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特開2025-9126知識管理システム、及び知識管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009126
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】知識管理システム、及び知識管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20250110BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111905
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】523259237
【氏名又は名称】株式会社レモコラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターリク ファタヤーニ
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA12
5L049AA12
(57)【要約】
【課題】団体の構成員の間でやりとりされた情報を共有知識として蓄積することを可能にする。
【解決手段】この知識管理システムは、知識の内容を示す主題に関するサブジェクトデータを含むページデータを生成及び更新するページデータ生成/更新部と、ユーザの間で交換された情報の集合としてのディスカッションデータを生成するディスカッションデータ生成部と、前記ディスカッションデータと対応する前記ページデータの候補を出力する分類候補出力部と、前記分類候補出力部から出力された前記ページデータの候補の中から少なくとも一のページデータを選択する分類選択部とを備える。前記ページデータ生成/更新部は、前記分類選択部で選択された一のページデータを、前記ディスカッションデータに関連付けて前記一のページデータを更新する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
知識の内容を示す主題に関するサブジェクトデータを含むページデータを生成及び更新するページデータ生成/更新部と、
ユーザの間で交換された情報の集合としてのディスカッションデータを生成するディスカッションデータ生成部と、
前記ディスカッションデータと対応する前記ページデータの候補を出力する分類候補出力部と、
前記分類候補出力部から出力された前記ページデータの候補の中から少なくとも一のページデータを選択する分類選択部と
を備え、
前記ページデータ生成/更新部は、前記分類選択部で選択された一のページデータを、前記ディスカッションデータに関連付けて前記一のページデータを更新する
ことを特徴とする知識管理システム。
【請求項2】
前記ページデータ生成/更新部で生成される前記ページデータは、前記サブジェクトデータと、前記サブジェクトデータに関連付けられたディスカッションデータとを含む、請求項1に記載の知識管理システム。
【請求項3】
前記ページデータを含むデータの表示部への表示を制御する表示制御部を更に備え、
前記表示制御部は、前記ページデータを前記ディスカッションデータを含めて表示すると共に、前記ディスカッションデータの確定、編集、及びアーカイブ化を指示するボタンを表示する、請求項2に記載の知識管理システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記アーカイブ化を指示するボタンが押された場合に、対応する前記ディスカッションデータを前記ページデータから消去する、請求項3に記載の知識管理システム。
【請求項5】
前記ディスカッションデータは、構成員のコメントを示すコメントデータ、及び前記コメントに対する回答を示すリプライデータを含む、請求項2に記載の知識管理システム。
【請求項6】
前記分類選択部は、前記分類候補出力部から出力された前記ページデータの候補を表示部に表示させて、端末装置において前記ユーザに前記ページデータの候補の少なくとも1つを選択させるよう構成された、請求項1に記載の知識管理システム。
【請求項7】
前記ユーザの間でチャットを実行可能に構成されたチャットシステムを更に備え、
前記ディスカッションデータ生成部は、前記チャットシステムで交わされたチャットの少なくとも一部を抽出して前記ディスカッションデータを生成する、請求項1に記載の知識管理システム。
【請求項8】
前記ディスカッションデータ生成部は、前記チャットシステムで交わされたチャットを表示部に表示して、表示されたチャットの中からユーザにより選択されたチャットを前記ディスカッションデータに変換する、請求項7に記載の知識管理システム。
【請求項9】
知識の内容を示す主題に関するサブジェクトデータを含むページデータを生成及び更新するステップと、
