(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009005
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】釣糸結束補助具
(51)【国際特許分類】
A01K 93/00 20060101AFI20250109BHJP
A01K 97/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01K93/00 C
A01K97/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111694
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 辰朗
【テーマコード(参考)】
2B109
2B307
【Fターム(参考)】
2B109BA11
2B307EB30
(57)【要約】
【課題】釣用ラインの巻き付けトルクを好適に設定することができる釣糸結束補助具が、提供される。
【解決手段】釣糸結束補助具1は、回転体3と、軸部7と、アーム部11と、案内部13と、回転調整部17と、ゲージ部21と、を備える。回転体3には釣用ラインが巻き付けられる。軸部7は、回転体3を軸心X2まわりに回転可能に支持する。アーム部11には軸部7が設けられる。案内部13は釣用ラインを案内する。案内部13はアーム部11に設けられる。回転調整部17は回転体3をアーム部11に向けて押圧する。ゲージ部21は回転調整部17の移動量を示す。ゲージ部21は、回転調整部17に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣用ラインが巻き付けられる回転体と、
前記回転体を軸心まわりに回転可能に支持する軸部と、
前記軸部が設けられるアーム部と、
前記アーム部に設けられ、前記釣用ラインを案内する案内部と、
前記回転体を前記アーム部に向けて押圧する回転調整部と、
前記回転調整部、および、前記軸部のいずれか一方に設けられ、前記回転調整部の移動量を示すゲージ部と、
を備える釣糸結束補助具。
【請求項2】
前記回転体、および、前記アーム部の間に配置される摩擦部材、
をさらに備える請求項1に記載の釣糸結束補助具。
【請求項3】
前記回転調整部は、
前記軸部に装着される操作部と、
前記操作部と前記回転体との間に配置される付勢部材と、を有する、
請求項1又は2に記載の釣糸結束補助具。
【請求項4】
前記操作部は、
前記軸部に螺合するつまみ部材と、
前記つまみ部材に押圧され、前記付勢部材を押圧する押圧部材と、を有する、
請求項3に記載の釣糸結束補助具。
【請求項5】
前記つまみ部材は、
前記軸部に螺合する第1部材と、
前記第1部材と一体的に回転する第2部材と、を有する、
請求項4に記載の釣糸結束補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸結束補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された釣糸結束補助具は、釣用リールから延びる釣用ラインを、リーダーラインに結束するために用いられる。釣糸結束補助具は、釣用ラインが巻き付けられる回転体と、回転体を支持する支軸と、軸部が設けられるアーム部と、アーム部に設けられ釣用ラインを案内する案内部と、回転体をアーム部に向けて押圧する調整部材と、を備える。
【0003】
この釣糸結束補助具では、まず、釣用ラインが回転体の外周面に巻き付けられる。次に、調整部材を操作することによって、釣用ラインの繰り出し抵抗が調整される。続いて、釣糸結束補助具をリーダーラインまわりに回転させることによって、釣用ラインがリーダーラインに巻き付けられる。最後に、ノットを生成することによって、釣用ラインがリーダーラインに結束される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の釣糸結束補助具では、釣用ラインの繰り出し抵抗が適切でない場合、釣糸結束補助具をリーダーラインまわりに回転させた際に、釣用ラインをリーダーラインに適切に巻き付けることができない。このため、ユーザは、試行錯誤を重ねながら調整部材を調節する必要がある。また、ユーザは調整部材を感覚的に調節しているので、調整部材を調整した後に、この調整と同じ巻き付けトルクを再現することが難しい。
