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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091126
(43)【公開日】2025-06-18
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20250611BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20250611BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20250611BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20250611BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20250611BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q11/00
A61K8/20
A61K8/23
A61K8/19
A61K8/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206188
(22)【出願日】2023-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 真嘉
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB222
4C083AB242
4C083AB271
4C083AB272
4C083AB282
4C083AB312
4C083AB322
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB351
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC302
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC582
4C083AC612
4C083AC622
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC811
4C083AC812
4C083AC852
4C083AC862
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD271
4C083AD272
4C083AD282
4C083AD302
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD472
4C083AD662
4C083CC41
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】製造直後及び保存後も浸透実感が付与でき、舌への刺激性が抑制された、口腔用組成物を提供する。
【解決手段】(A)クロロブタノール
(B)Na又はKを有する化合物:Na、K換算で0.25~8質量%、及び
(C)水:20~80質量%
を含むpH6.0~8.5の口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)クロロブタノール
(B)Na又はKを有する化合物:Na、K換算で0.25~8質量%、及び
(C)水:20~80質量%
を含むpH6.0~8.5の口腔用組成物。
【請求項2】
(A)成分の含有量が、0.001~0.2質量%である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(B)成分が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、キサンタンガム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種以上である、請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(B)成分の含有量が、Na、K換算で0.3~8.0質量%である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)Na、K換算/(A)で表される含有質量比が、3~500である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロブタノールを含む口腔用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロロブタノールは特有の使用実感を有する基剤であり、口腔用製品の浸透実感に寄与する。例えば、口腔用製品では、効果や効能に加えて、製品使用時の効果実感を与える製剤設計も重要である。口腔用組成物には、清涼感を付与して使用満足度を高める目的でl-メントールが用いられる。特許文献1(特開2012-77032号公報)では、l-メントール自身の苦味及び舌への刺激に対して、クロロブタノールとの併用により苦味と舌への刺激を抑制し清涼感を持続する技術が示されている。
【0003】
一方、クロロブタノールは、経時的に熱、光、中性から塩基性のpH領域で分解しやすく、浸透実感は低下する。しかしながら、歯の象牙質の脱灰を防ぐために、口腔用組成物のpHは6以上であることが好ましく、中性~塩基性のpH領域でクロロブタノールを安定化する技術が求められていた。
【0004】
クロロブタノールの安定化技術として、特許文献2(特開2011-105764号公報)では、外用剤組成物において、トロメタモールを適用した技術が示されている。しかしながら、歯磨剤等の口腔用組成物においては、クロロブタノールの安定化効果は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-77032号公報
【特許文献2】特開2011-105764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、製造直後及び保存後も浸透実感が付与でき、舌への刺激性が抑制された、口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、クロロブタノールを含むpH6.0~8.5の口腔用組成物に、Na又はKを有する化合物を、Na、K換算で一定量配合することで、製造直後だけでなく保存後も優れた浸透実感が得られ、舌への刺激性が抑制されることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は下記口腔用組成物を提供する。
1.(A)クロロブタノール
(B)Na又はKを有する化合物:Na、K換算で0.25~8質量%、及び
(C)水:20~80質量%
を含むpH6.0~8.5の口腔用組成物。
2.(A)成分の含有量が、0.001~0.2質量%である1記載の口腔用組成物。
3.(B)成分が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、キサンタンガム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種以上である、1又は2記載の口腔用組成物。