ユーザの間で交換された情報の集合としてのディスカッションデータを生成するステップと、
前記ディスカッションデータと対応する前記ページデータの候補を出力するステップと、
出力された前記ページデータの候補の中から少なくとも一のページデータを選択するステップと
をコンピュータに実行するよう構成され、
前記ページデータの更新は、選択された一のページデータを、前記ディスカッションデータに関連付けて前記一のページデータを更新する
ことを特徴とする知識管理プログラム。
【請求項10】
生成される前記ページデータは、前記サブジェクトデータと、前記サブジェクトデータに関連付けられたディスカッションデータとを含む、請求項9に記載の知識管理プログラム。
【請求項11】
前記ページデータを含むデータの表示部への表示を制御するステップを更に備え、
前記ページデータを含むデータの表示部への表示において、前記ページデータを前記ディスカッションデータを含めて表示すると共に、前記ディスカッションデータの確定、編集、及びアーカイブ化を指示するボタンを表示する、請求項10に記載の知識管理プログラム。
【請求項12】
前記アーカイブ化を指示するボタンが押された場合に、対応する前記ディスカッションデータを前記ページデータから消去する、請求項11に記載の知識管理プログラム。
【請求項13】
前記ディスカッションデータは、構成員のコメントを示すコメントデータ、及び前記コメントに対する回答を示すリプライデータを含む、請求項10に記載の知識管理プログラム。
【請求項14】
出力された前記ページデータの候補を表示部に表示させて、ユーザに前記ページデータの候補の少なくとも1つを選択させるステップを更に備える、請求項9に記載の知識管理プログラム。
【請求項15】
前記ユーザの間でチャットを実行可能に構成されたチャットシステムで交わされたチャットの少なくとも一部を抽出して前記ディスカッションデータを生成する、請求項9に記載の知識管理プログラム。
【請求項16】
前記チャットシステムで交わされたチャットを表示部に表示して、表示されたチャットの中からユーザにより選択されたチャットを前記ディスカッションデータに変換する、請求項15に記載の知識管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業等の団体の知識を管理する知識管理システム、及び知識管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業などの団体は多数の構成員を擁し、また多数の部門を有しているので、そのような多数の構成員の間、又は多数の部門の間で情報を共有することが益々重要になっている。また、団体においても、そのような情報共有を進めることで業務の円滑化を図ることが事業の拡大、収益の増大等の観点から極めて重要である。暗黙知という形で特定人により共有されている情報が形式知として多数の構成員により共有され、これが利用されることで新たな発見が創出され、新たな暗黙知が生まれ、更に形式知に変換され得る。このような活動が繰り返されることにより、企業体において共有される知識資源をより豊かなものにすることができる。このように、団体において各種情報を共有し管理するための知識管理システムの重要性が益々高まっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、現状の知識共有システムにおいては、共有される情報の種類が限定的であり、構成員の間又は部門の間で十分な情報共有が可能な状態が得られていないという問題がある。例えば、団体の構成員は、チャットツールなどを使用して連絡や会議を行うが、チャットツール等で交わされた情報は現状の知識管理システムによって十分に共有されていない。その理由は、チャットツールにおいては、やり取りされた情報(会話)が時系列に並び、古い情報は履歴の上方に移動し、やがて探索することが困難になるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-257674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、団体の構成員の間でやりとりされた情報を共有知識として蓄積することを可能にする知識管理システム、及び知識管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る知識管理システムは、知識の内容を示す主題に関するサブジェクトデータを含むページデータを生成及び更新するページデータ生成/更新部と、ユーザの間で交換された情報の集合としてのディスカッションデータを生成するディスカッションデータ生成部と、前記ディスカッションデータと対応する前記ページデータの候補を出力する分類候補出力部と、前記分類候補出力部から出力された前記ページデータの候補の中から少なくとも一のページデータを選択する分類選択部とを備える。前記ページデータ生成/更新部は、前記分類選択部で選択された一のページデータを、前記ディスカッションデータに関連付けて前記一のページデータを更新する。
