(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008986
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】加工装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20250109BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20250109BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20250109BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20250109BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/30 308Z
G09F9/00 346Z
H10K77/10
H10K59/10
H05K1/14 H
H05K1/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111660
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井手 達也
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5E344
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107DD16
3K107DD17
3K107EE03
3K107EE57
3K107FF15
3K107GG31
5C094AA42
5C094DA06
5E344AA02
5E344AA22
5E344CD01
5E344EE21
5G435BB05
5G435EE34
5G435EE40
5G435EE47
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】 表示装置の製造歩留まり向上が可能な加工装置を提供する。
【解決手段】 加工装置は、ステージと、移動可能な支持ブロックを有する、支持部材と、本体と、ブロックと、を有する、真空装置と、を備え、前記支持ブロックが第1方向に移動して、前記ステージの外に配置された前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を支持し、前記真空装置の前記本体に、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を吸着させ、前記真空装置の前記本体及び前記ブロックが180°回転することにより、前記端部領域の折り曲げ領域で前記表示パネルを折り曲げる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
移動可能な支持ブロックを有する、支持部材と、
本体と、ブロックと、を有する、真空装置と、
を備え、
表示領域及び端部領域が設けられた、可撓性の基材を備える可撓性の表示パネルと、前記端部領域に設けられた接続部に接続される、フレキシブル配線基板と、を備える表示装置のうち、前記表示パネルの前記表示領域を、前記ステージ上に保持し、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板は、前記ステージの外に配置され、
前記ステージ及び前記表示パネルに隣接して、前記支持部材を配置し、
前記支持ブロックが第1方向に移動して、前記ステージの外に配置された前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を支持し、
前記真空装置が、前記支持ブロックの下方に移動し、
前記支持ブロックが前記第1方向と逆方向に移動し、前記支持ブロックが前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板から退避し、
前記真空装置が上昇し、前記真空装置の前記本体に、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を吸着させ、
前記真空装置の前記本体及び前記ブロックが180°回転することにより、前記端部領域の折り曲げ領域で前記表示パネルを折り曲げ、
前記真空装置の前記ブロックが下方に移動することにより、前記折り曲げられた前記表示パネルの領域であり、互いに対向する領域を圧着する、加工装置。
【請求項2】
前記表示装置は、前記フレキシブル配線基板と接続される、プリント回路基板を、さらに備える、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記基材は、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレートの樹脂フィルム材料で形成されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項4】
前記互いに対向する領域の間には、両面テープが配置されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項5】
前記折り曲げ領域には、光硬化性の樹脂材料が設けられている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項6】
前記表示装置は、
前記表示領域に重畳する、第1保護部材と、
