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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009029
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】服薬支援システム及び服薬支援方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20250109BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111736
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友利 直矢
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】実際の服薬の履歴に応じ、管理者による総合的な服薬管理を支援すること。
【解決手段】服薬支援システムは、対象者に合わせて決定された服薬スケジュールに従って薬を排出する1又は複数の服薬支援端末10と、前記1又は複数の服薬支援端末10と通信する管理装置30とを備え、前記管理装置30は、前記1又は複数の服薬支援端末10の動作履歴から1又は複数の前記対象者の服薬行動履歴を生成し、表示出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に合わせて決定された服薬スケジュールに従って薬を排出する1又は複数の服薬支援端末と、
前記1又は複数の服薬支援端末と通信する管理装置とを備え、
前記管理装置は、前記1又は複数の服薬支援端末の動作履歴から1又は複数の前記対象者の服薬行動履歴を生成し、表示出力する
ことを特徴とする服薬支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の服薬支援システムであって、
前記管理装置は、前記服薬行動履歴に基づいて、服薬の管理を行う管理者に対して提案する提案情報を生成し、出力することを特徴とする服薬支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の服薬支援システムであって、
前記管理装置は、前記服薬行動履歴が不適正な状態を示す場合にアラームを出力し、前記不適正な状態に対する対処を提案することを特徴とする服薬支援システム。
【請求項4】
請求項2に記載の服薬支援システムであって、
前記管理装置は、前記服薬行動履歴に基づいて、前記服薬スケジュールの変更を提案することを特徴とする服薬支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の服薬支援システムであって、
前記管理装置は、前記服薬スケジュールにおいて服薬すべきと定められた時間帯と服薬を行った時刻との関係を示す情報、及び/又は前記服薬支援端末が周囲に人が居ると判定した時刻についての情報に基づいて、前記服薬スケジュールの変更を提案することを特徴とする服薬支援システム。
【請求項6】
請求項2に記載の服薬支援システムであって、
前記管理装置は、前記服薬行動履歴に基づいて、前記管理者が前記対象者を訪れる訪問スケジュールを提案することを特徴とする服薬支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の服薬支援システムであって、
前記管理装置は、前記服薬支援端末から残薬に関する情報を取得し、前記残薬に基づいてアラームを出力し、前記残薬の無い服薬支援端末の補充を優先する訪問スケジュールを提案することを特徴とする服薬支援システム。
【請求項8】
対象者に合わせて決定された服薬スケジュールに従って薬を排出する1又は複数の服薬支援端末が、動作履歴を管理装置に送信するステップと、
前記管理装置が、前記1又は複数の服薬支援端末の動作履歴から1又は複数の前記対象者の服薬行動履歴を生成するステップと、
前記管理装置が、前記服薬行動履歴を表示出力するステップと
を含むことを特徴とする服薬支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服薬支援システム及び服薬支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、適正な服薬を支援するため、特開2013-250890号公報(特許文献1)に記載の技術がある。この公報には、「個人毎に異なる生活習慣に応じた服薬スケジュールの作成、及び薬剤の重要度に合わせたアラーム設定を簡易に行う。」「服薬情報管理システムは、服薬指導情報管理サーバ10と、薬剤提供者用装置40,50と、服薬者用装置20,30とがネットワークを介して接続され、服薬指導情報管理サーバ10は、薬剤提供者用装置40,50から取得した薬剤情報提供書情報、及び服薬者用装置20,30から取得した生活習慣情報から、各曜日の各服薬時間帯に、薬剤名、用量、服薬時刻、及び服薬者に対するアラームを発出するか否かを示すアラーム設定を対応付けた服薬スケジュール情報を服薬期間分生成する処理部12と、服薬スケジュール情報を服薬者用装置20,30に送信する通信インタフェース部14と、を備える。」という記載がある。
