IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立造船株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱利用システム及び熱供給方法 図1
  • 特開-熱利用システム及び熱供給方法 図2
  • 特開-熱利用システム及び熱供給方法 図3
  • 特開-熱利用システム及び熱供給方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009146
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】熱利用システム及び熱供給方法
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/00 20060101AFI20250110BHJP
   F23G 5/46 20060101ALI20250110BHJP
   F23J 15/08 20060101ALI20250110BHJP
   F23J 15/06 20060101ALI20250110BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20250110BHJP
   F28D 21/00 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
F23L15/00 A
F23G5/46 A
F23J15/08
F23J15/06
F23J15/00 J
F28D21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111946
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】カナデビア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田谷 直広
(72)【発明者】
【氏名】平野 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】坂元 真理子
(72)【発明者】
【氏名】切畑 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】四宮 博之
【テーマコード(参考)】
3K023
3K065
3K070
【Fターム(参考)】
3K023QA02
3K023QA11
3K023QB03
3K023QB05
3K065AB01
3K065BA03
3K065JA05
3K065JA12
3K065JA17
3K070DA09
3K070DA48
3K070DA49
3K070DA50
3K070DA52
(57)【要約】
【課題】メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備及び焼却設備のうちの他方で有効利用する。
【解決手段】熱利用システムは、水素及び二酸化炭素からメタンを生成するメタネーション設備と、焼却炉を有する焼却設備と、メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備及び焼却設備のうちの他方に供給する熱供給部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素及び二酸化炭素からメタンを生成するメタネーション設備と、
焼却炉を有する焼却設備と、
前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの一方で発生する熱を前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの他方に供給する熱供給部と、
を備える熱利用システム。
【請求項2】
前記メタネーション設備は、前記水素と前記二酸化炭素とを反応させて前記メタンを生成する反応器と、前記反応器内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ラインとを有し、
前記熱供給部は、前記熱媒循環ラインを流れる前記熱媒と前記焼却炉に供給する燃焼空気との間で熱交換を行う熱交換器である、
請求項1に記載の熱利用システム。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記焼却炉に供給する前記燃焼空気を予熱する予熱器に設けられる、
請求項2に記載の熱利用システム。
【請求項4】
前記メタネーション設備は、前記水素と前記二酸化炭素とを反応させて前記メタンを生成する反応器と、前記反応器内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ラインとを有し、
前記熱供給部は、前記熱媒循環ラインを流れる前記熱媒と前記焼却炉から排出される排ガスとの間で熱交換を行う熱交換器である、
請求項1に記載の熱利用システム。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記焼却炉から排出される前記排ガスを加熱する排ガス加熱器に設けられる、
請求項4に記載の熱利用システム。
【請求項6】
前記メタネーション設備は、前記水素と前記二酸化炭素とを反応させて前記メタンを生成する反応器と、前記反応器内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ラインとを有し、
前記熱供給部は、前記熱媒循環ラインを流れる前記熱媒と前記焼却設備が有するボイラで発生した蒸気との間で熱交換を行う熱交換器である、
請求項1に記載の熱利用システム。
【請求項7】
前記焼却設備は、前記焼却炉から排出される排ガスから前記二酸化炭素を回収する回収器を有し、
前記回収器により回収された前記二酸化炭素が前記水素と共に前記反応器に供給される、
請求項2から6の何れか一項に記載の熱利用システム。
【請求項8】
水素及び二酸化炭素からメタンを生成するメタネーション設備と、
焼却炉を有する焼却設備と、