前記端部領域のうち、前記折り曲げ領域とは異なる逆転領域に重畳する、第2保護部材と、
をさらに備え、
前記第1保護部材及び前記第2保護部材の間に、両面テープが配置されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項7】
表示領域及び端部領域が設けられた、可撓性の基材を備える可撓性の表示パネルと、
前記端部領域に設けられた接続部に接続される、フレキシブル配線基板と、
を備える表示装置の製造方法であり、
前記製造方法は、
前記表示パネルの前記表示領域を、ステージ上に保持し、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板は、前記ステージの外に配置され、
前記ステージ及び前記表示パネルに隣接して、移動可能な支持ブロックを有する支持部材を配置し、
前記支持ブロックが第1方向に移動して、前記ステージの外に配置された前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を支持し、
本体及びブロックを有する真空装置が、前記支持ブロックの下方に移動し、
前記支持ブロックが前記第1方向と逆方向に移動し、前記支持ブロックが前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板から退避し、
前記真空装置が上昇し、前記真空装置の前記本体に、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を吸着させ、
前記真空装置の前記本体及び前記ブロックが180°回転することにより、前記端部領域の折り曲げ領域で前記表示パネルを折り曲げ、
前記真空装置の前記ブロックが下方に移動することにより、前記折り曲げられた前記表示パネルの領域であり、互いに対向する領域を圧着する、表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記表示装置は、前記フレキシブル配線基板と接続される、プリント回路基板を、さらに備える、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記基材は、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレートの樹脂フィルム材料で形成されている、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記互いに対向する領域の間には、両面テープが配置されている、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記折り曲げ領域には、光硬化性の樹脂材料が設けられている、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記表示装置は、
前記表示領域に重畳する、第1保護部材と、
前記端部領域のうち、前記折り曲げ領域とは異なる逆転領域に重畳する、第2保護部材と、
をさらに備え、
前記第1保護部材及び前記第2保護部材の間に、両面テープが配置されている、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、可撓性を有する表示装置の加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)表示装置などのフラットパネルディスプレイは、基板上に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)や有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode:OLED)などが形成された表示パネルを有する。表示パネルの基材には、従来、ガラス基板が用いられていたが、近年、当該基材に樹脂フィルム等を用いて、表示パネルを曲げることができるフレキシブルディスプレイの開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、表示装置の製造歩留まり向上が可能な加工装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る加工装置は、
ステージと、
移動可能な支持ブロックを有する、支持部材と、
本体と、ブロックと、を有する、真空装置と、
を備え、
表示領域及び端部領域が設けられた、可撓性の基板を備える可撓性の表示パネルと、前記端部領域に設けられた接続部に接続される、フレキシブル配線基板と、を備える表示装置のうち、前記表示パネルの前記表示領域を、前記ステージ上に保持し、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板は、前記ステージの外に配置され、
前記ステージ及び前記表示パネルに隣接して、前記支持部材を配置し、
前記支持ブロックが第1方向に移動して、前記ステージの外に配置された前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を支持し、
前記真空装置が、前記支持ブロックの下方に移動し、
前記支持ブロックが前記第1方向と逆方向に移動し、前記支持ブロックが前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板から退避し、
前記真空装置が上昇し、前記真空装置の前記本体に、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を吸着させ、
