(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009113
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】電池製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20250110BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111883
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】隅田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】羽尻 孝之
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB11
5H028BB17
5H028CC08
5H028HH05
(57)【要約】
【課題】 製造ライン上の一カ所において、不良品の電極およびセパレータをより確実に廃棄する。
【解決手段】
電池製造装置は、電極とセパレータとを用いた構造を備える電池の製造ラインの一カ所に配置され、不良品の電極および不良品のセパレータを収容する廃棄ボックスと、不良品の電極および不良品のセパレータを廃棄ボックスに導く不良品導出部と、を備える。不良品導出部は、重力を用いて不良品の電極を廃棄ボックスに導く第1手段と、吸引力を用いて不良品のセパレータを廃棄ボックスに導く第2手段と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極とセパレータとを用いた構造を備える電池の製造ラインの一カ所に配置され、不良品の電極および不良品のセパレータを収容する廃棄ボックスと、
前記不良品の電極および前記不良品のセパレータを前記廃棄ボックスに導く不良品導出部と、
を備え、
前記不良品導出部は、
前記不良品の電極を前記廃棄ボックスの鉛直上方から内部に導く第1手段と、
吸引力を用いて前記不良品のセパレータを前記廃棄ボックスに導く第2手段と、
を備える、
電池製造装置。
【請求項2】
前記不良品導出部は選別部をさらに備え、
前記選別部は、不良品が電極を含むか否かを選別し、
前記電極を含む不良品は前記第1手段を用いて前記電極を含む不良品を前記廃棄ボックスに導き、
電極を含まない不良品は前記第2手段を用いて前記電極を含まない不良品を前記廃棄ボックスに導く、
請求項1に記載の電池製造装置。
【請求項3】
前記廃棄ボックスは、前記不良品の電極を収容する第1収容ボックスと、前記不良品のセパレータを収容する第2収容ボックスと、を備える、
請求項1に記載の電池製造装置。
【請求項4】
前記不良品導出部は、
上方が開口する筒体と、
前記筒体の上方の開口面を開閉する蓋部材と、
を備え、
前記第1収容ボックスは、前記筒体の側面に配置され、
前記第2収容ボックスは、前記筒体の下方に配置され、
前記第1手段は、前記蓋部材の上に載置された前記不良品の電極を前記第1収容ボックスに導く機構であり、
前記第2手段は、前記筒体の上方から落下する前記不良品のセパレータの落下速度を上げて前記第2収容ボックスに導く機構である、
請求項3に記載の電池製造装置。
【請求項5】
前記第1手段は、前記蓋部材を閉状態から開状態にする前記蓋部材の回動機構を備え、
前記第2手段は、前記筒体に配置され、前記筒体の下方に吸引力を発生する吸引部材を備える、
請求項4に記載の電池製造装置。
【請求項6】
前記筒体と前記第2収容ボックスとを接続するダクト管を備え、
前記ダクト管の流路断面積は、前記筒体の流路断面積よりも小さい、
請求項5に記載の電池製造装置。
【請求項7】
前記第1収容ボックスは、
上方が開口し、底壁を備える箱体であり、
前記箱体の内面には、前記底壁の表面に直交しない角度で交わる傾斜面を有する傾斜部材を備える、
請求項3に記載の電池製造装置。
【請求項8】
前記傾斜部材は、前記箱体の内面における筒体側の面に配置されている、
請求項7に記載の電池製造装置。
【請求項9】
前記傾斜面は、上端および下端よりも中央部が膨らむ形状である、
請求項8に記載の電池製造装置。
【請求項10】
前記不良品の電極および前記不良品のセパレータを含み、前記電池の製造用の電極とセパレータを搬送する搬送手段を備え、
前記搬送手段は、
前記不良品の電極および前記不良品のセパレータを前記不良品導出部に搬送し、
良品の電極および良品のセパレータ付き電極を、前記製造ラインの積層装置に搬送する、
請求項1に記載の電池製造装置。
【請求項11】
前記製造ラインにおける前記搬送手段よりも前工程の位置に、前記電極の良品、不良品の判定を行う検査装置を備え、
