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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009101
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】作業システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20250110BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
E02F3/43 A
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111866
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】吉原 秀雄
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003BB11
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】作業効率を向上させることが可能な作業システムを提供する。
【解決手段】レーザを発するレーザ投光器70と、レーザを受光可能なレーザ受光器27を有する作業機械20と、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置を検出する検出手段と、検出手段が検出したレーザ受光器27の位置に基づいて、レーザ受光器27がレーザを受光しつづけながら作業機械20が動作可能な動作範囲91を算出する範囲算出手段と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを発するレーザ投光器と、
前記レーザを受光可能なレーザ受光器を有する作業機械と、
前記レーザ投光器に対する前記レーザ受光器の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記レーザ受光器の位置に基づいて、前記レーザ受光器が前記レーザを受光しつづけながら前記作業機械が動作可能な動作範囲を算出する範囲算出手段と、
を有することを特徴とする作業システム。
【請求項2】
前記範囲算出手段が算出した前記動作範囲を報知する範囲報知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項3】
前記範囲報知手段は、前記作業機械と前記動作範囲とを重畳させて表示する表示装置を有することを特徴とする請求項2に記載の作業システム。
【請求項4】
前記作業機械は、
下部走行体と、
前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、
前記上部旋回体に起伏可能に設けられたアタッチメントと、
を有し、
前記範囲算出手段は、前記検出手段が検出した前記レーザ受光器の位置と、前記作業機械の形状情報と、前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回角度と、前記アタッチメントの姿勢情報と、に基づいて、前記動作範囲を算出することを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項5】
前記動作範囲の境界と前記アタッチメントとの最短距離を算出する距離算出手段を有することを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項6】
前記距離算出手段が算出した前記最短距離を報知する距離報知手段を有することを特徴とする請求項5に記載の作業システム。
【請求項7】
前記距離算出手段が算出した前記最短距離に応じて、前記作業機械の動作を補正する補正手段を有することを特徴とする請求項5に記載の作業システム。
【請求項8】
前記補正手段は、前記最短距離が短くなるほど前記作業機械の動作が制限されるように、前記作業機械の動作を補正することを特徴とする請求項7に記載の作業システム。
【請求項9】
前記アタッチメントが前記動作範囲から逸脱した場合に、前記アタッチメントを前記動作範囲内に戻すように前記作業機械を動作させる復帰手段を有することを特徴とする請求項4に記載の作業システム。
【請求項10】
前記範囲算出手段は、前記検出手段が検出した前記レーザ受光器の位置と、前記レーザ投光器が発する前記レーザの投射範囲と、に基づいて、前記動作範囲を算出することを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項11】
前記動作範囲の境界と前記レーザ受光器との最短距離を算出する距離算出手段を有することを特徴とする請求項10に記載の作業システム。
【請求項12】
前記距離算出手段が算出した前記最短距離を報知する距離報知手段を有することを特徴とする請求項11に記載の作業システム。
【請求項13】
前記距離算出手段が算出した前記最短距離に応じて、前記作業機械の動作を補正する補正手段を有することを特徴とする請求項11に記載の作業システム。
【請求項14】
前記補正手段は、前記最短距離が短くなるほど前記作業機械の動作が制限されるように、前記作業機械の動作を補正することを特徴とする請求項13に記載の作業システム。
【請求項15】
