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特開2025-90538造粒物及び前記造粒物を含む錠剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025090538
(43)【公開日】2025-06-17
(54)【発明の名称】造粒物及び前記造粒物を含む錠剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20250610BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20250610BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20250610BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20250610BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20250610BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20250610BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20250610BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250610BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/20
A61K47/14
A61K47/10
A61P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024204495
(22)【出願日】2024-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2023205669
(32)【優先日】2023-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】立花 政明
(72)【発明者】
【氏名】松木 誠司
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC05
4C076DD46
4C076DD46E
4C076DD46F
4C076DD57
4C076DD57E
4C076DD57F
4C076EE06
4C076EE09
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE23E
4C076EE23F
4C076EE30
4C076EE32
4C076FF01
4C076GG12
4C076GG13
4C076GG14
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA24
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA20
4C206ZA07
4C206ZA08
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】打錠時にスティッキングが抑制される造粒物の製造方法の提供。
【解決手段】下記(A)成分と下記(B)成分とを含み、下記(C)成分を実質的に含まない水分散液調製工程(X)と、
(X)工程により得られた水分散液を高圧ホモジナイザーにより粉砕する粉砕工程(Y)と、
(Y)工程により得られた粉砕物に下記(C)成分を添加して造粒する造粒工程(Z)とを有する、
下記(A)成分~(C)成分を含有する造粒物の製造方法。
(A)界面活性剤
(B)イブプロフェン
(C)カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分と下記(B)成分とを含み、下記(C)成分を実質的に含まない水分散液調製工程(X)と、
(X)工程により得られた水分散液を高圧ホモジナイザーにより粉砕する粉砕工程(Y)と、
(Y)工程により得られた粉砕物に下記(C)成分を添加して造粒する造粒工程(Z)とを有する、
下記(A)成分~(C)成分を含有する造粒物の製造方法。
(A)界面活性剤
(B)イブプロフェン
(C)カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上。
【請求項2】
(A)成分が、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル、及び、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
(X)工程において、(A)成分と(B)成分の質量比が、0.005~0.5である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
(Y)工程において、得られる水分散液中の(B)成分の体積平均粒子径が3μm~20μmである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
(Z)工程の造粒方法が、流動層造粒、撹拌造粒、又は、押出造粒である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の方法により得られる造粒物を含む組成物を調製し、前記組成物を打錠する、錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打錠時のスティッキングが抑制された造粒物の製造方法、及び、当該製造方法により製造された造粒物を含む組成物を用いた錠剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンは、難溶性の薬物であるため、製剤からの溶出性を改善する試みがなされてきた。イブプロフェンを粉砕することにより溶出性を高める方法として、例えば、イブプロフェンと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの共粉砕物を水溶性高分子で造粒する技術が知られている(特許文献1)。
