(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009050
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】アンカー取り付け補助装置とアンカー取り付け装置と、そのアンカー取り付け装置を使用するアンカー取り付け方法。
(51)【国際特許分類】
E04B 1/41 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
E04B1/41 503G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111779
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000214696
【氏名又は名称】長島鋳物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】関戸 昌弘
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AF01
2E125AG10
2E125AG13
2E125BA17
2E125BB08
2E125BB17
2E125BB22
2E125BB23
2E125BB31
2E125BC09
2E125BD01
2E125BE08
2E125BF01
2E125CA01
(57)【要約】
【課題】
安価でかつ衝撃をあたえることのないアンカー取り付け補助装置とそのアンカー取り付け補助装置を有するアンカー取り付け装置とそのアンカー取り付け装置を使用したアンカーの取り付け方法を提供する。
【解決手段】
アンカー取り付け補助装置は、筒状を呈するアンカー本体と、アンカー本体の先端に拡径する係止部と、アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを固定するために、軸部と軸部に接続された頭部と、を有し、軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、雌螺子部は、頭部と軸部を貫通するように配置され、雄螺子部は、アンカー雌螺子部と螺合可能であるというものである。また、アンカー取り付け装置は、上述のアンカー取り付け補助装置とボルトと、を有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状を呈するアンカー本体と、前記アンカー本体の先端に拡径する係止部と、前記アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、前記係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを固定するために、
軸部と前記軸部に接続された頭部と、を有し、前記軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、前記軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、
前記雌螺子部は、前記頭部と前記軸部を貫通するように配置され、前記雄螺子部は、前記アンカー雌螺子部と螺合可能なアンカー取り付け補助装置。
【請求項2】
筒状を呈するアンカー本体と、前記アンカー本体の先端に拡径する係止部と、前記アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、前記係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを固定するために、
軸部と前記軸部に接続された頭部と、を有し、前記軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、前記軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、
前記雌螺子部は、前記頭部と前記軸部を貫通するように配置され、ボルトと螺合可能であり、前記ボルトを、前記雌螺子部に配置したときに前記芯材を押圧可能であり、
前記雄螺子部は、前記アンカー雌螺子部と螺合可能なアンカー取り付け補助装置。
【請求項3】
筒状を呈するアンカー本体と、前記アンカー本体の先端に拡径する係止部と、前記アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、前記係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを穴に固定するために、
軸部と前記軸部に接続された頭部と、を有し、
前記軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、
