(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091305
(43)【公開日】2025-06-18
(54)【発明の名称】レプチン産生亢進剤及び化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20250611BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20250611BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250611BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250611BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250611BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/185
A61P43/00 105
A61P17/00
A61Q19/00
A61K8/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206506
(22)【出願日】2023-12-06
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 悠
(72)【発明者】
【氏名】中谷 明弘
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB052
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD662
4C083BB46
4C083CC02
4C083EE12
4C083FF01
4C088AB66
4C088AC03
4C088BA08
4C088CA06
(57)【要約】
【課題】赤色光によるレプチン産生作用を亢進させるための技術を提供することを課題とする。
【解決手段】620nm~770nmの光照射下でレプチンの産生を亢進するための、ヤグルマソウエキスを含有するレプチン産生亢進剤により、赤色光によるレプチン産生作用を亢進させるための技術が提供される。また、平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子、所定量の紫外線散乱剤、所定量の紫外線吸収剤を含有する油性成分、及び水を含有する化粧料であって、粉体の総含有量が所定量である化粧料により、赤色光によるレプチン産生作用を亢進させるための技術が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
620nm~770nmの光照射下でレプチンの産生を亢進するための、ヤグルマソウエキスを含有するレプチン産生亢進剤。
【請求項2】
線維芽細胞におけるレプチンの産生を亢進する、請求項1に記載のレプチン産生亢進剤。
【請求項3】
皮膚外用剤である、請求項1又は2に記載のレプチン産生亢進剤。
【請求項4】
平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤を含有する油性成分、及び水を含有する、化粧料であって、
化粧料中の粉体の総含有量が8.50質量%以下であり、
化粧料中の紫外線散乱剤の含有量が0.50質量%以下であり、
化粧料中の紫外線吸収剤の含有量が8.00質量%以上である、化粧料。
【請求項5】
前記シリカ粒子の表面の少なくとも一部が疎水化処理されている、請求項4に記載の化粧料。
【請求項6】
前記化粧料中の前記シリカ粒子の含有量が0.50質量%~8.00質量%である、請求項4に記載の化粧料。
【請求項7】
さらにヤグルマソウエキスを含有する、請求項4に記載の化粧料。
【請求項8】
レプチン産生亢進用である、請求項4~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項9】
コラーゲン産生亢進用である、請求項4~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項10】
シワ及び/又はたるみの予防又は改善用である、請求項4~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤色光照射下でレプチンの産生を亢進させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光等に含まれる紫外線は、皮膚に対して皮膚老化等の悪影響を及ぼすことが既に遍く知られており、紫外線から皮膚を保護する対策も数々提案されている。
【0003】
一方、赤色光をはじめとする可視光線を視覚的に浴びると、血中のレプチン濃度が上昇することが報告されている(非特許文献1)。レプチンは、食欲抑制ホルモンとして知られており、睡眠時に分泌が高まる一方、睡眠不足になると睡眠時及び起床時ともに分泌が減少することが報告されている(非特許文献2)。レプチンは、脂肪細胞から産生されることが有名であるが、線維芽細胞からも産生され、オートクラインにより線維芽細胞におけるI型コラーゲンの産生や増殖を亢進することが報告されている(非特許文献3)。つまり、真皮に存在するレプチンを増加させることができれば、肌のハリ・弾力を向上させることができると期待される。
【0004】
一方、本発明の第一の態様で用いられるヤグルマソウ(別名:ヤグルマギク)エキスは、リンパ管腔形成及びリンパ管内皮細胞の増殖を促進することで、リンパ管を活性化し、むくみや光老化によるしわを改善し得ることが知られている(特許文献1)。
【0005】
また、皮膚に赤色光を照射すると皮膚のバリアー機能の回復が促進されること、及び皮膚に青色光を照射すると皮膚のバリアー機能の回復が抑制されることが知られている。この知見に基づき、紫外光を吸収して赤色光を発光する第一の材料として顔料Y2O2S:Eu、及び青色光をレイリー散乱する第二の材料として微粒子酸化亜鉛を併用することで、皮膚に照射される青色光に対する赤色光の比を増大させ、皮膚のバリアー機能の回復を促進させる技術が開発されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-060405号公報
【特許文献2】特開2009-209093号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Mariana G., Figueiro et al., International Journal of Endocrinology, 2012; 2012: 530726
【非特許文献2】Spiegel K et al., Nature Reviews Endocrinology, 2009 May; 5(5): 253-261