前記は搬送手段および前記不良品導出部は、前記検査装置による検査結果に基づいて動作する、
請求項10に記載の電池製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極電極と負極電極との間にセパレータを配置する構造を複数層有する電池の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池の製造に用いる電極検査装置が記載されている。特許文献1に記載の電極検査装置は、検査部によって判定されたNG品(不良品)の電極を収容する廃棄ボックスを備える。
【0003】
廃棄ボックスは、検査した電極が搬送されるベルトコンベアの下方に配置される。電極検査装置は、NG品の電極に対して上側から力を付与することで、NG品の電極を廃棄ボックスに収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電極(正極電極および負極電極)とセパレータとを交互に配置する構造の電池をライン製造する場合、搬送されてくる不良品の電極(不良品のセパレータ付き電極を含む)とともに、不良品のセパレータ(不要なセパレータを含む)も廃棄する必要がある。
【0006】
しかしながら、電極とセパレータでは重さも硬さも異なり、特許文献1を含む従来技術のように、製造ライン上の一カ所にて、不良品の電極と不要なセパレータを廃棄することができなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、製造ライン上の一カ所において、不良品の電極およびセパレータをより確実に廃棄する電池製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の電池製造装置は、電極とセパレータとを用いた構造を備える電池の製造ラインの一カ所に配置され、不良品の電極および不良品のセパレータを収容する廃棄ボックスと、不良品の電極および不良品のセパレータを廃棄ボックスに導く不良品導出部と、を備える。不良品導出部は、不良品の電極を廃棄ボックスの鉛直上方から内部に導く第1手段と、吸引力を用いて不良品のセパレータを廃棄ボックスに導く第2手段と、を備える。
【0009】
この構成では、セパレータと比較して重く変形し難い電極を、電極の自重を利用して廃棄し、電極と比較して軽く変形し易いセパレータを吸引力によって廃棄する。これにより、電極とセパレータの物性の差に応じて、電極とセパレータを廃棄できる。
【0010】
また、鉛直上方から廃棄ボックスへの不良品の導入(例えば落下)を用いる構成と吸引力を用いる構成は、それぞれに比較的簡素で小型化が容易であり、構成製造ライン上の一カ所に廃棄ボックスを集約できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、製造ライン上の一カ所において、不良品の電極およびセパレータをより確実に廃棄できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電池の製造ラインの一部の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る廃棄装置の外観斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、本発明の第1の実施形態に係る廃棄装置の平面図であり、
図3(B)は、廃棄装置の側面図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)は、本発明の第1の実施形態に係る廃棄装置の側面断面図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)は、不良品電極を廃棄する動作における各状態を示す部分的な側面断面図である。
【
図6】
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)、
図6(D)、
図6(E)は、不良品電極を廃棄する動作における各状態を示す部分的な側面断面図である。
【
図7】
図7(A)、
図7(B)は、不良品セパレータを廃棄する動作における各状態を示す部分的な側面断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る廃棄装置の側面図である。
【
図9】