前記レーザ受光器が前記動作範囲から逸脱した場合に、前記レーザ受光器を前記動作範囲内に戻すように前記作業機械を動作させる復帰手段を有することを特徴とする請求項10に記載の作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ投光器が発するレーザを、作業機械が有するレーザ受光器で受光する作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ投光器が発するレーザを、上部旋回体に設けられたレーザ受光器が受光したときにおける、レーザの受光位置と、下部走行体に対する上部旋回体の姿勢と、排土板の姿勢とに基づいて、施工面に対する排土板の刃先の高さ位置を算出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-29712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アタッチメントなどでレーザが遮られたり、レーザ投光器が発するレーザの投射範囲の外にレーザ受光器が位置するように作業機械が移動したりすると、レーザ受光器がレーザを受光できなくなる。これらの場合、レーザ受光器にレーザを再度受光させる作業が必要となり、作業効率が悪い。
【0005】
本発明の目的は、作業効率を向上させることが可能な作業システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レーザを発するレーザ投光器と、前記レーザを受光可能なレーザ受光器を有する作業機械と、前記レーザ投光器に対する前記レーザ受光器の位置を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記レーザ受光器の位置に基づいて、前記レーザ受光器が前記レーザを受光しつづけながら前記作業機械が動作可能な動作範囲を算出する範囲算出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、レーザ投光器に対するレーザ受光器の位置に基づいて、レーザ受光器がレーザを受光しつづけながら作業機械が動作可能な動作範囲が算出される。この動作範囲内で作業機械を動作させた場合、レーザ受光器でレーザを受光しつづけることができる。この場合、レーザ受光器がレーザを受光できなくなるのを抑制することができる。その結果、レーザ受光器にレーザを再度受光させる作業が減る。よって、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業システムの構成図である。
図2】作業機械の機能構成図である。
図3】作業機械およびレーザ投光器の側面図である。
図4】出力操作量の最大値と最短距離との関係を示す図である。
図5】作業機械およびレーザ投光器の上面図である。
図6】動作補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(作業システムの構成)
本実施形態による作業システムは、レーザ投光器が発するレーザを、作業機械が有するレーザ受光器で受光するものである。作業システム1の構成図である図1に示すように、作業システム1は、レーザを発するレーザ投光器70と、レーザを受光可能なレーザ受光器27を有する作業機械20と、を備える。
【0011】
レーザ投光器70は、例えばトータルステーションである。レーザ投光器70は、レーザ受光器27の位置を検出する。レーザ投光器70は、レーザ投光器70からレーザ受光器27までの距離、および、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の方向を検出する。
【0012】
作業機械20は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械20は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0013】
下部走行体21は、作業機械20を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0014】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、アタッチメント30の先端部である先端アタッチメントであり、上部旋回体22の前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、土砂の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う部分である。
【0015】
なお、先端アタッチメントは、バケット33に限定されず、鉄屑などを保持するリフティングマグネットなどであってもよい。
【0016】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。なお、シリンダ40は、電動シリンダであってもよい。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0017】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0018】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0019】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0020】
また、作業機械20は、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0021】
角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の現在の旋回角度である現在角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0022】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、を備える。
【0023】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0024】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0025】
バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、バケット33の姿勢を検出する。バケット傾斜角センサ63は、水平線に対するバケット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0026】