【0007】
また、本発明に係る知識管理プログラムは、知識の内容を示す主題に関するサブジェクトデータを含むページデータを生成及び更新するステップと、ユーザの間で交換された情報の集合としてのディスカッションデータを生成するステップと、前記ディスカッションデータと対応する前記ページデータの候補を出力するステップと、出力された前記ページデータの候補の中から少なくとも一のページデータを選択するステップとをコンピュータに実行するよう構成される。前記ページデータの更新は、選択された一のページデータを、前記ディスカッションデータに関連付けて前記一のページデータを更新する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、団体の構成員の間でやりとりされた情報を共有知識として蓄積することを可能にする知識管理システム、及び知識管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態の知識管理システム1の構成を説明する概略図である。
図2】サーバコンピュータ100及びユーザ端末400の構成の詳細を説明するブロック図である。
図3】ページデータの表示の一例を示す。
図4】チャットシステム300の実行画面の一例を説明する。
図5】チャットシステム300の実行画面の一例を説明する。
図6】チャットシステム300の実行画面の一例を説明する。
図7】チャットシステム300の実行画面の一例を説明する。
図8】ディスカッションデータのページデータへの分類作業が終わった後におけるページデータの表示画面の一例を示す。
図9】生成されページデータに分類(連携)されたディスカッションデータの一例である。
図10】ページデータに連携されたディスカッションデータが確定、更新又はアーカイブ化される様子を説明する模式図である。
図11】第1の実施の形態の知識管理システムによるページデータの作成及びディスカッションデータの連携動作について説明する。
図12】第1の実施の形態の知識管理システム1におけるページデータの格納方法の一例を説明する概略図である。
図13】第1の実施の形態の知識管理システム1におけるページデータとディスカッションデータの連携の方法の一例を説明する。
図14】第2の実施の形態の知識管理システム1Aの構成を説明する概略図である。
図15】第3の実施の形態の知識管理システム1Bの構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、第1の実施の形態の知識管理システム1の構成を説明する。この知識管理システム1は、サーバコンピュータ100と、データベース200と、チャットシステム300とをネットワークNWで接続して構成される。この知識管理システム1のユーザは、自身が管理するユーザ端末400(デスクトップパソコン、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット等)から知識管理システム1にアクセスし、本システムを利用可能とされている。
【0013】
サーバコンピュータ100は、本システム1を利用するユーザ(例えば、企業の構成員)の間で共有される情報を分類し格納する機能を有し、知識管理システム1の中核部分を構成する。データベース200は、本システム1の運用に必要な各種データやバックアップデータ等を格納する。なお、図1では、サーバコンピュータ100が1台のみ図示されているが、1のシステムが複数のサーバコンピュータを分散した形で備え、複数のサーバコンピュータが連携して下記の機能を発揮するようにしても良いことは言うまでもない。データベース200は、その一部又は全部がサーバコンピュータ100の記憶部によって構成されてもよい。
【0014】
チャットシステム300は、本システム1のユーザがチャットにより情報交換や会議を行うためのシステムである。チャットシステム300は、チャットプログラムを実行可能に構成されたコンピュータである。チャットシステム300を構成するコンピュータは、サーバコンピュータ100とは独立したコンピュータであってもよいが、チャットシステム300がサーバコンピュータ100により実現されてもよい。また、チャットシステム300は、サーバコンピュータ100の運営者とは別の運営者により運営されるチャットシステムであってもよい。
【0015】
ユーザ端末400は、チャットシステム300を利用してユーザ間でチャットによる情報交換を可能に構成される。サーバコンピュータ100は、チャットシステム300において交わされたチャットのデータを取り込んでディスカッションデータに変換し、知識データとしてのページデータに取り込む機能を有する。ページデータはサーバコンピュータ100に格納された後、適宜ユーザ端末400により検索・表示され、ユーザ間で共有知識として利用される。
