(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025000090
(43)【公開日】2025-01-07
(54)【発明の名称】集塵機
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B01D46/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099752
(22)【出願日】2023-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100190470
【弁理士】
【氏名又は名称】谷澤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 功
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058KB02
4D058KC22
4D058KC33
4D058KC37
4D058KC52
4D058KC63
(57)【要約】
【課題】フィルタが外れにくい集塵機を提供する。
【解決手段】集塵機は、外気が導入される第1空気室と、第1空気室に配置され、外気から粉塵を分離し、空気を通過させるフィルタと、フィルタを通過した空気が導入される第2空気室と、第1空気室と第2空気室とを仕切る仕切板と、仕切板と対向して配置され、フィルタを保持する保持部材と、を備える。フィルタは、第1方向に延在する本体と、本体の第1方向の端部に設けられた端部部材と、を有する。保持部材には、本体を第1方向に貫通させる開口が形成されている。端部部材は、第1方向から見て端部の外側に延在し、保持部材の開口の周縁部と当接する延在部を有する。延在部には、複数の孔が形成されている。保持部材は、周縁部に設けられ、複数の孔に差し込まれる複数の爪を有する。複数の爪は、複数の孔に差し込まれた状態で、延在部に引っ掛かる突起を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気が導入される第1空気室と、
前記第1空気室に配置され、前記外気から粉塵を分離し、空気を通過させるフィルタと、
前記フィルタを通過した前記空気が導入される第2空気室と、
前記第1空気室と前記第2空気室とを仕切る仕切板と、
前記仕切板と対向して配置され、前記フィルタを保持する保持部材と、を備え、
前記フィルタは、第1方向に延在する本体と、前記本体の前記第1方向の端部に設けられた端部部材と、を有し、
前記保持部材には、前記本体を前記第1方向に貫通させる開口が形成されており、
前記端部部材は、前記第1方向から見て前記端部の外側に延在し、前記保持部材の前記開口の周縁部と当接する延在部を有し、
前記延在部には、複数の孔が形成されており、
前記保持部材は、前記周縁部に設けられ、前記複数の孔に差し込まれる複数の爪を有し、
前記複数の爪は、前記複数の孔に差し込まれた状態で、前記延在部に引っ掛かる突起を含む、
集塵機。
【請求項2】
前記端部部材上に取り付けられ、前記端部部材と前記仕切板との間を封止するパッキンをさらに備え、
前記保持部材は、前記仕切板と対向する面に設けられ、前記仕切板と当接して前記パッキンの圧縮量を制限する制限部を有する、
請求項1に記載の集塵機。
【請求項3】
前記本体は、前記第1方向を軸方向とする円筒状であり、
前記複数の爪の形状は、前記フィルタの中心軸に対して互いに回転対称性を有している、
請求項1又は2に記載の集塵機。
【請求項4】
前記複数の爪は、前記周縁部からの高さ位置が互いに異なると共に、互いに逆方向に突出する複数の前記突起を含む、
請求項1又は2に記載の集塵機。
【請求項5】
前記保持部材を支持すると共に、前記保持部材を前記仕切板に沿って摺動させるレール部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記仕切板の反対側を向く面に設けられた把持部を有する、
