(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009009
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】包装箱用のシート材、包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20250109BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111701
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】永松 良太
(72)【発明者】
【氏名】藤宮 卓生
(72)【発明者】
【氏名】前田 真志
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060CD03
3E060CD11
3E060DA11
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】内フラップの落ち込みを抑えると共に十分な強度を確保する。
【解決手段】包装箱用のシート材(5)は、直交する第1の折線(L1-L4)及び第2の折線(L5-L12)が形成されている。シート材には、第1の折線を介して並んだ第1の側壁(11a、11b)及び第2の側壁(12a、12b)と、第2の折線を介して第1の側壁に連なる外フラップ(15a、15b)と、第2の折線を介して第2の側壁に連なる内フラップ(16a、16b)と、が設けられている。外フラップの基端部の側縁側には、第2の折線よりも優先して折れ曲がる曲げ誘導部(L13、L14)が形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する第1の折線(L1-L4)及び第2の折線(L5-L12)が形成された包装箱(1)用のシート材(5)であって、
第1の折線を介して並んだ第1の側壁(11a、11b)及び第2の側壁(12a、12b)と、
第2の折線を介して前記第1の側壁に連なる外フラップ(15a、15b)と、
第2の折線を介して前記第2の側壁に連なる内フラップ(16a、16b)と、を備え、
前記外フラップの基端部の側縁側には、第2の折線よりも優先して折れ曲がる曲げ誘導部(L13、L14)が形成されていることを特徴とする包装箱用のシート材。
【請求項2】
前記曲げ誘導部は、第2の折線よりも前記外フラップの先端側に形成された段違い罫線(L13、L14)であることを特徴とする請求項1に記載の包装箱用のシート材。
【請求項3】
前記外フラップの最も側縁側に位置する前記段違い罫線の一端よりも、前記外フラップの最も中央側に位置する前記段違い罫線の他端が第2の折線に近づけられていることを特徴とする請求項2に記載の包装箱用のシート材。
【請求項4】
前記段違い罫線が第2の折線に交差するように傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の包装箱用のシート材。
【請求項5】
包装箱が組み立てられたときに、前記第1の側壁の中央側と前記第2の側壁に高低差が生じないように、前記外フラップの基端部の中央側に前記曲げ誘導部が無い範囲(R1)が確保されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱用のシート材。
【請求項6】
包装箱が組み立てられたときに、前記外フラップと前記内フラップの隙間が抑えられるように、第2の折線から前記外フラップの先端側に離間した所定範囲(R3)に前記曲げ誘導部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱用のシート材。
【請求項7】
第2の折線がコルゲータによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱用のシート材。
【請求項8】