前記軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、
前記雌螺子部は、前記頭部と前記軸部を貫通するように配置され、
前記雄螺子部は、前記アンカー雌螺子部と螺合可能なアンカー取り付け補助装置と、
軸部となるボルト軸部と、頭部となるボルト頭部とを具備するボルトと、を有し、
前記穴に前記アンカーを配置するとともに、
前記雄螺子部を、前記アンカー雌螺子部と螺合して前記アンカーと前記アンカー取り付け補助装置と、を接続するとともに、前記ボルト軸部を、前記雌螺子部と螺合することで、前記アンカー取り付け補助装置と前記ボルトを接続し、前記ボルト頭部をさらに回転させることで、前記ボルト軸部が、前記芯材を押圧し、前記係止部を拡径し、前記穴と前記係止部が係合するアンカー取り付け装置。
【請求項4】
筒状を呈するアンカー本体と、前記アンカー本体の先端に拡径する係止部と、前記アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、前記係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを穴に固定するために、
軸部と前記軸部に接続された頭部と、を有し、
前記軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、
前記軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、
前記雌螺子部は、前記頭部と前記軸部を貫通するように配置され、
前記雄螺子部は、前記アンカー雌螺子部と螺合可能なアンカー取り付け補助装置と、
軸部となるボルト軸部と、頭部となるボルト頭部とを具備するボルトと、
座金と、を有し、
前記穴に前記アンカーを配置するとともに、
前記雄螺子部を、前記アンカー雌螺子部と螺合して前記アンカーと前記アンカー取り付け補助装置と、を接続するとともに、前記ボルト軸部を、前記座金を介して前記雌螺子部と螺合することで、前記アンカー取り付け補助装置と前記ボルトを接続し、前記ボルト頭部をさらに回転させることで、前記ボルト軸部が、前記芯材を押圧し、前記穴と前記係止部が係合するアンカー取り付け装置。
【請求項5】
穴に、アンカーを配置するアンカー配置工程と、
前記アンカー配置工程により配置したアンカーに、請求項3または4記載のアンカー取り付け装置を取り付けるアンカー取り付け装置配置工程と、
前記アンカー取り付け装置配置工程によって配置したアンカー取り付け装置における前記ボルトを回転させることで、前記ボルト軸部が、前記芯材を押圧し、前記穴と前記係止部が係合するアンカー係合工程と、を有するアンカー取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーを取り付けるアンカー取り付け補助装置と、そのアンカー取り付け補助装置を有するアンカー取り付け装置と、そのアンカー取り付け装置を使用するアンカー取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンカーとは、アンカー本体を拡径することで、母材にあけた穴に係合し固定するものであり、そのアンカー本体にボルトやフックなどの部材を取り付けられるものである。このようなアンカーは、コンクリート部材のほか、金属製の部材にも取り付けることができ、そのアンカーに設けた雌螺子には種々の部材を取り付けることができる。
【0003】
アンカーの母材への取り付け方法は、例えば、母材に穴をあけ、その穴に接着剤を流し込むことで固定するもの、あるいは穴の中でそのアンカー本体が拡径し、その穴とその拡径したアンカー本体が係合することでそのアンカーを固定するもの、あるいはそれらを併用したものがある。
【0004】
そのようなもののうち、穴の中でそのアンカー本体が拡径しその穴とその拡径した部分が係合することでアンカーを固定するものについては、アンカーにおけるアンカー本体を拡径するための芯である芯材が、あらかじめ内蔵されており、その芯材を打ち込むことで、アンカー本体が拡径するというものである。
【0005】
従来のアンカーの固定方法としては、その芯材を打ち込むために、打ち込み棒を用い、その打ち込み棒をハンマーで叩くことによって芯材を押しこみ、アンカーにおけるアンカー本体を拡径することで固定していた。しかしながら、ハンマーの打ち込みによる衝撃で、そのアンカーを取り付けようとする母材が損傷する場合がある。特に、老朽化したマンホール躯体が母材の場合にその恐れがある。
【0006】
そこで、例えば、非特許文献に開示されているアンカー打込機については、油圧によって駆動するピストンが、芯材を徐々に押し込むことによってアンカー本体を拡径することによりアンカーを固定することができる。したがって、衝撃により母材を損傷する恐れは低くなる。
【0007】