【0016】
図2を参照して、サーバコンピュータ100及びユーザ端末400の構成の詳細を説明する。サーバコンピュータ100は、ハードウェア構成として、CPU101、ROM102、RAM103、ハードディスクドライブ(HDD)104、フラッシュメモリ105、データを入力するための入力部106、各種データを表示する表示部107、通信制御部108を備えて構成され得る。
【0017】
CPU101は、本実施の形態に係る知識管理プログラムを実行してシステム1の全体の動作を制御する制御回路である。ROM102、RAM103、HDD104、及びフラッシュメモリ105は、知識管理プログラムを格納すると共に、生成された各種データを格納する記憶部である。
【0018】
知識管理プログラムは、サーバコンピュータ100で実行されることにより、サーバコンピュータ100の内部において、一例として、ページデータ生成/更新部121、ディスカッションデータ生成部122、ディスカッションデータ解析部123、分類候補出力部124、分類選択部125、表示制御部126を実現する。また、知識管理プログラムは、記憶部(例えばHDD104)にページデータ記憶部131及びディスカッションデータ記憶部132を実現する。
【0019】
ページデータ生成/更新部121は、ページデータを生成すると共に適宜更新する部分である。ページデータは、知識管理システムを構成する基礎となるデータであり、知識の内容を示す主題毎に複数通り生成される。ページデータは、その主題の内容を示すサブジェクトデータ(Subject)と、企業内で当該主題についてユーザの間でチャットシステム300を用いて議論され交換された情報の集合としてのディスカッションデータ(Discussion)とを含んでいる。ディスカッションデータは、一例として、チャットシステム300でやりとりされたチャットのデータに従って生成され得る。ディスカッションデータは、チャットシステム300以外で行われた情報のやり取りの結果に従って生成されてもよい。
【0020】
ディスカッションデータ生成部122は、チャットデータに基づいてディスカッションデータを生成する機能を有する。また、ディスカッションデータ解析部123は、生成されたディスカッションデータの内容を解析する機能を有する。分類候補出力部124は、ディスカッションデータ解析部123での解析結果に基づき、当該ディスカッションデータを分類し得るページデータの候補を判定し、その候補を出力する機能を有する。
【0021】
分類選択部125は、複数のページデータの候補の中からユーザにより選択されたページデータを選択し、選択されたページデータを対象のディスカッションデータと連携させる役割を有する。分類選択部125での選択の結果に従い、ページデータ生成/更新部121は、当該ディスカッションデータを対応するページデータに連携させるようページデータを更新する。表示制御部126は、ユーザ端末400のディスプレイなどにおいて表示されるページデータ等の各種データの表示を制御する。
【0022】
ユーザ端末400は、チャット入出力部401及び選択入力部402を備えている。チャット入出力部401は、チャットシステム300においてチャットをキーボード等を用いて入力すると共に、メンバー間でやり取りされたチャットをディスプレイ等に表示させる機能を有する。選択入力部402は、後述するように、チャットデータからディスカッションデータを生成する際にユーザにより実行される選択入力動作を実行するための部分である。
【0023】
ページデータは、サーバコンピュータ100の管理者により想定される主題に対応する数だけ予め生成され、サーバコンピュータ100に格納される。なお、ページデータは、サーバコンピュータ100の管理者によって生成される代わりに、外部の作業者によって生成されてサーバコンピュータ100に格納されてもよい。また、ページデータ生成/更新部121は、企業活動に関するデータ(例えば、事業計画書、プレスリリース、外部報道データ、その他)に従ってページデータを人工知能(AI)を用いて自動生成するように構成されることもできる。
【0024】
図3を参照して一例を説明すると、ページデータは、サブジェクトデータとして、例えば「Bプロジェクト」、「Cプロジェクト」、「DX推進計画」等の主題を含み、主題毎にページデータが生成されている。ページデータは、時間の経過とともに新規のページデータを生成(削除)することも可能であり、また、既存のページデータが分割されてもよいし、統合されてもよい。ページデータに含まれるディスカッションデータは、ページデータの生成の直後においては空のデータであってよい。
【0025】