請求項1又は2に記載の集塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉塵が含まれた空気から筒状フィルタにより粉塵を除去する集塵装置が開示されている。この集塵装置は、筐体を備え、筐体は、セルプレートにより粉塵室と清浄空気室とに区画されている。セルプレートには、フィルタ枠を介して複数の筒状フィルタが取り付けられている。筒状フィルタは、フィルタ枠に設けられた爪が筒状フィルタの上部皿に設けられた孔部に差し込まれることにより、フィルタ枠に対して位置決めされた状態で、フィルタ枠に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の集塵装置では、筒状フィルタの取り付け作業や取り外し作業中に、筒状フィルタがフィルタ枠から外れる場合がある。本開示は、フィルタが外れにくい集塵機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る集塵機は、外気が導入される第1空気室と、第1空気室に配置され、外気から粉塵を分離し、空気を通過させるフィルタと、フィルタを通過した空気が導入される第2空気室と、第1空気室と第2空気室とを仕切る仕切板と、仕切板と対向して配置され、フィルタを保持する保持部材と、を備える。フィルタは、第1方向に延在する本体と、本体の第1方向の端部に設けられた端部部材と、を有する。保持部材には、本体を第1方向に貫通させる開口が形成されている。端部部材は、第1方向から見て端部の外側に延在し、保持部材の開口の周縁部と当接する延在部を有する。延在部には、複数の孔が形成されている。保持部材は、周縁部に設けられ、複数の孔に差し込まれる複数の爪を有する。複数の爪は、複数の孔に差し込まれた状態で、延在部に引っ掛かる突起を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、フィルタが外れにくい集塵機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る集塵機の概要を示す断面図である。
【
図7】
図7は、爪をスリットに差し込む方法についての説明図である。
【
図8】
図8は、パッキン付きフィルタをフィルタ枠に取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0009】
[集塵機の構成]
一実施形態に係る集塵機は、例えば工場などに配置され、空気中の粉塵を収集する。粉塵(ダスト)とは、空気中に浮遊できる程度に微細な粉体であり、レーザ加工、プラズマ加工、および溶接などの際に発生するヒュームなどを含む。
【0010】
図1は、一実施形態に係る集塵機の概要を示す断面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。以下ではZ方向を上下方向ともいう。
図1に示されるように、集塵機1は、筐体10、吸気ダクト11、及び、排気ダクト12を備える。筐体10は、吸気口10aを介して外気を内部に導入する。吸気口10aには、吸気ダクト11が設けられる。筐体10は、粉塵を取り除いた空気を、排気口10bを介して装置外へ排気する。排気口10bには、排気ダクト12が設けられる。
【0011】
集塵機1は、第1仕切板15(仕切板の一例)、第2仕切板16、粉塵室S1、清浄空気室S2、複数のフィルタ20、及び、送風機30を備える。筐体10の内部空間は、第1仕切板15によって、第1仕切板15の下側の空間である粉塵室S1(第1空気室の一例)と、第1仕切板15の上側の空間である清浄空気室S2(第2空気室の一例)とに分割される。第1仕切板15は、粉塵室S1と清浄空気室S2とを仕切る板である。第1仕切板15の周縁は、筐体10の内壁面と気密状態に接続される。
【0012】
粉塵室S1は、集塵の対象となる外気が導入される部屋である。粉塵室S1は、吸気口10aを介して装置外と連通する。フィルタ20は、粉塵室S1内に収容される。フィルタ20は、粉塵室S1内に導入された外気から粉塵を分離し、空気を通過させる。フィルタ20は、第1仕切板15の下面15aに交差する方向に延在している。フィルタ20は、例えば、下面15aに直交する方向(Z方向)に延在している。フィルタ20は、例えば、Z方向を軸方向とする筒状であり、フィルタ20の上端は、第1仕切板15に形成された導入口に気密に接続される。これにより、フィルタ20は、第1仕切板15から垂下するように、粉塵室S1に配置される。本実施形態では、9個のフィルタ20がX方向及びY方向に3列ずつで配置されている。第1仕切板15には、フィルタ20と同数の導入口が形成されている。
【0013】
清浄空気室S2は、フィルタ20を通過し、粉塵が取り除かれた空気が導入される部屋である。送風機30は、清浄空気室S2内に収容される。送風機30は、例えばブロアであり、インペラ翼30a及びモータ30bを備える。送風機30は、清浄空気室S2内において排気口10bへ気流を発生させる。これにより、粉塵室S1が負圧となり、外気は粉塵室S1の吸気口10aから粉塵室S1に送り込まれる。
