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  • 特開-電池モジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091296
(43)【公開日】2025-06-18
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/557 20210101AFI20250611BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20250611BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20250611BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20250611BHJP
【FI】
H01M50/557
H01M50/211
H01M50/548 301
H01M50/50 201Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206484
(22)【出願日】2023-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇資
(72)【発明者】
【氏名】三村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】霜中 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】平田 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 正宜
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 良哉
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA02
5H040AS04
5H040AT04
5H040AY08
5H040DD01
5H040DD11
5H040DD21
5H040JJ02
5H040NN03
5H043AA05
5H043BA17
5H043CA08
5H043DA02
5H043DA08
5H043HA02D
5H043HA11D
5H043JA08D
(57)【要約】
【課題】モジュールケースへの複数個の電池セルの収容効率を向上させることができる電池モジュールを得る。
【解決手段】電池モジュール11は、正極と負極を構成する板状の電極体40をラミネートフィルム22で外装し、幅方向Wの一方と他方から電極リード26を突出させた複数個の電池セル20を備え、当該複数個の電池セル20を厚み方向Dに積層し、モジュールケース16に収容している。複数個の電池セル20の少なくとも一部は、電極リード26同士を接続する接続部70を介して一続きに接続され、当該接続部70の位置で蛇腹折りして積層されることにより、電気的に接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極を構成する板状の電極体をラミネートフィルムで外装し、幅方向の一方と他方から電極リードを突出させた複数個の電池セルを備え、当該複数個の電池セルを厚み方向に積層し、モジュールケースに収容した電池モジュールであって、
前記複数個の電池セルの少なくとも一部は、
前記電極リード同士を接続する接続部を介して一続きに接続され、当該接続部の位置で蛇腹折りして積層されることにより、電気的に接続されている、
電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、セル本体外周縁から互いに反対方向に伸延するシート状の正極端子および負極端子を有する複数の両タブ型セルを並列に配置し、前記端子伸延方向に各々配設されて前記各端子のうちの同一極端子同士を一対の略板状のバスバーによって接続したセルユニットを、極性の異なるバスバー同士が対向するように複数積層配設したセルモジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3912201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたセルモジュールでは、積層方向に対向する両タブ型セル同士の接続が、一対のバスバーと、一対のバスバー同士を連結する導電性柱状部材を介して行われる。このため、積層方向に対向する両タブ型セルの間に一対のバスバーと導電性柱状部材とを収容するスペースが必要となり、モジュールケース内における両タブ型セルの収容効率が低下する。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、モジュールケースへの複数個の電池セルの収容効率を向上させることができる電池モジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の電池モジュールは、正極と負極を構成する板状の電極体をラミネートフィルムで外装し、幅方向の一方と他方から電極リードを突出させた複数個の電池セルを備え、当該複数個の電池セルを厚み方向に積層し、モジュールケースに収容した電池モジュールであって、前記複数個の電池セルの少なくとも一部は、前記電極リード同士を接続する接続部を介して一続きに接続され、当該接続部の位置で蛇腹折りして積層されることにより、電気的に接続されている。
【0007】
第1の態様の電池モジュールは、正極と負極を構成する板状の電極体をラミネートフィルムで外装し、幅方向の一方と他方から電極リードを突出させた複数個の電池セルを備えている。また、電池モジュールでは、複数個の電池セルを厚み方向に積層し、モジュールケースに収容している。ここで、複数個の電池セルの少なくとも一部は、電極リード同士を接続する接続部を介して一続きに接続され、当該接続部の位置で蛇腹折りして積層されることにより、電気的に接続されている。このように、電極リード同士を直接接続することにより、電池セル間を電気的に接続するバスバーの数を減らし、小型化させることができる。これにより、モジュールケースへの複数個の電池セルの収容効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明に係る電池モジュールでは、モジュールケースへの複数個の電池セルの収容効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る電池セル20を厚み方向から見た概略図である。
