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特開2025-9028赤外線透過型着色組成物、被膜および光半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009028
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】赤外線透過型着色組成物、被膜および光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G02B5/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111735
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】二井 洋文
(72)【発明者】
【氏名】新戸 翔
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA19
(57)【要約】
【課題】本発明は、耐熱性が良好で可視光の透過を抑制し、波長700nm以上の近赤外線を良好に透過する被膜を形成できる赤外線透過型着色組成物の提供を目的とする。
【解決手段】着色剤(A)および分散樹脂(B)を含む赤外線透過型着色組成物であって、着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、膜厚1.0μmの被膜を形成したときに下記の条件(1)および(2)を満たす赤外線透過型着色組成物。条件(1):波長400~600nmにおける光の最大透過率が20%以下条件(2):波長700~1000nmにおける光の最小透過率が75%以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)および分散樹脂(B)を含む赤外線透過型着色組成物であって、
着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、
膜厚1.0μmの被膜を形成したときに下記の条件(1)および(2)を満たす赤外線透過型着色組成物。
条件(1):波長400~600nmにおける光の最大透過率が20%以下
条件(2):波長700~1000nmにおける光の最小透過率が75%以上
【請求項2】
前記紫色顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23であり、着色剤(A)100質量%中、50~85質量%含み、
前記黄色顔料は、イソインドリン顔料である、請求項1記載の赤外線透過型着色組成物。
【請求項3】
さらに硬化性樹脂(C)を含む、請求項1に記載の赤外線透過型着色組成物。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の赤外線透過型着色組成物から形成されてなる被膜。
【請求項5】
請求項4記載の被膜を備える、光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線透過型着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
不要な特定範囲の可視光線を遮断し、必要な特定範囲の赤外線のみを透過させ光学素子(フォトダイオード等)でセンシングする、光半導体装置、赤外線センサ、固体撮像素子等が開発されている。
必要な特定範囲の赤外線のみを透過させるために、特許文献1には、波長350~650nmの領域に吸収帯を有し、かつ、波長800~900nmの光の少なくとも一部を透過する染料を含む赤外線透過型着色組成物が開示されている。また、特許文献2ではナフタロシアニン系色素(染料)を用いて、波長900nm以上を透過させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131806号公報
【特許文献2】特開2008-101188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発明は、染料を使用しているため耐熱性が不足する問題があった。
また、特許文献2の発明は、900nm以上の波長を透過できるが700~900nmの波長を良好に透過できなかった。
【0005】
本発明は、耐熱性が良好で可視光の透過を抑制し、波長700nm以上の近赤外線を良好に透過する被膜を形成できる赤外線透過型着色組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着色剤(A)および分散樹脂(B)を含む赤外線透過型着色組成物であって、
着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、
膜厚1.0μmの被膜を形成したときに下記の条件(1)および(2)を満たす赤外線透過型着色組成物である。
条件(1):波長400~600nmにおける光の最大透過率が20%以下
条件(2):波長700~1000nmにおける光の最小透過率が75%以上
【発明の効果】
【0007】
上記の本発明により耐熱性が良好で可視光の透過を抑制し、波長700nm以上の近赤外線を良好に透過する被膜を形成できる赤外線透過型着色組成物を提供できる。また、本発明により光半導体装置(液晶表示装置、赤外線センサ、固体撮像素子等)を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。着色剤は、顔料および染料を意味する。赤外線透過は、可視光域の光透過を抑制し、近赤外より長波長領域の光を透過させることである。単量体は、エチレン性不飽和単量体である。
【0009】
本発明の赤外線透過型着色組成物は、着色剤(A)および分散樹脂(B)を含む赤外線透過型着色組成物であって、
着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、
膜厚1.0μmの被膜を形成したときに下記の条件(1)および(2)を満たす赤外線透過型着色組成物である。
条件(1):波長400~600nmにおける光の最大透過率が20%以下
条件(2):波長700~1000nmにおける光の最小透過率が75%以上
なお、条件(1)の最大透過率は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また条件(2)の最小透過率は、80%を超えることが好ましく、85%を超えるとより好ましい。