【0006】
本発明の目的は、釣用ラインの巻き付けトルクを好適に設定することができる釣糸結束補助具、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面に関して、釣糸結束補助具は、回転体と、軸部と、アーム部と、案内部と、回転調整部と、ゲージ部と、を備える。回転体には釣用ラインが巻き付けられる。軸部は、回転体を軸心まわりに回転可能に支持する。アーム部には軸部が設けられる。案内部は釣用ラインを案内する。案内部はアーム部に設けられる。回転調整部は回転体をアーム部に向けて押圧する。ゲージ部は回転調整部の移動量を示す。ゲージ部は、軸部、および、回転調整部のいずれか一方に設けられる。
【0008】
本発明の第1の側面に関して、ゲージ部は、軸部、および、回転調整部のいずれか一方に設けられる。これにより、ユーザは、回転調整部の移動量をゲージ部によって確認しながら、釣用ラインの巻き付けトルクを好適に設定することができる。
【0009】
本発明の第2の側面に関して、第1の側面に係る釣糸結束補助具は、以下のように構成される。釣糸結束補助具は、回転体、および、アーム部の間に配置される摩擦部材、をさらに備える。
【0010】
本発明の第3の側面に関して、第1又は第2の側面に係る釣糸結束補助具は、以下のように構成される。回転調整部は、操作部と、付勢部材と、を有する。操作部は軸部に装着される。付勢部材は、操作部と回転体との間に配置される。
【0011】
本発明の第4の側面に関して、第3の側面に係る釣糸結束補助具は、以下のように構成される。操作部は、つまみ部材と、押圧部材と、を有する。つまみ部材は軸部に螺合する。押圧部材はつまみ部材に押圧される。押圧部材は付勢部材を押圧する。
【0012】
本発明の第5の側面に関して、第4の側面に係る釣糸結束補助具は、以下のように構成される。つまみ部材は、第1部材と、第2部材と、を有する。第1部材は軸部に螺合する。第2部材は第1部材と一体的に回転する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態による釣糸結束補助具の側面図。
【
図2】第1実施形態による釣糸結束補助具の断面図。
【
図3】第1実施形態による釣糸結束補助具の側面図(回転調整部が第1軸方向に移動した場合)
【
図4】第1実施形態による釣糸結束補助具の側面図(回転調整部が第1軸方向にさらに移動した場合)
【
図5】本発明の第2実施形態による釣糸結束補助具の側面図。
【
図6】第2実施形態による釣糸結束補助具の断面図。
【
図7】第2実施形態による釣糸結束補助具の側面図(回転調整部が第1軸方向に移動した場合)
【
図8】第2実施形態による釣糸結束補助具の側面図(回転調整部が第1軸方向にさらに移動した場合)
【
図9】本発明の他の実施形態による釣糸結束補助具の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る釣糸結束補助具の実施形態について図面を参照しつつ詳細な説明が行われる。
図1に示すように、釣糸結束補助具1は、釣用リールから延びる釣用ラインを、リーダーラインに結束するために用いられる。なお、本実施形態に示される図面は、模式的なものであり部分的に省略または簡略化されている。
【0015】
図1に示すように、釣糸結束補助具1は、回転体3と、軸部7(
図2を参照)と、アーム部11と、案内部13と、回転調整部17と、ゲージ部21と、を備える。
図2に示すように、釣糸結束補助具1は摩擦部材15をさらに備える。
【0016】
詳細には、
図1、および、
図2に示すように、釣糸結束補助具1は、回転体3と、ラインストッパ5と、軸部7と、カラー部材9と、アーム部11と、案内部13と、摩擦部材15と、回転調整部17と、発音構造19と、ゲージ部21と、を備える。
【0017】