【0014】
つまり、インペラ翼30aがモータ30bによって回転されると、粉塵を含む外気が吸気ダクト11及び吸気口10aを介して粉塵室S1に導入される。粉塵を含む空気は、フィルタ20の外周面からフィルタ20の内周面へと通過し、空気と粉塵とに分離される。粉塵が除去された空気(清浄な空気)は、フィルタ20の内部空間から送風機30内を抜け、排気口10b及び排気ダクト12を通って、集塵機1の装置外へ排出される。
【0015】
清浄空気室S2は、第2仕切板16によって、第2仕切板16の下側の空間である減圧室S21と、第2仕切板16の上側の空間である排気室S22とにさらに区画されてもよい。第2仕切板16の周縁は、筐体10の内壁面と気密状態に接続される。第2仕切板16には、送風機30と気密に接続するための開口(不図示)が設けられる。減圧室S21は、第1仕切板15に設けられた導入口を介して粉塵室S1に連通する。排気室S22は、送風機30を介して減圧室S21に連通し、排気口10bを有する。送風機30は、第2仕切板16に形成された開口に気密に設けられる。送風機30は、減圧室S21の空気を排気室S22へと送風することにより、減圧室S21を負圧にする。これにより、減圧室S21に連通する粉塵室S1も負圧となり、外気は吸気口10aから粉塵室S1に送り込まれる。
【0016】
集塵機1は、払落装置31、粉塵ボックス32、及び、制御ユニット36を備える。清浄空気室S2には、払落装置31が配置される。払落装置31は、一例として減圧室S21に配置される。払落装置31は、フィルタ20の主に外周面に付着した粉塵を、フィルタ20の内部に圧縮エアをパルス状に吹き込むことで払い落とす。払落装置31は、所定の時間間隔ごとに動作し、フィルタ20に付着した粉塵を定期的に除去する。
【0017】
粉塵室S1において、フィルタ20の下方には、粉塵ボックス32が配置される。粉塵ボックス32は、上面が開口された箱体を呈し、フィルタ20から落下する粉塵を収容する。
【0018】
清浄空気室S2には、制御ユニット36が設けられる。制御ユニット36は、集塵機1を統括制御するコントローラである。制御ユニット36は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。制御ユニット36は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリと、タッチパネル、マウス、キーボード、ディスプレイなどの入出力装置と、ネットワークカードなどの通信装置とを含むコンピュータシステムとして構成されてもよい。制御ユニット36は、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくプロセッサの制御のもとで、集塵機1の各構成要素を動作させる。
【0019】
図2は、フィルタを示す斜視図である。
図3は、フィルタを示す断面図である。
図4は、フィルタ上皿を示す上面図である。
図1~
図4に示されるフィルタ20は、交換可能なカートリッジフィルタである。フィルタ20の交換は、例えば、筐体10の側壁10cを取り外して行われる。フィルタ20は、筒状の本体21と、本体21の上端部(端部の一例)21aに設けられたフィルタ上皿(端部部材の一例)22と、本体21の下端部21bに設けられたフィルタ下皿23とを有している。上端部21a及び下端部21bは、それぞれ本体21のZ方向の端部である。
【0020】
本体21は、例えば紙又は布などの材料がひだ折りされて構成されている。本実施形態では、本体21は、不織布からなる。本体21は、例えば、円筒状である。本体21は、長手方向をZ方向と一致させた状態で、粉塵室S1に配置されている。本体21の外周面が粉塵室S1に面し、本体21の内部空間が清浄空気室S2に連通する。
【0021】
フィルタ上皿22は、中央部に開口22aが形成された環状の板部材である。フィルタ上皿22は、例えば、円環状である。フィルタ上皿22は、金属や樹脂等で形成されている。フィルタ上皿22は、本体21の上端部21aを覆う被覆部24と、フランジ状の延在部25とを有している。本体21の中心軸に沿う方向(Z方向)から見て、延在部25は、フィルタ20の上端部21aの外側に延在する。延在部25は、溝形状を有し、本体21の側面に沿って、上端部21aの周りを取り囲んでいる。このような溝形状によれば、延在部25の強度が増すので、延在部25によりフィルタ20を確実に支持することができる。
