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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009024
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20250109BHJP
   A01K 85/16 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01K85/00 G
A01K85/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111730
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 辰朗
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BB01
2B307BB10
(57)【要約】
【課題】釣り対象魚に応じた変化に富んだ好適なアピール動作を行うことができる。
【解決手段】頭部側に配置される頭部ボディ10Aと、頭部ボディ10Aから尾部側に向けて延在する揺動軸部20と、揺動軸部20の周囲に揺動可能に支持される胴部ボディ10Bと、胴部ボディ10B及び揺動軸部20に設けられ、胴部ボディ10Bの揺動角を規制する規制部30と、を有し、揺動軸部20は頭部ボディ10Aに固定される構成のルアーを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部側に配置される第1ボディと、
前記第1ボディから尾部側に向けて延在する軸部と、
前記軸部の周囲に揺動可能に支持される第2ボディと、
前記第2ボディ及び前記軸部のうち少なくとも一方に設けられ、前記第2ボディの揺動角を規制する規制部と、
を有するルアー。
【請求項2】
前記軸部は前記第1ボディに固定される、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記規制部は、
前記軸部から突出する凸部と、
前記第2ボディに形成され、前記凸部を収容する凹部と、
を備える、請求項1または2に記載のルアー。
【請求項4】
前記凹部は、前記第2ボディを貫通する開口部である、請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
前記凹部は、前記第2ボディの下部に設けられる、請求項3に記載のルアー。
【請求項6】
前記第2ボディは、前記軸部を同軸に挿通させ、前記軸部を保持する孔部を備える、請求項1または2に記載のルアー。
【請求項7】
前記第2ボディの尾部側に前記軸部に対して固定される第3ボディを有する、請求項1または2に記載のルアー。
【請求項8】
前記第2ボディと前記第3ボディの間に少なくとも一つのボディをさらに有する、請求項7に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣り用のルアーとして、頭部側から尾部側を結ぶ前後方向に分割された複数のボディのうち1つが周方向全周(360°)で回転可能としたルアーが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-266737号公報
【特許文献2】特開2011-87533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に示されるような従来のルアーでは、水に泡や音を発生させて魚に対してアピールすることのみに制限される。一方で、釣り対象の魚によっては、例えば潮に馴染ませてルアーを動かすといったアピールができることが求められており、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、釣り対象魚に応じた変化に富んだ好適なアピール動作を行うことができるルアーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るルアーの態様1は、頭部側に配置される第1ボディと、前記第1ボディから尾部側に向けて延在する軸部と、前記軸部の周囲に揺動可能に支持される第2ボディと、前記第2ボディ及び前記軸部のうち少なくとも一方に設けられ、前記第2ボディの揺動角を規制する規制部と、を有することを特徴としている。
【0007】
本発明に係るルアーの態様1によれば、ルアーを泳がせた際に、第1ボディに対して第2ボディが規制部によって規制された範囲で揺動する。具体的には、頭部側の第1ボディが釣り糸の動きに合わせて軸部とともに揺動し、第1ボディに対して分割されている第2ボディが第1ボディと異なる位相で揺動することで、第1ボディと第2ボディとが異なる動きをする。そして、上述したように第1ボディと第2ボディとが所定の揺動範囲に規制されているので、全周にわたって回転することがなく、揺動する動きを実現できる。これにより、ルアーに当たる光や、泳がせ姿勢のルアー自体の振動数に変化を与えるといった従来できなかったアピールができる。
