(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009143
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】燃料供給システムおよび船舶
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20250110BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
F02M21/02 G
F02M21/02 Z
B63H21/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111940
(22)【出願日】2023-07-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発/水素燃料船の開発」委託研究の研究成果に係る産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲尾 進士
(72)【発明者】
【氏名】水谷 好生
(72)【発明者】
【氏名】三好 崇公
(57)【要約】
【課題】余剰の臨界圧力以上の液化水素の減圧によって生じた水素ガスを再液化してポンプに吸入させることができる燃料供給システムを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る燃料供給システム1Aは、液化水素を貯留するタンク2と、タンク2から液化水素を導出する燃料供給ライン3を含む。燃料供給ライン3には、第1ポンプ4A、撹拌装置5および第2ポンプ4Bが設けられている。第2ポンプ4Bは、前記液化水素を昇圧して臨界圧力以上とする。また、燃料供給システム1Aは、第2ポンプ4Bの下流側で燃料供給ライン3から分岐して撹拌装置5につながる、減圧弁71が設けられた還流ライン7を含む。撹拌装置5は、減圧弁71による減圧によって生じた水素ガスを燃料供給ライン3を流れる液化水素と撹拌することで前記水素ガスを凝縮する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界水素を燃料として内燃機関へ供給する燃料供給システムであって、
液化水素を貯留するタンクと、
前記タンクから液化水素を導出する燃料供給ラインと、
前記燃料供給ラインに設けられた第1ポンプと、
前記第1ポンプよりも下流側で前記燃料供給ラインに設けられた撹拌装置と、
前記撹拌装置よりも下流側で前記燃料供給ラインに設けられた、前記液化水素を昇圧して臨界圧力以上とする第2ポンプと、
前記第2ポンプの下流側で前記燃料供給ラインから分岐して前記撹拌装置につながる、減圧弁が設けられた還流ラインと、を備え、
前記撹拌装置は、前記減圧弁による減圧によって生じた水素ガスを前記燃料供給ラインを流れる液化水素と撹拌することで前記水素ガスを凝縮する、燃料供給システム。
【請求項2】
前記減圧弁よりも下流側で前記還流ラインに設けられた気液分離器と、
前記気液分離器と前記タンクとを接続する送液ラインと、
をさらに備える、請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記第1ポンプ、前記第2ポンプおよび前記撹拌装置は前記タンク外に配置される、請求項1または2に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
前記撹拌装置は前記タンク内に配置され、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプは前記タンク外に配置される、請求項1または2に記載の燃料供給システム。
【請求項5】
前記撹拌装置および前記第1ポンプは前記タンク内に配置され、前記第2ポンプは前記タンク外に配置される、請求項1または2に記載の燃料供給システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の燃料供給システムを備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内燃機関用の燃料供給システム、および前記燃料供給システムを含む船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば船舶などに搭載される、レシプロエンジンやガスタービンエンジンなどの内燃機関用の燃料供給システムが知られている。例えば、特許文献1には、ディーゼルエンジン用の燃料供給システムが開示されている。この燃料供給システムは、液化ガスを強制的に気化し、その気化ガスを燃料としてディーゼルエンジンへ供給する。