前記曲げ誘導部がフレキソフォルダーグルアーによって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の包装箱用のシート材。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシート材から組み立てられる包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱用のシート材、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱として、一対の内フラップと一対の外フラップに段違い罫線が付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の包装箱を展開したシート材では、第1の側壁と外フラップの折線が第2の側壁と内フラップの折線よりも僅かに上側に設けられており、第1の側壁と外フラップの折線と第2の側壁と内フラップの折線に高低差が付けられている。一対の内フラップが折り曲げられた後に、一対の外フラップが箱中央で突き合わされてテープで封緘される。封緘時に内フラップに上側から外フラップが重ねられても、折線の高低差によって内フラップの落ち込みが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の包装箱では、外フラップと内フラップの折線の高さが異なるので、外フラップを介して第1の側壁が荷重を受け、第1の側壁が座屈した後に内フラップを介して第2の側壁が荷重を受ける。このため、圧縮荷重に対して包装箱の強度が十分に得られないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、内フラップの落ち込みを抑えると共に十分な強度を確保することができる包装箱用のシート材及び包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の包装箱用のシート材は、直交する第1の折線及び第2の折線が形成された包装箱用のシート材であって、第1の折線を介して並んだ第1の側壁及び第2の側壁と、第2の折線を介して前記第1の側壁に連なる外フラップと、第2の折線を介して前記第2の側壁に連なる内フラップと、を備え、前記外フラップの基端部の側縁側には、第2の折線よりも優先して折れ曲がる曲げ誘導部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外フラップの側縁側が第2の折線で折り曲げられずに曲げ誘導部で折り曲げられる。このため、内フラップと外フラップが重なって反発が強まる箇所では、内フラップと外フラップが段違いで折り込まれて内フラップの落ち込みが抑えられる。また、段違いで折り曲げられるのは外フラップの一部であり、外フラップの側縁側以外では外フラップが第2の折線で折り曲げられる。このため、第1の側壁及び第2の側壁の両方で荷重を受け止めることができるため、圧縮荷重に対して包装箱が十分な強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の包装箱の開封状態を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の包装箱の封緘状態を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態の蓋外フラップの基端部周辺を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態について説明する。各図に付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ包装箱を正面から見たときの前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。また、本実施形態では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
図1及び
図2を参照して、本実施形態の包装箱について説明する。
図1は本実施形態の包装箱の開封状態を示す斜視図である。
図2は本実施形態の包装箱の封緘状態を示す斜視図である。
図3は比較例のシート材の上面模式図である。
図4は本実施形態のシート材の平面図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、包装箱1は、いわゆる0201(A式)段ボール箱であり、フラップを折り込んで封緘可能に形成されている。包装箱1は前後方向で長壁(第1の側壁)11a、11bを対向させ、左右方向で短壁(第2の側壁)12a、12bを対向させた上面視矩形状の周壁10を有している。長壁11a、11bの下縁には底外フラップ13a、13bが連なっており、短壁12a、12bの下縁には底内フラップ14a、14bが連なっている。底外フラップ13a、13bの内側(上側)に底内フラップ14a、14bが折り込まれて、底外フラップ13a、13bによって周壁10の底面開口が封止されている。