また、特開2014-194716号公報(特許文献2)には、「薬各々の服薬すべき時間を示す服薬時間情報および一回当たりの服薬量を示す服薬量情報および総量を示す薬量情報に係る服薬関連データを入力する服薬関連データ入力手段と、薬各々の外観写真を当該薬と関連付けて記憶する手段と、服薬時間が到来した旨と服薬すべき薬の外観等の情報を表示する手段と、異変や薬の残量不足に係る通知条件や通報先を登録しておき、通知条件に合致した場合に所定の宛先へ異変や薬の残量不足のアラームを通報する手段を有する。」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-250890号公報
【特許文献2】特開2014-194716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術によれば、薬毎に服薬を促す通知を行うことができ、服薬忘れが発生した場合には所定の宛先に通報できる。
しかしながら、従来の技術では、実際に服薬したか否かを管理し、その結果に対応することは考慮されていない。また、多数の薬を長期に渡って服用するに際し、その総合的な管理を行うことは考慮されていない。
そこで、本発明では、実際の服薬の履歴に応じ、管理者による総合的な服薬管理を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の服薬支援システムの一つは、対象者に合わせて決定された服薬スケジュールに従って薬を排出する1又は複数の服薬支援端末と、前記1又は複数の服薬支援端末と通信する管理装置とを備え、前記管理装置は、前記1又は複数の服薬支援端末の動作履歴から1又は複数の前記対象者の服薬行動履歴を生成し、表示出力することを特徴とする。
また、代表的な本発明の服薬支援方法の一つは、対象者に合わせて決定された服薬スケジュールに従って薬を排出する1又は複数の服薬支援端末が、動作履歴を管理装置に送信するステップと、前記管理装置が、前記1又は複数の服薬支援端末の動作履歴から1又は複数の前記対象者の服薬行動履歴を生成するステップと、前記管理装置が、前記服薬行動履歴を表示出力するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、実際の服薬の履歴に応じ、管理者による総合的な服薬管理を支援できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】服薬支援システムの説明図
図2】服薬支援端末の構成図
図3】服薬支援端末の動作を示すフローチャート
図4】管理装置の構成図
図5】提案管理データの具体例
図6】管理装置の動作の説明図
図7】端末一覧画面の具体例
図8】履歴表示画面の具体例
図9】アラーム確認画面の具体例
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて実施例の説明をする。
【実施例0009】
図1は、服薬支援システムの説明図である。図1では、患者Pa1~Pa3が服薬支援の対象者である。患者Pa1~Pa3には、1台ずつ服薬支援端末10が割り当てられる。
【0010】
服薬支援端末10は、自身が割り当てられた患者に合わせて決定された服薬スケジュールを記憶している。服薬支援端末10は、記憶している服薬スケジュールに従って薬を排出する。
【0011】
具体的には、服薬支援端末10は、薬の服用タイミングごとに1のカセットを排出する。カセットには、その服用タイミングで服用する薬のセットが収納されている。服薬支援端末10は、例えば4種類のカセットを、各7個収納する構成とする。4種のカセットは、朝用、昼用、夜用、頓服用などで使い分けることができる。このようにカセットを使い分け、各カセットを7個収納すれば、服薬支援端末10は1週間分の服薬を支援できる。
【0012】
服薬スケジュールは、服薬タイミングとして適切な時間帯とカセットの種類とを対応付けたデータである。
服薬支援端末10は、時刻を監視して服薬スケジュールを参照し、服薬タイミングとして指定された時間帯となったならば、患者に対して報知を行う。服薬支援端末10は、服薬タイミングの時間帯の中で取り出し操作を受け付けると、カセットを排出し、カセット排出時刻をカセットの種別に対応付けて動作履歴に登録する。
