(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009102
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/90 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
G01S13/90 127
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111867
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三五 大輔
(72)【発明者】
【氏名】栗原 康平
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AE07
5J070AK22
5J070AK37
5J070BE04
(57)【要約】
【課題】SAR画像を用いた時系列干渉解析、かつ、メタ情報に基づいてSAR画像を選定する技術において、フィルター処理に係るパラメータの設定においてメタ情報を活用することにより、SAR画像を用いた時系列干渉解析の精度向上を図りたい。
【解決手段】時系列干渉解析を実施する情報処理装置100は、候補選定部140と、処理パラメータ設定部130とを備える。候補選定部140は、時系列レーダ画像に基づいて生成された複数の画像ペアから、時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示すメタ情報に基づいて、時系列干渉解析において用いられる1つ以上の画像ペアを選定する。処理パラメータ設定部130は、メタ情報に基づいて、選定された各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対するフィルター処理において用いられる処理パラメータを設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列干渉解析を実施する情報処理装置であって、
互いに異なる時点において撮影された複数のレーダ画像から成る時系列レーダ画像に基づいて生成された複数の画像ペアから、前記時系列レーダ画像の各レーダ画像を撮影した時点における状況を示す情報であって、前記時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示す情報であるメタ情報に基づいて、前記時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補から成る選定画像ペア群の要素として、1つ以上の画像ペアを選定する候補選定部と、
前記メタ情報に基づいて、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対するフィルター処理において用いられる処理パラメータを設定する処理パラメータ設定部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記時系列レーダ画像の各レーダ画像は、SAR(Synthetic Aperture Radar)画像である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理パラメータ設定部は、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに基づいて、各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対応する処理パラメータを設定する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理パラメータ設定部は、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアを対象画像ペアとしたとき、前記対象画像ペアに含まれている各レーダ画像を撮影した時点における各レーダ画像を撮影した衛星の位置間の距離に基づいて、前記対象画像ペアに含まれている各レーダ画像に対応する処理パラメータを設定する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理パラメータ設定部は、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアと、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像とのいずれかを対象画像としたとき、前記対象画像に対応するメタ情報と、前記対象画像に対応するメタ情報に対応する閾値であって、前記対象画像を前記時系列干渉解析の対象から除外することに用いられる閾値である除外閾値とに基づいて、前記対象画像に対応する処理パラメータを設定対象とするか否かを決定する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
時系列干渉解析を実施するコンピュータである情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、互いに異なる時点において撮影された複数のレーダ画像から成る時系列レーダ画像に基づいて生成された複数の画像ペアから、前記時系列レーダ画像の各レーダ画像を撮影した時点における状況を示す情報であって、前記時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示す情報であるメタ情報に基づいて、前記時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補から成る選定画像ペア群の要素として、1つ以上の画像ペアを選定し、
前記情報処理装置が、前記メタ情報に基づいて、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対するフィルター処理において用いられる処理パラメータを設定する情報処理方法。
【請求項7】