を備える熱利用システムの熱供給方法であって、
前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの一方で発生する熱を前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの他方に供給する、
熱供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱利用システム及び熱供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の焼却設備における二酸化炭素の排出量削減への取り組みは、プラスチック等の化石燃料由来のごみの分別及びリサイクルや、ごみの焼却に伴い発生する熱を利用した発電を行うことで進められてきた。近年の脱炭素化の流れの中で焼却設備の脱炭素化も望まれるようになり、ごみの焼却で発生した排ガス中の二酸化炭素の分離、回収及び有効利用が求められる。二酸化炭素と水素とを反応させ、メタンガスを生成させるメタネーションは、二酸化炭素の有効利用に関する技術の一つとして注目されている。特許文献1には、二酸化炭素と水素とから触媒反応を使用してメタンを製造するメタン製造方法及びメタン製造設備が開示されている。特許文献1では、触媒反応により生じる反応熱を使用して、冷却水から蒸気を生成し、この生成した蒸気を、二酸化炭素を分離させるための熱エネルギーとして使用している。特許文献2には、メタネーション設備とごみ発電装置を併設するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-63206号公報
【特許文献2】特開2020-45430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メタネーション設備で発生する熱を焼却設備で有効利用することや、焼却設備で発生する熱をメタネーション設備で有効利用することについては、従来、充分に検討されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備及び焼却設備のうちの他方で有効利用することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明は、水素及び二酸化炭素からメタンを生成するメタネーション設備と、焼却炉を有する焼却設備と、前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの一方で発生する熱を前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの他方に供給する熱供給部と、を備える熱利用システムである。上記熱利用システムによれば、メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱が、メタネーション設備及び焼却設備のうちの他方に供給される。これにより、メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備及び焼却設備のうちの他方で有効利用することが可能となる。
【0007】
上記熱利用システムにおいて、前記メタネーション設備は、前記水素と前記二酸化炭素とを反応させて前記メタンを生成する反応器と、前記反応器内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ラインとを有し、前記熱供給部は、前記熱媒循環ラインを流れる前記熱媒と前記焼却炉に供給する燃焼空気との間で熱交換を行う熱交換器であってもよい。水素と二酸化炭素とを反応させてメタンを生成する反応は、発熱反応である。熱媒循環ラインを流れる熱媒が反応器内の温度を調整することで、熱媒循環ラインを流れる熱媒の
温度が上昇する。熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却炉に供給する燃焼空気との間で熱交換を行うことで、加熱された燃焼空気が焼却炉に供給される。熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却炉に供給する燃焼空気との間で熱交換を行い、メタネーション設備で発生する熱を焼却設備に供給することで、メタネーション設備で発生する熱を焼却設備で有効利用することが可能となる。
【0008】
上記熱利用システムにおいて、前記熱交換器は、前記焼却炉に供給する前記燃焼空気を予熱する予熱器に設けられてもよい。例えば、蒸気によって燃焼空気を予熱する場合、予熱器ではボイラで発生した蒸気の一部が消費されることになる。上記熱利用システムでは、予熱器に設けられた熱交換器が、熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却炉に供給する燃焼空気との間で熱交換を行うため、予熱器における蒸気の消費量を削減することができ、これにより、発電に利用するための蒸気の供給量を増加させることが可能となる。
【0009】
上記熱利用システムにおいて、前記メタネーション設備は、前記水素と前記二酸化炭素とを反応させて前記メタンを生成する反応器と、前記反応器内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ラインとを有し、前記熱供給部は、前記熱媒循環ラインを流れる前記熱媒と前記焼却炉から排出される排ガスとの間で熱交換を行う熱交換器であってもよい。水素と二酸化炭素とを反応させてメタンを生成する反応は、発熱反応である。熱媒循環ラインを流れる熱媒が反応器内の温度を調整することで、熱媒循環ラインを流れる熱媒の温度が上昇する。熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却炉から排出される排ガスとの間で熱交換を行うことで、焼却炉から排出される排ガスが加熱される。熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却炉から排出される排ガスとの間で熱交換を行い、メタネーション設備で発生する熱を焼却設備に供給することで、メタネーション設備で発生する熱を焼却設備で有効利用することが可能となる。