しかしながら、そのアンカー打込機は比較的高額であり、購入するのに躊躇せざるを得ないものであり、普及させるためには、安価な装置が要望されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
https://sanko-techno.co.jp/products/tools/tools01/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の実情に鑑みてなされたもので、その課題は、安価でかつ衝撃をあたえることのないアンカー取り付け補助装置とそのアンカー取り付け補助装置を有するアンカー取り付け装置とそのアンカー取り付け装置を使用したアンカーの取り付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するため、第1観点におけるアンカー取り付け補助装置は、筒状を呈するアンカー本体と、アンカー本体の先端に拡径する係止部と、アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを固定するために、軸部と軸部に接続された頭部と、を有し、軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、雌螺子部は、頭部と軸部を貫通するように配置され、雄螺子部は、アンカー雌螺子部と螺合可能であるというものである。
【0011】
前記の課題を解決するため、第2観点におけるアンカー取り付け補助装置は、筒状を呈するアンカー本体と、アンカー本体の先端に拡径する係止部と、アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを固定するために、軸部と軸部に接続された頭部と、を有し、軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、雌螺子部は、頭部と軸部を貫通するように配置され、ボルトと螺合可能であり、ボルトを、雌螺子部に配置したときに芯材を押圧可能であり、雄螺子部は、アンカー雌螺子部と螺合可能であるというものである。
【0012】
前記の課題を解決するため、第3観点におけるアンカー取り付け装置は、筒状を呈するアンカー本体と、アンカー本体の先端に拡径する係止部と、アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを穴に固定するために、軸部と軸部に接続された頭部と、を有し、軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、雌螺子部は、頭部と軸部を貫通するように配置され、雄螺子部は、アンカー雌螺子部と螺合可能なアンカー取り付け補助装置と、軸部となるボルト軸部と、頭部となるボルト頭部とを具備するボルトと、を有し、穴にアンカーを配置するとともに、雄螺子部を、アンカー雌螺子部と螺合してアンカーとアンカー取り付け補助装置と、を接続するとともに、ボルト軸部を、雌螺子部と螺合することで、アンカー取り付け補助装置とボルトを接続し、ボルト頭部をさらに回転させることで、ボルト軸部が、芯材を押圧し、係止部を拡径し、穴と係止部が係合するというものである。
【0013】
前記の課題を解決するため、第4観点におけるアンカー取り付け装置は、筒状を呈するアンカー本体と、アンカー本体の先端に拡径する係止部と、アンカー本体の後端の内部に雌螺子であるアンカー雌螺子部と、係止部を拡径させる芯材と、を具備するアンカーを穴に固定するために、軸部と軸部に接続された頭部と、を有し、軸部の外部に、雄螺子である雄螺子部と、軸部の内部に、雌螺子である雌螺子部と、を有し、雌螺子部は、頭部と軸部を貫通するように配置され、雄螺子部は、アンカー雌螺子部と螺合可能なアンカー取り付け補助装置と、軸部となるボルト軸部と、頭部となるボルト頭部とを具備するボルトと、座金と、を有し、穴にアンカーを配置するとともに、雄螺子部を、アンカー雌螺子部と螺合してアンカーとアンカー取り付け補助装置と、を接続するとともに、ボルト軸部を、座金を介して雌螺子部と螺合することで、アンカー取り付け補助装置とボルトを接続し、ボルト頭部をさらに回転させることで、ボルト軸部が、芯材を押圧し、穴と係止部が係合するというものである。
【0014】
前記の課題を解決するため、第5観点におけるアンカー取り付け方法は、穴に、アンカーを配置するアンカー配置工程と、アンカー配置工程により配置したアンカーに、第3観点または第4観点のアンカー取り付け装置を取り付けるアンカー取り付け装置配置工程と、アンカー取り付け装置配置工程によって配置したアンカー取り付け装置におけるボルトを回転させることで、ボルト軸部が、芯材を押圧し、穴と係止部が係合するアンカー係合工程と、を有するというものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、安価でかつ衝撃をあたえることのないアンカー取り付け補助装置とそのアンカー取り付け補助装置を有するアンカー取り付け装置とそのアンカー取り付け装置を使用したアンカーの取り付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】Aは、アンカー取り付け補助装置の正面図である。Bは、アンカー取り付け補助装置の底面図である。