回転体3には釣用ラインが巻き付けられる。回転体3は回転中心軸心X1を有する。回転中心軸心X1は軸部7の軸心X2と同心である。以下では、回転中心軸心X1、および、軸部7の軸心X2が延びる方向が、軸方向と定義される。回転中心軸心X1まわりの方向、および、軸部7の軸心X2まわりの方向が、回転方向、または、周方向と定義される。回転中心軸心X1、および、軸部7の軸心X2から離れる方向が、径方向と定義される。
【0018】
図2に示すように、回転体3は、軸部7の径方向外側に配置される。回転体3は、軸方向において、アーム部11、および、回転調整部17の間に配置される。具体的には、回転体3は、第1本体部31と、被支持部32と、第1フランジ33と、第2フランジ34と、第3フランジ35と、環状凹部36と、を有する。
【0019】
図2に示すように、第1本体部31は筒状に形成される。第1本体部31は、軸部7の径方向外側に配置される。被支持部32は、第1本体部31から径方向内側に突出する。被支持部32は環状に形成される。被支持部32は、軸部7に回転可能に支持される。詳細には、被支持部32は、カラー部材9を介して、軸部7に回転可能に支持される。
【0020】
図2に示すように、第1フランジ33は、第1本体部31の一端から径方向外側に延びる。第1フランジ33は環状に形成される。第1フランジ33は、軸方向において、アーム部11に対向して配置される。第1フランジ33の軸方向外側面33a、および、アーム部11の間には、隙間が設けられる。
【0021】
第2フランジ34は、軸方向において、第1フランジ33、および、第3フランジ35の間で、第1本体部31から径方向外側に延びる。第2フランジ34は環状に形成される。釣用ラインは、第1フランジ33、および、第2フランジ34の軸方向間において、第1本体部31の外周面に巻き付けられる。
【0022】
第3フランジ35は、第1本体部31の他端から径方向外側に延びる。第3フランジ35は環状に形成される。第3フランジ35は、軸方向において第2フランジ34と間隔を隔てて配置される。
【0023】
図2に示すように、環状凹部36は、第1フランジ33の径方向内側に設けられる。環状凹部36は、第1フランジ33、および、被支持部32によって、環状且つ凹状に形成される。詳細には、環状凹部36は、第1フランジ33の径方向内側面、および、被支持部32の軸方向外側面によって、環状且つ形成される。環状凹部36には、摩擦部材15が配置される。
【0024】
図2に示すように、ラインストッパ5は、釣用ラインの先端部を係止するために用いられる。ラインストッパ5は、環状に形成される。本実施形態では、ラインストッパ5は、環状の弾性部材であることが好ましい。
【0025】
ラインストッパ5には、釣用ラインの先端部を係止するためのスリット5aが形成される。ラインストッパ5は、第2フランジ34、および、第3フランジ35の間において、第1本体部31の外周面に配置される。
【0026】
図2に示すように、軸部7は、回転体3を軸心X2まわりに回転可能に支持する。詳細には、軸部7は、頭部37と、軸本体38と、を有する。頭部37はアーム部11に当接する。軸本体38の外周面には、雄ネジ38aが形成される。
【0027】
軸本体38は、アーム部11の孔部11aに螺合し、アーム部11に固定される。この状態において、軸本体38は、カラー部材9を介して、回転体3を回転可能に支持する。軸本体38の外周面には、軸方向に延びる1対の係合面38bが形成される。1対の係合面38bは、後述する発音構造19の発音板47に係合する。
【0028】
カラー部材9は、径方向において、軸部7、および、回転体3の間に配置される。詳細には、カラー部材9は、径方向において、軸部7の軸本体38、および、回転体3の被支持部32の間に配置される。
【0029】
図2に示すように、アーム部11には軸部7が設けられる。詳細には、アーム部11には、上述したように、軸部7の軸本体38が固定される。アーム部11は軸部7に対して径方向に延びる。案内部13はアーム部11の先端部に設けられる。案内部13は釣用ラインを案内する。案内部13は、径方向において、回転体3と間隔を隔てて配置される。案内部13は、管状に形成される。案内部13には、釣用ラインが挿通される。
【0030】