【0013】
それぞれの服薬支援端末10は、例えばそれぞれの患者の自宅に設置する。それぞれの服薬支援端末10は、管理装置30と通信可能に接続され、動作履歴を管理装置30に送信する。
【0014】
管理装置30は、服薬支援端末10の動作履歴から対象者の服薬行動履歴を生成する。さらに、管理装置30は、服薬行動履歴に基づいて、服薬の管理を行う管理者Ph1に対して提案する提案情報を生成する。管理装置30は、服薬行動履歴や提案情報を管理者Ph1に対して表示出力する。管理者Ph1は、例えば薬剤師であり、適宜患者を訪問し、服薬支援端末10への薬の補充などを行う。また、管理者Ph1は、任意の場所から管理装置30にアクセスできる。管理装置30は、クラウド上のサーバであっても良いが、本実施例では、便宜上、管理者Ph1が勤務する薬局に設置されている例を挙げて説明を行う。
【0015】
管理者Ph1は、各患者の服薬行動履歴をリモートで確認できる。このため、実際の服薬の履歴に応じ、管理者による速やかな対応が可能となる。
また、管理装置30は、服薬行動履歴が不適正な状態を示す場合にアラームを出力し、不適正な状態に対する対処の方法を提案情報として出力する。このため、管理者Ph1は、タイムリーに適切な服薬管理・服薬指導ができる。
また、管理装置30は、服薬行動履歴に基づいて、服薬スケジュールの変更を提案する。また、管理装置30は、服薬行動履歴に基づいて、管理者Ph1が患者を訪れる訪問スケジュールを提案する。管理者Ph1は、これらの服薬スケジュールや訪問スケジュールに関する提案を受けることで、患者の服薬に関する効率的な対応が可能となる。
【0016】
図2は、服薬支援端末10の構成図である。服薬支援端末10は、通信部11、制御部12、記憶部13、カセット収納部14、カセット排出機構15、人感センサ16、表示操作部17及びスピーカ18を備える。
【0017】
通信部11は、管理装置30と通信を行う通信インタフェースである。
制御部12は、服薬支援端末10の動作を制御する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
記憶部13は、服薬スケジュールや動作履歴を記憶する。記憶部13は、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブである。
【0018】
カセット収納部14は、カセットを収納する。例えば、4種のカセットに対応して4つのカセット収納部14を設ける。
カセット排出機構15は、カセット収納部14に収納されたカセットを取り出し口から排出する機構である。
【0019】
人感センサ16は、服薬支援端末10の周囲に人が居るか否かの判定に用いる。人感センサ16は、例えば赤外線センサである。
表示操作部17は、患者に対する表示による報知と、患者からの操作の受付を行う。表示操作部17は、例えばタッチパネルディスプレイである。
スピーカ18は、患者に対する音声による報知を行う。
【0020】
図3は、服薬支援端末10の動作を示すフローチャートである。服薬支援端末10は、時刻を開始し、次のステップS101からステップS107の処理を順次実行する。
ステップS101 制御部12は、記憶部13から服薬スケジュールを読み出して、服薬タイミングとして指定された時間帯(服薬時間帯)の開始を検知する。その後、ステップS102に進む。
【0021】
ステップS102 制御部12は、患者に対して服薬時間帯となったことを報知する。この報知には、表示操作部17による表示出力と、スピーカ18による音声出力を用いることができる。また、人感センサ16の出力を利用し、服薬支援端末10の周囲に人が居ると判定したときに報知を行うこととしてもよい。報知の後、制御部12は、ステップS103に進む。
【0022】
ステップS103 制御部12は、カセットを取り出す操作を受け付けたか否かを判定する。カセットを取り出す操作は、表示操作部17によって受け付けてもよいし、専用のボタンを設けてもよい。カセットを取り出す操作を受け付けたならば、ステップS104に進む。カセットを取り出す操作を受け付けていなければ、ステップS106に進む。
【0023】
ステップS104 カセット排出機構15は、カセット収納部14に収納されたカセットを取り出し口から排出する。その後、ステップS105に進む。
ステップS105 制御部12は、カセット排出時刻をカセットの種別に対応付けて動作履歴に追加する。その後、ステップS107に進む。
【0024】