【非特許文献3】Li P et al., Zhongguo Xiu Fu Chong Jian Wai Ke Za Zhi, 2005 Jan;19(1):20-22.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、赤色光及びヤグルマソウエキスがレプチンの産生を相乗的に亢進することは知られていない。また、シリカ微粒子を含有する特定の処方の化粧料が、青色光をレイリー散乱させながら赤色光を透過させることは知られていない。そこで本発明は、赤色光によるレプチン産生作用を亢進させるための技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、赤色光が線維芽細胞におけるレプチンの産生を亢進する作用を有すること、及びヤグルマソウエキスが赤色光によるレプチン産生を相乗的に亢進する作用を有することを見出し、また、シリカ微粒子を含有する特定の処方の化粧料が、青色光の散乱及び赤色光の透過を両立させることを見出したことにより、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 620nm~770nmの光照射下でレプチンの産生を亢進するための、ヤグルマソウエキスを含有するレプチン産生亢進剤。
[2] 線維芽細胞におけるレプチンの産生を亢進する、[1]に記載のレプチン産生亢進剤。
[3] 皮膚外用剤である、[1]又は[2]に記載のレプチン産生亢進剤。
[4] 平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤を含有する油性成分、及び水を含有する、化粧料であって、
化粧料中の粉体の総含有量が8.50質量%以下であり、
化粧料中の紫外線散乱剤の含有量が0.50質量%以下であり、
化粧料中の紫外線吸収剤の含有量が8.00質量%以上である、化粧料。
[5] 前記シリカ粒子の表面の少なくとも一部が疎水化処理されている、[4]に記載の化粧料。
[6] 前記化粧料中の前記シリカ粒子の含有量が0.50質量%~8.00質量%である、[4]又は[5]に記載の化粧料。
[7] さらにヤグルマソウエキスを含有する、[4]~[6]のいずれかに記載の化粧料。
[8] レプチン産生亢進用である、[4]~[7]のいずれかに記載の化粧料。
[9] コラーゲン産生亢進用である、[4]~[8]のいずれかに記載の化粧料。
[10] シワ及び/又はたるみの予防又は改善用である、[4]~[9]のいずれかに記載の化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、赤色光によるレプチン産生亢進作用を向上させるための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ヤグルマソウエキスを添加又は非添加してインキュベートしたときの線維芽細胞におけるレプチン量を表すグラフ。レプチン量は、コントロールにおけるレプチン量を1としたときの相対量である。
【
図2】赤色光を照射及びヤグルマソウエキスを添加、赤色光を照射及びヤグルマソウエキスを非添加、又は赤色光を非照射及びヤグルマソウエキスを非添加してインキュベートしたときの線維芽細胞におけるレプチン量を表すグラフ。レプチン量は、コントロール1におけるレプチン量を1としたときの相対量である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明するが、各項目の態様は以下の説明に限定されるものではなく、また、複数の態様を任意に組み合わせた場合も本発明に含まれるものとする。
【0014】
本発明の各態様では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
第一の態様は、620nm~770nmの光照射下でレプチンの産生を亢進するための、ヤグルマソウエキスを含有するレプチン産生亢進剤である。
第二の態様は、平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤を含有する油性成分、及び水を含有する、化粧料であって、化粧料中の粉体の総含有量が8.50質量%以下であり、化粧料中の紫外線散乱剤の含有量が0.50質量%以下であり、化粧料中の紫外線吸収剤の含有量が8.00質量%以上である、化粧料である。
【0015】
<第一の態様>
以下、本発明の各態様について説明する。
第一の態様は、620nm~770nmの光照射下でレプチンの産生を亢進するための、ヤグルマソウエキスを含有するレプチン産生亢進剤(「本発明のレプチン産生亢進剤」とも称する)である。
【0016】
ヤグルマソウエキスは、キク科ヤグルマギク属ヤグルマギク(学名:Centaurea cyanus)の抽出物である。ヤグルマソウの別名として、ヤグルマギク、ケンタウレア、セントーレアなどがある。ヤグルマソウの原産地はヨーロッパであるが、日本国内においても自生又は栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。ヤグルマソウの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。ヤグルマソウの抽出原料として使用し得るヤグルマソウの構成部位としては、例えば、花部、蕾部、果実部、果皮部、種子部、種皮部、茎部、葉部、枝部、枝葉部等の地上部;根部、根茎部等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヤグルマソウの使用部位としては、地上部が好ましく、花部がより好ましい。
【0017】
上記抽出物は、抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物又は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとする。
また、抽出物としては、通常化粧料や医薬品等の皮膚外用剤や経口摂取組成物に用いられるものであればよく、植物体から常法により抽出されたものを用いることができる。
【0018】
抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される一種又は二種以上が好適に用いられる。
【0019】
具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位又はその乾燥物1質量部に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
【0020】
ヤグルマソウエキスは、赤色光によるレプチン産生を相乗的に亢進する作用を有する。すなわち、ヤグルマソウエキスは、赤色光照射下でレプチンの産生を亢進するための有効成分である。
【0021】
