2及びSP3)に供給される電圧を調整することによって、当該第1表示領域DA1と当該第2表示領域DA2とに配置されている画素PX間の輝度の差異を低減するようにすることが好ましい。
【0103】
なお、本実施形態においては、例えば第1表示領域DA1における開口AP1、AP2及びAP3の面積の比率と、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3の面積の比率とが概ね同一であるものとして説明したが、当該比率は異なっていてもよい。具体的には、例えば第1表示領域DA1においては、開口AP2の面積が開口AP1の面積よりも大きく、開口AP3の面積が開口AP2の面積よりも大きいものとして説明したが、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3の面積は同一であってもよい。
【0104】
また、上記した第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3の面積(開口比率)は、例えば表示装置DSPの背面に配置されるカメラ100の性能(当該カメラ100が要求する光量等)に基づいて設計されても構わない。
【0105】
更に、上記したカメラ100の性能に応じてより高い透過率が必要であるような場合には、図15に示すように、第2表示領域DA2に配置されている画素PXを間引く(つまり、第2表示領域DA2における単位面積あたりの開口APの数を第1表示領域DA1における単位面積あたりの開口APの数よりも少なくし、第2表示領域DA2において透明導電層7が占める面積を増大させる)構成を採用してもよい。
【0106】
また、図10に示す例では第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3がそれぞれ円形形状を有するものとして説明したが、当該第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3は、第1表示領域DA1における開口AP1、AP2及びAP3よりも面積が小さいのであれば、他の形状を有していてもよい。具体的には、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3は、図16及び図17に示すような矩形形状を有していてもよい。更に、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2及びAP3は、それぞれ異なる形状を有していてもよい。なお、図16及び図17に示す矩形形状や他の形状を有する開口AP1、AP2及びAP3の場合であっても、上記した図15において説明した画素PXを間引く構成が適用されてもよい。
【0107】
なお、本実施形態においては複数の隔壁6の間に配置されている透明導電層7を光が透過してカメラ100に入射することになるが、当該複数の隔壁6がスリットを形成するものとすると、このようなスリットを通過(透過)する光は回折し、当該スリットの下側に位置するカメラ100(撮像素子の撮像面)において干渉縞が形成される可能性がある。この場合、隔壁6が直線状に形成されている場合と比較して、当該隔壁6を曲線状の形状を有するように形成した場合には、当該隔壁6によって形成されるスリットを通過する光が回折する方向(角度)を分散することができるため、カメラ100によって撮像される画像に影響を与えるほどの干渉縞が撮像面において形成されないようにすることができる。すなわち、第2表示領域DA2における開口AP1、AP2、AP3及び隔壁6の形状は、カメラ100によって撮像される画像に影響を与えないという観点から設計されることが好ましい。
【0108】
また、本実施形態においては表示装置DSPの背面にカメラ100(が有する撮像素子)が配置される場合を想定しているが、本実施形態は、入射した光を電気信号に変換する受光素子等を含むセンサまたは当該センサを備えるデバイスが当該表示装置DSPの背面に配置されるような場合に適用可能である。すなわち、本実施形態に係るDSPは表示領域DAのうちの所定の領域における光透過率を向上させる構成であればよく、表示装置DSPの背面に配置されるものについては限定されない。
【0109】
なお、本実施形態においては、第2表示領域DA2における複数の開口APの各々の面積が第1表示領域DA1における複数の開口APの各々の面積よりも小さいものとして説明したが、本実施形態は、例えば第2表示領域DAに配置される副画素SP1、SP2及びSP3の各々の面積が第1表示領域DA1に配置される副画素SP1、SP2及びSP3の各々の面積よりも小さい構成であるということもできる。
【0110】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及び表示装置の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及び表示装置の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0111】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0112】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0113】
DSP…表示装置、DA…表示領域、DA1…第1表示領域、DA2…第2表示領域、NDA…非表示領域、PX…画素、SP,SP1,SP2,SP3…副画素、AP,AP1,AP2,AP3…開口、LE,LE1,LE2,LE3…下電極、UE,UE1,UE2,UE3…上電極、OR,OR1,OR2,OR3…有機層、SE,SE1,SE2,SE3…封止層、1…画素回路、2…画素スイッチ、3…駆動トランジスタ、4…キャパシタ、5…リブ、6…隔壁、7…透明導電層、10…基材、11…絶縁層、12…回路層、13…絶縁層、14…樹脂層、15…封止層、16…樹脂層、20…表示素子、61…下部、62…上部。
図1
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