また、本発明では、ルアーがサラシや波、あるいは潮を受けることで、第1ボディ及び第2ボディのそれぞれが効率よく異なる動きをする。そのため、例えば潮に馴染ませてルアーを動かすといった動かし方が可能となり、従来は水に浮いて漂っているだけの動きに比べて、より捕食魚にアピールする動きを実現できる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、態様1のルアーにおいて、前記軸部は前記第1ボディに固定されることが好ましい。
【0009】
この場合には、軸部が第1ボディとともに一体に回転するので、第1ボディに対して第2ボディの揺動角を規制することができる。
【0010】
(3)本発明の態様3は、態様1又は態様2のルアーにおいて、前記規制部は、前記軸部から突出する凸部と、前記第2ボディに形成され、前記凸部を収容する凹部と、を備えることが好ましい。
【0011】
この場合には、第2ボディに形成される凹部によって軸部に設けられる凸部の揺動範囲を設定することができる。そのため、揺動範囲の設定を容易に行うことができ、ボディの形状に合わせた動きを容易に実現することができる。
【0012】
(4)本発明の態様4は、態様3のルアーにおいて、前記凹部は、前記第2ボディを貫通する開口部であることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、第2ボディの外壁の厚み部分を規制部として利用できるので、第2ボディ内部に規制部を設ける場合に比べてボディ内のスペースを有効利用することができる。
また、本発明では、ルアー外側から開口部を通じて軸部や規制部にアクセスすることが可能となるので、ルアー外側から軸部や規制部のメンテナンスを行うことができるとともに、揺動範囲を調整することができる。
【0014】
(5)本発明の態様5は、態様3又は態様4のルアーにおいて、前記凹部は、前記第2ボディの下部に設けられることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、軸部や規制部を第2ボディの下部に配置できるので、第2ボディの上部に浮力を付与する空間を大きく設けることができる。
【0016】
(6)本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つのルアーにおいて、前記第2ボディは、前記軸部を同軸に挿通させ、前記軸部を保持する孔部を備えることを特徴としてもよい。
【0017】
この場合には、軸部が孔部によって揺動可能に保持されているので、軸部の揺動の振れが抑制され安定した揺動を実現でき、所望の動きとなるルアーの設計がしやすくなる。
【0018】
(7)本発明の態様7は、態様1から態様6のいずれか一つのルアーにおいて、前記第2ボディの尾部側に前記軸部に対して固定される第3ボディを有することを特徴としてもよい。
【0019】
この場合には、ルアーを泳がせた際に、第2ボディと、第1ボディ及び第3ボディとがそれぞれ規制部によって規制された回転範囲で相対的に揺動するように回転する。具体的には、第1ボディが釣り糸の動きに合わせて第3ボディ及び軸部とともに回転し、第1ボディ及び第3ボディに対して分割されている第2ボディが第1ボディ及び第3ボディより遅れて回転することで、第2ボディと、第1ボディ及び第3ボディとが異なる動きをすることができ、これにより水に泡や音を発生させて魚に対して優れたアピールを行うことができる。
【0020】
(8)本発明の態様8は、態様7のルアーにおいて、前記第2ボディと前記第3ボディの間に少なくとも一つのボディをさらに有することを特徴としてもよい。
【0021】
この場合には、第1ボディと第3ボディとの間に第2ボディを含む複数の中間ボディが設けられるので、複数の中間ボディによってより複雑なルアーの動き(アピール)を実現できる。複数の中間ボディとして、例えば、軸部に対して揺動可能な中間ボディと固定された中間ボディとが交互に配置された構成や、揺動可能な複数の中間ボディのそれぞれの揺動角が異なるような構成にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るルアーによれば、釣り対象魚に応じた変化に富んだ好適なアピール動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態によるルアーを斜め前方から見た斜視図である。
図2図1に示すルアーの半割の一方のボディを省略した斜視図である。
図3図1に示すルアーの縦断面図である。
図4図1に示すルアーを下方から見た平面図である。
図5図3に示すI-I線断面図である。
図6図5において、揺動軸部を揺動させた状態を示す断面図である。