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)は、不良品電極を廃棄する動作における各状態を示す部分的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る電池製造装置について、図を参照して説明する。なお、本発明の各実施形態に係る電池製造装置は、電池の製造ラインにおける不良品の電極および不良品のセパレータを廃棄する部分を含む装置である。また、本発明の実施形態に係る電池製造装置で製造される電池は、イオン導電性を有する絶縁性膜のセパレータを挟んで、平膜の正極電極と平膜の負極電極を配置する構成を備える電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池等である。
【0014】
(電池の製造ライン)
図1は、本発明の実施形態に係る電池の製造ラインの一部の一例を示す図である。なお、図は、電池の製造ラインにおける、成形後の正極電極、負極電極の搬送工程から、正極電極、セパレータ、負極電極を積層する積層工程までを示している。
【0015】
(負極電極側)
個片化された負極電極71は、コンベア791を用いて搬送される(
図1のC11搬送)。コンベア791の終端近傍の所定位置に到達した負極電極71は、ピックアップされてテーブル792上に搬送される(
図1のP12搬送)。テーブル792は、平面内の移動および回転が可能である。これにより、負極電極71は、セパレータ81への搭載基準位置まで搬送される(
図1のS13搬送)。
【0016】
巻回状に保管されていたセパレータ81は、その端部を引き出すことで、コンベア891上に導かれ、搬送される。
【0017】
搭載基準位置まで搬送された負極電極71は、ピックアップされ(
図1のP14搬送)、コンベア891上のセパレータ81の所定位置に載置される。
【0018】
セパレータ81単独の良品、不良品の検査部は、製造ラインにおけるセパレータ81に負極電極71が載置される工程よりも前の工程に配置される。そして、セパレータ81が不良の部分には、負極電極71は載置されない。
【0019】
負極電極71が載置または載置されていないセパレータ81は、コンベア891の終端近傍の所定位置まで搬送される(
図1のC21搬送)。この状態で、切断装置881によって、負極電極71付きのセパレータ81、または、単独のセパレータ81(負極電極71が付いていないセパレータ81)は、積層用の形状の個片のセパレータ81に切断される。また、セパレータ81の搬送開始時にも、先端部分の積層に用いない不要のセパレータ81が切断される。
【0020】
個片のセパレータ81は、ピックアップされてテーブル892上に搬送される(
図1のP22搬送)。テーブル892は、平面内の移動および回転が可能である。これにより、負極電極71付きのセパレータ81および単独のセパレータ81は、積層用基準位置まで搬送される(
図1のS23搬送)。
【0021】
負極電極71の良品、不良品の検査部は、製造ライン上における積層用基準位置に搬送されるまでの所定位置に配置される。
【0022】
(正極電極側)
個片化された正極電極72は、コンベア793を用いて搬送される(
図1のC31搬送)。コンベア793の終端近傍の所定位置に到達した正極電極72は、ピックアップされてテーブル794上に搬送される(
図1のP32搬送)。テーブル794は、平面内の移動および回転が可能である。これにより、正極電極72は、セパレータ82への搭載基準位置まで搬送される(
図1のS33搬送)。
【0023】
巻回状に保管されていたセパレータ82は、その端部を引き出すことで、コンベア893上に導かれ、搬送される。
【0024】
搭載基準位置まで搬送された正極電極72は、ピックアップされ(
図1のP34搬送)、コンベア893上のセパレータ82の所定位置に載置される。
【0025】
セパレータ82単独の良品、不良品の検査部は、製造ラインにおけるセパレータ82が、正極電極72が載置される工程よりも前の工程に配置される。そして、セパレータ82が不良の部分には、正極電極72は載置されない。
【0026】
正極電極72が載置または載置されていないセパレータ82は、コンベア893の終端近傍の所定位置まで搬送される(
図1のC41搬送)。この状態で、切断装置882によって、正極電極72付きのセパレータ82、または、単独のセパレータ82(正極電極72が付いていないセパレータ82)は、積層用の形状の個片のセパレータ82に切断される。また、セパレータ82の搬送開始時にも、先端部分の積層に用いない不要のセパレータ82が切断される。
【0027】
個片のセパレータ82は、ピックアップされてテーブル894上に搬送される(
図1のP42搬送)。テーブル894は、平面内の移動および回転が可能である。これにより、正極電極72付きのセパレータ82および単独のセパレータ82は、積層用基準位置まで搬送される(