摩擦部材15は、回転体3、および、アーム部11の間に配置される。詳細には、摩擦部材15は環状に形成される。摩擦部材15は、軸方向において、回転体3の環状凹部36、および、アーム部11の間に配置される。摩擦部材15は、回転体3の環状凹部36の底面、および、アーム部11の内面に接触する。
【0031】
図2に示すように、回転調整部17は、回転体3の回転を調整するために用いられる。回転調整部17は、回転体3をアーム部11に向けて押圧する。回転調整部17は、操作部39と、コイルスプリング40(付勢部材の一例)と、を有する。操作部39は軸部7に装着される。操作部39は、つまみ部材41と、押圧部材42と、を有する。
【0032】
つまみ部材41は軸部7に螺合する。例えば、つまみ部材41は、第1部材43と、第2部材44と、を有する。第1部材43は軸部7に螺合する。第1部材43の回転中心は、軸部7の軸心X2と同心である。第1部材43が第1回転方向に回転した場合、第1部材43はアーム部11に接近する第1軸方向D1に、移動する。第1部材43が、第1回転方向とは反対の第2回転方向に、回転した場合、第1部材43はアーム部11から離れる第2軸方向D2に、移動する。第1部材43は押圧部材42を押圧する。
【0033】
具体的には、
図2に示すように、第1部材43は、環状の連結部43aと、被装着部43bと、を有する。連結部43aの内周面には雌ネジ43a1が形成される。連結部43aの雌ネジ43a1は軸部7の軸本体38の雄ネジ38aに螺合する。
【0034】
連結部43aの外周面には、複数の歯部43a2が形成される。複数の歯部43a2は、周方向に互いに間隔を隔てて配置される。複数の歯部43a2のぞれぞれは、軸方向に延びる。被装着部43bは、連結部43aと一体に形成される。被装着部43bは、連結部43aから軸方向に突出する。被装着部43bには第2部材44が装着される。
【0035】
図2に示すように、第2部材44は、第1部材43と一体的に回転する。第2部材44の回転中心は、軸部7の軸心X2と同心である。詳細には、第2部材44は、第1部材43の径方向外側に配置される。第2部材44は、第1部材43の被装着部43bの先端部を覆う。
【0036】
第2部材44は固定用の孔部44aを有する。固定用の孔部44aは径方向に延びる。固定部材45は、固定用の孔部44aに挿通される。固定部材45は、第1部材43の被装着部43bの外面に設けられる凹部43b1に当接する。これにより、第2部材44は第1部材43に固定される。
【0037】
この状態において、第2部材44は、軸方向において、回転体3の第3フランジ35と間隔を隔てて配置される。具体的には、第2部材44、および、回転体3の第3フランジ35の軸方向間には、ゲージ部21を露出させるための空間Sが形成される。
【0038】
図2に示すように、押圧部材42は、つまみ部材41に押圧され、コイルスプリング40を押圧する。詳細には、押圧部材42は、つまみ部材41の第1部材43に押圧され、発音構造19を介してコイルスプリング40を押圧する。押圧部材42は、第2本体部48と、複数の穴部49と、を有する。
【0039】
第2本体部48は、環状に形成される。第2本体部48は、第1部材43の連結部43aの径方向外側に配置される。第2本体部48の内周面には、複数の溝部48aが形成される。複数の溝部48aは、周方向に互いに間隔を隔てて配置される。複数の溝部48aそれぞれは、軸方向に延びる。複数の溝部48aは、連結部43aの複数の歯部43a2に係合する。すなわち、複数の溝部48a、および、複数の歯部43a2によって、スプライン係合が実現される。
【0040】
複数の穴部49のそれぞれは、第2本体部48の軸方向外側面に凹状に形成される。複数の穴部49のそれぞれは、アーム部11に向けて開口する。複数の穴部49の総数は、3個以上であることが好ましい。本実施形態では、複数の穴部49の総数は4個である。
【0041】
図2に示すように、発音構造19は、操作部39の操作時に発音するように構成される。発音構造19は、上記の複数の穴部49と、複数の転動体46と、発音板47と、を有する。複数の転動体46、例えば4個の転動体46は、複数の穴部49に各別に配置される。この状態において、複数の転動体46は発音板47に接触する。