また、レプチンは、線維芽細胞におけるI型コラーゲンの産生や増殖を亢進することが報告されている(Li P et al., Zhongguo Xiu Fu Chong Jian Wai Ke Za Zhi, 2005 Jan;19(1):20-22.)。したがって、本発明のレプチン産生亢進剤は、コラーゲン産生亢進剤として用いることができ、コラーゲンの産生が亢進されることで、シワ及び/又はたるみの予防又は改善剤としても用いることができる。
【0022】
赤色光は、620nm~770nm、好ましくは620nm~660nmの波長を有する光である。照射される光は、赤色光を含んでいればよい。すなわち、前記光を分光した
ときに、肉眼にて赤色に見える光の波長をそのスペクトル中に含んでいればよい。そのため、例えば太陽光を照射する形態も「赤色光の照射」に該当する。本発明においては、上記の赤色光を適用するのであれば、他の波長の光の有無について何ら制限はない。
照射される光は、任意の投光手段による人工光であってもよいし、太陽光であってもよい。人工光の場合、光源の種類に特に制限はなく、例えば、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、HIDランプ、白熱電球、シリカランプ、ミニクリプトンランプであってもよい。また、人工光の場合、赤色LEDから発光される光であってもよい。例えば、625nmにピーク波長を有する赤色LEDから発光される光を適用することができる。
【0023】
赤色光は、特に制限されないが、例えば、35W/m2~55W/m2の条件で0.30J/cm2~1.50J/cm2の強度で照射されてもよく、0.50J/cm2~1.20J/cm2の強度で照射されてもよく、0.70J/cm2~1.00J/cm2の強度で照射されてもよい。
【0024】
赤色光は、本発明のレプチン産生亢進剤を投与した後に照射されてもよく、レプチン産生亢進剤を投与する前に照射されてもよく、レプチン産生亢進剤の投与と同時に照射されてもよい。
【0025】
なお、レプチン産生亢進作用は、赤色光照射下、かつレプチン産生亢進剤を添加した細胞におけるレプチンの産生量が、赤色光照射下、かつレプチン産生亢進剤を添加しなかった細胞、又は赤色光非照射下、かつレプチン産生亢進剤を添加した細胞における産生量よりも大きいこと、通常110%以上、好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上となることにより確認することができる。レプチンの産生量は、例えば、ELISA法等の公知の方法により測定することができる。
【0026】
本発明のレプチン産生亢進剤によりレプチンの産生が亢進される細胞は、本来、レプチンを産生する細胞であれば特に限定されないが、線維芽細胞が好ましい。
【0027】
本発明のレプチン産生亢進剤の投与経路は、経皮、経口、経鼻、静脈注射等、特に限定されないが、経皮投与されることが好ましい。なお、ここで「投与」は「摂取」と置換されてもよい。
本発明のレプチン産生亢進剤の投与量としては、特に限定されないが、所望の効果と安全性とを考慮して、ヤグルマソウエキスの総量として、固形物換算で0.3~300μg/日を1回又は数回に分けて摂取されることが好ましい。また、単回摂取する他に、連続的に又は断続的に数週間~数か月の間摂取することが好ましい。
【0028】
本発明のレプチン産生亢進剤は、皮膚外用剤であることが好ましく、化粧料(医薬部外品を含む)、医薬品等が好ましく挙げられ、化粧料がより好ましい。スキンケア化粧料、日焼け止め化粧料、メークアップ化粧料がより好ましく挙げられる。スキンケア化粧料としては、乳液、エッセンス、美容液等が好ましく挙げられる。日焼け止め化粧料としては、顔用、ボディ用など問わない。メークアップ化粧料としては、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、BBクリーム、CCクリーム、マスカラ、アイカラー、アイライナー、チーク、アイブロウカラー等が好ましく挙げられる。
【0029】
皮膚外用剤の剤型としては、例えば、ローション剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パウダー剤型等が挙げられ、特に限定されない。
【0030】
本発明の皮膚外用剤におけるヤグルマソウエキスの含有量は、皮膚外用剤全体に対して、固形物換算で0.00001~0.09質量%が好ましく、0.00005~0.03質量%がより好ましく、0.0001~0.003質量%がさらに好ましい。含有量を上記範囲とすることで所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。なお、上記含有量は、上述の投与経路や含有させる皮膚外用剤の態様に合わせて適宜調整することができる。
【0031】
本発明の皮膚外用剤の製造に際しては、化粧料、医薬部外品、医薬品などの製剤化で通常使用される成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。
【0032】
<第二の態様>
第二の態様は、平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤を含有する油性成分、及び水を含有する、化粧料であって、化粧料中の粉体の総含有量が8.50質量%以下であり、化粧料中の紫外線散乱剤の含有量が0.50質量%以下であり、化粧料中の紫外線吸収剤の含有量が8.00質量%以上である、化粧料(「本発明の化粧料」とも称する)である。
本発明の化粧料によれば、皮膚上で化粧膜が白色不透明とならず化粧膜の透明性を維持することができるため、赤色光を透過させることができる。同時に、化粧膜において青色光をレイリー散乱させることができる。したがって、太陽光や人工光に含まれる可視光の中から、選択的に赤色光を透過させつつ青色光を散乱させることができる。そして、赤色光の透過率の向上によりレプチンの産生を亢進させるとともに、青色光の反射により肌の透明感を向上させることができる。本発明の化粧料により、野外での活動や室内での生活を通して光を余すことなく活用した、レプチン産生の亢進、ひいてはエイジングケアと、肌の透明感の向上との両立が可能となり得る。
【0033】
本発明の化粧料は、シリカ粒子を含有する。シリカは無水ケイ酸ともいう。シリカ粒子は、化粧膜の透明性を維持しつつ、その粒子のサイズをナノサイズとすることができる。シリカ粒子の平均粒子径は、10nm~100nmであり、好ましくは10nm~50nmであり、より好ましくは10nm~30nmであり、さらにより好ましくは10nm~20nmである。上記範囲であれば、青色光(波長が400nm~500nmの光)の波長よりも小さいサイズであるため、青色光をレイリー散乱することができ、かつ、赤色光の透過率を向上させることができる。
【0034】
