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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009129
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250110BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250110BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20250110BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 H
B60W30/095
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111909
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 雄佑
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BA57
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE03
3D241CE05
3D241DA12Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】自車両が車線を逸脱して対向車と衝突する可能性があるときに適切な注意喚起報知を実施することができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置10は、自車両100の走行予測経路と対向車200の走行予測経路とに基づいて自車両が対向車に衝突する可能性があると判定したときに自車両の操作者又は対向車の操作者に注意を喚起するための注意喚起報知を実施する。車両制御装置は、自車両が対向車に衝突するまでの時間である衝突予測時間が第1閾値時間未満となったときに自車両が車線から逸脱するまでの時間である車線逸脱予測時間が第2閾値時間以上である場合、注意喚起報知を実施し、衝突予測時間が第1閾値時間未満となったときに車線逸脱予測時間が第2閾値時間未満である場合には、車線逸脱予測時間が第2閾値時間よりも短い第3閾値時間未満となったときに、注意喚起報知を実施する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行予測経路と対向車の走行予測経路とに基づいて前記自車両が前記対向車に衝突する可能性があると判定したときに前記自車両の操作者又は前記対向車の操作者に前記自車両と前記対向車とが衝突する可能性があることについての注意を喚起するための注意喚起報知を実施する制御装置を備えた車両制御装置において、
前記制御装置は、
前記自車両が前記対向車に衝突するまでの時間である衝突予測時間が第1閾値時間未満となったときに前記自車両が車線から逸脱するまでの時間である車線逸脱予測時間が第2閾値時間以上である場合、前記注意喚起報知を実施し、
前記衝突予測時間が前記第1閾値時間未満となったときに前記車線逸脱予測時間が前記第2閾値時間未満である場合には、前記車線逸脱予測時間が前記第2閾値時間よりも短い第3閾値時間未満となったときに、前記注意喚起報知を実施する、
ように構成されている、
車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記制御装置は、前記衝突予測時間が前記第1閾値時間未満であり且つ前記車線逸脱予測時間が前記第2閾値時間未満であり且つ前記第3閾値時間以上である場合、前記注意喚起報知を実施しないように構成されている、
車両制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置において、
前記制御装置は、前記注意喚起報知の実施後、前記自車両が車線を逸脱した場合、前記自車両を自動で操舵することにより前記自車両を前記車線内に戻すための自動操舵を実施するように構成されている、
車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両が車線を逸脱する可能性及び自車両が対向車に衝突する可能性が高くなったときに自車両と対向車とが衝突する可能性(衝突可能性)があることについての注意を喚起するための報知(注意喚起報知)を自車両の操作者に対して実施する車両制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-85805号公報
【発明の概要】
【0004】
自車両が車線を逸脱して対向車に衝突するものと予測される時間が一定時間まで短くなり、その結果、自車両が車線を逸脱して対向車に衝突する可能性があると判断される場面において、自車両が車線を逸脱するまでの時間が比較的長く且つ自車両が車線を逸脱してから対向車に衝突するまでの時間が比較的長ければ、自車両の操作者又は対向車の操作者は、自車両と対向車との衝突を回避するための適切な運転操作を比較的容易に行うことができる。従って、こうした場面においては、自車両の操作者又は対向車の操作者に対する注意喚起報知の実施は、不要であると考えられる。