図1のS43搬送)。
【0028】
正極電極72の良品、不良品の検査部は、積層用基準位置に搬送されるまで配置される。
【0029】
(良品の搬送積層)
搬送装置91は、ピックアップ搬送を行う装置であり、回転動作によって搬送を行う(
図1のP搬送)。搬送装置91が本発明の「搬送手段」に対応する。
【0030】
搬送装置91は、負極電極71の検査部からの検査結果、および、セパレータ81の検査部からの検査結果を取得する。搬送装置91は、良品の負極電極71付きのセパレータ81を、積層部92に搬送する。検査結果は良品か不良品か、だけではなく、セパレータか、電極か、セパレータ付き電極か、といった搬送品に関する情報も含み、良品か不良品かといった情報と紐づけている。
【0031】
搬送装置91は、正極電極72の検査部からの検査結果、および、セパレータ82の検査部からの検査結果を取得する。搬送装置91は、良品の正極電極72付きのセパレータ82を、積層部92に搬送する。検査結果は良品か不良品か、だけではなく、セパレータか、電極か、セパレータ付き電極か、といった搬送品に関する情報も含み、良品か不良品かといった情報と紐づけている。
【0032】
搬送装置91は、負極電極71と正極電極72とがセパレータを挟んで交互に配置されるように、良品の負極電極71付きのセパレータ81および良品の正極電極72付きのセパレータ82を積層部92に搬送する。
【0033】
(不良品の搬送廃棄)
搬送装置91は、検査部からの検査結果を取得する。搬送装置91は、不良品の負極電極71付きセパレータ81、単独の不良品のセパレータ81を、廃棄装置10に搬送する。検査結果は良品か不良品か、だけではなく、セパレータか、電極か、セパレータ付き電極か、といった搬送品に関する情報も含み、良品か不良品かといった情報と紐づけている。
【0034】
搬送装置91は、不良品の正極電極72付きセパレータ82、単独の不良品のセパレータ82を、廃棄装置10に搬送する。廃棄装置10は検査部の検査結果を取得する。検査結果は良品か不良品か、だけではなく、セパレータか、電極か、セパレータ付き電極か、といった搬送品に関する情報も含み、良品か不良品かといった情報と紐づけている。
【0035】
廃棄装置10は選別部を有しており、検査結果(不良品か否か、と、不良品が電極を含むか否か、との両方に基づいて)に基づいて、廃棄する手段と廃棄するボックスを選別可能である。選別部は例えばマイコンであり、廃棄装置10の本体に内蔵されている(図示は省略している。)。
【0036】
(廃棄装置10の構成および動作)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る廃棄装置の外観斜視図である。
図3(A)は、本発明の第1の実施形態に係る廃棄装置の平面図であり、
図3(B)は、廃棄装置の側面図である。
図4(A)、
図4(B)は、本発明の第1の実施形態に係る廃棄装置の側面断面図である。
図4(A)と
図4(B)は、蓋部材の状態が異なる。各図において、DIRvuは、鉛直上方向を示し、DIRvdは、鉛直下方向を示す。
【0037】
図2、
図3(A)、
図3(B)、
図4(A)、
図4(B)に示すように、廃棄装置10は、筒体11、蓋部材12、ダクト管13、収容ボックス14、収容ボックス15を備える。筒体11、蓋部材12、ダクト管13からなる部分が本発明の「不良品導出部」に対応する。収容ボックス14が本発明の「第1収容ボックス」に対応し、収容ボックス15が本発明の「第2収容ボックス」に対応する。収容ボックス14と収容ボックス15とによって、本発明の「廃棄ボックス」が構成される。
【0038】
筒体11は、円筒形の側壁11SW、底壁11BWを備える。筒体11は、鉛直方向の上方に上側開口Uo11を有する円筒形状であり、内部空間SP11を有する。
【0039】
底壁11BWは、下側開口Ud11を有する。底壁11BWは、下側開口Ud11の部分を除いて側壁11SWの下側を塞いでいる。筒体11の側壁には、圧縮空気の吸入口113が設置されている。
【0040】
筒体11は、詳細な構成を省略するが、吸入口113から吸入された圧縮空気を用いて、内部空間SP11に上側開口Uo11から下側開口Ud11に向けて大流量の空気流を発生する。これにより、廃棄装置10の外部の空気は、筒体11の上側開口Uo11から吸入され、内部空間SP11を通って下側開口Ud11から吐出される。したがって、筒体11は、本発明の「吸引部材」として機能する。
【0041】
筒体11の上側開口Uo11には、吸入補助部材112が配置されている。吸入補助部材112は、筒体11の上側開口Uo11から遠ざかるほど開口面積が大きくなる摺鉢形状(テーパ形状)である。