4.(B)成分の含有量が、Na、K換算で0.3~8.0質量%である、1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
5.(B)Na、K換算/(A)で表される含有質量比が、3~500である、1~4のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造直後及び保存後もクロロブタノールによる優れた浸透実感が付与でき、舌への刺激性が抑制された、口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
[(A)成分]
本発明の(A)成分はクロロブタノールであり、浸透実感付与効果を有する。経時的に熱、光、中性から塩基性のpH領域で分解しやすい。クロロブタノールとしては、市販品を用いることができる。
【0011】
(A)成分の含有量は、浸透実感の点から、口腔用組成物中0.001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上とすることで、浸透実感をより得ることができる。また、舌への刺激抑制の点から、0.2質量%以下が好ましい。0.005~0.05質量%がより好ましく、0.01~0.1質量%がさらに好ましい。
【0012】
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、Na又はKを有する化合物であり、Na及びKを両方有していてもよい。Na又はKを有する化合物を一定量配合することで、保存後においても浸透実感を得ることができる。
【0013】
Na又はKを有する化合物としては、下記のものが挙げられる。
B-1
硫酸アルミニウムカリウム(12水和物)、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、モノフルオロリンナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、サッカリンナトリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム(無水も含む)、ピロリン酸ナトリウム(無水も含む)、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、エデト酸二カリウム二水塩、リン酸二水素カリウム
【0014】
B-2
カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム
【0015】
(B)成分としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、キサンタンガム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種以上が好ましい。
【0016】
(B)成分の含有量は、Na、K換算で、口腔用組成物中0.25~8質量%であり、0.3~8.0質量%が好ましく、0.4~6質量%がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましい。口腔用組成物中(B)成分が、Na、K換算で0.25質量%未満だと、保存後の浸透実感が不十分となり、一方、8質量%を超えると、舌へ刺激性を感じやすくなる。
【0017】
(B)Na、K換算/(A)で表される質量比は、浸透実感の点から、3~500が好ましく、5~300がより好ましい。
【0018】
[(C)成分]
本発明の(C)成分は水であり、精製水等特に限定されない。(C)成分の含有量は、口腔用組成物中20~80質量%であり、30~70質量%が好ましく、40~65質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が20質量%未満だと、口腔用組成物の容器からの押し出し性が低下する。一方、80質量%を超えると、舌へ刺激性を感じやすくなる。
【0019】
本発明の口腔用組成物のpHは6.0~8.5であり、6.0~8.0が好ましく、6.1~7.5がより好ましい。pHが低すぎると歯が脱灰しやすくなる。pHが高すぎると口腔粘膜への刺激が生じるおそれがある。pHの測定は、口腔用組成物を5gメスフラスコに採取し、水を加えて50mLに調整して分散させた分散液を、25℃においてpHメーターで測定した値である。詳細は実施例に記載の方法である。
【0020】
本発明の歯磨剤組成物は、固体、液体、液状、ペースト状、ゲル状等の形態に調製し、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の様々な剤型にすることが可能であり、その製造方法も剤型に応じた常法を採用することができる。この場合、組成物の目的、剤型等に応じて、上述した成分以外にも適宜な公知成分を配合することができる。本発明の口腔用組成物は、特に練歯磨等の歯磨剤として好適に調製される。また、上記成分に加えて、その他の公知成分を本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて配合できる。例えば、練歯磨剤では、界面活性剤、研磨剤、粘結剤、粘稠剤(湿潤剤)、さらに必要により甘味料、着色剤、防腐剤、香料、有効成分、pH調整剤、湿潤剤、溶剤等を配合することができる。なお、含有量は本発明の効果を妨げない範囲で通常量でよい。
【0021】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合できる。アニオン界面活性剤としては、炭素数8~20の炭化水素基を有するアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、高級脂肪酸塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム型、アルキルベンジルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩系等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等の酢酸ベタイン型、アルキルイミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン(アルキルイミダゾール)型等が挙げられる。
【0022】
界面活性剤を配合する場合の量は、通常、口腔用組成物中0~10質量%であり、0.1~5質量%が好ましい。
【0023】
研磨剤としては、無水ケイ酸、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム・2水和物又は無水和物等のリン酸カルシウム系化合物、炭酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤が挙げられる。研磨剤を配合する場合の量は、通常、0~50質量%であり、10~40質量%が好ましい。
【0024】