また、イブプロフェンを微粒子とした分散液を調整する方法として、イブプロフェンをラウリル硫酸ナトリウムが溶解した水に投入して、ビーズミルにて湿式粉砕し、イブプロフェンを平均粒子径0.7μmの微粒子とした分散液を調製する方法が報告されている(特許文献2)。
イブプロフェンを微粒子化する別の方法として、高圧ホモジナイザーを用いることが考えられる。難溶性薬物を、高圧ホモジナイザーを用いて粉砕処理する方法として、例えば、難溶性薬物を、解粒剤を含まない液に懸濁し、高圧ホモジナイザーで高圧処理し、ついで、解粒剤を添加し凝集粒を解粒することにより難溶性薬物がナノオーダーサイズの粒子に粉砕された分散液を得る製造方法が報告されている(特許文献3)。しかし、水に分散しがたいイブプロフェンを水に分散させるためには解粒剤が必要である。そこで、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ-スといった水溶性高分子からなる分散剤を水に添加した後、難溶性薬物を添加した水分散液を調製し、高圧ホモジナイザーで処理することで安定した懸濁液を得る方法が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-182726号公報
【特許文献2】特開2017-132717号公報
【特許文献3】国際公開第2005/094788号
【特許文献4】特開平04-288013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、イブプロフェンは粉体同士の結合力が強くなく、摩擦によって伸びやすい性質を持つため、高圧ホモジナイザーを用いて湿式粉砕して微細化した場合、イブプロフェンの表面積が増えるため、打錠時にスティッキングが生じやすいという問題があった。
【0005】
本発明者等は検討を重ねた結果、高圧ホモジナイザーを用いた湿式粉砕工程において、界面活性剤とイブプロフェンが懸濁された懸濁液を高圧ホモジナイザーで共粉砕し、その後、特定の水溶性高分子を溶解させて造粒物を得ることで、意外にも打錠時のスティッキングが抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の内容を含む。
[1] 下記(A)成分と下記(B)成分とを含み、下記(C)成分を実質的に含まない水分散液調製工程(X)と、
(X)工程により得られた水分散液を高圧ホモジナイザーにより粉砕する粉砕工程(Y)と、
(Y)工程により得られた粉砕物に下記(C)成分を添加して造粒する造粒工程(Z)とを有する、
下記(A)成分~(C)成分を含有する造粒物の製造方法。
(A)界面活性剤
(B)イブプロフェン
(C)カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上。
[2] (A)成分が、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル、及び、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選ばれる1種以上である、[1]に記載の製造方法。
[3] (X)工程において、(A)成分と(B)成分の質量比が、0.005~0.5である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] (Y)工程において、得られる水分散液中の(B)成分の体積平均粒子径が3μm~20μmである、[1]~[3]の何れか1項に記載の製造方法。
[5] (Z)工程の造粒方法が、流動層造粒、撹拌造粒、又は、押出造粒である、[1]~[4]の何れか1項に記載の製造方法。
[6] [1]~[5]の何れか1項に記載の方法により得られる造粒物を含む組成物を調製し、前記組成物を打錠する、錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の造粒物の製造方法によれば、微粒子化されたイブプロフェンを含み、打錠時にスティッキングが抑制される造粒物を得ることができる。かかる造粒物を含む組成物を用いることにより、錠剤を安定的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
[造粒物の製造方法]
本発明の造粒物の製造方法は、水分散液調製工程(X)と、粉砕工程(Y)と、造粒工程(Z)とを有する。
【0009】
<水分散液調製工程(X)>
水分散液調製工程(X)は、(A)界面活性剤と(B)イブプロフェンとを含み、実質的に(C)カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上を含まない水分散液を調製する工程である。
【0010】
(A)成分:界面活性剤
水分散液に(A)成分を含有することにより、(Y)工程における(B)成分の粉砕が可能になる。また、本発明の造粒物の製造方法により得られる造粒物の水分散性を向上させることができ、造粒物を含む錠剤を製造するときに、スティッキングを抑制することができる。さらに、本発明の錠剤の製造方法により得られる錠剤において、(B)成分の薬物溶出性を向上させることができる。
【0011】
(A)成分としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル、又は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。中でも、薬物により良好な濡れ性をより生じさせることができる点、並びに造粒物を含む錠剤を製造するときに、スティッキングをより抑制することができる点で、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