前記真空装置の前記本体及び前記ブロックが180°回転することにより、前記端部領域の折り曲げ領域で前記表示パネルを折り曲げ、
前記真空装置の前記ブロックが下方に移動することにより、前記折り曲げられた前記表示パネルの領域であり、互いに対向する領域を圧着する。
【0006】
また、一実施形態に係る表示装置の製造方法は、
表示領域及び端部領域が設けられた、可撓性の基板を備える可撓性の表示パネルと、
前記端部領域に設けられた接続部に接続される、フレキシブル配線基板と、
を備える表示装置の製造方法であり、
前記製造方法は、
前記表示パネルの前記表示領域を、ステージ上に保持し、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板は、前記ステージの外に配置され、
前記ステージ及び前記表示パネルに隣接して、移動可能な支持ブロックを有する支持部材を配置し、
前記支持ブロックが第1方向に移動して、前記ステージの外に配置された前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を支持し、
本体及びブロックを有する真空装置が、前記支持ブロックの下方に移動し、
前記支持ブロックが前記第1方向と逆方向に移動し、前記支持ブロックが前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板から退避し、
前記真空装置が上昇し、前記真空装置の前記本体に、前記表示パネルの前記端部領域及び前記フレキシブル配線基板を吸着させ、
前記真空装置の前記本体及び前記ブロックが180°回転することにより、前記端部領域の折り曲げ領域で前記表示パネルを折り曲げ、
前記真空装置の前記ブロックが下方に移動することにより、前記折り曲げられた前記表示パネルの領域であり、互いに対向する領域を圧着する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、フレキシブル配線基板を折り曲げる加工装置の概略的な構成を示す図である。
【
図4】
図4は、表示装置及び加工装置の平面図である。
【
図5】
図5は、表示装置及び加工装置の断面図である。
【
図6】
図6は、表示装置及び加工装置の平面図である。
【
図7】
図7は、表示装置及び加工装置の断面図である。
【
図8】
図8は、表示装置及び加工装置の平面図である。
【
図9】
図9は、表示装置及び加工装置の断面図である。
【
図16】
図16は、表示パネルの概略的な構成の一例を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る加工装置及び表示装置について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0011】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0012】
また、第3方向Zの矢印の先端側に加工装置及び表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における加工装置及び表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0013】
[実施形態]
図1は、実施形態の表示装置の全体斜視図である。表示装置DSPは、基板SUB1に表示領域DA及び表示領域DAの周辺に設けられた周辺領域FAが設けられている。表示装置DSPは、表示領域DA内に配置された、複数の画素PXを有している。表示装置DSPでは、画素PXの光LTが上方に出射される。
【0014】
図1において、基板SUB1及び複数の画素PX等を含めて、表示パネルPNLとする。表示パネルPNLの光LTを出射する面を、面FFとする。面FFと第3方向Zで反対側の面を、面RFとする。面FFは、出射面、表面、又は上面であり、面RFは、裏面又は下面であるといえる。
【0015】
基板SUB1の端部の領域EAは、表示領域DAの外側に配置されている。領域EAのうち、表示領域DAの近傍の領域を、端部ES11と呼ぶこととする。領域EAのうち、第2方向Yに沿って表示領域DAから離間する端部を、端部ES12とする。基板SUB1の面のうち、光LTを出射する面を、面FLとする。面FLと反対側の面を、面RLとする。面RLは、面RFと同じ面である。なお領域EAを、表示パネルPNLの端部領域ともいう。
【0016】
端部ES12側の領域EAには、接続部WPDが設けられている。接続部WPDには、表示領域DAからの配線が延伸されている。表示領域DAからの配線は、画素PXからの走査線や信号線、又は、走査線や信号線に接続されている配線である。
【0017】
領域EAの端部ES11及び端部ES12の間には、領域BNDが設けられている。領域BND及び端部ES12の間には、領域BSFが設けられている。領域BNDは、折り曲げ領域であり、領域BSFは、折り曲げられて上下逆さまとなる領域である。領域BND及び領域BSFについては、後に詳述する。
【0018】
領域EAの接続部WPDには、フレキシブル配線基板FPC1が設けられている。フレキシブル配線FPC1には、第1方向Xに沿って並んだ複数の配線を有している。フレキシブル配線FPC1の配線は、異方性導電膜(ACF)により、接続部WPDに電気的に接続されている。これにより、表示領域DAからの配線及びフレキシブル配線FPC1の配線が、電気的に接続される。
【0019】