また、作業機械20は、レーザ受光器27を有している。レーザ受光器27は、レーザ投光器70が発するレーザを受光する。レーザ受光器27は、キャブ23の上に設けられている。なお、レーザ受光器27は、アタッチメント30(特にブーム31)や上部旋回体22に設けられていてもよい。
【0027】
(作業機械の機能構成)
作業機械20の機能構成図である図2に示すように、作業機械20は、コントローラ11と、通信装置12と、記憶装置13と、を有している。
【0028】
通信装置12は、レーザ投光器70と通信可能である。レーザ投光器70が検出したレーザ受光器27の位置が、通信装置12を介してコントローラ11に入力される。また、通信装置12は、携帯端末と通信可能である。携帯端末は、作業現場にいる作業者により操作される端末であり、例えばタブレット端末やスマートフォン等である。
【0029】
記憶装置13は、作業機械20の形状情報を記憶している。具体的には、下部走行体21、上部旋回体22、および、アタッチメント30の形状、寸法などや、上部旋回体22の旋回中心からレーザ受光器27までの距離などを記憶している。
【0030】
コントローラ11には、角度センサ52が検出した、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度(姿勢)に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、ブーム傾斜角センサ61が検出した、ブーム31の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、アーム傾斜角センサ62が検出した、アーム32の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、バケット傾斜角センサ63が検出した、バケット33の姿勢に関する情報が入力される。
【0031】
なお、コントローラ11は、所定の自動運転動作を行うように、旋回装置25およびアタッチメント30を自動で動作させてよい。つまり、作業機械20が自動運転されてよい。所定の自動運転動作は、例えば、掘削、持ち上げ旋回、排土、復帰旋回を、この順番で繰り返す動作である。
【0032】
コントローラ(検出手段)11は、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置を検出する。コントローラ11は、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置と、作業機械20の形状情報と、アタッチメント30の姿勢の情報とに基づいて、機械本体24およびアタッチメント30の任意の部位の位置を算出することが可能である。
【0033】
コントローラ(範囲算出手段)11は、自身が検出した、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置に基づいて、作業機械20の動作範囲を算出する。動作範囲は、レーザ受光器27がレーザを受光しつづけながら作業機械20が動作可能な範囲である。
【0034】
作業機械20およびレーザ投光器70の側面図を図3に示す。レーザ投光器70から発せられてレーザ受光器27で受光されるレーザの軌道81を矢印で図示している。図3に示す状態では、レーザの軌道81上にアタッチメント30が位置していないので、レーザ受光器27でレーザを受光できている。しかし、レーザの軌道81の真下にアタッチメント30が位置している場合に、アタッチメント30を上方に移動させると、アタッチメント30でレーザが遮られる可能性がある。また、レーザの軌道81の側方にアタッチメント30が位置している場合に、上部旋回体22を旋回させると、アタッチメント30でレーザが遮られる可能性がある。
【0035】
そこで、コントローラ(範囲算出手段)11は、自身が検出したレーザ受光器27の位置と、記憶装置13が記憶する作業機械20の形状情報と、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度と、アタッチメント30の姿勢情報と、に基づいて、動作範囲91を算出する。下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度は、角度センサ52によって検出される。アタッチメント30の姿勢情報は、傾斜角センサ60によって検出される。
【0036】
算出された動作範囲91を図3に示す。この動作範囲91内で上部旋回体22およびアタッチメント30を動作させた場合、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。この場合、アタッチメント30でレーザが遮られるのを抑制することができる。
【0037】
コントローラ(範囲報知手段)11は、自身が算出した動作範囲91を報知する。具体的には、コントローラ(範囲報知手段)11は、表示装置14(図2参照)を有している。コントローラ(範囲報知手段)11は、作業機械20と動作範囲91とを重畳させて表示装置14に表示させる。表示装置14には、図3に示すような画面が表示される。オペレータによって作業機械20が操縦されている場合、表示装置14は、キャブ23内に設けられたディスプレイである。作業機械20が自動運転されている場合、表示装置14は、携帯端末のディスプレイなどである。
【0038】
オペレータは、報知された動作範囲91内で作業機械20を動作させることで、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。これにより、レーザ受光器27がレーザを受光できなくなるのを抑制することができる。そして、オペレータは、表示装置14の表示内容を確認しながら作業機械20を動作させることで、動作範囲91内で作業機械20を動作させることを、容易に行うことができる。
