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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008987
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】垂直共振器型発光素子及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01S5/183
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111662
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田澤 耕明
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC03
5F173AC14
5F173AC35
5F173AC53
5F173AH22
5F173AL07
5F173AL14
5F173AR13
(57)【要約】
【課題】長期的な通電がなされた場合においても安定した光出力を維持することが可能な垂直共振器型発光素子を提供する。
【解決手段】
基板と、基板上に形成された第1の多層膜反射鏡と、第1の多層膜反射鏡上に形成された第1の導電型を有する第1の半導体層、第1の半導体層上に形成された発光層、及び発光層上に形成され、上面の中央から上方に突出している突出部を有しかつ上面の突出部よりも外側の領域に沿った部分が絶縁性を有する第1の導電型と反対の第2の導電型を有する第2の半導体層を含む半導体構造層と、第2の半導体層の突出部の側面に亘って形成された絶縁性を有する第1の絶縁層と、第2の半導体層の上面を突出部の上面からその周縁部に亘って覆うように形成され、第2の半導体層に電気的に接続されている透光性を有する導電膜と、半導体構造層上において突出部を覆って形成され、第1の多層膜反射鏡との間で共振器を構成する第2の多層膜反射鏡と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1の多層膜反射鏡と、
前記第1の多層膜反射鏡上に形成された第1の導電型を有する第1の半導体層、前記第1の半導体層上に形成された発光層、及び前記発光層上に形成され、上面の中央から上方に突出している突出部を有しかつ前記上面の前記突出部よりも外側の領域に沿った部分が絶縁性を有する前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有する第2の半導体層を含む半導体構造層と、
前記第2の半導体層の前記突出部の側面に亘って形成された絶縁性を有する第1の絶縁層と、
前記第2の半導体層の上面を前記突出部の上面からその周縁部に亘って覆うように形成され、前記第2の半導体層に電気的に接続されている透光性を有する導電膜と、
前記半導体構造層上において前記突出部を覆って形成され、前記第1の多層膜反射鏡との間で共振器を構成する第2の多層膜反射鏡と、
を有することを特徴とする垂直共振器型発光素子。
【請求項2】
前記第1の絶縁層は、非酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項3】
前記第1の絶縁層は、前記導電膜と近しい屈折率を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項4】
前記導電膜はITOからなり、
前記第1の絶縁層はSiNからなることを特徴とする請求項3に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項5】
前記突出部の側面は、前記第2の半導体層の上面にエッチングがなされて形成された面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項6】
前記第2の半導体層の上面の前記外側の領域において前記第1の絶縁層と離隔して形成された電気絶縁性を有する第2の絶縁層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項7】
前記第2の絶縁層はSiOからなることを特徴とする請求項6に記載の垂直共振器型発光素子。
【請求項8】
前記第1の半導体層上に形成された第1の電極及び前記導電膜上に形成された第2の電極を有する請求項1に記載の垂直共振器型発光素子と、
前記第1の電極及び前記第2の電極に電気的に接続された実装基板と、
前記実装基板上に形成されかつ前記実装基板上において前記垂直共振器型発光素子を囲う枠体と、
前記垂直共振器型発光素子を覆うように前記枠体によって保持された透光板と、
を有することを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直共振器型発光素子及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザの1つとして垂直共振器型発光素子が知られている。例えば、特許文献1には、n型半導体層、発光層及びp型半導体層を含みかつp型半導体層の上面に突出部が形成された半導体構造層とp型半導体層の上面に形成された絶縁層と絶縁層を含んでp型半導体層の上面に形成された透光電極層とを含む垂直共振器型面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-197437