【0012】
長壁11a、11bの上縁には蓋外フラップ(外フラップ)15a、15bが連なっており、短壁12a、12bの上縁には蓋内フラップ(内フラップ)16a、16bが連なっている。蓋外フラップ15a、15bの内側(下側)に蓋内フラップ16a、16bが折り込まれて、蓋外フラップ15a、15bによって周壁10の天面開口が封止されている。底外フラップ13a、13bが底内フラップ14a、14bに対して糊付けされて包装箱1の底壁が形成されている。また、蓋外フラップ15a、15bが蓋内フラップ16a、16bに対して糊付けされて包装箱1の蓋壁が形成されている。
【0013】
ところで、
図3(A)に示すように、比較例のシート材31にはコルゲータ(不図示)によって外フラップ34及び内フラップ35の基端に折線Laが形成されている。コルゲータは表裏のライナと中芯を貼り合わせることで段ボールの連続シートを形成する装置であり、連続シートの形成時にシートの搬送方向に沿ってスコアラ(罫線ローラ)で折線Laが直線的に形成されている。このシート材31から包装箱を組み立てる際には、外フラップ34と内フラップ35が重なる箇所でフラップ同士の反発が強まって、フラップの接着不良や荷姿の不安定化の原因となる場合がある。
【0014】
図3(B)に示すように、外フラップ34及び内フラップ35の基端の折線Lb、Lcに高低差を付けることでフラップ同士の反発を抑えることができる。しかしながら、折線Lb、Lcに高低差が生じているため、連続シートの形成時にコルゲータのスコアラでは折線Lb、Lcを形成することができない。抜き型を用いて折線Lb、Lcを形成することも可能であるが、印刷工程、抜き工程、貼り工程を個別の装置で実施しなければならない。また、包装箱の製函後には長壁32が短壁33よりも高くなって、包装箱が積み上げられたときには圧縮荷重が長壁32に集中して十分な強度が得られない。
【0015】
この場合、フレキソフォルダーグルアーのダイカッタでも折線Lb、Lcを形成することができる。しかしながら、シート材31が折線Lb、Lcと直交する方向に搬送されるため、ダイカッタの動作タイミング等によって折線Lb、Lcに抜きズレが生じる場合がある。折線Lb、Lcに抜きズレが生じると、外フラップ34及び内フラップ35の長さが変化する。例えば、外フラップ34が短くなると、外フラップ34同士を突き合せて封緘するときに隙間が形成される。外フラップ34が長くなると、外フラップ34同士を突き合わせて封緘するときにフラップ同士が干渉する。
【0016】
さらに、
図3(C)に示すように、上側の折線Lb、Lcをフレキソフォルダーグルアーで形成し、下側の折線Laをコルゲータで形成することもできる。しかしながら、ダイカッタの動作タイミング等によって上側の折線Lb、Lcに抜きズレが生じる場合がある。上側の折線Lb、Lcに抜きズレが生じると、長壁32と短壁33の高さが変化して製函後の包装箱の収容効率が安定しない。また、
図3(C)に示すシート材31においても、長壁32が短壁33よりも高くなって、包装箱が積み上げられたときには圧縮荷重が長壁32に集中して十分な強度が得られない。
【0017】
そこで、本実施形態の包装箱1では、フラップ同士が重なって反発が強まる箇所が段違いで折り込まれ、その他の箇所が同じ高さで折り込まれている。フラップが段違いで折り込まれても、全周で圧縮荷重が受け止められて包装箱1の強度が高められている。段違い箇所が一部に制限されているため、段違い箇所の折目にズレが生じてもフラップの長さの変化が最小限に抑えられている。抜きズレが生じ易いフレキソフォルダーグルアーによって印刷工程から貼り工程までの一例の処理を実施することができ、作業負担及び作業工数を低減することができる。
【0018】
図4に示すように、シート材5は、包装箱1を展開した状態を示しており、コルゲータで製造された一枚の紙製の段ボールシートを、フレキソフォルダーグルアーの抜き加工で所定形状に切り抜くことで形成されている。段ボールシートは、波状の中芯6に表ライナ及び裏ライナを貼り合わせた両面段ボールシートである。なお、
図4には表ライナ側から見た段ボールシートを示している。以下の説明においては、段ボールシートの中芯6の段頂が延びる方向を「段目方向X」とし、段ボールシートの中芯6と直交する方向を「流れ方向Y」とする。
【0019】