【0010】
本明細書では、前記「本発明の好ましい分光」に加えて、下記条件(3)を満たす組成物がより好ましい。
条件(3):光の透過率が30%となる最大波長λ1と、光の透過率が70%となる最小波長λ2との波長の差(λ2-λ1)が60nm以内。条件(3)を満たすと、光半導体装置でセンシングする波長領域とセンシングしない波長領域の間の波長領域が狭くなるので、より光半導体装置のセンシング感度を向上できる。
【0011】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含む。
紫色顔料は、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。これらの中でもC.I.ピグメントバイオレット23が好ましい。C.I.ピグメントバイオレット23を含有すると波長600nm以下の透過率をより抑制し、波長700nm以上の透過率をより向上できる。
【0012】
C.I.ピグメントバイオレット23の含有量は、着色剤(A)100質量%中、50~85質量%が好ましく、55~80質量%がより好ましく、55~70質量%がさらに好ましい。これにより被膜の分光特性がより向上する。
【0013】
黄色顔料は、紫色顔料が透過する波長400~500nmの光の透過率を抑制する。黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231、233、特開2012-226110号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でもイソインドリン顔料のC.I.ピグメントイエロー139,185;キノフタロン顔料のC.I.ピグメントイエロー231が好ましく、イソインドリン顔料がより好ましく、C.I.ピグメントイエロー139,185がさらに好ましい。
【0014】
黄色顔料の含有量は、着色剤(A)100質量%中、15~50質量%が好ましく、30~45質量%がより好ましい。適量含有すると分光特性がより向上する。
【0015】
本明細書で着色剤(A)は、課題を解決できる範囲であれば上記以外のその他着色剤を含有できる。その他着色剤は、例えば有機顔料、染料等が挙げられる。
【0016】
その他着色剤は、着色剤(A)100質量%中、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0017】
<その他着色剤>
以下、その他着色剤をカラーインデックス番号で例示する。
【0018】
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等が挙げられる。
【0019】
青色顔料は、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。
【0020】
緑色顔料は、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63、特開2017-111398号公報に記載された顔料等が挙げられる。
【0021】
無機顔料は、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。
【0022】
<染料>
染料は、課題を解決できる範囲であれば併用できる。例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料の誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料も挙げられる。
【0023】
また、染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の場合、酸性染料の無機塩;酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物との造塩化合物;これらアミノ基を有する樹脂成分と酸性染料等の造塩化合物等が挙げられる。酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0024】
塩基性染料は、有機酸、もしくは過塩素酸、またはこれらの金属塩との造塩化合物が挙げられる。造塩化合物の中でも塩基性染料の造塩化合物は、各種耐性、顔料との相溶性に優れているために好ましい。
【0025】
<顔料の微細化>
有機顔料は、微細化処理を行った後、他の原料と混合することが好ましい。微細化処理の方法は、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法等が挙げられる。これらの中でも湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理等が好ましい。微細化処理後の有機顔料の平均一次粒子径は、10~80nmが好ましく、15~70nmがより好ましい。適度な粒子径により分散性がより向上し、被膜のコントラスト比がより向上する。なお、平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)の拡大画像から任意に選択した約20個の粒子の平均値である。なお、粒子の縦軸長さと横軸長さがある場合、縦軸長さを使用する。
【0026】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリー型ミキサー等のバッチ式又は連続式混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0027】
水溶性無機塩は、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部が好ましく、300~1000質量部がより好ましい。
【0028】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する。水溶性有機溶剤は、水に溶解(混和)し、水溶性無機塩を実質的に溶解しない化合物である。水溶性有機溶剤は、ソルトミリング時の温度上昇で揮発しにくい面で沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は、例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対し、5~1000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0029】