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている垂直共振器型面発光レーザにおいて、例えば透光電極層をp型半導体層の突出部の側面に直接接するように形成した場合、当該側面が完全な非導通部とならないために、透光電極層を介して突出部の側面に長期的な通電がなされることによって垂直共振器型面発光レーザから出射される光の出力の低下が生じ得る。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、長期的な通電がなされた場合においても安定した光出力を維持することが可能な垂直共振器型発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による垂直共振器型発光素子は、基板と、基板上に形成された第1の多層膜反射鏡と、第1の多層膜反射鏡上に形成された第1の導電型を有する第1の半導体層、第1の半導体層上に形成された発光層、及び発光層上に形成され、上面の中央から上方に突出している突出部を有しかつ上面の突出部よりも外側の領域に沿った部分が絶縁性を有する第1の導電型と反対の第2の導電型を有する第2の半導体層を含む半導体構造層と、第2の半導体層の突出部の側面に亘って形成された絶縁性を有する第1の絶縁層と、第2の半導体層の上面を突出部の上面からその周縁部に亘って覆うように形成され、第2の半導体層に電気的に接続されている透光性を有する導電膜と、半導体構造層上において突出部を覆って形成され、第1の多層膜反射鏡との間で共振器を構成する第2の多層膜反射鏡と、を有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの斜視図である。
図2】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの上面図である。
図3】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの断面図である。
図4】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの断面の一部を拡大した拡大図である。
図5】従来例に係る垂直共振器型面発光レーザの断面の一部を拡大した拡大図である。
図6A】p型半導体層及び発光層におけるSIMS分析結果を示すグラフである。
図6B】p型半導体層及び発光層におけるSIMS分析結果を示すグラフである。
図6C】SiO層におけるSIMS分析結果を示すグラフである。
図7】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの製造方法の一部を示す図である。
図8】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの製造方法の一部を示す図である。
図9】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの製造方法の一部を示す図である。
図10】実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザの製造方法の一部を示す図である。
図11】実施例2に係る発光装置の上面図である。
図12】実施例2に係る発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照して具体的に説明する。なお、図面において同一の構成要素については同一の符号を付け、重複する構成要素の説明は省略する。
【実施例0009】
図1図4を用いて、実施例1に係る垂直共振器型面発光レーザ100(以下、面発光レーザ100と称する)の構成について説明する。図1は、面発光レーザ100の斜視図である。図2は面発光レーザ100の上面図である。また、図3図2に示した面発光レーザ100の3-3線に沿った断面図であり、図4図3におけるA部の拡大図である。なお、図3においては図中上下方向が面発光レーザ100の高さ方向である。
【0010】
基板11は、上面形状が矩形を有する平板状の透明な基板である。基板11は、その上面において半導体結晶を成長させることが可能な成長用基板である。基板11は、例えばアンドープの窒化ガリウム(GaN)などの、青色の波長を有する光に対して透光性を有する材料からなる。以下の説明においては、基板11の上面の中心を通りかつ当該上面に垂直な軸を中心軸CAとして説明する。
【0011】
第1の多層膜反射鏡12は、基板11の上に成長させられた半導体層からなる半導体多層膜反射鏡である。第1の多層膜反射鏡12は、基板11の上面において相対的に屈折率が高い高屈折率半導体膜と当該高屈折率半導体膜よりも屈折率が低い低屈折率半導体膜とが交互に積層された、いわゆる分布ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector:DBR)である。