【0039】
また、コントローラ(距離算出手段)11は、動作範囲91の境界とアタッチメント30との最短距離92を算出する。コントローラ(距離算出手段)11は、自身が検出したレーザ受光器27の位置と、記憶装置13が記憶する作業機械20の形状情報と、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度と、アタッチメント30の姿勢情報と、自身が算出した動作範囲91と、に基づいて、動作範囲91の境界とアタッチメント30との最短距離92を算出する。
【0040】
図3では、レーザの軌道81の真下にアタッチメント30が位置している場合の最短距離92を図示している。この最短距離92の情報を用いることで、上部旋回体22やアタッチメント30をあとどれぐらい動作させるとアタッチメント30が動作範囲91から逸脱するかを把握することができる。
【0041】
コントローラ(距離報知手段)11は、自身が算出した最短距離92を報知する。具体的には、表示装置14に表示された、図3に示すような画面に、最短距離92が表示される。オペレータは、最短距離92を把握することで、上部旋回体22やアタッチメント30をあとどれぐらい動作させるとアタッチメント30が動作範囲から逸脱するかを把握することができる。
【0042】
コントローラ(補正手段)11は、自身が算出した最短距離92に応じて、作業機械20の動作を補正する。具体的には、コントローラ(補正手段)11は、最短距離92が短くなるほど作業機械20の動作が制限されるように、作業機械20の動作を補正する。
【0043】
出力操作量の最大値と最短距離との関係を図4に示す。出力操作量は、オペレータから操作レバー(図示せず)に入力される入力操作量に対して、実際に出力される操作量である。オペレータからの入力操作量が、図4に示す出力操作量の最大値よりも大きい場合、実際に出力される操作量は、出力操作量の最大値まで制限される。オペレータからの入力操作量が、図4に示す出力操作量の最大値よりも小さい場合、実際に出力される操作量は、オペレータの入力操作量となる。
【0044】
最短距離92が短くなるほど、出力操作量の最大値が小さくされる。つまり、アタッチメント30が動作範囲91の境界に近づくほど、作業機械20の動作が制限される。これにより、アタッチメントが動作範囲91から逸脱するのを抑制することができる。
【0045】
逆に、最短距離92が長くなるほど、出力操作量の最大値が大きくされる。つまり、アタッチメント30が動作範囲91の境界から遠ざかるほど、作業機械20の動作の制限が緩和される。
【0046】
図3に戻って、コントローラ(復帰手段)11は、アタッチメント30が動作範囲91から逸脱した場合に、アタッチメント30を動作範囲91内に戻すように作業機械20を動作させる。例えば、オペレータによって作業機械20が操縦されている場合において、アタッチメント30が動作範囲91から逸脱して、レーザ受光器27がレーザを受光しなくなった場合に、その旨がオペレータに報知される。これを受けて、オペレータが復帰ボタン(図示せず)を操作すると、アタッチメント30を動作範囲91内に戻すように作業機械20が自動で動作される。復帰ボタンは、キャブ23内に設けられている。また、作業機械20が自動運転されている場合において、オーバーシュートなどによってアタッチメント30が動作範囲91から逸脱して、レーザ受光器27がレーザを受光しなくなった場合に、アタッチメント30を動作範囲91内に戻すように作業機械20が自動運転される。これにより、アタッチメント30でレーザが遮られた状態から、レーザ受光器27でレーザを受光できる状態に自動で復帰させることができる。
【0047】
ここで、コントローラ(復帰手段)11は、動作範囲91から逸脱した距離に応じた操作信号を生成する。例えば、アタッチメント30が上方に動くことで、アタッチメント30が動作範囲91から逸脱した場合には、逸脱した距離だけアタッチメント30を下方に動作させる操作信号を生成する。また、上部旋回体22がある方向に旋回することで、アタッチメント30が動作範囲91から逸脱した場合には、逸脱した距離だけ上部旋回体22を逆方向に旋回させる操作信号を生成する。
【0048】
作業機械20およびレーザ投光器70の上面図を図5に示す。コントローラ(範囲算出手段)11は、図3に示す作業機械20の動作範囲91に加えて、図5に示す作業機械20の動作範囲93を算出する。つまり、図3に示す動作範囲91と、図5に示す動作範囲93とは、同時に算出される。なお、図3に示す動作範囲91と図5に示す動作範囲93のどちらか一方のみを算出する構成であってもよい。
【0049】
図5に示すように、コントローラ(範囲算出手段)11は、自身が検出した、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置と、レーザ投光器70が発するレーザの投射範囲と、に基づいて、動作範囲93を算出する。ここで、レーザの投射範囲は、最大投射距離Yと投射角度αとで定義される扇形の領域である。動作範囲93内にレーザ受光器27が位置するように作業機械20を移動させた場合、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。この場合、レーザ投光器70が発するレーザの投射範囲の外にレーザ受光器27が位置するのを抑制することができる。
【0050】
なお、アタッチメント30の姿勢変化や上部旋回体22の旋回によって、アタッチメント30でレーザが遮られる場合については、図3を用いて説明した。よって、図5では、アタッチメント30の姿勢変化や上部旋回体22の旋回については考慮していない。
【0051】
コントローラ(範囲報知手段)11は、自身が算出した動作範囲93を報知する。具体的には、コントローラ(範囲報知手段)11は、作業機械20と動作範囲93とを重畳させて表示装置14(図2参照)に表示させる。表示装置14には、図5に示すような画面が表示される。オペレータによって作業機械20が操縦されている場合、表示装置14は、キャブ23内に設けられたディスプレイである。作業機械20が自動運転されている場合、表示装置14は、携帯端末のディスプレイなどである。