【0022】
延在部25は、上端部21aの側面を覆う内壁25a、内壁25aと対向する外壁25b、及び、内壁25aの下端と外壁25bの下端とを接続する底壁25cを含む。底壁25cには、複数のスリット26(孔の一例)が形成されている。スリット26は、本体21の側面に沿って延在する長穴である。複数のスリット26は、互いに同じ形状を有している。
【0023】
複数のスリット26の形状は、本体21の中心軸に対して互いに回転対称性を有している。本実施形態では、スリット26の数は2である。二つのスリット26は、例えば、180度未満の角度間隔で配置されている。すなわち、本体21の中心軸に沿う方向から見て、二つのスリット26は、スリット26と本体21の中心軸とを結ぶ線分のなす角度が、180度未満となるように配置されている。このように、複数のスリット26が中心軸に対して互いに点対称とならないように配置されているので、スリット26の位置によりフィルタ20の中心軸周りの位置を特定することができる。
【0024】
フィルタ下皿23は、下端部21bの全体を封止する板部材である。フィルタ下皿23は、例えば、円形状である。フィルタ下皿23は、金属や樹脂等で形成されている。
【0025】
図5は、
図1の一部拡大図である。
図5では、手前側のレール部材14の図示が省略されている。
図1及び
図5に示されるように、集塵機1は、パッキン13と、レール部材14と、フィルタ枠40(保持部材の一例)とを備える。本実施形態では、集塵機1は、フィルタ20と同数のパッキン13と、三対のレール部材14と、三つのフィルタ枠40とを備える。
【0026】
パッキン13は、フィルタ上皿22上に取り付けられ、フィルタ上皿22と第1仕切板15との間を気密に封止する。パッキン13は、中央部に開口が形成された環状板部材である。パッキン13は、例えば、円環状である。パッキン13は、ゴムや樹脂材料等から形成されている。パッキン13は、例えば、接着により被覆部24に取り付けられている。
【0027】
レール部材14は、フィルタ枠40を支持すると共に、フィルタ枠40を第1仕切板15に沿って摺動させる。本実施形態では、フィルタ枠40ごとに一対のレール部材14が設けられている。すなわち、集塵機1は、三対のレール部材14を備える。一対のレール部材14は、Y方向に沿って延在すると共に、対応するフィルタ枠40をX方向において挟むように第1仕切板15に取り付けられている。レール部材14は、平行摺動面14a及び傾斜摺動面14bを含む。
【0028】
平行摺動面14aは、第1仕切板15に対して平行に延在し、フィルタ枠40を第1仕切板15に対して平行に移動させる。傾斜摺動面14bは、第1仕切板15に向かって上向きに傾斜し、フィルタ枠40を第1仕切板15の下面に案内する。傾斜摺動面14bは、レール部材14のY方向の一端部に設けられている。傾斜摺動面14bは、フィルタ20の交換時に取り外される側壁10cの反対側に位置する側壁10dと対向している。
【0029】
図6は、フィルタ枠を示す斜視図である。
図1、
図5及び
図6に示されるように、フィルタ枠40は、Z方向において第1仕切板15と対向して粉塵室S1に配置され、フィルタ20を保持する。フィルタ枠40は、Z方向において第1仕切板15と対向する第1面40aと、第1面40aの逆側を向く第2面40bとを有している。フィルタ枠40には、本体21をZ方向に貫通させる開口41が形成されている。開口41は、本体21及びフィルタ下皿23が貫通可能、かつ、フィルタ上皿22が貫通不可能な大きさに形成されている。開口41は、円形状であり、本体21の外径に適合する内径を有している。本実施形態では、集塵機1は、長方形板状の三つのフィルタ枠40を備える。各フィルタ枠40には、三つの開口41がフィルタ枠40の長辺方向において一定間隔で並んで形成されている。
【0030】
フィルタ枠40は、第1面40aにおいて、開口41の周縁部41aに設けられた複数の爪42を有している。複数の爪42は、第1面40aから突出している。複数の爪42は、複数のスリット26に対応する位置に設けられている。本実施形態では、爪42の数は、スリット26の数と同様に2である。二つの爪42は、二つのスリットと同様に、例えば、180度未満の角度間隔で配置されている。フィルタ枠40がフィルタ20を保持した状態において、複数の爪42は、複数のスリット26に差し込まれ、開口41の周縁部41aは、フィルタ20の延在部25と当接する。複数の爪42が複数のスリット26に差し込まれることにより、フィルタ20がフィルタ枠40に対して位置決められる。