【0012】
第1の多層膜反射鏡12は、例えば、基板11の上面においてGaNからなる高屈折率半導体膜と窒化インジウムアルミニウム(AlInN)からなる低屈折率半導体膜とが42ペア積層されてなる。第1の多層膜反射鏡12は、このような構成を有することにより、青色の波長域の光に対して反射性を有する。なお、基板11と第1の多層膜反射鏡12との間にはGaNからなるバッファ層(図示せず)が設けられている。
【0013】
半導体構造層EMは、第1の多層膜反射鏡12上に形成された複数の半導体層からなる積層構造体である。半導体構造層EMは、第1の多層膜反射鏡12上に形成されたn型半導体層13と、n型半導体層13上に形成された発光層14と、発光層14上に形成されたp型半導体層15とを有する。
【0014】
以下、半導体構造層EMを構成するn型半導体層13、発光層14及びp型半導体層15の各々の構造について説明する。
【0015】
第1の導電型を有する第1の半導体層としてのn型半導体層13は、第1の多層膜反射鏡12の上面に亘って形成された半導体層である。n型半導体層13は、GaNからなり、n型不純物としてシリコン(Si)がドーピングされている。
【0016】
n型半導体層13は、平板状の下部13Aと下部13Aの中央から中心軸CAに沿って上方に突出している円柱状の上部13Bとから構成される、いわゆるメサ形状の構造を有する(図1及び図3参照)。
【0017】
発光層14は、n型半導体層13の上部13Bに亘って形成され、InGaNからなる井戸層及びGaNからなる障壁層が互いに積層された量子井戸構造を有する半導体層である。発光層14は、その発光中心が中心軸CA上に持ちこされるように形成されている。発光層14は、例えば450nmをピーク波長とする青色光を放出する。
【0018】
第2の導電型を有する第2の半導体層としてのp型半導体層15は、発光層14の上面に亘って形成されている半導体層である。p型半導体層15は、p型不純物がドープされたp型GaN層とp型不純物がドープされたp型AlGaN層とを含む。p型AlGaN層は、発光層14とp型GaN層との間に形成されており、電子ブロック層として機能する。なお、発光層14とp型AlGaN層との間には、p型AlGaN層から発光層14へのp型不純物の拡散を防止するアンドープGaN層を形成してもよい。
【0019】
p型半導体層15は、上面において、上面形状が円形状を有しかつ中心軸CAを通って上方に突出している突出部15P1を有している(図3参照)。言い換えれば、p型半導体層15は、中心軸CAを通る領域である第1の領域15R1及び第1の領域15R1の周縁の領域でありかつ第1の領域15R1よりも下方に窪んでいる円環状の第2の領域15R2を有している。
【0020】
また、p型半導体層15は、上面において、上面形状が環状を有しかつp型半導体層15の外縁に沿って第2の領域15R2よりも上方に突出している外周部15P2を有している。言い換えれば、p型半導体層15は、第2の領域15R2の周縁の領域でありかつ第2の領域15R2よりも上方に突出している第3の領域15R3を有している。すなわち、p型半導体層15は、上面において突出部15P1を囲いかつ第2の領域15R2を底面とする凹部を有している。
【0021】
p型半導体層15において、第2の領域15R2、突出部15P1の側面15S1(以下、単に側面15S1とも称する)及び外周部15P2の側面15S2(以下、単に側面15S2とも称する)の各々は、p型半導体層15にドーピングされたp型不純物(Mg)が電気的に不活性化された領域である(図3及び図4参照)。
【0022】
第2の領域15R2、側面15S1及び側面15S2の各々は、例えば、平板状のp型半導体層の上面に対して第1の領域15R1及び第3の領域15R3に対応する領域を残すようにドライエッチングを行うことで形成される。
【0023】
突出部15P1を形成する前のp型半導体層15、すなわちドライエッチングを行う前のp型半導体層15において、p型半導体層15の上面におけるp型不純物は、電気的に活性化された状態となっている。一方で、ドライエッチング後のp型半導体層15において、第2の領域15R2、側面15S1及び側面15S2の各々におけるp型不純物は、エッチングダメージにより電気的に不活性な状態となっている。
【0024】
従って、第2の領域15R2、側面15S1及び側面15S2の各々は、第1の領域15R1よりも高い電気抵抗を有する高抵抗領域として機能する。特に、第2の領域15R2は、側面15S1及び側面15S2よりも電気がほとんど通らない非導通領域として機能する。
【0025】
また、p型半導体層15の上面のうちドライエッチングが行われていない領域である第1の領域15R1及び第3の領域15R3は、第2の領域15R2、側面15S1及び側面15S2の各々よりも低い電気抵抗を有する低抵抗領域として機能する。
【0026】