ソルトミリング処理の際、必要に応じて樹脂を添加できる。樹脂は、例えば、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ水溶性有機溶剤に一部可溶であることがより好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部が好ましい。
【0030】
<金属の除去>
顔料の構成成分以外の不純物として特定金属元素が着色組成物に多く存在すると、経時分散安定性を阻害するし、また、耐熱性が低下する場合や、感度低下を引き起こす場合がある。また、これを用いて作成した赤外光透過膜は、異物の発生がある場合があり、結果として透過率低下を引き起こしやすい。着色組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、Al、及びCr(以下、特定金属元素ともいう)の合計含有量が、500質量ppm以下であることが好ましい。
【0031】
着色組成物に含まれる特定金属元素の合計量は、300質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属元素の合計量の下限は、特に限定されないが、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、コストも抑制でき、保存安定性に優れ、かつ異物の発生、透過率低下が少ない赤外光透過膜を形成できる着色組成物を得ることができる。
【0032】
着色組成物に含まれる各特定金属元素の量は、各々100質量ppm以下であることが好ましく、各々50質量ppm以下であることがより好ましい。
【0033】
また、顔料を構成するNi、Zn、Cu、Al、Fe、Fe、Co、及びCoなどの金属も有効に機能しない不純物も少ない方がよく、以下の方法で特定金属元素と同様に取り除くことが出来る。さらに、Mn、Cs、Ti、Co、Si、Pd等も着色組成物の各種原料の製造工程で用いる材料(例えば触媒)などにより混入してしまったものも低濃度であることが好ましい。
【0034】
着色剤(A)あるいは製造過程での装置からの混入した金属を除去する方法としては特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報等による水洗による方法、特開2011-48736号公報に記載のマグネットによる磁性異物の除去等の方法が挙げられ、単独または複数の方法を適宜使用する。
【0035】
特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0036】
本発明の着色組成物は、微細化した顔料が凝集するのを防ぐこと、溶剤中での分散安定性を保つこと、並びに他の樹脂との親和性を保つことなどを目的に分散樹脂(B)を加える。また、色素誘導体を加えると、よりさらに分散樹脂(B)の効果を上げることが出来好ましい、
<色素誘導体(a)>
着色組成物には、有顔顔料と共に色素誘導体(a)を使用できる。色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、またはリン酸基などの酸性置換基を有する化合物、ならびにこれらのアミン塩、スルホンアミド基、または末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
【0037】
これら色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0038】
色素誘導体の使用量は、有機顔料100質量部に対して、1~100質量部が好ましく、3~70質量部がより好ましく、5~50質量部がさらに好ましい。
【0039】
顔料に色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、ソルベントソルトミリング等の微細化処理を行うことで、顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して顔料の一次粒子をより微細化ができる。
【0040】
<分散樹脂(B)>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、分散樹脂(B)(以下、樹脂型分散剤ともいう)を含有できる。分散樹脂(B)は、着色剤に吸着する吸着部位、および着色剤粒子を安定的に分散させる応力緩和部位を有する樹脂である。
分散樹脂(B)は、例えば、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルやこれらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0041】
酸性官能基を有する分散樹脂(B)は、例えば、芳香族カルボン酸構造を有する分散樹脂が挙げられる。例えば、WO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等に記載されている。
【0042】
前記芳香族カルボン酸構造を有する分散樹脂は、例えば、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、および水酸基を2個以上有する化合物をエステル化反応させてなるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖、ならびにビニル重合体部位を含む側鎖を有する樹脂が挙げられる。なお、前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、0.9~1.5モルが好ましく、1.0~1.3モルがより好ましい。
前記芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖は、後述するモノアルコールに由来する封止部位を有する構造を有することが好ましい。これにより主鎖中の酸無水物基がアルコールエステル基およびカルボキシル基に変性される。
分散樹脂(B)を使用すると赤外線透過型着色組成物のろ過性が向上し、被膜中の異物を抑制できる。さらに赤外線透過型着色組成物をダイコーター等で塗工する際に生成する固化物がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)に対して再溶解し易くなる(再溶解性という)。