なお、本発明の化粧料において「平均粒子径」とは、具体的には、一次粒子の体積平均粒子径を意味するものとし、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を取得して、それを画像解析することによって算出することができる。
また、シリカ粒子の二次粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは50nm~250nmであり、より好ましくは100nm~200nmである。二次粒子の平均粒子径は、二次粒子の体積平均粒子径を意味し、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を取得して、それを画像解析することによって算出することができる。
【0035】
本発明の化粧料における平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子は、球状、半球状、針状、板状等の形状や、多孔質、無孔質、中空等の粒子構造等により特に限定されない。また、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成される、いわゆる乾式シリカ粒子、及び水ガラス等から製造される、いわゆる湿式シリカ粒子のいずれを用いてもよい。本発明における平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子は、1種又は2種以上を使用することができる。好ましいシリカ粒子としては、煙霧状シリカ(フュームドシリカともいう)等の乾式シリカが挙げられる。乾式シリカ粒子としては、例えばAerosilシリーズ(日本アエロジル株式会社)、CAB-O-SILシリーズ(キャボットコーポレーション)、HDKシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン株式会社)、湿式シリカ粉末としては、例えばNipsilシリーズ(東ソー・シリカ株式会社)、HI-SILシリーズ(PPG)等の市販品を用いることができる。
【0036】
本発明の化粧料における、平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子の表面の少なくとも一部は、疎水化処理されていることが好ましい。かかる疎水化シリカ粒子は、シリカ粒子と疎水化処理剤を反応させ、該粉体の表面に存在する水酸基に疎水基を共有結合によって付加したり、また、シリカ粒子の表面に疎水化処理剤を物理的に付着させることで被覆したりすることによって調製することができる。疎水化処理により、シリカ粒子は両親媒性の性質が得られる。
【0037】
疎水化処理は、有機ケイ素化合物、シリコーン、炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級アルコール、ポリオキシアルキレン化合物等の疎水化処理剤で金属酸化物粉体を処理する方法が挙げられる。
特に好ましくは、有機ケイ素化合物を疎水化処理剤としてシリカ粒子を処理する。
【0038】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、パルミチルシラン等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上の混合物で用いられる。
【0039】
本発明の化粧料の好ましい実施の形態では、特に好ましくはトリメチルシランによってシリカ粒子を処理し、表面にトリメチルシリル基が付加された部分的疎水化シリカを用いる。
【0040】
本発明の化粧料中の、平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子の含有量は、好ましくは0.50質量%~8.00質量%であり、より好ましくは0.70質量%~7.00質量%であり、さらに好ましくは0.80質量%~6.00質量%であり、さらにより好ましくは0.90質量%~5.50質量%である。
【0041】
本発明の化粧料は、紫外線散乱剤を含有する。紫外線散乱剤としては、特に制限されないが、例えば、紫外線を散乱する働きのある微粒子金属酸化物等であり、酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられる。
本発明の化粧料における紫外線散乱剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0042】
微粒子金属酸化物とは、当該技術分野において微粒子と称される粒子径を有するものであり、例えば、電子顕微鏡観察による一次粒子径が、通常5nm~100nm、好ましくは10nm~80nmのものである。
【0043】
本発明で用いる紫外線散乱剤は、該当する金属の塩を気相中で熱分解する等の常法によ
り調製することが可能であるが、市販品を用いることもできる。
【0044】
紫外線散乱剤は、その表面の少なくとも一部が、シリカ、アルミナ等の無機化合物、又はステアリン酸、イソステアリン酸、アルギン酸ナトリウム等の界面活性剤、シリコーン油等のシリコーン化合物等の有機化合物により被覆されていてもよい。
【0045】
本発明の化粧料中の紫外線散乱剤の含有量は、0.50質量%以下であり、好ましくは0.20質量%以下であり、より好ましくは0.15質量%以下であり、さらに好ましくは0.10質量%以下である。一般的に、紫外線散乱剤を含有させると化粧膜が白色不透明となる傾向にあるところ、紫外線散乱剤の含有量を0.50質量%以下とすることで、透明な化粧膜を形成しやすくなるため、赤色光を含む可視光の透過量が増加し、赤色光によるレプチンの産生が亢進する。また、本発明の化粧料中の紫外線散乱剤の含有量は、好ましくは0.00質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。
【0046】
本発明の化粧料は、紫外線吸収剤を含有する油性成分を含有する。紫外線吸収剤は、紫外線を防御する役割を担うとともに、粉体を化粧膜中に分散させる役割を担う。紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、例えば、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、ウロカニン酸系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。