第1の絶縁層18は、突出部15P1の側面15S1に亘って形成されかつ第1の領域15R1の縁端を覆うように形成されている電気絶縁性を有する透明な被覆層である。第1の絶縁層18は、例えば窒化ケイ素(SiN)などの、非酸化物でありかつ後述する導電膜21と屈折率が近しい材料からなる。
【0027】
第2の絶縁層19は、第3の領域15R3及び外周部15P2の側面15S2を覆って形成されている電気絶縁性を有する透明な被覆層である。第2の絶縁層19は、第3の領域15R3から第2の領域15R2にかけて傾斜面を設けるように形成されている。また、第2の絶縁層19は、p型半導体層15の上面において第1の絶縁層18と離隔して形成されている。第2の絶縁層19は、例えば二酸化ケイ素(SiO)からなる。
【0028】
なお、第2の絶縁層19は、外周部15P2の外縁からp型半導体層15、発光層14及びn型半導体層13の上部13Bの各々の側面にまで亘って形成されてもよく、n型半導体層13の下部13Aの上面にまで達するように形成されてもよい。
【0029】
導電膜21は、p型半導体層15の上面を第1の領域15R1から第3の領域15R3に亘って覆うように形成され、p型半導体層15に電気的に接続されている透光性を有する導電膜である。導電膜21は、p型半導体層15上において第1の絶縁層18及び第2の絶縁層19を覆って形成されている。
【0030】
導電膜21は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などの、上述した半導体構造層EMの発光層14から放出される青色光に対して透光性を有する金属酸化物からなる。
【0031】
なお、導電膜21は、上述した第2の絶縁層19の傾斜面に沿った傾斜面を持つように形成されている。導電膜21がこのように形成されていることにより、導電膜21を単に平板状に形成した場合と比べて、長期使用時におけるクラック等に対する耐久性の向上が期待できる。
【0032】
上述のように、導電膜21は、側面15S1に形成された第1の絶縁層18及び第3の領域15R3及び側面15S2に形成された第2の絶縁層19を覆って形成されている。従って、導電膜21は、側面15S1、第3の領域15R3及び側面15S2の各々と電気的に絶縁されている。また、第2の領域15R2はエッチングダメージにより高抵抗化され、導電膜21を通る電流が流れにくくなっている。よって、p型半導体層15の上面においては、突出部15P1の上面である第1の領域15R1のみが導電膜21と電気的に接続されている。
【0033】
第1の電極としてのn電極NEは、n型半導体層13の下部13Aの上面に設けられており、n型半導体層13と電気的に接続されている上面形状が環状の金属電極である。n電極NEは、面発光レーザ100を上から見た平面視において、n型半導体層13の上部13Bを囲繞しつつ上部13Bと離隔して形成されている。n電極NEは、例えば下部13Aの上面にチタン(Ti)及びアルミニウム(Al)がこの順で積層されてなる。
【0034】
第2の電極としてのp電極PEは、面発光レーザ100を上から見た平面視において、第1の領域15R1を囲繞するように導電膜21の上面の外縁に沿って形成されており、導電膜21と電気的に接続されている上面形状が環状の金属電極である。p電極PEは、例えば金(Au)からなる。
【0035】
第2の多層膜反射鏡23は、導電膜21の上面に成膜された誘電体層からなる円柱状の誘電体多層膜反射鏡である。第2の多層膜反射鏡23は、面発光レーザ100を上から見た平面視において、p電極PEと離隔しつつ第1の領域15R1を覆って形成されている。
【0036】
第2の多層膜反射鏡23は、導電膜21の上面において相対的に屈折率が高い高屈折率半導体膜と当該高屈折率半導体膜よりも屈折率が低い低屈折率半導体膜とが交互に積層された、いわゆる分布ブラッグ反射器(DBR)である。
【0037】
第2の多層膜反射鏡23は、例えば、導電膜21の上面において五酸化ニオブ(Nb)からなる高屈折率誘電体膜とSiOからなる低屈折率誘電体膜とが10.5ペア積層されてなる。第2の多層膜反射鏡23は、このような構成を有することにより、発光層14から放出される青色光に対して反射性を有する。
【0038】
なお、第2の多層膜反射鏡23と導電膜21との間には、例えば位相調整層として上面形状が円形の透明な誘電体層(図示せず)を形成してもよい。当該誘電体層は、例えば、Nb、五酸化タンタル(Ta)、酸化亜鉛(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)などからなる。
【0039】
面発光レーザ100において、第2の多層膜反射鏡23の下面は、導電膜21、第1の絶縁層18及び半導体構造層EMを挟んで第1の多層膜反射鏡12の上面と対向している。これにより、第1の多層膜反射鏡12及び第2の多層膜反射鏡23は、第1の多層膜反射鏡12と第2の多層膜反射鏡23との間において半導体構造層EMに垂直な方向(基板11に垂直な方向)を共振器長方向とする共振器OCを構成する。
【0040】