これらの(A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0012】
水分散液中の(A)成分の含有量は、水分散液の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.3~1質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、打錠時のスティッキングがより抑制でき、さらに(B)成分の溶出性をより向上させることができる。一方、(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、水分散液の粉砕時に泡の発性をより抑制でき、粉砕効率をより向上させることができる。
【0013】
(B)成分:イブプロフェン
(B)イブプロフェン(化学名:2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸)は、水難溶性の薬物で、解熱鎮痛効果を有するとして広く知られている薬物である。
(B)成分を、本発明の造粒物の製造方法に従って、(A)成分と共粉砕し微細化して造粒物に含有することにより、本発明の錠剤の製造方法において、スティッキングを抑制することができる。
(B)成分の含有量は、水分散液の総質量に対して、好ましくは、1~50質量%であり、より好ましくは、10~40質量%である。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、後述する造粒工程(Z)時に噴霧する液量が減り噴霧時間をより短縮できる。一方、(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、本発明の造粒物の製造方法において、分散性がより向上する。さらに、本発明の錠剤の製造方法において、スティッキングがより抑制される。
【0014】
水分散液における(A)/(B)の質量比は、0.005~0.5であることが好ましく、0.01~0.1であることがより好ましい。(A)/(B)の質量比が上記下限値以上であることにより、(B)成分の高圧ホモジナイザーの流路内での沈殿が抑制されて粉砕性をより向上させることができる。一方、(A)/(B)の質量比が上記上限値以下であることにより、造粒工程(Z)において打錠時にスティッキングがより抑制される造粒物が得られ、本発明の製造方法により得られる錠剤の崩壊性をより向上させることができる。
【0015】
水分散液には、本発明の効果を妨げない範囲において(A)成分、(B)成分に加え、これら以外の成分(水分散液用の任意成分)を加えてもよい。
水分散液用の任意成分としては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。具体的には、賦形剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(「L-HPC」(登録商標)と称する場合もある)、結晶セルロース(「アビセル」(登録商標)など)、コーンスターチ、タルク、乳糖、粉糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、L-システイン等や、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
滑沢剤としては、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル等や、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
結合剤としては、たとえば澱粉、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、カルメロース、カルメロースカルシウム、プルラン、デキストリン等や、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン、トウモロコシデンプン等や、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0016】
(X)工程において、水分散液は、上述の任意成分(水分散液用の任意成分)を含有することはできるが、含有量は少ないことが好ましい。
(A)成分と(B)成分以外の上述の任意成分は、水分散液の総量を100質量%として、5質量%以下であり、1質量%以下が好ましく、検出限界以下であるのが特に好ましい。任意成分の含有量が上記上限値以下であれば、後述する造粒工程(Z)において、スティッキング性を低減することができる。
【0017】
(X)工程において、水分散液は、後述する(C)成分を実質的に含まない。ここで「実質的に含まない」とは、水分散液100質量部に対して(C)成分の含有量が0~1質量部であることを意味し、検出限界以下がより好ましく、水分散液に配合されておらず含有していないことがさらに好ましい。このようにすることで、造粒物を含む錠剤を製造するときに、スティッキングがより抑制される。
【0018】
(水分散液の調整)
水分散液の調整方法は特に限定されず、例えば、容器中の水に、上述した所定の含有量比となるよう(A)成分、(B)成分と、必要に応じて任意成分を、順次、攪拌しつつ次第に投入することにより調整することができる。
【0019】
<粉砕工程(Y)>
粉砕工程(Y)は、水分散液調製工程(X)で調整した水分散液を、高圧ホモジナイザーにより粉砕する工程である。これにより、(B)イブプロフェンの粉砕物が得られる。
粉砕工程(Y)に用いられる高圧ホモジナイザーとしては、特に限定されず、スターバースト((株)スギノマシン)、マイクロフルイダイザー((株)パウレック)、圧力式ホモジナイザー(SPXフローテクノロジージャパン(株))等を用いて実施できる。