フレキシブル配線FPC1の端部で、接続部WPDに近接する端部を、端部EF11とする。第2方向Yに沿って、端部EF11と反対側の端部を、端部EF12とする。端部EF11は、端部EF12より、基板SUB1の端部ES12に近い。換言すると、端部EF11は、端部EF12及び端部ES12の間に位置している。
【0020】
フレキシブル配線基板FPC1の端部EF12は、プリント回路基板PCBと電気的に接続されている。フレキシブル配線基板FPC1の端部EF12と接続される、プリント回路基板PCBの端部を、端部EB11とする。第2方向Yに沿って、端部EB11と反対側の端部を、端部EB12とする。端部EB11は、端部EB12より、基板SUB1の端部ES12に近い。換言すると、端部EB11は、端部EB12及び端部ES12の間に位置している。
【0021】
なお、フレキシブル配線基板FPC1及びプリント回路基板PCBを総じて、フレキシブル配線基板FPCと呼ぶこともある。あるいは、プリント回路基板PCBを設けず、フレキシブル配線基板FPC1のみを設ける構成であってもよい。
【0022】
フレキシブル配線FPC1には、映像信号や駆動信号を出力する駆動素子が設けられていてもよい。駆動素子からの信号は、フレキシブル配線基板FPC1を介して、表示領域DAの画素PXに入力される。映像信号及び各種制御信号に基づいて、画素PXが発光する。
【0023】
基板SUB1は、可撓性を有する基材(後述する基材BA1)と、複数の画素PXと、を備えている。当該基材は、例えば、樹脂フィルム材料、より具体的には、アクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等で形成されていればよい。当該基材上には、複数のスイッチング素子、複数の走査線、複数の信号線、複数の画素電極、共通電極、複数の発光層等を含む、複数の画素PXが設けられている。当該画素PX等の詳細な構成は、後述する。
【0024】
基板SUB1が可撓性を有しているので、表示パネルPNLは可撓性を有する表示パネルである。すなわち、表示パネルPNLは、フレキシブルディスプレイである。
【0025】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、偏光板POLと、光学接着剤OCA1と、カバー材CGと、保護部材BPTと、保護部材UVRと、保護部材PRSと、保護部材DSTと、フレキシブル配線基板FPCと、を備えている。
【0026】
図2に示す表示装置DSPでは、表示パネルPNLが領域BNDで折り曲げられている。表示パネルPNLを領域BNDで折り曲げることにより、接続部WPDを含む領域EAが小さくなり、狭額縁化が可能となる。
【0027】
表示パネルPNLの領域BSFは、第3方向Zと逆方向で、表示領域DAの一部に重畳している。表示領域DAの一部及び領域BSFの間には、第3方向Zと逆方向に沿って、保護部材BPT、保護部材DST、保護部材SPTが配置されている。
【0028】
表示パネルPNLの面FF側に、表示領域DAに接して偏光板POLが設けられている。偏光板POLは、例えば、円偏光板である。偏光板POLを設けることにより、例えば、表示領域DAでの外光の反射を抑制することができる。
【0029】
偏光板POLには、光学接着剤OCA1により、カバー材CGが設けられている。カバー材CGは、例えば、ガラスやプラスチックの薄板であればよい。
【0030】
表示パネルPNLの面RF側に、保護部材BPTが設けられている。保護部材BPTの面のうち、表示パネルPNLの面RFと接する面を、面FBとする。保護部材BPTの面のうち、面FBの反対側の面を、面RBとする。面RBの一部に接して、保護部材DSTが設けられている。保護部材BPTは、概ね表示パネルPNLの表示領域DAに重畳している。より詳細には、保護部材BPTは、表示領域DA及び領域EAの一部に重畳している。
【0031】
保護部材DSTの面のうち、保護部材BPTの面RBに接する面を、面FPとする。保護部材DSTの面のうち、面FPと反対側の面を、面RPとする。面RPに接して、保護部材SPTが設けられている。保護部材SPTは、領域BSFに重畳している。
【0032】
保護部材SPTの面のうち、保護部材DSTの面RPに接する面を、面FSとする。保護部材SPTの面のうち、面FSと反対側の面を、面RSとする。面RSは、表示パネルPNLの領域BSFの面RF(基板SUB1の面RL)に接している。
【0033】
保護部材BPT及び保護部材SPTは、板状の樹脂材料、例えば、板状のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いればよい。保護部材BPT及び保護部材SPTは、表示パネルPNLの面RFに貼り付けられ、保護部材DSTを挟んで、第3方向Zで対向している。これにより、表示パネルPNLを保護する機能を有する。
【0034】
保護部材DSTは、表面及び裏面に接着層を有する部材、例えば、両面テープである。保護部材DSTにより、保護部材SPT及び保護部材BPTを接着する。さらに、保護部材DSTは、クッション性を有する樹脂材料であることが、より好適である。保護部材DSTは、折り曲げられた表示パネルPNLの間隔を一定以上に保つ機能を有する。これにより、表示パネルPNLに厚み方向(第3方向Z)の圧力が加わっても、領域BNDの曲率が許容範囲に保たれる。
【0035】
保護部材UVRは、表示パネルPNLの領域BNDで面FLに接して設けられている。保護部材UVRは、表示パネルPNLの折れ曲がる領域BNDを保護する機能を有する。保護部材UVRは、偏光板POLの端部からフレキシブル配線基板FPCの端部EF11にまでの間で、表示パネルPNLの面FLに接して設けられている。