時系列干渉解析を実施するコンピュータである情報処理装置が実行する情報処理プログラムであって、
互いに異なる時点において撮影された複数のレーダ画像から成る時系列レーダ画像に基づいて生成された複数の画像ペアから、前記時系列レーダ画像の各レーダ画像を撮影した時点における状況を示す情報であって、前記時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示す情報であるメタ情報に基づいて、前記時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補から成る選定画像ペア群の要素として、1つ以上の画像ペアを選定する候補選定処理と、
前記メタ情報に基づいて、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対するフィルター処理において用いられる処理パラメータを設定する処理パラメータ設定処理と
を前記情報処理装置に実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SARでは、飛翔体が移動しながらマイクロ波を地表に照射し、地表から反射したエコーを受信し、受信したエコーを信号処理することによりSAR画像を生成する。SARにより得られるレーダ画像は、振幅と位相を画素に有する。SARは、Synthetic
Aperture Radarの略語である。
SARでは、人工的に開口を合成することにより、大きな開口を持つアンテナを用いた場合と等価なレーダ画像が得られる。
【0003】
近年、SARにより得られる観測時期が互いに異なる複数のレーダ画像を使って、時系列干渉解析が行われている。時系列干渉解析を実施することにより、地表面の微細な相対変位を計測することができる。具体例として、衛星SARを用いて観測された互いに異なる観測日のデータセットを使って時系列干渉解析を行うことにより、工事に伴う地盤沈下、あるいは土砂災害による斜面変動等を計測することができる。
【0004】
時系列干渉解析に用いる複数のレーダ画像では、レーダ画像ごとにSAR衛星データの観測時期における条件が異なる。そのため、時系列干渉解析に用いるレーダ画像の画像ペアごとに位相差あるいはコヒーレンスのばらつきが異なる。SAR衛星データの観測時期における条件は、具体例として、気象、電離層の状態、あるいは土地被覆状態の差異といった条件である。
一般に、時系列干渉解析の処理結果は、処理に投入する干渉解析結果の質に依存する。そのため、位相差あるいはコヒーレンスのばらつきが大きいと、時系列干渉解析の処理結果の質も低下する。よって、目視にて干渉解析結果を確認し、位相あるいはコヒーレンスのばらつきが大きいものを手動で除去するという作業が必要であった。このような目視確認では、判断基準が運用者依存となり、品質が安定しないという課題があった。また、時系列干渉解析の適用範囲を広範囲化する際にシステムの自動化が困難であるという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、SAR画像を用いた時系列干渉解析において、雨量等のメタ情報に基づいてレーダ画像を選定する技術を開示してる。
しかしながら、特許文献1が開示している技術によれば、時系列干渉解析のパラメータ調整によっては活用可能なレーダ画像も含めて除外するため、時系列干渉解析において活用するレーダ画像に対応するメタ情報が示す条件によっては十分なデータ量を確保することができないという課題がある。
本開示は、SAR画像を用いた時系列干渉解析、かつ、メタ情報に基づいてSAR画像を選定する技術において、フィルター処理に係るパラメータの設定においてメタ情報を活用することにより、SAR画像を用いた時系列干渉解析の精度向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る情報処理装置は、
時系列干渉解析を実施する情報処理装置であって、
互いに異なる時点において撮影された複数のレーダ画像から成る時系列レーダ画像に基づいて生成された複数の画像ペアから、前記時系列レーダ画像の各レーダ画像を撮影した時点における状況を示す情報であって、前記時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示す情報であるメタ情報に基づいて、前記時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補から成る選定画像ペア群の要素として、1つ以上の画像ペアを選定する候補選定部と、
前記メタ情報に基づいて、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対するフィルター処理において用いられる処理パラメータを設定する処理パラメータ設定部と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る情報処理装置は時系列干渉解析を実施する。ここで、時系列干渉解析はSAR画像を用いた時系列干渉解析であってもよい。また、本開示において、候補選定部は、メタ情報に基づいて、1つ以上の画像ペアを選定する。処理パラメータ設定部は、メタ情報に基づいて、フィルター処理において用いられる処理パラメータを設定する。設定された処理パラメータを用いてフィルター処理を実施することにより、活用可能なレーダ画像の量が増える。従って、本開示によれば、SAR画像を用いた時系列干渉解析、かつ、メタ情報に基づいてSAR画像を選定する技術において、フィルター処理に係るパラメータの設定においてメタ情報を活用することにより、SAR画像を用いた時系列干渉解析の精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る情報処理装置100の構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示す図。
【
図3】実施の形態1に係る情報処理装置100の動作を示すフローチャート。
【
図4】実施の形態1に係る処理パラメータ設定部130及び候補選定部140の処理を説明する図。
【