コルゲータでは、波状の中芯6に表ライナ及び裏ライナが張り合わされて流れ方向Yに段ボールの連続シートが形成され、コルゲータのスコアラ25で連続シートの延在に沿って折線が付けられている。このため、シート材5には、流れ方向Yと平行に折線L5-L12(第2の折線)が形成されている。フレキソフォルダーグルアーでは、段ボールシートが段目方向Xに搬送され、フレキソフォルダーグルアーのクリーザー(罫線ローラ)26で段ボールシートの搬送方向に沿って折線が付けられている。このため、シート材5には、段目方向Xと平行に折線L1-L4(第1の折線)が形成されている。
【0020】
シート材5には、折線L1-L4を介して継ぎ代17、長壁11a、短壁12a、長壁11b、短壁12bが流れ方向Yの一方側に並んでいる。長壁11a、11bの段目方向Xの一方側には折線L5、L9を介して矩形状の蓋外フラップ15a、15bが連なり、長壁11a、11bの段目方向Xの他方側には折線L6、L10を介して矩形状の底外フラップ13a、13bが連なっている。短壁12a、12bの段目方向Xの一方側には折線L7、L11を介して矩形状の蓋内フラップ16a、16bが連なり、短壁12a、12bの段目方向Xの他方側には折線L8、L12を介して矩形状の底内フラップ14a、14bが連なっている。
【0021】
継ぎ代17は略台形状に形成されており、長壁11a、11b、短壁12a、12b、蓋外フラップ15a、15b、底外フラップ13a、13b、蓋内フラップ16a、16b、底内フラップ14a、14bは矩形状に形成されている。なお、折線L1-L12は折罫で形成されている。折罫とは段ボールシートを裏ライナ側から直線状に押し潰した折線を示している。折線L1-L12は、段ボールシートが折り曲げ可能に形成されていればよい。
【0022】
また、蓋外フラップ15a、15bの基端部の側縁側には、折線L5、L9よりも優先して折れ曲がる曲げ誘導部として段違い罫線L13、L14が形成されている。段違い罫線L13、L14のそれぞれが、コルゲータで付けられた折線L5、L9よりも鋭い2本の罫線で形成されている。これにより、蓋外フラップ15a、15bが折線L5、L9で曲がらずに段違い罫線L13、L14で曲がっている。段違い罫線L13、L14は折罫で形成されているが、リード罫やミシン罫で形成されていてもよい。リード罫とは、罫線上に複数の切込みを断続的に形成した折線を、ミシン罫は切込みを断続的に配置したものを示している。段違い罫線L13、L14をそれぞれ1本の折罫で形成するよりも加工負荷を小さくすることができる。なお、段違い罫線L13、L14の詳細については後述する。
【0023】
次に、
図2及び
図4を参照して、包装箱1の組み立て作業について説明する。包装箱1は、作業者の手作業によって組み立てられてもよいし、製函機によって自動的又は半自動的に組み立てられてもよい。ここでは、一例として、作業者が包装箱1を組み立てる場合について説明するが、包装箱1の組み立て作業の作業順序は適宜変更が可能である。なお、
図4に示すシート材5が短壁12aと長壁11bの間の折線L3で折り畳まれており、折線L1で折り返された継ぎ代17が短壁12bの内面に接着された状態から包装箱1が組み立てられるものとする。
【0024】
先ず、長壁11aと短壁12aが折線L2に沿って直角に折り曲げられ、長壁11bと短壁12bが折線L4に沿って直角に折り曲げられて角筒状の周壁10が形成される。これにより、長壁11a、11bが前後方向で対向し、短壁12a、12bが左右方向で対向する。底内フラップ14a、14bが折線L8、L12に沿って直角に折り曲げられ、底外フラップ13a、13bが折線L6、L10に沿って直角に折り曲げられる。底外フラップ13a、13bの先端同士が突き合わされ、底内フラップ14a、14bに底外フラップ13a、13bが接着されて包装箱1の底壁が形成される。
【0025】
蓋内フラップ16a、16bが折線L7、L11に沿って直角に折り曲げられ、蓋外フラップ15a、15bが折線L5、L9に沿って直角に折り曲げられる。このとき、蓋外フラップ15a、15bの側縁側が折線L5、L9で折り曲げられずに段違い罫線L13、L14で折り曲げられる。蓋外フラップ15a、15bと蓋内フラップ16a、16bを段違いで折り込まれて、蓋内フラップ16a、16bと蓋外フラップ15a、15bが重なって反発が強まることがない。蓋外フラップ15a、15bの先端同士が突き合わされ、蓋内フラップ16a、16bに蓋外フラップ15a、15bが接着されて包装箱1の蓋壁が形成される。
【0026】