具体的には、パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシハイドロケイ皮酸ジエタノ-ルアミン塩、ジパラメトキシケイ皮酸-モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸ブチル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸アミル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等の安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノ-ルアミン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸カリウム等のサリチル酸系紫外線吸収剤、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-メトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-ヒドロキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、メンチル-O-アミノベンゾエ-ト、2-フェニル-ベンズイミダゾ-ル-5-硫酸、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾ-ル、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレ-ト、2-エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレ-ト、2-(2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、アントラニル酸メンチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤;ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、市販品を用いることもできる。
紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0047】
本発明の化粧料中の紫外線吸収剤の含有量は8.00質量%以上であり、好ましくは10.00質量%以上であり、より好ましくは12.00質量%以上である。紫外線散乱剤の含有量を0.50質量%以下とする一方で紫外線吸収剤の含有量を8.00質量%以上とすることで、化粧膜の透明性を維持しつつ、十分な紫外線防御効果を得ることができる。また、本発明の化粧料中の紫外線吸収剤の含有量は、好ましくは30.00質量%以下であり、より好ましくは25.00質量%以下であり、さらに好ましくは20.00質量%以下である。
【0048】
本発明の化粧料は、紫外線吸収剤以外の油性成分を含有してもよい。油性成分は、粉体を化粧膜中に分散させる役割を担う。
本発明における紫外線吸収剤以外の油性成分としては、特に制限されないが、例えば、炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン油、植物油、及び動物油等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。
【0049】
炭化水素としては、例えば、スクワラン、スクワレン、ミネラルオイル、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、ドデカン、テトラデカン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、水添ポリイソパラフィン、リモネン、テレビン油、ワセリン等が挙げられる。
【0050】
高級アルコールとしては、例えば、
ヤシ油アルコール、カプリルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、バチルアルコール等の炭素数8以上24以下の直鎖又は分岐鎖のアルコール;
コレステロール、フィトステロール等のステロールが挙げられる。
【0051】
高級脂肪酸としては、炭素数8以上24以下のもの、例えば、ヤシ油脂肪酸、イソステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オキシステアリン酸、パルミトレイン酸、リシノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0052】
エステル類としては、例えば、
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチルなどの直鎖脂肪酸と低級アルコールのエステル;
ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ステアリン酸ステアリルなどの直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;
ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシルなどの直鎖脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;
イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピルなどの分枝脂肪酸と低級アルコールとのエステル;
エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸ヘキシルなどの分枝脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;
ジカプリル酸PG、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル;
ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルなどの分枝脂肪酸と分枝アルコールとのエステル;
乳酸ラウリル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのヒド
ロキシカルボン酸とアルコールとのエステル;
アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルなどの2塩基酸のエステルなどのエステル油;
ホホバ脂、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、セラック、ラノリン、ミツロウ、モンタンロウ、鯨ロウ、オレンジラフィー油、サトウキビロウ、パームロウ、虫白ロウ、羊毛脂などのロウエステル等が挙げられる。
【0053】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0054】