図7図1において、胴部ボディを揺動させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るルアーの実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0025】
図1図4に示すように、実施形態のルアー1は、魚釣り用として使用され、硬質プラスチック製の胴体部を有し、小魚の形態を摸したルアーを一例とする。
【0026】
ここで、ルアー1において、頭部と尾部とが一直線上に結ぶ方向を前後方向X1とし、頭部側を前方、前側とし、尾部側を後方、後側と定義する。また、上方から見て、前後方向X1と直交する横方向を左右方向X2と定義し、ルアー1における泳ぐ姿勢のときの上下方向を上下方向X3と定義して以下説明する。
【0027】
ルアー1は、魚を模擬した流線形状に形成され、半割の一対のボディ10の周縁部10d同士を接着又は溶着等で接合して一体的に形成される。ボディ10は、前方から後方に向けた順に頭部ボディ10A(第1ボディ)、胴部ボディ10B(第2ボディ)及び尾部ボディ10C(第3ボディ)がそれぞれ前後方向X1に3分割されていて、各ボディ同士が左右方向X2に揺動自在に設けられている。各ボディ10A、10B、10Cは、それぞれ中空部100A、100B、100Cを形成している。
【0028】
図2及び図3において、紙面左側が頭部側であり、紙面右側が尾部側である。ルアー1は、前後方向X1の中央部(頭部ボディ10Aと胴部ボディ10Bの連結部分)で断面が最も大きくなる形状をなしている。すなわち、ルアー1は、前端部10aから中央部に向けて太くなり、中央部から後端部10bに向かうに従い先細る形状で、全体が滑らかな曲線を形成している。頭部ボディ10Aは、頭部側に設けられ、魚の略前半分を模擬した形状に形成されている。
【0029】
ルアー1には、頭部ボディ10Aから尾部側に向けて延在して尾部ボディ10Cに固定される揺動軸部20(軸部)を備える。揺動軸部20は、断面円形であり、ボディ10の内部で前後方向X1に延在している。揺動軸部20は、前端部20aが頭部ボディ10Aに回転不能に固定され、後端部20bが尾部ボディ10Cに回転不能に固定されている。胴部ボディ10Bは、揺動軸部20の周囲に揺動可能に支持される。
【0030】
図5及び図6に示すように、ルアー1には、胴部ボディ10Bの揺動角θを規制する規制部30を有する。規制部30は、後述する胴部ボディ10Bに形成される開口部31と、揺動軸部20に設けられる凸部32と、を有する。
【0031】
図2及び図3に示すように、頭部ボディ10Aの後部には、揺動軸部20の前端部20aが収容される第1軸孔11が形成されている。第1軸孔11は、断面円形であり、頭部ボディ10Aの後壁10eから前方に延びて形成されている。第1軸孔11の左右両側には、径方向内側に突出する第1係止リブ(図示省略)が設けられている。第1係止リブの突出端は、上下方向X3に延びる直線部を形成している。第1軸孔11の内径は、揺動軸部20の外径と略同径である。第1軸孔11には、揺動軸部20の前端部20aが隙間なく係合している。
【0032】
尾部ボディ10Cの前部には、揺動軸部20の後端部20bが収容される第2軸孔13が形成されている。第2軸孔13は、断面円形であり、尾部ボディ10Cの前壁10fから後方に延びて形成されている。第2軸孔13の左右両側には、径方向内側に突出する第2係止リブ(図示省略)が設けられている。第2係止リブの突出端は、上下方向X3に延びる直線部を形成している。第2軸孔13の内径は、揺動軸部20の外径と略同径である。第2軸孔13には、揺動軸部20の後端部20bが隙間なく係合している。尾部ボディ10Cは、揺動軸部20とともに頭部ボディ10Aと一体的に設けられている。
【0033】
胴部ボディ10Bは、断面略中央部に前後方向X1に貫通する筒体15を有する(図5参照)。筒体15は、孔部15Aを有する。孔部15Aの内径は、揺動軸部20の外径と略同径である。孔部15Aは、揺動軸部20を同軸に挿通させた状態で相対的に揺動可能に保持する。
【0034】
胴部ボディ10Bにおいて、筒体5の上部に中空部100Bが形成されている。筒体15が胴部ボディ10Bの上下方向X3で中心よりも下寄りの位置に設けられているので、中空部100Bのスペースを大きく確保できる。
【0035】
胴部ボディ10Bの外壁における前後方向X1の略中央部の下部10cには、胴部ボディ10Bの外壁を貫通する開口部31(凹部、規制部)が設けられている。開口部31は、平面視で矩形状である。ここで、胴部ボディ10Bの下部10cは、胴部ボディ10Bにおいて左右方向X2の最外周部より下方の部位をいう。
【0036】
図5及び図6に示すように、開口部31における前後方向X1から見て揺動軸部20の軸回りに周回する周方向に交差する左右内側面の揺動規制面31a、31bは、下方に向かうに従い漸次、左右方向X2の外側に延びる傾斜面を形成している。すなわち、開口部31は、左右方向X2の幅が下方にいくほど広がっている。開口部31には、後述する揺動軸部20に設けられる凸部32が所定の揺動範囲Rで揺動可能に収容される。