前記ビニル重合体部位に基づく側鎖は、単量体の重合で生成する。
【0043】
(酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物)
酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物は、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
【0044】
(水酸基を2個以上有する化合物)
水酸基を2個以上有する化合物は、上記の通り、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物が好ましく、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物がより好ましい。
【0045】
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物は、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0046】
(モノアルコール)
モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、イソノニルアルコール、1-ノニルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのモノアルコール、
3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル基を有するモノアルコール、
乳酸メチル、乳酸エチル、ダイアセトンアルコール、などのカルボニル基を有するモノアルコール等が挙げられる。
【0047】
モノアルコールは、エーテル基またはカルボニル基を有する化合物が好ましく、3-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコールがより好ましい。これにより分散樹脂の主鎖の末端にエーテル基またはカルボニル基が生成するため、PGMAcに対する再溶解性が向上する。
【0048】
芳香族カルボン酸エステル部位である主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位に加え、水と反応させた封止部位を有してもよい。
【0049】
封止部位の合成について、酸無水物基に対するモノアルコールの使用量は、主鎖に残る酸無水物基1当量に対して1~30モル当量が好ましく、1.5~20モル当量がより好ましい。1モル当量以上の場合は酸無水物基が残らず保存安定性が良好となり、30モル当量以下の場合はモノアルコールと分散剤のエステル結合によるエステル交換反応が起こりにくく、分子量の低下が起こりにくい。
【0050】
(ビニル重合体部位である側鎖)
分散樹脂(B)の側鎖は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の存在下で、単量体を重合して合成できる。
芳香族カルボン酸構造を有する分散樹脂は、先にビニル重合体部位である側鎖を形成した後、主鎖を形成できる。また、前記エステル反応後で主鎖を形成した後、単量体を重合して側鎖を形成できる。
【0051】
塩基性官能基を有する分散樹脂は、例えば、窒素原子含有グラフト共重合体、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤等が挙げられる。
【0052】
また、特開2009-185277号公報に開示されている様に、芳香族カルボキシル基を有する分散樹脂(B)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(分散樹脂(B)の機能を有する)とを併用することも好ましい例として挙げられる。
【0053】
分散樹脂(B)の使用量は、着色剤(A)に対して3~200質量%が好ましく、成膜性の観点から5~100質量%がより好ましい。
【0054】
<硬化性樹脂(C)>
本発明の着色組成物は、硬化性樹脂(C)を含む。硬化性樹脂(C)は、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0055】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、イソシアヌル環骨格を有するもの、ヒダントインエポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、イソシアヌル環含有樹脂が好ましい。
【0056】
エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が、90~1000が好ましい、また、エポキシ樹脂の軟化点は160℃以下が好ましい。エポキシ当量が90以上になると硬化物に適度な可とう性が得られる。またエポキシ当量が1000以下になると耐熱性がより向上する。
【0057】
エポキシ樹脂は、硬化剤を併用できる。硬化剤は、例えば、酸無水物、フェノール化合物系硬化剤等が挙げられる。酸無水物は、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。なお、酸無水物の分子量は、140~200程度が好ましい。
【0058】
また、フェノール化合物は、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂等が挙げられる。レゾール型フェノール樹脂は、例えば、アニリン変性レゾール樹脂、メラミン変性レゾール樹脂等が挙げられる。ノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられる。また、ノボラック型フェノールホルムアルデヒド樹脂は、例えば、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する 、ナフトールアラルキル樹脂等の特殊フェノール樹脂等が挙げられる。ポリヒドロキシスチレン樹脂は、例えば、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)等が挙げられる。
【0059】
エポキシ樹脂と硬化剤との配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、硬化剤中の反応性基(酸無水物基または水酸基)が0.5~1.5当量が好ましく、さらには、0.7~1.2当量がより好ましい。適量で配合すると硬化速度と硬化物の熱硬化性を高い水準で両立できる。