【0042】
蓋部材12は、平板の主体121と回動機構部122とを備える。回動機構部122は、主体121を平面視した一辺に設置されている。
【0043】
蓋部材12は、筒体11に対して鉛直上方向の位置に配置されている。より具体的には、蓋部材12は、筒体11の上側開口Uo11側の端部(より詳細には、吸入補助部材112の外側開口端部)に対して、回動機構部122によって回動可能に配置されている。
【0044】
図4(A)に示すように、蓋部材12の第1態様では、蓋部材12は、平面視において、筒体11の上側開口Uo11および吸入補助部材112の外側開口に重なり、これらを塞いでいる。
【0045】
図4(B)に示すように、蓋部材12の第2態様では、蓋部材12は、平面視において、筒体11の上側開口Uo11および吸入補助部材112の外側開口に重ならず、これらを塞いでいない。蓋部材12の主体121は、吸入補助部材112の外側開口から鉛直上方向DIRvuに延び、鉛直上方向DIRvuに略平行である。
【0046】
ダクト管13は、筒体11の鉛直下方向DIRvdの位置に配置されている。
【0047】
ダクト管13は、円筒形の壁13SWを備え、内部空間SP13を有する。壁13SWは、筒体11の底壁11BWに接続する。ダクト管13の内部空間SP13は、筒体11の下側開口Ud11に連通し、筒体11の内部空間SP11に連通する。
【0048】
収容ボックス15は、筒体11およびダクト管13の鉛直下方向DIRvdの位置に配置されている。
【0049】
収容ボックス15は、天壁15UW、底壁15BW、および、側壁15SWを備える箱体であり、内部空間SP15を有する。天壁15UWは、ダクト管13の壁13SWに接続する。天壁15UWには開口が形成されており、天壁15UWの開口は、ダクト管13の内部空間SP13に連通する。底壁15BWは、メッシュ構造であり、空気を通す。
【0050】
収容ボックス14は、筒体11の外側面に配置されている。より具体的には、収容ボックス14は、筒体11における蓋部材12の回動機構部122が設置されている外側面に配置されている。
【0051】
収容ボックス14は、角筒の側壁14SW、底壁14BWを備える。収容ボックス14は、上側開口Uo14を有する箱体であり、内部空間SP14を有する。
【0052】
収容ボックス14は、傾斜部材149を備える。傾斜部材149は、側壁14SWと底壁14BWとに接する。傾斜部材149は、平面して周状の側壁14SWにおける筒体11側の部分に接触する。
【0053】
傾斜部材149は、底壁14BWの表面に直交しない角度で交わる傾斜面F149を有する。傾斜面F149は、上端および下端よりも中央部が膨らむ形状である。
【0054】
(不良品電極の廃棄)
図5(A)、
図5(B)、
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)、
図6(D)、
図6(E)は、不良品電極を廃棄する動作における各状態を示す部分的な側面断面図である。なお、各図では、単体の不良品電極70NG(不良品の負極電極71または不良品の正極電極72)を例に示すが、不良品のセパレータ付き電極も同様に廃棄できる。
【0055】
図5(A)に示すように、廃棄装置10は、不良品電極70NGの情報を取得すると、蓋部材12を第1態様にし、筒体11の上側開口Uo11を塞ぐ。搬送装置91は、不良品電極70NGの情報を取得すると、不良品電極70NGを蓋部材12の天面UF12に載置する。
【0056】
廃棄装置10は、不良品電極70NGが蓋部材12の天面UF12に載置されると、蓋部材12を回動させ、第2態様に制御する。これにより、
図5(B)に示すように、蓋部材12は、略垂直となる。なお、不良品電極70NGが天面UF12に載置されていることは、例えば、天面UF12に電極の検知センサを備えること、搬送装置91の動作開始時間と動作速度等によって、検知可能である。
【0057】
個片の負極電極71および個片の正極電極72は、個片のセパレータ81および個片のセパレータ82よりも重く、変形し難い。したがって、
図5(B)に示すように、不良品電極70NGは、自重によって、鉛直下方向DIRvdに落下する。
【0058】
不良品電極70NGの落下開始位置は、収容ボックス14の鉛直上側である。したがって、不良品電極70NGが落下する鉛直下方向DIRvdには、収容ボックス14の内部空間SP14がある。これにより、不良品電極70NGは、収容ボックス14内に収容される。この一連の動作が、本発明の「第1手段」に対応する。
【0059】