植物油としては、杏仁油(アンズ核油)、椿油、アルガン油、大豆油、オリーブ油、ひまし油、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、ごま油、えごま油、ホホバ油(ホホバ種子油)、綿実油、なたね油、アマニ油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、精油、アボカド油、アルモンド油、コメヌカ油、サフラワー油、トウモロコシ油、グレープシード油、ヤシ油、アルガニアスピサノ核油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、ククイナッツ油、クランベアビシニカ種子油、アサ種子油、落花生油、サザンカ油、月見草油、ピスタチオ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、カカオ脂、シアバター、モクロウなどの植物性油脂等が挙げられる。
【0055】
動物油としては、エミュー油、馬油、牛脂、豚脂、羊脂、ミンク油、卵黄脂肪油、コイ脂、マグロ脂、メンヘーデン脂などの動物性油脂等が挙げられる。
【0056】
本発明の化粧料中の油性成分の含有量(紫外線吸収剤の含有量を含む)は、特に制限されないが、好ましくは10.00質量%~40.00質量%、より好ましくは15.00質量%~35.00質量%、さらに好ましくは20.00質量%~30.00質量%である。
【0057】
本発明の化粧料は、水を含有する。
本発明の化粧料中の水の含有量は、特に制限されないが、好ましくは40.00質量%~90.00質量%、より好ましくは45.00質量%~85.000質量%、さらに好ましくは50.00質量%~80.00質量%、さらにより好ましくは55.00質量%~70.00質量%である。
【0058】
本発明の化粧料は、さらにヤグルマソウエキスを含有することが好ましい。ヤグルマソウエキスは、赤色光によるレプチン産生を相乗的に亢進する作用を有する。ヤグルマソウエキスに関する説明は、第一の態様における記載を援用する。
【0059】
本発明の化粧料中のヤグルマソウエキスの含有量は、特に制限されないが、固形物換算で、好ましくは0.0001質量%~1.00質量%、より好ましくは0.001質量%~0.70質量%、さらに好ましくは0.01質量%~0.50質量%であり、さらにより好ましくは0.10質量%~0.30質量%である。
【0060】
本発明の化粧料は、さらに皮膜剤を含有していてもよい。皮膜剤としては、特に制限されないが、シリコーン化プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、ジメチルアミノメタクリレート4級化塩、ビニルピロリドン・メタクリル酸-N,N-ジメチル-エチルアンチニオエチル塩共重合体、シリコーン/ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリルアルキル)コポリマー、デキストリン、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エチル、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルア
ミド)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸プロピルトリメチコン)コポリマー、ポリ酢酸ビニル、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー、ポリエーテルグラフトアクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、フロロ変成シリコーンレジン等が挙げられる。
【0061】
本発明の化粧料中の皮膜剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、0.20質量%~3.00質量%、又は0.50質量%~2.50質量%とすることができる。
【0062】
本発明の化粧料は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;等が挙げられる。
【0063】
本発明の化粧料中の界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、0.10~5.00質量%、0.30質量%~3.00質量%、又は0.50質量%~1.00質量%とすることができる。
【0064】
本発明の化粧料は、さらに増粘剤を含有していてもよい。増粘剤としては、特に制限されないが、例えば、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0065】
本発明の化粧料中の増粘剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、0.01~3.00質量%、0.05質量%~1.00質量%、又は0.10質量%~0.50質量%とすることができる。
【0066】
本発明の化粧料は、さらに平均粒子径が0.5μm以上である酸化チタンを含有してもよい。このような酸化チタンは、近赤外線を散乱する機能に優れ、本発明の化粧料において近赤外線防御効果を付与する。酸化チタンの平均粒子径は、より好ましくは0.8μm~2.0μm、さらに好ましくは1.0μm~1.5μmである。
【0067】
本発明における平均粒子径が0.5μm以上である酸化チタンは、その表面の少なくとも一部がシリカ、アルミナ等の無機化合物、又はステアリン酸、イソステアリン酸、アルギン酸ナトリウム等の界面活性剤、シリコーン油等のシリコーン化合物等の有機化合物により、表面処理(被覆処理)されていることが好ましい。表面処理を行う場合、公知の表面処理手法にて行うことができる。
【0068】
本発明における平均粒子径が0.5μm以上である酸化チタンは、上記特定の平均粒子径を有するものであれば、その他については特に限定されない。このような酸化チタンとしては、市販品であってもよい。あるいは、市販の酸化チタンに、公知の方法で表面処理した酸化チタン等を用いることができる。なお、酸化チタンは、化粧料に、粒径等の異なる1種のみ配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本発明の化粧料中の平均粒子径が0.5μm以上である酸化チタンの含有量は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
【0069】
本発明の化粧料中の粉体の総含有量は、8.50質量%以下であり、好ましくは8.00質量%以下であり、より好ましくは7.50質量%以下である。粉体の総含有量が8.50質量%以下であることで、粉体による可視光の反射を抑制することができるため、化粧膜における赤色光の透過量が増加し、赤色光によりレプチンの産生を亢進させることができる。また、本発明の化粧料中の粉体の総含有量は、好ましくは1.00質量%以上であり、好ましくは1.50質量%以上であり、より好ましくは2.00質量%以上であり、さらに好ましくは2.50質量%以上である。
なお、本発明における「粉体」とは、上述の平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子及び紫外線散乱剤、並びに任意に化粧料に含有される平均粒子径が0.5μm以上である酸化チタン及びその他の粉体を含む。