【0005】
従って、従来の車両制御装置のように、自車両が車線を逸脱する可能性及び自車両が対向車に衝突する可能性が高くなったときに、一律に、注意喚起報知が実施されるようになっていると、不要な注意喚起報知が実施されてしまう可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、自車両が車線を逸脱して対向車と衝突する可能性があるときに適切な注意喚起報知を実施することができる車両制御装置を提供することにある。
【0007】
本発明に係る車両制御装置は、自車両の走行予測経路と対向車の走行予測経路とに基づいて前記自車両が前記対向車に衝突する可能性があると判定したときに前記自車両の操作者又は前記対向車の操作者に前記自車両と前記対向車とが衝突する可能性があることについての注意を喚起するための注意喚起報知を実施する制御装置を備えている。前記制御装置は、前記自車両が前記対向車に衝突するまでの時間である衝突予測時間が第1閾値時間未満となったときに前記自車両が車線から逸脱するまでの時間である車線逸脱予測時間が第2閾値時間以上である場合、前記注意喚起報知を実施するように構成されている。更に、前記制御装置は、前記衝突予測時間が前記第1閾値時間未満となったときに前記車線逸脱予測時間が前記第2閾値時間未満である場合には、前記車線逸脱予測時間が前記第2閾値時間よりも短い第3閾値時間未満となったときに、前記注意喚起報知を実施するように構成されている。
【0008】
自車両が車線を逸脱して対向車に衝突するものと予測される時間が一定時間まで短くなり、その結果、自車両が車線を逸脱して対向車に衝突する可能性があると判断される場面において、自車両が車線を逸脱するまでの時間が比較的長く且つ自車両が車線を逸脱してから対向車に衝突するまでの時間が比較的長ければ、自車両の操作者又は対向車の操作者は、自車両と対向車との衝突を回避するための適切な運転操作を比較的容易に行うことができる。従って、こうした場面においては、自車両の操作者又は対向車の操作者に対する注意喚起報知の実施は、不要であると考えられる。
【0009】
一方、自車両が車線を逸脱してから対向車に衝突するまでの時間が短い場面においては、注意喚起報知を自車両の操作者又は対向車の操作者に対して実施することが好ましいものと考えられる。又、自車両が車線を逸脱するまでの時間が短い場面においても、注意喚起報知を自車両の操作者又は対向車の操作者に対して実施することが好ましいものと考えられる。
【0010】
本発明に係る車両制御装置によれば、衝突予測時間が第1閾値時間未満となり、且つ、そのときの車線逸脱予測時間が第2閾値時間以上である場合、注意喚起報知が実施される。即ち、自車両と対向車とが衝突するまでの時間が一定時間まで短くなったときに、自車両が車線を逸脱してから対向車に衝突するまでの時間が短い場合、注意喚起報知が実施される。これにより、適切な注意喚起報知を実施することができる。
【0011】
又、本発明に係る車両制御装置によれば、衝突予測時間が第1閾値時間未満となったときに車線逸脱予測時間が第3閾値時間以上である場合には、その後、車線逸脱予測時間が第3閾値時間未満になると、注意喚起報知が実施される。即ち、自車両と対向車とが衝突するまでの時間が一定時間まで短くなったときに、自車両が車線を逸脱するまでの時間が短い場合、注意喚起報知が実施される。これにより、適切な注意喚起報知を実施することができる。
【0012】
尚、本発明に係る車両制御装置において、前記制御装置は、前記衝突予測時間が前記第1閾値時間未満であり且つ前記車線逸脱予測時間が前記第2閾値時間未満であり且つ前記第3閾値時間以上である場合、前記注意喚起報知を実施しないように構成され得る。
【0013】
自車両が車線を逸脱して対向車に衝突するものと予測される時間が一定時間まで短くなり、その結果、自車両が車線を逸脱して対向車に衝突する可能性があると判断される場面において、自車両が車線を逸脱するまでの時間が比較的長く且つ自車両が車線を逸脱してから対向車に衝突するまでの時間が比較的長ければ、自車両の操作者又は対向車の操作者は、自車両と対向車との衝突を回避するための適切な運転操作を比較的容易に行うことができる。従って、こうした場面においては、自車両の操作者又は対向車の操作者に対する注意喚起報知は、不要であると考えられる。
【0014】
本発明に係る車両制御装置によれば、衝突予測時間が第1閾値時間未満であり且つ車線逸脱予測時間が第2閾値時間未満であり且つ第3閾値時間以上である場合、報知が実施されない。即ち、自車両が対向車に衝突するまでの時間が一定時間まで短くなったときに自車両が車線を逸脱するまでの時間が比較的長く且つ自車両が車線を逸脱してから対向車に衝突するまので時間が比較的長ければ、自車両が車線を逸脱するまでの時間が極端に短くなるまでの間は、注意喚起報知が実施されない。このため、不要な注意喚起報知の実施を抑制することができる。
【0015】