主に重力を用い(自由落下により)収容ボックス14に不良品電極70NGを収容すること、さらに不良品電極70NGを収容するにあたって吸引力を用いないことにより、不良品電極70NGを廃棄して収容する構造は、簡素かつ小型に実現できる。
【0060】
図6(A)、
図6(B)に示すように、収容ボックス14内に落下した不良品電極70NGは、傾斜面F149に沿って滑り落ちる。
【0061】
不良品電極70NGは、セパレータと比較すると変形し難いが、全く変形しないわけではなく、ある程度の変形を生じることが可能である。このため、
図6(C)に示すように、不良品電極70NGの下端が底壁14BWの表面に接触すると、不良品電極70NGは、自重によって傾斜面F149に沿って湾曲する。
【0062】
図6(D)、
図6(E)に示すように、前の不良品電極70NGが傾斜面F149に沿った形状であるので、次に収容ボックス14内に落下してくる不良品電極70NGは、前の不良品電極70NGの表面に沿って滑り落ちる。
【0063】
これにより、前に落下した不良品電極70NGは、次に落下する不良品電極70NGの収容ボックス14内への落下の妨げになり難い。したがって、廃棄装置10は、複数の不良品電極70NGを収容ボックス14内に、より確実に収容できる。
【0064】
なお、傾斜部材149を省略することも可能であるが、上述の理由によって、傾斜部材149を配置することが好ましい。
【0065】
また、傾斜面F149は中央部が膨らむ構造であることで、傾斜面F149に沿って収容された不良品電極70NGの上端付近は、より水平方向なる。これにより、次に落下する不良品電極70NGが既に収容されている不良品電極70NGの上端に引っかかり難い。したがって、廃棄装置10は、複数の不良品電極70NGを収容ボックス14内に、さらに確実に収容できる。
【0066】
(不良品セパレータの廃棄)
図7(A)、
図7(B)は、不良品セパレータを廃棄する動作における各状態を示す部分的な側面断面図である。
【0067】
図7(A)に示すように、廃棄装置10は、不良品セパレータ80NGの情報を取得すると、蓋部材12を第2態様にする。これにより、廃棄装置10は、筒体11の上側開口Uo11を上方に露出させる。
【0068】
さらに、廃棄装置10は、吸入口113から圧縮空気を導入し、
図7(A)の矢印に示すように、筒体11からダクト管13を通じて収容ボックス15に流れる空気流を発生する。これにより、筒体11の上方から吸入され、収容ボックス15の底壁15BWのメッシュの目から下方に送出される空気流が生じる。
【0069】
搬送装置91は、不良品セパレータ80NGの情報を取得すると、不良品セパレータ80NGを筒体11の上方に投下する。
【0070】
セパレータ81およびセパレータ82は、負極電極71および正極電極72よりも軽く、変形し易い。このため、投下された不良品セパレータ80NGは、
図7(B)に示すように、空気流に乗って、筒体11の上側開口Uo11から内部空間SP11に吸引される。
【0071】
さらに、不良品セパレータ80NGは、空気流の圧力を受けて変形しながら、筒体11の内部空間SP11からダクト管13の内部空間SP13を通じて、収容ボックス15の内部空間SP15に送入される。収容ボックス15の内部空間SP15に挿入された不良品セパレータ80NGは、収容ボックス15の底壁15BWに捕捉される。
【0072】
これにより、不良品セパレータ80NGは、収容ボックス15内に収容される。この一連の動作が、本発明の「第2手段」に対応する。
【0073】
この際、ダクト管13の流路断面積(内部空間SP13におけるダクト管13の延びる方向に直交する面の面積)は、筒体11の流路断面積(内部空間SP11における筒体11の延びる方向に直交する面の面積)よりも小さい。これにより、ダクト管13を通る際に、空気流の流速が高くなり、吸引力が向上する。したがって、廃棄装置10は、不良品セパレータ80NGを収容ボックス15により確実に収容できる。
【0074】
また、この際、不良品セパレータ80NGは、空気流によって圧縮される。このため、収容ボックス15に収容された状態の立体寸法(例えば、直交三方向の寸法の合計値)は小さくなる。これにより、不良品セパレータ80NGを収容ボックス15内に小さく収容でき、例えば、収容ボックス15の空間利用効率を向上できる。
【0075】
以上のように、廃棄装置10は、不良品電極70NGおよび不良品セパレータ80NGをより確実に廃棄できる。
【0076】
さらに、不良品電極70NGを収容する収容ボックス14は、不良品セパレータ80NGを収容ボックス15に収容するための吸引力を発生する筒体11の側面に沿って配置される。これにより、廃棄装置10は、製造ライン上の小面積の一カ所において、不良品電極70NGおよび不良品セパレータ80NGをより確実に廃棄できる。