このような包装箱1では、蓋外フラップ15a、15bの基端部の側縁側(角付近)が僅かに高くなっている。蓋外フラップ15a、15bの基端部の側縁側は段違い罫線L13、L14で折り曲げられているが、蓋外フラップ15a、15bの基端部の側縁側には折線L5、L9も形成されている。蓋外フラップ15a、15bの基端部の側縁側に圧縮荷重が強く作用すると、段違い罫線L13、L14と折線L5、L9の間で蓋外フラップ15a、15bが圧壊する。長壁11a、11bと短壁12a、12bの高低差が小さくなって、包装箱1の圧縮荷重に対する強度が高められている。
【0027】
図5を参照して、段違い罫線について説明する。
図5は本実施形態の蓋外フラップの基端部周辺を示す図である。ここでは段違い罫線L13についてのみ説明するが、段違い罫線L14も同様である。なお、
図5には裏ライナ側から見た段ボールシートを示している。
【0028】
図5に示すように、蓋外フラップ15aの基端部には折線L5が全体的に形成されており、蓋外フラップ15aの基端部の側縁側には段違い罫線L13が部分的に形成されている。段違い罫線L13は2本の鋭い罫線から成り、各罫線が蓋外フラップ15aの側縁から中央に向かって折線L5に交差するように傾斜している。段違い罫線L13の2本の罫線は折罫で形成されている。また、流れ方向Yに対する段違い罫線L13の傾斜角度は、折線L5よりも段違い罫線L13が優先して折れ曲がり可能な角度、例えば0度以上かつ30度未満で傾斜することが好ましい。
【0029】
蓋外フラップ15aの基端部の側縁側が段違い罫線L13で折り曲げられ、蓋外フラップ15aの基端部の中央側が折線L5で折り曲げられる。また、段違い罫線L13が折線L5に交差しているため、段違い罫線L13から折線L5に亘ってよりスムーズに折目を付けることができる。
【0030】
段違い罫線L13はフレキソフォルダーグルアーのロータリーダイカッタ27で形成されている。上記したように、フレキソフォルダーグルアーでは段ボールシートが段目方向Xに搬送されており、ロータリーダイカッタ27の回転軸が流れ方向Yと平行に延びている。このため、ロータリーダイカッタ27の動作タイミング、搬送速度、取付けた抜型の位置に誤差が生じると段違い罫線L13に抜きズレが生じる場合がある。段違い罫線L13が部分的に形成されているため、段違い罫線L13に抜きズレが生じても、蓋外フラップ15aの大部分が折線L5で折り曲げられ、蓋外フラップ15aのフラップ長や長壁11aの高さ寸法への影響が抑えられる。
【0031】
フレキソフォルダーグルアーで段違い罫線L13が形成されるため、印刷工程から貼り工程までの作業をフレキソフォルダーグルアーで実施して作業負担及び作業工数を低減することができる。
【0032】
また、シート材5から包装箱1が組み立てられたときに、長壁11aの中央側と短壁12aに高低差が生じないように、蓋外フラップ15aの基端部の中央側に段違い罫線L13が無い範囲R1が確保されている。この場合、蓋外フラップ15aのフラップ幅の30%以上に段違い罫線L13が無い範囲R1が確保されることが好ましい。蓋外フラップ15aの基端部の中央側が折線L5で折れ曲がることで、長壁11aと短壁12aの高低差が小さくなって圧縮荷重に対する包装箱1の強度が高められる。なお、段違い罫線L13が有る範囲R2は、蓋外フラップ15aの側縁側で非対称に確保されていてもよい。
【0033】
さらに、シート材5から包装箱1が組み立てられたときに、蓋外フラップ15aと蓋内フラップ16aの隙間が抑えられるように、折線L5から蓋外フラップ15aの先端側に離間した所定範囲R3に段違い罫線L13が形成されている。この場合、シート材5の厚みの2倍の長さだけ折線L5から離間した所定範囲R3に段違い罫線L13が形成されることが好ましい。蓋外フラップ15aの基端部の側縁側が段違い罫線L13で折れ曲がることで、蓋外フラップ15aと蓋内フラップ16aの隙間が小さく抑えられて、外部からの塵埃、虫等の異物の侵入を防止することができる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、蓋外フラップ15a、15bの側縁側が折線L5、L9で折り曲げられずに段違い罫線L13、L14で折り曲げられる。このため、蓋内フラップ16a、16bと蓋外フラップ15a、15bが重なって反発が強まる箇所では、蓋内フラップ16a、16bと蓋外フラップ15a、15bが段違いで折り込まれて蓋内フラップ16a、16bの落ち込みが抑えられる。また、段違いで折り曲げられるのは蓋外フラップ15a、15bの一部であり、蓋外フラップ15a、15bの側縁側以外では蓋外フラップ15a、15bが折線L5、L9で折り曲げられる。