又、本発明に係る車両制御装置において、前記制御装置は、前記注意喚起報知の実施後、前記自車両が車線を逸脱した場合、前記自車両を自動で操舵することにより前記自車両を前記車線内に戻すための自動操舵を実施するように構成され得る。
【0016】
本発明に係る車両制御装置によれば、自車両が車線を逸脱した場合、自車両を自動で元の車線に戻すことができる。
【0017】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置を示した図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る車両制御装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図3図3の(A)は、自車両が車線を逸脱した直後に対向車に衝突する可能性のある場面を示した図であり、図3の(B)は、自車両が車線を逸脱する直前の状態にある場面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両制御装置について説明する。図1に、車両制御装置10が示されている。車両制御装置10は、自車両100に搭載される。以下、自車両100の操作者が自車両100に乗車して当該自車両100の運転を行う者(即ち、自車両100の運転者)である場合を例にして、車両制御装置10について説明する。同様に、対向車200の操作者が対向車200に乗車して当該対向車200の運転を行う者(即ち、対向車200の運転者)である場合を例にして、車両制御装置10について説明する。
【0020】
しかしながら、自車両100の操作者は、自車両100に乗車せずに当該自車両100の運転を遠隔で行う者(即ち、自車両100の遠隔操作者)であってもよい。自車両100の操作者が遠隔操作者である場合、車両制御装置10は、自車両100と、自車両100の運転を遠隔で行うために自車両100の外に設置された遠隔操作設備とにそれぞれ搭載され、以下で説明する車両制御装置10の機能は、自車両100に搭載された車両制御装置10と、遠隔操作設備に搭載された車両制御装置10とでそれぞれ分担して行われることになる。同様に、対向車200の操作者も、対向車200に乗車せずに当該対向車200の運転を遠隔で行う者(即ち、対向車200の遠隔操作者)であってもよい。
【0021】
図1に示したように、車両制御装置10は、制御装置としてのECU(電子制御装置)90を備えている。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及び不揮発性メモリ等の記憶媒体、並びに、インターフェース等を含む。CPUは、記憶媒体に格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。特に、本例において、車両制御装置10は、当該車両制御装置10が実行する各種制御を実現するプログラムを記憶媒体に記憶している。
【0022】
尚、本例においては、車両制御装置10は、1つのECU90のみを備えているが、複数のECUを備え、以下で説明する車両制御装置10の機能を各ECUでそれぞれ分担して行うように構成されていてもよい。
【0023】
又、車両制御装置10は、記憶媒体に記憶してあるプログラムを外部の装置との無線通信(例えば、インターネット通信)により更新(アップデート)することができるように構成されていてもよい。
【0024】
自車両100には、走行装置20が搭載されている。走行装置20は、駆動装置21、制動装置22及び操舵装置23を含んでいる。
【0025】
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に付加される駆動力(駆動トルク)を出力する装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、駆動装置21の作動を制御することにより駆動装置21から出力される駆動力を制御することができる。
【0026】
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に付加される制動力(制動トルク)を出力する装置であり、例えば、油圧ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動力を制御することができる。
【0027】
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に付加される操舵力(操舵トルク)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵力を制御することができる。
【0028】
更に、自車両100には、アクセルペダル31、アクセルペダル操作量センサ32、ブレーキペダル34、ブレーキペダル操作量センサ35、ハンドル36、ステアリングシャフト37、舵角センサ38、車速検出装置39、周辺情報検出装置40、車車間通信機50及び報知装置60が搭載されている。
【0029】