【0042】
発音板47は、環状の板部材である。例えば、発音板47の内周面は、矩形状の孔部47aを形成する。矩形状の孔部47aは、軸本体38の1対の係合面38bに係合する。この非円形係合によって、発音板47は、軸部7に対して、軸方向に移動可能、且つ、周方向に回転不能に装着される。
【0043】
発音板47は、軸方向において、押圧部材42、および、コイルスプリング40の間に配置される。詳細には、発音板47は、軸方向において、複数の転動体46、および、コイルスプリング40の間に配置される。
【0044】
発音板47には、複数の音出し凹部47bが形成される。複数の音出し凹部47bのそれぞれは径方向に延びる。複数の音出し凹部47bは、周方向に互いに間隔を隔てて配置される。
【0045】
複数の音出し凹部47bには、複数の転動体46が接触する。押圧部材42の回転によって、複数の転動体46それぞれは、音出し凹部47bからの離脱、および、周方向に隣接する音出し凹部47bへの係合を、繰り返す。このように、複数の転動体46、および、複数の音出し凹部47bが繰り返し衝突することによって、衝突音が発生する。
【0046】
図2に示すように、コイルスプリング40は、操作部39、および、回転体3の間に配置される。詳細には、コイルスプリング40は、軸方向において、操作部39の押圧部材42、および、回転体3の被支持部32の間に配置される。より詳細には、コイルスプリング40は、軸方向において、発音板47を介して、操作部39の押圧部材42、および、回転体3の被支持部32の間に配置される。本実施形態では、コイルスプリング40は、軸方向において、発音板47、および、回転体3の被支持部32の間に配置される。
【0047】
図1、
図3、および、
図4に示すように、ゲージ部21は、回転調整部17の移動量を示す。移動量は、軸方向の移動量である。詳細には、ゲージ部21は、回転体3に対する回転調整部17の移動量を、示す。より詳細には、ゲージ部21は、回転体3の第3フランジ35に対する操作部39の押圧部材42の移動量を、示す。
【0048】
図1に示すように、ゲージ部21は回転調整部17に設けられる。詳細には、ゲージ部21は、操作部39の押圧部材42に設けられる。本実施形態では、ゲージ部21は、押圧部材42の外周面に設けられる。ゲージ部21の少なくとも一部は、上記の空間Sから露出する。
【0049】
例えば、
図1、
図3、および、
図4に示すように、ゲージ部21は複数の丸印によって示される。操作部39が回転体3に接近するにつれて、周方向に一列に並ぶ丸印の数が多くなるように、ゲージ部21は押圧部材42の外周面に形成される。操作部39の移動量をユーザに視認させることができれば、ゲージ部21はどのように押圧部材42に形成されてもよい。
【0050】
釣糸結束補助具1は、以下のように操作され動作する。まず、
図1の状態において、釣用ラインの先端部が、案内部13に挿通され、ラインストッパ5に係止される。次に、釣用ラインが、回転体3の第1フランジ33、および、回転体3の第2フランジ34の間において、回転体3の第1本体部31に巻き付けられる。
【0051】
続いて、ユーザがつまみ部材41を第1回転方向に回転した場合、つまみ部材41は第1回転方向に回転しながら第1軸方向D1に移動する。このつまみ部材41の動作に連動して、押圧部材42は第1回転方向に回転しながら第1軸方向D1に移動する。これにより、釣糸結束補助具1は、
図1の状態から、
図3の状態、および、
図4の状態に変化する。
【0052】
ここで、押圧部材42が第1回転方向に回転する際には、発音構造19が作動し音が鳴る。この際には、押圧部材42が第1軸方向D1に移動し、コイルスプリング40が発音板47によって圧縮される。コイルスプリング40の圧縮量が大きくなるにつれて、摩擦部材15、および、回転体3の凹部の間の摩擦力と、摩擦部材15、および、アーム部11の間の摩擦力とが、大きくなる。すなわち、操作部39を第1回転方向に回転すればするほど、アーム部11に対する回転体3の回転抵抗が大きくなる。
【0053】