【0003】
具体的に、特許文献1の燃料供給システムでは、燃料供給ラインを通じてタンクから液化ガスが導出される。燃料供給ラインには、気化ガスがディーゼルエンジンの要求圧力よりも高い圧力となるように液化ガスを昇圧するポンプが設けられているとともに、ポンプよりも下流側に気化器が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には液化ガスが液化水素であってもよいことが記載されている。液化ガスが液化水素である場合、ポンプによって液化水素がディーゼルエンジンの要求圧力よりも高い圧力となるように昇圧されたときに液化水素が臨界圧力以上となる。なお、ディーゼルエンジン以外の内燃機関へ燃料を供給する場合も、ポンプによって液化水素が内燃機関の要求圧力よりも高い圧力となるように昇圧されたときに液化水素が臨界圧力以上となる。
【0006】
ポンプからは、臨界温度未満の液化水素か、臨界温度以上の超臨界水素が吐出される。いずれの場合も、気化器は加熱器の役割を果たす。特に、ポンプから臨界温度未満の液化水素が吐出される場合、気化器による加熱によって液化水素が超臨界水素となる。
【0007】
内燃機関での単位時間当たりの超臨界水素の使用量がポンプの吐出流量よりも少ない場合、ポンプから臨界圧力以上の液化水素を吐出させるとともに、余剰の臨界圧力以上の液化水素を減圧して再びポンプに吸入させることが望まれる。しかし、臨界圧力以上の液化水素を減圧すると液化水素の多くが水素ガスとなるため、減圧によって生じた水素ガスを凝縮することが望ましい。
【0008】
そこで、本開示は、余剰の臨界圧力以上の液化水素の減圧によって生じた水素ガスを再液化してポンプに吸入させることができる燃料供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、一つの側面から、超臨界水素を燃料として内燃機関へ供給する燃料供給システムであって、液化水素を貯留するタンクと、前記タンクから液化水素を導出する燃料供給ラインと、前記燃料供給ラインに設けられた第1ポンプと、前記第1ポンプよりも下流側で前記燃料供給ラインに設けられた撹拌装置と、前記撹拌装置よりも下流側で前記燃料供給ラインに設けられた、前記液化水素を昇圧して臨界圧力以上とする第2ポンプと、前記第2ポンプの下流側で前記燃料供給ラインから分岐して前記撹拌装置につながる、減圧弁が設けられた還流ラインと、を備え、前記撹拌装置は、前記減圧弁による減圧によって生じた水素ガスを前記燃料供給ラインを流れる液化水素と撹拌することで前記水素ガスを凝縮する、燃料供給システムを提供する。
【0010】
本開示は、別の側面から、上記の燃料供給システムを備える船舶を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、余剰の臨界圧力以上の液化水素の減圧によって生じた水素ガスを再液化してポンプに吸入させることができる燃料供給システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る再液化装置の概略構成図である。
【
図3】別の変形例の再液化装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、一実施形態に係る燃料供給システム1Aを示す。燃料供給システム1Aは、超臨界水素を燃料として内燃機関へ供給するものである。例えば、燃料供給システム1Aは船舶に搭載されてもよいし、陸上の発電設備に組み込まれてもよい。内燃機関は、例えば、レシプロエンジンまたはガスタービンエンジンである。レシプロエンジンは、オットーサイクル、ディーゼルサイクルおよびサバテサイクルのいずれであってもよい。
【0014】
具体的に、燃料供給システム1Aは、液化水素を貯留するタンク2と、タンク2から液化水素を導出する燃料供給ライン3を含む。タンク2内では液化水素の蒸発によってボイルオフガス(BOG)が発生する。
【0015】
本実施形態では、タンク2が、内槽21と外槽22を含む二重殻タンクである。内槽21と外槽22の間には真空層が形成される。ただし、タンク2は、断熱材で覆われた一重殻タンクであってもよい。また、本実施形態では、タンク2が横向き円筒状である。ただし、タンク2は縦向き円筒状であってもよい。あるいは、タンク2は、球状であってもよいし、略直方体状であってもよい。