【0010】
上記熱利用システムにおいて、前記熱交換器は、前記焼却炉から排出される前記排ガスを加熱する排ガス加熱器に設けられてもよい。例えば、蒸気によって排ガスを加熱する場合、排ガス加熱器ではボイラで発生した蒸気の一部が消費されることになる。上記熱利用システムでは、排ガス加熱器に設けられた熱交換器が、熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却炉から排出される排ガスとの間で熱交換を行うため、排ガス加熱器における蒸気の消費量を削減することができ、これにより、発電に利用するための蒸気の供給量を増加させることが可能となる。
【0011】
上記熱利用システムにおいて、前記メタネーション設備は、前記水素と前記二酸化炭素とを反応させて前記メタンを生成する反応器と、前記反応器内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ラインとを有し、前記熱供給部は、前記熱媒循環ラインを流れる前記熱媒と前記焼却設備が有するボイラで発生した蒸気との間で熱交換を行う熱交換器であってもよい。例えば、メタネーション設備の始動時、反応器内の温度を上昇させるために、熱媒を加熱する。熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却設備が有するボイラで発生した蒸気との間で熱交換を行うことで、熱媒循環ラインを流れる熱媒が加熱される。熱媒循環ラインを流れる熱媒と焼却設備が有するボイラで発生した蒸気との間で熱交換を行い、焼却設備で発生する熱をメタネーション設備に供給することで、焼却設備で発生する熱をメタネーション設備で有効利用することが可能となる。
【0012】
上記熱利用システムにおいて、前記焼却設備は、前記焼却炉から排出される排ガスから前記二酸化炭素を回収する回収器を有し、前記回収器により回収された前記二酸化炭素が前記水素と共に前記反応器に供給されてもよい。これにより、焼却設備における二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0013】
また、本発明は、水素及び二酸化炭素からメタンを生成するメタネーション設備と、焼
却炉を有する焼却設備と、を備える熱利用システムの熱供給方法であって、前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの一方で発生する熱を前記メタネーション設備及び前記焼却設備のうちの他方に供給する、熱供給方法であってもよい。上記熱供給方法によれば、メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱が、メタネーション設備及び焼却設備のうちの他方に供給される。これにより、メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備及び焼却設備のうちの他方で有効利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
メタネーション設備及び焼却設備のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備及び焼却設備のうちの他方で有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る熱利用システムの構成図である。
図2図2は、メタネーション設備の構成図である。
図3図3は、第2実施形態に係る熱利用システムの構成図である。
図4図4は、第3実施形態に係る熱利用システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0017】
<第1実施形態>
図1及び図2を参照して、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る熱利用システムの構成図である。図1に示す熱利用システムは、メタネーション設備1と、焼却設備2と、メタネーション設備1及び焼却設備2のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備1及び焼却設備2のうちの他方に供給する熱交換器3と、を備える。熱交換器3は、熱供給部の一例である。図1に示す例では、熱交換器3は、予熱器10に設けられている。メタネーション設備1は、例えば、原料ガス(反応ガス)である気体状態の水素(H)と二酸化炭素(CO)の発熱反応によって、製品ガスであるメタンガスと、水とを生成させる。上記の発熱反応を化学反応式で表すと下記の通りである。
4H+CO→CH+2HO・・・(1)
【0018】
焼却設備2は、焼却炉11と、集塵装置12と、送風機13と、排ガス処理装置14と、回収器15と、排ガス加熱器16と、誘引通風機17と、煙突18とを備える。焼却炉11、集塵装置12、送風機13、排ガス処理装置14、回収器15、排ガス加熱器16、誘引通風機17及び煙突18は、焼却設備2の煙道によって接続されている。予熱器10は、焼却炉11に供給する燃焼空気を予熱する。例えば、焼却炉11に燃焼空気を供給するための空気供給ライン(空気供給管)に予熱器10を配置してもよい。燃焼空気は、一次空気又は二次空気である。燃焼空気は、外気であってもよいし、焼却炉11のごみピット内の空気であってもよい。焼却炉11のごみピットは、ごみ収集車が搬入するごみを一時的に貯留するごみ貯留部である。また、燃焼空気は、燃焼に支障のない範囲で酸素と窒素の比率を変えたものであってもよいし、二酸化炭素のような他のガス成分を加えたものであってもよい。図1では、予熱器10を焼却設備2の外部に配置している例を示すが、この例に限定されず、予熱器10は、焼却設備2の内部に配置してもよい。焼却炉11において焼却されるごみの水分が多い場合、ごみの完全燃焼を行うために燃焼空気を予熱することが好ましい。例えば、燃焼空気を最大約200℃まで昇温して、焼却炉11に供給する。また回収器15は焼却設備2の外部に配置してもよいし、排ガスの一部だけを回収器15に供給してもよい。
