特開 2025-8998 引留金具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025008998

(43)【公開日】2025-01-20

(54)【発明の名称】引留金具

(51)【国際特許分類】

   H02G 7/02 20060101AFI20250109BHJP

   H02G 7/00 20060101ALI20250109BHJP

   H02G 1/04 20060101ALI20250109BHJP

【ＦＩ】

H02G7/02

H02G7/00

H02G1/04

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023111680

(22)【出願日】2023-07-06

(71)【出願人】

【識別番号】591048830

【氏名又は名称】日本電設工業株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】591064656

【氏名又は名称】日本架線工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100139114

【弁理士】

【氏名又は名称】田中 貞嗣

(74)【代理人】

【識別番号】100139103

【弁理士】

【氏名又は名称】小山 卓志

(74)【代理人】

【識別番号】100214260

【弁理士】

【氏名又は名称】相羽 昌孝

(74)【代理人】

【識別番号】100227455

【弁理士】

【氏名又は名称】莊司 英史

(72)【発明者】

【氏名】岩瀬 正幸

(72)【発明者】

【氏名】園田 拳大

(72)【発明者】

【氏名】豊田 善行

【テーマコード（参考）】

5G352

5G367

【Ｆターム（参考）】

5G352BA02

5G367BB10

5G367DA03

5G367DB06

5G367DB12

5G367DB13

5G367DC03

(57)【要約】

【課題】圧縮機などからの騒音を発生させることもなく、また作業員の技量によらず、短時間で簡易かつ確実に行うことが可能な引留金具を提供する。
【解決手段】本発明に係る引留金具１は、本体部材１００と、前記本体部材１００と係合するコッター部材２００とからなる引留金具１であって、前記本体部材１００と前記コッター部材２００との間で、ボルトレスで硬アルミニウムより線１０を固定し、前記コッター部材２００には連結用貫通孔２５０が設けられ、前記本体部材１００と前記コッター部材２００とがアルミニウム合金からなることを特徴とする。
【選択図】 図１１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

本体部材と、前記本体部材と係合するコッター部材とからなる引留金具であって、
前記本体部材と前記コッター部材との間で、ボルトレスで硬アルミニウムより線を固定し、
前記コッター部材には連結用貫通孔が設けられ、
前記本体部材と前記コッター部材とがアルミニウム合金からなることを特徴とする引留金具。

【請求項2】

前記アルミニウム合金がＪＩＳＨ５２０２で規定されるＡＣ４Ｃ又はＡＣ４ＣＨであることを特徴とする請求項１に記載の引留金具。

【請求項3】

前記連結用貫通孔が二股構造部に設けられることを特徴とする請求項１に記載の引留金具。

【請求項4】

前記コッター部材には薄肉部が設けられることを特徴とする請求項１に記載の引留金具。

【請求項5】

前記本体部材と前記コッター部材との間で前記硬アルミニウムより線が固定されている状態であるとき、
前記硬アルミニウムより線の中心軸と前記本体部材の始端側開口とが交わる点をＰとし、
前記連結用貫通孔の孔芯と、前記硬アルミニウムより線の中心軸を含む前記孔芯と垂直な面とが交わる点をＯとすると、
線分ＯＰと、前記硬アルミニウムより線の中心軸とがなす角度θが５°以上１１°以下であることを特徴とする請求項１に記載の引留金具。

【請求項6】

前記コッター部材が前記硬アルミニウムより線を保持する凹面の終端を含む、前記硬アルミニウムより線の中心軸に対する垂直面と、
前記連結用貫通孔の孔芯を含む、前記垂直面と平行な垂直面と、の間の距離が、１００ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であることを特徴とする請求項１に記載の引留金具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ボルトレスで硬アルミニウムより線を固定して、硬アルミニウムより線の引留を行う引留金具に関する。

【背景技術】

【0002】

き電線の一端側を柱などに引留めを行う際に用いる引留金具としては、従来、複数のボルトの締付力によってき電線を固定する引留金具や、スリーブでき電線を把持し、スリーブを圧縮することでき電線を固定する引留金具が用いられていた。（非特許文献1参照。）