【0036】
保護部材UVRは、例えば、光硬化性の樹脂材料を用いればよい。保護部材UVRは、偏光板POLとの隙間ができないように設けられている。偏光板POL及び保護部材UVRの間に隙間が存在すると、表示パネルPNLを折り曲げる工程において、当該隙間から表示パネルPNLが折れてしまい、表示パネルPNLの配線が断線してしまうからである。
【0037】
表示パネルPNLの端部ES12の近傍に、端部ES12、保護部材SPT、及びフレキシブル配線基板FPCに接して、保護部材PRSが設けられている。
【0038】
保護部材PRSは、例えば、樹脂材料であればよい。保護部材PRSは、表示パネルPNLの端部ES12を保護する機能を有する。
【0039】
図3は、フレキシブル配線基板を折り曲げる加工装置の概略的な構成を示す図である。加工装置BAPは、ステージSTGを有している。表示装置DSPのフレキシブル配線基板FPC1を折り曲げる工程では、ステージSTGには、表示パネルPNL(基板SUB1)のうち表示領域DAが配置され、端部の領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBは、ステージSTGから飛び出して配置される。
【0040】
図3のように、表示パネルPNL等が配置された後、吸着及び圧着部材を備えたユニットがステージSTG側に移動して吸着し、回転して、表示パネルPNLの領域BNDを折り曲げる。当該ユニットがコンタクトできるように、ステージSTGから飛び出して配置される部分には、保持機構は設けられていない。そのため、ステージSTGから飛び出す表示パネルPNLの領域EA及びフレキシブル配線基板FPC1は、自重で垂れ下がってしまい、表示パネルPNL中の配線やフレキシブル配線基板FPC1中の配線が、ダメージを受ける恐れがある。このような配線が断線してしまうと、表示装置DSPが不良品となってしまい、歩留まりが低下する恐れが生じる。
【0041】
表示装置DSPは、光を出射する面FFが下になるように、上下逆さまの状態で、ステージSTGに配置される。
図3に示す表示装置DSPには、表示パネルPNLに接して、偏光板POLが設けられている。偏光板POLには、光学接着剤OCA1により、タッチパネルTPが接着されている。さらに、タッチパネルTPには、光学接着剤OCA2により、カバー材CGが設けられている。
【0042】
【0043】
図4及び
図5に示すように、加工装置BAPは、ステージSTGに加えて、支持部材SPDと、真空装置VACと、を備えている。支持部材SPDは、支持台SPHと、支持ブロックSPBと、を備えている。ステージSTGは、ステージ台STD上に配置されている。ステージSTG及びステージ台STDを併せて、ステージ装置STPとする。
【0044】
支持部材SPDの支持台SPHは、ステージSTGに隣接して設けられている。支持ブロックSPBは、第1方向Xと逆方向に沿って移動する。支持ブロックSPBは、端部の領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBの下方だが、直下には配置されていない。支持ブロックSPBは、端部の領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBから、平面視で離間して配置される。
【0045】
真空装置VACは、本体VADと、ブロックVASと、を備えている。
図4及び
図5では、真空装置VACは、表示装置DSP及びステージ装置STPからは離間している。
【0046】
まず
図3と同様に、ステージSTG上に、表示パネルPNLの表示領域DAが保持される。端部の領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBは、ステージSTGから飛び出して配置される。
【0047】
次いで、支持ブロックSPBが第1方向Xと逆方向に沿ってスライドする(
図6及び
図7参照)。支持ブロックSPBは、領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBの下方に移動して、領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBを支持する。
【0048】
次いで、真空装置VACが、第2方向Yと逆方向に沿って移動する。真空装置VACは、支持ブロックSPBの下方に配置される(
図8及び
図9参照)。
【0049】
真空装置VACが支持ブロックSPBの下方に移動した後、表示パネルPNLの下方に位置していた支持ブロックSPBが退避する。表示パネルPNLの下方には、真空装置VACのみが配置される。次いで、真空装置VACが第3方向Zに沿って移動、すなわち上昇し、領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBを吸着する(
図10及び
図11参照)。
【0050】
次いで、真空装置VACがX-Y平面に対し、180°に回転する(
図12及び
図13参照)。すなわち、真空装置VACが上下逆さまになるように、回転する。真空装置VACの本体VADは、領域EA、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBを吸着している。これにより、表示パネルPNLは、領域BNDで折れ曲がる。領域EAのうち領域BSF、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBが、上下逆さまに配置される。領域BNDを折り曲げ領域、領域BSFを逆転領域とも呼ぶ。