図2】実施形態に係る電池セルの内部構造を説明するための模式図である。
図3】実施形態に係る電池モジュールの一部であって、二つの直列接続セル群同士の接続箇所を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図3を参照し、本発明の一実施形態について説明する。なお、図1図3の各図において、矢印Wで示される方向を電池セル20の幅方向とし、矢印Hで示される方向を電池セル20の高さ方向(上下方向)とし、矢印Dで示される方向を電池セル20の厚み方向とする。電池セル20の幅方向Wは、後述する電極シート50及びセパレータ60の幅方向と一致している。
【0011】
(電池セル)
図1は、単一の電池セルを厚み方向Dから見た概略図である。図1に示されるように、電池セル20は、幅方向Wを長手方向とする扁平かつ長尺な矩形板状に形成され、充電及び放電が可能な二次電池を構成している。
【0012】
電池セル20は、矩形板状の電極体40(図2参照)と、電極体40を外装(封止)するラミネートフィルム22を有している。電極体40は、幅方向Wの一方と他方の端部において、幅方向Wに突出する電極リード26に接続されている。電極リード26は、幅方向Wの一方で、電極体40の正極に接続される第1電極リード26Aと、幅方向Wの他方で、電極体40の負極に接続される第2電極リード26Bを有している。第1電極リード26A及び第2電極リード26Bは、幅方向Wを長手方向とする矩形板状に形成されている。ラミネートフィルム22は、厚み方向の少なくとも一方にエンボス加工が施されている。エンボス加工が施されることにより、側面に、電極体40が内部に収容される凹状の収容部221(図2参照)が形成される。
【0013】
図2は、電池セル20の内部構造を説明するための模式図であり、電池セル20を分解した状態で、高さ方向Hから見た状態を示している。図2に示されるように、ラミネートフィルム22は、電極体40の厚み方向D一方に配置される第1ラミネートフィルム22Aと電極体40の厚み方向D他方に配置される第2ラミネートフィルム22Bを有している。第1ラミネートフィルム22Aと第2ラミネートフィルム22Bは、電極体40の両側で厚み方向Dに重ねられ、外周部同士が熱溶着されることで電極体40の収容空間を形成している。本実施形態では、第2ラミネートフィルム22Bの一方にエンボス加工が施され、収容部221が形成されている。ラミネートフィルム22は、エンボス加工が1カ所であるシングルカップエンボス構造と、エンボス加工が2カ所であるダブルカップエンボス構造の両方を採用し得る。本実施形態では、第2ラミネートフィルム22Bの一方に絞り深さ8mm~10mm程度の収容部221が形成されたシングルカップエンボス構造が採用されている。
【0014】
電池セル20の幅方向Wの一方では、ラミネートフィルム22の端部から第1電極リード26Aの一端が幅方向Wに突出している。電池セル20の幅方向Wの他方では、ラミネートフィルム22の端部から第2電極リード26Bの一端が幅方向Wに突出している。
【0015】
上記電池セル20の車両幅方向の長さCW1は、例えば、530mm~600mm、600mm~700mm、700mm~800mm、800~900mm、1000mm以上であり、電極体が収容されている領域の長さCW2は、例えば、500mm~520mm、600mm~700mm、700mm~800mm、800~900mm、1000mm以上であり、電池セル20の高さCHは、例えば、80mm~110mm、110mm~140mmである。また、電池セル20の厚みは、5.0mm~7.0mm、7.0mm~9.0mm、9.0mm~11.0mmであり、電極リード(端子)26の高さTHは、40mm~50mm、50mm~60mm、60mm~70mmである。
【0016】
(電極体)
電極体40は、複数の電極シート50とセパレータ60とを交互に積層して構成されている。複数の電極シート50は、複数の正極シート52と、複数の負極シート54を有しており、電極体40では、正極シート52と負極シート54とが、セパレータ60を介して交互に積層されている。
【0017】
正極シート52は、例えば、アルミ箔で形成したシート状の正極集電体の両面に正極活物質を塗工したものである。正極活物質は、イオンの吸蔵及び放出が可能な物質であり、リチウムイオン二次電池であれば、例えば、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物(例えば、LiCoO2等)及びリチウムマンガン系酸化物(例えば、LiMn2O4)等で構成することができる。
【0018】
正極シート52の幅方向W一方の端部は、セパレータの幅方向一方の端部から突出する突出端部52Aとされている。この突出端部52Aは、正極活物質が塗工されておらず正極集電体が露出している。突出端部52Aは、他の正極シート52の突出端部52Aとともに電極体40の積層方向(図2では厚み方向D)の所定の位置に集成され、正極側の集電部を構成している。本実施形態では、複数の正極シート52の突出端部52Aが第1ラミネートフィルム22A側に集成され、正極側の集電部を構成し、当該集電部と第1ラミネートフィルム22Aとの間に第1電極リード26Aが配置される。これにより、第1電極リード26Aが電極体40の正極に接続されている。
【0019】
負極シート54は、例えば、銅箔で形成したシート状の負極集電体の両面に負極活物質を塗工したものである。負極活物質は、イオンの吸蔵及び放出が可能な物質であり、リチウムイオン二次電池であれば、例えば、炭素材料、フッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等)、ポリ酢酸ビニル等で構成することができる。
【0020】
セパレータ60は、正極シート52と負極シート54との間隔を保持して接触短絡の発生を防ぐ絶縁層であるとともに、非水電解液を保持する。セパレータ60は、例えば、多孔質の樹脂平板で構成されている。本実施形態では、電池セル20は、シート状に切り出された複数のセパレータ60を有し、正極シート52と負極シート54の間に一枚のセパレータ60が配置されている。