【0020】
高圧ホモジナイザーによる粉砕時の処理圧力としては、好ましくは50MPa~160MPa、より好ましくは100MPa~160MPaである。処理圧力が、上記圧力範囲であると、処理速度が上昇し生産効率をより高められる。一方、処理圧力が上記圧力範囲より高圧だと粉砕時に温度が上昇し(B)成分が融解するため、(B)成分の粒子径が小さくならない。
【0021】
粉砕工程(Y)により得られる(B)成分の粉砕物の体積平均粒子径は、3~20μmが好ましく、3~10μmがより好ましい。体積平均粒子径が、上記下限値以上であると、製造時のスティッキングがより低減される。一方、体積平均粒子径が、上記上限値以下であると、溶出性がより向上し、錠剤製造時にスティッキングがより低減される。
本発明において、粒子径は体積平均粒子径を意味する。体積平均粒子径の測定方法は、例えば、レーザー回折・散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製「LS13320型」)により測定することができる。
【0022】
<造粒工程(Z)>
造粒工程は、前記粉砕工程(Y)により得られた(A)成分、(B)成分の共粉砕物に(C)成分を加えて溶解後、湿式造粒し、造粒物を得る工程である。
【0023】
(C)成分:
(C)成分は、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコールから選ばれる1種以上であり、錠剤製造時にスティッキングがより低減される点から、好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上であり、より好ましくはヒドロキシプロピルセルロースである。
【0024】
湿式造粒法として具体的には、流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、乾燥と造粒が同時にできる流動層造粒法が好ましい。
流動層造粒法による造粒物の製造は、例えば、攪拌型流動造粒装置(例えば(株)パウレックのフローコーターやフロンイント産業(株)のスパイラフロー)を用いて、粉砕後の水分散液を噴霧しながら造粒することにより実施できる。
攪拌造粒法による造粒物の製造は、例えば、攪拌造粒機(例えば(株)アーステクニカのハイスピードミキサーFS-10)を用いて、粉砕後の水分散液を噴霧または滴下しながら攪拌錬合した後に、押出造粒機(例えば(株)ダルトンのドームグランDG-LI)を用いて造粒することにより実施できる。
造粒条件は特に限定されないが、(B)成分の融点:65℃よりも低い温度で行うことが好ましい。
【0025】
造粒物の体積平均粒子径は、50~1000μmであることが好ましく、100~700μmであることがより好ましい。造粒物の体積平均粒子径が、上記上限値以下であると、後述する造粒物を含む組成物の混合均一性をより良くすることができる。一方、造粒物の体積平均粒子径が、上記下限値以上であると、造粒物を含む組成物のハンドリング性をより良くすることができる。
【0026】
造粒物中の(A)成分の含有量は、造粒物の総質量に対して、0.2~5質量%が好ましく、0.4~1.2質量%がより好ましい。造粒物中の(A)成分の含有量が、上記下限値以上であると、造粒物の水分散性をより向上させることができ、(B)成分の溶出性をより向上させることができる。一方、造粒物中の(A)成分の含有量が、上記上限値以下であると、錠剤の崩壊性をより向上させることができる。
【0027】
造粒物中の(B)成分の含有量は、造粒物の総質量に対して、10~80質量%が好ましく、30~45質量%がより好ましい。造粒物中の(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、錠剤としたときにより小型化される。一方、造粒物中の(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、造粒時のスティッキングがより抑制され、本発明の製造方法により得られる錠剤の崩壊性をより向上させることができる。
【0028】
造粒物中の(C)成分の含有量は、造粒物の総質量に対して、1~20質量%が好ましく、2~10質量%がより好ましい。造粒物中の(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、スティッキングがより抑制される。一方、造粒物中の(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、結合液の粘度が下がり造粒時の噴霧速度をより高められることに加え、本発明の製造方法により得られる錠剤の崩壊性をより向上させることができる。
【0029】
造粒物には、本発明の効果を妨げない範囲において(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、これら以外の成分(造粒物中の任意成分)を加えてもよい。
造粒物中の任意成分としては、(A)成分以外の生理活性成分、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、香料、矯味剤(甘味料、酸味料等)、着色剤等が挙げられる。