【0019】
焼却炉11では、ごみ等の廃棄物の燃焼が行われる。焼却炉11は、ボイラ19を有する。焼却炉11における廃棄物の焼却で発生した排ガスは、ボイラ19での熱交換に供された後、バグフィルタを用いた集塵装置12に送られる。集塵装置12は、排ガスから塵や埃等のダストを除去する。ダストが除去された排ガスの一部が、排ガス処理装置14に送られる。排ガス処理装置14は、例えば、湿式の排気処理装置(スクラバー)である。また、焼却炉11の燃焼制御のため、集塵装置12から排出された排ガスの一部が、送風機13によって焼却炉11に送られる。焼却炉11に排ガスの一部を戻すことで、焼却炉11が局所的に高温になることを抑止することができる。排ガス処理装置14に送られた排ガスは、排ガス処理装置14で冷却されると共に、排ガス中のHClやSOx等の不純物が除去される。排ガス処理装置14は、排ガスを回収器15に送る。
【0020】
回収器15は、吸収塔20及び再生塔21を有する。吸収塔20では、排ガスに含まれる二酸化炭素がアミン化合物の水溶液(以下、アミン液と表記する。)に吸収される。回収器15は、排ガスを排ガス加熱器16に送る。排ガス加熱器16により排ガスが加熱されることで、排ガスが流れる煙道の結露及び排ガスの白煙化が抑止される。排ガス加熱器16により排ガスが加熱された後、触媒脱硝装置により排ガスが脱硝処理され、誘引通風機17に排ガスが送られる。誘引通風機17は、排ガスを、煙突18を介して系外(例えば大気)に排出する。吸収塔20において二酸化炭素を吸収したアミン液が再生塔21で昇温され、アミン液から二酸化炭素が離脱する。アミン液から離脱した二酸化炭素は、水素と混合され、二酸化炭素及び水素を含む原料ガスがメタネーション設備1に供給される。二酸化炭素を回収する方式として、温度スイング吸着法等のアミン式以外の方式を採用してもよい。メタネーション設備1に供給される水素は、特に限定されない。水素を貯留する水素タンクからメタネーション設備1に水素が供給されてもよい。この場合、水素タンクに接続された水素導管を介してメタネーション設備1に水素が供給されてもよい。また、再生可能エネルギーの余剰電力による水電解によって生成された水素をメタネーション設備1に供給してもよい。排ガスの一部を焼却炉11に送らなくてもよい。また触媒脱硝装置は排ガス処理装置14に含まれてもよい。
【0021】
図1では、集塵装置12から排出された排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られる例を示しているが、この例に限定されない。排ガス処理装置14から排出される排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られてもよい。また、排ガス加熱器16から排出された排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られてもよい。
【0022】
図2は、メタネーション設備1の構成図である。メタネーション設備1は、一段目の反応器(反応塔)101と、一段目のガス冷却用熱交換器102と、二段目の反応器(反応塔)103と、二段目のガス冷却用熱交換器104と、ヒーター105と、熱媒用熱交換器106と、気液分離器107、108と、貯留タンク109と、を備える。
【0023】
水素及び二酸化炭素を含む原料ガスが反応器101に供給される。反応器101は、水素と二酸化炭素とを反応させてメタンを生成する。また、反応器101は、水素と二酸化炭素との発熱反応によって生成水を生成する。反応器101とガス冷却用熱交換器102とが接続されている。反応器101とガス冷却用熱交換器102とを接続する経路には、配管やバルブなどが設けられている。反応器101に供給される原料ガスの供給経路にエコノマイザー111が設けられている。エコノマイザー111において、反応器101へ供給する原料ガスと、反応器101から送出される送出ガスとの間で熱交換が行われる。送出ガスは、製品ガス、未反応の原料ガス、又は、製品ガスと未反応の原料ガスとの混合ガスである。
【0024】
ガス冷却用熱交換器102は、反応器101において生成された生成水(水蒸気)を凝
縮する。ガス冷却用熱交換器102と気液分離器107とが接続されている。ガス冷却用熱交換器102と気液分離器107とを接続する経路には、配管やバルブなどが設けられている。気液分離器107は、製品ガス、未反応の原料ガス、又は、製品ガスと未反応の原料ガスとの混合ガスから生成水(液体)を分離する。ガス冷却用熱交換器102と気液分離器107は一体化されていてもよいし、気液分離器107はドレントラップでもよい。ガス冷却用熱交換器102や気液分離器107で凝縮した生成水には製品ガスや未反応の原料ガスが溶解しているため、脱気装置を設置してもよい。
【0025】
反応器103と気液分離器107とが接続されている。反応器103と気液分離器107とを接続する経路には、配管やバルブなどが設けられている。反応器103と気液分離器107とを接続する経路にエコノマイザー112が設けられている。エコノマイザー112において、反応器103へ送られる送出ガスと、反応器103から送出される送出ガスとの間で熱交換が行われる。反応器101で生成された製品ガス及び未反応の原料ガスは、エコノマイザー111、ガス冷却用熱交換器102、気液分離器107及びエコノマイザー112を経由して反応器103へ送られる。反応器103は、水素と二酸化炭素とを反応させてメタンを生成する。また、反応器103は、水素と二酸化炭素との発熱反応によって生成水を生成する。反応器103において未反応の原料ガスから製品ガスが生成されることで、メタネーション設備1は、高濃度の製品ガスを生成することが可能となる。
【0026】