【
図2】Aは、アンカー取り付け補助装置の平面図である。Bは、アンカー取り付け補助装置の断面図である。
【
図3】Aは、ボルトと座金の平面図である。Bは、ボルトと座金の正面図である。
【
図4】Aは、アンカー取り付け補助装置とボルトと座金を組み立てた状態を示す正面図である。Bは、アンカー取り付け補助装置とボルトと座金を組み立てた状態を示す断面図である。
【
図5】Aは、アンカーの正面図である。Bは、アンカーの平面図である。Cは、アンカーの底面図である。
【
図6】Aは、アンカーの断面図である。Bは、アンカーの係止部が広がった状態を示す断面図である。
【
図7】Aは、ドリルで母材に穴をあけた状態を示す概念図である。Bは、母材の粉末を吸引する状態を示す概念図である。Cは、穴をブラシで清掃する状態を示す概念図である。Dは、再び母材の粉末を吸引する状態を示す概念図である。Eは、穴に接着剤を塗布する状態を示す概念図である。
【
図8】Aは、アンカーを穴に取り付け、アンカー取り付け装置をアンカーに取り付けた状態の図である。Bは、Aの状態の断面状態図である。
【
図9】Aは、アンカーを、アンカー取り付け装置によって穴に固定した状態の図である。Bは、Aの状態の断面状態図である。
【0017】
以下図示の実施形態を参照して第1実施例におけるアンカー取り付け補助装置10について説明する前に、まずはアンカー300について説明する。アンカー300は、筒状を呈するアンカー本体310と、そのアンカー本体310の先端部320から中間部330にかけて、その径を拡大可能な係止部340とを有する。係止部340は、切込みであるスリット350を複数有し、その複数のスリット350は、アンカー本体310の先端部320から中間部330にかけて長手方向に延びるように配置されている。また、係止部340の内部は、中間部330から先端部320にかけてその中間部内径330Aから、先端部内径320Aにかけて徐々にその内径が減少するいわゆる縮径するようにテーパー状に構成されている。
【0018】
また、アンカー300における後端360の内部は、雌螺子であるアンカー雌螺子部370を有し、アンカー取り付け補助装置10を取り付けることができる。また、さらにその雌螺子部370は、図示しないボルト、フック類を取り付けることができる。
【0019】
また、アンカー300は、柱状を呈する芯材400をアンカー本体310の内部に配置している。芯材400は、アンカー本体310のほぼ半分の長さが好ましく、芯材400を、先端部320の方向に押圧すると、係止部340の内部は、中間部330から先端部320にかけてその内径が徐々に縮径するように構成されているので、押圧され移動したその芯材400によって、複数のスリット350を押し広げることでアンカー本体310の先端部320から中間部330にかけて配置した係止部340の径を、拡大することができる。この拡径された係止部340が、取り付けようとする穴Hと係合することで、アンカー300を穴Hに固定することができる。これについては後述する。
【0020】
第1実施例におけるアンカー取り付け補助装置10は上述のアンカー300に取り付けて、後述するボルト200によって芯材400を押圧するために使用するものである。また、アンカー取り付け補助装置10は、ボルト200を取り付けるためのいわば、アダプタとしての機能を有するものである。また、アンカー取り付け補助装置10は、軸部20と、頭部50とを有するものであり、外観はほぼボルトの形状を呈している。
【0021】
アンカー取り付け補助装置10における軸部20は、その外部にアンカー雌螺子部370と螺合する雄螺子である雄螺子部30を有する。また、軸部20の内部には、雌螺子である雌螺子部40を有している。すなわち、軸部20は、その軸部20の外部に雄螺子部30を有し、その内部に雌螺子部40を有し、ほぼ筒状を呈している。雌螺子部40は後述するボルト200におけるボルト雄螺子部222と螺合するものである。
【0022】
また、頭部50は平面視6角形を呈することが好ましく、図示しないレンチ、スパナと係合することができ、いわゆるねじ回しをすることができる。また、雌螺子部40は、軸部20と頭部50との内部を貫通するように配置されている。すなわち、雌螺子部40は、軸部20と頭部50との内部を連通するように配置されている。したがって平面視において頭部50の中心に雌螺子部40の中心を配置するようにその雌螺子部40は開口する構成である。また、頭部50は平面視6角形に限られることはない。