図5】実施の形態1の変形例に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0011】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置100の構成例を示している。情報処理装置100は、
図1に示すように、画像ペア生成部110と、メタ情報解析部120と、処理パラメータ設定部130と、候補選定部140と、時系列干渉解析部150とを備える。
情報処理装置100は、時系列干渉解析を実施する装置であり、SAR(Synthetic Aperture Radar)画像を用いた時系列干渉解析の精度を向上させるために、メタ情報を活用することにより精度低下ペアを除外する。
情報処理装置100は、時系列のレーダ画像の画像情報に加えて、メタ情報に基づいて、自動的に、レーダ画像に対応する処理パラメータの設定と、シーン除去とを行う。
【0013】
画像ペア生成部110は、外部からレーダ画像DIN1を受け取り、受け取ったレーダ画像DIN1を用いて複数の画像ペアを生成する。画像ペアは2枚のレーダ画像から成る。レーダ画像は、典型的にはSAR画像である。画像ペア生成部110は、どのように画像ペアを生成してもよい。
レーダ画像DIN1は、時系列レーダ画像を示すデータである。時系列レーダ画像は、互いに異なる時点において撮影された複数のレーダ画像から成る。レーダ画像DIN1は、複数の時期において観測されたレーダ画像から成ってもよい。
【0014】
メタ情報解析部120は、外部からメタ情報DIN2を受け取り、受け取ったメタ情報DIN2を解析する。
メタ情報DIN2は、各レーダ画像に関連する情報であり、各レーダ画像自体の情報以外の情報であり、各レーダ画像を撮影した時点における状況を示す情報であり、時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示す情報である。メタ情報DIN2は、具体例として、観測日における気象状況と、観測日における電離層の状況と、各レーダ画像を撮影した日時と、各レーダ画像を撮影した時点における各レーダ画像を撮影した衛星の位置との少なくともいずれかを示す情報である。観測日は、レーダ画像を撮影した日である。
【0015】
処理パラメータ設定部130は、メタ情報解析部120によって解析されたメタ情報に基づいて処理パラメータを設定する。処理パラメータの設定は処理パラメータの調整でもある。処理パラメータは、選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対するフィルター処理において用いられるパラメータである。処理パラメータ設定部130は、メタ情報に基づいて画像ペアの処理パラメータを変更してもよい。メタ情報は、時系列レーダ画像の各レーダ画像を撮影した時点における状況を示す情報であって、時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示す情報である。
処理パラメータ設定部130は、対象画像ペアに含まれている各レーダ画像を撮影した時点における各レーダ画像を撮影した衛星の位置間の距離に基づいて、対象画像ペアに含まれている各レーダ画像に対応する処理パラメータを設定してもよい。対象画像ペアは、選定画像ペア群に含まれている各画像ペアである。
処理パラメータ設定部130は、対象画像に対応するメタ情報と、対象画像に対応する除外閾値とに基づいて、対象画像に対応する処理パラメータを設定対象とするか否かを決定してもよい。対象画像は、選定画像ペア群に含まれている各画像ペアと、選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像とのいずれかである。対象画像に対応する除外閾値は、対象画像に対応するメタ情報に対応する閾値であって、対象画像を時系列干渉解析の対象から除外することに用いられる閾値である。対象画像が画像ペアである場合において、処理パラメータ設定部130は、画像ペアに含まれている各画像についての判断を実施する。なお、除外閾値はどのように定められてもよい。
なお、処理パラメータ設定部130は、画像ペア生成部110によって生成された画像ペアに基づいて処理パラメータを設定してもよい。即ち、処理パラメータ設定部130は、選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに基づいて、各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対応する処理パラメータを設定してもよい。
【0016】
候補選定部140は、メタ情報解析部120によって解析されたメタ情報に基づいて、画像ペア生成部110によって生成された複数の画像ペアの中から、時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補を選定する。即ち、候補選定部140は、複数の画像ペアから、メタ情報に基づいて、選定画像ペア群の要素として、1つ以上の画像ペアを選定する。選定画像ペア群は、時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補から成る。候補選定部140は時系列干渉解析候補選定部とも呼ばれる。複数の画像ペアは、時系列レーダ画像に基づいて生成されたものである。
候補選定部140によって除外される画像ペアは、時系列干渉解析の精度低下につながる画像ペアである。
【0017】
時系列干渉解析部150は、候補選定部140によって選定された画像ペアを用いて時系列干渉解析を実行し、実行結果に基づいて変位量解析結果DOUTを出力する。変位量解析結果DOUTは、時系列干渉解析の実行結果を示すデータである。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示している。情報処理装置100はコンピュータから成る。情報処理装置100は複数のコンピュータから成ってもよい。
【0019】