【0021】
負極シート54の幅方向W他方の端部は、セパレータの幅方向他方の端部から突出する突出端部54Aとされている。この突出端部54Aは、負極活物質が塗工されておらず負極集電体が露出している。突出端部54Aは、他の負極シート54の突出端部54Aとともに第1ラミネートフィルム22A側に集成され、負極側の集電部を構成している。本実施形態では、複数の負極シート54の突出端部54Aが第1ラミネートフィルム22A側に集成され、負極側の集電部を構成し、当該集電部と第1ラミネートフィルム22Aとの間に第2電極リード26Bが配置される。これにより、第2電極リード26Bが電極体40の負極に接続されている。
【0022】
(電池モジュール)
図3は、複数個の電池セル20で構成される電池モジュール11を模式的に示す平面図である。図3には、複数個の電池セル20で構成される二つの直列接続セル群20DC同士の接続箇所が示されている。
【0023】
図3に示されるように、電池モジュール11は、箱状の収容空間を形成するモジュールケース16に、複数個の電池セル20を厚み方向Dに積層して収容したものとなっている。複数個の電池セル20の少なくとも一部は、電気的に並列接続された二つの直列接続セル群20DCを有している。
【0024】
直列接続セル群20DCは、電極リード26同士を接続する接続部70を介して一続きに接続された複数個の電池セル20で構成される。直列接続セル群20DCは、一続きに接続された複数個の電池セル20を接続部70の位置で蛇腹折りして積層している。このため、直列接続セル群20DCでは、電極リード26同士の接続部70が、幅方向Wの一方と他方に交互に設けられている。直列接続セル群20DCを構成する電池セル20の数は特に限定されず、二つ以上であればよい。本実施形態の一例では、一続きに接続された三つの電池セル20で直列接続セル群20DCが構成されている。
【0025】
各接続部70は、電気的な極性が異なる電極リード同士を接続している。即ち、第1電極リード26Aと第2電極リード26Bとを接続している。従って、直列接続セル群20DCを構成する複数個の電池セル20は、接続部70を介して電気的に直列接続されている。接続部70は、例えば、スポット溶接などの溶接部となっている。
【0026】
二つの直列接続セル群20DCは、バスバー30を介して電気的に並列接続されている。モジュールケース16内では、電気的な極性が同一とする一対の電極リード26が、積層方向(厚み方向D)に対向している。一対の電極リード26は、二つの直列接続セル群20DCからそれぞれ突出し、電池セル20の側方に配置されたバスバー30に向かって引き出されている。
【0027】
バスバー30は、例えば、電池セル20の幅方向Wを板厚方向とする板状に形成されており、電池セル20の積層方向(厚み方向D)に沿って延在している。モジュールケース16内では、電池セル20の幅方向Wの一方側に、バスバー30が配置されている。一対の電極リード26は、バスバー30を板厚方向に貫通するスロット状の貫通孔32に挿入され、貫通孔32から突出した端部がバスバー30側に折り返された状態で、バスバー30の表面に溶接されている。本実施形態では、一対の第1電極リード26Aがバスバー30の表面に重ねられ、同時溶接により接合されている。これにより、二つの直列接続セル群が、バスバー30を介して電気的に並列接続される。
【0028】
(作用並びに効果)
以上説明したように、本実施形態に係る電池モジュール11は、正極と負極を構成する板状の電極体40をラミネートフィルム22で外装し、幅方向Wの一方と他方から電極リード26を突出させた複数個の電池セル20を備えている。また、電池モジュール11では、複数個の電池セル20を厚み方向に積層し、モジュールケース16に収容している。ここで、複数個の電池セル20の少なくとも一部は、電極リード26同士を接続する接続部70を介して一続きに接続され、当該接続部70の位置で蛇腹折りして積層されることにより、電気的に接続されている。このように、電極リード26同士を直接接続することにより、電池セル20間を電気的に接続するバスバー30の数を減らし、小型化させることができる。これにより、モジュールケース16への複数個の電池セル20の収容効率を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、モジュールケース16に収容された複数個の電池セル20の少なくとも一部は、複数個の電池セル20同士が接続部70を介して電気的に直列接続された二つの直列接続セル群20DCを構成している。そして、この二つの直列接続セル群20DCは、バスバー30を介して電気的に並列接続されている。このように、電気的に直列接続される電池セル20間で電極リード26同士を直接接続し、蛇腹折りして積層することにより、電気的に直接接続された電池セル群の確認が容易になり、バスバー30を介して並列接続した箇所との混同が生じない。このため、バスバー30の削減により電池セル20の収容効率を向上させることができるとともに、モジュールの組み立て作業性も良好にすることができる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、上記実施形態において、バスバー30を介して接続された電極リード26同士を接続部70と同様に、電極リード26同士の直接接続により接続してもよい。即ち、上記実施形態の構成から、バスバー30を省略してもよい。
また、上記実施形態では、電気的な極性が異なる電極リード同士が接続部70を介して電気的に接続される構成としたが、これに限らない。電気的な極性が同じ電極リード同士が接続部70を介して電気的に接続される構成としてもよい。即ち、複数個の電池セルが接続部70を介して一続きに接続され、接続セル群を構成する場合に、接続部70が、隣接する電池セル20同士を直接接続してもよいし、並列接続してもよい。これらは、電池モジュールの設計に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0031】
11 電池モジュール
16 モジュールケース
20 電池セル
20DC 直列接続セル群
22 ラミネートフィルム
26 電極リード
30 バスバー
40 電極体
70 接続部
W 幅方向
図1
図2
図3