アクセルペダル操作量センサ32は、アクセルペダル31の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、アクセルペダル操作量センサ32によりアクセルペダル31の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。車両制御装置10は、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の走行速度に基づいて要求駆動力(要求駆動トルク)を取得し、その要求駆動力に相当する駆動力が駆動装置21から自車両100に付加されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0030】
ブレーキペダル操作量センサ35は、ブレーキペダル34の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、ブレーキペダル操作量センサ35によりブレーキペダル34の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。車両制御装置10は、ブレーキペダル操作量BPに基づいて要求制動力(要求制動トルク)を取得し、その要求制動力に相当する制動力が制動装置22から自車両100に付加されるように制動装置22の作動を制御する。
【0031】
舵角センサ38は、中立位置に対するステアリングシャフト37の回転角度を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、舵角センサ38によりステアリングシャフト37の回転角度を舵角θとして取得する。
【0032】
車両制御装置10は、舵角θ及び自車両100の走行速度に基づいて要求操舵力(要求操舵トルク)を取得し、その要求操舵力に相当する操舵力が操舵装置23から自車両100に付加されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0033】
車速検出装置39は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置39は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、車速検出装置39により自車両100の走行速度を自車速Vとして取得する。
【0034】
周辺情報検出装置40は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、画像センサ41及び電磁波センサ42を備えている。画像センサ41は、自車両100の周辺を撮像して画像情報を取得するセンサであり、本例においては、カメラセンサ411である。又、電磁波センサ42は、自車両100の周辺の物標に関する物標情報を取得するセンサであり、本例においては、ミリ波レーダ421である。
【0035】
カメラセンサ411及びミリ波レーダ421は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、カメラセンサ411により自車両100の周辺に関する画像情報を周辺検出情報ISとして取得するとともに、ミリ波レーダ421により自車両100の周辺の物標に関する物標情報を周辺検出情報ISとして取得する。
【0036】
車車間通信機50は、自車両100の周囲の他車両と無線通信を行う機器である。車車間通信機50は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、車車間通信機50により自車両100の周囲の他車両と無線通信を行う。
【0037】
報知装置60は、自車両100の運転者に対して種々の報知を行う装置である。本例において、報知装置60は、音響装置61及び表示装置62を備えている。
【0038】
音響装置61は、警報音又は音声を出力する装置であり、例えば、ブザー又はスピーカーである。音響装置61は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、各種警報音又は各種音声を音響装置61から出力することができる。
【0039】
表示装置62は、画像を表示する装置であり、例えば、ディスプレイである。表示装置62は、ECU90に電気的に接続されている。車両制御装置10は、各種画像を表示装置62により表示することができる。
【0040】
<車両制御装置の作動>
次に、車両制御装置10の作動について説明する。車両制御装置10は、自車両100が対向車200と衝突する可能性がないと判断される場面においては、自車両100が車線を逸脱するまでの時間が所定時間未満となった場合、注意喚起報知を実施するようになっている。
【0041】
ここでの注意喚起報知は、自車両100の運転者に自車両100が車線を逸脱する可能性があることについての注意を喚起するための報知である。車両制御装置10は、警報音又は注意喚起音声を音響装置61から出力すること、或いは、注意喚起画像を表示装置62により表示することにより、自車両100の運転者に対する注意喚起報知を行う。
【0042】