【非特許文献1】https://www.tekki.co.jp/products/list/train/product_train07/

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0003】

ボルトの締付力による前者の引留金具は、ボルトを均等に締め付けるために作業時間を要してしまう、という問題があった。

【0004】

一方、圧縮を用いた後者の引留金具においては、圧縮機を高所で扱う際の手間や、圧縮機からの騒音、圧縮機を扱うために技量が必要であることなどの問題があった。

【0005】

上記のいずれの引留金具を用いた場合においても、作業員の技術力が低いと、引留金具によってき電線を固定した後、き電線に張力を与えた時に、引留金具からき電線が引き抜けてしまう恐れがあった。

【0006】

なお、これまで上記のようにボルトによる締結力や、スリーブに印加された圧縮力によらずに、き電線を固定するボルトレスの引留金具も存在していたが、このような引留金具には銅合金が用いられており、異種金属を主成分とする硬アルミニウムより線からなるき電線には適用することができなかった。

【課題を解決するための手段】

【0007】

このような課題を解決するために、本発明に係る引留金具は、本体部材と、前記本体部材と係合するコッター部材とからなる引留金具であって、前記本体部材と前記コッター部材との間で、ボルトレスで硬アルミニウムより線を固定し、前記コッター部材には連結用貫通孔が設けられ、
前記本体部材と前記コッター部材とがアルミニウム合金からなることを特徴とする。

【0008】

また、本発明に係る引留金具は、前記アルミニウム合金がＪＩＳＨ５２０２で規定されるＡＣ４Ｃ又はＡＣ４ＣＨであることを特徴とする。

【0009】

また、本発明に係る引留金具は、前記連結用貫通孔が二股構造部に設けられることを特徴とする。

【0010】

また、本発明に係る引留金具は、前記コッター部材には薄肉部が設けられることを特徴とする。

【0011】

また、本発明に係る引留金具は、前記本体部材と前記コッター部材との間で前記硬アルミニウムより線が固定されている状態であるとき、前記硬アルミニウムより線の中心軸と前記本体部材の始端側開口とが交わる点をＰとし、前記連結用貫通孔の孔芯と、前記硬アルミニウムより線の中心軸を含む前記孔芯と垂直な面とが交わる点をＯとすると、線分ＯＰと、前記硬アルミニウムより線の中心軸とがなす角度θが５°以上１１°以下であることを特徴とする。

【0012】

また、本発明に係る引留金具は、前記コッター部材が前記硬アルミニウムより線を保持する凹面の終端を含む、前記硬アルミニウムより線の中心軸に対する垂直面と、前記連結用貫通孔の孔芯を含む、前記垂直面と平行な垂直面と、の間の距離ｄが、１００ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であることを特徴とする。

【発明の効果】

【0013】

本発明に係る引留金具は、本体部材とコッター部材とがアルミニウム合金からなるものであり、このような本発明に係る引留金具によれば、硬アルミニウムより線を固定する施工を、圧縮機などからの騒音を発生させることもなく、また作業員の技量によらず、短時間で簡易かつ確実に行うことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】本発明の実施形態に係る引留金具１の斜視図である。

【図2】本発明の実施形態に係る引留金具１における本体部材１００の斜視図である。

【図3】本体部材１００の（Ａ）上面図と、（Ｂ）側面図である。

【図4】図３（Ａ）のＸ－Ｘ’でみた断面図である。

【図5】本発明の実施形態に係る引留金具１におけるコッター部材２００の斜視図である。

【図6】コッター部材２００の（Ａ）上面図と、（Ｂ）側面図である。

【図7】本発明の実施形態に係る引留金具１によって硬アルミニウムより線１０を固定する手順を示す図である。

【図8】本発明の実施形態に係る引留金具１によって硬アルミニウムより線１０を固定した様子を示す図である。

【図9】本発明の実施形態に係る引留金具１に好適なレイアウトを説明する図である。

【図10】本発明の実施形態に係る引留金具１に好適な寸法関係を説明する図である。

【図11】本発明の実施形態に係る引留金具１による施工例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

以下、本発明の実施の形態と図面を参照しつつ説明する。図１は本発明の実施形態に係る引留金具１の斜視図である。本発明に係る引留金具１は、硬アルミニウムより線を固定して引留を行うことを目的としており、本発明に係る引留金具１が扱う線材としては、硬銅より線は対象としていない。なお、本実施形態においては、硬アルミニウムより線がき電線として用いられる場合に基づいて説明するが、本発明に係る引留金具１は、硬アルミニウムより線がどのような用途で用いられている場合にも適用することができる。