【0060】
なお、硬化剤は、酸無水物およびフェノール化合物以外にその他硬化剤を使用できる。その他硬化剤は、例えば、アミン、カルボン酸化合物等が挙げられる。
【0061】
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂は、例えば、特開2019-131806号公報、特開2010-121117号公報などに記載された樹脂が挙げられる。
【0062】
(光硬化性樹脂)
光硬化性樹脂は、重合性不飽和基を有する樹脂であり、例えば、特開2016-150978号公報、特開2019-052197号公報などに記載された樹脂が挙げられる。
光硬化性樹脂は、光重合開始剤、増感剤等を併用できる。
【0063】
(有機溶剤)
使用される溶剤は、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0064】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤を含むことが好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。
【0065】
(赤外線透過型着色組成物の作製方法)
赤外線透過型着色組成物は、例えば、着色剤(A)、分散樹脂(B)および溶剤等を加えて分散処理を行い作製する。次いで、必要に応じて硬化性樹脂(C)を加え撹拌混合して作製する。なお、配合する成分及びその配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0066】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0067】
本発明の被膜は(以下、赤外線透過膜ともいう)、赤外線透過型着色組成物から形成する。前記被膜は、前記組成物が硬化性樹脂(C)を含む場合、加熱等により硬化できる(この場合、被膜を硬化膜という)。被膜は、基材(基板ともいう)に赤外線透過型着色組成物を塗工し、乾燥を行い形成する、前記塗工は、例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。前記乾燥は、例えば、熱風乾燥、赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0068】
被膜の厚さは、0.05μm~5.0mmが好ましく、0.1μm~3.0mmがより好ましい。
【0069】
前記硬化は、例えば、温度100~180℃で10分~5時間の条件で行うことができる。
【0070】
本発明の光半導体装置は、赤外線透過型着色組成物から形成されてなる被膜を備える。
光半導体装置は、例えば、液晶表示装置、LED、光学センサ(例えば、赤外線センサ)、等光を活用するデバイスが挙げられる。
本明細書で赤外線透過膜は、薄膜形成して液晶表示装置、固体撮像素子に積層することができる。また、赤外線透過膜は、LED、光学センサの製造時に光半導体素子上に注入して封止できる。封止は、トランスファー成形や注型などの公知のモールド方法により行うことができる。
【実施例0071】
以下に、実施例により本発明を説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
【0072】
実施例に先立ち、樹脂の平均分子量、及び樹脂の酸価の測定方法の計算方法について説明する。
【0073】
<顔料の平均一次粒子径>
顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真から一次粒子の大きさを直接計測する一般的な方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0074】
(分散粒子径測定)
動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50を平均径とした。測定用の希釈溶剤は分散体に使用した溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定した。
【0075】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0076】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0077】
<微細化顔料の製造方法>
<着色剤(A)の微細化>
(着色剤(A1))
ジオキサジン系紫色顔料ピグメントバイオレット23(トーヨーカラー社製「リオノゲンバイオレットRL」)300部を96%硫酸3000部に投入し、1時間撹拌後、5℃の水に注入した。1時間撹拌後、濾過、温水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、70℃で乾燥した。得られたアシッドペースティング処理顔料120部、色素誘導体(b-2)5部、粉砕した食塩1500部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で20時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、顔料(A1)を得た。
【0078】
(着色剤(A2-1))
C.I.ピグメントイエロー139(BASFジャパン社製「イルガフォアイエロー 2R-CF」)100部、塩化ナトリウム1600部、及びジエチレングリコール190部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で10時間混練した。つぎにこの混合物を3リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除いた後、80℃で1昼夜乾燥し、着色剤(A2-1)を得た。
【0079】
(着色剤(A2-2))
C.I.ピグメントイエロー185(BASFジャパン社製「パリオトールエローD1155」)500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、着色剤(A2-2)を得た。
【0080】
(着色剤(A2-3))
C.I.ピグメントイエロー231(トーヨーカラー社製)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、着色剤(A2-3)を得た。