(A)成分以外の生理活性成分としては、たとえばアセチルサリチル酸、ロキソプロフェン、アセトアミノフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブフェキサマック、ジクロフェナック、アルクロフェナック、エトドラック、フルルビプロフェン、メフェナミック、メクロフェナミック、ピロキシカム等の非ステロイド抗炎症剤;安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等の中枢興奮剤;ニトラゼパム、トリアゾラム、フェノバルビタール、アミバルビタール、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロモバレリル尿素等の催眠・鎮静剤;フェニトイン、プリミドン、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸等の抗てんかん剤;塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等の鎮うん剤;ハロペリドール、クロルジアゼポキシド、ジアゼバム、スルピリド等の精神神経用剤;アトロピン等の鎮けい剤;ジゴキシン等の強心剤;ピンドロール、ジソピラミド等の不整脈剤;ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロセミド、ブメタニド等の利尿剤;塩酸プラゾシン等の抗高血圧剤;硝酸イソソルビド、ニフェジピン、ジピリダモール等の冠血管拡張剤;ノスカピン、ツロプテロール、トラニラスト等の鎮咳剤;塩酸ブロムヘキシン等の去痰剤;エリスロマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、リファンピシン、グリセオフルビン等の抗生物質;フマル酸クレマスチン等の抗ヒスタミン剤;デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニソロン、ダナゾール、酢酸クロルマジノン等のステロイド剤;ビタミンA類、葉酸(ビタミンM類)等のビタミン剤;ファモチジン、メトクロプラミド、オメプラゾール、トレピブトン、スクラルファート等の消化器系疾患治療剤;乾燥水酸化アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミニウムグリシネート、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の制酸剤;クロフィブラート、メルカプトプリン、メトトレキサート、メシル酸ジヒドロエルゴタミンが挙げられる。
これらの生理活性成分は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。また、これら他の生理活性成分は、医薬的に許容可能な塩(例えば、ナトリウム塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等)であっても良い。
賦形剤としては、たとえばカルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース(「アビセル」(登録商標)など)、コーンスターチ、タルク、単糖類(キシロース等)、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、粉糖、マルトース、スクロース、トレハロース、異性化乳糖、その他各種オリゴ糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カリウム、L-システイン、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を用いることができる。
崩壊剤としては、たとえばカルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム等を用いることができる。
滑沢剤としては、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることができる。
結合剤としては、たとえば澱粉、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、カルメロース、カルメロースカルシウム、プルラン、デキストリン等を用いることができる。
香料としては、たとえばメントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油など)等を用いることができる。
甘味料としては、たとえばサッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等を用いることができる。
酸味料としては、たとえばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等を用いることができる。
着色剤としては、たとえば三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄等の鉄を主成分とする無機顔料、酸化亜鉛、酸化チタンを用いることができる。
造粒物中の任意成分は、造粒物の総量を100質量%として、10~88.8質量%が好ましく、43.8~67.6質量%がより好ましい。造粒物中の任意成分の含有量が上記下限値以上であると、錠剤化した際に(B)成分の溶出性がより向上する。また、上記上限値以下であれば、錠剤としたときにより小型化される。造粒物中の任意成分は、(C)成分の溶解後に添加してもよく、(C)成分と同時に添加しても良いが、(C)成分を十分に溶解させることができる点から、(C)成分の溶解後に添加することが好ましい。また、(C)成分を添加溶解した水分散液を、造粒物中の任意成分に噴霧または滴下して加え、乾燥させて造粒物を得ることもできる。造粒時間を短縮でき、生産性が向上する点から、後者の添加・造粒方法が一層好ましい。
【0030】
<造粒物を含む組成物の調整(混合工程)>
造粒物を含む組成物は、上述の造粒物の製造方法により得られる、(A)成分、(B)成分、(C)成分を含む造粒物と、錠剤用の任意成分を含有することができる。
錠剤用の任意成分は、特に限定されず、通常、錠剤に配合されている成分を含有させることができる。錠剤用の任意成分としては、例えば、上述の造粒物中の任意成分として記載した成分等が挙げられる。
錠剤用の任意成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、市販のプレミックス品を用いてもよい。