面発光レーザ100において、第1の多層膜反射鏡12の青色光に対する反射率は、第2の多層膜反射鏡23の青色光に対する反射率よりもわずかに低くなっている。従って、共振器OCにおいて共振した青色光は、その一部が第1の多層膜反射鏡12及び基板11を透過して外部に取り出される。すなわち、第1の多層膜反射鏡12と第2の多層膜反射鏡23との間で共振した光は、図3中下方に向けて出射される。
【0041】
なお、基板11の下面には、NbとSiOとを積層させた反射防止膜(図示せず)が形成されている。当該反射防止膜は、基板11から出射される青色光が基板11によって図3中上方に反射されることを抑制する、いわゆるARコートである。
【0042】
ここで、面発光レーザ100の動作と光学的な特性について説明する。上述したn電極NE及びp電極PEに電圧が印加されてn電極NEとp電極PEとの間に電流が流れると、図3中太線一点鎖線矢印にて示すように半導体構造層EMの発光層14に電流が流れ、所定の電流値である閾値電流に達すると発光層14から放出される青色光の強度が急激に増加する。
【0043】
閾値電流に達して発光層14から放出された青色光は、第1の多層膜反射鏡12と第2の多層膜反射鏡23との間において、すなわち共振器OCにおいて反射を繰り返し、共振状態に至る(すなわちレーザ発振を行う)。
【0044】
このとき、p型半導体層15においては、p電極PEから導電膜21に流れる電流の大部分が低抵抗領域である第1の領域15R1を介してn電極NEに流れていく。従って、面発光レーザ100においては、第1の領域15R1を介して発光層14に電流が供給され、第1の領域15R1から中心軸CAに沿うように青色光が放出される。すなわち、面発光レーザ100においては、p型半導体層15の突出部15P1が、電流がそれ以上広がらないよう電流の供給範囲を制限する電流狭窄部として機能する。
【0045】
上述したように、発光層14から放出されて共振器OC内において共振した青色光は、第1の多層膜反射鏡12の光反射率が第2の多層膜反射鏡23の光反射率よりも低いために、その光の一部が第1の多層膜反射鏡12及び基板11を透過して外部に取り出される。言い換えれば、基板11の下面が、面発光レーザ100の光出射面となっている。
【0046】
面発光レーザ100の共振器OC内において、p型半導体層15の下面から上面までの厚みは、p型半導体層15の下面から第2の領域15R2までの厚みよりも突出部15P1分だけ厚くなっている。従って、面発光レーザ100の共振器OC内における等価屈折率は、p型半導体層15の突出部15P1を含む円柱状の中央領域とその周りの筒状の周辺領域とで異なっており、当該中央領域における等価屈折率が周辺領域における等価屈折率よりも大きくなっている。
【0047】
面発光レーザ100においては、共振器OCがこのように構成されていることにより、中央領域内の定在波が周辺領域に発散(放射)することによる光損失が抑制される。すなわち、中央領域に多くの光が留まり、またその状態でレーザ光が外部に取り出される。
【0048】
従って、発光層14から放出された多くの光が共振器OCの中心軸CA周辺の中央領域に集中することで、高出力かつ高密度なレーザ光を生成及び出射することができる。すなわち、面発光レーザ100から出射されるレーザ光の横モード(レーザ光束の横断面における強度分布)を安定させることができる。
【0049】
また、導電膜21は、p型半導体層の突出部15P1上に、上面が平坦である導電膜突出部21Pを有する。導電膜突出部21Pの上面の面積は、第1の領域15R1の面積よりも大きいことが好ましい。これにより、導電膜突出部21Pの上面に形成される第2の多層膜反射鏡23が、突出部15P1の上面(第1の領域15R1)と実質的に平行に形成され、共振器OCにおける共振時の損失を抑制することができる。
【0050】
[面発光レーザ100における光出力低下の抑制]
以下、図3図5を参照しつつ、本実施例における面発光レーザ100の光出力低下の抑制について説明する。
【0051】
本実施例の面発光レーザ100においては、上述したように突出部15P1の側面15S1が第1の絶縁層18によって導電膜21と絶縁しており、第2の領域15R2が非導通領域として機能し、第3の領域15R3及び側面15S2が第2の絶縁層19によって導電膜21と絶縁している。すなわち、本実施例の面発光レーザ100においては、第2の領域15R2、側面15S1、第3の領域15R3及び側面15S2には導電膜21から電流がほとんど流れない状態となっている。
【0052】
従って、n電極NE及びp電極PEに電圧が印加されてn電極NEとp電極PEとの間に電流が流れる際には、導電膜21内を流れる電流は、図4に示すように導電膜21内をp型半導体層15の上面の面内方向に沿って流れ、低抵抗領域である第1の領域15R1を通ってp型半導体層15内に進行し、n電極NEへと向かう。
【0053】
ここで、図5を用いて従来例の面発光レーザにおける通電時の電流の流れについて説明する。図5は、図3に示した面発光レーザ100の断面のA部と同様の箇所における従来例としての面発光レーザの断面の拡大図である。従来例の面発光レーザは側面15S1に第1の絶縁層18が形成されていない点で面発光レーザ100と異なっており、それ以外の点で面発光レーザ100と同じである。