【0081】
(着色剤(A2-4))
C.I.ピグメントイエロー138(BASFジャパン社製「パリオトールイエローK0961HD」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、着色剤(A2-4)を得た。
【0082】
(着色剤(A2-5))
C.I.ピグメントイエロー150(ランクセス社製「Yellow Pigment E4GN」)100部、塩化ナトリウム1600部、及びジエチレングリコール190部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で10時間混練した。つぎにこの混合物を3リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除いた後、80℃で1昼夜乾燥し、着色剤(A2-5)を得た。
【0083】
(着色剤(A3))
C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、着色剤(A3)を得た。
【0084】
<色素誘導体(a)>
下記の通りの塩基性顔料誘導体を使用した。
色素誘導体(a-1)
【化1】
色素誘導体(a-2)
【化2】
色素誘導体(a-3)
【化3】
色素誘導体(a-4)
【化4】
色素誘導体(a-5)
【化5】
色素誘導体(a-6)
【化6】
【0085】
(分散樹脂(B―1)液の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、tert-ブチルアクリレート20.0部、メチルメタクリレート45.0部、エチルアクリレート30.0部、メタクリル酸5.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc70.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%以上が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)を14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して調製し、酸価105mgKOH/g、重量平均分子量9400の分散樹脂(B―1)液を得た。
【0086】
(分散樹脂(B―2)液の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、t-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート45.0部、メタクリル酸5.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc70.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%以上が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)を14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して調製し、酸価110mgKOH/g、重量平均分子量9000の分散樹脂(B―2)液を得た。
【0087】
(分散樹脂(B―3)液の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)14.5部、PGMAc70.8部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、反応系の温度を70℃に冷却し、t-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート50.0部を仕込み、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解したPGMAc38.0部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により単量体の95%以上が反応したことを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して調製し、酸価93mgKOH/g、重量平均分子量10800の分散樹脂(B―3)液を得た。
【0088】
(分散樹脂(B―4)液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン106部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定した。次いで、得られた樹脂溶液の不揮発分が40%になるようにPGMAcを添加して分散樹脂(B―4)液を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0089】
<着色組成物の製造方法>
[実施例1]
(着色組成物(X-1)の作製)
以下に示す、着色組成物(X-1―1)と着色組成物(X-1―2)を撹拌・混合して
着色組成物(X-1)を作製した。
【0090】
(着色組成物(X-1―1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20.0質量%の着色組成物(X-1―1)を作製した。
顔料(A1) :11.0部
顔料誘導体(a―1) :1.0部
分散樹脂((B-1):不揮発分40%)溶液 :10.0部
溶剤(PGMAc) :80.0部
【0091】
(着色組成物(X-1―2)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20.0質量%の着色組成物(X-1―1)を作製した。
顔料(A2-1) :7.0部
顔料誘導体(a―4) :1.0部
分散樹脂((B-1):不揮発分40%)溶液 :10.0部
溶剤(PGMAc) :80.0部
【0092】
[実施例2~18、比較例1~4]
(着色組成物(X-2~X-22)の作製)
表1および表2に記載した通りの材料種、質量に変更した以外は、実施例1と同様に行い着色組成物(X-2~X-22)をそれぞれ作製した。
【0093】
(着色組成物の評価)
[塗膜作製]
得られた着色組成物を縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、ついで230℃で20分間加熱、放冷後し、膜厚1.0μmの塗膜基板を得た。