反応器103とガス冷却用熱交換器104とが接続されている。反応器103とガス冷却用熱交換器104とを接続する経路には、配管やバルブなどが設けられている。ガス冷却用熱交換器104は、反応器103において生成された生成水(水蒸気)を凝縮する。ガス冷却用熱交換器104と気液分離器108とが接続されている。ガス冷却用熱交換器104と気液分離器108とを接続する経路には、配管やバルブなどが設けられている。気液分離器108は、製品ガス、未反応の原料ガス、又は、製品ガスと未反応の原料ガスとの混合ガスから生成水(液体)を分離する。ガス冷却用熱交換器104と気液分離器108は一体化されていてもよいし、気液分離器108はドレントラップでもよい。ガス冷却用熱交換器104や気液分離器108で凝縮した生成水には製品ガスや未反応の原料ガスが溶解しているため、脱気装置を設置してもよい。
【0027】
気液分離器108から貯留タンク109に製品ガスが送られる。貯留タンク109は、製品ガスを貯留する。気液分離器107及び108には、生成水を排出するための水抜き弁113が設けられている。水抜き弁113は、ドレントラップのような浮き具の浮力を用いて弁を開閉させるものでもよいし、あるいは電気的に水位を探知して電磁弁を開閉するものでもよい。水抜き弁113により、気液分離器107及び108から生成水が排出される。
【0028】
反応器101及び103には、予め触媒が充填されている。触媒は、反応式(1)を促進する触媒であればよい。触媒は、例えば、安定化元素が固溶し、正方晶系、及び、又は、立方晶系の結晶構造を有する安定化ジルコニア担体と、安定化ジルコニア担体に担持されるNiと、を備える。安定化元素は、例えば、Mn、Fe及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の遷移元素である。
【0029】
図1及び図2に示すように、メタネーション設備1は、反応器101及び103内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ライン41を有する。熱媒は、例えば熱媒油、水又は蒸気である。熱媒循環ライン41は、例えば、反応器101と、反応器103と、予熱器10に設けられた熱交換器3とを接続する配管を有するが、他の構成要素を有してもよい。メタンガスを生成する反応は、発熱反応であり、メタネーション設備1の運転中において、反応器101及び103内の温度が過度に高くならないように、反応器1
01及び103内の熱を回収するために熱媒循環ライン41により熱媒を循環させている。熱媒循環ライン41を流れる熱媒は、メタネーション設備1及び予熱器10を循環する。具体的には、熱媒が、反応器101を通り、更に反応器103を通り、熱交換器3を通った後、再び反応器101を通る。
【0030】
反応器101及び103はジャケット構造になっており、ジャケット部分(シェル)には発熱反応が生じる反応器内の発熱部分と熱交換する熱媒が流出入可能となっている。ヒーター105と反応器101のジャケット部分とが、熱媒が流れる配管によって接続されている。また、反応器101のジャケット部分と反応器103のジャケット部分とが、熱媒が流れる配管によって接続されている。熱媒が流れる配管には、バルブなどが設けられている。ヒーター105は、熱媒を加熱する加熱器である。ヒーター105によって加熱された熱媒は、反応器101を通った後、反応器103を通る。ヒーター105は主に設備の立ち上げ時など、熱媒の温度を上昇させたい時に使用する。熱媒の温度を上昇させる必要のないときは、ヒーター105による熱媒の加熱を行わない、又は熱媒がヒーター105をバイパスして熱媒循環ライン41を循環してもよい。
【0031】
図1及び図2に示すように、反応器103を通った熱媒は、熱交換器3を通る。メタネーション設備1の運転中においては、反応器103を通った熱媒の温度は、例えば、約250℃である。熱交換器3は、熱媒が通る内部配管と、燃焼空気が通る内部配管とを有する。熱交換器3において、熱媒が通る内部配管の一部と燃焼空気が通る内部配管の一部とが隣接するように、熱媒が通る内部配管及び燃焼空気が通る内部配管を配置してもよい。熱交換器3では、熱交換器3を通る熱媒と熱交換器3を通って焼却炉11に供給する燃焼空気との間で熱交換が行われる。したがって、熱交換器3は、熱媒循環ライン41を流れる熱媒と焼却炉11に供給する燃焼空気との間で熱交換を行う。熱交換器3を通る熱媒は、メタネーション設備1によって加熱されている。反応器101を通る熱媒は、反応器101内の発熱部分との熱交換によって加熱されている。反応器103を通る熱媒は、反応器103内の発熱部分との熱交換によって加熱されている。熱交換器3において、焼却炉11に供給する燃焼空気と、加熱された熱媒との間で熱交換が行われることで、燃焼空気が加熱され、加熱された燃焼空気が焼却炉11に供給される。加熱された燃焼空気を焼却炉11に供給することで、高温の空気燃焼が実現され、焼却設備2の熱効率が向上する。また、熱媒循環ライン41を流れる熱媒を焼却設備2における温水や蒸気を加熱するために利用してもよい。
【0032】
反応器103のジャケット部分と熱交換器3とが、熱媒が流れる配管によって接続されている。メタネーション設備1における熱媒用熱交換器106は、反応器101、103及び熱交換器3を通った熱媒を冷却する。ヒーター105と熱媒用熱交換器106とが、熱媒が流れる配管によって接続されている。ヒーター105と熱媒用熱交換器106とを接続する配管には、熱媒用熱交換器106によって冷却された熱媒をヒーター105へ送る熱媒循環ポンプ114が設けられている。また、熱媒が流れる配管には調節弁115及び116が設けられている。調節弁115及び116を開閉することにより、反応器101、103及び熱交換器3を通った熱媒を、熱媒用熱交換器106を経由してヒーター105に送ったり、熱媒用熱交換器106を経由せずにヒーター105に送ったりすることができる。熱媒用熱交換器106、熱媒循環ポンプ114、調節弁115及び115の配置を変更すると共に、ヒーター105によって加熱された熱媒体が、熱交換器3及び反応器103を通った後、反応器101を通るようにしてもよい。
【0033】