【0037】
図2及び図3に示すように、揺動軸部20の前端部20aには、頭部ボディ10Aの第1軸孔11に形成される第1係止リブに係止する第1係止溝22が形成されている。揺動軸部20の後端部20bには、尾部ボディ10Cの第2軸孔13に形成される第2係止リブに係止する第2係止溝23が形成されている。このように第1係止溝22及び第2係止溝23がそれぞれ第1係止リブ及び第2係止リブに係止することで、揺動軸部20と頭部ボディ10A及び尾部ボディ10Cとが回転不能に固定される。
【0038】
図2図5に示すように、揺動軸部20は、下方に向けて突出する凸部32(規制部)を有する。凸部32は、開口部31の内側に収容された状態で配置されている。図6に示すように、凸部32は、開口部31の一対の揺動規制面31a、31bによって揺動範囲R(揺動角θ)が規制される。揺動範囲Rは、凸部32の一方の第1側面32aが第1揺動規制面31aに当接する位置と、凸部32の他方の第2側面32bが第2揺動規制面31bに当接する位置と、の間の範囲である。
【0039】
次に、このように構成されるルアー1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態によるルアー1では、頭部側に配置される頭部ボディ10Aと、頭部ボディ10Aから尾部側に向けて延在する揺動軸部20と、揺動軸部20の周囲に揺動可能に支持される胴部ボディ10Bと、胴部ボディ10B及び揺動軸部20に設けられ、胴部ボディ10Bの揺動角θを規制する規制部30と、を有する。
【0040】
本実施形態では、図2図6及び図7に示すように、ルアー1を泳がせた際に、頭部ボディ10Aに対して胴部ボディ10Bが規制部30によって規制された範囲で揺動する。具体的には、頭部側の頭部ボディ10Aが釣り糸の動きに合わせて揺動軸部20とともに揺動し、頭部ボディ10Aに対して分割されている胴部ボディ10Bが頭部ボディ10Aと異なる位相で揺動することで、頭部ボディ10Aと胴部ボディ10Bとが異なる動きをする。そして、上述したように頭部ボディ10Aと胴部ボディ10Bとが所定の揺動範囲Rに規制されているので、全周にわたって回転することがなく、揺動する動きを実現できる。これにより、ルアー1に当たる光や、泳がせ姿勢のルアー自体の振動数に変化を与えるといった従来できなかったアピールができる。
【0041】
また、本実施形態では、ルアー1がサラシや波、あるいは潮を受けることで、頭部ボディ10A及び胴部ボディ10Bのそれぞれが効率よく異なる動きをする。そのため、例えば潮に馴染ませてルアー1を動かすといった動かし方が可能となり、従来は水に浮いて漂っているだけの動きに比べて、より捕食魚にアピールする動きを実現できる。
【0042】
また、本実施形態では、揺動軸部20は頭部ボディ10Aに固定される。これにより、揺動軸部20が頭部ボディ10Aとともに一体に回転するので、頭部ボディ10Aに対して胴部ボディ10Bの揺動角θを規制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、規制部30は、揺動軸部20から突出する凸部32と、胴部ボディ10Bに形成され、凸部32を収容する開口部31と、を備える。このように構成することで、胴部ボディ10Bに形成される開口部31によって揺動軸部20に設けられる凸部32の揺動範囲Rを設定することができる。そのため、揺動範囲Rの設定を容易に行うことができ、ボディ10の形状に合わせた動きを容易に実現することができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、開口部31が胴部ボディ10Bを貫通する。これにより、胴部ボディ10Bの外壁の厚み部分を規制部30として利用できるので、胴部ボディ10Bの内部に規制部を設ける場合に比べてボディ10内のスペースを有効利用することができる。
また、本実施形態では、ルアー外側から開口部31を通じて揺動軸部20や規制部30にアクセスすることが可能となるので、ルアー外側から揺動軸部20や規制部30のメンテナンスを行うことができるとともに、揺動範囲Rを調整することができる。
【0045】
また、本実施形態では、開口部31が胴部ボディ10Bの下部に設けられる。これにより、揺動軸部20や規制部30を胴部ボディ10Bの下部に配置できるので、胴部ボディ10Bの上部に浮力を付与する空間(中空部100B)を大きく設けることができる。
【0046】
また、本実施形態では、胴部ボディ10Bは、揺動軸部20を同軸に挿通させ、揺動軸部20を保持する開口部31を備える。これにより、揺動軸部20が開口部31によって揺動可能に保持されているので、揺動軸部20の揺動の振れが抑制され安定した揺動を実現でき、所望の動きとなるルアー1の設計がしやすくなる。
【0047】