ステップS106 制御部12は、服薬時間帯が終了したか否かを判定する。服薬時間帯が終了していなければ、ステップS102に進む。服薬時間帯が終了したならば、ステップS107に進む。
【0025】
ステップS107 制御部12は、動作履歴を管理装置30に送信し、処理を終了する。動作履歴を送信するタイミングは、例えばステップS105やステップS107の直後であってもよい。また、動作履歴を蓄積しておき、定期的に送信してもよい。
図3では、服薬すべきタイミングが指定された薬に関する動作履歴を説明したが、動作履歴には他の情報を含めることができる。例えば、制御部12は、頓服用のカセットの排出の履歴、人感センサによる検出の履歴、カセット交換日、残薬数などを動作履歴に登録する。頓服用のカセットは、前回の排出から所定時間以内でなければ排出可能である。頓服用のカセットの取り出し操作を受け付けたとき、制御部12は、動作履歴を参照して排出の是非を判定し、排出したときに動作履歴の追加を行う。頓服用のカセットの排出の是非を定める所定時間は、カセットに収められた薬に応じて適宜設定する。
【0026】
図4は、管理装置30の構成図である。管理装置30は、通信部31、制御部32、記憶部33、表示部34及び操作部35を備える。
【0027】
通信部31は、服薬支援端末10と通信を行う通信インタフェースである。
制御部32は、管理装置30の動作を制御する。制御部32は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
制御部32は、端末管理部41、動作履歴管理部42、服薬行動生成部43、提案処理部44を有する。
【0028】
記憶部33は、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブである。記憶部33は、端末管理データ51、提案管理データ52、端末動作履歴53、服薬行動履歴54を記憶する。
【0029】
表示部34は、管理者に対する表示出力を行う。表示部34は、例えば液晶ディスプレイである。
操作部35は、管理者からの操作入力の受付を行う。操作部35は、例えばキーボードとポインティングディバイスである。
【0030】
端末管理部41は、服薬支援端末10に関する情報を端末管理データ51に登録して管理する。服薬支援端末10に関する情報には、端末ID、設置場所の住所、患者の氏名、患者の連絡先、患者の家族の連絡先、患者のケアマネージャーの連絡先、服薬スケジュールなどが含まれる。
【0031】
動作履歴管理部42は、服薬支援端末10から受信した動作履歴を、端末IDに対応付け、端末動作履歴53として管理する。
服薬行動生成部43は、端末動作履歴53を用い、服薬行動履歴54を生成する。服薬行動生成部43は、服薬支援端末10ごと、すなわち患者ごとに服薬行動履歴54を生成する。
また、服薬行動生成部43は、服薬行動履歴54を適宜表示部34に表示出力することができる。
【0032】
提案処理部44は、端末動作履歴53及び服薬行動履歴54に基づいて、管理者Ph1に対して提案する提案情報を生成し、表示部34に表示する。端末動作履歴53及び服薬行動履歴54が示す状態と生成すべき提案情報との関係は、提案管理データ52に示されている。
【0033】
図5は、提案管理データ52の具体例である。提案管理データ52は、アラーム番号、状態、アラームレベル、提案内容を対応付けたデータである。アラーム番号は、アラームを識別する識別情報である。状態は、端末動作履歴53及び服薬行動履歴54により定まる。アラームレベルは、管理者に対する報知の緊急度を示し、大きいほど緊急性が高い。
【0034】
図5のアラーム番号「1」は、残薬が無い状態であり、アラームレベルは「1」、提案内容は「ご家族、ケアマネージャーに連絡」である。
アラーム番号「2」は、端末がオフラインの状態であり、アラームレベルは「1」、提案内容は「ご家族、ケアマネージャーに連絡」「患者様に連絡」である。
アラーム番号「3」は、1回分の薬を取り出していない状態であり、アラームレベルは「1」、提案内容は「ご家族、ケアマネージャーに連絡」「患者様に連絡」である。
アラーム番号「4」は、連続して1日分の薬を取り出していない状態であり、アラームレベルは「2」、提案内容は「ご家族、ケアマネージャーに連絡」「患者様に連絡」「薬の強制排出」である。なお、強制排出は、管理装置30が服薬支援端末10に、対応する薬のカセットを強制的に排出させる処理である。
【0035】
アラーム番号「5」は、合計して所定回以上分の薬を取り出していない状態であり、アラームレベルは「1」、提案内容は「服薬スケジュールの変更」である。
アラーム番号「6」は、頓服の取り出し回数が多い状態であり、アラームレベルは「1」、提案内容は「医師へ連絡」である。