【0051】
真空装置VACのブロックVASは、領域BSF、保護部材DST、及び保護部材SPTの上方に、保護部材DST及び保護部材SPTから離間して配置される。なお
図13において、保護部材DST及び保護部材SPTの第2方向Yと平行な方向に沿う長さは、製図の都合上、ほぼ同じである。しかしながら、
図2に示すように、保護部材SPTの第2方向Yに平行な方向に沿う長さは、保護部材DSTの第2方向Yに平行な方向に沿う長さより長い。
【0052】
次いで、真空装置VACのブロックVASが、下方(第3方向Zと逆方向)に移動し、折り曲げられた表示パネルPNLのうち、第3方向Zで互いに対向する領域どうしを圧着する。より具体的には、ブロックVASが下方に移動することにより、表示パネルPNLの領域BSF、保護部材DST、及び保護部材SPTを圧着する(
図14及び
図15参照)。さらに詳細には、
図2に示されるように、表示パネルPNLの表示領域DAに重畳する保護部材BPT、領域BSFに重畳する保護部材SPT、及び保護部材BPT及び保護部材SPTの間に配置された保護部材DSTが、圧着されることにより、表示領域DA及び領域BSFどうしが、所定の間隔で圧着される。なお、保護部材BPT及び保護部材SPTを、それぞれ、第1保護部材及び第2保護部材ともいう。
【0053】
このとき、表示パネルPNLの領域BSF、保護部材DST、及び保護部材SPTの圧着は、いわゆる仮留めであってもよい。
図14及び
図15で説明した工程の後、別の圧着装置で、表示パネルPNL、保護部材DST、及び保護部材SPTを固着させてもよい。
【0054】
本実施形態では、ステージSTGとは別に、支持台SPH及び支持ブロックSPBを有する支持部材SPDを用意する。支持部材SPDの支持ブロックSPBにより、表示パネルPNL、フレキシブル配線基板FPC1、及びプリント回路基板PCBを支持することが可能である。これにより、表示パネルPNL1及びフレキシブル配線基板FPC1が自重で折れ曲がることがない。よって、表示パネルPNL1中の配線やフレキシブル配線基板FPC1の配線が断線するのを防ぐことができる。
【0055】
ここで、表示パネルPNLの画素PXについて、さらに詳細に説明する。
【0056】
図16は、表示パネルの概略的な構成の一例を示す部分平面図である。複数の画素PXは、赤色を発光する画素PXR、緑色を発光する画素PXG、青色を発光する画素PXBを有している。画素PXR、画素PXG、画素PXBを、それぞれ、第1画素、第2画素、第3画素ともいう。画素PXRは、画素PXBと、第1方向X及び第2方向Yに沿って隣り合って配置される。画素PXGは、画素PXBと、第1方向X及び第2方向Yに沿って隣り合って配置される。画素PXBは、画素PXRと第1方向に沿って隣り合って配置され、画素PXGと第2方向Yに沿って隣り合って配置されている。
【0057】
図17は、
図16に示す表示パネルの線A1-A2に沿った断面図である。
基材BA1は、上述のように、樹脂フィルム材料で構成される基材が挙げられる。樹脂フィルム材料としては、例えばアクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いればよく、いずれかの単層又は複数層の積層で形成してもよい。
【0058】
基材BA1上には、絶縁層UC1が設けられている。絶縁層UC1は、例えば酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を単層又は積層して形成される。
【0059】
絶縁層UC1上に、トランジスタTrと重畳して、遮光層BMが設けられてもよい。遮光層BMは、トランジスタTrのチャネル裏面からの光の侵入等によるトランジスタ特性の変化を抑制する。遮光層BMが導電層で形成される場合は、所定の電位を与えることで、トランジスタTrにバックゲート効果を与えることも可能である。
【0060】
絶縁層UC1及び遮光層BMを覆って、絶縁層UC2が設けられている。絶縁層UC2の材料としては、絶縁層UC1と同様の材料を用いることができる。絶縁層UC2は、絶縁層UC1と異なる材料であってもよい。例えば、絶縁層UC1は酸化シリコン、絶縁層UC2は窒化シリコンを用いることができる。絶縁層UC1及びUC2を併せて、絶縁層UCとする。
【0061】
絶縁層UC上に、トランジスタTrが設けられる。トランジスタTrは、半導体層SC、絶縁層GI、ゲート電極GE(走査線)、絶縁層ILI、ソース電極SE(信号線)、ドレイン電極DEを有している。トランジスタTrは、薄膜トランジスタ(TFT)である。
【0062】
半導体層SCとして、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又は酸化物半導体を用いる。
絶縁層GIとして、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層して設ける。
【0063】
ゲート電極GEとして、例えば、モリブデンタングステン合金(MoW)を用いる。ゲート電極GEは、走査線GLと一体形成されていてもよい。
【0064】
半導体層SC及びゲート電極GEを覆って、絶縁層ILIが設けられている。絶縁層ILIは、例えば酸化シリコン層又は窒化シリコン層を単層又は積層して形成される。
【0065】