【0094】
[光透過率測定]
得られた塗膜基板について、顕微分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製「U-3900」)を用いて波長400~1000nmの光透過率を測定し、波長400~600nmの光線透過率の最大値(Tmax(400~600nm))、波長700~1000nmの範囲の光線透過率の最小値(Tmin(700~1000nm))、および光の透過率が30%となる最大波長λ1と、光の透過率が70%となる最小波長λ2との波長の差(λ2-λ1)を求めた。評価基準は、1が使用不可、2が実用域、3が優れている。結果を表1に示す。
【0095】
条件(1)波長400~600nmの範囲の光透過率の最大値(Tmax(400~600nm))の評価基準:
3:Tmaxが10%未満
2:Tmaxが10%以上20%以下
1:Tmaxが20%を超える
【0096】
条件(2)波長700~1000nmの範囲の光線透過率の最小値(Tmax(700~1000nm))の評価基準:
3:Tminが80%を超える
2:Tminが75%以上80%以下
1:Tminが75%未満
【0097】
条件(3)光の透過率が30%となる最大波長λ1と、光の透過率が70%となる最小波長λ2との波長の差(λ2-λ1)の評価基準:
3:(λ2-λ1)が40nm未満
2:(λ2-λ1)が40nm以上60nm以下
1:(λ2-λ1)が60nmを超える
【0098】
[耐熱性]
上記塗膜作製において230℃で20分間加熱前後の基板の色度を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP200」)で測定し、前記加熱前後の明度との差分を測定した。評価基準は次の通りである。
明度差(ΔY)=|(加熱後の明度Y)-(加熱前の明度Y)|
3:0.4未満 耐熱性が良好
2:0.4以上0.8未満 耐熱性が実用域
1:0.8以上 耐熱性が実用不可
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
<硬化性組成物の作製>
(硬化性樹脂(C))
E-1:エポキシ樹脂(JER-827 ジャパンエポキシレジン社製)
E-2:下記方法で合成したエポキシ樹脂
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、1,1'-ビナフタレン-2,2',7,7'-テトラオールの79.5部(0.25モル)、エピクロルヒドリンの462部(5.0モル)、n-ブタノールの126部を仕込み溶解させた。40℃に昇温した後に、48%水酸化ナトリウム水溶液の100部(1.20モル)を8時間かけて添加し、その後更に50℃に昇温し更に1時間反応させた。反応終了後、水150部を加えて静置した後、下層を棄却した。その後、150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトンの230部を加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液の100部を添加して80℃で2時間反応させた。次いで洗浄液のpHが中性となるまで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂である2,2',7,7'-テトラグリシジルオキシ-1,1'-ビナフタレン(A-1)の135部を得た。得られたエポキシ樹脂(A-1)の軟化点は61℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は1.1dPa・s、エポキシ当量は144g/当量であった。GPC測定により面積比で90%以上が目的物であり、MS測定により、2,2',7,7'-テトラグリシジルオキシ-1,1'-ビナフタレン(A-1)を示す542のピークを確認した。
【0102】
S-1:下記方法で合成したシリコーン樹脂
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた5Lの4つ口フラスコに、ビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成工業(株)製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの略等モル量の異性体混合物)1,785部(14.88モル)、およびトルエン455部を加え、オイルバスを用いて85℃に加熱した。
これに5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末3.6部を添加し、撹拌しながら1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン1,698部(8.75モル)を180分かけて滴下した。滴下終了後、110℃で24時間撹拌した後、25℃まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンを濾過して除去し、トルエンおよび過剰のビニルノルボルネンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(A-1)(25℃における粘度:12,820mPa・s)3,362部を得た。
反応生成物のFT-IR、NMR、およびGPC分析の結果、下記式においてn=0の化合物が約41モル%、n=1の化合物が約32モル%、n=2の化合物が約27モル%の混合物であった。また、混合物中の付加反応性炭素-炭素二重結合の含有量は0.36モル/100gであった。
【0103】
硬化性樹脂の配合A:E-2エポキシ樹脂100部、硬化剤NH-8210(日立化成社製)99部、および硬化促進剤polycat8(サンアプロ社製)1部の混合物。
硬化性樹脂の配合B:E-1エポキシ樹脂46.5部、硬化剤フェノライトTD-2131(DIC社製)33.5部、および硬化促進剤トリフェニルホスフィン0.8部の混合物。