錠剤用の任意成分の含有量は、特に限定されないが、錠剤の総質量に対して0~80質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましい。
【0031】
(混合方法)
混合には、一般的な混合機、例えばボーレコンテナミキサー、V型混合機、リボンミキサーなどを用いることができる。
混合順序は、特に限定されず、例えば、全ての成分を混合機に仕込み、これを混合してもよいし、各成分を混合機に順次投入し混合してもよい。
混合時間は、特に限定されず、各成分をおよそ均一に分散できる時間とされる。
【0032】
<打錠工程>
打錠工程は、造粒物を含む組成物を打錠する工程である。
打錠には、一般的に用いられる打錠機を用いることができる。打錠機としては、例えばリブラ((株)菊水製作所)、L-41型((株)畑鐵工所)等のロータリー式の打錠機などが挙げられる。
打錠工程で、ロータリー式の打錠機を用いる場合、回転盤回転数は、10~90rpmが好ましく、20~60rpmがより好ましい。
打錠圧は、錠剤硬度が5.0kgf~10.0kgfとなるように設定することが好ましい。
杵の形状としては、打錠面が平滑状、又は、曲面(R錠)であることが好ましく、より好ましくは曲面(R錠)である。R錠である場合、単R錠であっても、2段R錠であってもよい。
錠剤径としては、7mm~12mmが好ましく、より好ましくは8.5~10mmである。
曲率半径は単R錠の場合、8~15mmが好ましく、11~13mmがより好ましい。
2段R錠の場合は、辺縁部側の曲率半径r1としては2~6mmが好ましく、より好ましくは3~4mmである。
天頂部・底面部の曲率半径r2としては8~13mmが好ましく、より好ましくは9~11mmである。
錠剤を上述の好適な範囲とすることにより、スティッキングを軽減することができる。
【0033】
錠剤中の(A)成分の含有量は、錠剤の総質量に対して、好ましくは0.1~3.5質量%、より好ましくは0.3~0.7質量%である。錠剤中の(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、打錠時のスティッキングがより抑制され、(B)成分の溶出性をより向上させることができる。一方、錠剤中の(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、打錠時のスティッキングがより抑制され、錠剤の崩壊性をより向上させることができる。
【0034】
錠剤中の(B)成分の含有量は、錠剤の総質量に対して、好ましくは5~60質量%、より好ましくは20~40質量%である。錠剤中の(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、錠剤をより小型化することができる。一方、錠剤中の(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、スティッキングをより軽減することができる。
【0035】
錠剤中の(C)成分の含有量は、錠剤の総質量に対して、0.5~15質量%、より好ましくは2~6質量%である。錠剤中の(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、スティッキングをより抑制することができる。一方、錠剤中の(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、スティッキングがより抑制されるとともに、得られる錠剤の崩壊性をより向上させることができる。
【0036】
<コーティング工程>
打錠工程の後、得られた素錠の表面にコーティング剤を含む被膜を設ける工程(コーティング工程)を行ってもよい。これにより、コーティング錠が得られる。コーティング工程は、一般的なコーティング装置を用いて実施できる。
コーティング剤としては、錠剤の崩壊性を損なわないものを選択して用いることが好ましく、中でも水溶性高分子化合物、糖類が好ましい。水溶性高分子化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等を用いることができる。糖類としては、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、「オパドライ」(日本カラコン合同会社製)等の市販のプレミックス品を用いてもよい。
コーティング剤の使用量は、素錠の総量100質量%に対して0.1~5質量%が好ましい。
【0037】
<作用効果>
本発明の造粒物の製造方法によれば、イブプロフェンの粉砕工程において、特定の水溶性高分子((C)成分)を実質的に含まず、イブプロフェンと界面活性剤とを含む水分散液を調製して粉砕することにより、打錠時にスティッキングが起こることを抑制することができる。
本発明の製造方法によれば、薬物の崩壊性・溶出性が良好なため、1錠あたりの錠剤の大きさを小さくでき、服用時の負担を軽減できる。
【実施例0038】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
各実施例および比較例で使用した原料、測定・評価方法は、以下の通りである。
なお、以下の「日局適合品」、「日本薬局方外医薬品規格適合品」との記載は、それぞれ第十八改正日本薬局方規格、日本薬局方外医薬品規格(2002)に適合した原料であることを意味する。
【0039】
[使用原料]
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・ラウリル硫酸ナトリウム:「SLS-P」(日光ケミカルズ(株)製)、日局適合品
・ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコ―ル:「Kolliphor P188」(BASF社製)
・ステアリン酸ポリオキシル40「MYS-40MV」(日光ケミカルズ(株)製)、日局適合品