【0077】
この際、不良品電極70NGは、水平に収容するのではなく、鉛直方向に略沿って収容される。これにより、不良品電極70NGを収容する収容ボックス14の平面面積は、小さくできる。したがって、廃棄装置10は、平面視した形状をより小型化(省スペース化)できる。
【0078】
また、不良品セパレータ80NGが収容される収容ボックス15は、筒体11の鉛直下方向DIRvdに配置され、平面視して筒体11に重なる。これにより、廃棄装置10は、平面視した形状をさらに小型化(省スペース化)できる。
【0079】
また、上述の構成では、1つの搬送装置91で良品と不良品を振り分けて搬送している。これにより、製造ラインを構成する装置数を削減でき、製造ラインの省スペース化、構成の簡素化を実現できる。
【0080】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る電池製造装置について、図を参照して説明する。第2の実施形態に係る電池製造装置は、第1の実施形態に係る電池製造装置の廃棄装置10を廃棄装置10Aに置き換えた点で異なる。第2の実施形態に係る電池製造装置の他の構成は、第1の実施形態に係る電池製造装置と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0081】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る廃棄装置の側面図である。
図8に示すように、廃棄装置10Aは、第1の実施形態に係る廃棄装置10に対して、不良品電極70NGの押し込み機構を追加した点で異なる。廃棄装置10Aの他の構成は、廃棄装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0082】
廃棄装置10Aの押し込み機構は、押し込み部材16、スライドガイド162、支柱169を備える。
【0083】
支柱169は、収容ボックス14に隣接しして立設されている。支柱169の高さは、収容ボックス14の高さよりも高い。
【0084】
押し込み部材16は、板材であり、所定の剛性を有する。具体的に、所定の剛性とは、押し込み部材16によって不良品電極70NGを変形させて収容ボックス14に押し込むことが可能な剛性である。押し込み部材16は、先端部160を有する。先端部160は、側面視して先細り形状である。
【0085】
押し込み部材16は、スライドガイド162を用いて支柱169に設置される。この際、先端部160は、押し込み部材16における鉛直下方向DIRvdの最下端になるように設置される。
【0086】
スライドガイド162は、鉛直下方向DIRvdおよび鉛直上方向DIRvuに沿って押し込み部材16を移動可能な機構部材である。これにより、押し込み部材16は、鉛直下方向DIRvdおよび鉛直上方向DIRvuに沿って移動可能である。
【0087】
押し込み部材16が移動方向の最上端にあると、先端部160は、収容ボックス14の上側開口Uo14付近になる。すなわち、この場合、先端部160は、収容ボックス14への不良品電極70NGの落下を阻害しない位置にある。
【0088】
押し込み部材16が移動方向の最下端にあると、先端部160が収容ボックス14の内部空間SP14内になり、底壁14BWから所定距離の位置までくる。すなわち、この場合、先端部160は、収容ボックス14へ収容された不良品電極70NGに接触可能であり、所定の押圧力を不良品電極70NGに与えられる位置にある。
【0089】
(不良品電極の押し込み)
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)は、不良品電極を廃棄する動作における各状態を示す部分的な側面断面図である。
【0090】
図9(A)に示すように、不良品電極70NGが収容ボックス14の内部空間SP14内に収容されると、押し込み部材16は下降する。なお、この下降のトリガは手動であってもよく、自動であってもよい。自動トリガの場合、例えば、収容ボックス14の所定高さの位置に不良品電極70NGの検知センサを備え、この検知センサが不良品電極70NGの投入、不十分な落下を検出したことを自動トリガとすればよい。
【0091】
図9(B)、
図9(C)に示すように、押し込み部材16は、さらに下降する。これにより、押し込み部材16は、先端部160側から不良品電極70NGに接触し、不良品電極70NGを押し込む。この結果、不良品電極70NGは、押し潰され、収容ボックス14の底壁14BW側に溜められる。
【0092】