硬化性樹脂の配合C:S-1シリコーン樹脂100部、下記式(9)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン18.6部、下記式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン53.1部、六塩化白金1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンのトルエン溶液(白金換算で0.5質量%)0.41部、エチニルメチルデシルカルビノー0.17部、下記式(14)で表される化合物1.02部、下記式(15)で表される化合物8部の混合物。
【0104】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0105】
[実施例19]
着色組成物X-1 100部、および硬化性樹脂の配合A 900部を配合し、攪拌混合して、硬化性組成物を作製した。
【0106】
[実施例20~36、比較例5~8]
実施例19の硬化性組成物を表3に記載した材料および配合量に変更した以外は、実施例19と同様に行い実施例20~36および比較例5~8の硬化性組成物をそれぞれ作製した。なお、表中、染料はPlast Black 8995である。
【0107】
(硬化性組成物の評価)
得られた硬化性組成物を硬化後に1.0mm厚になるように150℃で1時間加熱成型して被膜状の硬化物を作製した。得られた硬化物を波長600nmと700nmでそれぞれ光透過率を測定した。光透過率は、光透過率測定装置V-4100(日立製作所製)を用いて測定した。評価基準は、1が使用不可、2が使用可、3が優れているである。結果を表3に表す。
(600nmの透過率)
3:10%未満
2:10%以上20%以下
1:20%を超える
(700nmの透過率)
3:80%を超える
2:75%以上80%以下
1:75%未満
【0108】
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)分散樹脂(B)および硬化性樹脂(C)を含む赤外線透過型着色組成物であって、
着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、
硬化性樹脂(C)(ただし、アルカリ可溶性樹脂を含まない)は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂であり、
膜厚1.0μmの被膜を形成したときに下記の条件(1)および(2)を満たす赤外線透過型着色組成物。
条件(1):波長400~600nmにおける光の最大透過率が20%以下
条件(2):波長700~1000nmにおける光の最小透過率が75%以上
【請求項2】
前記紫色顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23であり、着色剤(A)100質量%中、50~85質量%含み、
前記黄色顔料は、イソインドリン顔料である、請求項1記載の赤外線透過型着色組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の赤外線透過型着色組成物から形成されてなる被膜。
【請求項4】
請求項記載の被膜を備える、光半導体装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記赤外線透過型着色組成物(X)が下記条件(1)および(2)を満たし、かつ下記赤外線透過型着色組成物(Y)が下記条件(3)を満たすことを特徴とする赤外線透過型着色組成物。
着色剤(A)、および分散樹脂(B)を含み、
着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、
厚1.0μmの被膜を形成したときに下記の条件(1)および(2)を満たす赤外線透過型着色組成物(X)
条件(1):波長400~600nmにおける光の最大透過率が20%以下
条件(2):波長700~1000nmにおける光の最小透過率が75%以上
着色剤(A)、分散樹脂(B)および硬化性樹脂(C)を含み、
着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、
硬化性樹脂(C)(ただし、アルカリ可溶性樹脂を含まない)は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂であり、
硬化後に1.0mm厚になるように被膜を形成したときに下記の条件(3)を満たす赤外線透過型着色組成物(Y)
条件(3):波長700nmにおける光の透過率が75%以上
【請求項2】
前記紫色顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23であり、着色剤(A)100質量%中、50~85質量%含み、
前記黄色顔料は、イソインドリン顔料である、請求項1記載の赤外線透過型着色組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の赤外線透過型着色組成物から形成されてなる被膜。
【請求項4】
請求項3記載の被膜を備える、光半導体装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線透過型着色組成物および熱硬化性樹脂(C)を含む熱硬化性組成物であって、 前記赤外線透過型着色組成物は、着色剤(A)および分散樹脂(B)を含む赤外線透過型着色組成物であって、
前記着色剤(A)は、紫色顔料と黄色顔料とを含み、
前記赤外線透過型着色組成物は、膜厚1.0μmの被膜を形成したときに下記の条件(1)および(2)を満たす赤外線透過型着色組成物であって、
前記熱硬化性樹脂(C)(ただし、アルカリ可溶性樹脂を含まない)は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂であり、
前記熱硬化性組成物は、硬化後に1.0mm厚になるように被膜を形成したときに下記の条件(3)を満たす熱硬化性組成物。
条件(1):波長400~600nmにおける光の最大透過率が20%以下
条件(2):波長700~1000nmにおける光の最小透過率が75%以上
条件(3):波長700nmにおける光の透過率が75%以上
【請求項2】
前記紫色顔料は、C.I.ピグメントバイオレット23であり、着色剤(A)100質量%中、50~85質量%含み、
前記黄色顔料は、イソインドリン顔料である、請求項1記載の熱硬化性組成物
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱硬化性組成物から形成されてなる被膜。
【請求項4】
請求項3記載の被膜を備える、光半導体装置。