メタネーション設備1は、冷却塔117及び冷却水循環ポンプ118を備える。冷却塔117は、熱媒用熱交換器106において熱媒と熱交換する冷却水を冷却する。例えば、系外から冷却塔117に供給される水道水を冷却水として用いてもよい。冷却水循環ポンプ118は、冷却塔117内に供給された冷却水を、熱媒用熱交換器106と冷却塔11
7との間で循環させる。
【0034】
メタネーション設備1は、冷却塔119を備える。冷却塔119は、ガス冷却用熱交換器102及び104において生成水を凝縮させるための冷却水(冷媒)を冷却する。ガス冷却用熱交換器102、104及び冷却塔119は、冷却水が流れる配管によって接続されている。冷却塔119によって冷却された冷却水は、ガス冷却用熱交換器102及び104を経由して冷却塔119に戻る。冷却塔119に替えて、チラーを用いてもよい。
【0035】
図1に示す熱利用システムは、蒸気発電機31及び復水器32を備える。第1実施形態に係る熱利用システムでは、焼却炉11において廃棄物の焼却が行われ、ボイラ19で発生した蒸気は、熱交換器3、排ガス加熱器16及び蒸気発電機31に送られる。ボイラ19で発生した蒸気の温度は、例えば、300~450℃である。熱交換器3は、ボイラ19で発生した蒸気が通る内部配管を有する。熱交換器3で、焼却炉11に供給する燃焼空気と、ボイラ19で発生した蒸気との間で熱交換が行われることで、加熱された燃焼空気が焼却炉11に供給される。熱交換器3から排出された蒸気は、ボイラ19に戻る。排ガス加熱器16では、ボイラ19で発生した蒸気と排ガスとの間の熱交換により、排ガスが加熱される。排ガス加熱器16から排出された蒸気は、ボイラ19に戻る。
【0036】
蒸気発電機31は、ボイラ19で発生した蒸気で駆動する発電部である。蒸気発電機31は、タービン式発電機であってもよいし、スクリュー式発電機であってもよい。蒸気発電機31は、ボイラ19から供給された蒸気により発電を行う。蒸気発電機31によって発電された電気を、プロセスを運用するための制御ユニット、加熱設備、コンプレッサ等のプロセス内動力に使うことができる。また、蒸気発電機31によって発電された電気をプロセス内動力に使うと共に、余剰分の電力を任意の動力等に供給してもよい。また、蓄電設備を配置し、蒸気発電機31によって発電された電気を蓄電設備に貯蔵してもよい。復水器32は、蒸気発電機31から排出される蒸気を凝縮する。復水器32で凝縮された復水は、ボイラ19に戻る。
【0037】
第1実施形態に係る熱利用システムによれば、メタネーション設備1によって加熱された熱媒と焼却炉11に供給する燃焼空気との間で熱交換が行われることで、焼却炉11に供給する燃焼空気が加熱される。メタネーション設備1によって加熱された熱媒及びボイラ19で発生した蒸気により、焼却炉11に供給する燃焼空気を加熱することで、予熱器10への蒸気の供給量を削減することができる。第1実施形態に係る熱利用システムにおいて、予熱器10への蒸気の供給を停止してもよい。メタネーション設備1によって加熱された熱媒により、焼却炉11に供給する燃焼空気を加熱することで、予熱器10への蒸気の供給を省くことができる。予熱器10への蒸気の供給量を削減するか、又は、予熱器10への蒸気の供給を省くことで、排ガス加熱器16及び蒸気発電機31への蒸気の供給量が増加する。蒸気発電機31への蒸気の供給量が増加することで、蒸気発電機31の発電量を増加させることが可能となる。排ガス加熱器16への蒸気の供給量を一定として、蒸気発電機31への蒸気の供給量を増加してもよい。蒸気発電機31への蒸気の供給量を一定とし、排ガス加熱器16への蒸気の供給量を増加してもよい。
【0038】
第1実施形態に係る熱利用システムによれば、熱媒循環ライン41を流れる熱媒と焼却炉11に供給する燃焼空気との間で熱交換を行い、メタネーション設備1で発生する熱を焼却設備2に供給することで、メタネーション設備1で発生する熱を焼却設備2で有効利用することが可能となる。
【0039】
<第2実施形態>
図2及び図3を参照して、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図3は、第2実施形態に係る熱利用システムの構成図である。図3に示す熱利用システムは、メタネーション設備1と、焼却設備2と、メタネーション設備1及び焼却設備2のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備1及び焼却設備2のうちの他方に供給する熱交換器4と、を備える。熱交換器4は、熱供給部の一例である。図3に示す例では、熱交換器4は、排ガス加熱器16に設けられている。第2実施形態に係るメタネーション設備1の構成は、第1実施形態と同様である。
【0040】
メタネーション設備1は、反応器101及び103内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ライン42を有する。熱媒は、例えば熱媒油、水又は蒸気である。熱媒循環ライン42は、例えば、反応器101と、反応器103と、排ガス加熱器16に設けられた熱交換器4とを接続する配管を有するが、他の構成要素を有してもよい。メタンガスを生成する反応は、発熱反応であり、メタネーション設備1の運転中において、反応器101及び103内の温度が過度に高くならないように、反応器101及び103内の熱を回収するために熱媒循環ライン42により熱媒を循環させている。熱媒循環ライン42を流れる熱媒は、メタネーション設備1及び排ガス加熱器16を循環する。具体的には、熱媒が、反応器101を通り、更に反応器103を通り、熱交換器4を通った後、再び反応器101を通る。
【0041】
焼却設備2は、焼却炉11と、集塵装置12と、送風機13と、排ガス処理装置14と、回収器15と、排ガス加熱器16と、誘引通風機17と、煙突18とを備える。図3では、予熱器10を焼却設備2の内部に配置している例を示すが、この例に限定されず、予熱器10は、焼却設備2の外部に配置してもよい。図3では、集塵装置12から排出された排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られる例を示しているが、この例に限定されない。排ガス処理装置14から排出される排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られてもよい。また、排ガス加熱器16から排出された排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られてもよい。排ガスの一部を焼却炉11に送らなくてもよい。