このような押し込みを行うことで、廃棄装置10Aは、収容ボックス14の内部空間SP14の上側開口Uo14付近に引っ掛かった不良品電極70NGを、収容ボックス14の底壁14BW側に強制的に収容(廃棄)できる。
【0093】
なお、押し込み機構は、押し込みに対するトルクリミッタを備えていることが好ましい。これにより、無理な押し込みによる押し込み機構の故障や破損を抑制できる。
【0094】
また、押し込み部材16の先端部160の形状は先細り形状に限らず、適宜採用できる。
【0095】
<1> 電極とセパレータとを用いた構造を備える電池の製造ラインの一カ所に配置され、不良品の電極および不良品のセパレータを収容する廃棄ボックスと、
前記不良品の電極および前記不良品のセパレータを前記廃棄ボックスに導く不良品導出部と、
を備え、
前記不良品導出部は、
前記不良品の電極を前記廃棄ボックスの鉛直上方から内部に導く第1手段と、
吸引力を用いて前記不良品のセパレータを前記廃棄ボックスに導く第2手段と、
を備える、電池製造装置。
【0096】
<2> 前記不良品導出部は選別部をさらに備え、
前記選別部は、不良品が電極を含むか否かを選別し、
前記電極を含む不良品は前記第1手段を用いて前記電極を含む不良品を前記廃棄ボックスに導き、
電極を含まない不良品は前記第2手段を用いて前記電極を含まない不良品を前記廃棄ボックスに導く、<1>の電池製造装置。
【0097】
<3> 前記廃棄ボックスは、前記不良品の電極を収容する第1収容ボックスと、前記不良品のセパレータを収容する第2収容ボックスと、を備える、<1>または<2>の電池製造装置。
【0098】
<4> 前記不良品導出部は、
上方が開口する筒体と、
前記筒体の上方の開口面を開閉する蓋部材と、
を備え、
前記第1収容ボックスは、前記筒体の側面に配置され、
前記第2収容ボックスは、前記筒体の下方に配置され、
前記第1手段は、前記蓋部材の上に載置された前記不良品の電極を前記第1収容ボックスに導く機構であり、
前記第2手段は、前記筒体の上方から落下する前記不良品のセパレータの落下速度を上げて前記第2収容ボックスに導く機構である、<3>の電池製造装置。
【0099】
<5> 前記第1手段は、前記蓋部材を閉状態から開状態にする前記蓋部材の回動機構を備え、
前記第2手段は、前記筒体に配置され、前記筒体の下方に吸引力を発生する吸引部材を備える、<4>の電池製造装置。
【0100】
<6> 前記筒体と前記第2収容ボックスとを接続するダクト管を備え、
前記ダクト管の流路断面積は、前記筒体の流路断面積よりも小さい、<5>の電池製造装置。
【0101】
<7> 前記第1収容ボックスは、
上方が開口し、底壁を備える箱体であり、
前記箱体の内面には、前記底壁の表面に直交しない角度で交わる傾斜面を有する傾斜部材を備える、<3>乃至<6>のいずれかの電池製造装置。
【0102】
<8> 前記傾斜部材は、前記箱体の内面における前記筒体側の面に配置されている、<7>の電池製造装置。
【0103】
<9> 前記傾斜面は、上端および下端よりも中央部が膨らむ形状である、<8>の電池製造装置。
【0104】
<10> 前記不良品の電極および前記不良品のセパレータを含み、前記電池の製造用の電極とセパレータを搬送する搬送手段を備え、
前記搬送手段は、
前記不良品の電極および前記不良品のセパレータを前記不良品導出部に搬送し、
良品の電極および良品のセパレータ付き電極を、前記製造ラインの積層装置に搬送する、<1>乃至<9>のいずれかの電池製造装置。
【0105】
<11> 前記製造ラインにおける前記搬送手段よりも前工程の位置に、前記電極の良品、不良品の判定を行う検査装置を備え、
前記は搬送手段および前記不良品導出部は、前記検査装置による検査結果に基づいて動作する、<10>の電池製造装置。
【符号の説明】
【0106】
10、10A:廃棄装置
11:筒体
11BW:底壁
11SW:側壁
12:蓋部材
13:ダクト管
13SW:壁
14:収容ボックス
14BW:底壁
14SW:側壁
15:収容ボックス
15BW:底壁
15SW:側壁
15UW:天壁
16:押し込み部材
162:スライドガイド
169:支柱
70NG:不良品電極
71:負極電極
72:正極電極
80NG:不良品セパレータ
81、82:セパレータ
91:搬送装置
92:積層部
112:吸入補助部材
113:吸入口
121:主体
122:回動機構部
149:傾斜部材
791、793、891、893:コンベア
792、794、892、894:テーブル
881、882:切断装置
DIRvd:鉛直下方向
DIRvu:鉛直上方向
F149:傾斜面
SP11、SP13、SP14、SP15:内部空間
Ud11:下側開口
UF12:天面
Uo11、Uo14:上側開口