【0070】
本発明における「任意に化粧料に含有されるその他の粉体」としては、特に制限されないが、例えば、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイ
ト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、平均粒子径が10nm~100nmであるシリカ粒子以外のシリカ、アルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等);金属石鹸(
例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム);無
機白色顔料(例えば、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッド雲母、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等);有機変性粘土鉱物(例えば、有機変性ヘクトライト等)等が挙げられる。
また、その形状は、特に限定されないが、一般に化粧料に用いられる球状、半球状、針状、板状が挙げられ、また多孔質、無孔質、中空等の粒子構造等により特に限定されない。
また、その粒子径は、一般に化粧料に用いられる程度であればよい。
本発明における「任意に化粧料に含有されるその他の粉体」は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0071】
本発明の化粧料は、化粧膜の透明性を維持することで赤色光を透過させつつ青色光をレイリー散乱させることができるため、赤色光の透過率を向上させ、ひいてはレプチンの産生を亢進させるとともに、青色光の反射により肌の透明感を向上させることができる。したがって、本発明の化粧料は、レプチン産生亢進用であることが好ましい。
【0072】
本発明の化粧料によりレプチンの産生が亢進される細胞は、本来、レプチンを産生する細胞であれば特に限定されないが、線維芽細胞が好ましい。
【0073】
また、レプチンは、線維芽細胞におけるI型コラーゲンの産生や増殖を亢進することが報告されている(Li P et al., Zhongguo Xiu Fu Chong Jian Wai Ke Za Zhi, 2005 Jan;19(1):20-22.)。したがって、本発明の化粧料は、コラーゲン産生亢進用として用いることができ、コラーゲンの産生が亢進されることで、シワ及び/又はたるみの予防又は改善用としても用いることができる。
【0074】
本発明の化粧料は、医薬部外品の態様も含む。本発明の化粧料の態様としては、スキンケア化粧料、日焼け止め化粧料、メークアップ化粧料がより好ましく挙げられる。スキンケア化粧料としては、乳液、エッセンス、美容液等が好ましく挙げられる。日焼け止め化粧料としては、顔用、ボディ用など問わない。メークアップ化粧料としては、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、BBクリーム、CCクリーム、マスカラ、アイカラー、アイライナー、チーク、アイブロウカラー等が好ましく挙げられる。
【0075】
化粧料の剤型としては、例えば、ローション剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パウダー剤型等が挙げられ、特に限定されない。
【0076】
本発明の化粧料は、定法にしたがって製造することができる。
【0077】
本発明の化粧料は、前述した成分以外に、通常の化粧料で使用される成分を本発明の効果を損なわない限りにおいて任意に含有することができる。
【0078】
かかる成分としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;グリチルリチン酸
誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、アラントイン等の消炎剤;レチノール、アスコルビン酸、トコフェロール、又はファルネシル酢酸エステル等のシワ改善剤;各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等);ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等の賦活剤;ノニル酸ワレニルアミド、カプサイシン、ジンゲロン、タンニン酸等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;チオタウリン、ヒポタウリン等の抗炎症剤;コラーゲン、ヒアルロン酸等の水溶性高分子;などが挙げられる。
【0079】
その他、本発明の化粧料には、各種有効成分、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤・酸化防止助剤等も任意に配合することができる。
【0080】
有効成分としては、美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられる。
美白成分としては、4-n-ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3-О-エチルアスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、5,5'-ジプロピルビフェニル-2,2'-ジオール、5'-アデニル酸二ナト
リウム、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ハイドロキノン等が挙げられる。
【0081】
シワ改善成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム、ニコチン酸アミド、ビタミンA又はその誘導体(レチノール、レチナール、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、ウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステルが挙げられる。
【0082】
抗炎症成分としては、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール等が挙げられ、好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩である。
【0083】
動植物由来の抽出物としては、一般的に医薬品、化粧料、食品等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、インドキノエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マヨナラエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