アラーム番号「7」は、1日間人感センサに反応がない状態であり、アラームレベルは「2」、提案内容は「ご家族、ケアマネージャーに連絡」「患者様に連絡」である。
【0036】
これらの例示の他、状態と提案の関係は、適宜設定可能である。例えば、残薬の無い服薬支援端末10の補充を優先する訪問スケジュールを作成し、提案することも可能である。
【0037】
服薬スケジュールの変更を提案する場合、提案処理部44は、服薬行動履歴54に基づいて、服薬の実績が多かった時刻や人を検知する確率が高かった時刻を服薬時間帯に含むよう、新規の服薬スケジュールを生成する。
例えば、朝の飲み忘れが多い場合には、朝と昼を兼用する、薬の種類を変えるなどを提案してもよい。
また、毎回服薬時間帯の後半で取り出しているならば、服薬時間帯を後ろにずらす提案をしてもよい。
服薬スケジュールを生成する際に、例えば、服用の間に空けるべき間隔を設定することもできる。このような服用の条件は、カセットに入れる複数の薬のうち、最も厳しい条件に合わせる。
同様に、カセットに入れる複数の薬に厳格な管理が要求される薬が含まれていれば、最も厳しい条件の薬に合わせ、アラームレベルを上げてもよい。
【0038】
図6は、管理装置30の動作の説明図である。まず、管理装置30は、表示部34にログイン画面を表示する。管理者Ph1から適正なログイン操作を受け付けると、管理装置30は、表示部34に端末一覧画面を表示する。端末一覧画面は、複数の服薬支援端末10について、その状態の概要を示す。
【0039】
端末一覧画面で、アラーム確認操作を受け付けると、管理装置30は、アラーム確認画面を表示部34に表示する。
端末一覧画面で、履歴表示操作を受け付けると、管理装置30は、履歴画面を表示部34に表示する。
【0040】
同様に、履歴画面で、アラーム確認操作を受け付けると、管理装置30は、アラーム確認画面を表示部34に表示する。
また、アラーム確認画面で、履歴表示操作を受け付けると、管理装置30は、履歴画面を表示部34に表示する。
【0041】
アラーム確認画面で、服薬スケジュール変更操作を受け付けると、管理装置30は、服薬スケジュール変更画面を表示する。服薬スケジュール変更画面は、現在の服薬スケジュールと、提案する1又は複数の新規な服薬スケジュールを比較表示し、管理者Ph1からの選択を受け付ける画面である。
アラーム確認画面で、連絡操作を受け付けると、管理装置30は、連絡先表示画面を表示する。連絡先表示画面は、例えば連絡先の氏名や電話番号等を表示する画面である。
アラーム確認画面で、強制排出操作を受け付けると、管理装置30は、強制排出画面を表示する。強制排出画面は、強制排出の対象とする服薬支援端末10とカセットの種類の選択を受け付け、服薬支援端末10に強制排出を実行させる画面である。
【0042】
図7は、端末一覧画面の具体例である。端末一覧画面は、端末ID、履歴概要、アラーム概要を表示する。履歴概要は、服薬状況やカセット交換日などを示す。アラーム概要は、発生しているアラームの内容を文字列で示すとともに、アラームレベルを表示態様の違いで示す。履歴概要を選択する操作は、履歴表示操作となる。アラーム概要を選択する操作は、アラーム確認操作となる。
端末一覧における服薬支援端末10の並びは、訪問日順、優先度順、交換日順、未服薬順、残薬順、アラームレベル順など、任意に並び替え可能である。
【0043】
図8は、履歴表示画面の具体例である。履歴表示画面は、端末ID、オンラインであるか否か、現在発生しているアラーム、服薬行動履歴を表示する。服薬行動履歴は、日毎に服薬の実績を示している。具体的には横軸に時刻を取り、服薬スケジュールにおける服薬時間帯の開始時刻からカセット排出時刻までを黒塗り、カセット排出時刻から服薬時間帯の終了時刻までを網掛けで示している。カセット排出時刻は、服薬を行った時刻と推定可能であり、服薬時間帯の中で早い時刻に服薬するほど、網掛けの範囲が大きくなる。服薬時間帯の全てが黒塗りであれば、服薬時間帯内で服薬が行われなかったことが示される。
図8の例では、2月9日の夜から連続して一日分、取り出されていない薬がある。
【0044】
図8のように、1日単位で服薬行動の履歴を並べることで、前日との比較ができ、傾向を観察することができる。例えば、だんだん飲む時間が遅くなっている、毎日きまった時間に頓服している、月曜日の朝が忘れやすいなどが容易に確認できる。
また、インタフェースとして利用可能としてもよい。例えば、履歴の帯を伸縮、移動させることで、服薬スケジュールを変更し、服薬支援端末10に反映してもよい。また、未服薬の帯をクリックするとリモート操作でカセットを強制排出できてもよい。
【0045】