情報処理装置100は、本図に示すように、プロセッサ11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、入出力IF(Interface)14と、通信装置15等のハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線19を介して適宜接続されている。
【0020】
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、かつ、コンピュータが備えるハードウェアを制御する。プロセッサ11は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)である。
情報処理装置100は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサはプロセッサ11の役割を分担する。
【0021】
メモリ12は、典型的には揮発性の記憶装置であり、具体例としてRAM(Random Access Memory)である。メモリ12は、主記憶装置又はメインメモリとも呼ばれる。メモリ12に記憶されたデータは、必要に応じて補助記憶装置13に保存される。
【0022】
補助記憶装置13は、典型的には不揮発性の記憶装置であり、具体例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリである。補助記憶装置13に記憶されたデータは、必要に応じてメモリ12にロードされる。
メモリ12及び補助記憶装置13は一体的に構成されていてもよい。
【0023】
入出力IF14は、入力装置及び出力装置が接続されるポートである。入出力IF14は、具体例として、USB(Universal Serial Bus)端子である。入力装置は、具体例として、キーボード及びマウスである。出力装置は、具体例として、ディスプレイである。
【0024】
通信装置15は、レシーバ及びトランスミッタである。通信装置15は、具体例として、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0025】
情報処理装置100の各部は、他の装置等と通信する際に、入出力IF14及び通信装置15を適宜用いてもよい。
【0026】
補助記憶装置13は情報処理プログラムを記憶している。情報処理プログラムは、情報処理装置100が備える各部の機能をコンピュータに実現させるプログラムである。情報処理プログラムは、メモリ12にロードされて、プロセッサ11によって実行される。情報処理装置100が備える各部の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0027】
情報処理プログラムを実行する際に用いられるデータと、情報処理プログラムを実行することによって得られるデータ等は、記憶装置に適宜記憶される。情報処理装置100の各部は記憶装置を適宜利用する。記憶装置は、具体例として、メモリ12と、補助記憶装置13と、プロセッサ11内のレジスタと、プロセッサ11内のキャッシュメモリとの少なくとも1つから成る。なお、データという用語と情報という用語とは同等の意味を有することもある。記憶装置は、コンピュータと独立したものであってもよい。
メモリ12及び補助記憶装置13の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
【0028】
情報処理プログラムは、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスク又はフラッシュメモリである。情報処理プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0029】
***動作の説明***
情報処理装置100の動作手順は情報処理方法に相当する。また、情報処理装置100の動作を実現するプログラムは情報処理プログラムに相当する。
【0030】
図3は、情報処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3を参照して情報処理装置100の動作を説明する。
【0031】
(ステップS101)
画像ペア生成部110は、外部からレーダ画像DIN1を受け取り、受け取ったレーダ画像DIN1を用いて画像ペアを生成する。
【0032】
(ステップS102)
メタ情報解析部120は、外部からメタ情報DIN2を受け取り、受け取ったメタ情報DIN2を解析する。
【0033】
(ステップS103)
処理パラメータ設定部130は、メタ情報解析部120によって解析されたメタ情報に基づいて処理パラメータを設定する。
処理パラメータ設定部130は、具体例として、各レーダ画像を撮影した時点における気象状況と、各レーダ画像を撮影した時点における電離層状況と、各画像ペアに対応する衛星位置間距離との各々を示す情報に基づき、各種フィルター処理の強度又は適用回数等を調整する。各種フィルター処理は、具体例として、スペックルノイズ低減技術を利用する処理、又は位相強調フィルターを利用する処理である。対象画像ペアに対応する衛星位置間距離は、対象画像ペアに含まれている各レーダ画像を撮影した時点における各レーダ画像を撮影した衛星の位置間の距離である。対象画像ペアに含まれている各レーダ画像を撮影した衛星の数は、1つであってもよく、2つであってもよい。
処理パラメータ設定部130は、具体例として、ある画像ペアに対応するメタ情報が、レーダ画像においてノイズ成分が増大すると考えられる条件を満たす場合に、当該ある画像ペアに対応するフィルター処理の強度を大きく設定する、又は、当該ある画像ペアに対応するフィルター処理の適用回数を増やす調整を行う。この際、処理パラメータ設定部130は、ノイズ成分が増大すると考えられる度合いに応じて各パラメータ値を調整してもよい。
【0034】
(ステップS104)
候補選定部140は、画像ペア生成部110によって生成された画像ペアの中から、時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補を選定する。
候補選定部140の動作の具体例を下記に示す。