【0016】

本発明に係る引留金具１は、本体部材１００と、この本体部材１００と係合する、くさび状の部位を有するコッター部材２００とから構成されている。本発明に係る引留金具１が、硬アルミニウムより線の固定を目的としているために、本体部材１００及びコッター部材２００のいずれにも、より線と同種金属であるアルミニウム合金が用いられている。本体部材１００及びコッター部材２００に用いるアルミニウム合金としては、試作などを通じて、ＪＩＳＨ５２０２で規定されるＡＣ４Ｃ又はＡＣ４ＣＨを用いることが好適であることを見いだした。

【0017】

ここで、本明細書で言及する方向等について定義する。引留金具１で固定される硬アルミニウムより線１０（図1には不図示）が延びる方向を「長手方向」として定義する。また、本体部材１００と係合状態にあるコッター部材２００の連結用貫通孔２５０が設けられている側を「終端側」として定義し、連結用貫通孔２５０が設けられていない側を「始端側」として定義する。

【0018】

次に、引留金具１を構成する本体部材１００について説明する。図２は本発明の実施形態に係る引留金具１における本体部材１００の斜視図である。また、図３は本体部材１００の（Ａ）上面図と、（Ｂ）側面図である。また、図４は図３（Ａ）のＸ－Ｘ’でみた断面図である。図３において、上面図、側面図といった語を用いたが、引留金具１を実使用する際には、図３（Ａ）が上側となる姿勢で本体部材１００を用いる訳ではない。

【0019】

本体部材１００は、外周囲に、始端側の端部付近に設けられている始端側リブ１１３と、終端側の端部付近に設けられている終端側リブ１１７と、それらの間に設けられている2つの中間リブ１１５とを有している。これらのリブが設けられているために、本体部材１００の強度が担保されている。

【0020】

また、本体部材１００は、硬アルミニウムより線１０（図２乃至図４には不図示）や、コッター部材２００（図２乃至図４には不図示）が挿通される、長手方向に対して垂直な始端側開口１２３及び終端側開口１２７を、両端に有している。

【0021】

本体部材１００の内周側においては、図２でみて、上から下に、線条挿通部１３０と、コッター部材挿通部１４０とが設けられている。線条挿通部１３０は、硬アルミニウムより線１０が挿通される空間であり、線条挿通部１３０には、硬アルミニウムより線１０と接して、これを保持する本体側線条保持凹面１３２が設けられている。

【0022】

コッター部材挿通部１４０は、コッター部材２００が挿通される空間であり、コッター部材２００の両脇二箇所に設けられているコッター部２２０と係合する２つの傾斜段部１５０が設けられている。傾斜段部１５０においては、傾斜段部始端１５３から傾斜段部終端１５７まで連続的に傾斜する傾斜面を有している。図４に示されるように、傾斜段部１５０は、傾斜段部終端１５７の厚み（図４でみて上下方向の長さ）が、傾斜段部始端１５３の厚みより厚くされている。

【0023】

次に、引留金具１を構成するコッター部材２００について説明する。図５は本発明の実施形態に係る引留金具１におけるコッター部材２００の斜視図である。また、図６はコッター部材２００の（Ａ）上面図と、（Ｂ）側面図である。

【0024】

コッター部材２００は、線条保持基部２１０と、この線条保持基部２１０から延設された腕部２３０とを有している。線条保持基部２１０には、硬アルミニウムより線１０（図５、図６には不図示）と接触して、これを本体部材１００の本体側線条保持凹面１３２との間で挟持・固定するコッター側線条保持凹面２１２が設けられている。このコッター側線条保持凹面２１２の両端には、コッター側線条保持凹面始端２１３とコッター側線条保持凹面終端２１７とがあり、特に、コッター側線条保持凹面終端２１７の位置と、連結用貫通孔２５０（より詳しくは孔芯２５１）との間の位置関係が、規定されていることが好ましい。詳細については後述する。

【0025】

コッター部材２００の線条保持基部２１０には、くさび状をなすコッター部２２０が、コッター側線条保持凹面２１２の両脇の２箇所に設けられている。コッター部始端２２３からコッター部終端２２７まで連続的に傾斜する傾斜面を有しており、当該傾斜面が、傾斜段部１５０に対して係合するようになっている。図６（Ｂ）に示されるように、コッター部２２０は、コッター部始端２２３の厚み（図６（Ｂ）でみて上下方向の長さ）が、コッター部終端２２７の厚みより厚くされている。