ディスカッションデータが生成されると、その内容に対応するページデータに当該ディスカッションデータが結合され、連携した状態で格納される。ページデータは、ユーザ端末400において検索可能とされており、ユーザ端末400のユーザ(企業の構成員等)は、ページデータを活用することにより、企業内の共有知識(形式知)を活用し、更なる知識の創造に利用することができる。共有知識に基づき新たに創造された知識は、ディスカッションデータが更新されることにより、新たな共有知識として企業内で共有され得る。
【0026】
図4図7を参照して、チャットシステム300の実行画面の一例を説明する。チャットシステム300は、様々なテーマにてチャットを実行することが可能に構成され、図4に示すトップページには、テーマごとのチャットルームが創設され、ユーザによりチャットルームの1つが選択可能にされている。チャットルームが選択されると、その選択を行ったユーザはチャットルームに入室し、議論に加わることができる。チャットルームの各々には、チャットのテーマと、その構成メンバーが表示される。図4では一例として4種類のチャットルームが創設されており、ユーザは、そのいずれかを入力装置(マウス、タッチパネル、その他)により選択可能とされる。
【0027】
図5は、複数のチャットルームのうちの1つ(例えば「Bプロジェクトルーム」)が選択された場合の、チャットの内容を時系列で示した画面の一例である。この画面例では、画面左側にユーザ以外のメンバーの投稿が時系列に表示され、画面右側に当該ユーザの投稿が時系列に表示されている。ユーザは、チャットを投稿する際には、ボックス301にチャットの内容を示す文字や記号を入力し、投稿ボタン302を押すことにより投稿する。また、チャットルームを退出してチャットを終了する場合には、退出ボタン303を押す。また、表示中のチャットルームのチャットの内容であるチャットデータを編集してディスカッションデータを生成したい場合には、記録ボタン304を押す。チャットルームにおけるチャットの内容の表示形式は、図5のものに限定されない。
【0028】
記録ボタン304が押されると、チャットルームの画面から、図6に例示するようなディスカッションデータ生成画面が表示される。このディスカッションデータ生成画面は、図6のチャット画面と同様の画面に加え、各投稿の側方に、選択のためのチェックボックス305が表示される。ディスカッションデータ生成画面の下方には、ユーザの入力のためのボタンが表示され、一例として自動選択ボタン307、全選択ボタン308、及び確定ボタン309が表示される。
【0029】
通常の操作では、ユーザは、表示された投稿のうちディスカッションデータとして残したい投稿をチェックボックス305をクリックすることにより選択する。選択が終わったら確定ボタン309を押すことで、ディスカッションデータが確定する。このようなチェックボックス305による選択動作により、テーマとは無関係な投稿(例えば、単なる雑談、挨拶等)を除外することができるため、ディスカッションデータの容量を削減し、以後のページデータの利用が容易になる。
【0030】
チェックボックス305を1つ1つクリックする(手動選択)ことに代えて、ユーザは、自動選択ボタン307をクリックすることもできる。自動選択ボタン307が押されると、ディスカッションデータ生成部122は、チャットルームの主題の意味を解釈し、その解釈に従った投稿をチャットの中から自動的に抽出する。抽出されたチャットには、手動の選択の場合と同様に、チェックボックス305にチェックが付される。ユーザは、チェックされた投稿をディスプレイにおいて確認し、問題なければ確定ボタン309を押すことにより、ディスカッションデータを確定させることができる。
【0031】
また、ユーザは、チェックボックス305を1つ1つクリックすることに代えて、全選択ボタン308をクリックすることもできる。この場合、表示されているすべての投稿データのチェックボックス305にチェックが付される。ユーザは、チェックされた投稿をディスプレイにおいて確認し、問題なければ確定ボタン309を押すことにより、ディスカッションデータを確定させることができる。なお、ディスカッションデータの生成は、上記のようにユーザがユーザ端末400において実行する例を示したが、これに限らず、例えばシステムの管理者がチャットデータにアクセスしてディスカッションデータの生成に関与することも可能である。
【0032】
図6の画面にて確定ボタン309が押されてディスカッションデータが生成されると、続いてディスカッションデータ解析部123により生成されたディスカッションデータの解析が実行される。そして、分類候補出力部124は、この解析の結果と関連度が高いページデータを、当該ディスカッションデータを分類・連携させるべきページデータの候補として抽出・出力する。
【0033】