【0035】
(例1)
候補選定部140は、対応するメタ情報が示す気象状況に基づき、撮影時における降雨量が一定以上であるレーダ画像を除外する。気象状況は、具体例として、各レーダ画像に対して一意に決定される降雨量を示す。
候補選定部140は、除外した各レーダ画像を含む画像ペアを時系列干渉解析の対象から除外する。
【0036】
(例2)
候補選定部140は、メタ情報に基づいて電離層の状況を解析し、レーダへの位相干渉が大きいと考えられる電離層の状況に対応するシーンにおいて撮影されたレーダ画像を除外する。
【0037】
(例3)
候補選定部140は、各画像ペアを対象画像ペアとしたとき、対象画像ペアに含まれている各レーダ画像に含まれているメタ情報に基づいて対象画像ペアに対応する衛星位置間距離を解析し、対象画像ペアに対応する衛星位置間距離が一定以上長い場合、又は、対象画像ペアに対応する衛星位置間距離が一定以上短い場合に、対象画像ペアを除外する。ここで、対象画像ペアに対応する衛星位置間距離が長い場合、対象画像ペアのコヒーレンスが下がるために対象画像ペアを除外する。また、対象画像ペアに対応する衛星位置間距離が短い場合、対象画像ペアに対応するノイズ間の位相のばらつきが小さくなるため、ノイズのコヒーレンスが上がり、対象画像ペアのコヒーレンスが相対的に下がる。そのため、対象画像ペアを除外する。
【0038】
候補選定部140は、例1及び例2において単独のレーダ画像に対応するメタ情報を用い、例3において画像ペアに対応するメタ情報を用いる。
また、候補選定部140が用いる除外閾値として、経験則に基づく閾値の他、衛星の観測角度等を考慮して決定された閾値であって、許容することができるSA(Signal
to Ambiguity)比を有する画像データから成る画像ペアを選定することができるような閾値を用いる。ここで、Ambiguityはノイズ要素を意味する。
【0039】
図4は、処理パラメータ設定部130及び候補選定部140の処理を説明する図である。
図4に示す表において、「干渉性」欄は時系列干渉解析における干渉性を示す。
図4に示す表において、「対処」欄はレーダ画像に対する対処を示す。具体的には、あるメタ情報に対応する値が「干渉性が良好」に対応する範囲に入っている場合、当該あるメタ情報に対応するレーダ画像に対してデフォルト設定に基づく処理が実施される。「そのまま」は、デフォルト設定を変更しないことを意味する。あるメタ情報に対応する値が「干渉性が劣化」に対応する範囲に入っている場合、当該値に応じて、当該あるメタ情報に対応するレーダ画像が時系列干渉解析の対象から除外されるか、当該あるメタ情報に対応するレーダ画像に対応する処理パラメータが調整される。なお、あるメタ情報に対応する値が除外閾値を満たさないものの除外閾値に近い場合、当該あるメタ情報に対応するレーダ画像は、当該あるメタ情報に基づいて調整された処理パラメータを用いたフィルター処理により補正される。これにより、時系列干渉解析において利用するレーダ画像を増やすことができる。
以下、メタ情報に基づく処理の具体例を説明する。なお、各値範囲について、具体的な範囲はどのように定められてもよい。
対象画像の撮影範囲において対象画像に対応する撮影時点における雨量が多い場合に干渉性が劣化し、当該雨量が少ない場合に干渉性が良好である。そのため、対象画像の撮影範囲において対象画像に対応する撮影時点における雨量が一定値以上である場合に対象画像が時系列干渉解析の対象から除外され、当該雨量が多いものの一定値未満である場合に対象画像に対応する処理パラメータが調整される。対象画像はあるレーダ画像である。
対象画像の撮影範囲において対象画像に対応する撮影時点に電離層が乱れている場合に干渉性が劣化し、当該電離層が乱れていない場合に干渉性が良好である。そのため、対象画像の撮影範囲において対象画像に対応する撮影時点に電離層が乱れている度合いが一定値以上である場合に対象画像が時系列干渉解析の対象から除外され、当該電離層が乱れているものの当該電離層が乱れている度合いが一定値未満である場合に対象画像に対応する処理パラメータが調整される。
対象画像ペアに対応する衛星位置間距離が小さすぎる場合又は大きすぎる場合に干渉性が劣化し、当該衛星位置間距離が並である場合に干渉性が良好である。そのため、対象画像ペアに対応する衛星位置間距離が一定値以下である場合又は一定値以上である場合に、対象画像ペアが時系列干渉解析の対象から除外される。また、当該衛星位置間距離が小さいものの一定値よりも大きい場合、又は、当該衛星位置間距離が大きいものの一定値よりも小さい場合に、対象画像ペアに含まれている各レーダ画像に対応する処理パラメータが調整される。
【0040】
(ステップS105)
時系列干渉解析部150は、候補選定部140によって選定された画像ペアを用いて時系列干渉解析を実行する。
【0041】
***実施の形態1の効果の説明***
従来、時系列干渉解析の精度を改善することを目的としたパラメータ調整及び画像選定をレーダ画像の画像特徴量に基づいて実施していた。画像特徴量に基づく手法では、数十通りから数百通りの画像ペアを目視確認することと、手動によるパラメータ変更及びシーン除去とを行う必要がある。
ここで、入力である時系列レーダ画像の枚数が増える場合、確認すべき画像ペアの数がべき乗で増えるため、確認時における人的コストが課題となる。
また、従来技術において、1回時系列干渉解析を実施し、実施結果を目視により判読し、判読結果に基づいて、処理パラメータの設定と、シーンの除外とを実施していた。
一方、本実施の形態によれば、時系列干渉解析を実行する前にメタ情報を活用することにより、自動的に精度低下につながるペアを除外することと、自動的に適切なパラメータを設定することができる。そのため、本実施の形態によれば、時系列干渉解析において、時間短縮と精度向上とを達成することができる。
【0042】
***他の構成***
<変形例1>
図5は、本変形例に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示している。