絶縁層ILI上には、ソース電極SE及びドレイン電極DEが設けられている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ、絶縁層ILI及び絶縁層GIに設けられたコンタクトホールを介して、半導体層SCのソース領域及びドレイン領域に接続される。ソース電極SEは、信号線と一体形成されていてもよい。
【0066】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び絶縁層ILIを覆って、絶縁層PASが設けられる。絶縁層PASを覆って、絶縁層PLLが設けられる。
【0067】
絶縁層PASは、無機絶縁材料を用いて形成する。無機絶縁材料は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層してものが挙げられる。絶縁層PLLは、有機絶縁材料を用いて形成する。有機絶縁材料は、例えば、感光性アクリル、ポリイミド等の有機材料が挙げられる。絶縁層PLLを設けることにより、トランジスタTrによる段差を平坦化することができる。
【0068】
絶縁層PLL上に、陽極ADが設けられる。陽極ADは、絶縁層PAS及びPLLに設けられたコンタクトホールを介して、ドレイン電極DEに接続されている。画素PXRに設けられる陽極を陽極ADR、画素PXBに設けられる陽極を陽極ADB、画素PXGに設けられる陽極を陽極ADGとする。陽極ADR、陽極ADG、陽極ADBを区別する必要がない場合は、単に陽極ADと呼ぶ。
【0069】
陽極ADは、例えば、反射電極及び透明電極の積層体で形成されていればよい。反射電極は、反射率の高い導電材料、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)を用いて形成されている。透明電極は、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium ZInc Oxide:IZO)を用いて形成されている。
本実施形態では、基材BA1から絶縁層PLLまでの構成を、バックプレインBPSとする。
【0070】
隣り合う陽極ADとの間に、バンクBK(凸部、リブともいう)が設けられる。バンクBKの材料として、絶縁層PLLの材料と同様の有機材料が用いられる。バンクBKは、陽極ADの一部を露出するように開口される。
【0071】
画素PXRに設けられる開口部を、開口部OPR、画素PXBに設けられる開口部を、開口部OPB、画素PXGに設けられる開口部を、開口部OPG、とする。開口部OPR、開口部OPB、開口部OPGを区別する必要がない場合は、単に開口部OPと呼ぶ。
【0072】
開口部OPの端部は、断面視でなだらかなテーパ形状となることが好ましい。開口部OPの端部が急峻な形状となっていると、後に形成される有機EL層ELYにカバレッジ不良が生じる。
【0073】
陽極ADと重畳して、隣り合うバンクBKとの間に、有機EL層ELYが設けられている。詳細は後述するが、有機EL層ELYは、正孔注入層HILと、正孔輸送層HTLと、発光層EMLと、電子輸送層ETLと、電子注入層EILと、を含んでいる。有機EL層ELYは、必要であれば、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、をさらに含んでいてもよい。
【0074】
画素PXRに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYR、画素PXBに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYB、画素PXGに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYGとする。有機EL層ELYR、有機EL層ELYG、有機EL層ELYBを区別する必要がない場合は、単に有機EL層ELYと呼ぶ。
【0075】
有機EL層ELY上に、陰極CDが設けられている。陰極CDは、例えば、マグネシウム-銀合金(MgAg)膜や、銀(Ag)の単層膜や、銀(Ag)と透明導電材料の積層膜等を用いて形成する。当該透明導電材料は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等を用いればよい。
【0076】
陰極CDを覆って、絶縁層SEYが設けられる。絶縁層SEYは、外部から水分が有機EL層ELYに侵入することを防止する機能を有している。絶縁層SEYとしてはガスバリア性の高いものが好適である。絶縁層SEYとして、例えば、有機絶縁層を、窒素を含む無機絶縁層2層で挟持した絶縁層が挙げられる。当該有機絶縁層の材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。当該窒素を含む無機絶縁層の材料としては、例えば、窒化シリコン、窒化アルミニウムが挙げられる。
【0077】
有機EL層ELYで生じた発光は、陰極CDを介して、上方に取り出される。すなわち、本実施形態の表示装置DSP(表示パネルPNL)は、トップエミッション構造を有している。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
BAP…加工装置、BND…領域、BPT…保護部材、DA…表示領域、DSP…表示装置、EA…領域、FA…周辺領域、FPC1…フレキシブル配線基板、UVR…保護部材、PCB…プリント回路基板、PNL…表示パネル、DST…保護部材、SPB…支持ブロック、SPD…支持部材、SPH…支持台、SPT…保護部材、STD…ステージ台、STG…ステージ、STP…ステージ装置、VAC…真空装置、VAD…本体、VAS…ブロック、WPD…接続部。