【0042】
第2実施形態に係る熱利用システムでは、焼却炉11において廃棄物の焼却が行われ、ボイラ19で発生した蒸気は、予熱器10及び蒸気発電機31に送られる。ボイラ19で発生した蒸気の温度は、例えば、300~450℃である。ボイラ19で発生する蒸気は、排ガス加熱器16に送られていない。図2及び図3に示すように、反応器103を通った熱媒は、熱交換器4を通る。メタネーション設備1の運転中においては、反応器103を通った熱媒の温度は、例えば、約250℃である。熱交換器4は、熱媒が通る内部配管と、排ガスが通る内部配管とを有する。熱交換器4において、熱媒が通る内部配管の一部と排ガスが通る内部配管の一部とが隣接するように、熱媒が通る内部配管及び排ガスが通る内部配管を配置してもよい。熱交換器4では、熱交換器4を通る熱媒と、熱交換器4を通る排ガスとの間で、熱交換が行われる。したがって、熱交換器4は、熱媒循環ライン42を流れる熱媒と焼却炉11から排出される排ガスとの間で熱交換を行う。また、熱媒循環ライン42を流れる熱媒を焼却設備2における温水や蒸気を加熱するために利用してもよい。
【0043】
予熱器10は、ボイラ19で発生した蒸気が通る内部配管と、燃焼空気が通る内部配管とを有する。予熱器10において、蒸気が通る内部配管の一部と燃焼空気が通る内部配管の一部とが隣接するように、熱媒が通る内部配管及び燃焼空気が通る内部配管を配置してもよい。予熱器10から排出された蒸気は、ボイラ19に戻る。
【0044】
熱交換器4を通る熱媒は、メタネーション設備1によって加熱されている。反応器101を通る熱媒は、反応器101内の発熱部分との熱交換によって加熱されている。反応器103を通る熱媒は、反応器103内の発熱部分との熱交換によって加熱されている。熱
交換器4において、熱交換器4を通る排ガスと、加熱された熱媒との間で熱交換が行われることで、誘引通風機17に送られる排ガスが加熱される。排ガス加熱器16により排ガスが加熱されることで、排ガスが流れる煙道の結露及び排ガスの白煙化が抑止される。また、排ガスを脱硝する場合、脱硝に適した温度(例えば、170℃)まで排ガスを昇温する必要がある。メタネーション設備1によって加熱された熱媒と排ガスとの間で熱交換を行うことで、脱硝に適した温度まで排ガスを昇温することが可能となる。図3では、排ガス処理装置14を通過した排ガスがすべて回収器15に流入している例を示しているが、この例に限定されない。排ガス処理装置14から排出される排ガスの一部が、回収器15に送られてもよい。その場合、排ガス加熱器16は、回収器15に送られなかった排ガスを加熱してもよいし、回収器15を通過した排ガスを加熱してもよい。又は、排ガス加熱器16は、回収器15に送られなかった排ガス及び回収器15を通過した排ガスの両方の排ガスを加熱してもよい。また、回収器15に送る排ガスと回収器15を通過した排ガスとの間で熱交換が行われてもよい。この場合、排ガス加熱器16は、回収器15に送る排ガスと回収器15を通過した排ガスとの間で熱交換した後の排ガスを加熱してもよい。
【0045】
第2実施形態に係る熱利用システムによれば、熱交換器4を通る排ガスとメタネーション設備1によって加熱された熱媒との間で熱交換が行われることで、排ガス加熱器16で排ガスが加熱される。そのため、排ガス加熱器16への蒸気の供給を省くことができる。排ガス加熱器16への蒸気の供給を省くことで、予熱器10及び蒸気発電機31への蒸気の供給量が増加する。予熱器10への蒸気の供給量を一定とし、蒸気発電機31への蒸気の供給量を増加してもよい。蒸気発電機31への蒸気の供給量を一定とし、予熱器10への蒸気の供給量を増加してもよい。第2実施形態に係る熱利用システムにおいて、排ガス加熱器16へ蒸気を供給してもよい。この場合、熱交換器4を通る排ガスとメタネーション設備1によって加熱された熱媒との間で熱交換が行われることで、排ガス加熱器16で排ガスが加熱されるため、排ガス加熱器16への蒸気の供給量を削減することができる。これにより、蒸気発電機31への蒸気の供給量が増加するため、蒸気発電機31の発電量を増加させることが可能となる。
【0046】
第2実施形態に係る熱利用システムによれば、熱媒循環ライン42を流れる熱媒と焼却炉11から排出される排ガスとの間で熱交換を行い、メタネーション設備1で発生する熱を焼却設備2に供給することで、メタネーション設備1で発生する熱を焼却設備2で有効利用することが可能となる。
【0047】
<第3実施形態>
図2及び図4を参照して、第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図4は、第3実施形態に係る熱利用システムの構成図である。図4に示す熱利用システムは、メタネーション設備1と、焼却設備2と、メタネーション設備1及び焼却設備2のうちの一方で発生する熱をメタネーション設備1及び焼却設備2のうちの他方に供給する熱交換器5と、を備える。熱交換器5は、熱供給部の一例である。図4では、熱交換器5はメタネーション設備1の外部に配置されている例を示すが、この例に限定されず、熱交換器5は、メタネーション設備1の内部に配置してもよい。図2に示すメタネーション設備1の内部に熱交換器5を配置する場合、熱交換器5をヒーター105に隣接して配置してもよいし、ヒーター105に替えて熱交換器5を配置してもよい。
【0048】
メタネーション設備1は、反応器101及び103内の温度を調整するための熱媒を循環させる熱媒循環ライン43を有する。熱媒は、例えば熱媒油、水又は蒸気である。熱媒循環ライン43は、例えば、反応器101と、反応器103と、熱交換器5とを接続する配管を有するが、他の構成要素を有してもよい。メタンガスを生成する反応は、発熱反応であり、メタネーション設備1の運転中において、反応器101及び103内の温度が過