【0084】
保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0085】
pH調製剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
抗菌剤としては、1,3-ブチレングリコールやパラオキシ安息香酸エステルなどの合成系の他、カプリリルグリコール、カプリル酸グリセリル、エチルヘキシルグリセリン、カプリルヒドロキサム酸等の天然抗菌物質も好ましく挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【実施例0086】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0087】
<参考例1>
以下の手順で、ヤグルマソウエキスを調製した。
乾燥したヤグルマソウ(キク科ヤグルマギク属ヤグルマギク)の頭花を細切りにし、5
倍量の50%の1,3-ブチレングリコール水溶液を加えて抽出した。
【0088】
<試験例1>線維芽細胞におけるヤグルマソウエキスのレプチン産生量への影響の検討
-150℃で保管していた正常ヒト真皮線維芽細胞(NHDF)(クラボウ社, Lot No. 05884, 新生児, Asian/Caucasian)を起眠し、37℃・5%CO2環境下で5日間培養した。NHDFを回収し、Dulbecco's Modified Eagle's Medium-high glucose (DMEM)培地(GIBCO, カタログ番号11965-092)を用いて希釈したものを、24ウェルプレートに4.0×104cells/ウェルとなるように500 μL/ウェルずつ播種し、37℃・5%CO2環境下で一晩培養した。
【0089】
培養後、24ウェルプレートの培地を除去し、等量の0.2%ヤグルマソウエキス含有1%
ウシ胎児血清(FBS)/DMEM培地を添加し、37℃・5%CO2環境下で48時間培養した。なお、コントロールとして、0.2%1,3-ブチレングリコール含有1% FBS/DMEM培地を添加した。
【0090】
培養後、培養上清を回収し、Human Leptin ELISA Kit (Abcam社, ab179884)を用いて、付属のプロトコルに従い、ELISA法にて培養上清中のレプチン量を測定した。
また、Cell Counting Kit-8 (DOJINDO社, 341-07621)を用いて細胞数を測定し、単位細胞当たりのレプチン産生量を算出した。
【0091】
結果を
図1に示す。
図1に示す通り、コントロールと比較して、ヤグルマソウエキス単独によるレプチン量の有意な増加は示されなかった。
【0092】
<試験例2>線維芽細胞におけるヤグルマソウエキス及び赤色光のレプチン産生量への影響の検討
-150℃で保管していた正常ヒト真皮線維芽細胞(NHDF)(クラボウ社, Lot No. 05884, 新生児, Asian/Caucasian)を起眠し、37℃・5%CO2環境下で5日間培養した。NHDFを回収し、Dulbecco's Modified Eagle's Medium-high glucose (DMEM)培地(GIBCO, カタログ番号11965-092)を用いて希釈したものを、24ウェルプレートに4.0×104cells/ウェルとなるように500μL/ウェルずつ播種し、37℃・5%CO2環境下で一晩培養した。
【0093】
培養後、24ウェルプレートの培地を除去し、PBS(-)で洗浄後、新たなPBS(-)を300μ
L/ウェル添加し、625nmにピーク波長を有する赤色LEDから発光される光を45
W/m2、0.88 J/cm2の条件で照射した。なお、コントロール1としては、前記照
射を行わず、コントロール2においては前記照射を行った。
【0094】
前記照射後、24ウェルプレートのPBS(-)を除去し、等量の0.2%ヤグルマソウエキス含有1% ウシ胎児血清(FBS)/DMEM培地を添加し、37℃・5%CO2環境下で48時間培
養した。なお、コントロール1及び2として、0.2%1,3-ブチレングリコール含有1% FBS/DMEM培地を添加した。
【0095】
培養後、培養上清を回収し、Human Leptin ELISA Kit (Abcam社, ab179884)を用いて、付属のプロトコルに従い、ELISA法にて培養上清中のレプチン量を測定した。
また、Cell Counting Kit-8 (DOJINDO社, 341-07621)を用いて細胞数を測定し、単位細胞当たりのレプチン産生量を算出した。
【0096】
結果を
図2に示す。
図2に示す通り、赤色光照射及びヤグルマソウエキスの添加を行わなかったコントロール1と、赤色光の照射を行ったがヤグルマソウエキスの添加を行わなかったコントロール2とを比較すると、コントロール2においてレプチン量が増加した。このことから、赤色光はレプチン産生亢進作用を有することが示された。
また、コントロール1及び2と比較して、赤色光照射及びヤグルマソウエキスの添加を行った場合にレプチン量が顕著に増加した。
図1及び2の結果から、ヤグルマソウエキスは、赤色光によるレプチン産生を相乗的に亢進することが示された。
【0097】
<試験例3>赤色光の透過と青色光のレイリー散乱の両立の評価
下記表に示す処方にしたがって、実施例及び比較例の化粧料を作製した。なお、表中、
「BG、水、及びヤグルマソウエキスの混合物」は、参考例1で調製したヤグルマソウエキスを指す。
【0098】
化粧料の赤色光の透過率及び青色光のレイリー散乱率を、以下のように測定及び評価した。
<青色光のレイリー散乱率の測定及び評価>
ガラス基板に2 milのドクターブレードを用いて化粧料を塗布し、薄膜を作製した。10分間乾燥させた後、紫外可視分光光度計/積分球を用いて400nm~500nmの波長領域における平均の反射率を測定した。評価基準としては、平均の反射率が30%以上の場合を〇、30%未満の場合を×とした。
<赤色光の透過率の測定及び評価>
ガラス基板に2 milのドクターブレードを用いて化粧料を塗布し、薄膜を作製した。10分間乾燥させた後、紫外可視分光光度計を用いて620nm~660nmの波長領域における平均の透過率を測定した。評価基準としては、平均の透過率が30%以上の場合を〇、30%未満の場合を×とした。
【0099】
評価結果を下記表に示す。
【0100】
本発明の第一の態様のレプチン産生亢進剤は、優れたレプチン産生亢進作用を有するため、化粧料等の一成分として、好適に利用し得る。また、本発明の第二の態様の化粧料は、優れたレプチン産生亢進作用及び青色光散乱作用を有するため、化粧料として好適に利用し得る。また、本発明の第二の態様の化粧料は、コラーゲン産生亢進用や、シワ及び/又はたるみの予防又は改善用としても利用し得る。