【0023】
次にアンカー取り付け装置100について説明する。アンカー取り付け装置100は、上述のアンカー取り付け補助装置10と、ボルトからなるボルト200を有している。ボルト200は、軸部となるボルト軸部220と頭部となるボルト頭部250を有している。ボルト軸部220の長さは、アンカー300に内蔵された芯材400を押圧するのに必要な長さを有することが好ましく、例えば、5センチメートルが好ましい。
【0024】
また、ボルト軸部220は、その外部に雄螺子であるボルト雄螺子部222を有している。ボルト雄螺子部222は、雌螺子部40と螺合することができる。また、ボルト頭部250は、平面視6角形を呈することが好ましく、図示しないレンチ、スパナと係合することができ、いわゆるねじ回しをすることができる。
【0025】
また、アンカー取り付け装置100は座金280を有する場合がある。座金280は、ボルト軸部220を挿通するための開口する開口部285を有している。座金280の外形および開口部285は平面視円形が好ましい。
【0026】
上記構成のボルト200におけるボルト軸部220を、アンカー取り付け補助装置10における雌螺子部40と螺合することで、アンカー取り付け装置100を構成することができる。なお、ボルト軸部220を、座金280を介してアンカー取り付け補助装置10における雌螺子部40と螺合することで、アンカー取り付け装置100を構成しても好ましい。
【0027】
つぎに母材600にアンカー300を取り付ける方法について説明する。母材に穴Hをあける穴形成工程について説明する。まず、母材600にドリルPで穴Hをあける。穴Hに溜まった砕片601を吸引装置Vで吸引する。次に、穴HをブラシBで清掃し再び穴Hに溜まった粉末状の母材602を吸引する。その後穴Hに接着剤Kを塗布する。
【0028】
次に、アンカー取り付け装置100を使用したアンカー取り付け方法について説明する。接着剤Kを塗布したその穴Hに、アンカー300を配置する(アンカー配置工程)。接着剤Kが固化するまでには猶予が必要なためこの状態ではアンカー300は母材600に確実に固定されているとは言えない状態である。
【0029】
次に、アンカー取り付け装置100をアンカー300に取り付ける。いうなれば、穴Hにアンカー300を配置し、そのアンカー300にアンカー取り付け装置100を取り付けるというものである。
【0030】
すなわち、アンカー取り付け装置100のアンカー取り付け補助装置10における軸部20を、アンカー雌螺子部370と螺合するように取り付ける(アンカー取り付け装置配置工程)。上述の通り軸部20の外部には、雄螺子部30を有しているので、その雄螺子部30はアンカー雌螺子部370と螺合する。この場合は、あらかじめボルト200を、座金280とともにあらアンカー取り付け補助装置10に取り付けられている。なお、座金280を介してアンカー取り付け補助装置10に、ボルト200を取り付けることもできる。また、あらかじめアンカー取り付け装置100を取り付けたアンカー300を穴Hに配置することもできる。
【0031】
次に、ボルト200におけるボルト頭部250を、図示しないレンチによって回転させる。これによって、ボルト200が、雌螺子部40内に進入する。侵入したボルト200は、アンカー300における芯材400を押圧する。これに従い押圧された芯材400は徐々に下降し、複数のスリット350を押し広げ、アンカー本体310の先端部320から中間部330にかけて配置した係止部340が、拡径される。これにより母材600の穴Hと係止部340が係合する(アンカー係合工程)。これにより穴Hにアンカー300が取り付けられた状態となる。その後、接着剤Kが固化すれば、アンカー300が穴Hに固定される。その後、アンカー取り付け装置100をアンカー300から取り外す。
【0032】
このように、アンカー取り付け補助装置10を介してボルト200を取り付け、そのボルト200が、芯材400を押圧する。これにより徐々に係止部340が、拡径するので、母材600に与える衝撃を可及的に少なくすることで母材600の損傷を防ぐことができる。また、上記構成のアンカー取り付け補助装置10は比較的安価でありそのボルト200を有するアンカー取り付け装置100も同様に比較的安価に構成することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 アンカー取り付け補助装置
20 軸部
30 雄螺子部
40 雌螺子部
50 頭部
100 アンカー取り付け装置
200 ボルト
220 ボルト軸部
222 ボルト雄螺子部
250 ボルト頭部
280 座金
285 開口部
300 アンカー
310 アンカー本体
320 先端部
330 中間部
340 係止部
350 スリット
360 後端
370 アンカー雌螺子部
400 芯材
600 母材
H 穴