【0054】
p型半導体層15の突出部15P1の形成時において、突出部15P1の側面15S1は、エッチング時の条件や環境等の要因によりエッチング底面である第2の領域15R2に比べてエッチングダメージが低くなり得る。この場合、側面15S1は完全な非導通部にならずに高抵抗な導通部となる。
【0055】
従って、従来例のように突出部15P1の側面15S1に第1の絶縁層18が形成されていない場合、すなわち導電膜21が側面15S1に直接接しているような場合、側面15S1が高抵抗な導通部になっていると、導電膜21内を流れる電流は、第1の領域15R1のみならず側面15S1の方にも流れていく。
【0056】
このとき、元々高抵抗な側面15S1に長期に亘って通電がなされると側面15S1はさらに高抵抗化し、例えば、図5に示すように導電膜21内を流れる電流の一部が側面15S1と第2の領域15R2とがなす高抵抗部である角部15Cに集中し得る。
【0057】
上記のように電流が角部15Cに集中した場合、発光層14への電流注入効率が低下し、面発光レーザ100として得られる光出力が低下してしまう現象が生じ得る。すなわち、面発光レーザの通電時において第1の領域15R1のみに電流を流すはずが第1の領域15R1よりも高抵抗な部分にも電流が流れてしまい、電流ロスに繋がってしまうことで光出力が低下し得る。
【0058】
本実施例の面発光レーザ100においては、上述したように突出部15P1の側面15S1及び角部15Cが第1の絶縁層18によって覆われているために、側面15S1及び角部15Cと導電膜21とが絶縁されている。従って、面発光レーザ100によれば、図4に示すように導電膜21内を流れる電流が低抵抗領域である第1の領域15R1のみを流れていくために、面発光レーザ100の光出力が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0059】
また、面発光レーザ100において、第2の絶縁層19のみを突出部15P1の側面15S1から第3の領域15R3にかけて形成した場合、すなわち第2の絶縁層19が側面15S1に直接接している場合、長期に亘って通電がなされると発光層14への電流注入効率が低下してしまう現象が生じ得る。
【0060】
具体的には、酸化物である第2の絶縁層19は形成時に水素を含んで成膜されるため、第2の絶縁層19が側面15S1に直接接したまま長期の通電がなされると、第2の絶縁層19内の残留水素が側面15S1を介して突出部15P1内に拡散し得る。これにより、突出部15P1内の電気抵抗が高くなり、発光層14への電流注入効率が低下してしまう現象が生じ得る。
【0061】
ここで、図6A~6Cを用いて、第2の絶縁層19の残留水素がp型半導体層内に拡散した際のp型半導体層内の水素濃度について説明する。図6A~6Cの各々は、後述するサンプルのそれぞれにおける深さ方向(厚さ方向)の各元素の濃度をSIMS(Secondary ion mass spectrometry)分析により測定した結果を示すグラフである。
【0062】
図6Aは、GaNからなる基板に直接SiO層を成膜したサンプルを用いて、当該サンプルの上面を基準(0nm)としたときの深さ方向における水素(実線)、酸素(破線)、ケイ素(点線)及びガリウム(一点鎖線)の各々の濃度プロファイルを示している。
【0063】
図6Aにおいては、二点鎖線で示した領域がSiO層中における濃度を示しており、一点に鎖線で示した領域が基板中における濃度を示している。図6Aより、基板に直接SiO層を成膜した際のSiO層中の水素濃度は、1×1021~2×1021atoms/cm程度を示していることがわかる。すなわち、成膜時のSiO層単体として、1×1021atoms/cm以上の水素濃度を有していることが分かる。
【0064】
図6Bは、発光層14、p型半導体層15、第2の絶縁層19に相当するSiO層をこの順で形成した後に熱処理を実施したサンプルを用いて、p型半導体層15の上面を基準(0nm)としたときの深さ方向における水素(実線)、アルミニウム(破線)及びインジウム(点線)の各々の濃度プロファイルを示している。
【0065】
図6Bにおいては、二点鎖線で示した領域がp型半導体層15中における濃度を示しており、一点二鎖線で示した領域が発光層14中における濃度を示している。図6Bより、p型半導体層15中の水素濃度は、約2×1019atoms/cm以上を示していることがわかる。
【0066】
図6Cは、発光層14及びp型半導体層15をこの順で形成したサンプルを用いて、p型半導体層15の上面を基準(0nm)としたときの深さ方向における水素(実線)、アルミニウム(破線)及びインジウム(点線)の濃度プロファイルを示している。なお、図中発光層とp型半導体層との間にはGaNからなるアンドープ層(図示せず)が形成されている。
【0067】
図6Cにおいては、二点鎖線で示した領域がp型半導体層15中における濃度を示しており、一点二鎖線で示した領域が発光層14中における濃度を示している。図6Cより、p型半導体層15中の水素濃度は、約1×1016atoms/cm以上を示していることがわかる。なお、膜厚0~20nmに存在する高濃度の水素は、p型半導体層15上に付着又は混入した不純物(コンタミ)による影響と考えられる。