【0026】

コッター部材２００の線条保持基部２１０には、表識部２２８が設けられている。この表識部２２８は、本実施形態では矢印状のマークであるが、表識部２２８のマークはどのようなものであってもよい。引留金具１によって硬アルミニウムより線１０を固定する際、表識部２２８の矢印状のマークの先端部の位置が、本体部材１００にさしかかるまで、コッター部材２００を本体部材１００に押し入れるようする。これにより、作業者が、引留金具１によって硬アルミニウムより線１０を固定する作業を確実に行うことが可能となる。なお、本実施形態では、表識部２２８を線条保持基部２１０の側面に設ける例を示したが、本体部材１００とコッター部材２００のとの間の相対位置関係が把握できれば、表識部２２８はコッター部材２００のどの箇所に設けてもよい。

【0027】

線条保持基部２１０からは、図６（Ｂ）でみて下方側へと腕部２３０が延出するようにして設けられている。腕部２３０においては、腕部２３０の他の箇所より厚みが薄い薄肉部２３６を設けることで、引留金具１全体の軽量化が図られている。

【0028】

腕部２３０の端部には、硬アルミニウムより線１０を固定した引留金具１を碍子等（図５、図６に不図示）に連結する際に用いられる連結用貫通孔２５０が設けられている。腕部２３０の端部は、二股構造部２４０（図６（Ａ）参照）となっており、連結用貫通孔２５０は、二股構造部２４０の双方を貫通するようにして設けられている。連結用貫通孔２５０を図６（Ｂ）で円としてみたとき、その中心を孔芯２５１として定義する（図６（Ａ）も参照）。

【0029】

図７は本発明の実施形態に係る引留金具１によって硬アルミニウムより線１０を固定する手順を示す図である。引留金具１によって、硬アルミニウムより線１０を固定するときにおいては、まず、本体部材１００の本体側線条保持凹面１３２に対して、硬アルミニウムより線１０を挿通させる。続いて、硬アルミニウムより線１０を保持した本体部材１００の始端側開口１２３から、コッター部材２００の終端側を挿入しつつ、表識部２２８の矢印状のマークの先端部の位置が、本体部材１００にさしかかるまで、コッター部材２００を本体部材１００に押し入れるようする。

【0030】

以上のような手順により、引留金具１による硬アルミニウムより線１０の固定が完了する。図８は本発明の実施形態に係る引留金具１によって硬アルミニウムより線１０を固定した様子を示す図である。

【0031】

次に、引留金具１によって硬アルミニウムより線１０を固定した上で、引留金具１を連結用貫通孔２５０で、碍子などの他の構造物に連結する際に、硬アルミニウムより線１０に対して、許容範囲外の負荷がかからないようなレイアウトについて説明する。図９は本発明の実施形態に係る引留金具１に好適なレイアウトを説明する図である。

【0032】

図９において、硬アルミニウムより線１０を固定する引留金具１が、連結用貫通孔２５０によって、碍子などの他の構造物に連結されている際の引留金具１の姿勢を示している。図９において、一点鎖線は、硬アルミニウムより線１０の外周を示しており、二点鎖線は、硬アルミニウムより線１０の中心軸を示している。

【0033】

硬アルミニウムより線１０の中心軸（二点鎖線）と、本体部材１００の始端側開口１２３とが交わる点をＰとする。引留金具１全体に対する硬アルミニウムより線１０からの張力は、この点Ｐにかかるとみることができる。

【0034】

連結用貫通孔２５０の孔芯２５１と、硬アルミニウムより線１０の中心軸（二点鎖線）を含む孔芯２５１と垂直な面（図９の紙面）とが交わる点をＯとする。引留金具１は、この点Ｏを中心として回動する。線分ＯＰは、硬アルミニウムより線１０にかかっている張力の方向と同じとなり、引留金具１全体は、図９に示すように角度θ傾く。

【0035】

硬アルミニウムより線１０も、点Ｐにおいて、上記の角度θで折れ曲がることとなる。硬アルミニウムより線１０に対する、このような折れ曲がりによる負荷を軽減するためには、角度θは可能な限り小さくなるように設定することが好ましい。