一方で、ユーザがつまみ部材41を第2回転方向に回転した場合、釣糸結束補助具1は、ユーザがつまみ部材41を第1回転方向に回転した場合とは逆の動作を行う。すなわち、ユーザがつまみ部材41を第2回転方向に回転した場合、コイルスプリング40の圧縮量が小さくなり、アーム部11に対する回転体3の回転抵抗が小さくなる。
【0054】
上述したように、つまみ部材41が第1回転方向に回転操作すると、押圧部材42は第1軸方向D1に移動する。一方で、つまみ部材41が第2回転方向に回転すると、押圧部材42は第2軸方向D2に移動する。
【0055】
この回転操作後には、ユーザは、上記の空間Sを介してゲージ部21を径方向外側から視認することができる。具体的には、ユーザは、
図1のゲージ部21、
図3のゲージ部21、および、
図4のゲージ部21によって、回転体3の第3フランジ35に対する現状の操作部39の移動量を、視認することができる。このように、釣糸結束補助具1では、ユーザは、操作部39の移動量をゲージ部21によって確認しながら、釣用ラインの巻き付けトルクを好適に設定することができる。
【0056】
また、釣糸結束補助具1は、回転体3、および、アーム部11の間に配置される摩擦部材15、を備えるので、回転体3に対して回転抵抗を好適に与えることができる。
【0057】
また、釣糸結束補助具1では、コイルスプリング40が操作部39と回転体3との間に配置されるので、操作部39は、コイルスプリング40を介して、回転体3をアーム部11に対して好適に押圧することができる。
【0058】
また、釣糸結束補助具1では、操作部39を、つまみ部材41、および、押圧部材42から構成することによって、操作部39を、容易に組み立てたり、容易に分解したりすることができる。これにより、釣糸結束補助具1のメンテナンスを容易に実現することができる。
【0059】
さらに、釣糸結束補助具1では、つまみ部材41を、第1部材43、および、第2部材44から構成することによって、つまみ部材41を、容易に組み立てたり、容易に分解したりすることができる。これにより、釣糸結束補助具1のメンテナンスを容易に実現することができる。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態の釣糸結束補助具101では、
図5-
図8に示すように、ゲージ部121が軸部107に設けられる。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号が用いられ、詳細な説明が省略される。
【0061】
釣糸結束補助具101では、
図5、
図7、および、
図8に示すように、軸部107の先端部は、つまみ部材41の先端から軸方向に突出する。詳細には、軸部107の先端部は、つまみ部材41の第2部材144の先端から軸方向外側に露出する。
【0062】
具体的には、
図6に示すように、第1部材143の被装着部143bは、第1孔部143b1をさらに有する。第1孔部143b1は、第1部材143の被装着部143bを軸方向に貫通する。軸部107の軸心X2が第1孔部143b1の中心を通過するように、軸部7は第1孔部143b1に挿通される。
【0063】
第2部材144は、第2孔部144bをさらに有する。第2孔部144bは、第2部材144の先端部を軸方向に貫通する。軸部107の軸心X2が第2孔部144bの中心を通過するように、軸部7は第2孔部144bに挿通される。この状態において、軸部107の先端部は、第2孔部144bから軸方向外側に突出する。
【0064】
ゲージ部121が回転調整部17の移動量を示す点は、第1実施形態と同じである。
図5-
図8に示すように、ゲージ部121は軸部107に設けられる。詳細には、ゲージ部121は、軸部107の先端部に設けられる。本実施形態では、ゲージ部121は、軸部107の先端部の外周面に設けられる。ゲージ部121の少なくとも一部は、第2部材144の先端面から露出する。
【0065】
例えば、
図5-
図8に示すように、ゲージ部121は三角印によって示される。操作部139がアーム部11に接近するにつれて三角印の幅が大きくなるように、ゲージ部121は軸部107の外周面に形成される。操作部139の移動量をユーザに視認させることができれば、ゲージ部121はどのように軸部107に形成されてもよい。