度に高くならないように、反応器101及び103内の熱を回収するために熱媒循環ライン43により熱媒を循環させている。熱媒循環ライン42を流れる熱媒は、メタネーション設備1及び熱交換器5を循環する。具体的には、熱媒が、反応器101を通り、更に反応器103を通り、熱交換器5を通った後、再び反応器101を通る。
【0049】
焼却設備2は、焼却炉11と、集塵装置12と、送風機13と、排ガス処理装置14と、回収器15と、排ガス加熱器16と、誘引通風機17と、煙突18とを備える。図4では、予熱器10を焼却設備2の内部に配置している例を示すが、この例に限定されず、予熱器10は、焼却設備2の外部に配置してもよい。図4では、集塵装置12から排出された排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られる例を示しているが、この例に限定されない。排ガス処理装置14から排出される排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られてもよい。また、排ガス加熱器16から排出された排ガスの一部が、送風機13を介して、焼却炉11に送られてもよい。
【0050】
第3実施形態に係る熱利用システムでは、焼却炉11において廃棄物の焼却が行われ、ボイラ19で発生した蒸気は、熱交換器5、予熱器10、排ガス加熱器16及び蒸気発電機31に送られる。ボイラ19で発生した蒸気の温度は、例えば、300~450℃である。図2及び図4に示すように、反応器103を通った熱媒は、熱交換器5を通る。熱交換器5は、熱媒が通る内部配管と、ボイラ19で発生した蒸気が通る内部配管とを有する。熱交換器5において、熱媒が通る内部配管の一部と蒸気が通る内部配管の一部とが隣接するように、熱媒が通る内部配管及び蒸気が通る内部配管を配置してもよい。熱交換器5では、熱交換器5を通る熱媒と熱交換器5を通る蒸気との間で熱交換が行われる。したがって、熱交換器5は、熱媒循環ライン43を流れる熱媒とボイラ19で発生した蒸気との間で熱交換を行う。熱交換器5から排出された蒸気は、ボイラ19に戻る。
【0051】
予熱器10は、ボイラ19で発生した蒸気が通る内部配管と、燃焼空気が通る内部配管とを有する。予熱器10において、蒸気が通る内部配管の一部と燃焼空気が通る内部配管の一部とが隣接するように、熱媒が通る内部配管及び燃焼空気が通る内部配管を配置してもよい。予熱器10から排出された蒸気は、ボイラ19に戻る。
【0052】
メタネーション設備1の始動時(運転開始時)は、熱媒循環ライン43を流れる熱媒の温度は低い。メタネーション設備1の始動時に、熱媒循環ライン43を流れる熱媒をボイラ19で発生した蒸気で加熱した後、メタネーション設備1に熱媒を供給する。加熱されて昇温した熱媒が反応器101を通ることで、反応器101が昇温する。これにより、反応器101内の触媒が反応開始温度まで加熱される。反応器101を通った熱媒は、反応器103のジャケット部分へ送られ、反応器103を通る。加熱されて昇温した熱媒が反応器103を通ることで、反応器103が昇温する。これにより、反応器103内の触媒が反応開始温度まで加熱される。
【0053】
第3実施形態に係る熱利用システムによれば、熱媒循環ライン43を流れる熱媒とボイラ19で発生した蒸気との間で熱交換が行われることで、加熱された熱媒が反応器101及び103を通る。そのため、メタネーション設備1の始動時にヒーター105によって熱媒を加熱する場合、ヒーター105に供給する電力量(ヒータ用の電力使用量)を削減することが可能となる。一時的にメタネーション設備1を停止もしくはメタネーション設備1の運転負荷を低下させた際の熱媒の温度保持のためにヒーター105を動作させる場合でもヒーター105に供給する電力量を削減することができる。また、ヒーター105による熱媒の加熱が必要ない場合には、ヒーター105の設置を省略することが可能となり、ヒーター105への電力の供給やヒーター105のメンテナンス等が必要なくなる。
【0054】
第3実施形態に係る熱利用システムによれば、熱媒循環ライン43を流れる熱媒と焼却
設備2が有するボイラ19で発生した蒸気との間で熱交換を行い、焼却設備2で発生する熱をメタネーション設備1に供給することで、焼却設備2で発生する熱をメタネーション設備1で有効利用することが可能となる。
【0055】
また、上記で説明した各処理及び各工程は、熱利用システムにおける熱供給方法、熱利用システムの制御方法等として捉えてもよい。メタネーション設備1における上記の各処理及び各工程は、メタネーション設備1における製品ガスの生成方法或いはメタネーション設備1の運転方法等として捉えてもよい。焼却設備2における上記の各処理及び各工程は、焼却設備2における焼却方法或いは焼却設備2の運転方法等として捉えてもよい。上記で説明した各処理ないし機能の少なくとも一部を有する制御システム、生成システム或いは運転システム等として捉えてもよい。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。上記の各実施形態は、それぞれ組み合わせることができる。
【0056】
なお、第1実施形態~第3実施形態では、焼却設備2がボイラ19を有するものとして説明したが、メタネーション設備1で発生した熱を焼却設備2に供給する場合は、焼却設備2がボイラ19を有さないもの、例えば、水噴射炉であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1・・メタネーション設備;2・・焼却設備;3、4、5・・熱交換器;10・・予熱器;11・・焼却炉;12・・集塵装置;13・・送風機;14・・排ガス処理装置;15・・回収器;16・・排ガス加熱器;17・・誘引通風機;18・・煙突;19・・ボイラ;20・・吸収塔;21・・再生塔;31・・蒸気発電機;32・・復水器;41、42、43・・媒循環ライン;101、103・・反応器
図1
図2
図3
図4