【0036】

角度θを小さく設定するためには、後述する距離ｄを長くしたり、孔芯２５１を硬アルミニウムより線１０の中心軸（二点鎖線）に近づけたりするようなレイアウトが好ましいが、一方で、距離ｄを長くすると、すなわち、腕部２３０の長さを長くすると、コッター部材２００を延長した分、強度を確保するため重量増となり、重くなり扱いづらい。発明者らは、鋭意検討した結果、上記のような角度θを５°以上１１°以下とすることで、硬アルミニウムより線１０の折れ曲がりの問題と、コッター部材２００の強度の問題の双方をバランス良く解決することを、試作を通じて見いだした。

【0037】

発明者らは、前記のような角度θを５°以上１１°以下の数値範囲とすることが、硬アルミニウムより線１０を固定するための、アルミニウム合金製の引留金具１に特有であることを確認して、本発明に係る引留金具１をなし得たものである。

【0038】

次に、コッター部材２００におけるコッター側線条保持凹面２１２と、連結用貫通孔２５０（より詳しくは孔芯２５１）との間の位置関係として好適な例について説明する。図１０は本発明の実施形態に係る引留金具１に好適な寸法関係を説明する図である。図１０において、二点鎖線は、硬アルミニウムより線１０の中心軸を示している。

【0039】

また、図中の破線は、紙面に対して垂直な面を示している。図中左側の破線は、コッター部材２００が硬アルミニウムより線１０を保持するコッター側線条保持凹面２１２の終端（コッター側線条保持凹面終端２１７）を含む、硬アルミニウムより線１０の中心軸に対する垂直面を示している。

【0040】

一方、図中右側の破線は、連結用貫通孔２５０の孔芯２５１を含む、図中左側の破線で示される垂直面と平行な垂直面を示している。ここで、２つの垂直面との間の距離をｄとすると、距離ｄは、１００ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であることが好ましいことを発明者は確認した。ただし、引留金具１が固定し得る硬アルミニウムより線１０の直径は、２２．４ｍｍ以上２９．４ｍｍ以下であることが前提である。

【0041】

２つの垂直面との間の距離ｄを、ある程度担保することが必要である理由を、図１１を参照して説明する。図１１は本発明の実施形態に係る引留金具１による施工例を示す図である。

【0042】

硬アルミニウムより線１０を固定している引留金具１は、連結用貫通孔２５０により碍子５０等に連結される。碍子５０は柱等に取り付けられることで、硬アルミニウムより線１０の引留が行われる。

【0043】

引留金具１で固定した硬アルミニウムより線１０の終端は、折り返し部１５で折り返され、締結部材６０により、始端側の硬アルミニウムより線１０に結び付けられて、硬アルミニウムより線１０が引留金具１から脱落しないようにされる。上記のような折り返し部１５を形成するために、距離ｄとして１００ｍｍ以上１５０ｍｍ以下が確保されていることが、施工効率上好ましい。

【0044】

以上のように、本発明に係る引留金具１は、本体部材１００とコッター部材２００とがアルミニウム合金からなるものであり、このような本発明に係る引留金具１によれば、硬アルミニウムより線１０を固定する施工を、圧縮機などからの騒音を発生させることもなく、また作業員の技量によらず、短時間で簡易かつ確実に行うことが可能となる。

【符号の説明】

【0045】

１・・・引留金具
１０・・・硬アルミニウムより線
１５・・・折り返し部
５０・・・碍子
６０・・・締結部材
１００・・・本体部材
１１３・・・始端側リブ
１１５・・・中間リブ
１１７・・・終端側リブ
１２３・・・始端側開口
１２７・・・終端側開口
１３０・・・線条挿通部
１３２・・・本体側線条保持凹面
１４０・・・コッター部材挿通部
１５０・・・傾斜段部
１５３・・・傾斜段部始端
１５７・・・傾斜段部終端
２００・・・コッター部材
２１０・・・線条保持基部
２１２・・・コッター側線条保持凹面
２１３・・・コッター側線条保持凹面始端
２１７・・・コッター側線条保持凹面終端
２２０・・・コッター部
２２３・・・コッター部始端
２２７・・・コッター部終端
２２８・・・表識部
２３０・・・腕部
２３６・・・薄肉部
２４０・・・二股構造部
２５０・・・連結用貫通孔
２５１・・・孔芯

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】