【0068】
図6B図6Cにおける水素濃度の違いから、p型半導体層15上にSiO層を形成した際には、SiO層に含まれていた水素が拡散などによりp型半導体層15内に移動していることが考えられる。これにより、例えばp型半導体層15内に移動した水素がp型半導体層15のドーパントであるMgと結合してMgを不活化し、突出部15P1内の電気抵抗が高くなり得る。その結果、発光層14への電流注入効率が低下し得る。
【0069】
面発光レーザ100においては、突出部15P1に形成される第1の絶縁層18が水素を含まない材料、例えば窒化物であるSiNから構成されているために、SiO層から突出部15P1内への水素の拡散を防ぐことができる。従って、本実施例の面発光レーザ100によれば、面発光レーザ100に長期に亘って通電がなされた際においても発光層14への電流注入効率が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0070】
従って、本実施例の面発光レーザ100によれば、長期に亘って通電がなされた場合においても面発光レーザ100の光出力が低下してしまうことを防ぐことができる。よって、本実施例の面発光レーザ100によれば、面発光レーザ100から出射されるレーザ光の光出力を安定して維持することができる。
【0071】
また、p型半導体層15全体としても、p型半導体層15に含まれる平均の水素濃度は、約2×1018atoms/cm以下であることが好ましい。また、第2の領域15R2の上面に存在する第2の絶縁層19の面積は、例えば第2の領域15R2の面積の40%以下であることが好ましい。これにより、p電極PEから流れる電流に対する絶縁性を達成しつつ、p型半導体層15内に過剰に水素が拡散してしまうことによる電気抵抗の上昇を抑制することができる。
【0072】
なお、上述したように第1の絶縁層18は導電膜21と同等の屈折率を有しており、第1の絶縁層18の屈折率は導電膜21の屈折率の10%以内であることが好ましい。例えば、ITOからなる導電膜21の屈折率はおよそ2.1であり、SiNからなる第1の絶縁層18の屈折率はおよそ2.0である。
【0073】
面発光レーザ100においては、上述したようにp型半導体層15に突出部15P1を設けることで共振器OC内の等価屈折率を調整することによりレーザ光の横モードを制御している。そのため、導電膜21になるべく近い屈折率を有する第1の絶縁層18を、側面15S1を覆う絶縁層として用いることにより、電流注入効率を下げずに横モードの制御を行うことができる。
【0074】
なお、本実施例において、p型半導体層15の上面は外周部15P2を有していると説明したが、当該外周部15P2は設けられていなくてもよく、第2の領域15R2がp型半導体層15の外縁まで形成されている態様としてもよい。すなわち、p型半導体層15の上面において、第1の領域15R1以外の領域が全てエッチングされている状態(不活性となっている状態)としてもよい。
【0075】
また、上記のように第2の領域15R2がp型半導体層15の外縁まで形成されている場合には、第1の領域15R1以外の領域が全て非導通部となるため、第2の絶縁層19を形成しなくてもよい。また、この場合、第1の絶縁層18が側面15S1を覆いつつ第2の領域15R2に亘って形成されていてもよい。
【0076】
本実施例において、第1の絶縁層18は第1の領域15R1の外縁及び突出部15P1の側面15S1を覆っていると説明したが、側面15S1さえ覆っていればよく、第1の領域15R1の外縁には形成されていなくてもよい。
【0077】
本実施例において、第1の絶縁層18と第2の絶縁層19とはp型半導体層15の上面において互いに離隔して形成されていると説明したが、第1の絶縁層18が側面15S1を覆っていればよく、第2の絶縁層19と接している態様としてもよい。すなわち、第2の絶縁層19が第2の領域15R2のほとんどを覆う態様としてもよい。
【0078】
[第1の絶縁層18及び第2の絶縁層19の形成方法]
以下に、図7図10を用いて、上述したドライエッチングにより形成された半導体構造層EMのp型半導体層15に対する第1の絶縁層18及び第2の絶縁層19の形成方法について説明する。
【0079】
まず、図7に示すように、n型半導体層13の下部13Aの上面、p型半導体層15の上面の第1の領域15R1の縁端を除く領域、第2の領域15R2及び第3の領域15R3にそれぞれリフトオフ用のレジストRをパターニングにより成膜し、蒸着やスパッタなどによりSiNからなる絶縁層を形成する。
【0080】
次に、n型半導体層13の下部13Aの上面、p型半導体層15の上面の第1の領域15R1の縁端を除く領域、第2の領域15R2及び第3の領域15R3に成膜されたレジストRをリフトオフにより除去することにより、図8に示すように、第1の領域15R1の縁端及び側面15S1を覆う第1の絶縁層18を形成することができる。
【0081】