【0016】
燃料供給ライン3には、上流側から順に、第1ポンプ4A、撹拌装置5、第2ポンプ4Bおよび加熱器6が設けられている。本実施形態では、第1ポンプ4Aが燃料供給ライン3の上流端よりも下流側で燃料供給ライン3に設けられている。また、本実施形態では、第1ポンプ4Aがタンク2外に配置されるとともに、真空断熱ポッド11内に配置されている。真空断熱ポッド11は、内壁と外壁の間に真空層が形成されたものである。
【0017】
タンク2の内槽21と第1ポンプ4Aとは導出路31によって接続されている。真空断熱ポッド11の内部は液化水素または水素ガスで満たされる。導出路31におけるタンク2の外槽22内に位置する部分は一重管で構成され、外槽22と真空断熱ポッド11の内壁または外壁の間の部分は真空断熱二重管で構成され、真空断熱ポッド11の内壁または外壁内に位置する部分は一重管で構成される。
【0018】
ただし、タンク2の内槽21と真空断熱ポッド11とが導出路31によって接続され、真空断熱ポッド11の内部が導出路31を通じてタンク2の内槽21から導出される液化水素で満たされ、第1ポンプ4Aが真空断熱ポッド11内の液化水素を吸入してもよい。この場合、導出路31および真空断熱ポッド11の内部が燃料供給ライン3の上流部を構成する。
【0019】
第1ポンプ4Aは、導出路31を通じてタンク2内の液化水素を吸入する。第1ポンプ4Aと撹拌装置5とは第1吐出路32によって接続され、撹拌装置5と第2ポンプ4Bとは吸入路33によって接続されている。また、第2ポンプ4Bと加熱器6とは第2吐出路34によって接続され、加熱器6からは供給路35が延びている。供給路35には、内燃機関へ燃料を供給するか否かを切り換える遮断弁が設けられる。
【0020】
本実施形態では、撹拌装置5および第2ポンプ4Bがタンク2外に配置されるとともに、撹拌装置5が真空断熱ポッド12内に配置されている。真空断熱ポッド12は、内壁と外壁の間に真空層が形成されたものである。例えば、真空断熱ポッド12の内部は液化水素または水素ガスで満たされる。なお、真空断熱ポッド12の内部は真空に保たれてもよく、この場合、真空断熱ポッド12の内壁は無くてもよい。また、撹拌装置5を真空断熱ポッド12内に配置する代わりに、撹拌装置5の表面を真空断熱構造で覆ってもよい。
【0021】
第1吐出路32における真空断熱ポッド11の内壁または外壁内に位置する部分は一重管で構成され、真空断熱ポッド11の内壁または外壁と真空断熱ポッド12の内壁または外壁との間の部分は真空断熱二重管で構成され、真空断熱ポッド12の内壁または外壁内に位置する部分は一重管で構成される。吸入路33における真空断熱ポッド12の内壁または外壁内に位置する部分は一重管で構成され、真空断熱ポッド12の内壁または外壁外に位置する部分は真空断熱二重管で構成される。第2吐出路34は一重管と真空断熱二重管のどちらで構成されてもよい。供給路35は一重管で構成される。ただし、燃料供給システム1Aが船舶に搭載される場合、供給路35における機関室内に位置する部分は二重管で構成されてもよい。
【0022】
第1ポンプ4Aは、液化水素をタンク2から撹拌装置5を介して第2ポンプ4Bへ送り込む。第2ポンプ4Bは、液化水素を内燃機関の要求圧力よりも高い圧力となるように昇圧して臨界圧力以上とする。本実施形態では、第2ポンプ4Bの出口温度が臨界温度未満であり、第2ポンプ4Bから臨界圧力以上の液化水素が吐出される。例えば、内燃機関がディーゼルサイクルのレシプロエンジンである場合、第2ポンプ4Bの出口における液化水素の圧力は25MPaG以上35MPaG以下であり、第2ポンプ4Bの出口における液化水素の温度は20K以上である。
【0023】
加熱器6は、液化水素を内燃機関の要求温度よりも高い温度となるように加熱する。加熱器6による加熱によって液化水素が超臨界水素となる。例えば、内燃機関がディーゼルサイクルのレシプロエンジンである場合、加熱器6の出口における超臨界水素の温度は273K以上333K以下である。
【0024】
また、燃料供給システム1Aは、第2ポンプ4Bの下流側かつ加熱器6の上流側で燃料供給ライン3から分岐して撹拌装置5につながる還流ライン7を含む。還流ライン7における真空断熱ポッド12の内壁または外壁外に位置する部分は真空断熱二重管で構成され、真空断熱ポッド12の内壁または外壁内に位置する部分は一重管で構成される。
【0025】