また、本実施形態では、胴部ボディ10Bの尾部側に揺動軸部20に対して固定される尾部ボディ10Cを有する。これにより、ルアー1を泳がせた際に、胴部ボディ10Bと、頭部ボディ10A及び尾部ボディ10Cとがそれぞれ規制部30によって規制された回転範囲で相対的に揺動するように回転する。具体的には、頭部ボディ10Aが釣り糸の動きに合わせて尾部ボディ10C及び揺動軸部20とともに回転し、頭部ボディ10A及び尾部ボディ10Cに対して分割されている胴部ボディ10Bが頭部ボディ10A及び尾部ボディ10Cより遅れて回転することで、胴部ボディ10Bと、頭部ボディ10A及び尾部ボディ10Cとが異なる動きをすることができ、これにより水に泡や音を発生させて魚に対して優れたアピールを行うことができる。
【0048】
上述のように構成された本実施形態によるルアー1では、釣り対象魚に応じた変化に富んだ好適なアピール動作を行うことができる。
【0049】
以上、本発明によるルアーの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0050】
例えば、上記実施形態では、ボディ10が前後方向X1に3分割されて頭部ボディ10A、胴部ボディ10B及び尾部ボディ10Cを備えた構成としているが、このような分割形態であることに限定されることはない。例えば、胴部ボディ10Bと尾部ボディ10Cとが一体化された第2ボディを構成し、頭部ボディ10Aである第1ボディと第2ボディのみで構成されるルアーであってもよい。この場合、第1ボディから尾部側に向けて延在する軸部が設けられ、第2ボディが軸部の周囲に揺動可能に支持される構成であり、軸部には第2ボディの揺動角を規制する規制部を有する。
【0051】
また、胴部ボディ10Bと尾部ボディ10Cの間に少なくとも一つのボディをさらに有する構成であってもよい。これにより、頭部ボディ10Aと尾部ボディ10Cとの間に胴部ボディ10Bを含む複数の中間ボディが設けられるので、複数の中間ボディによってより複雑なルアーの動き(アピール)を実現できる。
複数の中間ボディとして、例えば、揺動軸部20に対して揺動可能な中間ボディと固定された中間ボディとが交互に配置された構成や、揺動可能な複数の中間ボディのそれぞれの揺動角が異なるような構成にすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、揺動軸部20が頭部ボディ10A及び尾部ボディ10Cに固定された構成としているが、揺動軸部20が頭部ボディ10A及び尾部ボディ10Cの少なくとも一方に対して回転可能に支持される構成であってもよい。
【0053】
さらに、本実施形態の規制部30は、揺動軸部20(軸部)から突出する凸部32と、胴部ボディ10B(第2ボディ)に形成され、凸部32を収容する開口部31(凹部)と、を有する構成としているが、このような構成に限定されることはない。例えば、規制部30は、第2ボディ及び軸部のうち少なくとも一方に設けられていればよい。
【0054】
また、規制部の構成として、本実施形態のように開口部31と凸部32とからなる構成に限定されることはない。例えば、開口部31は第2ボディの外壁を貫通する構成ではなく、第2ボディの外壁の内面に形成される有底の凹部であり、その凹部に凸部が所定の揺動角θで揺動可能に収容される構成であってもよい。
また、第2ボディ側に内方に突出する凸部が設けられ、軸部に凸部が所定の揺動角θで揺動可能に収容される構成としてもよい。
さらに、開口部31(凹部)の位置として、本実施形態では第2ボディの下部に設けられているが、例えば第2ボディの上部など他の位置であってもよい。
【0055】
また、規制部の構成として、機械的に揺動角θを設定する構成に限定されることはなく、例えば磁石を使用して揺動範囲を規制する構成を採用することも可能である。この場合、例えば軸部の周方向の一部に磁性体を配置し、第2ボディの内面における揺動範囲の端部に磁石を取り付けることで、所定の揺動角θを設定することができる。
【0056】
また、本実施形態の胴部ボディ10Bの構成として、前後方向X1に延びる筒体15を設け、その筒体15に揺動軸部20を同軸に挿通させて保持する構成とし、筒体15の上方に大きな中空部100Bを形成した構成としているが、これに限定されることはない。例えば、筒体15に代えて、リング部材で揺動軸部20を回転可能に支持する構成であってもかまわない。
【符号の説明】
【0057】
1 ルアー
10 ボディ
10a 前端部
10b 後端部
10A 頭部ボディ(第1ボディ)
10B 胴部ボディ(第2ボディ)
10C 尾部ボディ(第3ボディ)
15 筒体
15A 孔部
30 規制部
31 開口部(凹部、規制部)
31a 第1揺動規制面
31b 第2揺動規制面
20 揺動軸部(軸部)
32 凸部(規制部)
32a 第1側面
32b 第2側面
R 揺動範囲
θ 揺動角
X1 前後方向
X2 左右方向
X3 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7