図9は、アラーム確認画面の具体例である。アラーム確認画面は、端末ID、オンラインであるか否か、アラーム内容、対処ボタンを含む。図9では、アラーム内容に「アラーム(レベル2)」、「詳細:取り出していない薬(連続1日分)があります。」、「対応:「ご家族、ケアマネージャーに連絡」を実施してください。「患者様に連絡」を実施してください。「薬の強制排出」を実施してください。」が表示されている。
対処ボタンは、各種の対処に対応する操作ボタンであり、図9では、「ご家族、ケアマネージャーに連絡」のボタンと、「患者様に連絡」のボタンと、「薬の強制排出」のボタンに対して管理装置30から提案する対処であることを示す表示を付している。
【0046】
上述してきたように、実施例に開示した服薬支援システムは、対象者に合わせて決定された服薬スケジュールに従って薬を排出する1又は複数の服薬支援端末10と、前記1又は複数の服薬支援端末10と通信する管理装置30とを備え、前記管理装置30は、前記1又は複数の服薬支援端末10の動作履歴から1又は複数の前記対象者の服薬行動履歴を生成し、表示出力する。
このため、実際の服薬の履歴に応じ、管理者による総合的な服薬管理を支援できる。
例えば、服薬行動に異常が発生した場合には、規定の訪問日を前倒して訪問する、などの速やかな対応が可能である。
また、薬の服用タイミングにカセットを割り当て、そのタイミングで服用すべき薬をまとめて収納し、カセット単位で管理することにより、服薬の管理が正確になる。薬単位で服薬の通知や飲み忘れの管理を行うこととすると、薬の数が増えるとともに通知と操作が煩雑となるが、カセット単位で管理すれば、このような問題が生じない。
【0047】
また、前記管理装置30は、前記服薬行動履歴に基づいて、服薬の管理を行う管理者に対して提案する提案情報を生成し、出力する。
このため、実際の服薬の履歴に応じ、取るべき対処を提案して、管理者の対応の向上に寄与する。
【0048】
一例として、前記管理装置30は、前記服薬行動履歴が不適正な状態を示す場合にアラームを出力し、前記不適正な状態に対する対処を提案する。
また、前記管理装置30は、前記服薬行動履歴に基づいて、前記服薬スケジュールの変更を提案する。
例えば、前記管理装置30は、前記服薬スケジュールにおいて服薬すべきと定められた時間帯(服薬時間帯)と服薬を行った時刻(カセット排出時刻)との関係を示す情報、及び/又は前記服薬支援端末10が周囲に人が居ると判定した時刻についての情報に基づいて、前記服薬スケジュールの変更を提案する。
このように、開示の服薬支援システムは、対象者の行動履歴に合わせて服薬スケジュールを提案できる。
所定期間にわたる服薬の行動をカセット単位で管理し、服薬スケジュールの評価と提案を行うことで、薬の数によって煩雑となることなく、明快なスケジュールの提案ができる。
【0049】
また、前記管理装置30は、前記服薬行動履歴に基づいて、前記管理者が前記対象者を訪れる訪問スケジュールを提案する。
例えば、前記管理装置30は、前記服薬支援端末10から残薬に関する情報を取得し、前記残薬に基づいてアラームを出力し、前記残薬の無い服薬支援端末の補充を優先する訪問スケジュールを提案する。
このように、開示の服薬支援システムは、対象者の行動履歴に合わせて訪問スケジュールを提案できる。
特に、管理者が複数の対象者を管理する場合には、訪問スケジュールの効率化は有効である。
【0050】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
例えば、上記の実施例では、取り出し操作を受け付けてカセットを排出する構成を例示したが、服薬時間帯に入ったときに予めカセットを取り出し口まで搬送しておき、カセットが取り出し口から引き抜かれれば服薬完了とし、引き抜かれずに服薬時間帯が終了したときはカセットを収納部に戻す構成でもよい。
また、患者の自宅に服薬支援端末10を設置する構成に限らず、複数の患者が入居する施設に複数の服薬支援端末10を設置する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10:服薬支援端末、11:通信部、12:制御部、13:記憶部、14:カセット収納部、15:カセット排出機構、16:人感センサ、17:表示操作部、18:スピーカ、20:服薬者用装置、30:管理装置、31:通信部、32:制御部、33:記憶部、34:表示部、35:操作部、41:端末管理部、42:動作履歴管理部、43:服薬行動生成部、44:提案処理部、50:薬剤提供者用装置、51:端末管理データ、52:提案管理データ、53:端末動作履歴、54:服薬行動履歴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9