(B)成分以外の有機粘結剤又は無機粘結剤が挙げられる。有機粘結剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。無機粘結剤としては、ケイ酸アルミニウムや増粘性シリカ等が挙げられる。粘結剤を配合する場合の量は、通常0.1~10質量%であり、0.1~5質量%が好ましい。
【0025】
甘味料としては、サッカリンナトリウム等が挙げられる。
着色剤としては、青色1号、青色2号、緑色3号、黄色4号、黄色5号、赤色106号、赤色227号、カラメル、酸化チタン、雲母チタン等が挙げられる。
防腐剤としては、メチルパラベン(パラオキシ安息香酸メチル)等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸等が挙げられる。
【0026】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料や、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、ボルネオール、カンファー、オイゲノール、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N-置換-パラメンタン-3-カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料が挙げられ、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。
【0027】
香料を配合する場合の量は、特に限定されないが、組成物中に0.000001~1質量%が好ましく、上記香料素材を使用した賦香用香料は、口腔用組成物中に0.1~2質量%使用するのが好ましい。
【0028】
有効成分としては、口腔用製剤に許容される有効成分を使用できる。例えば、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤;塩化セチルピリジニウム等のカチオン性殺菌剤;トラネキサム酸、アラントイン、グリチルレチン酸等の抗炎症剤;デキストラナーゼ等の酵素;フッ化スズ等のフッ素含有化合物;パントテン酸、パンテノール等のビタミンB5又はその誘導体;アスコルビン酸、トコフェロール酢酸エステル等のビタミンE又はその誘導体、植物抽出物、歯石防止剤、歯垢防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。これら有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合できる。
【0029】
pH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタミン酸等が挙げられる。pH調整剤を配合する量は、目的とするpHとなるよう適宜選定される。
【0030】
湿潤剤としては、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等の多価アルコールが挙げられる。
【0031】
溶剤としては、エタノール等の炭素数2~3の低級アルコール等が挙げられる。なお、エタノールを配合する場合の量は、口腔用組成物中25質量%以下でもよく、配合しなくてもよい。
【0032】
本発明の口腔用組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常、口腔用組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチック容器等が使用できる。
【実施例0033】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0034】
[実施例、比較例]
表1~5に示す組成の歯磨剤組成物を常法によって調製し、下記(1)~(3)に示す評価を行った。結果を表に併記する。
【0035】
(1)浸透実感:製造直後及び50℃1ヶ月保存後
製造直後の歯磨剤組成物と、調製した歯磨剤組成物(約90g)をアルミラミネート積層チューブに充填したものを、50℃恒温槽に1ヶ月入れ保存し、室温に戻した50℃1ヶ月保存後の歯磨剤組成物とについて評価した。
無作為に抽出した7名のパネラーを対象として、歯磨剤組成物を適量(1g)、歯ブラシ(ライオン製、クリニカハブラシ4列ヘッド、ミディアム)につけて3分間歯茎や歯肉を通常の方法でブラッシングしてマッサージ後、水で口をすすぎ、直後及び50℃1ヶ月保存後に浸透実感の持続性を、下記の7段階で判定した。
7名の平均点を算出し、下記の評価基準で示す。
<浸透実感の評点基準>
7:非常に浸透実感を感じる
6:かなり浸透実感を感じる
5:やや浸透実感を感じる
4:どちらともいえない
3:あまり浸透実感を感じない
2:ほとんど浸透実感を感じない
1:全く浸透実感を感じない
〈浸透実感の評価基準:「〇」「◎」を合格とする。〉
◎:7人の平均点が6.0点以上
〇:7人の平均点が5.0点以上6.0点未満
×:7人の平均点が5.0点未満
【0036】
(2)使用感(使用時の舌への刺激性)
無作為に抽出した7名のパネラーを対象として、歯磨剤組成物を適量(1g)、歯ブラシ(ライオン製、クリニカハブラシ4列ヘッド、ミディアム)につけて3分間歯茎や歯肉を通常の方法でブラッシングした。ブラッシングしている間の舌への刺激感を下記の4段階で判定した。
7名の平均点を算出し、結果を下記の評価基準で示す。
<舌への刺激性の評点基準>
4点:舌への刺激を感じなかった
3点:舌への刺激をわずかに感じた
2点:舌への刺激を少し感じた
1点:舌への刺激を感じた
〈舌への刺激性の評価基準:「〇」「◎」を合格とする。〉
◎:7人の平均点が、3.5点以上
○:7人の平均点が、3.0点以上3.5点未満
×:7人の平均点が、3.0点未満
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
下記処方の歯磨剤組成物を常法によって調製した。上記と同様の評価を行ったところ、同様の効果が得られた。
【0043】
【表6】
【0044】
上記例で使用した原料を下記に示す。
クロロブタノール(商品名:クロロブタノール、Merck製)
塩化ナトリウム(商品名:精選特級塩、日本海水(株)製)
塩化カリウム(商品名:塩化カリウム、富田製薬(株)製)
硝酸カリウム(商品名:硝酸カリウム、大塚化学製)
無水硫酸ナトリウム(商品名:無水硫酸ナトリウム、富田製薬(株)製)
ピロリドンカルボン酸ナトリウム(商品名:AJIDEW N-50、味の素ヘルシーサプライ(株)製)
無水ピロリン酸ナトリウム(商品名:無水ピロリン酸ナトリウム、太平洋化学産業(株)製)
フッ化ナトリウム(商品名:フッ化ナトリウム、ステラケミファ(株)製)
炭酸水素ナトリウム(商品名:重炭酸ナトリウム、旭硝子(株)製)
リン酸三ナトリウム12水和物(商品名:リン酸三ナトリウム(結晶)、太平洋化学産業(株)製)
水酸化ナトリウム(商品名:水酸化ナトリウム、富士フイルム和光純薬(株)製)
キサンタンガム(商品名:モナートガムDA、CPケルコ社製)
カルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名:CMC1260、ダイセルファインケム(株)製)