又、車両制御装置10は、注意喚起報知の実施後、自車両100が車線を逸脱した場合、自車両100を自動で操舵することにより自車両100を元の車線内に戻す自動操舵を実施するようになっている。従って、自動操舵は、自動運転の1つである。
【0043】
更に、車両制御装置10は、図2に示したルーチンを所定演算周期で実行することにより、自車両100が対向車200と衝突する可能性があると判断される場面において、所定の条件が成立したときに、注意喚起報知及び自動操舵を実施するようになっている。
【0044】
従って、所定のタイミングになると、車両制御装置10は、図2に示したルーチンのステップS200から処理を開始し、その処理をステップS205に進め、自車両100が走行中であるか否かを判定する。車両制御装置10は、自車速Vがゼロよりも大きい場合、自車両100が走行中であると判定する。
【0045】
車両制御装置10は、ステップS205にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS210に進め、衝突予測時間Tcolが第1閾値時間T1未満であるか否かを判定する。即ち、車両制御装置10は、衝突予測時間Tcolが第1閾値時間T1未満である場合、自車両100と対向車200とが衝突する可能性があるか否かを判定する。
【0046】
衝突予測時間Tcolは、自車両100が対向車200に衝突するまでに要するものと予測される時間である。例えば、図3の(A)及び図3の(B)に示した例において、衝突予測時間Tcolは、自車両100が対向車200と衝突すると予測される地点Pcolまでの距離Dcolを自車両100が走行するのに要する時間である。車両制御装置10は、自車走行予測経路R1及び対向車走行予測経路R2並びに自車速V及び対向車200の走行速度等に基づいて衝突予測時間Tcolを演算により取得する。又、車両制御装置10は、周辺検出情報ISに基づいて対向車200の走行速度を取得する。
【0047】
又、図3の(A)に示したように、自車走行予測経路R1は、自車両100が今後走行するものと予測される経路であり、対向車走行予測経路R2は、対向車200が今後走行するものと予測される経路である。車両制御装置10は、自車両100の舵角θ等から自車走行予測経路R1を取得し、周辺検出情報ISに基づいて対向車走行予測経路R2を取得する。
【0048】
尚、第1閾値時間T1は、自車両100と対向車200との衝突を回避するのに適切な時間として適宜設定される時間である。
【0049】
車両制御装置10は、ステップS210にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS215に進め、車線逸脱予測時間Tdepが第2閾値時間T2以上であるか否かを判定する。即ち、車両制御装置10は、自車両100が車線を逸脱してから対向車200に衝突するまでの時間が短いか否かを判定する。
【0050】
車線逸脱予測時間Tdepは、自車両100が車線を逸脱するまでに要するものと予測される時間である。例えば、図3の(A)及び図3の(B)に示した例において、車線逸脱予測時間Tdepは、自車両100が車線を逸脱すると予測される地点Pdepまでの距離Ddepを自車両100が走行するのに要する時間である。
【0051】
車両制御装置10は、自車走行予測経路R1、自車両100が走行している道路に設けられているセンターラインCLの位置及び自車速V等に基づいて車線逸脱予測時間Tdepを演算により取得する。車両制御装置10は、周辺検出情報ISに基づいてセンターラインCLの位置を取得する。
【0052】
尚、第2閾値時間T2は、適宜設定される時間であり、第1閾値時間T1よりも短い時間に設定される。
【0053】
車両制御装置10は、ステップS215にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS225に進め、注意喚起報知を実施する。尚、図3の(A)は、ステップS215にて「Yes」と判定される場面を示している。
【0054】
ここでの注意喚起報知は、自車両100の運転者及び対向車200の運転者に自車両100と対向車200とが衝突する可能性があることについての注意を喚起するための報知である。尚、注意喚起報知は、自車両100の運転者及び対向車200の運転者の何れか一方のみに注意を喚起するための報知であってもよい。
【0055】
車両制御装置10は、警報音又は注意喚起音声を音響装置61から出力すること、或いは、注意喚起画像を表示装置62により表示することにより、自車両100の運転者に対する注意喚起報知を行う。
【0056】
又、車両制御装置10は、車車間通信機50を介して注意喚起報知を行うことを要求する信号を対向車200に送信する。当該信号を受信した対向車200の車両制御装置は、警報音又は注意喚起音声を対向車200の音響装置から出力すること、或いは、注意喚起画像を対向車200の表示装置により表示することにより、対向車200の運転者に対する注意喚起報知を行う。
【0057】