情報処理装置100は、プロセッサ11、プロセッサ11とメモリ12、プロセッサ11と補助記憶装置13、あるいはプロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13とに代えて、処理回路18を備える。
処理回路18は、情報処理装置100が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路18は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ12に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0043】
処理回路18が専用のハードウェアである場合、処理回路18は、具体例として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらの組み合わせである。
情報処理装置100は、処理回路18を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路18の役割を分担する。
【0044】
情報処理装置100において、一部の機能が専用のハードウェアによって実現されて、残りの機能がソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。
【0045】
処理回路18は、具体例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
プロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13と処理回路18とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、情報処理装置100の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
他の実施の形態に係る情報処理装置100についても、本変形例と同様の構成であってもよい。
【0046】
***他の実施の形態***
実施の形態1について説明したが、本実施の形態のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、本実施の形態を部分的に実施しても構わない。その他、本実施の形態は、必要に応じて種々の変更がなされても構わず、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施されても構わない。
なお、前述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示と、その適用物と、用途の範囲とを制限することを意図するものではない。フローチャート等を用いて説明した手順は適宜変更されてもよく、並列に実行されてもよい。
【0047】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0048】
(付記1)
時系列干渉解析を実施する情報処理装置であって、
互いに異なる時点において撮影された複数のレーダ画像から成る時系列レーダ画像に基づいて生成された複数の画像ペアから、前記時系列レーダ画像の各レーダ画像を撮影した時点における状況を示す情報であって、前記時系列干渉解析の精度に影響を与え得る状況を示す情報であるメタ情報に基づいて、前記時系列干渉解析において用いられる画像ペアの候補から成る選定画像ペア群の要素として、1つ以上の画像ペアを選定する候補選定部と、
前記メタ情報に基づいて、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対するフィルター処理において用いられる処理パラメータを設定する処理パラメータ設定部と
を備える情報処理装置。
【0049】
(付記2)
前記時系列レーダ画像の各レーダ画像は、SAR(Synthetic Aperture Radar)画像である付記1に記載の情報処理装置。
【0050】
(付記3)
前記処理パラメータ設定部は、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに基づいて、各画像ペアに含まれている各レーダ画像に対応する処理パラメータを設定する付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0051】
(付記4)
前記処理パラメータ設定部は、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアを対象画像ペアとしたとき、前記対象画像ペアに含まれている各レーダ画像を撮影した時点における各レーダ画像を撮影した衛星の位置間の距離に基づいて、前記対象画像ペアに含まれている各レーダ画像に対応する処理パラメータを設定する付記1から3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0052】
(付記5)
前記処理パラメータ設定部は、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアと、前記選定画像ペア群に含まれている各画像ペアに含まれている各レーダ画像とのいずれかを対象画像としたとき、前記対象画像に対応するメタ情報と、前記対象画像に対応するメタ情報に対応する閾値であって、前記対象画像を前記時系列干渉解析の対象から除外することに用いられる閾値である除外閾値とに基づいて、前記対象画像に対応する処理パラメータを設定対象とするか否かを決定する付記1から4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0053】
11 プロセッサ、12 メモリ、13 補助記憶装置、14 入出力IF、15 通信装置、18 処理回路、19 信号線、100 情報処理装置、110 画像ペア生成部、120 メタ情報解析部、130 処理パラメータ設定部、140 候補選定部、150 時系列干渉解析部、DIN1 レーダ画像、DIN2 メタ情報、DOUT 変位量解析結果。