【0052】
オペレータは、報知された動作範囲93内で作業機械20を動作させることで、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。これにより、レーザ受光器27がレーザを受光できなくなるのを抑制することができる。そして、オペレータは、表示装置14の表示内容を確認しながら作業機械20を動作させることで、動作範囲93内で作業機械20を動作させることを、容易に行うことができる。
【0053】
コントローラ(距離算出手段)11は、動作範囲93の境界とレーザ受光器27との最短距離94を算出する。コントローラ(距離算出手段)11は、自身が検出したレーザ受光器27の位置と、自身が算出した動作範囲93と、に基づいて、動作範囲93の境界とレーザ受光器27との最短距離94を算出する。この最短距離94の情報を用いることで、作業機械20をあとどれぐらい移動させるとレーザ受光器27が動作範囲93から逸脱するかを把握することができる。
【0054】
コントローラ(距離報知手段)11は、自身が算出した最短距離94を報知する。具体的には、表示装置14に表示された、図5に示すような画面に、最短距離94が表示される。オペレータは、最短距離94を把握することで、作業機械20をあとどれぐらい移動させるとレーザ受光器27が動作範囲93から逸脱するかを把握することができる。
【0055】
コントローラ(補正手段)11は、自身が算出した最短距離94に応じて、作業機械20の動作を補正する。具体的には、コントローラ(補正手段)11は、最短距離94が短くなるほど作業機械20の動作が制限されるように、作業機械20の動作を補正する。
【0056】
図4に示すように、最短距離94が短くなるほど、出力操作量が小さくされることで、作業機械20の動作が制限される。これにより、レーザ受光器27が動作範囲93から逸脱するのを抑制することができる。
【0057】
図3に戻って、コントローラ(復帰手段)11は、レーザ受光器27が動作範囲93から逸脱した場合に、レーザ受光器27を動作範囲93内に戻すように作業機械20を動作させる。例えば、オペレータによって作業機械20が操縦されている場合において、レーザ受光器27が動作範囲93から逸脱して、レーザ受光器27がレーザを受光しなくなった場合に、その旨が報知される。これを受けて、オペレータが復帰ボタンを操作すると、アタッチメント30を動作範囲93内に戻すように作業機械20が自動で動作される。また、作業機械20が自動運転されている場合において、オーバーシュートなどによってレーザ受光器27が動作範囲93から逸脱して、レーザ受光器27がレーザを受光しなくなった場合に、レーザ受光器27を動作範囲93内に戻すように作業機械20が自動運転される。これにより、レーザ投光器70が発するレーザの投射範囲の外にレーザ受光器27が位置する状態から、レーザ受光器27でレーザを受光できる状態に自動で復帰させることができる。この復帰には、上部旋回体22に設けられたGPSセンサなどの測位センサのデータを用いてよい。
【0058】
ここで、コントローラ(復帰手段)11は、動作範囲93から逸脱した距離に応じた操作信号を生成する。例えば、作業機械20が前方に移動することで、レーザ受光器27が動作範囲93から逸脱した場合には、逸脱した距離だけ作業機械20を後方に移動させる操作信号を生成する。
【0059】
(作業システムの動作)
次に、動作補正処理のフローチャートである図6を参照して、作業システム1の動作を説明する。
【0060】
まず、コントローラ11は、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置を検出する(ステップS1)。次に、コントローラ11は、作業機械20の動作範囲91,93を算出する(ステップS2)。
【0061】
次に、コントローラ11は、動作範囲91の境界とアタッチメント30との最短距離92(図3参照)、および、動作範囲93の境界とレーザ受光器27との最短距離94(図5参照)を算出する(ステップS3)。そして、コントローラ11は、図4に示す関係図を用いて、作業機械20の動作を補正する(ステップS4)。そして、ステップS1に戻る。
【0062】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業システム1によれば、図3図5に示すように、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置に基づいて、レーザ受光器27がレーザを受光しつづけながら作業機械20が動作可能な動作範囲91,93が算出される。この動作範囲91,93内で作業機械20を動作させた場合、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。この場合、レーザ受光器27がレーザを受光できなくなるのを抑制することができる。その結果、レーザ受光器27にレーザを再度受光させる作業が減る。よって、作業効率を向上させることができる。
【0063】
また、図3図5に示すように、算出された動作範囲91,93が報知される。オペレータは、報知された動作範囲91,93内で作業機械20を動作させることで、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。これにより、レーザ受光器27がレーザを受光できなくなるのを抑制することができる。
【0064】
また、図3図5に示すように、作業機械20と動作範囲91,93とが重畳されて表示装置14に表示される。オペレータは、表示装置14の表示内容を確認しながら作業機械20を動作させることで、動作範囲91,93内で作業機械20を動作させることを、容易に行うことができる。