【0040】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・イブプロフェン:「イブプロフェン25」(BASF社製)、日局適合品。
【0041】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・ヒドロキシプロピルセルロース:「HPC-SSL」(日本槽達(株)製)、日局適合品
・メチルセルロース:「SM-4」(信越化学工業(株)製)、日局適合品。
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース:「TC-5」(信越化学工業(株)製)、日局適合品。
【0042】
任意成分として、以下の化合物を用いた。
・アセトアミノフェン:「アセトアミノフェン(粉末品)」(スペラネクサス社製)、日局適合品。
・L-HPC:低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、「LH-31」(信越化学工業(株)製)、日局適合品。
・無水リン酸水素カルシウム:「GSH」(協和化学工業(株)製)、日局適合品。
・無水カフェイン:「無水カフェイン」(白鳥製薬(株)製)、日局適合品。
・乾燥水酸化アルミニウムゲル:「S-100」(協和化学工業(株)製)、日局適合品。
・リン酸二水素カリウム:「日本薬局方外医薬品規格リン酸二水素カリウム」(太平化学産業(株)製)、日本薬局方外医薬品規格適合品。
・結晶セルロース:「セオラスPH-302」(旭化成(株)製)、日局適合品。
・ステアリン酸マグネシウム:「ステアリン酸マグネシウム(軽質)、植物性」(太平化学産業(株)製)、日局適合品。
【0043】
<打錠時スティッキングの評価>
ロータリー式打錠機(リブラ2、(株)菊水製作所製)を用いて、打錠時のスティッキングの評価を実施した。
ロータリー式打錠機の盤回転数30rpmにて10分、20分、30分打錠後の杵へのスティッキングを目視にて確認し、以下の基準に従い評価した。
打錠開始から10分後にスティッキングが発生していれば、スティッキングの発生は抑制されていないといえる。
打錠開始から20分後にスティッキングが発生していれば、スティッキングの発生は抑制されてはいるといえる。
打錠開始から30分後にスティッキングが発生していれば、スティッキングの発生の抑制は良好といえる。
打錠開始から30分たっても、スティッキングが発生していなければ、スティッキングの発生は顕著に抑制されたといえる。評価基準に従い、表1~3に以下のように示した。
10分後にスティッキングが発生・・・×
20分後にスティッキングが発生・・・△
30分後にスティッキングが発生・・・〇
30分後にスティッキングがない・・・◎
【0044】
(実施例1~13、比較例1~5)
【0045】
粉砕:(X)工程、(Y)工程
表1~3に示した組成比率になるように、水を攪拌機付きの容器に入れ、撹拌を開始した。ここに各実施例、比較例の(A)成分を溶解させ(比較例1及び2を除く)、さらに(B)成分を投入し、水分散液を合計5kgとなるように調整した。なお、比較例1は、(A)成分の代わりに(C)成分を溶解させ、比較例4は、(A)、(C)両成分を溶解させた。この水分散液を高圧ホモジナイザー(スターバーストLABO、(株)スギノマシン製)にて表記載の条件及び回数にて粉砕した。比較例5は、高圧ホモジナイザーの代わりにビーズミル(UAM1、寿工業(株)製、処理時間:120分)にて粉砕した。
比較例2は、(A)成分が水に分散できなかったため、表記載の条件及び回転数にて処理しても、粉砕できなかったため、以降の工程は行わなかった。
【0046】
造粒:(Z)工程
表1~3に示した組成比率となるように(C)成分を水分散液(粉砕物)に添加し、1時間撹拌し溶解した(比較例1は、(C)成分の代わりに(A)成分を添加した。比較例3及び4は(C)成分を添加しなかった。)。その後、表1~3に示した組成比率となるように、造粒時に添加する成分(アセトアミノフェン、L-HPC、無水リン酸水素カルシウム)を合計1.5kgとなるように混合し、流動層造粒機(フロイント産業(株)製、「フローコーターFLO-5」)に投入し、続いて前記混合液を噴霧し、吸気風量2.5m/min、吸気温度 55℃にて造粒した。噴霧終了後、排気温度が43℃になるまで乾燥した。造粒物の粒子径は150μm~200μmであった。
【0047】
打錠:
表1~3に示した組成比率となるように、上記造粒物及び打錠時に添加する成分(無水カフェイン、乾燥水酸化アルミニウムゲル、リン酸二水素カリウム、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム)をビニール袋に入れて手混ぜにて混合し、ロータリー式打錠機(リブラ2、(株)菊水製作所製)を用いて盤回転数30rpmにて打錠して錠剤を得た。打錠圧は錠剤10錠をサンプリングしての錠剤硬度の平均が6.0~8.0kgfとなるように調整した。臼の直径はφ9.0mmであった。杵として、2段R錠用(r1=3.6mm、r2=10.5mm)を用いた。
打錠時に、スティッキングの発生有無と発生した時間ついて評価試験を行った。評価試験の結果を表1~3に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
表1、2の結果より、各実施例で得られた造粒物を含む組成物は、打錠時のスティッキングが抑制されていた。
一方、表3の結果より、各比較例で得られた造粒物を含む組成物は、打錠時のスティッキングの抑制に劣っていた。
比較例1より、(A)界面活性剤を粉砕前でなく粉砕後に添加し(C)ヒドロキシプロピルセルロースを粉砕前に添加すると、スティッキングは抑制されなかった。また、比較例4より、粉砕前に(A)界面活性剤と(C)ヒドロキシプロピルセルロースを同時に投入すると、スティッキングは抑制されなかった。
比較例3より、(C)ヒドロキシプロピルセルロースを配合しないと、スティッキングは抑制されなかった。