このため、長壁11a、11b及び短壁12a、12bの両方で荷重を受け止めることができるため、圧縮荷重に対して包装箱1が十分な強度を得ることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、蓋外フラップの側縁から中央に向かって流れ方向に平行な折線に近づくように、段違い罫線が直線的に傾斜しているが、段違い罫線が直線的に傾斜している構成に限定されない。蓋外フラップの最も側縁側に位置する段違い罫線の一端よりも、蓋外フラップの最も中央側に位置する段違い罫線の他端が流れ方向に平行な折線に近づけられていればよい。このような段違い罫線であっても、蓋外フラップの側縁側が段違い罫線で折れ曲がって、段違い罫線から流れ方向に平行な折線に亘ってスムーズに折目を付けることができる。
【0036】
例えば、
図6(A)に示すように、蓋外フラップ21aには円弧状に湾曲した段違い罫線L15が形成されてもよい。この場合、段違い罫線L15の一端から蓋外フラップ21aの中央側に向かって折線L16に近づくように湾曲し、段違い罫線L15の他端が折線L16から離れる方向に湾曲してもよい。また、
図6(B)に示すように、蓋外フラップ22aには、流れ方向Yに平行な切込みを斜めに並べた段違い罫線L17が形成されてもよい。段違い罫線L17は、蓋外フラップ22aの側縁から中央に向かって折線L18に近づくように並んでいる。これら変形例の各段違い罫線L15、L17は折線L16、L18を超えて延びていてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、段違い罫線が2本の罫線で形成されたが、段違い罫線が1本の罫線で形成されていてもよいし、3本以上の罫線で形成されていてもよい。また、各罫線は切罫、折罫、ミシン罫で形成されていてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、段違い罫線が流れ方向に平行な折線と交差するように傾斜しているが、段違い罫線も流れ方向と平行に形成されていてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、蓋外フラップの側縁から中央側に段違い罫線が延びているが、蓋外フラップの側縁よりも内側部分から中央側に段違い罫線が延びていてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、曲げ誘導部として段違い罫線で形成したが、曲げ誘導部は流れ方向に平行な折線よりも優先して折れ曲がるものであればよい。例えば、曲げ誘導部は蓋外フラップが段潰しされることで形成されてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、流れ方向に平行な折線がコルゲータで形成されているが、流れ方向に平行な折線が他の加工機によって形成されていてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、曲げ誘導部としての段違い罫線がフレキソフォルダーグルアーで形成されているが、曲げ誘導部が他の加工機によって形成されていてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、シート材の一対の長壁と一対の短壁が流れ方向に並んでいるが、シート材の一対の長壁と一対の短壁が段目方向に並んでいてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、トレイが両面段ボールシートで形成されているが、トレイが片面段ボールシート、複両面段ボールシート、厚紙、樹脂製の板材等で形成されていてもよい。
【0045】
以上の通り、第1態様は、直交する第1の折線(折線L1-L4)及び第2の折線(折線L5-L12)が形成された包装箱(1)用のシート材(5)であって、第1の折線を介して並んだ第1の側壁(長壁11a、11b)及び第2の側壁(短壁12a、12b)と、第2の折線を介して第1の側壁に連なる外フラップ(15a、15b)と、第2の折線を介して第2の側壁に連なる内フラップ(16a、16b)と、を備え、外フラップの基端部の側縁側には、第2の折線よりも優先して折れ曲がる曲げ誘導部(段違い罫線L13、L14)が形成されている。この構成によれば、外フラップの側縁側が第2の折線で折り曲げられずに曲げ誘導部で折り曲げられる。このため、内フラップと外フラップが重なって反発が強まる箇所では、内フラップと外フラップが段違いで折り込まれて内フラップの落ち込みが抑えられる。また、段違いで折り曲げられるのは外フラップの一部であり、外フラップの側縁側以外では外フラップが第2の折線で折り曲げられる。このため、第1の側壁及び第2の側壁の両方で荷重を受け止めることができるため、圧縮荷重に対して包装箱が十分な強度を得ることができる。