【0065】
また、図3に示すように、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置と、作業機械20の形状情報と、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度と、アタッチメント30の姿勢情報と、に基づいて、動作範囲91が算出される。この動作範囲91内で上部旋回体22およびアタッチメント30を動作させた場合、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。この場合、アタッチメント30でレーザが遮られるのを抑制することができる。
【0066】
また、図3に示すように、動作範囲91の境界とアタッチメント30との最短距離92が算出される。この最短距離92の情報を用いることで、上部旋回体22やアタッチメント30をあとどれぐらい動作させるとアタッチメント30が動作範囲91から逸脱するかを把握することができる。
【0067】
また、図3に示すように、算出された最短距離92が報知される。オペレータは、最短距離92を把握することで、上部旋回体22やアタッチメント30をあとどれぐらい動作させるとアタッチメント30が動作範囲91から逸脱するかを把握することができる。
【0068】
また、図4に示すように、算出された最短距離92に応じて、作業機械20の動作が補正される。よって、作業機械20の動作を、最短距離92に応じた適切な動作にすることができる。例えば、最短距離92が短いほど、作業機械20の動作が制限されるように、作業機械20の動作が補正される。この場合、アタッチメント30が動作範囲91から逸脱するのを抑制することができる。
【0069】
また、図4に示すように、最短距離92が短くなるほど作業機械20の動作が制限されるように、作業機械20の動作が補正される。これにより、アタッチメント30が動作範囲91から逸脱するのを抑制することができる。
【0070】
また、図3に示すように、アタッチメント30が動作範囲91から逸脱した場合に、アタッチメント30を動作範囲91内に戻すように作業機械20が動作される。これにより、アタッチメント30でレーザが遮られた状態から、レーザ受光器27でレーザを受光できる状態に自動で復帰させることができる。
【0071】
また、図5に示すように、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置と、レーザ投光器70が発するレーザの投射範囲と、に基づいて、動作範囲93が算出される。この動作範囲93内にレーザ受光器27が位置するように作業機械20を移動させた場合、レーザ受光器27でレーザを受光しつづけることができる。この場合、レーザ投光器70が発するレーザの投射範囲の外にレーザ受光器27が位置するのを抑制することができる。
【0072】
また、図5に示すように、動作範囲93の境界とレーザ受光器27との最短距離94が算出される。この最短距離94の情報を用いることで、作業機械20をあとどれぐらい移動させるとレーザ受光器27が動作範囲93から逸脱するかを把握することができる。
【0073】
また、図5に示すように、算出された最短距離94が報知される。オペレータは、最短距離94を把握することで、作業機械20をあとどれぐらい移動させるとレーザ受光器27が動作範囲93から逸脱するかを把握することができる。
【0074】
また、図4に示すように、算出された最短距離94に応じて、作業機械20の動作が補正される。よって、作業機械20の動作を、最短距離94に応じた適切な動作にすることができる。例えば、最短距離94が短いほど、作業機械20の動作が制限されるように、作業機械20の動作が補正される。この場合、レーザ受光器27が動作範囲93から逸脱するのを抑制することができる。
【0075】
また、図4に示すように、最短距離94が短くなるほど作業機械20の動作が制限されるように、作業機械20の動作が補正される。これにより、レーザ受光器27が動作範囲93から逸脱するのを抑制することができる。
【0076】
また、図5に示すように、レーザ受光器27が動作範囲93から逸脱した場合に、レーザ受光器27を動作範囲93内に戻すように作業機械20が動作される。これにより、レーザ投光器70が発するレーザの投射範囲の外にレーザ受光器27が位置する状態から、レーザ受光器27でレーザを受光できる状態に自動で復帰させることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0078】
例えば、作業機械20のコントローラ11は、レーザ投光器70に対するレーザ受光器27の位置を検出し、作業機械20が動作可能な動作範囲91,93を算出し、最短距離92,94を算出しているが、これらは、携帯端末や、図示しないサーバが行ってもよい。
【0079】
また、表示装置14に表示される画面は、図3図5に示す画面に限定されず、作業機械20やレーザ投光器70、動作範囲91,93などが三次元で表示される画面などであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 作業システム
11 コントローラ(検出手段、範囲算出手段、範囲報知手段、距離算出手段、距離報知手段、補正手段、復帰手段)
12 通信装置
13 記憶装置
14 表示装置
20 作業機械
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
27 レーザ受光器
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
52 角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
70 レーザ投光器
81 軌道
91,93 動作範囲
92,94 最短距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6