次に、図9に示すように、第1の領域15R1及び側面15S2側の第2の領域15R2の縁端を除く領域にリフトオフ用のレジストRをパターニングにより成膜し、蒸着やスパッタなどによりSiOからなる絶縁層を形成する。
【0082】
次に、第1の領域15R1及び側面15S2側の第2の領域15R2の縁端を除く領域に成膜されたレジストRをリフトオフにより除去することにより、図10に示すように、第3の領域15R3から外周部15P2の側面15S2を覆う第2の絶縁層19を形成することができる。
【0083】
以降、図3に示すように、p型半導体層15の上面に導電膜21及び第2の多層膜反射鏡23を形成し、n型半導体層13の下部13Aにn電極NE、導電膜21の上面にp電極PEをそれぞれ形成することで、本実施例における面発光レーザ100を得ることができる。
【0084】
なお、本実施例においては、p型半導体層に対してドライエッチングによってp型不純物を不活性化するとしたが、当該不活性化の方法はドライエッチングに限定されない。例えば、p型半導体層の表面をわずかに除去した上でイオン注入を行うことにより、p型不純物の不活性化を行ってもよく、また、アッシング処理によりp型不純物の不活性化を行ってもよい。
【実施例0085】
次に、図11及び図12を用いて、実施例2に係る発光装置について説明する。図11は発光装置200の上面図であり、図12図11における12-12線に沿った発光装置200の断面図である。なお、図12においては図中上下方向が発光装置200の高さ方向である。
【0086】
発光装置200は、実施例1に係る面発光レーザ100を実装基板31上にフリップチップ実装し、パッケージングしたものである。発光装置200は、面発光レーザ100が実装された実装基板31と枠体37と透光板41とを含んで構成される。なお、面発光レーザ100の構成についてはp電極PEの形状を除き実施例1と同様である。
【0087】
実装基板31は、上面形状が矩形の板状体である。実装基板31は、例えば窒化アルミ(AlN)等のセラミック、酸化アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)等の絶縁性を有する材料からなる。
【0088】
実装基板31には、実装基板31を上下に貫通する貫通電極32及び貫通電極33が形成されている。貫通電極32及び貫通電極33は、実装基板31において互いに離隔して形成されることで互いに絶縁している。貫通電極32及び貫通電極33は、例えば金(Au)からなる。
【0089】
発光装置200において、面発光レーザ100は、上述したように実装基板31の上面にフリップチップ実装されている。具体的には、面発光レーザ100において、n電極NEは、図中下方に延伸するAuからなるn電極接合部材34及びAu-Sn共晶結合からなる接合部材35を介して実装基板31の貫通電極32に接合されている。
【0090】
また、面発光レーザ100において、p電極PEは、n電極接合部材34と実装基板31の上面からの高さが揃うように図中下方に延伸されかつ接合部材35を介して実装基板31の貫通電極33に接合されている。
【0091】
枠体37は、実装基板31の上面の外縁に沿って形成されており、実装基板31の上面及び実装基板31の上面に実装された面発光レーザ100を露出する開口37Oを有している。言い換えれば、発光装置200を上から見た平面視において、枠体37は、実装基板31上にて面発光レーザ100を囲っている。枠体37は、実装基板31と同様に、例えばAlN等のセラミック、Al、Si、SiC等の絶縁性を有する材料からなる。
【0092】
透光板41は、上面形状が矩形の透明な板状体である。透光板41は、下面が枠体37の上面に形成されたAuからなる金属層42と接合部材35を介して枠体37に接合されている。言い換えれば、透光板41は面発光レーザ100を覆うように枠体37によって保持されている。透光板41は、例えばホウ珪酸ガラス等の、面発光レーザ100から出射された光に対して透光性を有する材料から構成される。
【0093】
発光装置200において、面発光レーザ100から出射された光は、透光板41を通って発光装置200の外部へと放出される。すなわち、本実施例においては、透光板41の上面が発光装置200の光出射面である。
【0094】
本実施例の発光装置200においても、実施例1と同様に、長期に亘って通電がなされた場合においても面発光レーザ100の光出力が低下してしまうことを防ぐことができる。よって、本実施例の発光装置200によれば、発光装置200から出射されるレーザ光の光出力を安定して維持することができる。
【符号の説明】
【0095】
100 面発光レーザ(垂直共振器型発光素子)
200 発光装置
11 基板
12 第1の多層膜反射鏡
13 n型半導体層
14 発光層
15 p型半導体層
18 第1の絶縁層
19 第2の絶縁層
21 導電膜
23 第2の多層膜反射鏡
31 実装基板
32、33 貫通電極
34 n電極接合部材
35 接合部材
37 枠体
41 透光版板
42 金属層
NE n電極
PE p電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12