還流ライン7には、上流側から順に、減圧弁71および気液分離器72が設けられている。臨界圧力以上の液化水素は減圧弁71で減圧されることによって、水素ガス100%となるか、気液二相流体となる。液化水素が減圧されることによって気液二相流体となる場合、気液分離器72で水素ガスと液化水素とが分離され、それらが気液分離器72から流出する。
【0026】
気液分離器72は送液ライン73によりタンク2と接続されている。気液分離器72で分離された液化水素は、送液ライン73を通じてタンク2へ戻される。
【0027】
送液ライン73の下流部はタンク2を外部から内部へ貫通している。図例では、送液ライン73の下流端がタンク2の内槽21の底近くで開口しているが、送液ライン73の下流端はタンク2内の液面よりも上方で液化水素をスプレイ噴射可能に構成されてもよい。送液ライン73におけるタンク2の外槽22外に位置する部分は真空断熱二重管で構成され、外槽22内に位置する部分は一重管で構成される。
【0028】
撹拌装置5は、気液分離器72から流出する水素ガスを燃料供給ライン3を流れる液化水素と撹拌することで、水素ガスを凝縮する。なお、撹拌装置5を真空断熱ポッド12内に配置する代わりに、撹拌装置5の表面を真空断熱構造で覆ってもよい。
【0029】
本実施形態では、燃料供給ライン3の吸入路33から返送ライン8が分岐しており、返送ライン8はタンク2へつながっている。返送ライン8の下流部はタンク2を外部から内部へ貫通している。図例では、返送ライン8の下流端がタンク2の内槽21の底近くで開口しているが、返送ライン8の下流端はタンク2内の液面よりも上方で液化水素をスプレイ噴射可能に構成されてもよい。返送ライン8におけるタンク2の外槽22外に位置する部分は真空断熱二重管で構成され、外槽22内に位置する部分は一重管で構成される。
【0030】
返送ライン8には流量制御弁81が設けられている。流量制御弁81ならびに上述した第1ポンプ4A、第2ポンプ4Bおよび減圧弁71は、制御装置9により制御される。なお、
図1では、図面の簡略化のために一部の信号線の作図を省略する。
【0031】
制御装置9に関し、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0032】
制御装置9は、燃料供給ライン3の吸入路33に設けられた圧力計91および第2吐出路34に設けられた圧力計92と電気的に接続されている。圧力計91は、第2ポンプ4Bに吸入される液化水素の圧力P1を検出する。圧力計92は、第2ポンプ4Bから吐出される臨界圧力以上の液化水素の圧力P2を検出する。ただし、圧力計92は、燃料供給ライン3の供給路35に設けられて、加熱器6から流出する超臨界水素の圧力を検出してもよい。
【0033】
制御装置9は、圧力計91で検出される圧力P1が所定値α以上となるように第1ポンプ4Aの回転数を制御するとともに、圧力計92で検出される圧力P2が所定値β以上となるように第2ポンプ4Bの回転数を制御する。第2ポンプ4Bの入口圧力の目標値である所定値αは、還流ライン7から送られてくる水素ガスを凝縮できる圧力(飽和圧力以上)である。
【0034】
また、制御装置9は、第1ポンプ4Aの吐出流量が所定の最小流量未満とならないように流量制御弁81を制御する。流量制御弁81は全閉となることが望ましい。ただし、流量制御弁81が全閉の状態では第1ポンプ4Aの吐出流量が所定の最小流量未満となる場合には流量制御弁81を開き、これにより吸入路33を返送ライン8を通じてタンク2と連通させることによって、第1ポンプ4Aの吐出流量が所定の最小流量以上になるように制御する。
【0035】
さらに、制御装置9は、圧力計92で検出される圧力P2に基づいて減圧弁71の開度を制御する。より詳しくは、制御装置9は、圧力計92で検出される圧力P2が閾値γよりも小さい場合、減圧弁71を全閉とする。一方、圧力計92で検出される圧力P2が閾値γよりも大きい場合、制御装置9は、圧力P2と閾値γの偏差ΔPに応じた開度となるように減圧弁71を開く。これにより、余剰の臨界圧力以上の液化水素が減圧弁71で減圧されることによって水素ガスが生じ、前記水素ガスが撹拌装置5へ供給されて凝縮される。
【0036】
以上説明した構成の燃料供給システム1Aでは、余剰の臨界圧力以上の液化水素が減圧弁71で減圧されることによって生じる水素ガスが第2ポンプ4Bの上流側の撹拌装置5で凝縮される。従って、余剰の臨界圧力以上の液化水素の減圧によって生じた水素ガスを再液化して第2ポンプ4Bに吸入させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、第1ポンプ4A、第2ポンプ4Bおよび撹拌装置5がタンク2外に配置されているので、第1ポンプ4A、第2ポンプ4Bおよび撹拌装置5を容易にメンテナンスすることができる。