図7は、分類候補出力部124により出力されたページデータの候補を表示し、ユーザに選択動作をさせるための分類候補一覧表示画面の一例である。この画面は、一覧表示部311と、チェックボックス312と、確定ボタン313とを備えている。
【0034】
一覧表示部311は、分類候補出力部124で出力された、類似度が高いと判断されたページデータを、そのページID、サブジェクトデータの内容、分類先のフォルダ名、及び関連度を示す関連指数等と共に一覧形式で表示する。表示されるデータの種類は、図7に示すものに限られないことはいうまでもない。チェックボックス312は、個々のページデータのページIDの横に表示され得る。ユーザは、一覧表示部311に一覧表示された複数のページデータの中から、生成したディスカッションデータ(チャットデータ)に最も合致すると思われるページデータを特定し、そのページデータのチェックボックス312にチェックを入れ、確定ボタン313を押す。確定ボタン313が押されることにより、対象のディスカッションデータを分類・連携させるページデータが確定し、この確定に従ってページデータ及びディスカッションデータが連携されて格納される。
【0035】
図8は、ディスカッションデータのページデータへの分類作業が終わった後におけるページデータの表示画面の一例を示す。図8に示すように、分類作業後においてページデータと連携されたディスカッションデータは、ページデータの一部においてサブジェクトデータと共に表示される。これにより、ユーザは、ページデータ中のサブジェクトデータに示す主題に関し得られた議論を把握し、それを自分の知識とすることができる。ディスカッションデータとして表示されるのは、いまだ議論が進行中であり、その内容が未確定のオープン状態のディスカッションデータと、議論が一旦終了しその内容が確定しているクローズ状態のディスカッションデータである。クローズ状態のディスカッションデータは、確定状態となり、更新の指示がなければ編集不可能になっている。一方、オープン状態のディスカッションデータは、編集可能な状態とされ、確定の指示があるまでは編集が可能である。
【0036】
一のページデータにディスカッションデータが複数通り形成されている場合、その複数通りのディスカッションデータが一のページデータに並列に表記されると共に、ディスカッションデータの各々に対応して確定ボタン320、更新ボタン321、アーカイブボタン322が表示される。これらのボタンは、ページデータについて連携されているディスカッションデータを確定し、更新し、またアーカイブ化してデータベース200等に保存する操作を行うためのボタンであり、ユーザにより適宜操作される。表示制御部126は、ページデータをディスカッションデータを含めて表示すると共に、ディスカッションデータの確定、編集、及びアーカイブ化を指示するボタン320~322を表示する。
【0037】
図9は、生成されページデータに分類(連携)されたディスカッションデータの一例である。ディスカッションデータは、一例として、コメントデータとリプライデータから大略構成される。コメントデータは、チャットデータからに含まれていた各種の投稿の1つに対応するデータであり、リプライデータは、そのコメントデータの投稿に対し返答する形で送信された投稿に関するデータである。図9のように、コメントデータとリプライデータとは、例えば色違いや異なる記号などで表示されるなどして区別され、いずれがコメントデータでいずれがリプライデータであるかをユーザが視覚的に判断可能にされている。
【0038】
前述のように、ページデータに連携されたディスカッションデータは、確定ボタン320、更新ボタン321、アーカイブボタン322により確定、更新又はアーカイブ化される。その様子を図10に模式的に示す。ページデータ上に表示され更新可能なオープン状態のディスカッションデータは、対応する確定ボタン320を押すことで、オープン状態から、更新が不可能なクローズ状態に変更される。また、クローズ状態のディスカッションデータは、対応するアーカイブボタン322を押すことで、アーカイブ化することができる。アーカイブ化されたディスカッションデータは、ページデータにおいてサブジェクトデータと共に表示はされずに(ページデータから消去され)、検索のみが可能な状態にされている。アーカイブデータは、必要に応じて画面に表示された後、更新ボタン321が押されることにより更新され、オープン状態に変更される。
【0039】
図11のフローチャートを参照して、第1の実施の形態の知識管理システム1によるページデータの作成及びディスカッションデータの連携動作について説明する。まず、ページデータ生成/更新部121は、本システム1の稼働の準備として、サブジェクトデータを含むページデータを、想定される多数の主題の各々に対応して生成する(ステップS11)。一方、ディスカッションデータ生成部122は、チャットシステム300でやり取りされたチャットに関するチャットデータを取得してディスカッションデータを生成し、ディスカッションデータ解析部123は、生成されたディスカッションデータを解析する(ステップS12)。