【0031】
図7は、爪をスリットに差し込む方法についての説明図である。
図7に示されるように、爪42は、いわゆる返し付き爪であり、スリット26に差し込まれた状態で、延在部25に引っ掛かる複数の突起43,44を含む。複数の突起43,44は、周縁部41aに沿って互いに逆方向に突出する。複数の突起43,44は、周縁部41a(第1面40a)からの高さ位置が互いに異なる。このように爪42は、延在部25に引っ掛かる複数の突起43,44を含むので、フィルタ20がフィルタ枠40からさらに外れにくい。
【0032】
突起43は、第1面40aと対向する対向部43aを有する。爪42がスリット26に完全に差し込まれた状態において、延在部25は、第1面40aと対向部43aとの間の空間に配置される。したがって、突起43が延在部25に引っ掛かる。突起44は、第1面40aと対向する対向部44aを有する。爪42がスリット26に途中まで差し込まれた状態において、延在部25は、第1面40aと対向部44aとの間の空間に配置される。したがって、突起44が延在部25に引っ掛かる。
【0033】
突起44は爪42の頂部に設けられている。爪42は、爪42の基部に設けられた突起45をさらに有する。突起45は、突起44と同じ方向に突出している。突起45と第1面40aとの間には、延在部25が配置されるような空間がない。したがって、突起45は、延在部25に引っ掛からない。突起43は、爪42の頂部と基部の間に位置する中間部に設けられている。すなわち、爪42の高さ方向において、突起43は突起44と突起45との間に位置している。爪42の頂部は、第1面40aから離れるにつれて幅狭となるテーパ形状を有している。爪42は、爪42の頂部と突起43の先端とを結ぶ傾斜部46を有している。複数の爪42の形状は、フィルタ20の中心軸に対して互いに回転対称性を有している。
【0034】
爪42をスリット26に差し込む方法の一例について説明する。まず、爪42上にスリット26を配置した後、
図7(a)に示されるように、スリット26を周縁部41aに向かって傾斜部46に沿って移動させる。これにより、突起44が設けられた爪42の頂部がスリット26を通過する。引き続いて、スリット26を周縁部41aに向かって移動させる。これにより、
図7(b)に示されるように、突起43が設けられた爪42の中間部がスリット26を通過する。
図7(b)の状態において、突起44は、延在部25に引っ掛かる。
【0035】
最後に、
図7(c)に示されるように、スリット26を周縁部41aに沿って、突起45の突出方向に移動させる。これにより、突起45が設けられた爪42の基部がスリット26内に配置されると共に、延在部25が周縁部41aと当接する。
図7(c)の状態において、突起43は、延在部25に引っ掛かる。爪42をスリット26から引き抜く際は、爪42をスリット26に差し込む際と逆方向にスリット26を移動させればよい。上述のように、複数の爪42の形状は、フィルタ20の中心軸に対して互いに回転対称性を有しているので、フィルタ20をフィルタ上皿22ごと回転させながら複数の爪42を複数のスリット26に同時に差し込んだり、引き抜いたりすることができる。
【0036】
図8は、パッキン付きフィルタをフィルタ枠に取り付けた状態を示す断面図である。
図6及び
図8に示されるように、フィルタ上皿22上にはパッキン13が設けられている。パッキン13は、フィルタ20をフィルタ枠40に取り付ける前に設けられてもよいし、フィルタ20をフィルタ枠40に取り付けた後に設けられてもよい。
【0037】
フィルタ枠40は、把持部51、制限部52、一対の補強部53、及び、複数の補強部54を有している。把持部51は、第2面40bの長辺方向の一端に設けられ、爪42と逆方向に突出している。把持部51は、第2面40bの短辺方向に延在する板部材である。把持部51は、フィルタ枠40を移動させる際に手で把持される部分である。把持部51は、側壁40c寄りに位置し、側壁40cと対向している。把持部51には、切り欠き51aが設けられていてもよい。この場合、把持部51の下方に十分なスペースがない場合でも、把持部51の下に手を入れやすい。
【0038】
制限部52は、第1面40aに設けられ、第1仕切板15に向かって突出している。制限部52は、第1面40aの短辺方向に延在するリブ状の板部材である。制限部52は、第1仕切板15と当接してパッキン13の圧縮量を制限する。制限部52によれば、パッキン13が圧縮され過ぎて損傷することが抑制される。この結果、封止性の低下が抑制される。制限部52は、把持部51と、把持部51に最も近い開口41との間に設けられている。