【0046】
第2態様は、第1態様において、曲げ誘導部は、第2の折線よりも外フラップの先端側に形成された段違い罫線(L13、L14)である。この構成によれば、内フラップと外フラップを段違いで折り込まれて、内フラップと外フラップが重なって反発が強まることがない。
【0047】
第3態様は、第2態様において、外フラップの最も側縁側に位置する段違い罫線の一端よりも、外フラップの最も中央側に位置する段違い罫線の他端が第2の折線に近づけられている。この構成によれば、外フラップを折り曲げた際に、段違い罫線から第2の折線に亘ってスムーズに折目を付けることができる。
【0048】
第4態様は、第2態様又は第3態様において、段違い罫線が第2の折線に交差するように傾斜している。この構成によれば、外フラップを折り曲げた際に、段違い罫線から第2の折線に亘ってよりスムーズに折目を付けることができる。
【0049】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1態様において、包装箱が組み立てられたときに、第1の側壁の中央側と第2の側壁に高低差が生じないように、外フラップの基端部の中央側に曲げ誘導部が無い範囲(R1)が確保されている。この構成によれば、外フラップの基端部の中央側が第2の折線で折れ曲がることで、第1の側壁の中央側と第2の側壁の高低差が小さくなって圧縮荷重に対する包装箱の強度を高めることができる。
【0050】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1態様において、包装箱が組み立てられたときに、外フラップと内フラップの隙間が抑えられるように、第2の折線から外フラップの先端側に離間した所定範囲(R3)に曲げ誘導部が形成されている。この構成によれば、外フラップの基端部の側縁側が曲げ誘導部で折れ曲がることで、外フラップと内フラップの隙間が小さく抑えられて、外部からの塵埃、虫等の異物の侵入を防止することができる。
【0051】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1態様において、第2の折線がコルゲータによって形成されている。この構成によれば、第2の折線がコルゲータで形成されることで、外フラップ、内フラップ、第1の側壁、第2の側壁の寸法精度を高めて、封緘時の隙間やフラップ同士の干渉を抑えると共に収容効率や包装箱の強度を高めることができる。
【0052】
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか1態様において、曲げ誘導部がフレキソフォルダーグルアーによって形成されている。この構成によれば、フレキソフォルダーグルアーによって印刷工程から貼り工程までの作業を実施して作業負担及び作業工数を低減することができる。また、フレキソフォルダーグルアーによって曲げ誘導部の抜きズレが生じても、外フラップの大部分が第2の折線で折り曲げられる。抜けズレが生じても外フラップ及び第1の側壁の寸法の影響を抑えることができる。
【0053】
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか1態様のシート材から組み立てられる包装箱である。この構成によれば、内フラップの落ち込みが抑えられると共に、圧縮荷重に対して十分な強度を得ることができる。
【0054】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0055】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、実用新案登録請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0056】
1 :包装箱
5 :シート材
11a、11b:長壁(第1の側壁)
12a、12b:短壁(第2の側壁)
15a、15b:蓋外フラップ(外フラップ)
16a、16b:蓋内フラップ(内フラップ)
L1-L4 :折線(第1の折線)
L5-L12 :折線(第2の折線)
L13、L14:段違い罫線(曲げ誘導部)
R1 :曲げ誘導部が無い範囲
R3 :所定範囲