【0066】
第2実施形態の構成では、ユーザは、つまみ部材41の回転操作後に、
図5のゲージ部121、
図7のゲージ部121、または、
図8のゲージ部121を径方向外側から見ることによって、軸部107に対する操作部39の移動量を視認することができる。これにより、釣糸結束補助具101では、ユーザは、操作部39の移動量をゲージ部121によって確認しながら、釣用ラインの巻き付けトルクを好適に設定することができる。
【0067】
(他の実施形態)
(A)前記第1実施形態のゲージ部21が、前記第2実施形態の押圧部材42の外周面に形成されてもよい。
【0068】
(B)前記第1実施形態、および、第2実施形態では、操作部39の移動量がゲージ部21,121によって視認される場合の例が、示された。前記第1実施形態では、ゲージ部21が操作部39の押圧部材42に設けられる。前記第2実施形態では、ゲージ部121が軸部107に設けられる。これに代えて、
図9に示すように、ゲージ部221はつまみ部材41の第2部材44に設けられてもよい。
【0069】
この場合、ユーザが操作部39の移動量を操作部39の回転量によって視認できるように、釣糸結束補助具201が構成される。釣糸結束補助具201は、カバー部材51をさらに備える。カバー部材51は、カバー本体51aと、取付部51bと、を有する。カバー本体51aは第2部材44を部分的に覆う。具体的には、カバー本体51aは、第2部材44における回転体3側の部分を覆う。カバー本体51aは窓部51cを有する。カバー本体51aは、取付部51bを介してアーム部11に固定される。
【0070】
ゲージ部221は複数の数字によって示される。ゲージ部221の複数の数字のいずれか1つが、カバー本体51aの窓部51cから露出する。操作部39が回転体3に接近するにつれて数字が大きくなるように、ゲージ部221は、つまみ部材41の第2部材44の外面に形成される。操作部39の移動量をユーザに視認させることができれば、ゲージ部21はどのように形成されてもよい。このように構成しても、ユーザは、操作部39の移動量をゲージ部221によって確認しながら、釣用ラインの巻き付けトルクを好適に設定することができる。
【0071】
(C)第1実施形態の軸部7の頭部37が、アーム部11の外面から離れる第1軸方向D1、および、アーム部11の外面に近づく第2軸方向D2に移動するように、釣糸結束補助具1が構成されてもよい。
【0072】
この場合、ゲージ部は、軸部7の軸本体38の基端部(軸部7の頭部37側の部分)に設けられる。第1部材43の連結部43aが軸部7の軸本体38と一体的に回転するように、第1部材43は軸部107に係合する。これにより、つまみ部材41の回転操作によって、軸部7の頭部37は、第1軸方向D1、または、第2軸方向D2に移動する。
【0073】
この状態において、つまみ部材41が回転操作されると、軸部7の頭部37、および、アーム部11の外面の軸方向間には、軸部7の軸本体38の基端部、すなわち、ゲージ部が露出する。このように構成しても、ユーザは、操作部39の移動量をゲージ部によって確認しながら、釣用ラインの巻き付けトルクを好適に設定することができる。
【0074】
(D)釣糸結束補助具1,101は、回転体3、および、軸部7,107の少なくともいずれか1つに対する回転調整部17の移動を規制するロック構造、をさらに備えていてもよい。このロック構造によって、釣用ラインの巻き付けトルクを、ユーザが所望するトルクに固定することができる。
【0075】
(E)前記実施形態では、第1部材43、および、第2部材44が別体である場合の例が示されたが、第1部材43、および、第2部材44は一体に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 釣糸結束補助具
3 回転体
7 軸部
11 アーム部
13 案内部
17 回転調整部
21 ゲージ部
L1 釣用ライン
15 摩擦部材
39 操作部
40 コイルスプリング
41 つまみ部材
42 押圧部材
43 第1部材
44 第2部材