一方、車両制御装置10は、ステップS215にて「No」と判定した場合、処理をステップS220に進め、車線逸脱予測時間Tdepが第3閾値時間T3未満となったか否かを判定する。即ち、車両制御装置10は、自車両100が車線を逸脱する直前の状態にあるか否かを判定する。
【0058】
尚、第3閾値時間T3は、適宜設定される時間であり、第2閾値時間T2よりも短い時間に設定される。
【0059】
車両制御装置10は、ステップS220にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS225に進め、上述したように、自車両100の運転者及び対向車200の運転者に対する注意喚起報知を実施する。尚、図3の(B)は、ステップS220にて「Yes」と判定される場面を示している。
【0060】
車両制御装置10は、ステップS225にて注意喚起報知を実施した後、処理をステップS230に進め、自動操舵条件Cstrが成立したか否かを判定する。本例において、自動操舵条件Cstrは、自車両100が車線から逸脱したとの条件である。
【0061】
車両制御装置10は、ステップS230にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS235に進め、自動操舵を実施する。先に述べたようい、自動操舵は、自車両100が元の車線内に戻るように自動で自車両100を操舵する処理である。次いで、車両制御装置10は、処理をステップS295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0062】
一方、車両制御装置10は、ステップS230にて「No」と判定した場合、処理をステップS245に進め、この時点で自動操舵を実施している場合、当該自動操舵を停止する。次いで、車両制御装置10は、処理をステップS295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0063】
又、車両制御装置10は、ステップS205、ステップS210又はステップS220にて「No」と判定した場合、処理をステップS240に進め、この時点で注意喚起報知を実施している場合、当該注意喚起報知を停止する。次いで、処理をステップS245に進め、この時点で自動操舵を実施している場合、当該自動操舵を停止する。次いで、車両制御装置10は、処理をステップS295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0064】
以上が車両制御装置10の作動である。
【0065】
自車両100が車線を逸脱して対向車200に衝突するものと予測される時間が一定時間まで短くなり、その結果、自車両100が車線を逸脱して対向車200に衝突する可能性があると判断される場面において、自車両100が車線を逸脱するまでの時間が比較的長く且つ自車両100が車線を逸脱してから対向車200に衝突するまでの時間が比較的長ければ、自車両100の運転者又は対向車200の運転者は、自車両100と対向車200との衝突を回避するための適切な運転操作を比較的容易に行うことができる。従って、こうした場面においては、自車両100の運転者又は対向車200の運転者に対する注意喚起報知の実施は、不要であると考えられる。
【0066】
一方、自車両100が車線を逸脱してから対向車200に衝突するまでの時間が短い場面においては、注意喚起報知を自車両100の運転者又は対向車200の運転者に対して実施することが好ましいものと考えられる。又、自車両100が車線を逸脱するまでの時間が短い場面においても、注意喚起報知を自車両100の運転者又は対向車200の運転者に対して実施することが好ましいものと考えられる。
【0067】
車両制御装置10によれば、衝突予測時間Tcolが第1閾値時間T1未満となり、且つ、そのときの車線逸脱予測時間Tdepが第2閾値時間T2以上である場合、注意喚起報知が実施される。即ち、自車両100と対向車200とが衝突するまでの時間が一定時間まで短くなったときに、自車両100が車線を逸脱してから対向車200に衝突するまでの時間が短い場合、注意喚起報知が実施される。これにより、適切な注意喚起報知を実施することができる。
【0068】
又、車両制御装置10によれば、衝突予測時間Tcolが第1閾値時間T1未満となったときに車線逸脱予測時間Tdepが第3閾値時間T3以上である場合には、その後、車線逸脱予測時間Tdepが第3閾値時間T3未満になると、注意喚起報知が実施される。即ち、自車両100と対向車200とが衝突するまでの時間が一定時間まで短くなったときに、自車両100が車線を逸脱するまでの時間が短い場合、注意喚起報知が実施される。これにより、適切な注意喚起報知を実施することができる。
【0069】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0070】
10…車両制御装置、40…周辺情報検出装置、41…画像センサ、411…カメラ、42…電磁波センサ、421…ミリ波レーダ、50…車車間通信機、60…報知装置、61…音響装置、62…表示装置、90…ECU、100…自車両、200…対向車

図1
図2
図3