【0040】
続いて、分類候補出力部124は、ディスカッションデータの解析結果に従い、そのディスカッションデータを分類すべきページデータの候補を判定し、その判定の結果を分類候補として出力する(ステップS13)。ユーザは、ユーザ端末400のディスプレイ等に表示されたページデータの分類候補の中の少なくとも1つを選択入力部402を介して選択する(ステップS14)。選択がされると、その選択されたページデータが対象のディスカッションデータと合成(連携)される(ステップS15)。
【0041】
図12は、第1の知識管理システム1におけるページデータの格納方法の一例を示す。生成されたページデータは、ページデータ記憶部131において、その内容に応じてフォルダ(メインフォルダ、サブフォルダ)に分類されて記憶される。
【0042】
図13は、ディスカッションデータに類似するページデータを判定する場合のデータ処理の一例を示す模式図である。ディスカッションデータ及びページデータは、類似度判定処理において、いずれもベクトルデータ(Di、Pj)に変換された後、コサイン類似度が演算される。高いコサイン類似度が得られたページデータに関し、類似度が高いと判断される。
【0043】
以上説明したように、第1の実施の形態の知識管理システム1及び知識管理用プログラムによれば、団体の構成員の間でやりとりされた情報を共有知識として蓄積することが可能になる。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に、図14を参照して、第2の実施の形態に係る知識管理システム1Aを説明する。第1の実施の形態と同様の構成については図14において同一の参照符号を付し、以下では重複する説明は省略する。
【0045】
この第2の実施の形態の知識管理システム1Aは、チャットシステム300に加え電子メールをユーザ間で送受信可能なメールシステム300Bを備えている。本システムにおけるサーバコンピュータ100は、メールシステム300Bでやり取りされた文字や記号を解析してディスカッションデータ生成部122においてディスカッションデータに変換し、同様にページデータと連携させることができる。この第2の実施の形態の知識管理システムによれば、チャットシステム300に加え、メールシステム300Bによる議論もディスカッションデータとして取り込むことができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
次に、図15を参照して、第3の実施の形態に係る知識管理システム1Bを説明する。第1の実施の形態と同様の構成については図15において同一の参照符号を付し、以下では重複する説明は省略する。
【0047】
この第3の実施の形態の知識管理システム1Bは、チャットシステム300に加え、オフラインで行われた会議の音声を録音し、これを文字に変換する音声/文字変換システム300Cを備えている。本システムにおけるサーバコンピュータ100は、音声/文字変換システム300Cで得られた文字等を解析してディスカッションデータ生成部122においてディスカッションデータに変換し、同様にページデータと連携させることができる。この第3の実施の形態の知識管理システム1Bによれば、チャットシステム300に加え、オフラインの会議による議論も音声/文字変換システム300Cを介してディスカッションデータとして取り込むことができる。
【0048】
[その他]
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B…知識管理システム
100…サーバコンピュータ
104…ハードディスクドライブ(HDD)
105…フラッシュメモリ
106…入力部
107…表示部
108…通信制御部
121…ページデータ生成/更新部
122…ディスカッションデータ生成部
123…ディスカッションデータ解析部
124…分類候補出力部
125…分類選択部
126…表示制御部
131…ページデータ記憶部
132…ディスカッションデータ記憶部
200…データベース
300…チャットシステム
300B…メールシステム
300C…文字変換システム
301…ボックス
302…投稿ボタン
303…退出ボタン
304…記録ボタン
305…チェックボックス
307…自動選択ボタン
308…全選択ボタン
309…確定ボタン
311…一覧表示部
312…チェックボックス
313…確定ボタン
320…確定ボタン
321…更新ボタン
322…アーカイブボタン
400…ユーザ端末
401…チャット入出力部
402…選択入力部
図1
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