【0039】
一対の補強部53は、第2面40bに設けられている。一対の補強部53は、第2面40bの長辺方向の一対の端部が爪42と反対側に90度折り曲げられて形成されている。補強部53は、第2面40bの長辺方向に沿って延びる板部材である。複数の補強部54は、第2面40bに設けられている。複数の補強部54は、第2面40bの短辺方向に延在するリブである。本実施形態では、複数の補強部54は、複数の開口41と同じ数で設けられている。一つの補強部54は、第2面40bの長辺方向の他端と、当該他端に最も近い開口41との間に設けられている。残りの補強部54は、隣り合う開口41間に設けられている。
【0040】
フィルタ枠40には、フィルタ枠40を第1仕切板15に取り付ける際に用いられる孔55、及び、切り欠き状の凹部56が設けられている。孔55は、把持部51と制限部52との間において、フィルタ枠40を貫通している。凹部56は、フィルタ枠40の長辺方向の他端に設けられている。
【0041】
[フィルタの交換方法]
フィルタ20の交換方法の一例について説明する。フィルタ20の交換は、集塵機1の動作を停止させた状態で行われる。フィルタ20を取り付ける場合は、まず、
図7を用いて上記で説明したように、フィルタ枠40の爪42にフィルタ上皿22のスリット26を通して、フィルタ枠40にフィルタ20を設置する。続いて、筐体10の側壁10cを取り外し、フィルタ20を保持したフィルタ枠40を一対のレール部材14間に差し込む。本実施形態の側壁10cは、粉塵室S1及び減圧室S21の側壁を構成しているので、側壁10cを取り外すことにより、粉塵室S1及び減圧室S21が開放されるが、少なくとも粉塵室S1が開放される構成であればよい。
【0042】
続いて、把持部51を把持してフィルタ枠40を筐体10の奥まで押し込む。フィルタ枠40の先端部は、平行摺動面14aを摺動して第1仕切板15と平行に移動した後、傾斜摺動面14bを摺動して上方に移動する。フィルタ枠40の凹部56が第1仕切板15に設けられたストッパ58に当たる位置まで、フィルタ枠40が押し込まれる。続いて、フィルタ枠40の把持部51側を第1仕切板15に向かって持ち上げ、ノブナット57によりフィルタ枠40を押し上げる。ノブナット57はフィルタ枠50の孔55に挿通される。フィルタ枠40は、制限部52が第1仕切板15に当接するまで押し上げられる。これにより、パッキン13が第1仕切板15に押し付けられ、フィルタ上皿22と第1仕切板15との間の封止性が確保される。
【0043】
フィルタ20を取り外す場合は、筐体10の側壁10cを取り外し、ノブナット57を緩めて外す。これにより、フィルタ20及びフィルタ枠40の自重により、フィルタ枠40の把持部51側が平行摺動面14aまで下がる。パッキン13が第1仕切板15に貼り付いている場合は、フィルタ枠40に下向きの力を加え、第1仕切板15からパッキン13を引き剥がし、フィルタ枠40の把持部51側を平行摺動面14aまで下げる。爪42が延在部25に引っ掛かり、フィルタ20がフィルタ枠40から外れにくいので、このようにフィルタ枠40を介してフィルタ20に力を加えれば、パッキン13を第1仕切板15から容易に引き剥がすことができる。
【0044】
続いて、把持部51を把持してフィルタ枠40を手前に引張り、フィルタ20が取り付けられたフィルタ枠40を筐体10外に引き抜く。最後に、上記で説明したように、爪42をスリット26に差し込む際と逆方向にスリット26を移動させて爪42をスリット26から引き抜き、フィルタ枠40からフィルタ20を取り外す。
【0045】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、集塵機1では、フィルタ20を保持するフィルタ枠40の開口41の周縁部41aに設けられた複数の爪42は、フィルタ20の上端部21aを覆うフィルタ上皿22の延在部25に設けられた複数のスリット26に差し込まれた状態で、延在部に引っ掛かる突起43,44を含む。よって、フィルタ20がフィルタ枠40から外れにくい。