【0038】
<変形例>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、還流ライン7には気液分離器72が設けられず、送液ライン73が省略されてもよい。ただし、前記実施形態のような構成であれば、気液分離器72で分離された液化水素をタンク2へ戻すことができる。また、還流ライン7に気液分離器72が設けられるか否かに拘わらず、返送ライン8が省略されてもよい。
【0040】
図2に示す変形例の燃料供給システム1Bのように、撹拌装置5がタンク2内に配置され、第1ポンプ4Aおよび第2ポンプ4Bがタンク2外に配置されてもよい。この構成によれば、燃料供給システム1Bをコンパクト化することができる。
【0041】
また、
図3に示す別の変形例の燃料供給システム1Cのように、第1ポンプ4Aおよび撹拌装置5がタンク2内に配置され、第2ポンプ4Bがタンク2外に配置されてもよい。なお、本変形例では、第1ポンプ4Aが燃料供給ライン3の上流端で燃料供給ライン3に設けられている。この構成によれば、燃料供給システム1Cを顕著にコンパクト化することができる。
【0042】
図3では、燃料供給ライン3の第1吐出路32がタンク2の内部から外部へ貫通した後に外部から内部へ貫通しているが、第1吐出路32の全体がタンク2内に配置されてもよい。
【0043】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、一つの側面から、超臨界水素を燃料として内燃機関へ供給する燃料供給システムであって、液化水素を貯留するタンクと、前記タンクから液化水素を導出する燃料供給ラインと、前記燃料供給ラインに設けられた第1ポンプと、前記第1ポンプよりも下流側で前記燃料供給ラインに設けられた撹拌装置と、前記撹拌装置よりも下流側で前記燃料供給ラインに設けられた、前記液化水素を昇圧して臨界圧力以上とする第2ポンプと、前記第2ポンプの下流側で前記燃料供給ラインから分岐して前記撹拌装置につながる、減圧弁が設けられた還流ラインと、を備え、前記撹拌装置は、前記減圧弁による減圧によって生じた水素ガスを前記燃料供給ラインを流れる液化水素と撹拌することで前記水素ガスを凝縮する、燃料供給システムを提供する。
【0044】
上記の構成によれば、余剰の臨界圧力以上の液化水素が減圧弁で減圧されることによって生じる水素ガスが第2ポンプの上流側の撹拌装置で凝縮される。従って、余剰の臨界圧力以上の液化水素の減圧によって生じた水素ガスを再液化して第2ポンプに吸入させることができる。
【0045】
第2の態様として、第1の態様において、上記の燃料供給システムは、前記減圧弁よりも下流側で前記還流ラインに設けられた気液分離器と、前記気液分離器と前記タンクとを接続する送液ラインと、をさらに備えてもよい。この構成によれば、気液分離器で分離された液化水素をタンクへ戻すことができる。
【0046】
第3の態様として、第1または第2の態様において、前記第1ポンプ、前記第2ポンプおよび前記撹拌装置は前記タンク外に配置されてもよい。この構成によれば、第1ポンプ、第2ポンプおよび撹拌装置を容易にメンテナンスすることができる。
【0047】
第4の態様として、第1または第2の態様において、前記撹拌装置は前記タンク内に配置され、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプは前記タンク外に配置されてもよい。この構成によれば、燃料供給システムをコンパクト化することができる。
【0048】
第5の態様として、第1または第2の態様において、前記撹拌装置および前記第1ポンプは前記タンク内に配置され、前記第2ポンプは前記タンク外に配置されてもよい。この構成によれば、燃料供給システムを顕著にコンパクト化することができる。
【0049】
第6の態様として、本開示は、別の側面から、第1乃至第5の態様の何れかの燃料供給システムを備える船舶を提供する。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B,1C 燃料供給システム
2 タンク
3 燃料供給ライン
4A 第1ポンプ
4B 第2ポンプ
5 撹拌装置
7 還流ライン
71 減圧弁
72 気液分離器
73 送液ライン
8 返送ライン
81 流量制御弁