【0046】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。例えば、フィルタ20の本体21は、Z方向を軸方向とする楕円筒状、又は、四角筒状等の多角筒状であってもよい。本体21は、上端部21aが開放されていれば、下端部21bが塞がれた有底筒状であってもよい。この場合、フィルタ20は、フィルタ下皿23を有さなくてもよい。本体21は、第1仕切板15から垂下するように少なくともZ方向に延在していれば、例えば、長方形状の主面を有する平板状であってもよい。平板状の本体21は、例えば、上端部21aをなす一辺が開放され、三辺が閉じられた袋状に形成されていてもよい。この場合も、フィルタ20は、フィルタ下皿23を有さなくてもよい。爪42は、少なくとも突起43を含んでいれば、突起44を含まなくてもよいし、延在部25に引っ掛かる突起を、突起43,44以外にさらに含んでもよい。清浄空気室S2は、第2仕切板16によって区画されていなくてもよい。
【0047】
[本開示に含まれる形態]
本開示は、以下条項に記載の形態を含む。
【0048】
(条項1)
本開示の一実施形態に係る集塵機は、外気が導入される第1空気室と、前記第1空気室に配置され、前記外気から粉塵を分離し、空気を通過させるフィルタと、前記フィルタを通過した前記空気が導入される第2空気室と、前記第1空気室と前記第2空気室とを仕切る仕切板と、前記仕切板と対向して配置され、前記フィルタを保持する保持部材と、を備え、前記フィルタは、第1方向に延在する本体と、前記本体の前記第1方向の端部に設けられた端部部材と、を有し、前記保持部材には、前記本体を前記第1方向に貫通させる開口が形成されており、前記端部部材は、前記第1方向から見て前記端部の外側に延在し、前記保持部材の前記開口の周縁部と当接する延在部を有し、前記延在部には、複数の孔が形成されており、前記保持部材は、前記周縁部に設けられ、前記複数の孔に差し込まれる複数の爪を有し、前記複数の爪は、前記複数の孔に差し込まれた状態で、前記延在部に引っ掛かる突起を含む。
【0049】
この集塵機によれば、フィルタを保持する保持部材の周縁部に設けられた複数の爪は、フィルタの端部を覆う端部部材の延在部に設けられた複数の孔に差し込まれた状態で、延在部に引っ掛かる突起を含む。よって、フィルタが保持部材から外れにくい。
【0050】
(条項2)
条項1に記載の集塵機は、前記端部部材上に取り付けられ、前記端部部材と前記仕切板との間を封止するパッキンをさらに備え、前記保持部材は、前記仕切板と対向する面に設けられ、前記仕切板と当接して前記パッキンの圧縮量を制限する制限部を有してもよい。この場合、パッキンが仕切板に貼り付いたとしても、フィルタが保持部材から外れにくいので、保持部材を介してフィルタに仕切板から離れる方向の力を加えれば、パッキンを仕切板から容易に引き剥がすことができる。また、パッキンが圧縮され過ぎて損傷することが抑制される。この結果、封止性の低下が抑制される。
【0051】
(条項3)
条項1又は2に記載の集塵機においては、前記本体は、前記第1方向を軸方向とする円筒状であり、前記複数の爪の形状は、前記フィルタの中心軸に対して互いに回転対称性を有してもよい。この場合、フィルタを端部部材ごと回転させながら複数の爪を複数の孔に同時に差し込んだり、引き抜いたりすることができる。
【0052】
(条項4)
条項1~3のいずれか一項に記載の集塵機においては、前記複数の爪は、前記周縁部からの高さ位置が互いに異なると共に、互いに逆方向に突出する複数の前記突起を含んでもよい。この場合、フィルタが保持部材からさらに外れにくい。
【0053】
(条項5)
条項1~4のいずれか一項に記載の集塵機は、前記保持部材を支持すると共に、前記保持部材を前記仕切板に沿って摺動させるレール部材をさらに備え、前記保持部材は、前記仕切板の反対側を向く面に設けられた把持部を有してもよい。この場合、レール部材により保持部材を移動させ、フィルタの取り付けや取り外しを行うことができる。また、保持部材と仕切板との間に十分なスペースがない構成でも、作業者が容易に把持部を把持することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…集塵機、13…パッキン、14…レール部材、15…第1仕切板(仕切板の一例)、20…フィルタ、21…本体、21a…上端部(端部の一例)、22…フィルタ上皿(端部部材の一例)、25…延在部、26…スリット(孔の一例)40…フィルタ枠(保持部材の一例)、40a…第1面、40b…第2面、41…開口、41a…周縁部、42…爪、43,44…突起、51…把持部、52…制限部、S1…粉塵室(第1空気室の一例)、S2…清浄空気室(第2空気室の一例)。